JP6060412B2 - 床材、及び床材の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、かかるフローリング材は、表面保護層が剥離することによって、傷が生じたり、或いは、汚れが侵入してそれを除去し難いおそれがある。
本発明の第2の目的は、耐傷付き性及び防汚性に優れた床材を簡易に製造できる方法を提供することである。
本発明の好ましい床材は、前記反応性可塑剤と前記非反応性の可塑剤の質量比が、1:5〜1:10である。
本発明のさらに好ましい床材は、前記表面保護層及び表層が透明であり、前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線硬化性樹脂である。
本発明のさらに好ましい床材は、前記反応性可塑剤が、重合性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方であり、それ自身も重合されている。
本発明の床材の製造方法は、床材本体の上に、塩化ビニル樹脂と、反応性可塑剤と、非反応性の可塑剤と、を含む表層を形成する工程と、前記表層の上に、電離放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方を主成分として含む表面保護層形成材料を塗布して未硬化の塗膜を形成する工程と、を有し、前記未硬化の塗膜の電離放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方を重合させると同時に前記表層に含まれる反応性可塑剤を前記電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーと重合させる。
本発明の製造方法によれば、前記耐傷付き性及び防汚性に優れた床材を簡易に製造することができる。
本明細書において、ある層又は部材の「表面」は、床材を敷設する床面から遠い側の面を指し、「裏面」は、その反対側の面(床材を敷設する床面に近い側の面を指す。
本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
また、各図における、ある層及び部材の厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1は、本発明の床材の1つの実施形態を示す平面図であり、図2は、その床材を厚み方向で切断した断面図の拡大である。
図1及び図2において、本発明の床材1は、床材本体2と、前記床材本体2の上に設けられた表層3と、前記表層3の上に設けられた表面保護層4と、を有する。
必要に応じて、床材本体2と表層3の間に、化粧層24が設けられる。
表層3には、反応性可塑剤が含まれており、その反応性可塑剤が表面保護層4の硬化性樹脂と重合することにより、表面保護層4が表層3に強度に密着している。
床材本体2は、床材1の強度及び重量を構成する主たる部分である。
本発明では、床材本体2は、主として合成樹脂から形成されている。もっとも、床材本体2は、合成樹脂以外を用いて形成することもできる。
前記床材本体2は、例えば、樹脂層22を有し、必要に応じて、前記樹脂層22の裏面に基材層21が設けられ、さらに、前記樹脂層22内には、形状安定化層23が設けられる。
前記基材層21としては、不織布(フェルトを含む)、織布及び紙などが挙げられ、好ましくは不織布又は織布であり、より好ましくは不織布である。不織布又は織布を用いることにより、樹脂層22の合成樹脂成分が基材層21に含浸し、床材1の反りを効果的に防止できる。
不織布及び織布を構成する繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
前記基材層21の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜0.5mmであり、好ましくは0.2mm〜0.4mmである。前記不織布の目付けは特に限定されないが、好ましくは30g/m2〜50g/m2である。
基材層21の厚みが小さすぎる又は目付けが小さすぎると、床材1の反りを十分に防止できないおそれがあり、一方、基材層21の厚みが大きすぎる又は目付けが大きすぎると、基材層21に樹脂層22の樹脂成分が十分に含浸しないおそれがある。
前記樹脂層22の合成樹脂成分としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、一般的には、熱可塑性樹脂が用いられる。
前記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂;オレフィン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル樹脂;エチレン−メタクリレート樹脂などのアクリル樹脂;アミド樹脂;エステル樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどの各種エラストマー;ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用できる。優れた可撓性を有し、さらに、表層3と強固に密着することから、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層が好ましい。塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層22を有する床材1は、柔軟性に優れているので、歩行感が良好であり、さらに、湾曲させながら床面(床材を敷設する施工面)に施工できる。また、塩化ビニル樹脂は、安価である上、これを用いると、床材1の製造も簡易となる。
前記樹脂層22には、通常、上記樹脂以外に各種添加剤が含まれる。添加剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、充填剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤などが挙げられる。
前記樹脂層22の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.2mm〜3mmであり、好ましくは1mm〜2.5mmである。
なお、形状安定化層23を設ける場合、図2に示すように、形状安定化層23は、樹脂層22の厚み方向中間部に設けられていてもよいし、特に図示しないが、樹脂層22の表面に設けられていてもよい。
前記化粧層24は、熱可塑性樹脂によって形成できる。熱可塑性樹脂としては、上記樹脂層22の欄で例示したようなものが挙げられ、樹脂層22と表層3とに強固に密着することから、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。前記化粧層24は、着色剤が混合された熱可塑性樹脂層22から形成されていてもよいし、或いは、着色剤と着色剤の色彩以外の色を呈する樹脂チップとが混合された熱可塑性樹脂層22から形成されていてもよい。また、前記化粧層24は、熱可塑性樹脂層22の上面に直接印刷を施す又は印刷の施された樹脂フィルムを積層することにより形成されていてもよい。
前記化粧層24の厚みは特に限定されないが、例えば、0.01mm〜1mmであり、好ましくは0.01mm〜0.8mmである。
表層3は、表面保護層4を床材本体2から剥がれ難くすると共に床材1に耐久性を付与する層である。化粧層24が設けられている場合には、表層3は、化粧層24の摩耗を防止して床材1の装飾性を維持する層ともなる。
表層3は、透明又は不透明でもよいが、表層3の裏面側に設けられた化粧層24の意匠を視認できるようにするため(化粧層24が設けられていない場合には、床材本体2の着色を視認できるようにするため)、透明であることが好ましい。
なお、本明細書において、ある層が「透明」とは、表面側からその層の表面から見たときに、その層の裏面側にある色彩を視認できる程度に光を透過する性質をいう。
前記表層3の熱可塑性樹脂としては、上記樹脂層22の欄で例示したようなものが挙げられ、好ましくは塩化ビニル樹脂が用いられる。
好ましくは、前記可塑剤として、反応性可塑剤と非反応性の可塑剤とが併用される。反応性可塑剤と非反応性の可塑剤の双方を配合することにより、表層形成材料の配合時の作業性及びその材料の塗布時の作業性を改善でき、一方で、汚れに悪影響を及ぼす非反応性の可塑剤の添加量を抑えつつ床材に必要な柔軟性を付与できる。
前記反応性可塑剤は、反応性希釈剤とも呼ばれ、未重合の状態では可塑剤として作用し、硬化システムにより重合硬化すると共に、表面保護層の硬化性樹脂と反応して前記硬化性樹脂と重合する性質を有する可塑剤である。前記非反応性の可塑剤は、硬化システムによるそれ自身の重合硬化も、表面保護層の硬化性樹脂とも重合しない可塑剤である。
硬化システム(重合開始手段)としては、後述するように、紫外線(UV)などの電離放射線の照射、或いは、可視光線又は赤外線などの非電離放射線の照射が挙げられる。
なお、本明細書において、オリゴマーは、少数のモノマーが重合した重合体を意味し、例えば、2〜20のモノマーが重合した重合体を含み、好ましくは、2〜10のモノマーが重合した重合体を含む。
重合性モノマー又は重合性オリゴマーは、未重合の段階では可塑剤として作用し、紫外線照射などの外部的な重合開始手段を受け、表面保護層の硬化性モノマー又はオリゴマーと重合する。
前記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとして光照射によって重合するものを選択した場合には、これに光重合開始剤が配合される。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
また、前記可塑剤として反応性可塑剤とDOPなどの非反応性の可塑剤を併用する場合、反応性可塑剤の含有量が、非反応性の可塑剤の含有量よりも少ないことが好ましい。反応性可塑剤の含有量が、非反応性の可塑剤の含有量よりも多いと、床材が硬くなりすぎ、床材の施工性に悪影響を及ぼす場合がある。
前記反応性可塑剤と非反応性の可塑剤の質量比(反応性可塑剤:非反応性の可塑剤)は、1:3〜1:20が好ましく、1:5〜1:10がより好ましい。
表層3に前記防滑剤が配合されていることにより、表層3の表面に微細な凹凸が生じ、表面保護層上に乗る足裏が滑り難くなる。前記防滑剤としては、例えば、無機微粒子を用いることができる。無機微粒子としては、ガラスビーズ、アルミナ、ジルコニア、二酸化ケイ素などの微粒子などが挙げられる。無機微粒子の粒径は、好ましくは2μm〜50μmであり、より好ましくは5μm〜30μmである。
前記防滑剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部〜20質量部であり、好ましくは、5質量部〜10質量部である。防滑剤の含有量が大きすぎると、相対的に樹脂及び反応性可塑剤の占める割合が小さくなり、表層3の強度及び表面保護層4との密着性が低下するおそれがある。防滑剤の含有量が小さすぎると、滑り止め効果を奏しないおそれがある。
前記表層3の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜1mmであり、好ましくは0.1mm〜0.7mmであり、より好ましくは0.2mm〜0.5mmである。
表面保護層4は、床材1の最も表面側に位置する層であって、床材1の表面を保護する層である。
表面保護層4は、透明又は不透明でもよいが、表層3の裏面側に設けられた化粧層24の意匠を視認できるようにするため、透明であることが好ましい。
前記硬化性樹脂としては、例えば、熱により硬化する樹脂、電離放射線により硬化する樹脂、非電離放射線により硬化する樹脂などが挙げられる。加工性の良さ及び表層3に熱損傷を与え難いなどの点から、電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましく、さらに、汎用的であることから、紫外線硬化性樹脂を用いることがより好ましい。
前記電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーとしては、分子中に(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性不飽和結合基又はエポキシ基等を有するモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
これらの中では、電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーとして、分子中に(メタ)アクリレート基を有するモノマー又はオリゴマーを用いることが好ましく、さらに、ウレタン(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
前記硬化性モノマー又はオリゴマーの分子量は、特に限定されないが、例えば、200〜10000の範囲内などが挙げられる。
表面保護層4は、前記硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくとも何れか一方が重合して高分子化した硬化性樹脂を含む比較的硬質の層である。この表面保護層4の硬化性樹脂と表層3の反応性可塑剤とは重合しているため、表面保護層4は、表層3に強固に密着している。
前記表面保護層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜70μmであり、より好ましくは10μm〜50μmである。
さらに、従来の床材にあっては、表面保護層の表面に付着した汚れは洗剤などで容易に除去できるが、表面保護層に生じた亀裂などから床材の内部に侵入した汚れは容易に除去できない。
この点、本発明の床材1は、表層3の反応性可塑剤がそれ自身重合し且つ表層3の表面強度が向上しているので、表層3の内部にまで汚れが侵入し難い。このため、例えば、表面保護層4に亀裂などが生じ、そこから汚れが侵入して表層3の表面に付着しても、その汚れを洗剤などで除去できるようになる。
本発明の床材は、例えば、次の工程を経て製造することができる。
(床材本体の形成工程)
床材本体の形成工程は、床材本体を形成する工程である。
例えば、樹脂層形成材料を、展開用フィルムなどの展開面に塗布して塗膜を形成する。化粧層を設ける場合には、前記展開用フィルムとして、上述の樹脂チップとが混合された熱可塑性樹脂層、所要の着色又は印刷の施された樹脂フィルムなどが用いられる。
形状安定化層を設ける場合には、前記樹脂層形成材料の塗膜の上に、形状安定化層となる不織布などを積層し、その上から、前記樹脂層形成材料を重ね塗布して塗膜を形成する。さらに、基材層を設ける場合には、その塗膜の上に、基材層となる不織布などを積層する。
このようにして、基材層、樹脂層、形状安定化層、樹脂層及び化粧層が順に積層された未固化の床材本体を得ることができる。
前記樹脂層形成材料は、その粘度が3000Pa・s〜8000Pa・sであるものが好ましい。かかる粘度の樹脂層形成材料は、良好に塗布できる上、形状安定化層や基材層である不織布などの繊維間に含浸し易い。
本明細書において、粘度は、20℃で、リオン株式会社製の粘度計(商品名「ビスコテスタ」)を用いて測定できる。
表層の形成工程は、前記未固化の床材本体の表面に表層を形成する工程である。
例えば、表層形成材料を前記化粧層の表面に塗布して塗膜を形成する。
表層形成材料は、前記表層の欄で述べたような、熱可塑性樹脂、反応性可塑剤を含む可塑剤及びその他の成分からなり、好ましくは、塩化ビニル樹脂ペースト、反応性可塑剤、非反応性の可塑剤及びその他の成分からなる。
反応性可塑剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部〜20質量部配合され、好ましくは2質量部〜10質量部配合される。非反応性の可塑剤は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、9質量部〜80質量部配合され、好ましくは18質量部〜50質量部配合される。
前記表層形成材料は、その粘度が3000Pa・s〜8000Pa・sであるものが好ましい。かかる粘度の表層形成材料は、良好に塗布できる上、表面保護層と強固に密着する。
つまり、反応性可塑剤を使用することにより、相対的に非反応性の可塑剤の使用を減らしつつ、表層形成材料の良好な塗工性を維持できる。
得られた表層は、非反応性の可塑剤の含有量が少ないので、表層の表面に、その可塑剤がブリードアウトすることを抑制でき、耐傷付き性及び防汚性に優れた床材を構成できる。
床材本体の固化工程は、未固化の床材本体を硬化させる工程である。
熱可塑性樹脂が樹脂ペーストである場合には、前記未固化の床材本体の表面上に、表層形成材料の塗膜を形成した後、その全体を加熱することにより、樹脂層形成材料の塗膜及び表層形成材料の塗膜をプリゲル化できる。加熱手段は特に限定されないが、例えば、電熱ヒーターなどが挙げられる。
なお、この段階では、反応性可塑剤は、それ自身重合していない。
加熱時間は、樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、塩化ビニル系樹脂ペーストである場合には、好ましくは40秒〜65秒であり、より好ましくは45秒〜60秒である。
加熱温度が低すぎる又は加熱時間が短すぎると、プリゲル化が十分に行われず、次の工程で破損するおそれがある。加熱温度が高すぎる又は加熱時間が長すぎると、塗膜の表面が完全に固化し、次の工程において表面保護層を一体的に積層接着できないおそれがある。
表面保護層の形成工程は、前記表層の表面上に表面保護層を形成する工程である。
例えば、表面保護層形成材料を前記表層の表面に塗布して未硬化の塗膜を形成する。
表面保護層形成材料は、前記表面保護層の欄で述べたような、硬化性モノマー又はオリゴマー及びその他の成分からなり、これらが溶剤に溶解又は分散されている。
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタノン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
また、前記表面保護層形成材料を良好に塗布できるようにするため、表面保護層形成材料の粘度は1500Pa・s〜3000Pa・sが好ましい。粘度の調整は、溶剤の量によって行うことができる。
前記表面保護層形成材料を塗布して得られた、未硬化の塗膜を、必要に応じて乾燥し、その塗膜から溶剤を揮発させる。
前記市販の組成物は、硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくとも何れか一方と光重合開始剤とを含み、さらに、溶剤、レベリング剤、微粒子、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤及びチクソトロピー化剤などから得らばれる少なくとも1種の添加剤が含まれている。かかる市販の組成物は、そのまま又は必要に応じて粘度調製をした上で、表層に塗布することにより、前記未硬化の塗膜を形成できる。
前記市販の組成物としては、代表的には、紫外線硬化性の樹脂組成物が挙げられ、具体的には、例えば、オーレックス(中国塗料(株)製)、アデカオプトマー(旭電化工業(株)製)、コーエイハード(広栄化学工業(株)製)、セイカビーム(大日精化工業(株)製)、EBECRYL(ダイセル・サイテック(株)製)、ユニディック(DIC(株)製)、サンラッド(三洋化成工業(株)製)などが挙げられる。
前記重合開始手段は、硬化性モノマー又はオリゴマーの種類に応じて適宜選択される。硬化性モノマーなどが熱硬化性である場合には、重合開始手段は、加熱であり、硬化性モノマーなどが電離放射線硬化性である場合には、重合開始手段は、電離放射線の照射であり、硬化性モノマーなどが非電離放射線硬化性である場合には、重合開始手段は、非電離放射線の照射である。
電離放射線を照射する装置としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素の線源などが挙げられる。電離放射線の照射量は、硬化性モノマーなどに応じて適宜設定されるが、例えば、紫外線波長365nmでの積算光量で、50〜5,000mJ/cm2程度が挙げられる。
本発明の製造方法によれば、表面保護層を硬化させること、及び、表面保護層の硬化性樹脂と表層の反応性可塑剤とを重合させることを、1つの処理にて行うことができるので、比較的簡易に床材を製造できる。
(使用材料)
(1)ペースト塩化ビニル樹脂:(株)カネカ製、グレード「PSH985」。K値94。
(2)ブレンド塩化ビニル樹脂:(株)カネカ製、グレード「PBMB5G」。K値68。
(3)非反応性の可塑剤:ジ−2エチルヘキシルフタレート((株)ジェイ・プラス製)。
(4)反応性可塑剤:トリメチロールプロパントリメタクリレート(DIC(株)製)。
(5)硬化性樹脂塗料:ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂塗料(中国塗料(株)製、製品名「オーレックス UV145TK」)。この塗料は、ウレタンアクリレートモノマー及びオリゴマー、ベンゾインエーテルなどの光重合開始剤、消泡剤、レベリング剤、つや消し剤などを含み、それ自体、塗工可能な液状のものである。
(6)光重合開始剤:ベンゾインイソプロピルエーテル(精工化学(株)製、製品名「性クオール BIP(E)」)。
上記ペースト塩化ビニル樹脂60質量部、ブレンド塩化ビニル樹脂40質量部、非反応性の可塑剤37質量部、反応性可塑剤5質量部、光重合開始剤0.05質量部、及び安定剤などを適量配合し、十分に混合して、表層形成材料を調製した。
この表層形成材料を、不織布が積層されたシート(オリベスト(株)製)の上に、アプリケータ法により均一な厚みで塗布した後、200℃のオーブンで3分間加熱してゲル化させ、その後自然冷却することにより、厚み350μmの表層を形成した。
この表面保護層形成材料を、前記表層の上に、ローラーコート法により均一な厚みで塗布した後、直ちに空気中において有電極紫外線ランプで紫外線を照射することにより、硬化性モノマー又はオリゴマーを重合させて、厚み20μmの表面保護層を形成した。
このようにして実施例の床材を作製した。
比較例の床材は、表面保護層を形成しなかったこと以外は、上記実施例と同様である。
実施例及び比較例の床材を、東京工業大学汚れ試験方法に準じて、その表面への汚れ付着性及びその汚れの洗浄性を調べた。具体的な試験方法は、下記の通りである。
実施例及び比較例の床材を縦×横=15cm×15cmの矩形状に裁断し、実施例及び比較例のそれぞれについて3枚のサンプルを作製した。この3つのサンプルの表面保護層とは反対側の面を、回転式試験機(安田精機(株)製、商品名:東工大式汚れ試験機)の正六角柱状の中空容器(六角柱の6つの側面の大きさがそれぞれ、縦(軸方向)×横(周方向)=16.0cm×16.3cm)の側面内壁に両面テープを用いて貼り付けた。この中空容器内に、150gの炭化ケイ素(No.80)、2gの粉末パステル及び110gの鉄球10個(直径3cm)を入れ、この容器を時計回りに3分間回転(回転速度:20回転/分)させた。
続いて、各サンプルの表面をそのサンプルの表面を、弱アルカリ洗剤((株)リンレイ製、製品名「ネオラクリーン」を25倍に希釈したもの)を滲み込ませたモップを人力で100往復させて清掃した。
清掃後の各サンプルの表面を目視で5段階評価し、3つのサンプルの平均値を取った。その結果、実施例の床材は、評価4.5であり、比較例の床材は、評価3であった。
容器内に入れる粉末パステルの量を0.1gに変更したこと以外は、防汚性試験1と同様にして、床材を汚染させた後、清掃し、その表面を目視で5段階評価した。その結果、実施例の床材は、評価5であり、比較例の床材は、評価4であった。
実施例及び比較例の床材を、縦×横=22cm×22cmの矩形状に裁断し、実施例及び比較例のそれぞれについて3枚のサンプルを作製した。この3枚のサンプルの表面保護層とは反対側の面を、縦×横×高=52cm×52cm×45cmの立方体状の中空容器の内壁に貼り付けた。この中空容器内に、縦横高=5cm×5cm×5cmの立方体状のゴム片を6個入れ、この容器を時計回りに15分間回転(回転速度:60回転/分)させ、次に、反時計回りに15分間回転(回転速度:60回転/分)させた。
続いて、各サンプルの表面(実施例の場合には、表面保護層の表面。比較例の場合には、表層の表面)を、弱アルカリ洗剤((株)リンレイ製、製品名「ネオラクリーン」を25倍に希釈したもの)を滲み込ませたモップを用いて、を人力で100往復させて清掃した。
清掃後の表面を目視で5段階評価し、3つのサンプルの平均値を取った。その結果、実施例の床材は、評価4.5であり、比較例の床材は、評価3.5であった。
容器の回転時間を、時計回りに1分30秒回転、反時計回りに1分30秒回転に変更したこと以外は、防汚性試験3と同様にして、床材を汚染させた後、清掃し、その表面を目視で5段階評価した。その結果、実施例の床材は、評価5であり、比較例の床材は、評価4であった。
2 床材本体
3 表層
4 表面保護層
Claims (6)
- 床材本体と、前記床材本体の上に設けられた表層と、前記表層の上に設けられた表面保護層と、を有し、
前記表面保護層が、電離放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方が重合した電離放射線硬化性樹脂を主成分として含み、
前記表層が、塩化ビニル樹脂と、前記電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーに重合可能な反応性可塑剤と、非反応性の可塑剤と、を含み、
前記反応性可塑剤が、前記電離放射線硬化性樹脂と重合されている、床材。 - 前記反応性可塑剤が、光照射によって重合を開始する可塑剤である、請求項2に記載の床材。
- 前記反応性可塑剤と前記非反応性の可塑剤の質量比が、1:5〜1:10である、請求項1又は2に記載の床材。
- 前記表面保護層及び表層が透明であり、
前記電離放射線硬化性樹脂が、紫外線硬化性樹脂である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床材。 - 前記反応性可塑剤が、重合性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方であり、それ自身も重合されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の床材。
- 床材本体の上に、塩化ビニル樹脂と、反応性可塑剤と、非反応性の可塑剤と、を含む表層を形成する工程と、
前記表層の上に、電離放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方を主成分として含む表面保護層形成材料を塗布して未硬化の塗膜を形成する工程と、を有し、
前記未硬化の塗膜の電離放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの少なくともいずれか一方を重合させると同時に前記表層に含まれる反応性可塑剤を前記電離放射線硬化性モノマー又はオリゴマーと重合させる、床材の製造方法。
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