本発明は、有機電界発光素子の構成成分として有用なトリアジン化合物、更に詳しくは分子内にアルキル基が置換されたフェニル基を有する事を特徴とするトリアジン化合物、及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。
有機電界発光素子は、発光材料を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟み、さらにその外側に陽極と陰極を取付け、発光層に注入された正孔及び電子の再結合により生ずる励起子が失活する際の光の放出(蛍光又はりん光)を利用する素子であり、小型のディスプレイだけでなく大型テレビや照明等へ応用されている。なお、正孔輸送層は正孔輸送層と正孔注入層に、発光層は、電子ブロック層と発光層と正孔ブロック層に、電子輸送層は電子輸送層と電子注入層に分割して構成される場合もある。また、有機電界発光素子のキャリア輸送層(電子輸送層又は正孔輸送層)として、金属、有機金属化合物又はその他有機化合物をドープした共蒸着膜を用いる場合もある。
従来の有機電界発光素子は、無機発光ダイオードに比べて駆動電圧が高く、発光輝度や発光効率も低く、素子寿命も著しく低く、幅広い分野での実用化には至っていなかった。最近の有機電界発光素子は前記欠点が徐々に改良されており、モバイル用途を中心に実用化が始まっている。しかしながら、更なる用途拡大には性能向上が必須であり、発光高効率特性、長寿命特性のより優れた材料が求められている。
有機電界発光素子用の材料として、特許文献1で開示されたトリアジン化合物が挙げられる。しかしながら、発光効率の向上及び長寿命特性の改善の点で更なる改良が求められていた。
本発明は、従来公知のトリアジン化合物に比べて、有機電界発光素子の発光効率及び寿命特性を顕著に向上させる特定のトリアジン化合物を提供することをその目的とする。また、本発明は、当該特定のトリアジン化合物を用いてなる発光効率及び長寿命特性に優れた有機電界発光素子用材料を提供することをその目的とする。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表される、アルキル基が置換されたフェニル基を有する事を特徴とするトリアジン化合物を電子輸送層として用いた有機電界発光素子が、従来公知の材料を用いたときに比べて、顕著に高発光効率化、及び長寿命化を示すことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるトリアジン化合物(以下、トリアジン化合物(1)と称する)及びそれを含有する有機電界発光素子に関するものである。
(一般式(1)中、Ar1は、同一の基を表し、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基(これらの基は、炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基で置換されていてもよい。)を表す。Ar2は、炭素数10〜18の多環芳香族炭化水素基(該基は、フェニル基又は炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基で置換されていてもよい。)を表す。Rは、炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基を表す。nは、1〜5の整数を表す。)
本発明のトリアジン化合物は、電子輸送層として用いた際に従来公知のトリアジン化合物に比べて、発光効率及び長寿命特性が顕著に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物に関するものである。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物において、Ar1は、同一の基を表し、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基(これらの基は、炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基で置換されていてもよい。)を表す。前記ナフチル基としては、特に限定するものではないが、例えば、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。このうち、有機電界発光素子性能が優れる点で1−ナフチル基が好ましい。また、前記ビフェニル基としては、特に限定するものではないが、例えば、1,1’−ビフェニル−2−イル基、1,1’−ビフェニル−3−イル基、1,1’−ビフェニル−4−イル基が挙げられる。このうち、有機電界発光素子性能が優れる点で、1,1’−ビフェニル−3−イル基が好ましい。前記炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基としては、特に限定する物ではないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、又はt−ブチル基等が挙げられる。このうち、有機電界発光素子性能が優れる点でメチル基が好ましい。
すなわち、Ar1は、有機電界発光素子の寿命に優れる点で、同一の基を表し、無置換のフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のビフェニリル基であることが好ましく、同一の基を表し、フェニル基、1−ナフチル基、又は1,1’−ビフェニル−3−イル基であることがより好ましく、合成が容易な点でフェニル基であることがより好ましい。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物において、Ar2は、炭素数10〜18の多環芳香族炭化水素基(該基は、フェニル基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。)を表す。前記炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基としては、特に限定する物ではないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、又はt−ブチル基等が挙げられる。このうち、有機電界発光素子性能が優れる点でメチル基が好ましい。また、前記炭素数10〜18の多環芳香族炭化水素基としては、特に限定する物ではないが、例えば、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、又はフルオランテニル基が挙げられ、より具体的な例として、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、2−フルオレニル基、4−フルオレニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−トリフェニレニル基、2−トリフェニレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、7−フルオランテニル基、又は8−フルオランテニル基等が挙げられ、好ましい例として挙げられ、2−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−アントリル基、又は9−アントリル基がより好ましい例として挙げられる。
Ar2としては、有機電界発光素子性能が優れる点で、無置換の炭素数10〜18の多環芳香族炭化水素基又はフルオレニル基(該基は、メチル基又はフェニル基有していてもよい)であることが好ましく、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、又はフルオランテニル基であることがより好ましく、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−ピレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジメチルフルオレン−4−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−4−イル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−トリフェニレニル基、2−トリフェニレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、7−フルオランテニル基、又は8−フルオランテニル基であることがより好ましく、2−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−アントリル基、又は9−アントリル基であることがより好ましい。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物において、Rは、炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基を表す。前記炭素数1〜4の直鎖、分岐、又は環状アルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、又はt−ブチル基等が挙げられる。このうち、有機電界発光素子性能が優れる点でメチル基が好ましい。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物において、nは、1〜5の整数を表す。このうち、合成が容易な点で1〜3の整数が好ましい。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物については、有機電界発光素子性能が優れる点で、下記一般式(1a)〜(1c)のいずれかで表されるものが好ましい。
(式中、Ar1、Ar2、及びRは、一般式(1)と同義である。)
一般式(1a)、(1b)、及び(1c)におけるAr1、Ar2、及びRの好ましい範囲については、一般式(1)と同じである。
また、一般式(1)で示されるトリアジン化合物については、有機電界発光素子性能が優れる点で、下記一般式(1d)〜(1f)のいずれかで表されるものがより好ましい。
(式中、Ar1、及びAr2は、一般式(1)と同義である。)
一般式(1d)、(1e)、及び(1f)におけるAr1、及びAr2の好ましい範囲については、一般式(1)と同じである。
一般式(1)で示されるトリアジン化合物の具体例としては、以下の(A−1)から(A−81)を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本願の一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、一般公知の化合物(例えば、特開2008−280330等に開示)、試薬、並びに一般公知の方法を用いて、一般公知の方法に従って、製造することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子について説明する。
有機電界発光素子における発光層は、広義の意味では、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する層のことを指す。具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する蛍光性化合物を含有する層のことを指す。通常、有機電界発光素子は一対の電極の間に発光層を挟持した構造をとる。
本発明の有機電界発光素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層、陽極バッファー層及び陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で挟持された構造をとる。具体的には以下に示される構造が挙げられる。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明の有機電界発光素子における発光層には、従来公知の発光材料を用いることができる。発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜を形成する方法がある。
又、この発光層は、樹脂などの結着材と共に発光材料を溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法などにより塗布して薄膜形成することにより得ることができる。このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
次に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等、発光層と組み合わせて有機電界発光素子を構成するその他の層について説明する。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入される。
また、陰極から注入され、電子注入層及び/又は電子輸送層より発光層に輸送された電子は、発光層と正孔注入層もしくは正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、正孔注入層もしくは正孔輸送層に漏れることなく発光層内の界面に累積され、発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。
上記正孔注入材料、正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などがあげられる。
又、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
本発明の有機電界発光素子において、電子輸送層は上記一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含むものである。
当該電子輸送層は、上記一般式(1)で表されるトリアジン化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層の膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。また、この電子輸送層は、一般式(1)で表されるトリアジン化合物を含み、かつ従来公知の電子輸送材料を含んでいてもよく、一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、或いは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
又、本発明においては、発光材料は発光層のみに限定することはなく、発光層に隣接した正孔輸送層、又は電子輸送層に1種含有させてもよく、それにより更に有機電界発光素子の発光効率を高めることができる。
本発明の有機電界発光素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、又、透明のものであれば特に制限はない。本発明の有機電界発光素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。
まず適当な基板上に、所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる薄膜を形成させる。
なお、陽極と発光層又は正孔注入層の間、及び、陰極と発光層又は電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
更に上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば正孔ブロック層、電子ブロック層などのような機能層を有していてもよい。
次に、本発明の有機電界発光素子の電極について説明する。有機電界発光素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、酸化インジウム−スズ(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
上記陽極は蒸着やスパッタリングなどの方法によりこれらの電極物質の薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いは蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
前記の様に、適当な基板上に所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製した後、該陽極上に前記の通り正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる各層薄膜を形成させた後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陰極を設け、所望の有機電界発光素子が得られる。
本発明の有機電界発光素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。又、異なる発光色を有する本発明の有機電界発光素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
実施例で作製する単層素子の断面模式図である。
実施例で作製する単層素子の断面模式図である。
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.電荷発生層
4.正孔輸送層
5.発光層
6.電子輸送層
7.陰極層
11.ITO透明電極付きガラス基板
12.正孔注入層
13.電荷発生層
14.正孔輸送層
15.発光層
16.正孔ブロック層
17.電子輸送層
18.陰極層
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
FDMS測定は、日立製作所製のM−80Bを用いて行った。
1H−NMR測定は、Gemini200(バリアン社製)を用いて行った。
有機電界発光素子の発光特性は、室温下、作製した素子に直流電流を印加し、LUMINANCEMETER(BM−9)(TOPCON社製)の輝度計を用いて評価した。
合成例−1
アルゴン気流下、2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(70.0g,0.166mol)、9−フェナントレンボロン酸(38.6g,0.174mol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.83g,3.31mmol)をテトラヒドロフラン(1000mL)に懸濁し、得られた懸濁液に4.0M―水酸化ナトリウム水溶液(124mL,0.497mol)を滴下した。得られた混合物を70℃で24時間撹拌した。放冷後、水(550mL)を加え、析出した固体を濾別し、水、メタノール、ヘキサンで固体を洗浄した。再結晶(トルエン)することで、反応中間体である2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの白色固体(収量78.9g、収率92%)を得た。
合成例−2
アルゴン気流下、合成例−1で得られた2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(5.20g,10mmol)、ビスピナコラートジボロン(3.81g,15mmol)、酢酸パラジウム(22.5mg,0.10mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(95.4mg,0.20mmol)、及び酢酸カリウム(2.95g,30mmol)を1,4−ジオキサン(200mL)に懸濁し、100℃で4時間撹拌した。放冷後、濾過により沈殿成分を除去した。クロロホルム(200mL)、水(100mL)を加えて撹拌した後、水層と有機層を分離した。更に、水層をクロロホルム(50mL)で3回抽出し、有機層と合わせた。有機層から低沸点成分を減圧留去して、固体の粗生成物を得た。ヘキサンを加えて0℃に冷却しながら撹拌・懸濁させ、得られた個体を濾取した。得られた固体を減圧乾燥することで、2−[3−{(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)}−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの乳白色粉末(収量6.07g,収率99%)を得た。
1H―NMR(CDCl3)δ(ppm):1.43(s,12H),7.51―7.75(m,10H),7.82(s,1H),7.89―7.98(m,2H),8.23(brs,1H),8.75―8.81(m,5H),8.83(brd,J=8.2Hz,1H),9.01(brs,1H),9.24(brs,1H).
合成実施例−1
窒素気流下、合成例−1で得られた2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(1.50g,2.88mmol)、4−メチルフェニルボロン酸(471mg,3.46mmol)、炭酸カリウム(1.20g,8.65mmol)、酢酸パラジウム(13.0mg,0.058mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(55.0mg、0.115mmol)、テトラヒドロフラン(75mL)、及び水(7.5mL)を300mL 4つ口フラスコに加え、65℃で3時間撹拌した。続いて、反応液に4−メチルフェニルボロン酸(235mg,1.73mmol)を加えて、65℃で48時間撹拌した。得られた反応液を室温まで放冷後、反応混合物に水(100mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取した析出物を純水、メタノール、ヘキサンで順次洗浄し、灰色粉末を得た。得られた灰色粉末をトルエンで再結晶することにより精製し、目的物である4,6−ジフェニル−2−[3−(4−メチルフェニル)−5−(9−フェナントリル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物 A−46)の灰色粉末(収量1.33g,収率80%,LC純度99.26%)を得た。
FDMS:575
合成実施例−2
窒素気流下、合成例−1で得られた2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(1.50g,2.88mmol)、3,5−ジメチルフェニルボロン酸(519mg,3.46mmol)、炭酸カリウム(1.20g,8.65mmol)、酢酸パラジウム(13.0mg,0.058mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(55.0mg、0.115mmol)、テトラヒドロフラン(75mL)、及び水(7.5mL)を300mL 4つ口フラスコに加え、65℃で3時間撹拌した。続いて、反応液に3,5−ジメチルフェニルボロン酸(260mg,1.73mmol)を加えて、65℃で48時間撹拌した。得られた反応液を室温まで放冷後、反応混合物に水(100mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取した析出物を純水、メタノール、ヘキサンで順次洗浄し、灰色粉末を得た。得られた灰色粉末をトルエンで再結晶することにより精製し、目的物である2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物 A−50)の灰色粉末(収量1.56g,収率92%,LC純度99.37%)を得た。
FDMS:589
合成実施例−3
窒素気流下、合成例−1で得られた2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(1.00g,1.92mmol)、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(378mg,2.31mmol)、酢酸パラジウム(13.0mg,0.058mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(55.0mg、0.115mmol)、テトラヒドロフラン(50mL)、及び2Mの炭酸カリウム水溶液(2.88mL,5.77mmol)を300mL 4つ口フラスコに加え、65℃で3時間撹拌した。続いて、反応液に2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(300mg,1.83mmol)を加えて、65℃で48時間撹拌した。得られた反応液を室温まで放冷後、反応混合物に水(100mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取した析出物を純水、メタノール、ヘキサンで順次洗浄し、灰色粉末を得た。得られた灰色粉末をトルエンで再結晶することにより精製し、目的物である4,6−ジフェニル−2−[5−(9−フェナントリル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物 A−53)の灰色粉末(収量0.93g,収率80%,LC純度99.50%)を得た。
FDMS:603
合成例−3
窒素気流下、2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(30.0g,71.0mmol)、9−アントラセンボロン酸(18.9g,85.2mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.820g,0.710mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に懸濁し、得られた懸濁液に4.0M―水酸化ナトリウム水溶液(53.2mL,213mmol)を滴下した。得られた混合物を70℃で5時間撹拌した。放冷後、水(200mL)を加え、析出した固体を濾別し、水、メタノールで固体を洗浄した。得られた固体を再結晶(トルエン)することで、目的物である2−[5−(9−アントリル)−3−クロロフェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの薄黄色固体(収量32.7g、収率89%)を得た。
合成実施例−4
窒素気流下、合成例−3で得られた2−[5−(9−アントリル)−3−クロロフェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(5.00g,9.62mmol)、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(1.89g,11.5mmol)、酢酸パラジウム(43.2mg,0.192mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(183mg、0.385mmol)、テトラヒドロフラン(100mL)、及び4.0Mの水酸化ナトリウム水溶液(6.41mL,19.2mmol)を500mL 3つ口フラスコに加え、65℃で5時間撹拌した。続いて、反応液に2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(1.89g,11.5mmol)を加えて、65℃で13時間撹拌した。得られた反応液を減圧下で濃縮後、析出物をろ取した。ろ取した析出物を純水、メタノール、ヘキサンで順次洗浄し、目的物である4,6−ジフェニル−2−[5−(9−アントリル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物 A−26)の薄黄色粉末(収量5.74g,収率99%,LC純度99.50%)を得た。
FDMS:603
合成参考例−1
窒素気流下、合成例−1で得られた2−[3−クロロ−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(1.00g,1.92mmol)、フェニルボロン酸(282mg,2.31mmol)、酢酸パラジウム(13.0mg,0.058mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(55.0mg、0.115mmol)、1,4−ジオキサン(50mL)、及び2Mのリン酸三カリウム水溶液(2.88mL,5.77mmol)を300mL 4つ口フラスコに加え、95℃で6時間撹拌した。得られた反応液を室温まで放冷後、反応混合物に水(100mL)を加え、析出物をろ取した。ろ取した析出物を純水、メタノール、ヘキサンで順次洗浄し、灰色粉末を得た。得られた灰色粉末をトルエンで再結晶することにより精製し、目的物である4,6−ジフェニル−2−[5−(9−フェナントリル)−ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(化合物 ETL−1)の灰色粉末(収量0.70g,収率65%,LC純度99.60%)を得た。
素子評価に用いた化合物の構造式及びその略称を以下に示す。
素子実施例−1
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面模式図を図1に示すような発光面積4mm2有機電界発光素子を作製した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。
その後、図1の1で示すITO透明電極付きガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、電荷発生層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、及び陰極層7を、この順番に積層させながら、いずれも真空蒸着で成膜した。
正孔注入層2としては、昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で65nm成膜した。
電荷発生層3としては、昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜した。
正孔輸送層4としては、HTLを0.15nm/秒の速度で10nm成膜した。
発光層5としては、EML−1とEML−2を95:5(重量比)の割合で25nm成膜した(成膜速度0.18nm/秒)。
電子輸送層6としては、本発明の合成実施例−3で合成した4,6−ジフェニル−2−[5−(9−フェナントリル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物 A−53)及びLiqを50:50(重量比)の割合で30nm成膜した(成膜速度0.15nm/秒)。
最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層7を成膜した。陰極層7は、銀/マグネシウム(重量比1/10)と銀を、この順番に、それぞれ80nm(成膜速度0.5nm/秒)と20nm(成膜速度0.2nm/秒)で製膜し、2層構造とした。
それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
素子参考例−1
素子実施例−1において、電子輸送層6に合成参考例−1で合成した4,6−ジフェニル−2−[5−(9−フェナントリル)−ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(化合物 ETL−1)を用いた以外は、素子実施例−1と同じ方法で有機電界発光素子を作成した。
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cm2を流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定し、連続点灯時の素子寿命を測定した。なお、当該素子寿命は、初期輝度を800cd/m2で駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m2)が25%減じるまでに要した時間を測定したうえで、素子参考例−1において輝度(cd/m2)が25%減じるまでに要した時間を100とした時の相対値で表した。結果を以下に示す。
素子実施例−2
基板には、2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面模式図を図2に示すような発光面積4mm2有機電界発光素子を作製した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10−4Paまで減圧した。
その後、図2の11で示すITO透明電極付きガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層12、電荷発生層13、正孔輸送層14、発光層15、正孔ブロック層16、電子輸送層17、及び陰極層18を、この順番に積層させながら、いずれも真空蒸着で成膜した。
正孔注入層12としては、昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で65nm成膜した。
電荷発生層13としては、昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜した。
正孔輸送層14としては、HTLを0.15nm/秒の速度で10nm成膜した。
発光層15としては、EML−1とEML−2を95:5(重量比)の割合で25nm成膜した(成膜速度0.18nm/秒)。
正孔ブロック層16としては、本発明の合成実施例−2で合成した2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物A−50)を0.15nm/秒の速度で5nm成膜した。
電子輸送層17としては、ETL−2(特開2008−280330、実施例6に記載)及びLiqを50:50(重量比)の割合で25nm成膜した(成膜速度0.15nm/秒)。
最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層18を成膜した。陰極層18は、銀/マグネシウム(重量比1/10)と銀を、この順番に、それぞれ80nm(成膜速度0.5nm/秒)と20nm(成膜速度0.2nm/秒)で製膜し、2層構造とした。
それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
素子参考例−2
素子実施例−2において、正孔ブロック層6に2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)−5−(9−フェナントリル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(化合物A−50)を用いる代わりに、合成参考例−1で合成した4,6−ジフェニル−2−[5−(9−フェナントリル)−ビフェニル−3−イル]−1,3,5−トリアジン(化合物 ETL−1)を用いた以外は、素子実施例−2と同じ方法で有機電界発光素子を作製した。
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cm2を流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定し、連続点灯時の素子寿命を測定した。なお、当該素子寿命は、初期輝度を1000cd/m2で駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m2)が25%減じるまでに要した時間を測定したうえで、素子参考例−2において輝度(cd/m2)が25%減じるまでに要した時間を100とした時の相対値で表した。結果を以下に示す。
表1より、参考例に比べて、本発明のアジン化合物を用いた有機電界発光素子は、発光効率及び素子寿命において顕著に優れることが見出された。
本発明は、有機電界発光素子の電子輸送層として用いることで素子の低電圧駆動、高効率化及び長寿命化を可能にする新規構造を有するトリアジン化合物を提供し、さらに当該化合物を用いた低電圧化を備えた有機電界発光素子を提供するものである。