JP6840612B2 - 細胞培養器具 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養器具に関する。
細胞培養を行なう際に、細胞培養容器に振動が伝わると、細胞の培養状態が影響を受けることが知られている。そのため、細胞培養中に細胞培養容器に加えられた振動を検出し、その結果を、培養状態の解析に利用可能にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−202030号公報
しかしながら、細胞の培養時に培養細胞に加えられる振動を抑える技術については、十分に検討されていなかった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、細胞培養器具が提供される。この細胞培養器具は、細胞を培養するための空間を形成して上面で開口するウェルが設けられたプレートと;プレートの下面の少なくとも一部に設けられたエラストマー層と;エラストマー層の下面に設けられて前記細胞培養器具の設置面と接触し、前記エラストマー層よりも硬度が高い粘着抑制層と;を備える。この形態の細胞培養器具によれば、プレートの下面の少なくとも一部にエラストマー層が設けられているため、細胞培養器具の設置面を介して細胞培養器具に加えられた振動を、エラストマー層が吸収できる。その結果、プレートおよびウェル内の培養細胞に振動が伝えられることを抑制し、振動の影響を抑えた細胞培養が可能になる。そして、振動に起因する細胞増殖の抑制を抑えることができる。さらに、エラストマー層の下面に粘着抑制層が設けられているため、細胞培養器具が設置面に対して示す粘着性を抑えることができる。その結果、細胞培養器具を設置面から持ち上げる際に、細胞培養器具に振動が加えられることを抑えることができる。
(2)上記形態の細胞培養器具において、 前記エラストマー層は、日本ゴム協会標準規格(SRIS 0101)に規定されるアスカーC硬度が5〜50であることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、細胞培養器具に加えられる振動をエラストマー層が吸収する効果を、より高めることができる。
(3)上記形態の細胞培養器具において、前記粘着抑制層は、JIS K6253によるA硬度が30以上であることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、細胞培養器具が設置面に対して示す粘着性を抑える効果を、より高めることができる。
(4)上記形態の細胞培養器具において、さらに、前記ウェル内に配置されて細胞の足場となる細胞培養膜を備えることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、細胞培養膜は、細胞培養器具に振動が加えられたときに、ウェルの底面に比べてより大きく振動し易いため、培養細胞が振動の影響を受けやすい。そのため、エラストマー層および粘着抑制層を設けることによる振動抑制の効果を、より顕著に得ることができる。
(5)上記形態の細胞培養器具において、前記細胞培養膜は、ポリウレタン膜であることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、柔軟で細胞培養に適したポリウレタン膜によって細胞培養膜を構成しつつ、培養細胞に加えられる振動を抑制することができる。
(6)上記形態の細胞培養器具において、前記細胞培養膜は、膜厚が0.1〜100μmの多孔質膜であることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、柔軟で細胞培養に適した多孔質膜によって細胞培養膜を構成しつつ、エラストマー層および粘着抑制層を設けることによる振動抑制の効果を、より顕著に得ることができる。
(7)上記形態の細胞培養器具において、前記多孔質膜が有する細孔の少なくとも一部が、膜厚方向に貫通していることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、柔軟で細胞培養に適しており、両面培養も可能な多孔質膜によって細胞培養膜を構成しつつ、培養細胞に加えられる振動を抑制することができる。
(8)上記形態の細胞培養器具は、さらに、筒状部材を備え、前記細胞培養膜は、前記筒状部材の端部を覆うように配置されて、前記筒状部材によって支持されていることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、細胞培養膜の取扱いを容易にすることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、細胞培養器具用の防振構造、細胞培養器具における振動抑制方法、あるいは細胞培養器具を用いた細胞培養方法等の形態で実現することが可能である。
本発明の細胞培養器具によれば、プレートの下面の少なくとも一部にエラストマー層が設けられているため、細胞培養器具に加えられた振動を、エラストマー層が吸収できる。その結果、プレートおよびウェル内の培養細胞に振動が伝えられることを抑制し、振動の影響を抑えた細胞培養が可能になる。そして、振動に起因する細胞増殖の抑制を抑えることができる。さらに、エラストマー層の下面に粘着抑制層が設けられているため、細胞培養器具が設置面に対して示す粘着性を抑えることができる。その結果、細胞培養器具を設置面から持ち上げる際に、細胞培養器具に振動が加えられることを抑えることができる。
細胞培養器具の外観を表わす平面図である。 図1のII−II断面における細胞培養器部の断面図である。 細胞培養器具の構成を表わす断面図である。 細胞培養器具の構成を表わす断面図である。 細胞培養器具の構成を表わす断面図である。 培養膜ユニットの構成を表わす断面図である。 培養膜ユニットの構成を表わす断面図である。 実施例の細胞培養器具を用いて培養した細胞の画像を示す説明図である。 比較例の細胞培養器具を用いて培養した細胞の画像を示す説明図である。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての細胞培養器具10の外観を表わす平面図である。また、図2は、図1のII−II断面における細胞培養器具10の断面図である。細胞培養器具10は、プレート30と、防振部20とを備える。
プレート30は、細胞を培養するための空間を形成して上面で開口するウェル12を有する。図1では、プレート30が、矩形形状に形成されており、横断面が円形である24個のウェル12を有する様子を示しているが、ウェル12の数、各ウェル12の大きさ、ウェル12の配置、並びに、プレート30全体の大きさおよび形状は、任意に設定することができる。プレート30は、1以上のウェル12を有していればよい。
本実施形態のプレート30において、各ウェル12は平底である底面16を有しており(図2参照)、各ウェル12に、液体培地13を加えて細胞を播種することにより、細胞を底面16に接着させて、培養することが可能になる。プレート30は、例えばポリスチレンによって構成することができ、培養する細胞に応じて、プレート30を構成する材料を適宜選択すればよい。各ウェル12の表面は、細胞接着を容易にするための表面処理が施されていてもよい。
防振部20は、エラストマー層22および粘着抑制層24を備える。すなわち、プレート30の底部の外側の面(下面14)に、エラストマー層22が取り付けられており、エラストマー層22の外側に、エラストマー層22に重ねて粘着抑制層24が取り付けられている。本実施形態では、各ウェル12の底面16の外側の面が、プレート30の下面14を構成する。
本実施形態では、エラストマー層22と粘着抑制層24とは、互いに重なる略同一の平面形状を有している。ただし、エラストマー層22と粘着抑制層24とは、互いに重なる形状である必要はない。粘着抑制層24は、細胞培養器具10を配置したときに設置面に接する層であり、エラストマー層22が設置面に接しないようにエラストマー層22を覆っていればよい。
図1の平面図では、プレート30の下面14に設けた防振部20の位置を、破線で示している。本実施形態の細胞培養器具10は、プレート30の4つの角部の各々に対応して、各角部の近傍に4つの防振部20を備える。そして、個々の防振部20は、隣接する複数のウェル12と重なるように連続して設けられている。各々の防振部20を構成するエラストマー層22および粘着抑制層24は、細胞培養器具10の水平性を保つ観点から、4つの防振部20全体で、同じ厚みであることが望ましい。
図1では、防振部20を、プレート30の4つの角部の各々の近傍に設けたが、異なる配置としてもよい。例えば、プレート30の下面の少なくとも3箇所に防振部20を設ければ、細胞培養器具10を安定して配置することが容易になる。防振部20、すなわちエラストマー層22および粘着抑制層24は、プレート30の下面の少なくとも一部に設けられていればよく、プレート30の下面全体に設けてもよい。防振部20を構成するエラストマー層22および粘着抑制層24のプレート30の下面14への取り付け方法は、特に限定されない。例えば、プレート30の下面14とエラストマー層22との接合、あるいは、エラストマー層22と粘着抑制層24を構成する部材との接合を、接着剤を用いて行なうことができる。また、接着剤を用いることなく、エラストマーの粘着性を利用して、直接接合してもよい。なお、防振部20は、細胞培養器具10を配置したときに設置面と接触すればよく、プレート30の下面14であって、平面視においてウェル12と重なる領域以外の部位に取り付けることも可能である。ただし、防振部20を安定して取り付ける観点からは、防振部20の少なくとも一部は、ウェル12の底面16の外側の面に取り付けることが望ましい。
エラストマー層22は、エラストマーによって構成される層である。エラストマー層22は、例えば、熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーから選択されるエラストマーを用いて構成することができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、およびスチレン・ブタジエンエラストマーを挙げることができる。熱硬化性エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、および天然ゴムを挙げることができる。
エラストマー層22を構成するエラストマーは、一般に、ゴム弾性を有して、比較的硬度が低い。そのため、エラストマー層22は、細胞培養器具10に加えられた振動を吸収することができる。エラストマー層22が振動を吸収する効果を、より十分に確保するためには、エラストマー層22を構成するエラストマーは、日本ゴム協会標準規格(SRIS 0101)に規定されるアスカーC硬度が5〜50であることが望ましい。エラストマー層22の厚みは、エラストマー層22を構成する材料に応じて、エラストマー層22全体で所望の振動吸収能が得られるように、適宜設定すればよい。振動吸収能を確保する観点からは、エラストマー層22の厚みは1mm以上とすることが望ましく、2mm以上とすることがより望ましい。エラストマー層22を設けることに起因する細胞培養器具10の傾きを抑える観点からは、エラストマー層22の厚みは5mm以下とすることが望ましい。
粘着抑制層24は、エラストマー層22よりも硬度が高い材料により構成されている。粘着抑制層24は、例えば、エラストマー層22を構成するエラストマーよりも硬度が高いエラストマーによって構成することができる。あるいは、エラストマー以外の樹脂、あるいは、金属を用いて粘着抑制層24を構成してもよい。エラストマー層22を構成するエラストマーは、一般的に比較的低い硬度のものほど、比較的大きな粘着性を示す。本実施形態の細胞培養器具10は、エラストマー層22の外側に、より硬度が高い材料によって構成される粘着抑制層24を設けることで、細胞培養器具10を配置する際の設置面に対する粘着性を抑制している。粘着抑制層24が設置面への粘着性を抑える効果を、より十分に確保するためには、粘着抑制層24を構成する材料は、JIS K6235によるA硬度が30以上であることが望ましい。さらに、A硬度が60〜80のポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが、滑り止めや取扱いの容易性の観点から、より望ましい。
以上のように構成された本実施形態の細胞培養器具10によれば、プレート30の下面14にエラストマー層22が設けられているため、細胞培養器具10の設置面を介して細胞培養器具10に加えられた振動を、エラストマー層22が吸収できる。その結果、プレート30およびウェル12内の培養細胞に振動が伝えられることを抑制し、振動の影響を抑えた細胞培養が可能になる。培養細胞に振動が加えられると、培養細胞が足場であるプレート底面に定着することが妨げられたり、定着しかかった細胞が足場から剥がれることにより、細胞が増殖できなくなる可能性がある。培養細胞に加えられる振動が抑えられることにより、このような不都合を抑え、振動に起因する細胞増殖の抑制を抑えることができる。なお、細胞培養器具10に加えられる振動とは、例えば、培養中にインキュベータの内部で加えられる振動や、細胞を播種する動作を行なう際に細胞培養器具10に加えられる振動の他、インキュベータ内に細胞培養器具10を配置した後の、インキュベータの扉の開閉に伴って生じる振動を挙げることができる。
さらに、本実施形態の細胞培養器具10によれば、エラストマー層22の下面に粘着抑制層24が設けられている。そのため、粘着抑制層24を介することなく細胞培養器具10の設置面にエラストマー層22が接する場合に比べて、細胞培養器具10が設置面に対して示す粘着性を抑えることができる。その結果、細胞培養器具10を設置面から持ち上げる際に、細胞培養器具10が設置面に粘着性を示すことに起因して細胞培養器具10に振動が加えられることを抑えることができる。すなわち、細胞培養器具10の取扱いの動作に起因して培養細胞に振動が加えられることを抑えることができる。また、このように粘着抑制層24を設けることにより、細胞培養器具10が設置面に示す粘着性を抑えることができるため、より高い粘着性を示す、すなわち、より硬度の低いエラストマーを用いてエラストマー層22を構成することが可能になる。そのため、エラストマー層22において、材料選択の自由度が増すと共に、より硬度の低いエラストマーを用いることにより、エラストマー層22による振動吸収の効果をさらに高めることができる。
なお、粘着抑制層24の表面には、設置面との間の滑り抵抗を増加させるための表面加工(例えば、シボ加工)を施して、細胞培養器具10を設置面上に配置して作業する際に、細胞培養器具10が設置面で滑ることを抑制してもよい。
また、本実施形態では、培養細胞は、ウェル12の底面16に接着させて培養することとしたが、異なる構成としてもよい。ウェル12内で浮遊細胞を培養する場合であっても、細胞培養器具10の下面14にエラストマー層22および粘着抑制層24を設けることで、培養細胞に振動が加えられることに起因する不都合を抑える効果が得られる。
B.第2実施形態:
図3は、第2実施形態の細胞培養器具110の構成を表わす断面図である。第2実施形態の細胞培養器具110は、プレート130と、防振部20とを備える。プレート130は、培養部132と中間部134とを備える。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。
培養部132は、第1実施形態のプレート30と同様の構成を備えており、プレート30と同様の平面視形状を有する。図3は、図1に示すII−II断面(図2に示す断面)と同様の位置における断面の様子を示す。
中間部134は、略矩形形状のプレート状部材であり、培養部132を上方から嵌め込むことにより、培養部132を固定して保持することができる。中間部134は、例えばポリスチレンによって構成することができる。中間部134の底部の外側の面(下面114)には、第1実施形態と同様の防振部20が設けられている。なお、図3に示す中間部134は、全体が連続して平坦な底面を有しているが、異なる構成としてもよい。例えば、培養部132と同様に、上面で開口するウェルが設けられており、これらのウェルの底面の外側の面によって、下面114が構成されていてもよい。
以上のように構成された第2実施形態の細胞培養器具110によれば、プレート130の下面114、すなわち、中間部134の下面114に防振部20を設けているため、第1実施形態と同様に、培養細胞に振動が加えられることを抑える効果が得られる。すなわち、プレートを、ウェル12を設けた部材を含む複数の部材を組み合わせることによって構成してもよい。そして、ウェル12を設けた部材とは異なる部材に防振部20を取り付けてもよい。
第2実施形態の細胞培養器具110のように、ウェル12を設けた部材と防振部20との間に他の部材を介在させて、ウェル12を設けた部材と上記他の部材とを組み合わせて用いる場合には、ウェル12を設けた部材を使い捨てにする場合であっても、上記他の部材は再使用することが可能になる。上記他の部材を再使用する場合には、使用後の上記他の部材は、例えば紫外線照射等の方法により、適宜滅菌処理すればよい。なお、プレート130は、3以上の部材によって構成してもよい。細胞培養器具を構成して設置面に接する(対向する)部材において、防振部20を設ければよい。
C.第3実施形態:
図4は、第3実施形態の細胞培養器具210の構成を表わす断面図である。第3実施形態の細胞培養器具210は、プレート30と、防振部220とを備える。防振部220は、エラストマー層22と、粘着抑制層224とを備える。第3実施形態において、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。
第3実施形態の細胞培養器具210は、2枚のプレート30を備える。図4は、並んで配置される2枚のプレート30についての、図1に示すII−II断面(図2に示す断面)と同様の位置における断面の様子を示す。なお、図4では、2枚のプレート30の断面が表わされているが、細胞培養器具210は、1枚のプレート30を備えることとしてもよく、3枚以上のプレート30を備えることとしてもよい。
細胞培養器具210において、各々のプレート30には、第1実施形態と同様のエラストマー層22が設けられている。そして、各々のエラストマー層22の下面に接するように、単一の粘着抑制層224が設けられている。第3実施形態の粘着抑制層224は、第1実施形態の粘着抑制層24と同様の材料により形成することができる。粘着抑制層224は、細胞培養器具210が備える全てのプレート30を載置可能な大きさを有している。粘着抑制層224は、全てのプレート30を載置した状態でまとめて運搬可能となるように、十分な剛性を有することが望ましい。
以上のように構成された第3実施形態の細胞培養器具210によれば、エラストマー層22および粘着抑制層224を有する防振部220を備えるため、第1実施形態と同様に、培養細胞に振動が加えられることを抑える効果が得られる。また、第2実施形態の細胞培養器具210によれば、単一の粘着抑制層224上に複数のプレート30を配置しているため、培養細胞に加えられる振動を抑えつつ、複数のプレートを同時に取り扱うことが容易になる。なお、複数のプレートを同時に取り扱うことを容易にするために、例えば、粘着抑制層224において、運搬を容易にするための持ち手部を設ける構成も望ましい。
細胞培養器具210において、各プレート30とエラストマー層22との間は、例えば接着剤を用いることにより、固着されていることが望ましい。各エラストマー層22と粘着抑制層224との間は、各々に係合部あるいは被係合部を設けて、嵌め込み等により両者を固定することとしてもよく、あるいは、固定のための特別な構造を設けないこととしてもよい。固定のための特別な構造を設けない場合であっても、エラストマー層22が粘着性を示すため、エラストマー層22を設けたプレート30を粘着抑制層224上に載置すれば、細胞培養に係る操作に支障の無い程度に、プレート30が粘着抑制層224に対して固定された状態を保つことが可能になる。また、細胞培養が終了した後には、粘着抑制層224からプレート30を容易に分離することが可能になる。このように、粘着抑制層224からプレート30を容易に分離可能とすることにより、プレート30を使い捨てにする場合であっても、粘着抑制層224は容易に再使用することが可能になる。粘着抑制層224を再使用する場合には、使用後の粘着抑制層224は、例えば紫外線照射等の方法により、適宜滅菌処理すればよい。
D.第4実施形態:
図5は、第4実施形態の細胞培養器具310の構成を表わす断面図である。第4実施形態の細胞培養器具310は、プレート30と、防振部20と、培養膜ユニット40とを備える。細胞培養器具310は、培養膜ユニット40を有すること以外は、第1実施形態の細胞培養器具10と同様の構成を有するため、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。なお、図5は、図1に示すII−II断面(図2に示す断面)と同様の位置における断面の様子を示す。
図6は、培養膜ユニット40の構成を表わす断面図である。培養膜ユニット40は、第1筒部42、第2筒部43、および細胞培養膜45を備える。細胞培養膜45は、細胞培養を行なう際に培養細胞の足場となる膜である。本実施形態の培養膜ユニット40では、細胞培養膜45を、第1筒部42および第2筒部43によって保持している。図6では、細胞培養膜45の一方の面(上方の面)に細胞αを播種した様子を示している。
第1筒部42および第2筒部43は、円筒状の部材であって、略同一の内径および外径を有する。第1筒部42および第2筒部43は、軸方向に並べて積層され、第1筒部42と第2筒部43との間には、細胞培養膜45が配置される。図6は、図5と同様の位置であって、第1筒部42および第2筒部43の軸線を含む断面の様子を表わす。なお、第1筒部42および第2筒部43は、円筒状以外の筒状であってもよいが、細胞培養膜45を挟持するためには、横断面(軸方向に垂直な断面)の形状が略同一であることが望ましい。
図5に示すように、培養膜ユニット40は、プレート30に設けられた各ウェル12内に配置して用いる。具体的には、各ウェル12内に培養膜ユニット40を配置して、細胞培養膜45を超える深さまで各ウェル12内に液体培地13を加え、細胞培養膜45上に細胞を播種して用いる。なお、培養膜ユニット40を構成する第1筒部42および第2筒部43の径は、各ウェル12の径に比べて、例えば0.2〜1.0mm程度小さいことが好ましい。このように、第1筒部42および第2筒部43の外壁面とウェル12の内壁面との間の隙間を、培養膜ユニット40の出し入れに支障の無い範囲で小さく抑えることで、ウェル12内で培養膜ユニット40が振動することを抑制できる。
培養膜ユニット40は、細胞培養を行なう際には液体培地13中に浸漬して用いるため、第1筒部42および第2筒部43は、培養細胞に影響し得る物質(例えば、金属イオン等の成分)が液体培地中に実質的に溶出しない材料により形成すればよい。また、第1筒部42および第2筒部43は、培養膜ユニット40全体を液体培地中で浮遊させない比重を有する材料により形成することが望ましい。第1筒部42および第2筒部43は、例えば、樹脂材料やガラスにより形成することができる。第1筒部42および第2筒部43を樹脂により形成する場合には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される樹脂を用いることができる。
細胞培養膜45としては、例えば、熱硬化性樹脂膜、熱可塑性樹脂膜、セルロース膜、コラーゲン膜、羊膜、ヒアルロン酸膜等から選択される膜を用いることができる。細胞培養膜45を熱硬化性樹脂によって構成する場合には、用いる熱硬化性樹脂は、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、シリコーン樹脂 、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、およびポリイミドから選択される樹脂とすることができる。細胞培養膜45を熱可塑性樹脂によって構成する場合には、用いる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素樹脂、およびポリスチレンから選択される樹脂とすることができる。また、細胞培養膜45は、多孔質膜とすることができる。細胞培養膜45が多孔質膜である場合には、細胞培養膜45が有する細孔の各々は、細胞培養膜45の一方の表面のみで開口していてもよい。あるいは、細胞培養膜45が有する細孔の少なくとも一部は、膜の厚み方向に細胞培養膜45を貫通する貫通孔であってもよい。多孔質膜の形成が容易であり、弾性および強度が優れているという観点から、細胞培養膜45としては、特にポリウレタン膜を用いることが望ましい。
細胞培養膜45として用いる多孔質ポリウレタン膜は、例えば、本願出願人が出願した特開2015−107096号公報に記載の方法により製造することができる。多孔質ポリウレタン膜の表面における細孔の平均孔径は、例えば、0.1〜100μmとすることができる。平均孔径とは、細胞培養膜45の表面をレーザ顕微鏡で観察して求めた値である。具体的には、細胞培養膜45の表面を、レーザ顕微鏡にて2000倍に拡大した視野において、観察される全ての細孔の最大長を測定し、測定した値の平均値を求めればよい。なお、上記最大長とは、孔に外接する四角形の辺の長さの最大値をいう。平均孔径の値を上記範囲とすることで、細胞培養膜45における柔軟性および強度を両立することが容易になる。ただし、細胞培養膜45の表面における平均孔径は、0.1μm未満とすることも可能であり、100μmを超えることも可能である。
また、細胞培養膜45の膜厚は、例えば、0.1〜100μmとすればよい。ここで、細胞培養膜45の膜厚とは、細胞培養膜45の表面に凹凸が形成されている場合には、形成された凹凸における凸部の最も高い位置と裏面(製造時に基板に接していた面)との距離を指す。このような膜厚とすることで、細胞培養膜45における柔軟性および強度を両立することが容易になる。ただし、細胞培養膜45の膜厚は、0.1μm未満とすることも可能であり、100μmを超えることも可能である。細胞培養膜45をポリウレタンによって形成する場合には、膜厚は、5〜10μmとすることが望ましい。
また、細胞培養膜45として熱硬化性樹脂から成る多孔質膜を用いる場合には、使用に先立って、細胞に対する親和性を高めるための処理(例えば基材表面を親水化する処理等)を、細胞培養膜45に適宜施してもよい。ただし、ポリウレタン多孔質膜は、一般に、このような表面処理を行なうことなく培養細胞の足場として良好に用いることが可能である。
本実施形態では、細胞培養膜45は、略円形に形成されており、軸線方向に重ねて配置される第1筒部42および第2筒部43によって挟持されて保持されている。あるいは、第1筒部42および第2筒部43のうちの少なくとも一方を熱可塑性樹脂によって形成し、当該一方の筒部における細胞培養膜45と接する面を昇温させて、溶融あるいは軟化させると共に、細胞培養膜45を重ね合わせて押圧してもよい。このようにすれば、当該一方の筒部と細胞培養膜45とを固着させることにより、細胞培養膜45を保持できる。このとき、細胞培養膜45を熱硬化性樹脂により形成するならば、上記押圧の動作の際にも、上記一方の筒部との接触部分における細胞培養膜45の変形を抑えることができ、筒部との固着の動作に起因する細胞培養膜45の強度低下を抑えることができる。
あるいは、中央部に円形の穴部を有する環状のシートである熱可塑性樹脂製の基材を用意し、この基材の表面を昇温させて溶融あるいは軟化させると共に、細胞培養膜45を重ね合わせて押圧して一体化してもよい。このように基材の固着させた細胞培養膜45を、第1筒部42および第2筒部43の間に挟むことによって、培養膜ユニット40を構成してもよい。
また、細胞培養膜45は、第1筒部42および第2筒部43のような筒状部材の端部を覆うように配置されて、筒状部材によって支持される構成以外の構成を採用してもよい。例えば、上記したように、環状のシートのような枠状の基材の中央部の穴部を覆うように細胞培養膜45を固着させ、枠状の基材と一体化した細胞培養膜45を、ウェル12の底面16上に配置して用いてもよい。
細胞培養膜45が、細胞培養膜45の一方の表面のみで開口する細孔を有する多孔質膜である場合には、細孔が開口する表面に細胞を播種することで、細孔が開口することにより凹凸が形成された表面を足場として、細胞を培養することができる。また、細胞培養膜45において、細孔の少なくとも一部が膜の厚み方向に細胞培養膜45を貫通する貫通孔である場合には、細胞培養膜45の一方の面のみにおいて細胞を培養する片面培養に用いるだけでなく、細胞培養膜45の両面で細胞を培養する両面培養に用いることができる。貫通孔を有する細胞培養膜45を片面培養で用いる場合には、培養細胞に対して、細胞培養膜45の裏側からも培地を供給できるため、プレート面上で細胞を培養する場合とは異なる条件で培養することが可能になる。また、貫通孔を有する細胞培養膜45を両面培養で用いる場合には、細胞培養膜45の各々の面上で異なる種類の細胞を培養して、異種細胞間の相互作用を解析することが可能になる。
以上のように構成された第4実施形態の細胞培養器具310によれば、プレート30の下面14に防振部20を設けているため、第1実施形態と同様に、培養細胞に振動が加えられることを抑える効果が得られる。
また、第4実施形態の細胞培養器具310は、培養細胞の足場とするための細胞培養膜45を備えている。薄膜状の細胞培養膜45は、液体培地13(図5参照)中で容易に振動する。一般に、細胞培養膜45上に播種された細胞は、細胞培養膜45上に定着した後に、増殖する。このように細胞培養膜45上に定着する際に細胞培養器具10に振動が加えられると、細胞培養膜45が振動することにより、定着しかかった細胞が剥がれて足場を失い、増殖できなくなる可能性がある。また、細胞培養膜45上に細胞が定着した後であっても、細胞培養膜45の振動が大きいと、一旦定着した細胞が剥がれて足場を失い、増殖できなくなる可能性がある。本実施形態の細胞培養器具310によれば、防振部20によって振動が吸収されて、細胞培養膜45に加えられる振動が抑えられるため、上記した不都合を抑制することができる。
特に、ポリウレタン膜は、液体培地中で膨潤して、より柔らかくなる性質を有する。そのため、細胞培養膜45をポリウレタンによって構成する場合には、外部から振動が加えられたときに、細胞培養膜45がより大きく変位して、培養細胞が受ける影響がより大きくなる可能性がある。したがって、本実施形態において、細胞培養膜45としてポリウレタン膜を用いる場合には、防振部20を設けることにより振動を抑える効果を、特に顕著に得ることができる。
E.変形例:
・変形例1:
上記第1〜第4実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、第4実施形態では、第1実施形態の細胞培養器具10と同様の構造に対して、さらに培養膜ユニット40を設けたが、他の実施形態の細胞培養器具と組み合わせてもよい。すなわち、第2実施形態の細胞培養器具210あるいは、第3実施形態の細胞培養器具310において、ウェル12内に培養膜ユニット40を配置することとしてもよい。また、第3実施形態の細胞培養器具210において、第1実施形態のプレート30に代えて、第2実施形態のプレート130を用いてもよい。いずれの場合であっても、防振部20を設けることにより、培養細胞に加えられる振動を抑える同様の効果が得られる。
・変形例2:
上記第4実施形態では、培養膜ユニット40において、細胞培養膜45を、第1筒部42および第2筒部43の間に配置して保持することとしたが、異なる構成としてもよい。
図7は、変形例の一例として、培養膜ユニット140の構成を、図6と同様にして表わす断面図である。培養膜ユニット140は、第4実施形態の培養膜ユニット40に代えて用いることができる。第4実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。
培養膜ユニット140は、第2筒部43を有しているが、第1筒部42を有することなく、第3筒部46を有している。第3筒部46は、略円筒形状に形成されており、第1筒部42および第2筒部43よりも軸線方向の長さが長い。また、第3筒部46の内径と、第2筒部43の外径とはほぼ同じ大きさとなっており、第2筒部43は、第3筒部46内に嵌め込まれて使用される。そして、細胞培養膜45は、その外周部分が折り曲げられて、第2筒部43と第3筒部46との間で挟持されている。
このような培養膜ユニット140を組み立てる際には、まず、第2筒部43の一方の端部上に、細胞培養膜45を配置する。このとき、細胞培養膜45は、第2筒部43の端部全体を覆って、第2筒部43の端部の全周からはみ出すように配置する。その後、第2筒部43に対して、上記一方の端部側から、第3筒部46を嵌め込む。これにより、細胞培養膜45は、第2筒部43の一方の端部の外周に沿って折り曲げられ、折り曲げられた位置よりも外周側である周縁部は、第2筒部43の外側面と第3筒部46の内壁面によって挟持されるようになる。図7では、第2筒部43の他方の端部と、第3筒部46の嵌め込み側の端部の位置が重なるまで嵌め込みを行なっている。このとき、第3筒部46の嵌め込みの動作を容易にするために、第3筒部46に、軸線方向に延びるスリットを設けて、第3筒部46を、径方向に弾性変形可能にしてもよい。
図7では、第3筒部46内に、細胞培養膜45と共に、第2筒部43のみを配置したが、第1筒部42も一緒に配置してもよい。すなわち、第3筒部46内に、図6に示す培養膜ユニット40の構造を収納してもよい。
また、細胞培養膜45を用いる場合に、例えば片面培養を行なう場合には、第3〜第4実施形態のように、培養膜ユニットの高さ方向の中ほどに細胞培養膜45を配置するのではなく、ウェル12の底面16の近傍に、細胞培養膜45を配置してもよい。例えば、培養膜ユニットを第2筒部43と細胞培養膜45とによって構成し、第2筒部43の一方の端部に細胞培養膜45を固着させればよい。そして、第2筒部43における細胞培養膜45を固着させた側の端部が底面16に接するように、ウェル12内に培養膜ユニットを配置してもよい。
防振部20を備える実施例の細胞培養器具と、防振部20を有しない細比較例の胞培養器具とを用いて細胞を培養し、防振部20を設けることによる効果を確認した結果を以下に示す。
<細胞培養器具>
[実施例]
実施例の細胞培養器具は、第2実施形態〜第4実施形態を組み合わせて構成されている。具体的には、第2実施形態のプレート130に、第3実施形態の防振部220が設けられると共に、ウェル12内に、第4実施形態の培養膜ユニット40が配置された細胞培養器具を用いた。
プレート130を構成する培養部132としては、24ウェルの組織培養用マイクロプレート(IWAKI、3820−024)を用い、中間部134としては、6ウェルの組織培養用マイクロプレート(IWAKI、3810−MYP)を用いた。防振部220を構成するエラストマー層22としては、厚さ3mmのスチレン系エラストマー製のシート(商品名:スーパーゲル、木原産業株式会社製)を用いた。なお、上記スチレン系エラストマー製のシートについて、日本ゴム協会標準規格(SRIS 0101)に規定されるアスカーC硬度を測定したところ、3回測定した平均値が11.4であった。また、防振部220を構成する粘着抑制層224としては、アルミニウム製のトレーを用いた。なお、アルミニウムの硬度は、ビッカース硬さで19〜95Hv程度であることが知られている。したがって、粘着抑制層224を構成するアルミニウム製のトレーは、当然に、JIS K6253によるA硬度が30以上であるといえる。
培養膜ユニット40を構成する第1筒部42および第2筒部43としては、それぞれ、外径15mm、内径11mm、高さ5mmのガラスリングを用いた。また、培養膜ユニット40を構成する細胞培養膜45としては、特開2015−107096号公報で開示された方法により製造したポリウレタン製の多孔質膜を用いた。このポリウレタン多孔質膜は、膜厚方向に貫通する細孔を有している。用いたポリウレタン多孔質膜において、表面(製造時に水蒸気を供給した側)の平均孔径は10μmであり、空孔率は60%であった。また、裏面の平均孔径は7μmであり、空孔率は20%であった。なお、空孔率とは、細胞培養膜45の面をレーザ顕微鏡にて2000倍に拡大した視野において、観察される全ての細孔の面積の合計が、視野全体の面積に占める割合を算出した値である。また、膜厚は7μmであった。培養膜ユニット40は、上記した第1筒部42および第2筒部43によって、上記したポリウレタン多孔質膜を挟持することによって構成した。培養膜ユニット40は、細胞培養膜45における上記表面が、細胞が播種される上面となるように、ウェル12内に配置した。
[比較例]
比較例の細胞培養器具は、防振部220を有しないこと以外は、実施例の細胞培養器具と同じ構成である。
[細胞培養条件]
(i)細胞株
培養には、以下の細胞株を用いた。
AoSMC(ヒト大動脈平滑筋細胞):AoSMC(Lonza社製、CC−2571)
(ii)使用培地
AoSMC用培地としては、SmGMTM−2 BulletKitTM(Lonza社製、CC−3182)を用いた。
(iii)培養手順
細胞培養の際には、培養膜ユニット40に組み込んだポリウレタン多孔質膜をUV滅菌後、まず、AoSMC用培地中で、37℃、5%COの条件下で24時間プレコンディショニングした。そして、ポリウレタン多孔質膜の表面上にAoSMCを播種し、37℃、5%COの条件下で5日間培養した。その際、3×10cell/cmの密度となるように細胞を播種した。
[評価方法]
細胞培養の後、ポリウレタン多孔質膜を、PBSを用いて1回洗浄した。その後、組織固定用4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液(和光純薬工業株式会社、163−20145)を用いて、37℃環境下で10分間処理して細胞を固定した。そして、蛍光染色剤を用いて、核(核酸)、および細胞骨格を観察した。核の観察のためには、青色蛍光を発する核酸の染色剤であるDAPIを用いた。細胞骨格の観察のためには、Alexa Flour 488 phalloidin(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Alexa Flourは登録商標)を用いた。この染色剤は、細胞骨格を構成するアクチンに選択的に結合するファロイジンを、緑色の蛍光色素で標識したものである。
上記した染色剤による処理の後、ポリウレタン多孔質膜をプレパラート上に封入した。そして、ポリウレタン多孔質膜において細胞を培養した面を、共焦点定量イメージサイトメーターCQ−1(横河電機株式会社製)を用いて撮像し、観察した。
図8は、防振部20を設けた実施例の細胞培養器具を用いて培養した細胞の画像を示す説明図である。また、図9は、防振部20を設けない比較例の細胞培養器具を用いて培養した細胞の画像を示す説明図である。図8および図9を比較して分かるように、防振部20を設けた実施例の細胞培養器具を用いる場合には、防振部20を設けない場合に比べて、核酸および細胞骨格の存在を示すシグナルが極めて強くなり、培養細胞が極めて良好に増殖する様子が観察された。これにより、防振部20を設けて培養細胞に加えられる振動を抑えることで、培養細胞の増殖性能が高められることが確認された。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10,110,210,310…細胞培養器具
12…ウェル
13…液体培地
14,114…下面
16…底面
20,220…防振部
22…エラストマー層
24,224…粘着抑制層
30,130…プレート
40,140…培養膜ユニット
42…第1筒部
43…第2筒部
45…細胞培養膜
46…第3筒部
132…培養部
134…中間部

Claims (4)

  1. 細胞培養器具であって、
    細胞を培養するための空間を形成して上面で開口するウェルが設けられたプレートと、
    プレートの下面の少なくとも一部に設けられたエラストマー層と、
    エラストマー層の下面に設けられて前記細胞培養器具の設置面と接触し、前記エラストマー層よりも硬度が高い粘着抑制層と、
    前記ウェル内に配置されて細胞の足場となる細胞培養膜と、
    を備え、
    前記細胞培養膜は、ポリウレタン膜であり、
    前記細胞培養膜は、膜厚が0.1〜100μmの多孔質膜であり、
    前記エラストマー層は、日本ゴム協会標準規格(SRIS 0101)に規定されるアスカーC硬度が5〜50である、
    細胞培養器具。
  2. 請求項に記載の細胞培養器具であって、
    前記粘着抑制層は、JIS K6253によるA硬度が30以上である
    細胞培養器具。
  3. 請求項1又は2に記載の細胞培養器具であって、
    前記多孔質膜が有する細孔の少なくとも一部が、膜厚方向に貫通している
    細胞培養器具。
  4. 請求項から請求項までのいずれか一項に記載の細胞培養器具であって、さらに、
    筒状部材を備え、
    前記細胞培養膜は、前記筒状部材の端部を覆うように配置されて、前記筒状部材によって支持されている
    細胞培養器具。
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