図1〜図5にホームベーカリーの各部を示し、図6〜図11に具材投入装置の各部を示し、図12〜図16に具材投入装置の各部材の動きを示す。なお、操作部側を前方とし、それと反対側のヒンジ部側を後方とし、前後方向に直交する側を左右方向、即ち、後方から前方をみて右側を右方、左側を左方とする。以下、本願発明の実施の形態に係るホームベーカリーについて説明する。
ホームベーカリーBは、主としてパンを自動的に焼くことができる自動パン焼き器(家庭用として説明するが、業務用であってもよい。)で、全体は平面視矩形状を呈し、有底筒状の機器本体20と、機器本体20の上方を閉蓋可能な蓋体50を有してなる。なお、ホームベーカリーBでパン以外のもの、例えば、餅、うどん、パスタ及びジャムなどを作ることもできる。
前記機器本体20は、外壁部および筐体部を形成する有底筒状の外ケース21と、該外ケース21の上部を構成する肩部材22と、外ケース21内にあって該外ケース21との間に所定の幅の内部空間30を介して支持固定される保護枠でもある内ケース23と、該内ケース23内に着脱自在に収納され、内部に調理材料であるパン生地などを入れる調理容器24と、該調理容器24の下方に配置される回転駆動機構25などを有する。
前記外ケース21は、上下方向に延びる平面視矩形状で筒状の側壁部21aと、底部を構成する平面視矩形状で皿状の底壁部21bとを有する樹脂製の部材で、その上端部には前記肩部材22が水平状態で取り付けられる。なお、側壁部21aと底壁部21bとは一体に形成されるが、別体のものであってもよい。
前記肩部材22は、機器本体20の上端部を形成する樹脂製の部材であり、その中央部には平面視正方形状の開口部22aを有し、後方側に後記するギヤボックス80とヒンジ部26を有し、前方側には、後記する操作部36を有する。なお、肩部材22は、外ケース21と別体のものであるが、一体のものであってもよい。
そして、前記開口部22aは、内ケース23の開口部と同形にされており、取り付け後は内ケース23内の加熱室31の開口部となる。また、前記ヒンジ部26は、前記ギヤボックス80の左右側部から先端が外方に向かって水平に突き出る一本の回転軸26aと、蓋体50の後部に後方に向かって開口するU字状軸受部27(図15参照)とからなり、当該U字状軸受部27を回転軸26aに圧入嵌合することにより蓋体50を回転軸26aの回動により開閉自在にする。なお、両者の固定を確実にするためビスなどの固定手段を併用してもよい。
また、前記開口部22aの前方側には左右方向の前壁部28が垂下し(図6参照)、後方側には後記する軸受ケーシング部材81が垂下しており(図5等参照)、前壁部28には、左右方向に所定長さ離れて略同形のU字状の右前軸受部28aと左前軸受部28bとが垂下する形態で設けられるとともに、軸受ケーシング部材81には、左右方向に所定長さ(前軸受部と同じ長さ)離れて略同形のU字状の右側の軸受開口81bと左側の軸受開口81bとが垂下する形態で設けられている(図9参照)。
そして、右前軸受部28aと右側の軸受開口81b内の半円弧状回転体82(後軸受部に相当するもの)には、大容量具材投入容器71の右前支持軸72と右後支持軸73とがそれぞれ軸支され、左前軸受部28bと左側の軸受開口81bには、小容量具材投入容器75の左前支持軸76と左後支持軸77が軸支される。
前記内ケース23は、外ケース21内に主として前方側に所定の幅の内部空間30を介して配置される全体として有底筒状の部材で、上部ケース23a及び下部ケース23bの2部材からなる(図4参照)。
前記上部ケース23aは、上下開口で平面視正方形状の金属製の筒状部材であり、その上端開口は、肩部材22の開口部22aと同形且つ面一とされ、加熱室31の上端部を形成する。
そして、上部ケース23aの外周には、外周を取り巻く形態の肩ヒータ32を有し、この肩ヒータ32により、調理容器24からふっくらと円弧状に膨出するパン頂部の外周に放射熱を直接作用させることにより、パン全体をより均一かつ有効に焼き上げるとともに、効果的な焼き色をつけることができるようになる。
前記下部ケース23bは、上部が開口する有底で平面視正方形状の樹脂製部材であり、上部ケース23aより若干大きい相似形であり、加熱室31の下部を形成する。そして、下部ケース23bの内部と、上部ケース23aの内部とで加熱室31を形成するとともに、下部ケース23bの外周には、所定の隙間を有して加熱手段35が取り付けられており、加熱室31を加熱して調理容器24内のパン材料を焼き上げる。
前記加熱手段35は、図示しないコイルボビンに巻回される電磁誘導加熱手段であるワークコイル35a、コイル台35bに嵌挿される磁束収束手段であるフェライトコア35cを有してなり、電磁誘導加熱により内ケース23及びその内部に収納される調理容器24を加熱する。
さらに、ワークコイル35aなどの外周には、例えばアルミ金属材料よりなる断面略正方形状の帯状の磁気遮蔽板35dが取り付けられており、ワークコイル35aからの磁束が周囲に漏れるのを防止している。なお、加熱手段35は、シーズヒータであってもよい。
また、前記下部ケース23bの底部中央には、回転駆動機構25の最終段のプーリー回転軸44の先端が内部に向かって突入しているとともに、このプーリー回転軸44の先端には、平面視S字形の回転係合部材である下部コネクタ45が取り付けられており、この下部コネクタ45に、調理容器24の底部に設けられる上部コネクタ24bが係合して回転羽根24cに回転駆動機構25側からの回転力が伝達されるようになっている。
そして、肩部材22と下部ケース23bとは図示しないビスなどの取り付け手段で取り付けられるが、肩部材22と下部ケース23bとの取付時、上部ケース23aは、肩部材22と下部ケース23bとの間に挟持される形態で一体に取り付けられる。そして、下部ケース23bの下端には、後記する回転駆動機構25が取り付けられる。なお、上部ケース23a及び下部ケース23bは、一体のものであってもよい。
前記肩部材22の前方側には、平面視略矩形状の操作部36が形成され、該操作部36には、例えば、周囲にスタートボタン36a、取消ボタン36b、時分設定ボタン36c、メニュー選択ボタン36d、焼色ボタン36e、予約ボタン36fを有し、中央部には表示部36gが設けられる。
また、前記操作部36の下方の内部空間30には、制御装置38及び図示しない冷却ファンが配置される。前記制御装置38は、制御基板38a、該制御基板38aに配置される前記ワークコイル35aの駆動を行なうIGBT(パワートランジスタ)などの各種電気素子38b及び同IGBTの放熱を行うヒートシンク38cなどを有する。そして、IGBTなどの発熱部品は発熱するため、前記冷却ファンで冷却することになる。
そして制御装置38には、各種メニューのプログラムが予め記憶されており、メニュー選択ボタン36dでパン焼きを選択し、スタートボタン36aをオンすると、回転駆動機構25が駆動し、加熱手段35が加熱して、決められた工程を順次実行することになる。
即ち、パン焼き時には、例えば、前記調理容器24内に水、強力粉、糖、塩、油脂、卵などを入れ、さらにイースト菌などを投入したのち、スタートボタン36aをオンすると、まずは、回転羽根24cを回転させてパン生地を捏ねる「捏ね工程」が実行され、該捏ね工程でパン生地を混練して強力粉中のたんぱく質をグルテン化する。
次いで、グルテン化されたパン生地を発酵させる「発酵工程」が実行され、パン生地を十分に発酵させる。その後、「焼き工程」が実行され、発酵工程で発酵したパン生地を焼き上げることにより、パンができあがることになる。
前記回転駆動機構25は、上記従来例のものとほぼ同様なもので、例えば、モーター40、小径の駆動プーリー41、ベルト42及び大径の従動プーリー43を有するとともに、従動プーリー43のプーリー回転軸44の上端部には、S字形の下部コネクタ45が取り付けられており、加熱室31内に調理容器24がセットされると、調理容器24の底部に回転自在に取り付けられる回転羽根取付軸24aの下端の棒状の上部コネクタ24bが、前記下部コネクタ45に係合する。
その結果、モーター40が回動すると、その回転は、小径の駆動プーリー41、ベルト42及び大径の従動プーリー43を介して減速して伝達され、更に減速された回転は、プーリー回転軸44、下部コネクタ45及び上部コネクタ24bを介して先端が平面視多角形の回転羽根取付軸24aに伝わり、該回転羽根取付軸24aに上方から嵌合される回転羽根24cを回動することになる。
前記調理容器24は、有底筒状で、平面視正方形状の金属製の容器部材であり、内部にパン生地を入れて捏ねたり、発酵したり、焼成したりしてパンを焼き上げることになる。そして、その上端部には取手24dを有するとともに、その底部中央には、回転羽根取付軸24aの先端が内部に向かって突入しており、該回転羽根取付軸24aには、パン生地を捏ねる1枚の回転羽根24cが取付自在な形態で固定される。
更に、回転羽根取付軸24aの下部は、調理容器24の底部から外方に向かって突出するとともに、その下端部には、先端に係合部を有する棒状の上部コネクタ24bが固定されており、該上部コネクタ24bは、調理容器24が内ケース23の下部ケース23b内にセットされると、下部ケース23bの底部から上方に向かって突出するプーリー回転軸44の先端の下部コネクタ45に係合する。
前記蓋体50は、外蓋56、内蓋57及び中蓋58の3部材を有し、例えば内蓋57側から外蓋56に向かってビス止めすることにより中蓋58を挟持する形態で3部材を一体化してなるものである。
前記外蓋56は、中央部が盛り上がってなるハット状で平面視矩形状の樹脂部材であり、その前方側の左右端に水平に外方に張り出してなる一対の取手部51、51を有し、その後方側の上面に蒸気排出口52を有する。
前記内蓋57は、逆皿状で平面視正方形状の金属製の部材であり、肩部材22の開口部22a上に開口部22aを覆うように配置され、例えば上述した肩ヒータ32からの放射熱のうち、上方へ向かう放射熱を下方に反射して、パンの上面に効果的に作用させる。この結果、同パン膨出部の焼き上がりが良好になるとともに、適度な焼き色が形成される。
前記中蓋58は、逆皿状で平面視矩形状の樹脂製の部材であり、外蓋56より小さく且つ内蓋57より大きくされており、中央部が盛り上がってなるハット状で樹脂製の部材であり、図示しない開口を有し、加熱室31内で発生する蒸気を当該開口より外蓋56との間に形成される蒸気排出通路53を介して外蓋56の蒸気排出口52から外部に排出する。
また、中蓋58の後方には、ヒンジ部26の一部であるU字状軸受部27を有しており、このU字状軸受部27は、肩部材22に回転自在に設けられる回転軸26aに圧入嵌合している。そして、蓋体50は、左右一対の取手部51、51を指で同時に上方に持ち上げることにより開蓋し、蓋体50上部を押し下げることにより閉蓋する。
また、中蓋58の前方側下面には、右前側フック59及び左前側フック60が左右方向に所定長さ離れて設けられ、後方側下面には、右後側フック61及び左後側フック62が左右方向に同じ所定長さ離れて設けられており、内蓋57を貫通して下方に突き出ている(図7、8参照)。
なお、図7に示すように、前記4つのフックの形状は全て同じであるが、各フックの向きは、右前側フック59及び右後側フック61が、右側から左側に向かって伸びているのに対し、左前側フック60及び左後側フック62は、左側から右側に向かって伸びている。即ち、開放側は全て内側を向いて且つ対向している。
右前側フック59のみについて説明すると、右前側フック59は、図12に示すように、下方に垂下する根本部59aと、根本部59aから内方に向かって水平に伸びる水平部59bと、水平部59bより更に内方且つ若干上方に向かって伸びる傾斜部59cと、傾斜部59cより更に内方に伸びる円弧状の先端部59dを有するとともに、水平部59bの上面には下方に円弧状に凹んだ凹溝59eを有してなる。
そして、右後側フック61、左前側フック60及び左後側フック62の場合は、「59」が「60」、「61」、「62」に変わるだけであり、呼称は同じとする。
また、ヒンジ部26の一部である前記回転軸26aの中央部近傍には、左右方向に所定長さ離れて2個のL字状のレバー部材65、65が取り付けられる(図9、15参照)。該L字状のレバー部材65、65は、それぞれ後方上端部にレバー開口65a、65aを有しており、それぞれのレバー開口65a、65aを回転軸26aに圧入して一体化しており、回転軸26aとともに回動する。
そして、その先端は前方に向かって伸び、蓋体50が所定開度回転すると上動して後記する大歯車90に一体に設けられる舌状部材90cを押し上げ、後記の回転板86を元の位置、即ち、具材投入容器の非回転位置に戻す。
次いで、本発明の具材投入装置70の特徴的構造である具材投入容器、即ち、大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75の後軸受機構、反転機構及び回転板の復位機構について順次説明する。
まず、前記具材投入装置70は、具材投入容器である大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75と、ソレノイド85と、第1コイルバネ83と、第2コイルバネ87と、回転板86と、小歯車89と、大歯車90と、舌状部材90cとを有してなり(図11参照)、大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75以外は、肩部材22のギヤボックス80内に取り付けられる。
前記大容量具材投入容器71は、図10に示すように、レーズン、ナッツなどの比較的体積の大きな副材料を収容する平面視矩形状(例えば、前後方向の長辺が約130mmで左右方向の短辺が50mm)のアルミ製の有底容器であり、左右方向の短辺側の外側面の上端部近傍には、それぞれ右前支持軸72と右後支持軸73が外方に向かって水平に突き出る形態で一体に取り付けられている。なお、右前支持軸72と右後支持軸73は、大容量具材投入容器71の上下方向の中間点より上方であればどこでもよいが、この例では上端部近傍に設けられる。
前記右前支持軸72は、断面円形状で、その後方側(即ち、大容量具材投入容器71の側壁面側)の下方には、側面視縦長で矩形状の右前平板状リブ72aが垂下するとともに、該右前平板状リブ72aの中央部には、側面視縦長で矩形状の右前開口72bを有する。そして、右前支持軸72は、肩部材22の上部に形成されるU字状の右前軸受部28aに上方から抵抗なく挿入されて回転自在に軸支されることになる。
また、前記右後支持軸73は、右前支持軸72より長くされており、側壁面から後方に伸びる右前半部73aは断面円形状で、右後半部73bは菱形状(正方形を90度回転した形状)であるとともに、右前半部73aの下方には、前記右前平板状リブ72aと同形の右後平板状リブ73aaが垂下するとともに、該右後平板状リブ73aaの中央部には、前記右前開口72bと同形の右後開口73abを有する。
そして、右後支持軸73の右後半部73bは、肩部材22の下方に形成される全体としてU字状の右側の後軸挿入開口68の後軸受機構に、後記するように上方から力を加えて落とし込まれて軸支される。その結果、大容量具材投入容器71は、開口部22aの右側に位置し、前方から後方をみる正面視において反時計方向に回転されることになる。
前記小容量具材投入容器75は、図10に示すように、イースト菌などの比較的体積の小さな副材料を収容する平面視矩形状(例えば、前後方向の長辺が約130mmで左右方向の短辺が25mm)のアルミ製の有底容器であり、左右方向の短辺側の外側面の上端部近傍には、それぞれ左前支持軸76と左後支持軸77が外方に向かって水平に突き出る形態で一体に取り付けられている。なお、左前支持軸76と左後支持軸77は、小容量具材投入容器75の上下方向の中間点より上方であればどこでもよいが、この例では上端部近傍に設けられる。
小容量具材投入容器75内は、仕切によって複数室、例えば4室に区画されており、それぞれの室には、例えば、イースト菌、砂糖、塩、粉ミルクが入れられ、それらは同時に投入される。このように小容量具材投入容器75を複数の部屋に区画することにより、必要な異なる材料を同時に投入できるため、操作性及びお手入れ性等、利便性が向上する。
前記左前支持軸76は、断面円形状で、その後方側(即ち、小容量具材投入容器75の側面側)の下方には、側面視縦長で矩形状の左前平板状リブ76aが垂下するとともに、該左前平板状リブ76aの中央部には、側面視縦長で矩形状の左前開口76bを有する前記右前支持軸72と同形のものである。そして、左前支持軸76は、肩部材22の上部に形成される左前軸受部28bに上方から抵抗なく挿入されて回転自在に軸支されることになる。
また、前記左後支持軸77は、左前支持軸76より長くされており、側面から後方に伸びる左前半部77aは断面円形状で、左後半部77bは菱形状(正方形を90度回転した形状)であり、更に左前半部77aの下方には、前記左前平板状リブ76aと同形の左後平板状リブ77aaが垂下するとともに、該左後平板状リブ77aaの中央部には、前記左前開口76bと同形の左後開口77abを有する。なお、左後支持軸77は、前記右後支持軸73と同形のものである。
そして、左後支持軸77の左後半部77bは、右後支持軸73の右後半部73bと同様に、肩部材22の下方に形成される全体としてU字状の左側の後軸挿入開口68の後軸受機構に、後記するように上方から力を加えて落とし込まれて軸支される。その結果、小容量具材投入容器75は、開口部22aの左側に位置し、正面視で時計方向に回転されることになる。
このように、大容量具材投入容器71と小容量具材投入容器75とは回転方向が逆にされており、具材投入時、一方の容器内の具材が他方の容器内に混入する弊害が防止される。
また、大容量具材投入容器71と小容量具材投入容器75とは、いずれも金属製、例えばアルミ製のものであり、従来のPPSより軽量化を図ることができるとともに、容器の反転時に容器内を反射板として機能させることができるため、熱を効率的にパン頂部方向に反射することができるようになる。
また、大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75と、各軸受との取り付けは、右前支持軸72と左前支持軸76とは単に置くだけであり、右後支持軸73と左後支持軸77とは上方から僅かな力で押し込むだけであるので、取り付けを容易に行うことができる。
また、大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75は、それぞれの支持軸を具材投入容器の上下方向の中間点より上方に位置しており、両具材投入容器の非回転時には、両具材投入容器の全て又は一部を加熱室31内に入り込むように配置したとしても、両具材投入容器の反転時には、両具材投入容器は、その多くの部分が加熱室31の上方(即ち、蓋体の下方空間内)に位置することになり、その結果、ベーカリー庫内である加熱室31の容積を実質的に広げることができる。
即ち、調理容器24内でパンが焼き上がると、パン頂部は上方に向かって円弧状に膨らむが、そのパン頂部と両具材投入容器(具体的には、両具材投入容器の開口部側の上端部)との干渉をなくすことができるとともに、ホームベーカリーB全体をコンパクトにすることができる。
ところで、肩部材22の上部後方に設けられる前記ギヤボックス80は、肩部材22の水平面より上方に向かって突出する高さが2段に変化する平面視矩形状の突出体であり(図2、3、5参照)、前方側の高さの低い低領域80aの前方側の端部には、左右方向に所定長さ離れ、且つ上下方向に貫通してなる平面視矩形状の矩形状溝80bが形成されるとともに、該矩形状溝80bの下方の肩部材22にも同形の肩部材溝22bが形成されている(図13(D)参照)。
そして、前記矩形状溝80bと肩部材溝22bとの下方には、後記軸受ケーシング部材81の軸受開口81bが位置しており、矩形状溝80bと肩部材溝22bと軸受開口81bとの3者で右側の後軸挿入開口68と、左側の後軸挿入開口68とが同形に形成される(図13(D)参照)。
前記ギヤボックス80内には、前記後軸受機構、具材投入容器反転機構及び回転板復位機構が一体のものとして設けられている。そして、図9に大容量具材投入容器71のもののみであるが、その組み立て図を示し、図11に大容量具材投入容器71及び小容量具材投入容器75のものの各部品を示す。
以下に右側の軸受開口81b及び左側の軸受開口81bの後軸受機構、具材投入容器反転機構及び回転板復位機構について説明するが、左右の各機構の各部品の構造は同じである。
なお、大容量具材投入容器71と小容量具材投入容器75との駆動の相違は、回転方向が逆、即ち、大容量具材投入容器71は前方から後方をみて反時計方向であるのに対し、小容量具材投入容器75は時計方向である点と、反転時期が異なる、即ち、小容量具材投入容器75は捏ね工程の初期に反転してイースト菌等を投入し、大容量具材投入容器71は捏ね工程の終了前(例えば5分前)に反転してレーズン等を投入するが、その他の動作は同じである。
なお、本願発明の第1具材投入容器は、大容量具材投入容器71が相当し、第2具材投入容器は、小容量具材投入容器75が相当し、異なる方向は、両具材投入容器のそれぞれの上部開口がお互い対向するようになる方向ではなく、両具材投入容器のそれぞれの上部開口が離れるようになる方向である。
そのため、具材投入時に、一方の具材投入容器の具材が他方の具材投入容器に混入する弊害が防止されるとともに、具材投入は、具材投入容器を反転させるだけであり、全体の構造を簡略化できるとともに、全ての具材をより確実に投入することができるようになる。
前記後軸受機構は、1個の軸受ケーシング部材81と2組で同形の回転体ユニット822とを有する。前記軸受ケーシング部材81は、その前方側に前壁部81aを有する。この前壁部81aは、肩部材22の後方側の開口部22aから垂下する形態で取り付けられており、左右同形である。
そして前壁部81aの一方、例えば右側は、下方が半円形で上方が矩形状で、その中央にU字状の軸受開口81bを有するとともに、その内部には、円弧状内部空間81cを有し、さらにその左右端には上下方向のビス貫通穴81d、81dが設けられており、それぞれのビス貫通穴81d、81dの下側から上方に向かって図示しないビスを挿通し、2個のビスをギヤボックス80の底部に螺合することにより、軸受ケーシング部材81を固定する。
前記回転体ユニット822の一方、例えば右側のものは、2個の半円弧状回転体82、82と、2個の第1コイルバネ83、83と、2個の軸挟持部材84、84からなる。
そして、2個の半円弧状回転体82、82のそれぞれは、前後方向に2個の円弧状側板82a、82aを対向して配置するとともに、2個の円弧状側板82a、82a間を上下方向に離れた2枚の水平板82b、82bと1枚の背板としての垂直板82cで連結し、内部に第1コイルバネ83の一端が支持される凹嵌部82dを形成してなる。なお、後方側の円弧状側板82aの後壁面には、上下方向に2個のビスボス82e、82eが設けられ、後記の回転板86がビス止めされる。
また、前記2個の軸挟持部材84、84は、それぞれ左右方向に配置されるとともに、対向する側面は、正面視く字状の挟持部84aとされ、該挟持部84aの反対側には第1コイルバネ83の他端を支持する凹嵌部84dが形成され、更にその上面には挟持部84a側に向かって下がる傾斜面84cが形成される。
そして、2個の半円弧状回転体82、82を、内部の凹嵌部82dが対向する形態で前記軸受ケーシング部材81の円弧状内部空間81cに挿入し、その中央に2個の軸挟持部材84、84をそれぞれの挟持部84aが対向する形態で配置するとともに、それぞれの半円弧状回転体82と軸挟持部材84との間に第1コイルバネ83を介在させることにより前記回転体ユニット822が構成される。
その結果、正面視の図13で示すような後軸受部が形成される。即ち、後軸受部は、2個の挟持部84a、84a間に形成される矩形状の空間、即ち、右後支持軸73の右後半部73b及び左後支持軸77の左後半部77bと同形の空間と、その上方の2個の傾斜面84c、84cによって形成されるV字溝とからなる。
その軸支について説明すると、まず図13(A)に示すように、右後支持軸73の右後半部73b(又は左後支持軸77の左後半部77b)を2個の傾斜面84c、84cによって形成されるV字溝の上に置く。
次いで、上方から若干の力を加えて、右後半部73b(又は左後半部77b)を下方に押す。すると、図13(B)に示すように、2個の挟持部84a、84aはそれぞれ第1コイルバネ83を左右方向に押して反対方向に移動する。構わず、右後半部73b(又は左後半部77b)を下方に押すと、図13(C)に示すように、右後半部73b(又は左後半部77b)は、2個の挟持部84a、84a間に挟持される形態で軸支される。このように簡単な操作により軸の装着が行われる。
次いで、前記具材投入容器反転機構について説明する。具材投入容器反転機構は、前記2組で同形の回転体ユニット822と、2個で同形のソレノイド85と、2個で同形の回転板86と、2個で同形の第2コイルバネ87とを有する。なお、前記回転体ユニット822は上記したとおりである。
前記回転板86の一方、例えば右側のものは、短辺を上下方向に長辺を左右方向に配置してなる正面視矩形状の平板であり、前後方向に貫通する4個のビス穴86a・・・と、後壁面に小歯車89の前半軸89aaを支持する図示しない軸受孔と、右端部近傍の係合片86bとを有する。
そして、回転板86は、4個のビス穴86a・・・の右側の2個と左側の2個のそれぞれに後方から前方に向かってビス86c、86c(図14参照)を挿入するとともに、右側の2個のビス86c、86cを右側の半円弧状回転体82の上下方向の2個のビスボス82e、82eに螺合し、左側の2個のビスを左側の半円弧状回転体82の上下方向の2個のビスボス82e、82eに螺合することにより、回転板86を回転体ユニット822に固定する。すると、回転板86と回転体ユニット822とは一体化されるとともに、回転体ユニット822自体も一体化される。即ち、それらの取り付けは容易になる。
その結果、回転板86は回転体ユニット822とともに回転する。なお、回転板86の後方側の中心部には、図示しない断面正方形状の軸受孔が形成されており、後記する小歯車89の前半軸89aaが嵌入し、小歯車89は回転板86とともに回転する。
前記2個のソレノイド85、85は、左右方向に対向する形態で配置される。そして、各ソレノイド85には、プランジャ85aが左右方向に移動可能に配置されるとともに、ソレノイド85の本体と、プランジャ85aとの間には、コイルスプリング85c(図14参照)が介在されており、非通電時、プランジャ85aは、コイルスプリング85cのばね力で外方に向かって押し出されているが、通電時には、プランジャ85aは、コイルスプリング85cのばね力に抗してソレノイド85の本体側に引き込まれる。
また、プランジャ85aには、回転板86の係合片86bと係合する係合突起85bが設けられており、具材投入容器の非回転時には、プランジャ85aの係合突起85bは、回転板86の係合片86bと係合しており、回転板86の回転を阻止している。
前記第2コイルバネ87は、その一端が回転板86に支持し、その他端がギヤ支持具88に支持しており、具材投入容器の非回転時には、回転板86に回転力を付与する形態で支持される。即ち、回転板86の係合片86bがプランジャ85aの係合突起85bに当接する形態で支持される。
そのため、具材投入容器の反転時にソレノイド85がオンされると、プランジャ85aはソレノイド85の本体側に引かれるため、プランジャ85aの係合突起85bと、回転板86の係合片86bとの係合が解除される。
すると、回転板86と回転体ユニット822とは第2コイルバネ87のばね力により180度回転される。その結果、具材投入容器は反転する。なお、回転板86の係合片86bは、180度回転すると、ギヤボックス80内に設けられる図示しないストッパに当接して停止する。
次いで、前記回転板復位機構について説明する。回転板復位機構は、2組のギヤ支持具88、88、88、88と、2個の小歯車89、89と、2個の大歯車90、90と、1個の回転軸26aと、2個のレバー部材65、65とを有する。なお、複数の各部材はそれぞれ同形であり、1組のものを説明する。なお、回転軸26aとレバー部材65は、既に記載済みである。
前記ギヤ支持具88は、2個1組で、間に1個の小歯車89と1個の大歯車90とを介在させるもので、上部に水平部88aを有し、下部に垂直部88bを有する平面視細長の矩形状で、正面視T字状の部材であり、水平部88aには、その左右端部に上下方向に貫通するそれぞれ1個のビス穴88aaを有し、垂直部88bには、下方に下部軸穴88cを有し、上方に上部軸穴88dを有する(図11参照)。
そして、一方のギヤ支持具88を前方側に配置し、他方のギヤ支持具88を後方側に配置するとともに、それぞれのギヤ支持具88の2個のビス穴88aa、88aaに下方から図示しないビスを挿入し、そのビスをギヤボックス80の底面に螺合することにより取り付ける。
その際、前方側のギヤ支持具88と、後方側のギヤ支持具88との間には、下方に小歯車89が配置され、上方に大歯車90が配置される。
前記小歯車89は、径が小さい歯車で、その中央には、前方に突き出る前軸89aと、後方に突き出る断面円形状の後軸89bを有するとともに、前記前軸89aは、前半分が断面正方形状の前半軸89aaと、後半分が断面円形状の後半軸89abからなる。そして、前軸89aの後半軸89abは、前側のギヤ支持具88の下部軸穴88cに軸支され、後軸89bは、後側のギヤ支持具88の下部軸穴88cに軸支される。
なお、前軸89aの前半軸89aaは、前側のギヤ支持具88の下部軸穴88cから更に前方側に突き出るとともに、前記回転板86の後方側の中心部に形成される断面正方形状の図示しない軸受孔に嵌合し、小歯車89は回転板86とともに回転することになる。
前記大歯車90は、径が大きい歯車で、その中央には、前方に突き出る前軸90aと、後方に突き出る断面円形状の後軸90b(図14(A)参照)を有するとともに、前軸90aは、前側のギヤ支持具88の上部軸穴88dに軸支され、後軸90bは、後側のギヤ支持具88の上部軸穴88dに軸支される。そして、大歯車90は、2個のギヤ支持具88、88に配置されると下方の小歯車89と噛み合わされ、小歯車89と反対側に回動する。
また、大歯車90は、その略半分にしか歯が設けられておらず、残りの部分には、図11に示すように軸方向に直交する方向に接線状に突き出る舌状部材90cを有しており、この舌状部材90cは、具材投入容器の非回転時には、上方に位置する(図14(A)参照)が、具材投入容器の反転時には、下方に位置する(図14(C)参照)。そして、蓋体50の所定以上の開度により元の上方位置に復位する。
次に、上記具材投入容器反転機構及び上記回転板復位機構の動きについて図14に基づいて説明する。 即ち、ソレノイド85のオフ時(具材投入容器の非回転時)には、図14(A)に示すように、ソレノイド85のプランジャ85aは伸びており、プランジャ85aの係合突起85bと、回転板86の係合片86bとは係合しており、回転板86は、第2コイルバネ87のバネ力が付与された状態にある。
そして、ソレノイド85がオンすると、図14(B)(具材投入容器の回転途中時)に示すように、ソレノイド85のプランジャ85aが後退し、プランジャ85aの係合突起85bと、回転板86の係合片86bとの係合が外れるため、第2コイルバネ87が戻ろうとするバネ力により回転板86を回転する。
すると、上記したように回転板86と小歯車89とは一体化されているため、小歯車89も回転するとともに、小歯車89に係合する大歯車90も回転する。そして、大歯車90に一体の舌状部材90cも図14(A)の最上位置より下がる。
図14(C)は、具材投入容器の反転時であり、回転板86は180度回転し、係合片86bは反対側になり、舌状部材90cは最下位置になり、第2コイルバネ87のバネ力は最小になってその状態が維持される。そして、所定時間経過すると、ソレノイド85はオフし、図14(A)の状態になる。
その後、パンが焼き上がって蓋体50が開蓋されると、舌状部材90cが元の上方位置に強制的に戻され、その結果、回転板86が元の位置に戻る復位が行われることになる。その動きを図15の蓋体50が略45度開蓋した図と、図16の蓋体50が全開した図を用いて説明する。
即ち、パンが焼き上がっていない蓋体50の閉蓋時には、レバー部材65は、図15の破線で示すようにその先端が最下方位置の傾斜状態にあり、舌状部材90cが図15の実線の位置にあるが、蓋体50が略45度開蓋する図15の状態では、回転軸26aの回転によりレバー部材65が図15の実線位置になり、舌状部材90cに当接する(図14(C)の破線のレバー部材65参照)。
そして、蓋体50が全開すると、レバー部材65の先端は、舌状部材90cを最上位置に押し上げて図16の状態にする。すると、舌状部材90cの回動は、大歯車90、小歯車89を介して回転板86に伝わり、回転板86は、第2コイルバネ87を圧縮しながら180度回転して元の具材投入容器の非回転の状態に戻る(図14(A)参照)。
その際、元の状態に戻る直前に、回転板86の係合片86bは、プランジャ85a先端の係合突起85bをコイルスプリング85cの力に抗して押し込み且つ係合突起85bを乗り越えて元の状態に復位する。
すると、プランジャ85aは、コイルスプリング85cのばね力により元の位置に戻り、係合突起85bは、回転板86の係合片86bに係合し、回転板86の再度の回転を阻止する。その結果、具材投入容器は、最初の非回転時の状態が維持される。
なお、上記した動きは、回転板86の係合片86bと、プランジャ85aの係合突起85bとは、図14に示すように、それぞれの係合面が直線で、反対側の面が円弧状であるため奏されることになる。
次に、蓋体50の開蓋時に、蓋体50とともに具材投入容器が上動する動作について説明する。なお、大容量具材投入容器71と小容量具材投入容器75とは、同時に上動する。以下においては大容量具材投入容器71の右前支持軸72と、その軸に係合する右前側フック59との係合を図12に基づいて説明するが、その他の支持軸とフックとの係合(即ち、右前半部73aと右後側フック61、左前支持軸76と左前側フック60、左前半部77aと左後側フック62)は同じであるため説明は省略する。
まず、図12(A)は、大容量具材投入容器71の非回転状態時であり、右前支持軸72の上端は右前側フック59の傾斜部59cの下端に当接している。
そして、ソレノイド85がオンして回転板86が回動すると、大容量具材投入容器71は回動する。そして、大容量具材投入容器71が略135度回転すると図12(B)の状態、即ち、右前支持軸72の下部に垂下する右前平板状リブ72aは、図のような位置になり、右前側フック59の先端部59dの一部が右前開口72b内に入り込む。
次いで大容量具材投入容器71が180度回転すると図12(C)の状態、即ち、右前支持軸72の下部に垂下する右前平板状リブ72aは、右前側フック59の傾斜部59cの上方に位置し、傾斜部59cは右前開口72b内に完全に入り込む。そして、蓋体50が開蓋するまでこのままの状態が維持される。
蓋体50が開蓋された状態を図12(D)及び(E)に示す。蓋体50が開蓋されると図12(D)に上向きの矢印で示すように、右前側フック59は上動する。すると傾斜部59cの上面は、右前開口72bの上端の内周面に当接し、更に蓋体50が開蓋すると、右前開口72bの上端の内周面は、反時計方向に回転する矢印で示すように傾斜部59cの上面に沿って凹溝59e方向に滑り、最終的に図12(E)で示すように、右前開口72bの上端の内周面は、凹溝59e内に落ち込む。
その結果、蓋体50が更に開蓋すると、大容量具材投入容器71は、図15に示すように蓋体50に支持される状態で上動する。上動時、大容量具材投入容器71の右前開口72b及び右後開口73abは、右前側フック59の凹溝59e及び右後側フック61の凹溝61eに落ち込んでいるため、大容量具材投入容器71は、安定且つ容易に上動する。その結果、蓋体50を開蓋することにより、調理容器24内の焼き上がりのパンを大容量具材投入容器71の落下を心配することなく安心して直接確認することができるようになる。
具材投入容器と蓋体50との係合は上記したとおりである。そのため、蓋体50の開蓋時での具材投入容器の取り出しは、上記した動きと逆の動作で取り外すことができるため、その取り外しを容易にすることができる。
また、上記したように、具材投入容器には、従来のように蓋等がないため、部品点数を低減することができるとともに、1アクションでの具材投入が可能になり、その分具材の投入を容易にすることができ、更には、具材投入容器は、長方形の皿状のもので全体がシンプルであるため、高齢者でも容易に取り扱うことができるようになる。
本願発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。