以下、この出願の発明の実施の形態に係るホームベーカリーの構成および作用について、詳細に説明する。
図1〜図20は、この出願の発明の実施の形態に係るホームベーカリーの全体及び各部の構成を示している。
この実施の形態のホームベーカリーでは、例えば図1〜図5に示されるように、
基本的な構成部分として、外壁部および筐体部を構成する有底筒状の外ケース1と、該外ケース1内にあって該外ケース1との間に所定の空間を保って支持固定され、内壁部および焼成室を構成する有底筒状の保護枠(特許請求の範囲中の内ケースに該当する)2とからなるベーカリー本体Aと、該ベーカリー本体Aの上端側開口縁部後端にヒンジ機構(枢着軸)16を介して後端を枢着され、閉状態においては当該ベーカリー本体Aの上端側開口部を覆う一方、開状態においては当該ベーカリー本体Aの開口部を上方側に開放する上下方向に開閉可能な蓋体Bとの2つの部分から構成されている。
そして、外ケース1は、例えば上下方向に延びる断面略方形の筒状の側壁部1aと、該側壁部1aの平面略方形の底部側開口面にあって外ケース1の底部を構成する平面略方形の底壁部1bと、上記側壁部1aの上端側開口縁部内側にあって、同開口縁部と上記保護枠2の上端側開口縁部とを連結一体化し、上記ベーカリー本体Aの上端側開口縁部を形成する肩部材1cとから構成されている。この実施形態の場合、これら側壁部1a、底壁部1b、肩部材1cは、それぞれ一例として合成樹脂材により構成されている。また、この実施の形態の場合、例えば側壁部1aおよび底壁部1bは一体成形により形成されている。また、外ケース1a中央部上端の左右両側には、携帯用の取っ手13の左右一対の基端部が枢着されている。
一方、上記ベーカリー本体Aの内壁部および焼成室を形成する保護枠2は、合成樹脂材により成型された有底筒状の第1の保護枠(下部部材)21と、該第1の保護枠21の上端側開口部21cの水平方向への拡大縁部21d上に同軸状態で連結一体化された金属板よりなる筒状の第2の保護枠(上部部材)22とからなり、それぞれその側壁部21a、22aの断面形状および第1の保護枠21の底壁部21bの平面形状は共に略方形を成し、上記前後方向に少し長い外ケース1の筒状の側壁部1a内にあって、その中心部より所定寸法後方側に偏倚して設けられており、その前方側外ケース1の側壁部1aとの間に所定のスペースの空間部を形成する状態で、上記外ケース1の底壁部1b上に後述するパン羽根駆動用の回転駆動機構10を介して水平に支持固定されている。回転駆動機構10は、所定の筐体Q内に確実に固定して設けられており、上記第1の保護枠21は、その底部側複数本の脚部21g、21g・・を同筐体Q上部の対応する連結部に連結することにより、正確に位置決めした上で固定されている。
この第1の保護枠21の側壁部21aと上記第2の保護枠22の側壁部22aを合わせた側壁部の高さは、例えば図2、図3に示すように、上記外ケース1の底壁部1b上に支持固定された状態において、ほぼ上記外ケース1の側壁部1aの高さになるように形成されており、同状態において、第2の保護枠22の側壁部22a上端と外ケース1の側壁部1a上端との間に上述した肩部材1cが介装され、該肩部材1cを介して第2の保護枠22の側壁部22a上端と外ケース1の側壁部1a上端とが周方向の全体に亘って連結一体化されて、ベーカリー本体Aの開口縁部が形成されている。
肩部材1cは、例えば図5および図6に示されるように、上記ベーカリー本体Aの開口縁部を形成する肩枠部51aと、上記第2の保護枠22の側壁部22aと外ケース1の側壁部1aとの間に挿入される側壁部51bと、後端側ヒンジブラケット51eと、前端側操作パネル設置台51cとから構成されている。側壁部51bは、その前部側と後部側が部分的に下方に長く延び、その延設端51f、51f・・部分を、上記下部側第1の保護枠21の拡大縁部21d上の所定の連結部に連結して支持固定されている。また、肩枠部51a後端のヒンジブラケット部51eは、その上端部にヒンジ軸枢支部を有する一方、下端部に上述した取っ手13の支持片を有して構成されている。さらに、肩枠部51aの前端には、図1〜図3のように組みつけられた時に、後述する操作パネル11側とベーカリー本体Aの開口部側とを仕切る仕切り壁51dが設けられている。
この実施の形態の場合、上記肩枠部51aは上下方向に所定の幅を有し、後に詳述する具材等投入装置60A、60Bの有効な収納空間を形成している(例えば図16の構成を参照)。
ところで、ベーカリー本体A前部の上記外ケース1の側壁部1a上端と第2の保護枠22の側壁部22a上端との間は、前後方向および上下方向に所定スペース以上広く開放されており、この開放スペース部分を利用して、例えば図1〜図3に示すように、上記肩部材1c前端側の平面視半月状の操作パネル設置台51cが介装され、同操作パネル設置台51cの上部に操作パネル11および操作基板12が上下に位置して設けられている。
操作パネル11には、中央部の液晶ディスプレイ11aを囲む形で、右側にスタートスイッチ11b、取消スイッチ11c、左側にメニュー選択スイッチ11d、焼色スイッチ11e、ミックススイッチ11f、中央部側に予約スイッチ11g、タイマー設定用の時・分スイッチ11hがそれぞれ設けられている。
これら各スイッチの操作設定状態は、その下部側にある操作基板12上の図示しないマイコン制御ユニットに入力され、やがて上記スタートスイッチ11bがON操作されると、それに対応して、上記メニュー選択スイッチ11d等により選択設定された所望のメニューのパンの焼き上げ制御が開始される。
さらに、上記保護枠2の断面略方形の第1の保護枠21の側壁部21aの外周(具体的には、上下方向略中間位置よりも若干下方の位置)には、同側壁部21aの周方向の全体に亘って延びる同じく断面略方形で上下方向に所定の幅の帯状のコイルボビン(ワークコイル券成用合成樹脂成形部材)5が設けられており、該コイルボビン5を介して上記第1の保護枠21の側壁部21a外周にワークコイル6が設置されている。
このワークコイル6が券成されたコイルボビン5は、例えば図6に示されるように、上記第1の保護枠21とは全く別体に構成されており、例えば図7に示すワークコイル6側の内部にフェライトコア7を嵌装したコイル台8により、上記第1の保護枠21の側壁部21aの外周面(前後左右4つの側面の中央)に対して固定されるようになっている。
すなわち、この実施形態におけるコイル台8は、例えば図7に示されるように、上記コイルボビン5の上下方向の幅よりも所定寸法上下に長く、かつ左右方向の幅が小さいボックス構造に形成され、その内側に上記フェライトコア7を嵌め込んで収納している一方、上記第1の保護枠21の例えば前後左右各側壁面部(平面部)の幅方向中央部に位置して設けられており、その上端側にあって外方側に向けて部分的に所定幅突出した取付部8aを上記第1の保護枠21の上端側開口部21cの水平方向外方に向けて所定幅以上に大きく拡大された平面視方形の拡大縁部21dの下面側に設けられたコイル台取付用ボス部21eの上下方向に延びる螺合溝部に下方側からネジ14、14・・介して螺合締結して固定されている。
また、コイルボビン5には、上下方向に所定の幅を有するワークコイル券成面部5aの上下両端側に位置して所定の高さコイル台8側に突出するリブ(凸部)5b、5bが設けられており、他方コイル台8内側の対向する上下両端部分には同リブ5b、5bの下方側に係合して、コイルボビン5を係止する係合部(凸部)8b、8bが設けられている。したがって、コイル台8を上記第1の保護枠21の拡大縁部21d下面のコイル台取付用ボス部21eに螺合締結した時には、上記コイル台8の係合部8b、8bがコイルボビン5のリブ5b、5b部分に係合して、確実にコイルボビン5を係合固定すると共に、同係合部8b、8bの内の上部側のもの8bの下端側部分的な凸部が、さらにワークコイル6の上端部分を押えて固定するようになる。
これにより、上記コイルボビン5のワークコイル券成面部5aの上下幅一杯に均一に巻かれたワークコイル(リッツ線)6が、適正なギャップと位置関係をもって確実に第1の保護枠21の側壁部21a外周面に対して固定され、同第1の保護枠21内側のパンケース収納室(下部側焼成室)Xに収納セットされたパンケース3に対しても適正なギャップと位置関係をもって対応することになる。その結果、パンケース3全体の均一な電磁誘導加熱が可能となる。
また、同構成では、第1の保護枠21(保護枠2)の側壁部21aに対して、ワークコイル6を設置するに際して、予め、上記第1の保護枠21とは別体の構造である(第1の保護枠21に嵌装される前の)コイルボビン5にワークコイル6を巻きつけて、コイルボビン5およびワークコイル6が一体の独立したワークコイルユニットを形成しておき、組付け時に、それを上記第1の保護枠21の側壁部21aの略中間部より下方の所定の位置に下方側から嵌装し、拡大縁部21dの下面側から下方に延びる周方向に複数本配設されたリブ21f、21f・・の下端で位置決めし、その後、コイル台8により上記第1の保護枠21の側壁部21a外周面に固定するだけで、上述のように正確に位置決めした状態で固定することができる。したがって、その取り付けは極めて容易である。
また、符号9は、例えばアルミ金属材料よりなる断面略方形の形状の帯状の磁気遮蔽板であり、上記ワークコイル6及びコイルボビン5の外周を覆うに十分な上下幅を有して断面略方形の環状帯に構成されている。そして、その前後左右各平面部の幅方向中間部の上縁部9aには、同上縁部9aの一部を内側に折り曲げることにより上記第1の保護枠21のコイル台取付用ボス部21eにコイル台8の取り付け部8aとともに重合して締結固定されるネジ穴つきの取り付け用フランジ9bを有し、コイル台8(4本)と共に第1の保護枠21の拡大縁部21dの下面部に取り付けられている。
そして、それによって、励磁状態における上記ワークコイル6からの磁束が周囲に漏れるのを防止している。
したがって、この実施の形態の場合、電磁誘導加熱手段であるワークコイル6、その磁束収束手段であるフェライトコア7(4本)、ワークコイル6からの磁気の遮蔽手段である磁気遮蔽板9等の設置が、実質的に第1の保護枠21に対するコイル台8(4本)の取り付けのみによって容易に実現できることになり、電磁誘導加熱手段部分の構成、組みつけが非常に簡単になる。
また、図7に示すように、コイル台8そのものも、ストレートな左右一対の側壁部間の細長いフェライトコア挿入空間8c部分に上方側からストレートな角棒構造のフェライト7を挿入固定するだけで、フェライトコア7を収納一体化することができるようになるので、その本体構造が著しく小型化され、また金型代も大幅に低下する。
さらに、コイル台8の上部側係合部8bの下端側凸部でワークコイル6を押えることもできるので、ワークコイル6自体の固定状態も安定する。
また、上記の構成では、パンケース3の発熱によって一定程度の高温になる第1の保護枠21側からの熱が所定の厚さを有するコイルボビン5によって断熱され、直接ワークコイル6に伝わるのを防止できるとともに、さらにコイルボビン5と第1の保護枠21の側壁面との間に所定の隙間を形成している。したがって、同隙間により保護枠2側からの熱がコイルボビン5およびワークコイル6に直接伝わることがないだけでなく、同隙間を後述する冷却ファン20からの風が通るようになるので、よりワークコイル6の冷却性能が向上する。
このコイルボビン5と第1の保護枠21の側壁面21aとの間の隙間は、例えば第1の保護枠21の側壁部21aの上部にあって、上記水平方向に張出された拡大縁部21dの下面部から下方に延びる上記コイルボビン5の位置決め機能を有した複数本のリブ21f,21f・・の一部(4面のもの)を下方に延ばし、それらの上にコイルボビン5を嵌装することなどによって容易に実現される。
また、上記のように第1の保護枠21(保護枠2)と別体のコイルボビン5に予めワークコイル6を巻いて第1の保護枠21(保護枠2)から独立したワークコイルユニットとし、該第1の保護枠21(保護枠2)から独立したワークコイルユニットとを最終的に第1の保護枠21(保護枠2)に組み付けるようにすると、通常想定される第1の保護枠21自体に直接巻装する構成の場合に比べて、保護枠がないためにワークコイルユニットが遥かに小さなものとなる。
したがって、例えば部品納入業者などは、一つの納入カートンに多くのワークコイルユニットを収納して完成品メーカーに納入することができ、納入時の運送コスト、部品の供給効率を大きく向上させることができる。
ホームベーカリーの場合、上記の説明からも分かるように、一般に皿状の構造である電気炊飯器の保護枠などの場合に比べても、保護枠2の上下方向の寸法が大きい。したがって、保護枠2自体に直接ワークコイル6を券装する構成を採用すると、一つの納入カートンに収納できる個数が限られたものとなり、運送コストが高くつく。上述の構成では、そのような問題も確実に解決することができる。
さらに、以上のような構成の第1の保護枠21の上端側拡大縁部21dの上部には、上述のように当該第1の保護枠21と同軸状態で一体に筒状に連結される形で断面略方形のステンレス等の金属板よりなる第2の保護枠22が設けられており、それによって上記第1の保護枠21内のパンケース収納室Xに収納セットされたパンケース3の開口部3cの上方に高さおよび直径を含めて十分に広いパン膨出空間(上部側焼成室)Yを形成しており、同第2の保護枠22の側壁部22aの外周には、パン焼き上げ工程の進行に応じてパンケース3の開口部3cから上方に膨出したパンの上方部分を加熱するための電気ヒーター(ヒータ線)Hが設けられている。
この結果、同構成によれば、上記第1の保護枠21内のパンケース収納室Xに収納セットされたパンケース3は、上記電磁誘導加熱手段であるワークコイル6の電磁誘導加熱により、その全体が均一に効率良く加熱されるとともに、同パンケース3上方の十分に広いパン膨出空間Yは、上記金属製の第2の保護枠22を介した電気ヒータHからの放射熱により効率よく加熱されるようになる。
したがって、パンケース3上方のパン膨出空間Y部にふっくらと膨出したパンP(図3の仮想線参照)の外周面全体に電気ヒータHからの放射熱が直接作用し、同放射熱により均一かつ有効に焼き上げられるようになり、効果的な焼き色をつけることができる。
なお、この場合において、さらに後述するように、電装品等冷却用のファン20からの風を上記第1の保護枠21内に導入するようにし、同冷却風によって、十分過ぎる発熱量があり、かつパンケース3の外周面から外方に無駄に放射されている渦電流による発熱量を回収し、それを下方から上方に向けて熱風の形で効率よく供給するようにすることもできる。
そのようにすると、同熱風によって上記パンケース3上方部の加熱効率をさらに大きく向上させることも可能となる。
この場合、同じく焼成室内下方からの高温の空気を上方部の加熱に利用するとは言っても、先に述べた特許文献1〜3のような、1本の環状ヒータからの熱を、単なる自然対流のみで上方に供給する場合とは異なり、熱風の温度は遥かに高いので、その加熱効率も遥かに高い。
なお、この場合、上記パンケース3の高さは、その開口部3c部分が上記第1の保護枠21の拡大縁部21dよりも少し高く位置する程度の高さに構成されている。
また、上記第1の保護枠21の底部中央には、下方側に開口突出した筒状の開口部(凹溝部)37が設けられており、該開口部37が上記外ケース1の底壁部1b上に設けられている回転機構駆動10最終段の回転軸10e部分に臨まされている。この回転軸10eには、その上端側に平面視S字形の回転係合部材38が取り付けられており、同回転係合部材38両端の係合片38a,38a部分に、パンケース3底部のパン羽根取付軸36下端側の直交方向の係合部材36aの両端側係合部が係合してパン羽根取付軸36に回転駆動機構10側からの回転力が伝達されるようになっている。
パンケース3のパン羽根取付軸36は、当該パンケース3の底部3bの中央にあって、軸受け部35aおよびシール部35bを介して上下方向に貫通しており、その上端側にパン羽根(図示省略)が着脱可能な形で取り付けられるようになっている一方、下端側に上記係合部材36aが直交状態で取り付けられている。また、パンケース3の底部裏面側には、上記第1の保護枠21底部の筒状の開口部(凹溝部)37の内側に嵌り合う筒状部(連結用スリーブ)3hが下方に突出して設けられており、パンケース3は同筒状部3hを上記第1の保護枠21の筒状の開口部(受け溝)37に嵌め合わせることによって収納セットされるようになっている。
この場合、パンケース3の筒状部3h外周面には、例えば図14および図15に示されるように、90°間隔で周方向に4つの縦長の凸条部39a、39a・・が、他方第1の保護枠21側筒状の開口部37の内周面には、例えば図11に示されるように、同じく周方向に90°間隔で上記パンケース3側筒状部3hの凸条部39a、39a・・が嵌め合わされる同じく縦長の4つの凹条部37a、37a・・が、それぞれ設けられており、それらの係合によって上記第1の保護枠21のパンケース収納室X内に収納セットされたパンケース3の下部側がパン羽根回転方向に確実に固定されるようになっている。
また、他方、上記第1の保護枠21の開口部21c部分には、そのアール面部よりも少し下方に位置して、例えば所定の高さ内方に突出するゴム製の保護枠固定部材80、80・・が設けられている。この保護枠固定部材80、80・・は、上記断面略方形の第1の保護枠21開口部の前後左右各側壁面の内側から見た面の中央部よりも左側に寄った部分(回転時の移動振幅が最も大きく、回転時に最も大きな当接方向の押圧力が作用する部分)に位置して設けられており、それによって、例えば図11の平面視状態で右方向に回転するパン羽根(パン羽根取付軸36)の回転力の影響によるパンケース3の右方向への回転力を効果的に受け止め、より確実な形で、しかも振動させることなくパンケース3本体を正確な収納位置に固定するようになっている。
したがって、これによりパンケース3は、上下両端側で確実に水平方向に固定されることになる。この結果、上述したワークコイル6とパンケース3との電磁的な誘導ギャップも常に適正な寸法に維持されるようになる。この結果、常にパンケース3の全体を均一に電磁誘導加熱することができ、より信頼性の高い電磁誘導加熱方式のホームベーカリーを提供することができることになる。
一方、このようにしてパンケース3は、水平方向に確実に固定されるが、他方収納セット時において、上方から下方に確実に収納セットされる必要があるとともに、上下方向にも、振動することなく、確実に固定されることが必要である。
そこで、この実施の形態では、例えば図11〜図13に示されるように、上記パンケース3の開口部3cにおける取っ手3dの取付縁部3g、3g(カバー部3f、3f)の下部側に、断面くの字形状の凸状の板バネ70aを備えた第1の係合部材70を設ける一方、上記第1の保護枠21の対応する開口部21cの上端に、上記凸状の板バネ70a(そのくの字状の突部)が弾性的に係合する断面くの字形状の凹状の板バネ40aを備えた第2の係合部材40を設けて構成されており、これら第1、第2の係合部材70、40相互の図12および図13に示すような係合により、パンケース3が第1の保護枠21内に確実に収納セットされるようにするとともに、同収納セットされた状態では、確実に上下方向の動きが規制されて確実に固定されるようにしている。
この場合、上記第1の係合部材70は、上記パンケース3の取っ手取付縁部3g,3gの下部側に固定され、その内側に凸状の板バネ70aを内装した板バネケース71と、該板バネケース71内に位置して、その上端側を固定部材(ビスネジ)72によって当該板バネケース71の上壁部とともに上記パンケース3の取っ手取付縁部3g、3gの下面側に締結固定され、当該板バネケース71の側面側の開口71aより、係合用の凸状部(くの字部)を外方に突出させた凸状の板バネ70aにより構成されている。また、第2の係合部材40は、上記第1の保護枠21の開口部21cの上端部に形成した板バネ支持部材21hと、該板バネ支持部材21h部分に支持固定された凹状の係合部(くの字部)を有する凹状の板バネ40aとからなっている。
このような構成によると、パンケース3を第1の保護枠21内のパンケース収納室Xに上方側からから挿入して収納するときに、上記パンケース3下端側の筒状部3hと第1の保護枠21底部の筒状の開口部37とが適正に嵌り合い、適切な周方向位置、適切な上下方向高さに収納セットされると、上記第1の係合部材70の凸状の板バネ70a部分が板バネケース71内への弾性変形を伴いながら、最終的に第2の係合部材40の凹状の板バネ40a部分に係合し、確実に係合した時点で「パチン」と音がして収納される。
したがって、同収納音の発生により、パンケース3の適正、かつ確実な収納セットが行なわれたことが判断される。また、同収納セット状態における上下方向の位置が固定される。
この結果、従来のホームベーカリーのように、パンケースを所定の角度、周方向反対側にひねった状態で挿入し、挿入後所定角戻してヘリコイド係合させるような複雑な収納方法をとる必要も無くなる。
さらに、この実施形態の場合、上記第1の保護枠21下部の4隅コーナー部の一角(第1の保護枠21自身から見て前部左側のコーナー部/換言すると、向かって右側のコーナー部)には、その前面側から左側面側までの所定の幅に亘って、当該第1の保護枠21内に後述する冷却ファン20からの冷却空気を対角線方向(図10の矢印参照)に導入するためのグリル構造の空気導入口15が形成されている。
そして、このように構成された第1の保護枠21内に、上述のように、底部にパン羽根が取り付けられるパン羽根取付軸36を備えたパンケース3が取り出し可能な状態で収納セットされている。そして、この収納セット状態では、上述したパン羽根取付軸36の下方に設けた直交方向の係合部材36a、最終段の回転軸10eに固定されたS字形の回転係合部材38を介して後述する回転駆動機構10側からの回転駆動力が伝達され、それによってパン羽根が回転し、パンケース3内のパン生地を捏ねる作業が行なわれる。なお、パンケース3の内周面には、捏ね工程においてパン生地に係合力を作用させる凸状部3e、3eが設けられている。
上記パン羽根取付軸36に回転力を伝達する回転駆動機構10は、例えば次のように構成されている。すなわち、例えば図3および図4に示すように、駆動源であるモータMの出力軸10aの回転を駆動側プーリー10b、ベルト10c、従動側プーリー10dを介して上述した最終段の回転軸10eに伝達し、該最終段の回転軸10eにより上記S字形の回転係合部材38を回転させる。
他方、図2、図4、図8〜図10において、符号25は、当該ホームベーカリーにおけるパン製造工程を制御する制御プログラムを実行する制御基板であり、上述した外ケース1の前面側側壁部1aと保護枠2の前面部との間の空間部に位置し、かつ保護枠2の前面側に平行に隣接して上下方向に立設された制御基板カバー27の前面側(外ケース側)に取り付けられている。この制御基板25の外ケース1側部品取り付け面上には、上記ワークコイル6の駆動を行なうIGBT(パワートランジスタ)28、同IGBT28の放熱を行うヒートシンク29等の発熱部品が設けられている。この制御基板25および制御基板カバー27は、断面略方形の形状を成す上記保護枠2の前面部側にあって、その一側端(図示左側端)が上記断面略方形の形状の保護枠2の左側面部位置となるような位置関係で設けられている。
そして、これら制御基板25および制御基板カバー27と保護枠2の下部(特に下部側第1の保護枠21の下部)の前面部および左側面部間のコーナー部に形成された上述の空気導入口15の各々に共通に対応して、例えば図2、図3、図8〜図10に示すような位置関係で、それらの左側面側に所定の間隔を置いて、それらの略全体をカバーすることができるファン径の冷却ファン20が、その吹出し軸中心を制御基板カバー27と保護枠2前面部との間の空間部分に向けた状態で平行に設置されている。そして、例えば外ケース1の左側面側側壁部のファン吸込み軸に対応する部分に設けた外気吸入口から吸い込んだ外気をファン羽根車20bにより前方に吹き出し、上記対応する所要部分に吹き付けるようになっている。
一方、上記制御基板カバー27のファン端部側には、保護枠2側に位置して、上記冷却ファン20の空気吹き出し口20aから吹き出される冷却風を、その風向を変えて上述したワークコイル6側に供給する第1の冷却風ガイド31と、上述した第2の保護枠21の空気導入口15側に供給する第2の冷却風ガイド32とが、上下に分けて設けられている。
この結果、上記冷却ファン20の空気吹出口20aから吹出された冷却風は、その左側領域部分の風が上記制御基板25および制御基板25上のIGBT28、ヒートシンク29等を、また中央部左側領域の風が制御基板25の裏面側を、中央部領域および中央部領域から右側の広領域の風が上部側ではワークコイル6の前面側から右側面側、左側面側から背面側に、また下部側では上記第1の保護枠21の前面部側と左側面部側とのコーナー部にある第1の保護枠21内パンケース収納室Xへの空気導入口15部分に効率よく供給されるようになり、1台の冷却ファン20で上記各部に十分な風量の冷却風を供給できるようになる。
この実施形態のようなホームベーカリーの場合、電気炊飯器などと異なって、上記パンケース3内にパン生地を入れて捏ねる「捏ね工程」では、たんぱく質の良好なグルテン化を図るためにパンケース3を冷却する必要があり(グルテン化に有効な適温は10〜20℃のため)、また「焼き工程」では、誘導加熱されたパンケース3の熱が外部に逃げないように、第1の保護枠内21内に導入した空気を断熱材としてパンケース3の全体を包むとともに、パンケース3外周の放射熱を吸収して昇温し高温になった空気(熱風)でパンケース3の全体およびパンケース3上方のパン膨出空間Y部分を均一に加熱することによって、「焼き工程途中」のパンケース3内はもちろん、「焼き工程最後」のパンケース3から上方に膨出したパン生地部分をも十分に加熱し、有効な焼き色をつける。その結果、熱効率が向上し、省エネ効果も得られる。
また、冷却風によって保護枠2との間の空間部分が断熱され、保護枠2自体の温度上昇も小さくて済むようになるので、ワークコイル6の耐久性も向上する。
次に、上述のように外ケース1の側壁部1aおよび第2の保護枠22を肩部材1cを介して連結一体化した構成のベーカリー本体Aの開口部には、上述のように蓋体Bが上下方向に開閉可能にヒンジ機構(枢着軸)16を介して後端側で枢着されている。
この蓋体Bは、例えば図2、図3、図14〜図16に示されるように、上部外装面を形成する合成樹脂製の外カバー18と、その内側天井面を形成する合成樹脂製の内カバー19とからなり、それらの端部18a、19a,18b、19b同士を相互に接合一体化し、それらの間に所定断面積の断熱空間15を形成して構成されている。そして、その外カバー18の後端側中央部分には、例えば蒸気排出口Sが設けられており、上記内カバー19側から蒸気排出通路18cを通して焼成室であるパン膨出空間Y内の蒸気(ガス)が適宜排出されるようになっている。
また、上記内カバー19の下面側には、例えば上述した電気ヒータHからの放射熱を反射する金属製の熱反射面(例えば熱反射率の高い金属板よりなる熱反射面)19cが設けられている。そして、それにより、上記金属板よりなる第2の保護枠22を介してパン膨出空間Yに放射される電気ヒータHからの上方への放射熱が同熱反射面19cで効果的に下方側に反射されて、上述のようにパンケース3の開口部3cから上方に膨出したパンPの上面に効果的に作用するようになる。この結果、同パン膨出部(図3を参照)の焼き上がりも良好になり、適度な焼き色が形成される。
さらに、上記パンケース3の開口部3cの上方に対応する上記熱反射面19cの内側(蓋体Bの裏面側)には、例えば下方側(パンケース3の開口部3c側)に2段階で開放可能となった具材収納ケース61を有する具材投入装置60Aとイースト菌投入装置60Bが左右に並んで設けられている(例えば図1の平面図における破線部を参照)。
これら具材投入装置60Aおよびイースト菌投入装置60B各々の収納ケース61、66前面側(操作パネル11側)には、それら各収納ケース61、66の下面側に設けた投入用の蓋体を開放するための蓋開放ボタン63、67が設けられている。一方、上記ベーカリー本体Aの肩部材1cの上記操作パネル設置台51cの例えば裏面側には、それら各蓋開放ボタン63、67に対応してそれら各蓋開放ボタン63,67を電気的に押圧操作する電磁プランジャ(電磁ソレノイド)SL1、SL2が設けられており、同電磁プランジャSL1、SL2のプランジャロッドR1、R2の先端が上記肩部材1cの肩枠部51aに設けた開口部(プランジャロッド伸縮孔)から所定の長さ突出するようにその先端部を臨まされている(例えば図1、図11、図16の構成を参照)。
そして、例えば上述した操作基板12側の図示しないマイコン制御ユニットが、イースト菌投入時期になったと判断すると、上記電磁プランジャSL2のプランジャロッドR2を突出方向に作動させて、対応するイースト菌投入装置60Bの蓋開放ボタン67を押してイースト菌投入用の蓋体を開放する一方、さらに具材投入時期になったと判断すると、他方上記電磁プランジャSL1のプランジャロッドR1を突出方向に作動させて、対応する上記具材投入装置60Aの蓋開放ボタン63を押して具材投入用の蓋体である後述する底板62を開放する。
この場合、上記具材投入装置60Aの具材投入用の底板62は、例えば図14に示すように、上記電磁プランジャSL1による最初の蓋開放ボタン押圧動作で第1のケース開状態θ1まで開放され、同状態を所定時間維持することによって、所定の時間をかけて確実に具材をパンケース3中に投入する。その後、同所定時間が経過すると、例えば図15に示すように、やがて焼き上げられて上方に膨らんで来るパンPの膨出部と干渉しない第2のケース開状態θ2まで開放されるようになっている。つまり、第1(図14)、第2(図15)の2段階の底板開放動作を経て最大開放位置まで開放されるようになっている。
すなわち、この実施の形態の場合、上記具材投入装置60Aの具材収納ケース61は、例えば図16〜図20に示すように、上記図14、図15の取り付け時の状態を基準として見た場合において、収納ケース本体の下面側にあって収納ケース61内(具材収納空間Z1)に収納されている所定の具材を下方に放出する具材投入口61e(具材収納空間Z1に対応して形成)と、該具材投入口61eを開閉する具材投入用の蓋体である底板62と、収納ケース本体の前部側壁部61bにあって上記底板62の開閉状態を操作する上述の蓋開放ボタン63と、同じく収納ケース本体の前部側壁部61bにあって外側突出方向への付勢手段(バネ部材)を介して突没可能に設けられていて、後述する蓋体B裏面側の第2の収納ケース係止片61gに所定の押圧弾性を伴って係合する収納ケース係合部材(凸状部材)61fと、同じく収納ケース本体の前面側壁部61bにあって、上記収納ケース係合部材61fと同じ付勢手段(バネ部材)を介して突没可能に設けられているとともに、その付勢力に抗して反突出方向(没入方向)に手動で押圧操作することによって上記収納ケース係合部材61fを上記収納ケース内側(後述する機構空間Z2内)に没入させ、上記蓋体B側の上記第2の収納ケース係止片61gとの係合状態を解除する係合解除ボタン61hと、収納ケース本体の後部側壁部61c上端にあって、後述する蓋体B裏面側の第1の収納ケース係止片61dを挿入係合する収納ケース係合溝61iと、収納ケース本体の内側前部にあって、収納ケース本体内を容積の大きな具材収納空間Z1と容積の小さな機構空間Z2との2つの空間に仕切る仕切壁61kと、該仕切壁61kの上記機構空間Z2側下部付近にあって、当該仕切壁61kの下部に具材収納空間Z1側に連通して設けられている底板係合口61l内に先端側係合部を進入または後退可能(図16中の矢印参照)に臨ませて支持されており、その先端側係合部(係合用の凸部)が上記仕切壁61kの底板係合口61l内に進入した図16の状態では、同係合部で上記具材収納空間Z1側の上記底板62の側壁部に設けられている係合溝62c内に係合して上記底板62を水平な閉状態に維持する底板係合部材61jとを備えて構成されている。
この実施の形態の場合、例えば上記収納ケース係合部材61fと係合解除部材61hとは、上記機構空間Z2側で相互に一体に連結されており(一例として、断面コの字状の一体部材で形成)、図示はしないが共通の外方への付勢力を与える付勢手段で付勢されている。したがって、上記係合解除部材61hを収納ケース内側(機構空間Z2側)に押すと、上記収納ケース係合部材61fも同様に収納ケース内側に没入する(図16、図20中の矢印による動きを参照)。これにより、必要に応じて、後述する蓋体B側第2の収納ケース係止片61gとの係合を自由に解除し、具材収納ケース61を蓋体Bの裏面から取り外すことができる。
また、上記底板係合部材61jも、常時図16の進入方向(底板62の係合溝62cと係合する方向)への付勢力を受けているが、後述するように、上記電磁プランジャSL1により上記蓋開放ボタン63が一旦収納ケース内方(機構空間Z1側)に押圧されると、同蓋開放ボタン63の収納ケース内方への移動に連係して、例えば図示しないレバー片を介して逆方向(外方)に後退せしめられ、上記底板62の係合溝62cとの係合が解除され、底板62の所定のバネ力を利用した下方への開放(回動)が可能となる。
蓋体Bの裏面側熱反射面19cには、例えば図16、図19、図20に示すように、上述した具材収納ケース61側収納ケース本体の後部側壁部61cの上端に設けられた所定の深さの収納ケース係合溝61iと係合して同収納ケース本体を上下および水平方向に固定する鉤型の第1の収納ケース係止片61dと、上述した具材収納ケース61側収納ケース本体の前部側壁部61bの上端に設けられた上記収納ケース係合部材61fと係合して同収納ケース本体を上下および水平方向に固定する上部側がテーパ面となった第2の収納ケース係止片61gが、具材収納ケース61の収納ケース本体の前後方向の長さに対応して設けられている。
そして、その取り付けに際しては、先ず図19中に矢印(仮想線)で示すように、収納ケース本体後部壁61c側の上記収納ケース係合溝61i部分を蓋体B側の第1の収納ケース係止片61dの上端片に挿入係合し、その後、例えば図20に示すように、上記収納ケース本体の前部側壁部61bに設けられている下面側がテーパ面となった上記収納ケース係合部材61f部分を上述した突出方向への付勢力に抗して蓋体B側の第2の収納ケース係止片61gに対して上方から下方に相互のテーパー面を利用してスムーズに係合する(図20中の上方から下方への実線矢印を参照)。
これにより、同具材収納ケース61が、最終的に図14、図15に示されるような状態で、蓋体Bの裏面側に確実に固定される。また、この固定状態において、上記収納ケース本体の前部側壁部61bの係合解除部材61hを押すと、それと一体の連係状態にある上記収納ケース係合部材61fも収納ケース内側(機構空間Z2内)に没入して、上記蓋体B側第2の収納ケース係止片61gとの係合が解除され、具材収納ケース61を蓋体Bから取り外すことができる。
ところで、上記具材収納ケース61の収納ケース本体下面側の具材投入口61eを開閉する底板(具材投入用蓋体)62は、例えば図16〜図18に示されるように、当該具材投入口61eの左右方向外端側部分(図1の平面視状態でいうと、図面下方側部分)に対して、その上端62a側を弧回動可能に軸着されていて、具材非投入時には、上述したように収納ケース本体内の上記仕切壁61k部分における底板係合部材61jとの係合状態(図16の水平な閉状態)を維持しているが、具材の投入が必要なタイミングになると、上述した肩部材1cの操作パネル設置台51c側の電磁プランジャSL1(例えば、上述した操作パネル設置台51cの下部側に設置されている)のプランジャロッドR1により上記具材投入用の蓋開放ボタン63を押し、上記底板係合部材61jによる係合を解除して、開方向へのバネ付勢力を利用して下方側に所定角弧回動させ、上記具材投入口61eの開口面を全面的に開放する。そして、この開放動作は、先にも述べたようにマイコン制御ユニットにより、所定の時間を置いて、2段階に制御される。
すなわち、上記具材投入用の底板62は、上記蓋体Bの裏面側への取り付け状態において、「具材投入工程」になると、先ず上記水平な具材投入口61e閉状態から下方側垂直な位置よりも少し手前の第1のケース開状態(図14、図17、図18の所定角θ1開状態)まで回動され、それによって収納ケース本体底部の具材投入口61eの開口面を完全に開放するとともに、当該底板62の上面側を開口部から落下する具材のシュート面(投入用ガイド面)として機能させることによって、具材収納ケース61の具材収納空間Z1に収納されている具材を確実かつスムーズに下方側パンケース3内に投入する。この第1のケース開状態θ1は、上記具材収納ケース61内の具材をパンケース3内に投入するのに十分な所定時間内維持される。
そして、同所定時間が経過すると、さらに後方側の焼き上がったパンPの膨出空間であるパンケース3の開口部3cの上方空間Yを避けた最大回動位置である第2のケース開状態(図15に示すように、焼き上がったパンPの膨出部と干渉しない最大開放位置θ2)まで大きく弧回動して停止せしめられるようになっている。
この底板62の第1、第2の2段階の開放動作(弧回動動作)は、上記具材収納ケース61本体内にあって同具材収納ケース61本体に対して底板62を軸支している底板支持軸64の一端側に臨んで設けられた上記係合状態コントロール用の蓋開放ボタン63を、上記肩部材1cの操作パネル設置台51c側に設置した電磁プランジャSL1のプランジャロッドR1でON、OFFすることによって制御する。
すなわち、図18に示すように、上述した具材投入口61eの外端(前部側正面に向かって右側)にあって、上記底板62を回動可能に支持する底板支軸64には、上記底板62が上記第1のケース開状態θ1になったときにON状態にある上記蓋開放ボタン63の側面部と係合して、上記底板62を同第1のケース開放状態θ1に維持する係合片(衝合片)65aを有するストッパーレバー(中間位置停止用ストッパー)65が相互に所定の相対角を有して設けられている。
他方、上記蓋開放ボタン63は、例えば図17に示すように、その被押圧面側凸部を上記収納ケース61本体の前部側壁部61bに設けられた押圧操作用開口部に臨ませて設けられており、同開口部を介して内方に向けて所定ストローク長だけ上記電磁プランジャSL1のプランジャロッドR1により押圧されるように構成されている。
そして、例えば図18に示すように、同プランジャロッドR1により蓋開放ボタン63が矢印方向(底板支軸64の他端側方向)に押されると、それにより同蓋開放ボタン63の全体が底板62の側壁部に接近するように移動するとともに、同移動に対応して、上記収納ケース本体内において、上記底板係合部材61jによる底板62の係合溝62cの係合を解除し、所定のバネ付勢力によって底板62を上記第1のケース開状態θ1方向に開放する。これにより、上記底板62は、図14に示すように、第1のケース開状態θ1位置まで開放され、上述したストッパーレバー65の係合片65aが上記蓋開放ボタン63の側面部に当接するようになり、上記底板62は同第1のケース開状態θ1で一旦停止される。
一方、この蓋開放ボタン63の押圧状態(ストッパーレバー65による一時的な停止状態)は、例えばマイコン制御ユニットにより、具材収納ケース61内の具材がパンケース3内に投入されるのに必要な所望の時間内維持される。そして、同時間が経過すると、上記電磁プランジャSL1はOFFに制御され、OFFになると、プランジャロッドR1は上記具材収納ケース本体の押圧操作用開口部から外方に戻る。
その結果、上記蓋開放ボタン63も例えばリターンバネ等の付勢力により反押圧方向に戻り、上記ストッパーレバー65の係合片65aとの係合を解除する。この結果、上記底板62は上記支軸64部分に設けられた開方向への付勢バネの付勢力により、上記第2のケース開状態θ2までスムーズに開放されることになる。
この第2のケース開状態θ2は、図示のように、上記底板62の下端62b側がパンケース3の開口部3c上方位置(パン膨出空間Y)から大きく後方に回動し、焼き上げられたパンPの膨出部が干渉しない最大回動位置となっている。
上記のような、一旦下方側に開放されると元の閉状態に戻らない底板62を備えた具材投入装置60を用いてパンケース3内に具材を自動投入するようにした場合、具材投入後のパンの焼き上がりに応じたパンケース3上方へのパンの膨出量を考慮すると、上述のように底板62をパンケース3の開口部3c上方位置Yを避けた最大回動位置θ2まで大きく弧回動させた状態で停止させなければならない。
ところが、上記具材収納ケース本体内に具材が入っている状態(底板62上に具材が乗っている状態)で、いきなり上記パンケース3の開口部3c後方の最大回動位置θ2まで弧回動させてしまうと、具材収納ケース61内の具材が全てパンケース3内に落とし込まれず、勢いでパンケース3外に零れてしまう問題がある。
そこで、この実施の形態では、上述のように、一旦パンケース3の開口部3c上方位置θ1まで弧回動させた状態で止め(図14の状態)、その後、所定の時間を置き、具材収納ケース61内の具材の全てがパンケース3内に投入されるのを待ってから、最終的に上記パンケース3の開口部3c後方の最大開放位置θ2(図15の状態)まで回動させて停止させるようにしている。
このような構成によると、焼き上がりに応じたパンケース3上方へのパン膨出時における底板62との干渉を回避しながら、パンケース3内への確実な具材の投入を可能とすることができ、保護枠2およびパンケース3の上部から蓋体Bにかけての高さ寸法を可能な限りコンパクトにしながら、かつ自動的な具材投入装置60A(およびイースト菌投入装置60B)を設置することができ、また、それらの結果、膨出部に損傷がなく、見映えの良い外観のパンを焼き上げることができる。
また、以上の構成の場合、上記のように、大型の保護枠(内ケース)2を、個別にユニット化され、単独では小さい第1、第2の2組の保護枠21、22を組み合わせて構成することにより、パンケース3の上方に十分な容積のパン膨出空間、放射熱による加熱効率の高いパン焼き上げ空間を形成している。
したがって、最終的には十分に大きな保護枠2を形成することができるにもかかわらず、組立て前の状態では決して大きな構成部品がなく、種々の取扱いが容易になる。
しかも、以上の構成の場合、それらに加えて、上記第2の保護枠22の上部に、さらに上下幅の広い側壁部51b、肩枠部51aを有する肩部材1cを積層一体化することにより、上下方向に十分な深さの具材投入装置60A(およびイースト菌投入装置60B)の収納空間を形成している。
したがって、上述のパン膨出空間のスペースを何ら制約することなく、蓋体Bの裏面側に十分な大きさ(容積)の具材投入装置60A(およびイースト菌投入装置60B)を設置できるようになることはもちろん、当該具材投入装置60A(およびイースト菌投入装置60B)の具材等投入口61e(およびイースト菌投入口)を開閉するための電磁プランジャSL1(およびSL2)を、縦壁部である肩部材1cの肩枠部51aに形成したプランジャロッド伸縮孔を通して操作パネル設置台51c側に安定した状態で設置することができる。
なお、上記具材収納ケース61は、上述の具材投入口61eが具材収納時の具材収納口を兼ねており、具材収納時には、図17の状態とは上下の関係が逆になり、収納ケース本体の上面61a側が下で、具材投入口61e側が上になる。
そして、同状態においては、上述の底板62が蓋体として機能するので、いま仮に底板(蓋体)62が閉まっているとすると、上述の蓋開放ボタン63を指で押す。すると、上記図16に示した仕切壁61k側の底板係合部材61jと底板62側の係合溝62cとの係合が解除される。
そして、この場合には、上記電磁プランジャSL1によるON操作の場合と異なって、蓋開放ボタン63は指によるON操作後、直ぐにOFF状態に復帰するので、底板62が図14のθ1まで開放されたとしても、上記ストッパーレバー65の係合片65aとは係合しない。したがって、底板62は、そのまま図15の最大開放位置θ2まで開放される。
そこで、同状態で具材を収納し、元の状態に底板62を閉じれば良い。このとき、図16の構成から明らかなように、上記底板係合部材61jの係合端部の具材投入口側係合面(反係合面)は、底板62を閉じる時に同底板62側の断面コの字状の係合溝62cの係合縁部をガイドする所定の傾斜角のテーパー面となっており、また、それに衝合する係合溝62c側の係合縁部は所定の曲率のアール面となっているので、相互にスムーズな係合が可能となる。
このようにして、具材収納空間Z1に必要な具材が収納された具材収納ケース61は、上述のようにして蓋体Bの裏面側に取り付けられる。
<変形例>
以上の構成では、具材投入装置60Aおよびイースト菌投入装置60Bの各々に専用の電磁プランジャSL1、SL2を設けて、イースト菌および具材を自動的に投入するようにした。したがって、それぞれに同様の構成の電磁プランジャを必要とし、部品点数が増えると共に装置の構成が複雑になる。また、各種部品レイアウト上のスペースファクターを悪化させる。
この変形例の構成は、そのような問題を解決するためになされたもので、例えば図21の(a)、(b)に示すように、具材投入装置60A用の具材収納ケース61とイースト菌投入装置60B用のイースト菌収納ケース66を蓋体Bの裏面部に並設し、それぞれに上述のものと同様の開放ボタン63、67を設ける。ここまでの構成は、基本的に以上の構成と同様である。
ところが、これら各開放ボタン63、67を、上述のように個別に設けた電磁プランジャSL1、SL2でON、OFFするのではなく、図示のような平行リンク型のリンクロッド69、68、90の平行リンク69、68の先端でON、OFF操作できるようにしている。
平行リンク69、68後端側の連結リンク90の両端は、例えば長穴95、94を介して平行リンク69、68側の枢支軸97、96と連結し、平行リンク69、68が相互にストレートなリンク動作を行なえるようにリンクさせている。
また、平行リンク69、68の先端側開放ボタン63、67の押圧部には、フランジ部92、92を介してコイルバネ93、93を設けることによって、押圧時にケース開口部に対してソフトに接触するようにしている。
そして、平行リンク69、68のいずれか一方側、例えば平行リンク69側には、例えば鉄心101(リンクロッドに固定)および電磁ソレノイドコイル102(リンクロッド外に固定)よりなる往復駆動型の電磁プランジャ100が設けられており、これによって上記2組の開放ボタン63、67が選択的にON、OFF駆動されるようになっている。
なお、実際の制御では、これら2つの動作の中間、すなわち共にOFFの状態が実現されることはもちろんであり、同共にOFFの状態から図21の(a)、図21の(b)何れかの状態が実現され、また共にOFFの状態に戻る。
このような構成によれば、イースト菌投入装置60Bおよび具材投入装置60Aそれぞれを自動化し、しかも、その駆動手段を共用化できるので、利便性の向上を図りながら、ベーカリー本体Aの小型、コンパクト化、スペースファクターの改善、部品コストの削減等を比較的簡単に実現することができる。