JP6839037B2 - インダクタンス素子およびその製造方法ならびに電子・電気機器 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性コアにコイルが埋め込まれたインダクタンス素子およびその製造方法ならびに当該インダクタンス素子を備える電子・電気機器に関する。
特許文献1には、絶縁性材料で被覆された導電性金属材で巻かれたコイル体と、前記コイル体から延びる一対の端子板と、少なくとも前記コイル体が内部に埋め込まれた磁性コアとを有するインダクタンス素子であって、前記一対の端子板のそれぞれにおける一方の端部は前記磁性コア外に位置し、前記一対の端子板のそれぞれに電気的に接続される一対の塗布型電極をさらに備え、前記一対の塗布型電極のそれぞれは、前記コイル体の巻回軸に沿った方向を面内方向とする前記磁性コアの側面の一部上に設けられた側面塗布部分を有し、前記磁性コアは磁性粉末の集合体であり、前記磁性コアにおける、前記コイル体の外側面よりも外側の領域および前記コイル体の外側面を前記コイル体の巻回軸に沿った方向に延長して得られる曲面の外周側の領域からなる第1領域に位置する磁性粉末の密度は、前記磁性コアにおける、前記コイル体の内側面よりも内側の領域および前記コイル体の内側面を前記コイル体の巻回軸に沿った方向に延長して得られる曲面の内周側の領域からなる第2領域に位置する磁性粉末の密度よりも低いことを特徴とするインダクタンス素子が記載されている。
特開2017−11042号公報
特許文献1に開示されるような磁性コアにコイルが埋設された構造を備えるインダクタンス素子は、スマートフォンなどの携帯通信端末の表示部を駆動するための部品として多数使用されている。携帯通信端末には薄型化や小型化などの要請が継続的に存在し、最大表示輝度を高めるなど表示部の能力を高めることへの要請も継続的に存在する。こうした要請の存在を背景として、このようなインダクタンス素子は、チップインダクタとも称され、低背化を含む小型化の要請が高まっている。その一方で、インダクタンス素子の基本パラメータであるインダクタンスLを高くすることへの要求も継続的に存在する。このインダクタンスLは、磁性コアに埋設されるコイルの、断面積Sや巻き数Nを増やすことにより大きくすることができるが、こうした対応を採用すれば、上記のインダクタンス素子の低背化・小型化の要求を満たすことが容易でなくなってしまう。
本発明は、かかる現状を背景として、小型化した場合であってもインダクタンスLを高めることが可能なインダクタンス素子を提供することを目的とする。本発明は、上記のインダクタンス素子の製造方法および上記のインダクタンス素子が実装された電子・電気機器を提供することをも目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、絶縁性材料で被覆された導電性金属材で巻かれたコイル体と、前記コイル体から延びる一対の端子板と、磁性粉末を含有する圧粉成形体を備える磁性コアと、を有するインダクタンス素子であって、前記コイル体は前記磁性コアに埋設され、前記一対の端子板のそれぞれにおける一方の端部は前記磁性コア外に位置し、前記一対の端子板のそれぞれに電気的に接続されるとともに前記磁性コアの表面の一部を覆うように設けられる一対の塗布型電極をさらに備え、前記磁性コアにおける前記コイル体の巻回軸に沿った方向を法線とする面である第1面は、前記第1面における一対の前記塗布型電極の並び方向のそれぞれの端部から延びる面であって前記コイル体の巻回軸に沿った方向を面内方向とする第2面との交差部の全体に切り欠き部を有し、一対の前記塗布型電極は、互いに異なる前記切り欠き部を覆うように設けられ、前記巻回軸に沿った方向からみて、前記第1面における前記切り欠き部によって切り欠かれていない平坦領域に、前記コイル体の全域が重複することを特徴とするインダクタンス素子である。
塗布型電極は、例えば銀などの導電性物質を含むペースト(導電ペースト)を磁性コアに塗布して形成される。インダクタンス素子の小型化や低背化が強く求められるようになると、この導電性ペーストを磁性コアの表面に塗布したことによる全体の厚さの増大が、インダクタンス素子の小型化・低背化の阻害因子となる。この問題は導電ペーストの塗布厚さを薄くすることにより回避できるが、塗布厚さを薄くすると、塗布型電極の導電性の低下が懸念される。そこで、塗布型電極が形成される面(第1面)に切り欠きを設け、形成された段差を埋めるように塗布型電極を形成すると、塗布型電極の導電性を確保しつつ、インダクタンス素子の全体の厚さの過度の増大を抑制することができる。
このように、磁性コアに切り欠きを設けることで塗布型電極の導電性を確保しつつ素子の小型化・低背化が実現されるが、この切り欠きの形状について本発明者が詳細に検討したところ、切り欠きの形状がインダクタンス素子の基本特性であるインダクタンスLに影響を与えることが明らかになった。
すなわち、塗布された塗布型電極がインダクタンス素子の厚さに与える影響を少なくするために設けられた磁性コアの切り欠き部の形状は、コイル体が埋設された磁性コア(コイル埋設磁性コア)を備えるインダクタンス素子のコイル体の断面積Sに影響を与える。本明細書において、コイル体の断面積Sとは、コイル体の内周に外接する柱状体(円柱、楕円柱など)を規定したときに、その柱状体を巻回軸に直交する面で切断して得られる断面の面積を意味する。コイル体を与える前駆体に相当する巻回体の断面積Sも同様にして定義される。図2(b)には、コイル体の内側面に外接する円柱の底面の直径Wsが示されている。この場合には、コイル体の断面積SはπWs/4となる。
ここで、インダクタンスLは次の式で表されるため、上記のコイル体の断面積Sはインダクタンス素子のインダクタンスLに直接的に影響を及ぼす因子である。
L=kμSN/l
k:長岡係数
μ:透磁率
S:コイルの断面積
N:コイルの巻数
l:コイル長
したがって、インダクタンス素子のインダクタンスLを高めるためには、コイル体の巻回軸に沿った方向からみたときの切り欠き部の形状を適切に制御する必要がある。
具体的には、上記のように、インダクタンス素子をコイル体の巻回軸に沿った方向からみたときに磁性コアの第1面の平坦領域にコイル体の全域が重複する場合には、そのインダクタンス素子のコイル体は、金型内で磁性粉末に取り囲まれた状態にある巻回体(コイル体の前駆体)に対して巻回軸に沿った方向からの圧力が適切に加えられて、巻回体の押し広げが十分に行われることにより形成されたものである。したがって、かかる構成を有するインダクタンス素子では、コイル体の断面積Sが巻回体の断面積Sに比べて適切に大きくなっている。なお、コイル体の巻回軸に沿った方向からみて磁性コアの第1面の平坦領域にコイル体の全域が重複する場合には、平坦領域の切り欠き部の並び方向の最大幅W1と、コイル体の当該方向の外径W2とは、下記式(I)を満たす。
W1/W2≧1.0 (I)
これに対し、切り欠き部の幅が大きいなどの理由により、インダクタンス素子を巻回軸に沿った方向からみたときにコイル体が平坦領域に重複しない部分を有する場合には、そのインダクタンス素子のコイル体は、上記の重複しない部分の影響により金型内の巻回体(コイル体の前駆体)に対して、巻回軸に沿った方向だけでなく他の方向からの圧力も加わりやすい状態で形成されたコイル体である。このような加圧状態では、上記の重複部分を有しない場合に比べて巻回軸に沿った方向の加圧力は相対的に低くなるため、金型内で巻回体の押し広げが適切に行われない。それゆえ、かかる巻回体から形成されたコイル体は断面積Sが相対的に小さく、それゆえインダクタンス素子のインダクタンスLが高まりにくい。
上記のインダクタンス素子において、前記平坦領域の前記切り欠き部の並び方向の最大幅W1と、前記コイル体の当該方向の外径W2とは、下記式(1)を満たすことが好ましい。下記式(1)の関係を満たす場合には、コイル埋設磁性コアを形成するための加圧成形の際に、巻回体の押し広げがより安定的に行われる。
W1/W2≧1.1 (1)
前記コイル体はエッジワイズコイルであることが好ましい場合がある。エッジワイズコイルを構成する導電性金属材は、一般的に、帯状であって断面形状が矩形である。かかる形状を有する導電性金属材は、巻数Nを増やすことを容易にする観点から、その断面の矩形の短軸が巻回軸に沿うように配置されて、巻回軸方向に導電性金属材が重なるように巻回軸を中心として巻かれる。導電性金属材がこのような形状・配置を有するエッジワイズコイルに対して巻回軸に沿った方向から加圧力を加えると、帯状の導電性金属材は、相対的に広い面(主面)が加圧力を受けることになるため、導電性金属材の押しつぶしが生じやすい。その結果、エッジワイズコイルの押し広げが効率的に生じ、エッジワイズコイルの断面積Sが大きくなりやすい。コイル体がエッジワイズコイルである場合には、その前駆体と位置付けられる巻回体もエッジワイズコイルである。したがって、エッジワイズコイルからなる巻回体から形成されエッジワイズコイルの形状を有するコイル体は、断面積Sが大きくなりやすい。
これに対し、コイル体が例えばα巻コイルである場合には、巻回体もα巻コイルであり、α巻コイルを構成する帯状の導電性金属材は、その断面の矩形の長軸が巻回軸に沿うように配置される。このようなα巻コイルが巻回軸に沿った方向で加圧されると、帯状の導電性金属材の相対的に狭い面(側面)が加圧力を受けるため、導電性金属材の押しつぶしが生じにくい。また、α巻コイルの導電性金属部材は、巻回軸を中心として巻径が増減する渦巻き構造を部分構造として有することも、巻回軸に沿った方向にα巻コイルが加圧されたときにその断面積Sを広げるような変形を生じにくくすることに寄与する。それゆえ、コイル体が例えばα巻コイルである場合には、コイル体がエッジワイズコイルである場合に比べて、断面積Sが大きいコイル体が得られにくい。
前記磁性コアは前記コイル体の巻回軸に沿った方向に対向する2つの面を有し、当該2つの面は、いずれも前記切り欠き部を有する前記第1面であって、一対の前記塗布型電極のそれぞれは、前記コイル体の巻回軸に沿った方向に対向する2つの前記切り欠き部を覆うように設けられていてもよい。磁性コアが例えば直方体である場合には、巻回軸に沿った方向に対向する2つの面が第1面であっていずれも一対の切り欠き部を有していてもよい。これらの切り欠き部のうち巻回軸に沿った方向に並んで位置する2つを覆うように塗布型電極を形成すれば、対向する2面の双方に塗布型電極が設けられていても、塗布型電極の導電性の低下をもたらすことなく、インダクタンス素子としては低背化を実現することができる。
本発明は、他の一態様として、上記のインダクタンス素子の製造方法を提供する。かかる製造方法は、前記コイル体を与える巻回体を有する導電部材と、磁性粉末を含有する圧粉成形体からなり前記巻回体の周囲に配置される複数の予備成形体とを有する被成形部材を、前記切り欠き部に対応する凸部を有する金型のキャビティ内に配置する配置ステップと、前記被成形部材を前記巻回体の巻回軸に沿った方向に加圧することを含んで、前記第1面に前記切り欠き部を有する前記磁性コアと前記コイル体とを備えるコイル埋設磁性コアを形成する加圧ステップと、前記コイル埋設磁性コアの前記第1面における前記切り欠き部のそれぞれを覆うように一対の前記塗布型電極を形成する電極形成ステップと、を備える。
上記のとおり、被成形部材を巻回軸に沿った方向に圧縮されるように加圧することにより、導電部材の巻回体の押し広げが適切に行われて、得られたコイル埋設磁性コアの内部のコイル体の断面積を大きくすることが実現される。したがって、かかる製造方法により製造されたインダクタンス素子は、塗布型電極に起因する厚さの増大が抑えられながら適切に導電性を有し、しかも、インダクタンスLを高めることが可能である
本発明は、別の一態様として、上記のインダクタンス素子が実装された電子・電気機器を提供する。
本発明に係るインダクタンス素子では、小型化した場合であっても、塗布型電極の導電率の低下が生じにくく、しかもコイル体の断面積を高めやすいためインダクタンス素子のインダクタンスLが高くなりやすい。したがって、本発明によれば、小型化した場合であってもインダクタンスLを高めることが可能なインダクタンス素子が提供される。また、本発明によれば、かかるインダクタンス素子の製造方法、およびかかるインダクタンス素子が実装された電子・電気機器も提供される。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。 (a)図1に示されるインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示すZ1−Z2方向Z2側からの図、および(b)図2(a)のA−A断面図である。 (a)図1に示されるインダクタンス素子のコイル埋設磁性コアを概念的に示す斜視図、および(b)コイル埋設磁性コアをZ1−Z2方向Z2側から見た図である。 (a)図3に示されるコイル埋設磁性コアを製造するための部材の一つ(第1予備成形体)の斜視図、(b)図3に示されるコイル埋設磁性コアを製造するための部材の別の一つ(第2予備成形体)の斜視図、および(c)第1予備成形体と第2予備成形体との間に配置される巻回体を含む導電部材の斜視図である。 第1予備成形体および第2予備成形体ならびに導電部材とからなる仮組体を用いてコイル埋設磁性コアを製造する過程を示す断面図である。 (a)実施例に係るコイル埋設磁性コアの構造を示す断面図、および(b)比較例に係るコイル埋設磁性コアの構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。図2(a)は、図1に示されるインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示すZ1−Z2方向Z2側からの図である。図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。図3(a)は、コイル埋設磁性コアを概念的に示す斜視図である。図3(b)は、コイル埋設磁性コアをZ1−Z2方向Z2側から見た図である。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100は、磁性粉末を含む成形体を有し略直方体の磁性コア30にコイル体10が埋め込まれた構造を有する。エッジワイズコイルであるコイル体10は、絶縁性材料で被覆された導電性金属材からなり、断面が長方形の帯状体である導電性帯体を巻いて形成されている。コイル体10は、導電性帯体の板面が巻回軸(Z1−Z2方向に沿った方向である。)とほぼ垂直となり(すなわち、X−Y面に沿った面となる。)、コイル体10の厚さ方向を決めている導電性帯体の側端面が巻回軸と平行となる向きで、導電性帯体の板面どうしが巻回軸に沿って重なるように巻かれている。したがって、コイル体10の上下端面(Z1−Z2方向の両端面)は、コイル体10のコイル(導電性帯体が巻回された部分)の巻回軸に沿った方向を法線とする。図1および図2に示されるように、コイル体10は、導電性帯体が真円形となるように巻かれている。コイル体10の巻回の平面視形状は真円形に限定されない。コイル体10の巻回の平面視形状は楕円形でも良く、当業者において適宜選択することができる。なお、コイル体10の断面形状は限定されない。コイル体10の断面形状は円形であってもよい。コイル体10の断面形状が上記のように長方形などの矩形である場合には、コイル体10の占有率を高めることができ、好ましい。また、コイル体10が、帯状の導電性金属材が巻回軸方向に重なるように巻かれてなるエッジワイズコイルからなる場合には、製造過程において導電性金属材が巻回軸に沿った方向での加圧力により押しつぶされやすいため、コイル体10の断面積Sが大きくなりやすい傾向を有する。図2(b)には、コイル体10の内側面に外接する円柱の底面の直径Wsが示されている。この場合には、コイル体10の断面積SはπWs/4となる。
導電性金属材の具体的な組成は限定されない。銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの良導体であることが好ましい。導電性金属材を被覆する絶縁性材料の種類は限定されない。エナメルなどの樹脂系材料が好適な材料の具体例として挙げられる。コイル体10がエッジワイズコイルの場合には、外側面側に位置する絶縁性材料が引き伸ばされやすいため、こうした引き伸ばしが行われても絶縁性が低下しにくい材料を使用することが好ましい。
コイル体10が真円状に巻かれた状態で、コイル体10を構成する導電性帯体の双方の端部は、突出してさらに折り返されて、導電性帯体の末端に近い部分が端子板20,25を構成している。
図1に示すように、コイル体10を構成する導電性帯体の一方の端部は、まず谷折り方向へほぼ直角に曲げられ、次に山折り方向へほぼ直角に曲げられ、さらに谷折り方向へほぼ直角に二度折り曲げられて、この最後の折り曲げ部から導電性帯体の末端に至る部分が端子板20を構成している。コイル体10を構成する導電性帯体の一方の端部は山折り部から二度目の谷折り部までの間において、磁性コア30の内部から突出し、この部分から導電性帯体の末端に至る部分は、磁性コア30外に位置する。上記のようにコイル体10を構成する導電性帯体の一方の端部が折り曲げられることにより、端子板20は、磁性コア30におけるコイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)を法線とする面の一方であってZ1−Z2方向Z2側の面(第1面30A)のさらにZ1−Z2方向Z2側に位置し、端子板20の一方の端部は磁性コア30外に位置する。
コイル体10を構成する導電性帯体の他方の端部は、まず山折れ方向へほぼ直角に折り曲げられ、次に谷折り方向へほぼ直角に三度折り曲げられて、この最後の折り曲げ部から導電性帯体の末端に至る部分が端子板25を構成している。コイル体10を構成する導電性帯体の他方の端部は一度目の谷折り部から二度目の谷折り部までの間において、磁性コア30の内部から突出し、この部分から導電性帯体の末端に至る部分は、磁性コア30外に位置する。上記のようにコイル体10を構成する導電性帯体の一方の端部が折り曲げられることにより、端子板25は、磁性コア30のZ1−Z2方向Z2側の面(第1面30A)のさらにZ1−Z2方向Z2側に位置し、端子板25の一方の端部は磁性コア30外に位置する。
図1や図2に示されるインダクタンス素子100では、コイル体10と端子板20,25とは同一の部材(導電性帯体)から構成されているが、これに限定されない。コイル体10を構成する導電性帯体の端部に別途部材が接合されて、その部材が端子板20,25を構成していてもよい。
一対の塗布型電極40,45は、磁性コア30のZ1−Z2方向Z1側の面において端子板20,25のそれぞれに電気的に接続され、さらに、磁性コア30の側面の一部上に設けられた側面塗布部分40a,45aを有する。図1に示されるように、塗布型電極40,45は、コイル体10を構成する導電性帯体における磁性コア30から突出する部分が位置する磁性コア30の側面およびその側面に対向する側面の一部にも設けられている。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100では、図1および図2(a)では一点鎖線で示され、図3では実線で示されるように、磁性コア30のZ1−Z2方向Z2側の面に切り欠き部を有する。以下、磁性コア30におけるコイル体10の巻回軸に沿った方向を法線とする2つの面のうち一方であるこの面を、第1面30Aという。塗布型電極40,45は、この第1面30Aの一部の上にも設けられる。
略直方体の形状を有する磁性コア30の第1面30Aは、第1面30Aにおける一対の塗布型電極40,45の並び方向(X1−X2方向)のそれぞれの端部(X1−X2方向X1側端部、X1−X2方向X2側端部)から延びる面であってコイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)を面内方向とする第2面30Bとの交差部の全体に切り欠き部を有する。図1から図3に示されるように、インダクタンス素子100が略直方体の形状を有する場合には、第2面30Bは2つあり、それぞれの第2面30Bと第1面30Aとの交差部に切り欠き部(第1切り欠き部CP1、第2切り欠き部CP2)が形成されている。
磁性コア30の第1面30A上に形成される一対の塗布型電極の一方(塗布型電極40)は2つの切り欠き部の一方である第1切り欠き部CP1を覆うように設けられ、一対の塗布型電極の他方(塗布型電極45)は2つの切り欠き部の他方である第2切り欠き部CP2を覆うように設けられる。
近年、インダクタンス素子100の厚さを薄くすること、すなわち低背化への要請が特に高まっている。この要請に応えるために、磁性コア30の厚さを薄くする(Z1−Z2方向長さを短くする)のみならず、電極塗布材料の塗布厚さを薄くして、形成される塗布型電極40,45の厚さを薄くする対応が採用される場合がある。この対応に基づいて塗布型電極40,45を形成するための材料(電極塗布材料)の塗布量を少なくすると、磁性コア30の第1面30Aと第2面30Bとの交差部に位置する稜線部分には電極塗布材料がとどまりにくい。このため、電極塗布材料から形成された塗布型電極40,45は、この部分の厚さが過度に減少し、塗布型電極40,45の導電性が低下することが懸念される。しかも、本来稜線部に位置するはずの電極塗布材料が第1面30A側に位置してしまい、結果的に、塗布型電極40,45の厚さが大きくなってしまうことも懸念される。
そこで、磁性コア30の第1面30Aと第2面30Bとによる稜線部分を切り欠いて切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)を形成して、これらの切り欠き部のそれぞれを埋めるように電極塗布材料を塗布することにより、塗布型電極40,45の厚さが薄くなっても、磁性コア30の上記の稜線部分において塗布型電極40,45が薄くなりにくく、よって塗布型電極40,45の導電性が低下しにくい。
このように切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)を設けることにより、塗布型電極40,45を適切に形成できるが、巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみたときの、切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)の形状を適切にすることが、インダクタンス素子100のインダクタンスLを高める観点から重要である。
インダクタンス素子100のインダクタンスLは、次の式で表される。
L=kμSN/l
k:長岡係数
μ:透磁率
S:コイルの断面積
N:コイルの巻数
l:コイル長
したがって、コイル体10は断面積Sが大きいことが好ましい。ここで、インダクタンス素子100における磁性コア30にコイル体10が埋め込まれた構造(後述するコイル埋設磁性コア100P)は、コイル体10を与える部材(後述する巻回体10Pを含む導電部材33)と磁性粉末とを金型内に配置して、コイル体10の巻回方向(Z1−Z2方向)に沿った方向に圧縮成形することによって得られる。したがって、磁性コア30は磁性粉末を含有する圧粉成形体である。この磁性コア30を形成するための圧縮成形の加圧力は、通常、0.5GPaから3GPa程度であるため、圧縮成形の際に、巻回体10Pを構成する帯状の導電性金属材は、加圧方向(Z1−Z2方向)に押しつぶされる。そして、巻回体10Pは、加圧方向(Z1−Z2方向)に縮まる一方、加圧方向に直交する面内方向(X−Y面内方向)に広がる。このような巻回体10Pの変形によって、巻回体10Pから形成されたコイル体10の断面積Sが大きくなる。コイル体10の断面積Sが大きくなることは、上記のとおりインダクタンス素子100のインダクタンスLを大きくすることに貢献するため、好ましい。
この圧縮成形の際の巻回体10Pの断面積Sの拡大の程度は、巻回体10Pを取り囲むように位置する磁性コア30の外形の影響を受ける。上記のように、磁性コア30の第1面30Aに切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)が設けられ、コイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみて、第1面30Aにおける切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)によって切り欠かれていない平坦領域PRに、コイル体10の全域が重複している場合には、そのコイル体10を与える巻回体10Pは、圧縮成形の際に断面積Sの拡大が適切に行われたものである。具体的には、図2(b)に示されるように、平坦領域PRのX1−X2方向の幅W1が、コイル体10のX1−X2方向の幅W2以上である場合、すなわち、下記式(I)を満たす場合には、そのコイル体10を与える巻回体10Pは、圧縮成形の際に断面積Sの拡大が適切に行われたものである。
W1/W2≧1.0 (I)
平坦領域PRのX1−X2方向の幅W1は、切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)の形状を変更することにより調整することができる。平坦領域PRの切り欠き部の並び方向(X1−X2方向)の最大幅W1と、コイル体10のX1−X2方向の外径W2とは、下記式(1)を満たす場合には、コイル体10は、その製造過程において巻回体10Pの断面積Sの拡大がより安定的に行われたものであるため、好ましい。
W1/W2≧1.1 (1)
なお、本実施形態に係るインダクタンス素子100のように、コイル体10が、短軸が巻回軸方向に沿う矩形の断面形状を有する帯状の導電性金属材から構成されたエッジワイズコイルである場合には、巻回体10Pも同様のエッジワイズコイルであり、巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からの加圧力を受けたときに、断面積Sが大きくなりやすい。さらに、このW1/W2の値が1.2以上であればより好ましい。
なお、コイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみて、コイル体10が平坦領域PRに重複していない部分を有する場合、すなわち、コイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみて、コイル体10が切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)と重複する部分を有する場合には、切り欠き部による段差によって、圧縮成形の際に、磁性コア30(正確には磁性コア30を与える部材)に対して巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)に加えられた加圧力の一部が、この方向とは異なる方向に分散してしまう。このため、巻回体10Pの断面積Sの拡大が適切に行われず、インダクタンス素子100のインダクタンスLが想定よりも低下する不具合が生じやすくなる。
切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)における、Y1−Y2方向中央部の幅(X1−X2方向の長さ)は、Y1−Y2方向端部(Y1側端部、Y2側端部)のそれぞれの幅(X1−X2方向の長さ)よりも短いことが好ましい。コイル体10は巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみたときの形状が真円形や楕円形であり、Y1−Y2方向中央部においてX1−X2方向の長さが最大であることから、切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)が上記のような形状を有することにより、コイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみて、コイル体10が切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)と重複する部分が生じにくくなる。
磁性コア30に含まれる磁性粉末の組成および組織は限定されない。磁気特性を高める観点から、磁性粉末はFe基合金であることが好ましい場合がある。また、磁性粉末は結晶質であってもよいし非晶質(アモルファス)であってもよいし、20nm程度またはそれ以下の微細な結晶を含むいわゆるナノ結晶質であってもよい。Fe基の結晶質磁性材料の具体例として、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−V系合金、Fe−Al系合金、Fe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、カルボニル鉄および純鉄が挙げられる。
非晶質磁性材料の具体例として、Fe−Si−B系合金、Fe−P−C系合金およびCo−Fe−Si−B系合金が挙げられる。上記の非晶質磁性材料は1種類の材料から構成されていてもよいし複数種類の材料から構成されていてもよい。非晶質磁性材料の粉末を構成する磁性材料は、上記の材料からなる群から選ばれた1種または2種以上の材料であることが好ましく、これらの中でも、Fe−P−C系合金を含有することが好ましく、Fe−P−C系合金からなることがより好ましい。Fe−P−C系合金の具体例として、組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、2.2原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、0原子%≦t≦7原子%であるFe基非晶質合金が挙げられる。上記の組成式において、Ni,Sn,Cr,BおよびSiは任意添加元素である。磁性粉末は組織が異なる粉末の混合体(例えば結晶質の粉末と非晶質の粉末との混合体)から構成されていてもよい。
磁性コア30の磁性粉末の表面には絶縁処理が施されていてもよい。そのような表面絶縁処理として、リン酸処理、リン酸塩処理、酸化処理などが例示される。リン酸系のガラス材料をメカノフュージョン法により磁性粉末の表面にコーティングしてもよい。この場合には、磁性コア30あるいはインダクタンス素子100として形成されるまでの間に磁性粉末をコーティングするリン酸系のガラス材料のガラス転移温度以上に磁性粉末を加熱することにより、インダクタンス素子100の絶縁特性を特に高めることができる。なお、上記のようにガラス転移温度以上に加熱されたリン酸系のガラス材料のコーティングは、少なくとも一部が結晶化する場合もある。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100の製造方法は、上記のとおり、磁性コア30を形成するための磁性粉末を、巻回体10Pとともに金型内に配置して加圧成形する圧粉成形を含む。具体的には、以下に説明する製造方法を採用すれば、インダクタンス素子100を効率的に製造することが可能となる。
図4(a)は、図3に示されるコイル埋設磁性コアを製造するための部材の一つ(第1予備成形体)の斜視図である。図4(b)は、図3に示されるコイル埋設磁性コアを製造するための部材の別の一つ(第2予備成形体)の斜視図である。図4(c)は、第1予備成形体と第2予備成形体との間に配置される巻回体を含む導電部材の斜視図である。図5は、第1予備成形体および第2予備成形体ならびに導電部材とからなる仮組体を用いてコイル埋設磁性コアを製造する過程を示す断面図である。
図4(a)に示される第1予備成形体31は、磁性コア30の一部(磁性コア30のZ1−Z2方向Z1面側)を形成するための部材である。第1予備成形体31は巻回体10Pの一部を収容可能な中空部HP1を有し、この中空部HP1内に巻回体10Pは載置される。
図4(b)に示される第2予備成形体32は、磁性コア30の他の一部(磁性コア30のZ1−Z2方向Z2面側)を形成するため部材である。第2予備成形体32は巻回体10Pの一部を収容可能な中空部HP2を有し、さらに、巻回体10Pの端子板20,25に相当する部分が第2予備成形体32外に位置しうるように、2つのスリット32S1,32S2を備える。
図4(c)に示されるように、導電部材33はコイル体10および端子板20,25を与える部材であって、コイル体10に対応する部分として、導電性帯体がZ1−Z2方向を巻回軸として巻回されてなる巻回体10Pを有する。すなわち、導電部材33において、巻回体10Pは、コイル体10を与える部分であり、その具体的形状は、この巻回体10Pから形成されるコイル体10Pと同様にエッジワイズコイルである。導電部材33は、インダクタンス素子100が備えるコイル体10を含む導電性帯体の形状と異なり、その両端の最後の谷折りが行われていない状態、すなわち、端子板20,25に相当する部分の板面が、巻回体10Pの巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)を面内方向にするように配置された状態にある。
第1予備成形体31の中空部HP1に導電部材33を載置し、導電部材33の一部を収容した第1予備成形体31上に第2予備成形体32を載置して、導電部材33の巻回体10Pを中空部HP1および中空部HP2の内部に収容することによって、インダクタンス素子100を形成するための仮組体100Aが得られる(図6)。換言すれば、仮組体100Aは、巻回体10Pを有する導電部材33と、巻回体10Pの周囲に配置される複数の予備成形体(第1予備成形体、第2予備成形体)とを有する。この仮組体100Aが次の加圧ステップの対象物であるから、仮組体100Aは、第1予備成形体31、第2予備成形体32および巻回体10Pを有する被成形部材である。
図5に示されるように、この仮組体100Aを、プレス機50の金型本体51内に配置された上型52と下型53との間のキャビティ54内に載置する(配置ステップ)。ここで、上型52には、キャビティ54のZ1−Z2方向Z2側の端部の周縁部に、切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)に対応する凸部52Pが設けられている。
この状態で、上型52および下型53を加圧する(加圧ステップ)。加圧の向きは、図5において矢印Pにより示されるように、コイル体10となる巻回体10Pの巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)であって上型52と下型53とが近接する向きである。この加圧により、被成形部材である仮組体100Aの第1予備成形体31および第2予備成形体32がコイル体10の巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)に加圧され、コイル埋設磁性コア100Pが得られる。このとき、第2予備成形体32が上型52の凸部52Pに押されることにより、コイル埋設磁性コア100Pの磁性コア30の第1面30Aには、切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)が形成される。仮組体100Aの成形条件(加圧力、加圧時の温度、加圧時間など)は、被成形部材(第1予備成形体31、第2予備成形体32)の組成や形状などに応じて適宜設定される。常温(非加熱)にて成形する場合には、0.5GPaから2GPa程度の加圧力で数秒間加圧することにより、第1予備成形体31および第2予備成形体32が一体化して磁性コア30となり、この磁性コア30がコイル体10を内包する構造を有するコイル埋設磁性コア100Pが形成される。
この圧粉成形の際に、導電部材33の巻回体10PもZ1−Z2方向に圧縮されるため、巻回体10PはX−Y面内方向に押し広げられる。この巻回体10Pの押し広げにより、巻回体10Pの断面積Sの拡大が行われて、断面積Sの大きなコイル体10を得ることができる。また、巻回体10Pの巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)が板面の面内方向になるように配置されていた端子板20,25を90°折り曲げることにより、磁性コア30の第1面30Aの上に端子板20,25を配置することができる。
第1予備成形体31および第2予備成形体32は、加圧ステップでの成形圧力よりも低い圧力で磁性粉末を予備的に成形することにより形成すればよい。第1予備成形体31および第2予備成形体32を構成する材料は、磁性粉末を含んでいれば他は限定されない。磁性粉末から構成されていてもよいし、有機系成分をさらに含んでいてもよい。有機系成分は、磁性粉末を互いに結着させるバインダ成分であることが好ましい。バインダ成分である有機系成分の具体的な組成は限定されない。有機系成分は樹脂材料を含んでいてもよく、樹脂材料として、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂などが例示される。有機系成分は上記のような樹脂材料が熱処理を受けて形成された物質を含んでいてもよい。かかる物質の組成は、熱処理を受ける樹脂材料の組成、熱処理条件などにより調整されうる。有機系成分は、第1予備成形体31および第2予備成形体32に含まれる磁性粉末を互いに電気的に独立にできることが好ましい。有機系成分に係る樹脂材料は1種類から構成されていてもよいし、複数種類から構成されていてもよい。例えば、有機系成分に係る樹脂材料は、フェノール樹脂のような熱硬化性の樹脂と、アクリル樹脂のような熱可塑性樹脂との混合体であってもよい。
第1予備成形体31および第2予備成形体32が有機系成分を含有する場合において、第1予備成形体31および第2予備成形体32のそれぞれにおける有機系成分の含有量は限定されない。有機系成分がバインダ成分である場合には、バインダ成分としての機能が適切に発揮される量を含有させることが好ましい。なお、有機系成分の含有量が過度に高い場合には、第1予備成形体31および第2予備成形体32からなる磁性コア30を備えるインダクタンス素子100の磁気特性が低下する傾向がみられる場合があることを考慮して、第1予備成形体31および第2予備成形体32のそれぞれにおける有機系成分の含有量を設定することが好ましい。
第1予備成形体31および第2予備成形体32のそれぞれは、磁性粉末および有機系成分以外の物質を含有してもよい。かかる物質として、ガラス、アルミナ等の絶縁性の無機系成分;シランカップリング剤等の、磁性粉末および有機系成分との密着性を向上するためのカップリング剤などが挙げられる。第1予備成形体31および第2予備成形体32がこれらの物質の含有する場合において、第1予備成形体31および第2予備成形体32のそれぞれにおけるこれらの物質の含有量は限定されない。
磁性コア30は、その表面および必要に応じて表面近傍の部分に絶縁層を有していてもよい。絶縁層を有することにより、磁性コア30の絶縁性を高めることができる。絶縁層を構成する材料は限定されない。絶縁層を構成する材料の具体例として、シリコーン系の樹脂、エポキシ系の樹脂、ブチラールフェノール系の樹脂、アクリル系の樹脂等有機系の材料、酸化物、窒化物、炭化物等の無機系材料などが挙げられる。
コイル埋設磁性コア100Pの第1面30Aにおける2つの切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)のそれぞれを覆うように、電極塗布材料(塗布型電極40,45を形成するための材料)を塗布し、得られた塗布物を必要に応じ適宜乾燥、硬化あるいは焼成することにより、塗布型電極40,45が得られる(電極形成ステップ)。電極塗布材料の組成は限定されない。生産性に優れる観点から、銀ペーストなどの導電ペーストが好ましい。電極塗布材料の塗布厚さは、適切な導電性を有する限り、任意である。上記のとおり、コイル埋設磁性コア100Pは切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)を有するため、塗布厚さを薄くしても、得られた塗布型電極40,45の導電性が低下しにくい。
塗布型電極40,45の導電性をより安定的に高める観点などから、塗布型電極40,45は、上記の導電ペーストから形成されるメタライズ層とこのメタライズ層上に形成されためっき層とを備えていてもよい。この場合において、めっき層を形成する材料は限定されない。当該材料が含有する金属元素として、銅、アルミ、亜鉛、ニッケル、鉄、スズなどが例示される。塗布型電極40,45がメタライズ層とめっき層とを備える場合には、メタライズ層を形成するための導電ペーストの塗布量として0.05g/cm程度が例示され、めっき層の厚さの範囲として5〜10μm程度が例示される。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100は、磁性コア30が2つの切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)を有し、これらの切り欠き部のそれぞれを覆うように塗布型電極40,45が形成されているため、インダクタンス素子100が特に小型である場合であっても、塗布型電極40,45の導電性を安定的に高めることができる。しかも、巻回軸に沿った方向(Z1−Z2方向)からみたときの切り欠き部の形状が適切に設定されているため、インダクタンス素子100のインダクタンスLを高めることが可能である。したがって、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100は、特に小型であっても適切な磁気特性を有し、動作安定性に優れる。
それゆえ、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子100を実装した電子・電気機器は小型化が容易となる。また、電子・電気機器の実装スペースに、多数の電子部品を実装することが可能となる。この点に関し、インダクタンス素子100が小型であることにより、電源スイッチング回路、電圧昇降回路、平滑回路、高周波電流を阻止する回路などを小型化することが可能である。それゆえ、電子・電気機器の電源供給回路を増やすことが容易となる。その結果、より精密な電源制御が可能となって、電子・電気機器の消費電力を抑えることが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、第1面30Aにおける平坦領域PRのX1−X2方向の端部は曲線で構成されているが、複数の直線が屈曲点で接続されてなる連続線により構成されていてもよい。
また、上記のインダクタンス素子100では、磁性コア30のZ1−Z2方向Z2側の面が第1面30Aであって、この面に切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)が設けられているが、これに限定されない。磁性コア30のZ1−Z2方向Z1側の面も切り欠き部が設けられた第1面30Aであってもよい。この場合には、磁性コア30のZ1−Z2方向Z1側の面に設けられる切り欠き部の並び方向は、磁性コア30のZ1−Z2方向Z2側の面に設けられた切り欠き部(第1切り欠き部CP1および第2切り欠き部CP2)の並び方向(X1−X2方向)に揃っていればよい。そして、磁性コア30のX1−X2方向X1側においてZ1−Z2方向に並ぶ2つの切り欠き部(これらの切り欠き部は第1切り欠き部CP1を含む。)を覆うように、塗布型電極40は設けられればよい。同様に、磁性コア30のX1−X2方向X2側においてZ1−Z2方向に並ぶ2つの切り欠き部(これらの切り欠き部は第2切り欠き部CP2を含む。)を覆うように、塗布型電極45は設けられればよい。このような構成により、塗布型電極40,45のそれぞれが磁性コア30のZ1−Z2方向に対向する2つの面の一部を覆うように設けられていても、導電性を低下させることなく塗布型電極40,45の厚さを薄くして、インダクタンス素子100の厚さ(Z1−Z2方向長さ)を薄くする低背化の要請に応えることができる。この場合において、磁性コア30のZ1−Z2方向Z1側の面に設けられる切り欠き部とコイル体10とのZ1−Z2方向からみたときの位置関係を、磁性コア30のZ1−Z2方向Z2側の面に設けられる切り欠き部とコイル体10とのZ1−Z2方向からみたときの位置関係と同様とすることにより、巻回体10Pの断面積Sとの対比で、コイル体10の断面積Sを適切に大きくすることが実現される。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例)
Fe−P−C系非晶質合金材料からなる磁性粉末を用いて、インダクタンス素子100を製造した。形状、製造条件は次のとおりであった。インダクタンス素子100が備えるコイル埋設磁性コア100Pの断面図を図6(a)に示した。
(磁性コア30の形状)
外形:略直方体
X1−X2方向長さ:2.5mm
Y1−Y2方向長さ:2.0mm
Z1−Z2方向長さ:0.8mm
平坦領域PRのX1−X2方向の最大幅W1:2.2mm
(コイル体10の形状)
外形:Z1−Z2方向からみて楕円形
外径W2:1.8mm
内径:1.4mm
Z1−Z2方向長さ:0.45mm
したがって、図7(a)に示されるように、W1/W2は1.2であった。
(成形)
温度:常温(25℃)
圧力:1.0GPa
(塗布型電極40,45)
構造:メタライズ層とめっき層との積層構造
メタライズ層:銀ペースト(塗布量ねらい値:0.05g/cm
めっき層:Ni/Sn(膜厚ねらい値:10μm)
得られたインダクタンス素子100のインダクタンスLを測定したところ、4.04Hであった。
(比較例)
実施例と同様であるが、平坦領域PRのX1−X2方向の最大幅W3が1.6mmであり、W3/W2が0.9であるインダクタンス素子を作製した。インダクタンス素子が備えるコイル埋設磁性コア100Qの断面図は、図6(b)に示されるとおりであった、インダクタンスLを測定したところ、3.96Hであった。この結果は、実施例に係るインダクタンス素子100のインダクタンスLの98%程度の値であった。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子は、スマートフォン、ノートパソコンなど携帯電子機器における表示部の電源回路の構成要素として好適に使用されうる。
100 インダクタンス素子
10 コイル体
20,25 端子板
30 磁性コア
30A 第1面
30B 第2面
CP1 第1切り欠き部
CP2 第2切り欠き部
PR 平坦領域
40,45 塗布型電極
40a,45a 側面塗布部分
BM 導電性帯体
10P 巻回体
31 第1予備成形体
HP1 中空部
32 第2予備成形体
HP2 中空部
32S1,32S2 スリット
33 導電部材
10P 巻回体
100A 仮組体
100P コイル埋設磁性コア
50 プレス機
51 金型本体
52 上型
52P 凸部
53 下型
54 キャビティ
P 矢印
W1 平坦領域のX1−X2方向の幅
W2 コイル体のX1−X2方向の外径
Ws コイル体の内側面に外接する円柱の底面の直径
100Q 比較例に係るインダクタンス素子
W3 比較例に係るコイル埋設磁性コアの平坦領域のX1−X2方向の幅

Claims (7)

  1. 絶縁性材料で被覆された導電性金属材で巻かれたコイル体と、前記コイル体から延びる一対の端子板と、磁性粉末を含有する圧粉成形体を備える磁性コアと、を有するインダクタンス素子であって、
    前記コイル体は前記磁性コアに埋設され、前記一対の端子板のそれぞれにおける一方の端部は前記磁性コア外に位置し、
    前記一対の端子板のそれぞれに電気的に接続されるとともに前記磁性コアの表面の一部を覆うように設けられる一対の塗布型電極をさらに備え、
    前記磁性コアにおける前記コイル体の巻回軸に沿った方向を法線とする面である第1面は、前記第1面における一対の前記塗布型電極の並び方向のそれぞれの端部から延びる面であって前記コイル体の巻回軸に沿った方向を面内方向とする第2面との交差部の全体に切り欠き部を有し、
    一対の前記塗布型電極は、互いに異なる前記切り欠き部を覆うように設けられ、
    前記巻回軸に沿った方向からみて、前記第1面における前記切り欠き部によって切り欠かれていない平坦領域に、前記コイル体の全域及び前記端子板が重複すること
    を特徴とするインダクタンス素子。
  2. 前記平坦領域の前記切り欠き部の並び方向の最大幅W1と、前記コイル体の当該方向の外径W2とは、下記式(1)を満たす、請求項1に記載のインダクタンス素子。
    W1/W2≧1.0 (1)
  3. 前記コイル体はエッジワイズコイルである、請求項1または2に記載のインダクタンス素子。
  4. 前記磁性コアは前記コイル体の巻回軸に沿った方向に対向する2つの面を有し、当該2つの面は、いずれも前記切り欠き部を有する前記第1面であって、一対の前記塗布型電極のそれぞれは、前記コイル体の巻回軸に沿った方向に対向する2つの前記切り欠き部を覆うように設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタンス素子。
  5. 前記切り欠き部の並び方向の幅は、中央部の幅が、端部の幅よりも短くなっている、請求項1から4のいずれか一項に記載のインダクタンス素子。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載されるインダクタンス素子の製造方法であって、
    前記コイル体を与える巻回体を有する導電部材と、磁性粉末を含有する圧粉成形体からなり前記巻回体の周囲に配置される複数の予備成形体とを有する被成形部材を、前記切り欠き部に対応する凸部を有する金型のキャビティ内に配置する配置ステップと、
    前記被成形部材を前記巻回体の巻回軸に沿った方向に加圧することを含んで、前記第1面に前記切り欠き部を有する前記磁性コアと前記コイル体とを備えるコイル埋設磁性コアを形成する加圧ステップと、
    前記コイル埋設磁性コアの前記第1面における前記切り欠き部のそれぞれを覆うように一対の前記塗布型電極を形成する電極形成ステップと、
    を備えることを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載されるインダクタンス素子が実装された電子・電気機器。
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