JP6841582B2 - 浴室用内装シート、及び浴室の壁面又は天井面構造 - Google Patents
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Description
特に、前記一般住宅や各種施設の浴室の壁面や天井面は、汚れやすく、カビや細菌なども繁殖し易く、見た目が悪くなるため、改修や新築の対象とされる場合が多い。このため、浴室の壁面や天井面を簡単にリフォームする方法が種々検討されている。
一般に、浴室の壁面には、磁器タイル、FRPなどの内装材が施工されている。浴室の壁面を改修する際には、磁器タイルやFRPなどの既設の内装材を除去して新たな内装材を入れ直す場合もあるが、費用面から、既設の内装材の上に、リフォーム用の浴室用内装材を貼り付けることが望まれている。
しかしながら、前記パネル状の壁材は、浴室のサイズや壁下地のゆがみに合わせて切断するのが難しい上、特に、狭い浴室では、その搬入や取扱いも難しくなる。さらに、パネルとしての強度を確保するため、前記パネル状の壁材は、比較的硬質な材料で形成されているため、脚立などの施工用具や施工後に取り付ける浴槽などの浴室部材などが接触することによって傷付くことがある。
これに対して、前記樹脂製シートからなる浴室用内装シートは、切断が容易で、施工性が良く、丸めることもできるので、狭い浴室にも搬入できる。
しかしながら、樹脂製シートは、樹脂の単層シートからなるので、腰がなく、皺や凹凸が生じ易いので、未熟な作業者では、樹脂製シートを綺麗に貼り付けることが困難である。さらに、腰のない樹脂製シートは、壁下地の表面の軽微な凹凸にも追従するので、貼付後のその表面に凹凸模様が生じ、その凹凸が使用者の視覚又は触覚で認識される場合がある。このような凹凸が生じると、著しい美観の低下に繋がるとともに、凹凸部分が下地と十分に密着せず、浮きや剥がれの原因となる。これを防止するためには、施工時に、壁下地の表面を綺麗に清掃する、或いは、ヤスリやグラインダーなどの切削具で凸部を削り取る、或いは、パテ材などを充填して壁下地を平滑にするなどの付加的な準備作業を行わなければならない。また、樹脂の単層シートは、厚みが薄くて強度が弱いので、脚立などの施工用具や施工後に取り付ける浴槽などの浴室部材などが接触することによって破断するおそれがある。
本発明の好ましい浴室用内装シートは、前記発泡樹脂層の樹脂層の発泡倍率が、1.5倍〜5倍である。
本発明の好ましい浴室用内装シートは、前記発泡樹脂層の補強層が、目付け30g/m 2 〜50g/m 2 の不織布である。
本発明の好ましい浴室用内装シートは、前記発泡樹脂層の樹脂層が、ポリ塩化ビニルを主成分とする発泡樹脂からなる樹脂層であり、前記本体層の樹脂が前記補強層のガラス繊維に含浸されている。
本発明の好ましい浴室用内装シートは、前記補強層が、前記本体層の裏面側に順に積層された第1補強層と第2補強層とを有する。
この浴室の壁面又は天井面構造は、浴室の壁下地又は天井下地と、前記壁下地又は天井下地の表面側に設けられた、上記いずれかの浴室用内装シートと、を有する。
本発明について、図面を参照しつつ説明する。本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。なお、各図において、各層の厚み及び大きさなどは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
浴室用内装シート1は、全体として可撓性を有する薄体である。ここで、本明細書において、「可撓性を有する薄体」とは、その表面又は裏面を内側にして人力で容易に湾曲させることができる程度に柔軟であるものをいう。例えば、「可撓性を有する薄体」は、直径10cmの円柱状の巻き芯に、その表面又は裏面から略円形状に巻き付けることができるものをいう。
表層2は、樹脂から形成された本体層23と、補強層24と、を含んでいることが好ましく、発泡樹脂層3は、補強層32を含んでいることが好ましい。比較的強度に優れた内装シート1を構成するために、表層2は、発泡体を含まないことが好ましい。
本発明の浴室用内装シート1は、その平面形状が床タイルのように矩形状又は多角形状に形成された枚葉状でもよく、或いは、長尺状でもよい。好ましくは、浴室用内装シート1は、長尺状に形成される。本発明の浴室用内装シート1は可撓性を有するため、それを長尺状に形成した場合には、所要形状の巻き芯にロール状に巻かれて保管・運搬に供される。なお、前記浴室用内装シート1が長尺状に形成される場合の具体的寸法は、特に限定されないが、例えば、幅500mm〜3000mmで、長さ1m〜300mの細長長方形などが挙げられる。
以下、各層毎に分説しつつ本発明の浴室用内装シート1の具体的構成を説明する。
表層2は、補強層24を有する。好ましくは、表層2は、樹脂から形成された本体層23と、本体層23の裏面側に又は本体層23の内部に積層された補強層24と、を有する。前記表層2の補強層24は、1層でもよいが、好ましくは、第1補強層241と第2補強層242の2層以上である。補強層24が第1補強層241と第2補強層242の2層以上である場合、前記本体層23の裏面側に第1補強層241及び第2補強層242がこの順に積層される。なお、表層2は、本体層23及び補強層24以外に、他の層を含んでいてもよい。
図1に示す例では、表層2は、その表面側から裏面側に向かって順に、表面保護層21、印刷層22、本体層23、第1補強層241、バインダー層25及び第2補強層242が積層された積層体から構成されている。
また、図2に示す例では、表層2は、その表面側から裏面側に向かって順に、本体層23、第1補強層241、バインダー層25及び第2補強層242の積層体から構成されている。
また、図3に示す例では、表層2は、その表面側から裏面側に向かって順に、表面保護層21、印刷層22、本体層23及び補強層24の積層体から構成されている。
印刷層22は、浴室用内装シート1に意匠性を付与する層である。
表面保護層21及び印刷層22は、それぞれ独立して、必要に応じて、本体層23に積層される。
前記表面保護層21の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05mm〜0.50mmであり、好ましくは、0.08mm〜0.30mmであり、より好ましくは、0.1mm〜0.2mmである。
印刷層22の厚みは、特に限定されないが、例えば、2μm〜30μmであり、好ましくは、5μm〜20μmであり、より好ましくは、5μm〜15μmである。
前記本体層23を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、オレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル、エチレン−メタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどが挙げられる。
可撓性に優れた表層2を形成できることから、本体層23は、ポリ塩化ビニルから形成されていることが好ましい。ポリ塩化ビニルを主成分樹脂とする本体層23を有する浴室用内装シート1は、可撓性を有し、施工し易く、また、比較的安価である。なお、本明細書において、ある部材の主成分樹脂は、その部材の樹脂成分の中で最も多く含まれている樹脂(重量基準)をいう。
本体層23には、通常、前記樹脂以外に各種添加剤が含まれる。
添加剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、防黴剤、充填剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤などが挙げられる。
前記充填剤は特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、マイカなどが挙げられる。
前記可塑剤は特に限定されず、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ブチルオクチルフタレート(BOP)などが挙げられる。
充填剤の含有量は特に限定されないが、通常、樹脂100質量部に対して、75質量部〜105質量部である。
また、可塑剤の含有量は特に限定されないが、通常、樹脂100質量部に対して、20質量部〜100質量部であり、好ましくは30質量部〜80質量部である。可塑剤の含有量が多すぎると、本体層23が軟らかくなり過ぎて強度低下を招く上、可塑剤がブリードし易くなる。一方、可塑剤が少なすぎると、本体層23が硬くなりすぎるおそれがある。
本体層23の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.15mm〜0.5mmであり、好ましくは、0.2mm〜0.4mmであり、より好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。
前記本体層23は、通常、ペーストゾルのゲル化法、カレンダー成形法、溶融押出法などによって形成することができる。これらの中でも、ポリ塩化ビニルを使用する場合には、層厚の設定が容易であるなどの理由から、ペーストゾルのゲル化法によって形成することが好ましい。
補強層24が、2層以上設けられる場合、それらは同じものを用いてもよいが、好ましくは異なるシート状物が用いられる。
前記糸状体を含むシート状物は、例えば、糸状体を無秩序に又は規則的に絡ませてシート状に形成した不織布;平織、綾織又は絡み織(搦み織)などの糸状体を織り込んで又は編み込んでシート状に形成した織布;(縦糸と横糸を編み込まずに)糸状体を交差させてシート状に形成し且つその交点にて糸状体をバインダーで固着した直交布;網目を有する糸状体からなる網目シート;などが挙げられる。なお、不織布は、一般にマットと呼ばれるものも含まれる。また、前記糸状体は、それが不織布に用いられる場合には「繊維」、織布に用いられる場合には「糸」、直交布や網目シートに用いられる場合には「フィラメント」などとも呼ばれる。
前記不織布は、特に限定されず、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などが挙げられる。
前記織布は、特に限定されず、平織、綾織、朱子織などが挙げられる。
前記直交布は、ほぼ一方向に並べられた複数のフィラメントからなる第1層と、前記一方向とほぼ直交する方向に並べられた複数のフィラメントからなる第2層と、が上下交互に積層され、且つその第1層及び第2層のフィラメントの交点が接着剤接着又は熱融着されたものなどが挙げられる。前記直交布の市販品としては、クラボウ社製の商品名「クラネット」などが挙げられる。
前記網目シートは、網目を有するように編み、織り又は成形された天然繊維若しくは合成繊維からなるシートをいい、その素材は特に限定されず、例えば、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、木綿、麻などが挙げられる。前記網目シートの具体例としては、江州産業(株)製の蚊帳で使用されている生地などが挙げられる。
表層2は、糸状体として熱可塑性樹脂繊維を用いた不織布からなる補強層24又は無機繊維を用いた不織布からなる補強層24を含んでいることが好ましい。
補強層24が前記熱可塑性樹脂繊維不織布又は無機繊維不織布である場合、不織布を構成する糸状体は、短繊維又は長繊維の何れでもよい。また、その不織布の目付けは、特に限定されないが、好ましくは30g/m2〜50g/m2である。
ガラス繊維不織布のような無機繊維不織布は、熱などを受けても形状変化し難く、内装シート1に寸法安定性を付与できる。他方、ポリエステル繊維不織布のような熱可塑性樹脂繊維不織布は、熱などを受けると収縮し易いが、内装シート1に強度を付与できる。好ましい表層2は、本体層23の裏面側に第1補強層241及び第2補強層243が順に配置されており、無機繊維不織布を含む第1補強層241は形状変化し難いので、内装シート1に熱などが加わると、本体層23及び第2補強層242は、第1補強層241から離れるに従って収縮量が大きくなる。このため、本体層23は表面側に凹状に反り、且つ、第2補強層は裏面側に凹状に反るようになる。第1補強層241として無機繊維不織布を用い且つ第2補強層242として熱可塑性樹脂繊維不織布を用いることにより、本体層23と第2補強層242の反りが拮抗し、寸法安定性及び機械的強度に優れ且つ反り難い内装シート1を得ることができる。
バインダー層25は、2層の補強層24に接着可能な樹脂で形成され、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンエチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。接着性に優れることから、バインダー層25としてはポリエチレンを用いることが好ましい。
なお、浴室用内装シート1を構成する部材である表層2もまた、可撓性を有する薄体であるが、その表層2は、発泡樹脂層3よりも硬いものであることが好ましい。表層2が発泡樹脂層3よりも硬いとは、同じ条件で湾曲力を加えた際に、表層2の方が、発泡樹脂層3よりも曲がり難いことをいう。
発泡樹脂層3は、表層2の裏面に積層されている。
発泡樹脂層3は、発泡樹脂からなる樹脂層31を含み、好ましくは、さらに補強層32を含んでいる。発泡樹脂層3は、前記樹脂層31及び補強層32以外に、発泡していない樹脂層(非発泡層)などの他の層を含んでいてもよい。なお、発泡樹脂層3の補強層32と表層2の補強層24を区別するため、以下、発泡樹脂層の補強層を、発泡樹脂用補強層32という。
図1に示す例では、発泡樹脂層3は、その表面側から裏面側に向かって順に、発泡樹脂からなる樹脂層31及び発泡樹脂用補強層32が積層された積層体から構成されている。なお、符号4は、表層2と発泡樹脂層3の間に設けられ、両層2,3を接着させる接着層である。接着層4としては、エチレン−酢酸ビニル系接着剤などの公知の接着剤が挙げられる。
また、図2に示す例では、発泡樹脂層3は、発泡樹脂からなる樹脂層31のみからなる。
また、図3に示す例では、発泡樹脂層3は、発泡樹脂からなる樹脂層31及び発泡樹脂用補強層32の積層体から構成され、表層2の裏面に直接接着されている。このように発泡樹脂層3と表層2が直接的に接着可能な材質である場合には、上記接着層4を省略することも可能である。
なお、樹脂層31及び発泡樹脂用補強層32を有する発泡樹脂層3について、図1及び図3に示すように、樹脂層31と発泡樹脂用補強層32の間に両層31,32を接着させるための接着層33が設けられていてもよい。
なお、主成分樹脂とは、樹脂層を構成する樹脂成分の中で最も多い成分(重量比)をいう。
主成分樹脂としてポリ塩化ビニルを用いた樹脂層は、ポリウレタンやポリオレフィンを用いる場合よりも、硬くなる傾向にある。従って、ポリ塩化ビニルを主成分樹脂とする樹脂層を有する内装シート1は、壁下地などにタイル目地などの大きな段差がある場合でも、過剰に追随することなく、壁面又は天井面の表面を平滑に仕上げることができる。一方、ポリウレタン又はポリオレフィンを主成分樹脂とする樹脂層を有する内装シート1は、弾性変形容易であるため、壁下地などの細かな凹凸に対する不陸吸収効果が高く、また、壁下地などが曲面の場合でも湾曲させて容易に施工することができる。
また、発泡された樹脂層31の厚みは、特に限定されないが、例えば、1mm〜7mmであり、好ましくは、1mm〜5mmである。
樹脂層31と発泡樹脂用補強層32の積層体からなる発泡樹脂層3、樹脂層31のみからなる発泡樹脂層3又はこれらに他の層が積層された発泡樹脂層3は、いずれも可撓性を有する薄体であるが、発泡樹脂層3は、表層2よりも軟らかいものであることが好ましい。かかる発泡樹脂層3及び表層2を有する内装シート1は、発泡樹脂層3を内側にして湾曲し易いが、表層2を内側にして湾曲し難くなり、特に、発泡樹脂層3が発泡樹脂用補強層32を含んでいる場合には、前記の傾向がより顕著となる。本発明の内装シート1は、例えば、発泡樹脂層3を内側にして湾曲し易いので、ロール状に巻いた状態で、浴室などの狭い施工場所に、容易に搬入することができ、取扱い性に優れる。また、本発明の内装シート1は、上述のように表層2を内側にして湾曲し難いため、施工時に、内装シート1が壁下地側又は天井下地側へと倒れ易い一方で、施工者側へ倒れ難くなる。このため、内装シート1を壁下地又は天井下地に接着させ易く、それが施工者側へ倒れ込んで作業の妨げになることも防げるので、施工性が向上する。また、施工後の内装シート1が、その縁部から剥がれ難くなるので、水の浸入を抑制することができる。
好ましい発泡樹脂用補強層32としては、上記表層2の補強層24として例示したような不織布、織布、直交布、網目シートなどが挙げられる。これらの中でも、樹脂層31を保護し、且つ施工時の接着剤が適度に含浸することから、不織布が好ましく、目付け30g/m2〜50g/m2の不織布がより好ましい。
なお、樹脂層31と発泡樹脂用補強層32が直接接着可能である場合には、前記接着層33を省略することもできる。材質にもよるが、樹脂層31と発泡樹脂用補強層32とは、その界面を熱融着することにより、直接接着させることも可能である。具体的には、例えば、主成分樹脂がポリウレタンである樹脂層31と発泡樹脂用補強層32とは、フレームラミネート加工によって熱融着させることができる。一方、主成分樹脂がポリ塩化ビニルである樹脂層31は、熱融着困難であるので、上記接着層33によって、樹脂層31と発泡樹脂用補強層32とを接着させる。
上記浴室用内装シート1は、マンション、ホテル、一般住宅などの浴室の壁面又は天井面を改修する際、又は、新規な浴室の壁面又は天井面を構築する際に使用される。
以下、壁面の施工を主として説明するが、天井面についても同様にして、天井下地に内装シートを施工することにより、天井面構造を構築できる。
第1の施工方法では、図4に示すように、浴室の壁下地9の表面に、接着剤8を塗布し、その接着剤8を介して、浴室用内装シート1の裏面(図示例では、発泡樹脂層3の裏面)を接着する。前記接着剤8としては、シートを接着するために用いられている従来公知の接着剤を用いればよい。なお、浴室用内装シート1の裏面に接着剤を塗布してもよく、或いは、壁下地9の表面及び浴室用内装シート1の裏面の双方に接着剤を塗布してもよい。また、前記接着剤に代えて又は接着剤に併用して、公知の両面粘着テープを用いてもよい。このようにして、浴室の壁下地9と、その壁下地9の表面に設けられた浴室用内装シート1と、からなる壁面構造10を構築できる。
前記浴室用内装シート1は、可撓性を有するので、例えば、ロール状に巻いた状態で施工場所に搬入でき、容易に取り扱うことができる。かかる内装シート1は、カッターなどの切断具を用いて所望の位置で簡単に切断できるので、施工する壁下地9に合わせて適宜裁断できる。さらに、上記浴室用内装シート1は、発泡樹脂層3を内側にして湾曲し易く且つ表層2を内側にして湾曲し難いため、施工時に、内装シート1が壁下地側へと倒れ易いが、施工者側へ倒れ難い。このため、内装シート1を壁下地9に接着させ易く、施工が容易である上、施工後においては、内装シート1の縁部から剥がれ難くなる。
また、本発明の浴室用内装シート1は、表層2の裏面側に発泡樹脂層3が設けられているので、施工後、壁下地9の表面の不陸(凹凸)が内装シート1の表面に現れ難くなる。このため、内装シート1を接着する際に、壁下地9の表面(施工面)の清掃や平滑補修などの付加的作業を極力省略できる。さらに、本発明の浴室用内装シート1は、発泡樹脂層3を有するので、断熱性に優れ、浴室壁面の結露防止効果を奏する。
前記第1シート71及び第2シート72は、それぞれ独立した可撓性を有するシートであり、これら第1シート71と第2シート72を接合することにより、上記浴室用内装シート1を構成できる。
具体的には、第1シート71は、図5(b)に示すように、発泡樹脂層3を有する。発泡樹脂層3は、上述のように、樹脂層を含み、必要に応じて、発泡樹脂用補強層及び他の層を含んでいてもよい。例えば、第1シート71は、発泡樹脂からなる樹脂層と、その樹脂層の裏面に積層された発泡樹脂用補強層と、を有する(これらの層構成は図示せず)。なお、樹脂層及び発泡樹脂用補強層などは、上記[浴室用内装シート]の欄で説明したので、ここではその説明を省略する。
第2シート72は、図5(a)に示すように、表層2を有する。表層2は、上述のように、例えば、本体層23及び補強層24を有し、必要に応じて、本体層23及び補強層24以外に他の層を含んでいてもよい。例えば、第2シート72は、表面側から裏面側に向かって順に、表面保護層21と、印刷層22と、本体層23と、第1補強層241と、バインダー層25と、第2補強層242と、を有する。なお、表面保護層、印刷層、本体層、第1補強層、バインダー層及び第2補強層は、上記[浴室用内装シート]の欄で説明したので、ここではその説明を省略する。また、第2シート72は、図5(a)に示す構造に限られず、例えば、上記[浴室用内装シート]の欄で説明した表層構造から適宜選択することができる。具体的には、第2シート72は、例えば、図2又は図3に示した表層2の構造であってもよい。
また、図5(a)においては、第2シート72の裏面には、感圧型粘着剤からなる粘着層51が設けられ、その粘着層51の裏面は、離型紙52上に仮貼付されている。なお、粘着層が設けられていない第2シートを用いてもよい(図示せず)。
次に、第2シート72を離型紙52から剥がし、粘着層51を介して、第2シート72を第1シート71の表面に接着する。このように第1シート71に第2シート72を接着すると、本発明の浴室用内装シート1が構成され、浴室の壁下地9と、その壁下地9の表面に設けられた浴室用内装シート1と、からなる壁面構造10を構築できる。
なお、第2シート72は、離型紙52に仮貼付された粘着層51を有するが、離型紙及び粘着層を有さない第2シート72を用いてもよい。この場合、第1シート71を壁下地9の表面に接着した後、その第1シート71の表面又は/及び第2シート72の裏面に接着剤を塗布し(接着剤に代えて又は接着剤に併用して両面粘着テープを用いてもよい)、その接着剤を介して第2シート72を第1シート71に接着することにより、壁面構造10を構築できる。
かかる第2の施工方法も、上記第1の施工方法と同様に、第1シート71及び第2シート72をロール状に巻いた状態で施工場所に搬入でき、それらをカッターで容易に切断可能であるため、施工容易である。
また、第2の施工方法で得られる壁面構造10も、上記第1の施工方法で得られる壁面構造10と同様に、壁下地9の不陸が現れ難く、さらに、断熱性に優れ、シートの縁部から剥がれ難く、破れによって水分が侵入するおそれがなく、シート間の目地が開くことを防止できる。
さらに、第2の施工方法では、第1シート71及び第2シート72が、それぞれ独立した可撓性を有するシートであるので、各シート71,72を個別にロール状に巻くことができる。そのため、浴室用内装シート1に比して、それぞれのシート71,72が更に巻き易く、よりコンパクト化が図れるので、浴室などの狭い空間への搬入が容易になり、作業性に優れる。そして、施工現場で各シート71,72を接合して一体化させることで、強固な壁面構造を構築することができる。
また、ポリウレタン又はポリ塩化ビニルなどの樹脂層31の材質の異なる第1シート71を複数作成しておいて、それぞれを施工現場に搬入することもできる。これによって、施工現場において、壁下地の凹凸やタイル目地の段差などの状態を確認して、最適な材質の第1シート71を選択して、施工することもできる。
(表面保護層形成材料)
厚み0.15μmの塩化ビニル樹脂シート(広島化成(株)製のカレンダーシート)を使用した。このシートの主成分は、100質量部の塩化ビニル樹脂(平均重合度1,100)と、35質量部の可塑剤(DOP)と、からなる。
(印刷層形成材料)
転写シート((株)トッパンコスモ製)を使用した。
100質量部の塩化ビニル樹脂ペースト(平均重合度1,200の塩ビペースト:平均重合度1,000の塩ビペースト=80:20(質量比))と、63質量部の充填剤(炭酸カルシウム)と、45質量部の可塑剤(DOP)と、15質量部の白色顔料(酸化チタン)と、を混練したものを使用した。
この本体層形成材料の20℃における粘度は、粘度計(リオン(株)製の商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定して、4,000Pa・sであった。
ガラス繊維不織布(オリベスト(株)製の商品名「グラベスト」)を使用した。このガラス繊維不織布の目付量は、53g/m2であった。
(バインダー層形成材料)
ポリエチレン系樹脂を使用した。
(第2補強層)
ポリエステル繊維スパンボンド不織布(東洋紡(株)製の商品名「エクーレ」)を使用した。このポリエステル繊維スパンボンド不織布の目付量は、30g/m2であった。
(ウレタン発泡樹脂層(1))
市販のウレタン発泡樹脂シート(倉敷紡績(株)製の商品名「クララフォーム」)を使用した。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、40倍、その厚みは、3.0mmであった。
(ウレタン発泡樹脂層(2))
市販のウレタン発泡樹脂シート(倉敷紡績(株)製の商品名「クララフォーム」)を使用した。この発泡樹脂シートの発泡倍率は、20倍、その厚みは、1.5mmであった。
(塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(3))
100質量部の塩化ビニル樹脂ペースト(平均重合度1,200の塩ビペースト:平均重合度1,000の塩ビペースト=80:20(質量比))と、40質量部の充填剤(炭酸カルシウム)と、2.5質量部の発泡剤(ADCA)と、50質量部の可塑剤(DOP)と、2質量部の白色顔料(酸化チタン)と、を混練した樹脂組成物を使用した。
この形成材料の20℃における粘度は、粘度計(リオン(株)製の商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定して、6,000Pa・sであった。
(塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(4))
100質量部の塩化ビニル樹脂ペースト(平均重合度1,200の塩ビペースト:平均重合度1,000の塩ビペースト=57:43(質量比))と、3質量部の熱安定剤(BaZn系)と、を混練した樹脂組成物を使用した。
この形成材料の20℃における粘度は、粘度計(リオン(株)製の商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定して、3,000Pa・sであった。
(発泡樹脂用補強層(5))
市販のポリエステル繊維スパンボンド不織布(東洋紡(株)製の商品名「エクーレ」)を使用した。このポリエステル繊維スパンボンド不織布の目付量は、20g/m2であった。
(発泡樹脂用補強層(6))
市販のガラス繊維不織布(オリベスト(株)製の商品名「グラベスト」)を使用した。このガラス繊維不織布の目付量は、110g/m2であった。
(表層の作製)
第2補強層の上に、バインダー層形成材料を溶融押し出し、厚み約30μmの膜状に積層した後、その上に第1補強層を重ね合わせ、第2補強層/バインダー層/第1補強層からなる積層体を作製した。この積層体の第1補強層の上に、本体層形成材料を塗布し、本体層形成材料のうちの幾分かを第1補強層内に含浸させつつ前記本体層形成材料の塗膜を形成した。その後、セラミックヒーターを用いて、130℃〜150℃の範囲内で1分間加熱することにより、前記本体層形成材料をプリゲル化させることにより、厚み0.25mmの本体層を形成した。この本体層の上に、印刷層形成材料である転写シートの印刷を転写し、これを130℃〜150℃の範囲内で30秒間加熱した後、さらに、その上に表面保護層形成材料である塩化ビニル樹脂シートを積層して厚み0.15mmの表面保護層を形成した。さらに、全体を130℃〜150℃の範囲内で3分間加熱することにより、前記本体層を完全にゲル化させた。
このようにして図1に示す層構成の表層を作製した。得られた表層の厚みは、約0.8mmであった。
上記ウレタン発泡樹脂層(1)の裏面に、フレームラミネート加工によって上記発泡樹脂用補強層(5)を熱融着することにより、図1に示す層構成の発泡樹脂層(ただし、図1の接着層33を有さない)を作製した。
この発泡樹脂層の表面に、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤を介して、上記表層を接着することにより、幅×長さ=300mm×300mmの内装シートを作製した。
ウレタン発泡樹脂層(1)に代えて、ウレタン発泡樹脂層(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして内装シートを作製した。
(表層の作製)
実施例1と同様にして、厚み約0.8mmの表層を作製した。
(発泡樹脂層の作製)
発泡樹脂用補強層(6)上に、塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(3)を塗布し、この形成材料(3)のうちの幾分かを前記補強層(6)の内部に含浸させつつ前記形成材料(3)の塗膜を形成した。その後、セラミックヒーターを用いて、130℃〜150℃の範囲内で1分間加熱することにより、前記形成材料(3)をプリゲル化させることにより、厚み0.28mmのプレ発泡層を形成した。そのプレ発泡層上に、塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(4)を塗布し、厚み0.18mmの塗膜を形成することにより、2層の積層体を形成した。この積層体の全体を180℃〜210℃の範囲内で2分間加熱することにより、前記プレ発泡層を発泡させつつ完全にゲル化させることにより、発泡倍率4.7倍で厚み1.32mmの発泡層と厚み0.18mmの非発泡層とからなる発泡樹脂層を形成した。
この発泡樹脂層の表面(非発泡層の表面)に、ポリウレタン系接着剤を介して表層を接着することにより、幅×長さ=300mm×300mmの内装シートを作製した。
発泡樹脂用補強層(6)上に、塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(3)を塗布し、この形成材料(3)のうちの幾分かを前記補強層(6)の内部に含浸させつつ前記形成材料(3)の塗膜を形成した。その後、セラミックヒーターを用いて、130℃〜150℃の範囲内で1分間加熱することにより、前記形成材料(3)をプリゲル化させることにより、厚み0.48mmのプレ発泡層を形成した。そのプレ発泡層上に、塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(4)を塗布し、厚み0.30mmの塗膜を形成することにより、2層の積層体を形成した。この積層体の全体を180℃〜210℃の範囲内で2分間加熱することにより、前記プレ発泡層を発泡させつつ完全にゲル化させることにより、発泡倍率3.5倍で厚み1.68mmの発泡層と厚み0.30mmの非発泡層とからなる発泡樹脂層を形成した。
この発泡樹脂層の表面(非発泡層の表面)に、ポリウレタン系接着剤を介して表層を接着することにより、幅×長さ=300mm×300mmの内装シートを作製した。
発泡樹脂用補強層(6)上に、塩化ビニル発泡樹脂層形成材料(3)を塗布し、この形成材料(3)のうちの幾分かを前記補強層(6)の内部に含浸させつつ前記形成材料(3)の塗膜を形成した。その後、セラミックヒーターを用いて、130℃〜150℃の範囲内で1分間加熱することにより、前記形成材料(3)をプリゲル化させることにより、厚み1.20mmのプレ発泡層を形成した。このプレ発泡層を180℃〜210℃の範囲内で3分間加熱することにより、前記プレ発泡層を発泡させつつ完全にゲル化させることにより、発泡倍率3.5倍で厚み4.2mmの発泡樹脂層を形成した。
この発泡樹脂層の表面に、ポリウレタン系接着剤を介して表層を接着することにより、幅×長さ=300mm×300mmの内装シートを作製した。
市販の内装シート((株)サンゲツ製の商品名「リアテック TA−7319」)を比較例1として使用した。この内装シートは、塩化ビニル樹脂製のシートの裏面に粘着剤が塗布された厚み0.2mmのものである。
実施例1で作製した表層のみを、比較例2の内装シートとして用いた。
各実施例及び比較例のそれぞれの内装シートに、施工面の不陸が現れるかどうかを確認するため、次の3種類の試験を行った。
なお、表1における、○は、突起を確認できなかったことを、△は、突起が僅かに確認できたことを、×は、突起が明らかに確認できたことを、それぞれ示す。
表2及び3における、○は、溝又は穴に起因する凹みを確認できなかったことを、△は、前記凹みが僅かに確認できたことを、×は、前記凹みが明らかに確認できたことを、それぞれ示す。
前記鋼板の表面に、厚み0.1mm、縦20mm、横20mmのテープを貼り付けることにより、鋼板の表面に高さ0.1mmの突起部を形成した。このテープを覆うようにして、内装シートをポリウレタン系接着剤を用いて貼り付けた後、内装シートの表面に斜め方向から照明光を当てながら目視で観察すると共に、その表面を指で触って突起の有無を確認した。その結果を表1に示す。さらに、前記テープを2枚、3枚、…と重ね合わせて貼り付けていき、表1に示すような高さの突起部を形成し、同様の試験を行った。
施工面として、厚み3.0mmの塩化ビニル樹脂製の板を準備した。この樹脂板の表面に、幅0.5mm、深さ1.0mmの直線状の溝を形成した。この溝を覆うようにして、樹脂板の表面に、内装シートをポリウレタン系接着剤を用いて貼り付けた後、内装シートの表面に斜め方向から照明光を当てながら目視で観察すると共に、その表面を指で触って突起の有無を確認した。その結果を表2に示す。さらに、樹脂板に形成する溝の幅を表2のように変えて、同様の試験を行った。
施工面として、厚み3.0mmの塩化ビニル樹脂製の板を準備した。この樹脂板の表面に、直径1.1mm、深さ3.0mmの円形の穴を形成した。この穴を覆うようにして、樹脂板の表面に、内装シートをポリウレタン系接着剤を用いて貼り付けた後、内装シートの表面に斜め方向から照明光を当てながら目視で観察すると共に、その表面を指で触って突起の有無を確認した。その結果を表3に示す。さらに、樹脂板に形成する穴の直径を表3のように変えて、同様の試験を行った。
各実施例及び比較例のそれぞれの内装シートの強度を確認するため、次の試験を行った。
施工面として、塩化ビニル樹脂でコーティングされた厚み0.8mm、縦150mm、横70mmの鋼板を準備した。この鋼板の上に、内装シートをポリウレタン系接着剤を用いて貼り付けた。この鋼板と共に内装シートを、水平面に対して45度に傾けて設置した。落下高さ150mmで、図7に示すように、厚み×縦×横=1mm×6mm×24mmの弧状先端部を有する180gの重りを前記内装シートの表面に自然落下させた後、内装シートの表面を目視で観察した。その結果を表4に示す。さらに、落下高さを表4のように変えて、同様の試験を行った。
また、水平面に対する傾斜を30度に傾けて内装シートを設置して、同様の試験を行った。
表4において、○は、表面に重り跡が確認できなかったことを、△は、重り跡が僅かに確認できたことを、▼は、重り跡がはっきりと確認できたことを、×は、シートが破損又は非常に深い凹部が生じたことを、それぞれ示す
2 表層
3 発泡樹脂層
71 第1シート
72 第2シート
9 壁下地
10 浴室の壁面構造
Claims (6)
- 浴室の壁下地又は天井下地に施工される浴室用内装シートであって、
ポリ塩化ビニルを主成分とする樹脂から形成された本体層とガラス繊維不織布を含む補強層とを有する表層と、
前記表層の裏面側に積層され且つ発泡樹脂からなる樹脂層と前記樹脂層の裏面側に積層された補強層とを有する発泡樹脂層と、を有し、前記発泡樹脂層の補強層が、熱可塑性樹脂繊維から形成された不織布、織布、直交布又は網目シートであり、
前記表層の厚みが、0.4mm〜2mmであり、前記発泡樹脂からなる樹脂層の厚みが、表層の厚みよりも大きく且つ1mm〜7mmであり、
全体として可撓性を有し、前記発泡樹脂層を内側にして湾曲し易く且つ前記表層を内側にして湾曲し難い構成とされている、浴室用内装シート。 - 前記発泡樹脂層の樹脂層の発泡倍率が、1.5倍〜5倍である、請求項1に記載の浴室用内装シート。
- 前記発泡樹脂層の補強層が、目付け30g/m 2 〜50g/m 2 の不織布である、請求項1または2に記載の浴室用内装シート。
- 前記発泡樹脂層の樹脂層が、ポリ塩化ビニルを主成分とする発泡樹脂からなる樹脂層であり、
前記本体層の樹脂が前記補強層のガラス繊維に含浸されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の浴室用内装シート。 - 前記表層の補強層が、前記本体層の裏面側に順に積層された第1補強層と第2補強層とを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の浴室用内装シート。
- 浴室の壁下地又は天井下地と、
前記壁下地又は天井下地の表面側に設けられた、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の浴室用内装シートと、を有する浴室の壁面又は天井面構造。
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