JP6839477B2 - コラーゲン構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、コラーゲン線状体によって形成されたコラーゲン構造体に関する。
コラーゲン線状体を複数本用いて、平面形状や立体形状を作製する技術は、例えば特許文献1と2において開示されている。
特許文献1の請求項1には、コラーゲン繊維束の製造方法として、「(i)水可溶化コラーゲンを原材料とし、架橋処理を施して製造されたコラーゲン糸を用意する工程 (ii)前記コラーゲン糸複数本を略平行に配列させる工程 (iii)水、無機塩水溶液又は中和水溶液に浸漬する工程 (iv)乾燥する工程」が記載されている。
さらに特許文献1には、(iv)の乾燥工程後に再度架橋処理を行ってもよいことが記載されている(段落[0041])。
特許文献2の請求項1には、「配向性を有し、かつ、ストリング形状のコラーゲンゲル断片から構成されるコラーゲン材料の製造方法」として、「コラーゲン溶液をノズルを介して燐酸緩衝生理食塩水(PBS)が入った容器に押し出しながら、前記ノズルをスライドさせて、前記コラーゲン溶液に一定方向の流れを与えることによって、前記ストリング形状のコラーゲンゲル長軸方向へ前記配向性を付与し、前記配向性が制御された複数のコラーゲンゲル断片を得る工程と、前記複数のコラーゲンゲル断片を、所望の形状に配列させて、自由乾燥又はフリーズドライにより乾燥させて固化することにより前記複数のコラーゲンゲル断片同士を結合させる工程」が記載されている。
特許第5320726号 特許第6031435号
特許文献1の特徴の1つは、原材料として用いるコラーゲン単糸がすでに架橋されたものということである。ここで、コラーゲン単糸としては、断面形状が円形のものを用いていることは、特許文献1の記述から明らかである(例えば、段落[0015]におけるコラーゲン糸の外径に関する記述、段落[0024]における湿式紡糸法におけるノズルの口径に関する記述、段落[0047]における直径約200μmのコラーゲン単糸の紡糸に関する記述)。したがって、コラーゲン単糸同士の接触の仕方は円と円の接触であるため、断面の視点では点接触であり、長手方向(長軸方向)の視点では線状接触である。以上のように、特許文献1のコラーゲン繊維束は、架橋コラーゲン単糸同士が線状に接着したものであるため、接着力向上に改善の余地があるものであった。
特許文献2には、コラーゲン材料をPBSや細胞培養液等に浸漬したり生体内に移植したりしても、必要な期間においてその形状を保つという効果が得られることが記載されている(段落[0030])。しかしながら、特許文献2の製造方法から鑑みると、架橋処理を全く行っていないため、PBSや細胞培養液等に浸漬したり生体内に移植した場合の一定期間における形状の保持は困難であると考えられる。
本発明は、略平行に配列した複数本のコラーゲン線状体を構成要素とするコラーゲン構造体であって、コラーゲン線状体同士が接着した接着部の接着力が強固なコラーゲン構造体の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、コラーゲン線状体同士が接着する接着部を線状ではなく面状とし、且つ架橋処理することによって上記課題が解決されることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させたものである。
本発明は以下のとおりである。
[1]コラーゲン線状体複数本が略平行に配列し、コラーゲン線状体同士が隣接した隣接部を有し、当該隣接部においてコラーゲン線状体同士が面状に接着した接着部を少なくとも1箇所有し、コラーゲン線状体全体が架橋処理されたものである、コラーゲン構造体。
[2]前記接着部が、外力を受けて変形した変形形状を有するものである、上記[1]記載のコラーゲン構造体。
[3]前記接着部を2箇所以上有する、上記[1]又は[2]記載のコラーゲン構造体。
[4]コラーゲン線状体によってループ状に形成されたループ形状部を少なくとも1個有する、上記[1]〜[3]のいずれか1項記載のコラーゲン構造体。
[5]前記ループ形状部の形成位置がコラーゲン構造体の両末端である、上記[4]記載のコラーゲン構造体。
[6]前記コラーゲン線状体を構成するコラーゲンが、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルである、上記[1]〜[5]のいずれか1項記載のコラーゲン構造体。
[7]前記再フィブリル化したコラーゲンフィブリルが、略規則性をもって配向したものである、上記[6]記載のコラーゲン構造体。
[8]さらに、樹脂材料、セラミック材料及び金属材料のうちいずれか1種以上の付加材料を構成要素として含む、上記[1]〜[7]のいずれか1項記載のコラーゲン構造体。
[9]付加材料が線状構造のものである、上記[8]記載のコラーゲン構造体。
[10]付加材料が生体適合性を有するものである、上記[8]又は[9]記載のコラーゲン構造体。
[11]以下の工程を含む上記[1]〜[10]のいずれか1項記載のコラーゲン構造体の製造方法。
コラーゲン線状体複数本を略平行に配列し隣接させたものにおいて、隣接したコラーゲン線状体同士の少なくとも1箇所に対し、面状に密着した密着部分を形成させた状態でコラーゲン線状体全体を架橋処理する工程。
[12]前記密着部分が、外力によって面状に密着するように変形させて形成されたものである、上記[11]記載のコラーゲン構造体の製造方法。
[13]前記架橋処理が、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種を行う架橋処理である上記[11]又は[12]記載のコラーゲン構造体の製造方法。
[14]上記[1]〜[10]のいずれか1項記載のコラーゲン構造体を用いた医用材料。
コラーゲン構造体の模式図。(a)はコラーゲン線状体が平面的に横並びしたシート状、(b)は平行状態で集合した棒状、(c)は螺旋状に集合した棒状。 (a)はコラーゲン線状体によって形成されたループ形状部を1個有したコラーゲン構造体の模式図。(b)はループ形状部がコラーゲン線状体複数本において隣接する位置で形成されたコラーゲン構造体の模式図。(c)はループ形状部のみで形成されたコラーゲン線状体がコラーゲン構造体を構成するコラーゲン線状体に接着した模式図。 実施例1によって得られたコラーゲン構造体の写真。(a)は外観、(b)は実体顕微鏡による断面。 実施例2によって得られたコラーゲン構造体の外観写真。 実施例3のコラーゲン構造体の製造にかかる模式図。(a)は2本のアクリル棒12にコラーゲン線状体15を橋渡しに巻きつけることを示すための図。(b)はナイロン糸18でコラーゲン線状体15を螺旋状に縛りつけることを示すための図。 実施例3によって得られたコラーゲン構造体の片側末端部付近の外観写真。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
(コラーゲン構造体)
本発明のコラーゲン構造体は、コラーゲン線状体複数本が略平行に配列し、コラーゲン線状体同士が隣接した隣接部を有し、当該隣接部においてコラーゲン線状体同士が面状に接着した接着部を少なくとも1箇所有し、コラーゲン線状体全体が架橋処理されたものである。
コラーゲン線状体は、コラーゲンによって構成されたものであり、その形状は線状構造であれば特に限定されることはなく、例えば、糸状、棒状、リボン状等が挙げられる。断面形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形であってもよく、多角形、例えば、三角形、四角形(正方形、長方形、菱形、台形、平行四辺形を含む)、五角形、六角形等であってもよい。また、十字形、星形、C字形、H字形、L字形、O字形、T字形、U字形、V字形、Y字形等の形状であってもよい。また、一本のコラーゲン線状体が複数の断面形状を有するものであっても構わない。
複数本のコラーゲン線状体の断面形状は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、ある数本が同形状であって、別の数本がそれとは異なる形状であってもよい。また、断面積についてもその大きさが互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、ある数本が同形状・同断面積であって、別の数本がそれとは異なる形状であって当該形状において同断面積であってもよい。また、例えば、いずれも同形状であるが、断面積が互いに異なっていてもよい。以上のように、形状及び断面積は、本発明のコラーゲン構造体の範囲内において、適宜選択・設定することができるものである。
線状体の直径(横断面が多角形や楕円形などの非円形の場合は等面積円相当径)と長さについては、特に制限はなく、本発明の効果が得られるように適宜設定すればよい。直径の上限の一例としては、20mmであることが好ましく、より好ましくは15mmであり、さらに好ましくは10mmであり、さらにより好ましくは5mmである。また、下限の一例としては、0.5mmであり、より好ましくは1mmである。長さについては、例えば、直径の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは3倍以上であり、さらに好ましくは5倍以上であり、さらにより好ましくは10倍以上である。なお、どの程度の長尺にするかは、用途に応じて適宜決めることが望ましい。
コラーゲン線状体複数本が略平行に配列した状態としては、例えば、用意した複数本のコラーゲン線状体を略平行に配列するように配置した状態、1本のコラーゲン線状体を所定の長さで往復させ、折り返し部分以外において略平行に配列するように配置した状態等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
コラーゲン線状体複数本が略平行に配列した状態における略平行とは、ほぼ平行であれば十分であり、幾何学的に互いに平行であることを要するものではない。また、略平行には、螺旋状も含まれる。一例として、それぞれのコラーゲン線状体同士が成す角度が長手方向に対して45度以下であればよく、好ましくは30度以下であり、さらに好ましくは15度以下であり、最も好ましくは5度以下である。
コラーゲン線状体複数本が略平行に配列し隣接部を有した状態としては、コラーゲン線状体の全域に渡って隣接した状態の他に、隣接部と非隣接部を有した状態も含まれる。後者の状態においては、隣接部を複数箇所有してもよい。略平行に配列した範囲内であれば特に限定されることなく各種形状をとることができ、例えば、コラーゲン線状体が平面的に横並びしたシート状であってもよい(図1(a))し、コラーゲン線状体が集合した立体形状であってもよい。立体形状としては、例えば、平面的な横並びが複数段からなる積層シート状であってもよいし、束状であってもよい。束状の例として、平行状態で集合した棒状(図1(b))、螺旋状に集合した棒状(図1(c))等が挙げられる。各種形状のその他の例として、ドーム状、管状等が挙げられる。管状における管の長手方向とコラーゲン線状体の長手方向とが成す角度については、0度(平行)から90度(直角)までの範囲をとることができる。なお、図1の各図は、略平行に配列した状態の一例を模式的に図示したものであるため、隣接部の有無は図示の対象外である。また、図1の各図では断面形状を円形で示したが、これはあくまで図示の便宜上のものであり、断面形状が円形に限定されるものでないことは当然のことである。
隣接部においては、コラーゲン線状体同士が面状に接着した接着部を少なくとも1箇所有する。本発明のコラーゲン構造体は、接着部が面状であるために、線状のものより広い面積でコラーゲン線状体同士が接着することができる。さらに、コラーゲン線状体全体が架橋処理されたものであるため、当然ながら接着部も架橋処理されたものである。このため、強固な接着が可能となる。
接着部を少なくとも1箇所有するとは、例えば、交差した2本のコラーゲン線状体においては交差部において接着部を有するものである。また、例えば、平行に隣接した2本のコラーゲン線状体においては、隣接部の全域に渡って接着部があれば接着部を1箇所有することになるし、隣接部のうちの一部だけに接着部を1箇所有してもよい。接着部の数は少なくとも1箇所であるため、2箇所以上であってもよく、その場合は非接着部を有するものである。接着部は、好ましくは3箇所以上であり、より好ましくは5箇所以上であり、さらに好ましくは7箇所以上であり、さらにより好ましくは10箇所以上である。
接着部が2箇所以上である場合、接着部と非接着部の各箇所数は次のいずれかの関係となる。<1>接着部の箇所数=非接着部の箇所数+1、<2>接着部の箇所数=非接着部の箇所数、<3>接着部の箇所数=非接着部の箇所数−1。<1>は、例えば、コラーゲン線状体の両末端において各末端から任意の部分が接着部であって、当該両末端の接着部を除いた部分において0箇所以上の接着部を有し、接着部以外が非接着部であるときが該当する。<2>は、例えば、コラーゲン線状体の一方の末端において当該末端から任意の部分が接着部であって、他方の末端を除いた任意の部分において1箇所以上の接着部を有し、接着部以外が非接着部であるときが該当する。<3>は、例えば、コラーゲン線状体の両末端を除いた部分において2箇所以上の接着部を有し、接着部以外が非接着部であるときが該当する。
また、例えば、図1(b)においては、特定の1部位において隣接するすべてのコラーゲン線状体が接着していても構わないし、ある1部位の接着部においては隣接する2本のコラーゲン線状体同士のみが接着しているが各2本ずつの接着によって全体としては一体化しているような接着の仕方であっても構わない。
架橋処理は、コラーゲンの架橋に適したものであれば特に限定することなく用いることができる。架橋処理の方法として、物理的架橋法と化学的架橋法を例示できる。物理的架橋法として、例えば、γ線照射、電子線照射、プラズマ照射、UV照射、熱脱水架橋等が挙げられる。化学的架橋法として、化学架橋剤を用いる方法が代表例である。化学架橋剤は、水溶性のものであってもよいし、気化能を有するものであってもよい。化学架橋剤の具体例は、グルタルアルデヒド、ポリエポキシ化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、カルボジイミド系化合物(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩等)、還元糖(リボース等)などである。架橋処理は、一方法だけであってもよいし、複数の架橋法を組み合わせてもよい。複数の架橋法を組み合わせるときは、目的とする架橋度が効果的に得られるように、架橋法とその架橋度を適宜設計することが望ましい。
架橋処理は、コラーゲン線状体全体、即ち、コラーゲン構造体を構成するすべてのコラーゲン線状体の全域(接着部を含む)に渡って施されているものである。これにより、力学的に高い強度を有するコラーゲン構造体とすることが可能である。また、PBSや細胞培養液等に浸漬したり生体内に移植したりしても、必要な期間においてその形状を保つことも十分に可能である。それを確認するための試験例は、コラーゲン構造体を37℃のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)に5日間浸漬するものであり、接着部における接着が保持されており、浸漬前に対する浸漬後のコラーゲン線状体の断面積の変化率の絶対値が20%以内であれば、形状保持性が高いと評価できる。上記変化率の絶対値は、より好ましくは10%以内である。また、上記試験例において、溶解率が10質量%以下であれば、細胞培養環境や生体内環境において分解し難い特性を有すると評価できる。なお、溶解率とは、浸漬前のコラーゲン線状体の質量に対するD-PBS中へのコラーゲン線状体からの溶出成分の質量の割合(%)である。溶解率は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPS)によって、D-PBS中の溶出成分の分子量分布を測定する方法、又はD-PBS中の溶出成分の質量を測定する方法によって評価できる。なお、上記試験例に供する試料として、コラーゲン構造体から切り取ったコラーゲン線状体を用いてもよい。
本発明のコラーゲン構造体の別の好適な一形態は、接着部が外力を受けて変形した変形形状を有するものである。変形をもたらした外力として、引張り、圧縮、せん断、曲げ、ねじり等が挙げられる。コラーゲン線状体の断面形状が円形や楕円形を基本とするものであれば、接着部において面状に接着した状態とするためには変形を伴うこととなる。また、断面形状が三角形や四角形等の平面形状を有するコラーゲン線状体であっても、接着部において変形形状を有してもよい。この例として、コラーゲン線状体2本の断面形状として、一方が円形であり他方が四角形であるとき、両者の接着部において特に四角形の平面部が曲げの変形を受けたものが挙げられる。また、四角形の角同士による接着であっても曲げの変形を受けることによって面状の接着部とすることができる。
本発明のコラーゲン構造体のまた別の好適な一形態は、コラーゲン線状体によってループ状に形成されたループ形状部を少なくとも1個有するものである。ここで、ループ状とは、輪状を意味するが、円形状に限定されることはなく、楕円形状、多角形状であっても構わない。ループ形状部は、例えば、コラーゲン線状体複数本のうち1本だけに形成されていてもよく、図2(a)にその模式図を示した。図2(a)では、1本のコラーゲン線状体がループ形状部を1個有しているが、2個以上有していても構わない。
また、ループ形状部がコラーゲン線状体複数本において隣接する位置で形成されており(図2(b)の模式図参照)、そのループ形状部同士が架橋処理によって接着した接着部によって連結しているものであってもよく、また、非連結すなわち個々のループ形状部が独立に存在するものであってもよい。前者の場合には、接着部は面状に接着したものであることが好ましく、接着部の部位についてはループ形状部のうちの一部のみであっても構わないし、ループ形状部全域であっても構わない。また、ループ形状部の根元に接着部を有してもよい。
本発明のコラーゲン構造体の外的付加の一形態として、ループ形状部のみで形成されたコラーゲン線状体がコラーゲン構造体を構成するコラーゲン線状体に接着したものが挙げられる(図2(c)の模式図参照)。当該接着においては、架橋処理によって面状に接着していることが好ましい。なお、図2の各図は、ループ形状部を備えた各種形態の一例を模式的に図示したものである。また、図1と同様に、図2の各図において、隣接部の有無は図示の対象外であり、円形の断面形状はあくまで図示の便宜上のものである。
ループ形状部の形成位置については、特に制限はない。好適な一形態は、本発明のコラーゲン構造体の両末端にループ形状部が形成されているものである。当該形態は、コラーゲン構造体そのものを両方から牽引するのに好都合な形態である。例えば、両末端のループ形状部のそれぞれにワイヤーを通し、そのワイヤーを引張ることによりコラーゲン構造体に伸張力をかけることができる。
コラーゲン線状体を構成するコラーゲンの形態については、特に限定されることはなく、コラーゲン分子の形態であってもよいし、コラーゲン分子の会合により形成されるD周期を有する再フィブリル化(線維化とも称される)したコラーゲンフィブリル(本発明では「再フィブリル化コラーゲンフィブリル」とも称する)の形態であってもよい。コラーゲン分子と再フィブリル化コラーゲンフィブリルのいずれの形態であっても、その配向性については特に限定されることはなく、配向性の無いランダム配向であってもよいし、略規則性をもって配向したものであってもよい。
ここで、コラーゲン分子の形態からなるコラーゲン線状体を「線状体A」、ランダム配向した再フィブリル化コラーゲンフィブリルの形態からなるコラーゲン線状体を「線状体B」、略規則性をもって配向した再フィブリル化コラーゲンフィブリルの形態からなるコラーゲン線状体を「線状体C」と称する。
本発明のコラーゲン構造体を構成するコラーゲン線状体の種類は、線状体A、線状体B及び線状体Cのうちいずれか1種のみであってもよく、また、2種以上であってもよい。2種以上であるときは、例えば、いずれの種の線状体も一群として集合しその集合体同士が隣接する形態、ある1種の線状体が一群として集合しその周囲を別の種の線状体が取り囲む形態、複数種の線状体が混在している形態等が挙げられる。
生体親和性の観点からは、再フィブリル化コラーゲンフィブリルの形態からなる線状体B又は線状体Cが好ましい。特に好ましくは、略規則性をもって配向した再フィブリル化コラーゲンフィブリルの形態からなる線状体Cである。また、線状体Cは、強度の観点からも好ましい。これらの観点から、コラーゲン構造体が線状体Cのみで構成されたものであることが好ましい。ここで、線状体Cについて、「略規則性をもって配向した」とは、コラーゲン線状体を全体として観察したときに、大部分の再フィブリル化コラーゲンフィブリルが略平行に配列している状態を意味するものであり、一部の再フィブリル化コラーゲンフィブリルが不規則に存在することが許容されるのは云うまでもない。ここで、「略平行」とは、全く平行はもとより、実質的に平行と認められるものを含む意図である。特に好ましくは、再フィブリル化コラーゲンフィブリルがコラーゲン線状体の長手方向と略平行に配列している状態である。配向度の測定方法の一例は、コラーゲン線状体の任意の場所における10,000倍の走査電子顕微鏡像を、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト「A像くん(登録商標)」で解析し、配向度を半値幅法により算出するものである。当該配向度の最大値は1であり、値が大きいほど一定方向を向いていることを示す。好適範囲は、0.5〜1の範囲である。上記範囲内であれば、略規則性をもって配向している状態と云うことができる。
本発明のコラーゲン構造体のさらに別の好適な一形態は、コラーゲン構造体がさらに樹脂材料、セラミック材料及び金属材料のうちいずれか1種以上の付加材料を構成要素として含むものである。いずれの付加材料についても、特に制限されることなく、公知の材料の中から好適なものを選択すればよい。また、本発明のコラーゲン構造体の用途として、例えば医用材料として用いる場合は、付加材料が生体適合性を有するものであることが好ましい。
付加材料の具体例として、樹脂材料については、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、親水性を示すものであっても疎水性を示すものであってもよい。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、スチロール樹脂、ポリエステル(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体等)、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、生体適合性を有するものを用いるときは、例えば、ナイロン、ポリエステル、シリコーン樹脂等から選択することが好ましい。また、生分解性を有するものを用いてもよい。
セラミック材料としては、多種多様な材料が知られているが、生体適合性を有するものを用いるときは、例えば、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム等から選択することが好ましい。
金属材料としては、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、タンタル、タンタル合金、白金、金、銀、コバルトクロム合金、アルミニウム、鉄、銅、真鍮等が挙げられる。これらのうち生体適合性を有するものを用いるときは、例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金等から選択することが好ましい。
付加材料の形状については、特に限定されることはない。例えば、線状構造、球状構造等を挙げることができる。線状構造として、ファイバー状、ロッド状、管状、リボン状等の各種形状を例示できる。線状構造には、メッシュ状、織布状、不織布状、組紐等の線状構造の材料を用いて形成されたものも含まれる。本発明のコラーゲン構造体の強度向上、形状保持等の観点からは、付加材料が線状構造のものであることが好ましい。また、線状構造の付加材料が両末端にループ形状を有するものであってもよい。生体親和性の観点から、コラーゲン線状体を適切に配置することによって付加材料がコラーゲン構造体表面に露出しないようにすることも好ましい。
(製造方法)
本発明のコラーゲン構造体の製造方法の一形態は、好適には以下の工程を含むものである。すなわち、コラーゲン線状体複数本を略平行に配列し隣接させたものにおいて、隣接したコラーゲン線状体同士の少なくとも1箇所に対し、面状に密着した密着部分を形成させた状態でコラーゲン線状体全体を架橋処理する工程である。
コラーゲン線状体としては、コラーゲン線状体同士の接着度の観点から、未架橋のものを用いることが好ましいが、コラーゲン線状体の取り回しの観点から予め架橋処理されたものを用いてもよい。予め架橋処理されたコラーゲン線状体を用いるときは、コラーゲン線状体同士を接着させるための架橋処理がかけられるように、架橋度が低いものを用いることが好ましい。
コラーゲン線状体は、公知の方法により得ることができ、例えば、[1]可溶化コラーゲン溶液をエレクトロスピニングする方法、[2]可溶化コラーゲン溶液に適当な緩衝液を添加して得た再フィブリル化コラーゲンフィブリルを含有する水溶液を空気中又は水溶液中に紡出又は射出する方法、[3]可溶化コラーゲン溶液を線維化浴中に紡出又は射出する方法等が挙げられる。
ここで、上記[3]の方法において、線維化浴用の液の代表例として、無機塩類水溶液、エタノール等の親水性有機溶媒等が知られている。無機塩類水溶液のうち濃厚塩類水溶液を用いたとき、あるいは、親水性有機溶媒を用いたときは、再フィブリル化していないコラーゲンで構成されたコラーゲン線状体が得られる。一方、イオン強度を適切に設定した無機塩類水溶液を用いることにより線状体Cが得られる。線状体Cを得るための維化浴用の液の一例は、特開2016−69783号で開示された生理的な等張液又は緩衝液である。高密度のコラーゲン線状体を得る観点から、可溶化コラーゲン溶液としてコラーゲン濃度の高いもの(高濃度コラーゲン溶液)を用いることも好ましい態様の1つである。高濃度コラーゲン溶液を得る方法は、公知の方法を用いればよく、例えば、等電点沈澱を繰り返すことによって濃縮する方法、塩析によって濃縮する方法等が知られている。
コラーゲン線状体複数本を略平行に配列し隣接させた状態とすることについては上述のとおりである。当該隣接状態において、隣接したコラーゲン線状体同士の少なくとも1箇所に対し、面状に密着した密着部分を形成させる方法として、例えば、(i)密着部分の断面形状において双方が直線形状のコラーゲン線状体同士の場合は、直線部分同士が密着するように配置する方法、(ii)密着部分の断面形状において一方又は双方が非直線形状のコラーゲン線状体同士の場合は、適切な方向から適切な外力を加えて面状に密着させる方法、等を挙げることができる。上記(ii)においては、弾力性を有するコラーゲン線状体を用いることが好ましい。
ここで、上記(ii)における一具体例を図1(a)で説明する。平面形状の上下面方向に外力を各コラーゲン線状体に対し作用させることによって、コラーゲン線状体同士の隣接部を変形させ面状に密着させる。また、図1(b)においても、コラーゲン線状体同士の隣接部を変形させ面状に密着させるために、適当な方向から外力を作用させる。
コラーゲン線状体全体を架橋処理する方法としては、上述した各種方法を適用すればよい。架橋処理方法は、面状に密着した密着部分の密着性を保持させた状態でコラーゲン線状体全体を架橋処理するものであり、物理的架橋法と化学的架橋法のいずれを用いてもよい。密着性の保持のためには、部材を用いることが好ましい。以下、このような部材を「密着部材」と称する。密着部材は、所望の密着力が得られるように、部材の形状を適宜選択・設計することが好ましい。密着部材の材質は、コラーゲンとの相性や架橋方法を勘案して適宜選択すればよい。例えば、コラーゲンが付着し難い材質や照射架橋に対する耐久性の高い材質を選択することも好ましい態様の1つである。材質の具体例として、樹脂材料、無機材料等が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、スチロール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、無機材料としては、例えば、金属、ガラス等が挙げられる。これらのうち、樹脂材料が好ましく、好例はウレタン樹脂、シリコーン樹脂等であり、特に好ましくはウレタン樹脂である。また、通水性又は通気性を有する密着部材を用いることも好ましい態様の1つである。
架橋処理方法の特に好適な態様は、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種の照射架橋を行うものである。以下、当該態様について説明する。
コラーゲン線状体として、水性溶媒中で製造されたコラーゲン線状体を用いるときは、乾燥処理を行うことなく、そのまま水存在下、即ち、水性溶媒中又はコラーゲン線状体の湿潤状態が保持された状態下において、コラーゲン線状体複数本を略平行に配列し隣接させ、隣接したコラーゲン線状体同士の少なくとも1箇所に対し面状に密着した密着部分を形成させた後、これを水性溶媒の存在下で照射架橋を行うことが好ましい。照射架橋における水性溶媒は、コラーゲン線状体の製造で用いた水性溶媒と同様のものを用いることが好ましい。
照射架橋に適用する水性溶媒としては、水を含んでいる限りにおいて限定されるものではなく、例えば、水、生理食塩水、緩衝液又はその生理食塩水、酸性塩水溶液、中性塩水溶液、アルカリ性塩水溶液等が挙げられる。更に、これらに、有機溶媒を添加した水性溶媒を用いることもできる。照射架橋中の再フィブリル化コラーゲンフィブリルの形態維持に好適な水性溶媒は、適度なイオン強度及び適度なpHを有するものである。pHについては、例えば3〜10の範囲内でコラーゲンの種類に応じて適宜設定することが好ましい。上記好適な水性溶媒として、緩衝液又はその生理食塩水を例示でき、具体例は、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)、トリス緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等である。なお、再フィブリル化コラーゲンフィブリルを比較的溶解し易い水性溶媒であっても、この水性溶媒への浸漬及び架橋処理を短時間でおこなう場合には使用可能である。
照射架橋は、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち1種だけを実施してもよいし、2種以上を組み合わせて実施してもよい。また、1種の照射架橋を2回以上実施してもよい。照射架橋を例えば2回実施するときは、1回目で低架橋度、2回目で高架橋度が得られるように設定することが好ましい。また、2種以上を組み合わせて実施するときは、基本的には架橋度が低い照射法の後に架橋度が高い照射法を実施することが好ましく、例えば、UV照射後にγ線照射する組合せである。好適には、透過力が高く、均一に架橋させることができるγ線照射によって照射架橋を1回で行う方法である。特に、γ線照射による架橋処理では、照射線量を適宜設定することによって、高強度なコラーゲン線状体を得ることもできる。γ線照射では、線量率が固定の線源を用い、照射時間等の条件を適宜設定することにより、所定の照射線量を簡便に得ることができる。例えば、コバルト60線源を用いる場合、照射線量5〜75kGyで架橋処理を行うことができる。照射線量として、好ましくは5〜50kGyであり、より好ましくは10〜50kGyであり、さらに好ましくは15〜30kGyである。さらに、照射条件を適宜設定すれば架橋処理と同時に滅菌処理を行うことができる。そのため、架橋処理中及び架橋処理後の密封状態を保つようにすることで、滅菌済み製品として、そのまま市場に流通させることも可能である。
水性溶媒の存在下で照射架橋を行ったときの作用機序については定かではないが、照射(γ線等)により発生した水のラジカルがコラーゲンの未架橋部分に作用し、これによって架橋反応を開始又は進行させると推測される。よって、架橋を目的とする部位には、水性溶媒の流動性が少なくとも分子レベルで確保されている状態とすることが好ましく、それに適した通水性を有する密着部材を選択することが望ましい。水性溶媒の量は、特に限定されず、コラーゲン構造体の外形や大きさに応じて調整すればよい。例えば、少なくともコラーゲン構造体の表面全体が水性溶媒で覆われる状態であり、好適には、コラーゲン構造体が水性溶媒に浸漬した状態である。また、コラーゲン構造体が水性溶媒に完全に浸漬していない状態、例えば、コラーゲン構造体の一部が水性溶媒に浸漬していない場合であっても、当該部分における浸潤性が確保できていれば、コラーゲン構造体が水性溶媒に浸漬した状態と言える。本願明細書では、以上例示したようなコラーゲン構造体に対する水性溶媒の状態を含めて、「水性溶媒の存在下」と称するものである。水性溶媒の量として、例えば、コラーゲン構造体の容量に対して、2〜100倍の範囲が好ましく、5〜100倍の範囲がより好ましく、10〜50倍の範囲がさらに好ましい。
ところで、水性溶媒の存在下で照射架橋されたコラーゲン線状体で構成されたコラーゲン構造体の一特性は、例えば、特許第5633880号公報に記載されているように、細胞培養環境や生体内環境において分解し難いというものである。好適な照射架橋条件によって製造されたコラーゲン構造体は、前述の試験例、即ち、コラーゲン構造体を37℃のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS)に5日間浸漬したとき、その溶解率が10質量%以下となるものである。
本発明のコラーゲン構造体は、医用材料として広く用いることができるものである。その中でも、コラーゲン線状体全部が線状体Cによって構成され、コラーゲン構造体の両末端にコラーゲン線状体によってループ状に形成されたループ形状部を有し、ループ形状部の根元部の他に接着部を複数箇所(よって非接着部も複数箇所)有したコラーゲン構造体は、略規則性をもって配向した再フィブリル化コラーゲンフィブリルの特性による生体親和性の高さに加えて、架橋処理によって高い強度を有し、さらに非接着部においてコラーゲン線状体が撓むことができるため伸縮性を有するものである。そして、このコラーゲン構造体は、両末端のループ形状部のそれぞれにワイヤーを通し、そのワイヤーを引張ることができるため、靭帯再建術における移植靭帯として適用することが可能な材料である。また、さらなる強度向上等を目的として、付加材料を備えたコラーゲン構造体としてもよい。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。尚、実施例において%は、特に断らない限り全て質量%を示す。
[コラーゲン線状体の作製]
可溶化コラーゲン溶液として、ティラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「セルキャンパス FD-08G」(凍結乾燥品)をpH3のHCl溶液に溶解し、コラーゲン濃度を15%に調製した無色透明溶液を用いた。また、線維化浴として、PBSを用いた。上記可溶化コラーゲン溶液を18Gノンベベル針を装着したシリンジに充填した後、線維化浴中に射出することによって、断面が円形であり、長さ約200cmのコラーゲン線状体を得た。このコラーゲン線状体を湿潤状態を保持させたまま以下の実施例に用いた。
〔実施例1〕
約7cmの長さとなるように切りそろえたコラーゲン線状体25本を平面状に略平行に配列し、コラーゲン線状体同士を隣接させた状態とし、この上面及び下面をあらかじめPBSに浸漬した2枚のポリウレタンスポンジ(密着部材)で挟んで押圧することにより、隣接部全域に渡って面状に密着させた。これをPBSに浸漬した状態で25kGyのγ線を照射した。得られたコラーゲン構造体は、コラーゲン線状体同士の接着部が面状に接着したものであり、接着部を含めてコラーゲン線状体全体が架橋処理されたものであった。図3(a)がコラーゲン構造体全体の外観写真、図3(b)が実体顕微鏡による断面の写真である。なお、図3(b)は、個々のコラーゲン線状体の断面形状を確認し易いように、断面部で互いに引き離したものである。
〔実施例2〕
束状(棒状)のコラーゲン構造体を作製するために、1本のコラーゲン線状体を長さ8cmで往復させ、折り返しを除いた部分において略平行に配列するように配置した。これにナイロン糸を螺旋状に縛りつけて束状とし、面状に密着させた密着部と非密着部とを形成させた。これをPBSに浸漬した状態で25kGyのγ線を照射した。
得られたコラーゲン構造体(図4)は、コラーゲン線状体同士の接着部が面状に接着したものであり、接着部を含めてコラーゲン線状体全体が架橋処理されたものであった。このコラーゲン構造は、非接着部の存在により長手方向の伸縮性を有するものであった。
〔実施例3〕
図5(a)の模式図に示したように、約8cmの距離をあけて設置した2本のアクリル棒12に1本のコラーゲン線状体15を橋渡しに巻きつけた。これにナイロン糸18を螺旋状に縛りつけ(図5(b)の模式図参照)、面状に密着させた密着部と非密着部とを形成させた。これをアクリル棒を付けたまま、PBSに浸漬した状態で25kGyのγ線を照射した。
得られたコラーゲン構造体は、アクリル棒を取り除くことにより、ループ形状部を両末端に有するものであった。また、コラーゲン線状体同士の接着部が面状に接着したものであり、接着部を含めてコラーゲン線状体全体が架橋処理されたものであった。このコラーゲン構造は、非接着部の存在により長手方向の伸縮性を有するものであった。図6は、コラーゲン構造体の片側末端付近の写真であり、ループ形状部及びナイロン糸の縛りつけによって形成された螺旋模様を確認できる。
12 アクリル棒、15 コラーゲン線状体、18 ナイロン糸。

Claims (12)

  1. コラーゲン線状体複数本が略平行に配列し、コラーゲン線状体同士が隣接した隣接部を有し、
    当該隣接部においてコラーゲン線状体同士が面状に接着した接着部を少なくとも1箇所有し、
    コラーゲン線状体全体が架橋処理されたものである、
    コラーゲン構造体。
    ただし、前記接着部は、外力を受けて変形した変形形状を有するものである。
  2. 前記接着部を2箇所以上有する、請求項1記載のコラーゲン構造体。
  3. コラーゲン線状体によってループ状に形成されたループ形状部を少なくとも1個有する、請求項1又は2記載のコラーゲン構造体。
  4. 前記ループ形状部の形成位置がコラーゲン構造体の両末端である、請求項記載のコラーゲン構造体。
  5. 前記コラーゲン線状体を構成するコラーゲンが、再フィブリル化したコラーゲンフィブリルである、請求項1〜のいずれか1項記載のコラーゲン構造体。
  6. 前記再フィブリル化したコラーゲンフィブリルが、略規則性をもって配向したものである、請求項記載のコラーゲン構造体。
  7. さらに、樹脂材料、セラミック材料及び金属材料のうちいずれか1種以上の付加材料を構成要素として含む、請求項1〜のいずれか1項記載のコラーゲン構造体。
  8. 付加材料が線状構造のものである、請求項記載のコラーゲン構造体。
  9. 付加材料が生体適合性を有するものである、請求項又は記載のコラーゲン構造体。
  10. 以下の工程を含む請求項1〜のいずれか1項記載のコラーゲン構造体の製造方法。
    コラーゲン線状体複数本を略平行に配列し隣接させたものにおいて、隣接したコラーゲン線状体同士の少なくとも1箇所に対し、面状に密着した密着部分を形成させた状態でコラーゲン線状体全体を架橋処理する工程。
    ただし、前記密着部分は、外力によって面状に密着するように変形させて形成されたものである。
  11. 前記架橋処理が、水性溶媒の存在下で、γ線照射、電子線照射、UV照射及びプラズマ照射のうち少なくとも1種を行う架橋処理である請求項10記載のコラーゲン構造体の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項記載のコラーゲン構造体を用いた医用材料。
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