JP6842042B2 - グラフェンナノリボン及びその製造に用いる前駆体分子 - Google Patents

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Description

本発明は、グラフェンナノリボン及びその製造に用いる前駆体分子等に関する。
グラフェンはC原子がハニカム状に並んだ二次元のシート構造の材料である。グラフェンの電子移動度及びホール移動度は室温においても極めて高く、グラフェンはバリスティック伝導及び半整数量子ホール効果等の特異な電子物性を示す。グラフェンは、π電子共役が二次元に拡張しているため、バンドギャップが実質的にゼロであり、金属的な性質(ギャップレス半導体)を示す。近年、これらの特徴的な電子的機能を活かしたエレクトロニクスデバイスの研究開発が盛んに行われている。
その一方で、ナノサイズのグラフェンは、エッジにあるC原子の個数とエッジの内側にあるC原子の個数との差が小さく、グラフェン自体の形状やエッジの形状の影響が大きく、バルク状のグラフェンとは大きく異なる物性を示す。ナノサイズのグラフェンとして、幅が数nmのリボン形状の擬一次元のグラフェン、所謂、グラフェンナノリボン(graphene nanoribbon:GNR)が知られている。GNRの物性は、エッジの構造及びリボン幅によって大きく変化する。
GNRのエッジ構造には、C原子が2原子周期で配列したアームチェアエッジ及びC原子がジグザグ状に配列したジグザグエッジの2種類がある。アームチェアエッジ型のGNR(AGNR)では、量子閉じ込め効果及びエッジ効果によって有限のバンドギャップが広がるため、AGNRは半導体的な性質を示す。一方、ジグザグエッジ型のGNR(ZGNR)は金属的な性質を示す。
一般に、リボン幅方向のC−Cダイマーラインの数がNのAGNRは「N−AGNR」とよばれる。例えば、リボン幅方向に六員環が3つ配列したアントラセンを基本ユニットとするAGNRは7−AGNRとよばれる。AGNRは、Nの値によって、N=3p、3p+1、3p+2(ここで、pは正の整数)の3つのサブグループに分類されることがある。多体効果を考慮した第一原理計算から、同じサブグループ内でのN−AGNRのバンドギャップEgは、Nの値の増加、すなわちリボン幅の増加に伴って減少することが示されている。また、各サブグループ間でのバンドギャップEgには、「Eg 3p+1>Eg 3p>Eg 3p+2」の関係がある。
これまで、所望の物性を備えたAGNRを製造することを目的として、種々の方法が提案されているが、安定した物性を示すAGNRを製造することは極めて困難である。例えば、長さ方向に沿った両端のエッジ構造の制御及びリボン幅の制御が困難である。
特表2014−534157号公報 特表2015−525186号公報
L.Yang et al., Phys. Rev. Lett. 99, 186801 (2007) M. Y. Han et al., Phys. Rev. Lett. 98, 206805 (2007) D. V. Kosynkin et al., Nature 458, 872 (2009) X. Li et al., Science 319, 1229 (2008) J. Cai et al., Nature 466, 470 (2010)
本発明の目的は、安定した物性を示すアームチェア型のグラフェンナノリボンを製造することができる前駆体分子等を提供することにある。
前駆体分子の一態様の構造式が下記の化学式1で表される。下記の化学式1において、n1及びn2は0以上5以下の整数であり、Xは、第1のハロゲン元素であり、Yは、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第2のハロゲン元素であり、Z1は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であり、Z2は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であり、Rは、H、OH、SH、NH2、CH3又はOCH3である。
Figure 0006842042
グラフェンナノリボンの態様では、上記の前駆体分子の繰り返し単位からなり、 1 及びn 2 の少なくとも一方は、3以上5以下の整数であり、長さ方向に沿った両端のエッジ構造がアームチェア型である。
グラフェンナノリボンの製造方法の一態様では、上記の前駆体分子を複数、第1の温度に加熱して、前記第1のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起し、ポリマーを得、前記ポリマーを前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、前記第2のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起する。
上記の前駆体分子等によれば、適切なハロゲン元素の組み合わせが含まれているため、安定した物性を示すアームチェア型のグラフェンナノリボンを製造することができる。
第1の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第2の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第2の実施形態に係る前駆体分子を用いてGNRを製造する方法を示す図である。 図3Aに引き続き、GNRを製造する方法を工程順に示す図である。 第2の実施形態に係る前駆体分子を製造する方法を示す図である。 第3の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第3の実施形態に係る前駆体分子を用いてGNRを製造する方法を示す図である。 図6Aに引き続き、GNRを製造する方法を工程順に示す図である。 第4の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第4の実施形態に係る前駆体分子を用いてGNRを製造する方法を示す図である。 図8Aに引き続き、GNRを製造する方法を工程順に示す図である。 第5の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第5の実施形態に係る前駆体分子を用いてGNRを製造する方法を示す図である。 図10Aに引き続き、GNRを製造する方法を工程順に示す図である。 第6の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第7の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第8の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第9の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第9の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。 第10の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第10の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。 第11の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。 第11の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。 第12の実施形態に係るグラフェンナノデバイスの製造方法を工程順に示す断面図である。 第12の実施形態に係るグラフェンナノデバイスにおける電極とGNRとの関係を示す図である。 第13の実施形態に係るグラフェンナノデバイスの製造方法を工程順に示す断面図である。 第13の実施形態に係るグラフェンナノデバイスにおける電極とGNRとの関係を示す図である。 第14の実施形態に係るガスセンサを示す図である。
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図1は、第1の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る前駆体分子100はトリフェニレンを基本骨格とする。この構造式において、n1及びn2は0以上5以下の整数であり、Xは、第1のハロゲン元素であり、Yは、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第2のハロゲン元素であり、Z1は、水素(H)又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であり、Z2は、水素(H)又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であり、Rは、H、OH、SH、NH2、CH3又はOCH3である。
Yの原子量がXの原子量よりも低いため、C−X結合エネルギーがC−Y結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子100を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子100間で、Xと結合していたC同士が結合した後に、Yが脱離して、前駆体分子100間で、Yと結合していたC同士が結合する。Xと結合していたC同士の結合により前駆体分子100の配列が決定され、その後のYと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。このようにして得られるGNRは、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子100の繰り返し単位からなるため、図1からも明らかなように、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的にアームチェア型となる。また、リボン幅はn1及びn2の値で容易に制御することができ、バンドギャップEgの制御も容易である。このように、前駆体分子100を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
表1にn1及びn2の値と、Nの値、サブグループ、リボン幅及びバンドギャップとの関係の例を示す。
Figure 0006842042
このように、第1の実施形態によれば、前駆体分子の六員環の数(n1及びn2)により、N−AGNRのリボン幅を系統的にコントロールしてバンドギャップエンジニアリングを実現し、ナノエレクトロニクス、オプトエレクトロニクスにおけるN−AGNRのデバイス応用を可能にできる。
1が3以上5以下の整数である場合、Z1は第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であることが好ましく、n2が3以上5以下の整数である場合、Z2は第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であることが好ましい。これは、六員環の数(n1、n2)が3以上の場合、隣り合う前駆体分子間での脱H化及び環化反応が不安定になることがある一方で、隣り合う前駆体分子間での脱ハロゲン化及び環化反応は安定しているからである。n1が0以上2以下の整数である場合、Z1はHであることが好ましく、n2が0以上2以下の整数である場合、Z2はHであることが好ましい。Xは、例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)であり、Y、Z1及びZ2は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)又は臭素(Br)である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図2は、第2の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図2に示すように、第2の実施形態に係る前駆体分子200はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が1であり、n2が0であり、XがBrであり、YがBrよりも低原子量のFであり、Z1がHであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子200を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子200間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子200間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子200の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。このようにして得られるGNRは、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子200の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的に入り江状のアームチェア型となる。Nの値は8であり、リボン幅は0.86nmである。このように、前駆体分子200を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
次に、前駆体分子200を用いてGNRを製造する方法について説明する。図3A乃至図3Bは、第2の実施形態に係る前駆体分子200を用いてGNRを製造する方法を工程順に示す図である。
GNRを成長させる基材を150℃〜250℃程度の第1の温度に加熱しておき、前駆体分子200を基材上に蒸着する。第1の温度の基材上で、脱Br化及びC−C結合反応が誘起され、図3Aに示すように、複数の前駆体分子200が凸の向きを反転しながら一方向に配列したポリマー201が安定的に形成される。
次いで、基材を第1の温度から350℃〜450℃程度の第2の温度に加熱する。この結果、脱F化及びC−C結合反応並びに脱H化及び環化反応が誘起され、図3Bに示すように、ポリマー201からエッジ構造が入り江状の8−AGNR202が形成される。
このように、重合点にCとの脱離温度に差のあるBr及びFを導入した前駆体分子200を用い、温度制御により順次重合反応を誘起しているため、前駆体分子200の安定したポリマー化及び安定したGNR202の合成が可能である。
基材としては、触媒作用を有するものを用い、例えば表面のミラー指数が(111)の金属単結晶基板を用いることができる。基材の材料としてはAu、Cu、Ni、Rh、Pd、Ag、Ir及びPtが例示される。AGNR202の指向性を制御するために、数nm幅のステップ及びテラス周期構造を有する微傾斜基板を用いてもよい。基材として、マイカ、サファイア及びMgO等の絶縁基板上に上記のAu等の金属薄膜を堆積した金属薄膜基板を用いてもよい。AGNR202の指向性を制御するために、金属薄膜を電子線リソグラフィ及びエッチング加工により幅数nmの細線状にパターンニングしたものを用いてもよい。IV族半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体及び遷移金属酸化物半導体等の半導体基板を基材に用いてもよい。
前駆体分子200を蒸着する前に、基板の表面清浄処理を行っておくことが好ましい。表面清浄処理により、基板の表面の有機系混入異物を除去したり、平坦性を向上させたりすることができる。表面清浄処理としては、例えば、Arイオンスパッタ及び超高真空アニールを複数サイクル、例えば2〜5サイクル行う。例えば、1サイクルでは、Arイオンスパッタを、イオン加速電圧を0.8kV、イオン電流を1.0μAとして1分間行い、超高真空アニールを、5×10-7Pa以下の真空度を保持しつつ300℃〜450℃で10分間行う。表面清浄処理後、基板を大気に曝すことなく、超高真空の真空槽内でAGNR202をin situ形成することが好ましい。例えば、真空槽内の基本真空度は5×10-8Pa以下とし、前駆体分子200の蒸着にはK−cell型エバポレーターを用い、前駆体分子200の加熱温度は60℃〜200℃とする。例えば、蒸着速度は0.05nm/分〜0.1nm/分、蒸着膜厚は0.5モノレイヤー(monolayer:ML)〜1MLとする(1ML=約0.2nm)。
例えば、基板を第1の温度150℃〜250℃で保持して、前駆体分子200を蒸着し、第1の温度から第2の温度350℃〜450℃に加熱する際の昇温速度は1℃/分〜5℃/分とし、第2の温度での保持温度は10分間〜1時間程度とする。
次に、第2の実施形態に係る前駆体分子200を製造する方法について説明する。図4は、第2の実施形態に係る前駆体分子200を製造する方法を示す図である。
先ず、2−アミノ−4−ブロモナフタレン及び2−アミノ−4−フルオロナフタレンの混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノビスナフタレン誘導体を作製する。
次いで、ジアミノビスナフタレン誘導体のアミノ基に対してザンドマイヤー反応を行い、ジヨードビスナフタレン誘導体を作製する。
その後、ジヨードナフタレンダイマー誘導体のIに対してスタニル化反応を行い、ジトリメチルスズビスナフタレン誘導体を作製する。
別途、1,4−ジブロモ−2,3−ジヨードベンゼンのBr−Fハロゲン交換反応により1−ブロモ−4−フルオロ−2,3−ジヨードベンゼンを作製する。
そして、ジトリメチルスズビスナフタレン誘導体と1−ブロモ−4−フルオロ−2,3−ジヨードベンゼンとのカップリング反応により、前駆体分子200を作製する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図5は、第3の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図5に示すように、第3の実施形態に係る前駆体分子300はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が0であり、n2が0であり、XがBrであり、YがFであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子300を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子300間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子300間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子300の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。このようにして得られるGNRは、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子300の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的にアームチェア型となる。Nの値は6であり、リボン幅は0.62nmであり、多体効果を考慮した第一原理シミュレーションによればバンドギャップの大きさEgは2.73eVである。このように、前駆体分子300を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
次に、前駆体分子300を用いてGNRを製造する方法について説明する。図6A乃至図6Bは、第3の実施形態に係る前駆体分子300を用いてGNRを製造する方法を工程順に示す図である。
GNRを成長させる基板を150℃〜250℃程度の第1の温度に加熱しておき、前駆体分子300を基板上に蒸着する。前駆体分子300の加熱温度は60℃〜150℃とする。第1の温度の基板上で、脱Br化及びC−C結合反応が誘起され、図6Aに示すように、複数の前駆体分子300が凸の向きを反転しながら一方向に配列したポリマー301が安定的に形成される。
次いで、基板を第1の温度から350℃〜450℃程度の第2の温度に加熱する。この結果、脱F化及びC−C結合反応並びに脱H化及び環化反応が誘起され、図6Bに示すように、ポリマー301から6−AGNR302が形成される。
このように、重合点にCとの脱離温度に差のあるBr及びFを導入した前駆体分子300を用い、温度制御により順次重合反応を誘起しているため、前駆体分子300の安定したポリマー化及び安定したGNR302の合成が可能である。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図7は、第4の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図7に示すように、第4の実施形態に係る前駆体分子400はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が2であり、n2が2であり、XがBrであり、YがFであり、Z1及びZ2がHであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子400を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子400間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子400間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子400の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。このようにして得られるGNRは、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子400の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的にアームチェア型となる。Nの値は14であり、リボン幅は1.60nmであり、多体効果を考慮した第一原理シミュレーションによればバンドギャップの大きさEgは0.74eVである。このように、前駆体分子400を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
次に、前駆体分子400を用いてGNRを製造する方法について説明する。図8A乃至図8Bは、第4の実施形態に係る前駆体分子400を用いてGNRを製造する方法を工程順に示す図である。
GNRを成長させる基板を150℃〜250℃程度の第1の温度に加熱しておき、前駆体分子400を基板上に蒸着する。前駆体分子400の加熱温度は200℃〜300℃とする。第1の温度の基板上で、脱Br化及びC−C結合反応が誘起され、図8Aに示すように、複数の前駆体分子400が凸の向きを反転しながら一方向に配列したポリマー401が安定的に形成される。
次いで、基板を第1の温度から350℃〜450℃程度の第2の温度に加熱する。この結果、脱F化及びC−C結合反応並びに脱H化及び環化反応が誘起され、図8Bに示すように、ポリマー401から14−AGNR402が形成される。
このように、重合点にCとの脱離温度に差のあるBr及びFを導入した前駆体分子400を用い、温度制御により順次重合反応を誘起しているため、前駆体分子400の安定したポリマー化及び安定したGNR402の合成が可能である。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図9は、第5の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図9に示すように、第5の実施形態に係る前駆体分子500はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が3であり、n2が3であり、XがBrであり、YがFであり、Z1及びZ2がFであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子500を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子500間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子400間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子500の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。このようにして得られるGNRは、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子500の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的にアームチェア型となる。Nの値は18であり、リボン幅は2.09nmであり、多体効果を考慮した第一原理シミュレーションによればバンドギャップの大きさEgは1.19eVである。このように、前駆体分子500を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
次に、前駆体分子500を用いてGNRを製造する方法について説明する。図10A乃至図10Bは、第5の実施形態に係る前駆体分子500を用いてGNRを製造する方法を工程順に示す図である。
GNRを成長させる基板を150℃〜250℃程度の第1の温度に加熱しておき、前駆体分子500を基板上に蒸着する。前駆体分子500の加熱温度は250℃〜350℃とする。第1の温度の基板上で、脱Br化及びC−C結合反応が誘起され、図10Aに示すように、複数の前駆体分子500が凸の向きを反転しながら一方向に配列したポリマー501が安定的に形成される。
次いで、基板を第1の温度から350℃〜450℃程度の第2の温度に加熱する。この結果、脱F化及びC−C結合反応並びに脱H化及び環化反応が誘起され、図10Bに示すように、ポリマー501から18−AGNR502が形成される。
このように、重合点にCとの脱離温度に差のあるBr及びFを導入した前駆体分子500を用い、温度制御により順次重合反応を誘起しているため、前駆体分子500の安定したポリマー化及び安定したGNR502の合成が可能である。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図11は、第6の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図11に示すように、第6の実施形態に係る前駆体分子600はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が1であり、n2が0であり、XがBrであり、YがFであり、Z1がFであり、RがHである。つまり、Z1がFである点を除き、第2の実施形態と同様の構成を有している。
第6の実施形態によっても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態について説明する。第7の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図12は、第7の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図12に示すように、第7の実施形態に係る前駆体分子700はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が2であり、n2が2であり、XがBrであり、YがFであり、Z1及びZ2がFであり、RがHである。つまり、Z1及びZ2がFである点を除き、第4の実施形態と同様の構成を有している。
第7の実施形態によっても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態について説明する。第8の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図13は、第8の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。
図13に示すように、第8の実施形態に係る前駆体分子800はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が3であり、n2が3であり、XがBrであり、YがFであり、Z1及びZ2がHであり、RがHである。つまり、Z1及びZ2がHである点を除き、第5の実施形態と同様の構成を有している。
前駆体分子500と比較すると、前駆体分子800間での脱H化及び環化反応が不安定になりやすいものの、第8の実施形態によっても、概ね第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態について説明する。第9の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図14は、第9の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。図15は、第9の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。
図14に示すように、第9の実施形態に係る前駆体分子900はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が5であり、n2が5であり、XがBrであり、YがFであり、Z1及びZ2がFであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子900を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子900間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子900間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子900の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。図15に示すように、このようにして得られるGNR902は、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子900の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的にアームチェア型となる。Nの値は26であり、リボン幅は3.08nmであり、多体効果を考慮した第一原理シミュレーションによればバンドギャップの大きさEgは0.42eVである。このように、前駆体分子900を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すAGNRを製造することができる。
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態について説明する。第10の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図16は、第10の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。図17は、第10の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。
図16に示すように、第10の実施形態に係る前駆体分子1000はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が5であり、n2が0であり、XがBrであり、YがFであり、Z1がFであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子1000を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子1000間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子1000間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子1000の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。図17に示すように、このようにして得られるGNR1002は、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子1000の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的に入り江状のアームチェア型となる。Nの値は16であり、リボン幅は1.85nmである。このように、前駆体分子1000を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示すエッジ構造が入り江状の16−AGNR1002を製造することができる。Z1がHであってもよい。
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態について説明する。第11の実施形態は、アームチェア型のグラフェンナノリボン(AGNR)の製造に好適な前駆体分子に関する。図18は、第11の実施形態に係る前駆体分子の構造式を示す図である。図19は、第11の実施形態に係る前駆体分子を用いて製造されるGNRの構造式を示す図である。
図18に示すように、第11の実施形態に係る前駆体分子1100はトリフェニレンを基本骨格とし、図1に示す構造式において、n1が0であり、n2が5であり、XがBrであり、YがFであり、Z2がFであり、RがHである。
Fの原子量がBrの原子量よりも低いため、C−Br結合エネルギーがC−F結合エネルギーよりも低い。従って、複数の前駆体分子1100を加熱すると、Xが脱離して、前駆体分子1100間で、Brと結合していたC同士が結合した後に、Fが脱離して、前駆体分子1100間で、Fと結合していたC同士が結合する。Brと結合していたC同士の結合により前駆体分子1100の配列が決定され、その後のFと結合していたC同士の結合によりGNRの構造が固定される。図19に示すように、このようにして得られるGNR1102は、トリフェニレンを基本骨格とする前駆体分子1100の繰り返し単位からなるため、長さ方向に沿った両端のエッジ構造は必然的に入り江状のアームチェア型となる。Nの値は6及び16(6−16)であり、リボン幅は0.62nm及び1.85nmのヘテロ接合構造となる。このように、前駆体分子1100を用いることで、エッジ構造及びリボン幅を容易に制御することができ、安定した物性を示す6−16−AGNR1102を製造することができる。Z2がHであってもよい。
第3〜第11の実施形態に係る前駆体分子を製造する場合には、例えば、第2の実施形態に係る前駆体分子を製造する際に用いる物質(図4参照)の六員環の数(n1、n2)、X、Y、Z1及びZ2を適宜変更したものを用いればよい。例えば、六員環の数(n1、n2)は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン又はヘキサセンの選択により選択することができる。
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態について説明する。第12の実施形態は、GNRを備えたグラフェンナノデバイス及びその製造方法に関する。図20は、第12の実施形態に係るグラフェンナノデバイスの製造方法を工程順に示す断面図である。図21は、第12の実施形態に係るグラフェンナノデバイスにおける電極とGNRとの関係を示す図である。
先ず、図20(a)に示すように、絶縁性の基板11上に触媒の金属膜12を形成する。金属膜12の材料としては、Au、Ag、Cu、Co、Ni、Pd、Ir及びPtが挙げられる。次いで、図20(b)に示すように、金属膜12上にGNR13を形成する。GNR13としては、第1〜第11の実施形態のいずれかのGNRを形成する。その後、図20(c)に示すように、GNR13の長さ方向の一方の端部と電気的に接触する電極14、及び他方の端部と電気的に接触する電極15を形成する。電極14及び15としては、例えば、厚さが0.5nm〜1nm程度のTi膜、及びその上の厚さが30nm〜50nm程度のCr膜の積層体を形成する。電極14及び15は、例えばリフトオフ法により形成することができる。続いて、図20(d)に示すように、GNR13上にゲート絶縁膜17及び電極16を形成する。ゲート絶縁膜17の材料としては、Y23、SiO2、HfO2、ZrO2、La23及びTiO2が例示される。電極16としては、例えば、厚さが0.5nm〜1nm程度のTi膜、及びその上の厚さが30nm〜50nm程度のCr膜の積層体を形成する。電極16は、例えばリフトオフ法により形成することができる。次いで、図20(e)に示すように、ウェットエッチングにより金属膜12を除去して、空隙18を形成する。エッチャントとしては、例えば、約60℃のHNO3(6.5vol%)+HCl(17.5vol%)混合水溶液を用いる。
図21に示すように、電極14、15及び16は互いから分離されている。例えば、電極14はソース電極として、電極15はドレイン電極として、電極16はゲート電極として機能し、GNR13はチャネルとして機能する。つまり、第12の実施形態に係るグラフェンナノデバイス10はグラフェントランジスタとして動作し得る。
(第13の実施形態)
次に、第13の実施形態について説明する。第13の実施形態は、GNRを備えたグラフェンナノデバイス及びその製造方法に関する。図22は、第13の実施形態に係るグラフェンナノデバイスの製造方法を工程順に示す断面図である。図23は、第13の実施形態に係るグラフェンナノデバイスにおける電極とGNRとの関係を示す図である。
先ず、図22(a)に示すように、絶縁性の基板21上に触媒の金属膜22を形成する。金属膜22の材料としては、Au、Ag、Cu、Co、Ni、Pd、Ir及びPtが挙げられる。次いで、図22(b)に示すように、金属膜22を二分し、その一方の上にGNR23aを形成し、図22(c)に示すように、他方の上にGNR23aよりもリボン幅が広いGNR23bを形成する。GNR23a及び23bとしては、第1〜第11の実施形態のいずれかのGNRを形成し、互いに接触させる。その後、図22(d)に示すように、GNR23aと電気的に接触する電極24、及びGNR23bと電気的に接触する電極25を形成する。電極24及び25としては、例えば、厚さが0.5nm〜1nm程度のTi膜、及びその上の厚さが30nm〜50nm程度のCr膜の積層体を形成する。電極24及び25は、例えばリフトオフ法により形成することができる。続いて、図22(e)に示すように、図22(e)に示すように、ウェットエッチングにより金属膜22を除去して、空隙28を形成する。エッチャントとしては、例えば、約60℃のHNO3(6.5vol%)+HCl(17.5vol%)混合水溶液を用いる。
図23に示すように、電極24及び25は互いから分離されており、リボン幅の相違に伴いGNR23aのバンドギャップとGNR23bのバンドギャップとは相違している。従って、第13の実施形態に係るグラフェンナノデバイス20はグラフェンダイオードとして動作し得る。
(第14の実施形態)
次に、第14の実施形態について説明する。第14の実施形態は、GNRを備えたガスセンサに関する。図24は、第14の実施形態に係るガスセンサを示す図である。
第14の実施形態に係るガスセンサ40には、図24に示すように、半導体層30の表面のソース半導体領域32及びドレイン半導体領域33が含まれ、半導体層30のソース半導体領域32とドレイン半導体領域33との間の領域にチャネル半導体領域31がある。ガスセンサ40には、チャネル半導体領域31上の誘電体膜34及び誘電体膜34上のGNR35が含まれる。GNR35は、第1〜第11の実施形態のいずれかである。ガスセンサ40には、GNR35上のゲート電極36、ソース半導体領域32上のソース電極37及びドレイン半導体領域33上のドレイン電極38が含まれる。例えば、半導体層30は意図的な不純物の導入が行われていないSi層(i−Si層)であり、ソース半導体領域32はp型不純物を含むSi層(p−Si層)であり、ドレイン半導体領域33はn型不純物を含むSi層(n−Si層)であり、誘電体膜34はSiO2膜である。つまり、ソース半導体領域32、チャネル半導体領域31及びドレイン半導体領域33はバルク半導体を含む。
ソース電極37とドレイン電極38との間にこれらの間を流れる電流を検知する電流モニタリング装置41が接続されている。ソース電極37は接地され、ゲート電極36にはバイアス電源42によりバイアス電圧Vbiasが印加される。電流モニタリング装置41に、例えば、各種の電源、増幅回路、サンプリング回路、アナログ−デジタル(AD)変換器、データ処理用コンピュータ等が含まれてもよい。
GNR35にアンモニア分子43が吸着されていない場合は、オフ状態にバイアスされており、バンドギャップに遮られて、ソース半導体領域32中の電子はチャネル半導体領域31へと移動できない。その一方で、GNR35にアンモニア分子43が吸着されると、GNR35の仕事関数が低下し、フラットバンド電圧が負の方向へシフトする。この結果、チャネル半導体領域31の伝導帯も低エネルギー側にシフトし、バンド間トンネル効果によりソース半導体領域32中の電子がチャネル半導体領域31へと移動できるようになり、ソース半導体領域32とドレイン半導体領域33との間を電流が流れるようになる。このような原理でアンモニア分子43を検出することができる。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
構造式が下記の化学式1で表され、
下記の化学式1において、
1及びn2は、0以上5以下の整数であり、
Xは、第1のハロゲン元素であり、
Yは、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第2のハロゲン元素であり、
1は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であり、
2は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であり、
Rは、H、OH、SH、NH2、CH3又はOCH3であることを特徴とする前駆体分子。
Figure 0006842042
(付記2)
1は、3以上5以下の整数であり、
1は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であることを特徴とする付記1に記載の前駆体分子。
(付記3)
2は、3以上5以下の整数であり、
2は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であることを特徴とする付記1又は2に記載の前駆体分子。
(付記4)
1は、0以上2以下の整数であり、
1は、Hであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の前駆体分子。
(付記5)
2は、0以上2以下の整数であり、
2は、Hであることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の前駆体分子。
(付記6)
Xは、Cl、Br又はIであることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の前駆体分子。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の前駆体分子の繰り返し単位からなり、
長さ方向に沿った両端のエッジ構造がアームチェア型であることを特徴とするグラフェンナノリボン。
(付記8)
付記7に記載のグラフェンナノリボンを含むことを特徴とするグラフェンナノデバイス。
(付記9)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の前駆体分子を複数、第1の温度に加熱して、前記第1のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起し、ポリマーを得る工程と、
前記ポリマーを前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、前記第2のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起する工程と、
を有することを特徴とするグラフェンナノリボンの製造方法。
(付記10)
前記第1の温度は150℃〜250℃であり、
前記第2の温度は350℃〜450℃であることを特徴とする付記9に記載のグラフェンナノリボンの製造方法。
10、20:グラフェンナノデバイス
40:ガスセンサ
100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100:前駆体分子
201、301、401、501:ポリマー
202、302、402、502、902、1002、1102:GNR

Claims (12)

  1. 構造式が下記の化学式1で表され、
    下記の化学式1において、
    1及びn2は、0以上5以下の整数であり、
    Xは、第1のハロゲン元素であり、
    Yは、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第2のハロゲン元素であり、
    1は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であり、
    2は、H又は前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であり、
    Rは、H、OH、SH、NH2、CH3又はOCH3であることを特徴とする前駆体分子。
    Figure 0006842042
  2. 1は、3以上5以下の整数であり、
    1は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であることを特徴とする請求項1に記載の前駆体分子。
  3. 2は、3以上5以下の整数であり、
    2は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の前駆体分子。
  4. 1は、0以上2以下の整数であり、
    1は、Hであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前駆体分子。
  5. 2は、0以上2以下の整数であり、
    2は、Hであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前駆体分子。
  6. Xは、Cl、Br又はIであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の前駆体分子。
  7. 請求項1に記載の前駆体分子の繰り返し単位からなり、
    1 及びn 2 の少なくとも一方は、3以上5以下の整数であり、
    長さ方向に沿った両端のエッジ構造がアームチェア型であることを特徴とするグラフェンナノリボン。
  8. 1 が3以上5以下の整数である場合、Z 1 は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第3のハロゲン元素であることを特徴とする請求項7に記載のグラフェンナノリボン。
  9. 2 が3以上5以下の整数である場合、Z 2 は、前記第1のハロゲン元素よりも低原子量の第4のハロゲン元素であることを特徴とする請求項7又は8に記載のグラフェンナノリボン。
  10. Xは、Cl、Br又はIであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のグラフェンナノリボン。
  11. 請求項7乃至10のいずれか1項に記載のグラフェンナノリボンを含むことを特徴とするグラフェンナノデバイス。
  12. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前駆体分子を複数、第1の温度に加熱して、前記第1のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起し、ポリマーを得る工程と、
    前記ポリマーを前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して、前記第2のハロゲン元素の脱離及びC−C結合反応を誘起する工程と、
    を有することを特徴とするグラフェンナノリボンの製造方法。
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