JP6835684B2 - 排気弁開時制御プログラム - Google Patents
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Description
排気弁が閉から開に切り換えられる際には、排気弁の周辺に存在する高圧のエアが直ちに大気(大気圧である)に排気されるが、その場合に大きな音が発生させられる。大きな音は、排気弁の周辺のエアの圧力と大気圧との圧力差が大きい場合に発生させられると考えられる。
それに対して、本排気弁開時制御プログラムが実行された場合には、排気弁が閉から開に切り換えられる前に排気弁の周辺のエアの圧力が低くされる。その結果、排気弁が閉から開に切り換えられる際に発生させられる音を小さくすることができる。
以下、本明細書において、エアシリンダ2、ショックアブソーバ4等について、車輪の位置で区別する必要がある場合には、車輪の位置を表す符号FL,FR,RL,RRを付すが、車輪の位置で区別する必要がない場合、総称を表す場合等には車輪の位置を表す符号FL,FR,RL,RR等を省略して記載する。
コンプレッサ装置30は、コンプレッサ40と、コンプレッサ40を駆動する電動モータ42とを含み、コンプレッサ40が電動モータ42の駆動により作動させられる。コンプレッサ40の吐出圧が高くなると、リリーフ弁46を経てエアが大気へ排気される。
タンク34は、エアを加圧した状態で収容するものであり、収容されるエアの量が多くなると、その収容されたエアの圧力であるタンク圧が高くなる。
図1に示すように、共通通路22と、タンク34が接続されたタンク通路48とが、互いに並列に設けられた第1通路50と第2通路52とによって接続され、第1通路50に、直列に2つの回路弁61,62が設けられ、第2通路52に、直列に2つの回路弁63,64が設けられる。また、吸引通路65によって、第1通路50の2つの回路弁61,62の間の部分と、コンプレッサ40の吸気側部40aとが接続され、吐出通路66によって、コンプレッサ40の吐出側部40bと、第2通路52の2つの回路弁63,64の間の部分とが接続される。
回路弁61,63は、閉状態においてタンク34からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁62は、閉状態において、共通通路22からのエアの流出を阻止するものであり、回路弁64は、閉状態において共通通路22へのエアの供給を阻止するものである。
吐出通路66の接続部66sには排気弁32が接続される。排気弁32は常閉の電磁弁であり、開状態において、吐出通路66から大気へのエアの排出が許容され、閉状態において、吐出通路66から大気へのエアの排出が阻止されるが、吐出通路66のエアの圧力が大気圧より設定圧以上低くなると大気から吐出通路66へのエアの供給が許容される。
また、吐出通路66の接続部66sより第2通路側の部分には、ドライヤ70と流れ抑制機構72とが直列に設けられる。流れ抑制機構72は、互いに並列に設けられた、差圧弁72vと絞り72sとを含む。差圧弁72vは、第2通路側からコンプレッサ側へのエアの流れを阻止し、コンプレッサ側の圧力が第2通路側の圧力より設定圧以上高くなると、コンプレッサ40から第2通路52へのエアの流れを許容する。
また、本実施例における車高制御システム等は、バッテリ110の電力により作動可能なものである。バッテリ110の電圧は電圧モニタ112によって検出されるが、電圧モニタ112は車高制御ECU80に接続される。
なお、タンク34と排気弁32との間には流れ抑制装置72、ドライヤ70等が存在するため、排気弁32が閉から開に切り換えられた際に、直ちに、タンク34のエアが排気弁32を経て排気されるとは考え難い。そのため、タンク34に蓄えられた高圧のエアが排気弁32から排気されることに起因して、大きな音が発生するとは考え難い。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、タンク圧センサ90によりタンク圧PTが検出され、S2において、減圧制御中であるか否かが判定される。減圧制御中でない場合には、S3において、タンク圧PTが減圧開始しきい値PThより高いか否か、すなわち、減圧制御の開始条件が成立するか否かが判定される。開始条件が成立しない場合には、S1〜3が繰り返し実行されるが、開始条件が成立した場合には、S3の判定がYESとなり、S4において、ダウン制御中であるか否かが判定される。ダウン制御中である場合には、S5において、ダウン制御を休止させることを表す休止フラグがONとされ、S6以降が実行されることはない。ダウン制御中である場合には、減圧制御は行われないのである。また、S4の判定がNOである場合には、S6において、減圧制御の開始指令(排気弁開指令と称することもできる)が出力される。
S21において、回路弁62,63が開、コンプレッサ40が始動させられることにより、図3の状態とされる。吸気通路65がタンク通路48から遮断されて、共通通路22に第1通路50の一部を介して連通させられる。また、吐出通路66が第2通路52の一部を介してタンク通路48に連通させられる。コンプレッサ40により、共通通路22、吸引通路65のエアが吸引されてタンク34に供給される。共通通路22、吸引通路65のエアの圧力は低くなる。そして、S22において、通路圧センサ91の検出値である通路圧PCが読み込まれ、S23において、設定通路圧PCaより低くなったか否かが判定される。判定がNOの場合には、吸引工程が継続して続けられるが、判定がYESとなった場合には、吸引工程が終了し、循環工程が開始される。
エアの循環は、第1設定時間の間行われるが、第1設定時間が経過した場合には、S25の判定がYESとなり、循環工程が終了させられ、保持工程が開始される。第1設定時間は、例えば、コンプレッサ40の吸引側と吐出側との圧力差が、コンプレッサ40が停止させられる際に発生させられる音を抑制し得る程度まで小さくなるのに要する時間とされる。
次に、S29において、回路弁63が開、排気弁32が開とされるのであり、減圧制御の開始処理が行われる。図6に示すように、吸引通路65はタンク通路48からも共通通路22からも遮断されて、吐出通路66に第2通路52の一部を介してタンク通路48が連通させられる。それにより、タンク34と排気弁32、すなわち、大気とが連通させられる。タンク34から排気弁32を経てエアが大気へ排気させられるのであり、タンク圧が低くなる。
S31において、排気弁32が閉、回路弁63が閉とされるのであり、減圧制御の終了処理が行われる。次に、S32において、回路弁61が開とされるのであり、行き渡らせ制御が開始される。図7に示すように、タンク通路48が第1通路50の一部を介して吸気通路65に連通させられる。タンク34のエアは、吸気通路65、コンプレッサ40、吐出通路66に供給される。この状態が、第3設定時間の間維持され、タンク圧がエア給排装置24に行き渡らせられる。第3設定時間が経過した場合には、S33の判定がYESとなり、S34において、回路弁61が閉とされる。第3設定時間は、例えば、タンク圧が吸入通路65、吐出通路66に行き渡ったと推定され得る時間とすることができる。
S41において、休止フラグがONであるか否かが判定される。判定がNOである場合には、S42において、車高センサ93により車高が検出され、S43において、ダウン制御中であるか否かが判定される。ダウン制御中でない場合には、S44において、ダウン制御の開始条件が成立するか否かが判定される。例えば、目標車高に対してS42において検出された実際の車高である実車高が第1設定値以上大きい場合には、ダウン制御の開始条件が成立すると判定される。判定がNOである場合には、S41〜44が繰り返し実行される。そのうちに、開始条件が成立し、判定がYESとなった場合には、S45において、ダウン制御の開始指令が出力される。
開始指令に応じて、図示しない開始時制御が行われるが、本実施例においては、回路弁62,63が開、コンプレッサ40が始動させられ、制御対象輪に対応する車高制御弁26が開とされて、図12に示す状態とされる。制御対象輪のエアシリンダ2のエアがコンプレッサ40により吸引されてタンク34に供給される。それにより、エアシリンダ2からエアが流出させられ、車高が低くなる。
終了指令に応じて、図示しない終了時制御が行われるが、途中に休止フラグがONとされることなく終了条件が成立した場合には、回路弁62,63が閉、車高制御弁26が閉とされ、コンプレッサ40が停止させられる。
休止時制御には、休止処理(S61)、排気弁開準備制御(S22〜28*)、再開処理(S62,63:排気弁開を含む)が含まれる。
S61において、ダウン制御の休止処理として、車高制御弁26が閉とされる。エアシリンダ2からエアが流出されないようにされる。次に、排気弁開準備制御が実行されるのであるが、S21が実行されることなく、S22〜27が実行される。この場合には、ダウン制御が休止されて排気弁開準備制御が行われるのであり、図12に示す状態から図3に示す状態に切り換えられる。そのため、S61において、車高制御弁26が閉とされるだけでよく、回路弁62,63、コンプレッサ40については切り換える必要がないのである。
なお、図16のフローチャートにおいては、理解を容易にするため、S21を記載し、S61において、ダウン制御の休止処理をすべて記載した。しかし、上述のように、S61において、回路弁62,63を閉、コンプレッサ40を停止させる必要はないのである。
再開されたダウン制御において、コンプレッサ40は停止状態にあり、エアシリンダ2のエアは排気弁32を経て大気に排気される。それにより、車高が低くなる。その後、S63において、休止フラグがOFFとされる。
また、S21等の実行により吸引工程が実施され、S24の実行等により循環工程が実施され、S29(S62)等の実行により排気工程が実施される。
(1)車両の複数の車輪にそれぞれ設けられ、共通通路に接続された複数の車高制御アクチュエータと、
(a)エアを蓄えたタンクと、(b)コンプレッサと、(c)そのコンプレッサの吐出側部に接続された吐出通路の途中に設けられ、大気と連通する連通位置と大気から遮断する遮断位置とに切換え可能な排気弁と、(d) 複数の電磁弁を有し、前記タンクに接続されたタンク通路と、前記コンプレッサの吸引側部に接続された吸引通路と、前記吐出通路と、前記共通通路との間に設けられ、これらの間の連通状態を切り換え可能な切換え装置とを備えたエア給排装置と、
前記エア給排装置を制御する車高制御コンピュータと
を含む車高制御システムにおいて、前記車高制御コンピュータに、
前記吸引通路が前記タンク通路から遮断されて前記共通通路に連通させられ、前記吐出通路が前記タンク通路に連通させられる状態に前記切換え装置を制御するとともに、前記コンプレッサを作動状態とする第1ステップと、
前記コンプレッサの作動状態において、前記タンク通路が前記吐出通路から遮断されるとともに前記吸引通路と前記吐出通路とが連通させられる状態に前記切換え装置を制御する第2ステップと、
前記コンプレッサを停止状態とするとともに、前記共通通路と前記タンク通路との一方が前記吸引通路からも前記吐出通路からも遮断されて、前記共通通路と前記タンク通路との他方が前記吐出通路に連通させられる状態に前記切換え装置を制御し、かつ、前記排気弁を開とする第3ステップと
を実行させるための排気弁開時制御プログラム。
第1ステップの実行により、コンプレッサにより、共通通路と吸引通路とのエアが吸引されて、タンクに供給される。
第2ステップの実行により、循環回路(閉回路)が形成され、循環回路においてコンプレッサによりエアが循環させられる。それにより、コンプレッサの吸引側部と吐出側部との圧力差が小さくなる。
第3ステップの実行により、共通通路とタンク通路との他方が排気弁に連通させられる。それにより、他方から排気弁を経て大気にエアが排気される。他方がタンク通路とされた場合には、タンクのエアが排気されて、タンク圧が減圧させられる。他方が共通通路とされた場合には、車高制御アクチュエータのエアが排気されて、車高が低くなる。
(a)エアを蓄えたタンクと、(b)コンプレッサと、(c)そのコンプレッサの吐出側部に接続された吐出通路の途中に設けられ、大気と連通する連通位置と大気から遮断する遮断位置とに切換え可能な排気弁と、(d)前記タンクに接続されたタンク通路と、前記コンプレッサの吸引側部に接続された吸引通路と、前記吐出通路と、前記共通通路との間に設けられた複数の電磁弁を備え、これらの間の連通状態を切り換え可能な切換え装置とを備えたエア給排装置とを含む車高制御システムにおいて、前記タンクまたは前記車高制御アクチュエータのエアを大気へ排気させる排気方法であって、
前記切換え装置を制御することにより、前記吸引通路を前記タンク通路から遮断して前記共通通路に連通させ、前記吐出通路を前記タンク通路に連通させるとともに、前記コンプレッサを作動状態として、前記共通通路と前記吸引通路とのエアを吸引して前記タンクに供給させる吸引工程と、
前記コンプレッサの作動状態において、前記切換え装置を制御することにより、前記タンク通路を前記吐出通路から遮断するとともに、前記吸引通路と前記吐出通路とを連通させて循環回路を形成して、その循環回路においてエアを循環させる循環工程と、
前記コンプレッサを停止させるとともに、前記切換え装置を制御することにより、前記共通通路と前記タンク通路との一方を前記吸引通路からも前記吐出通路からも遮断して、前記共通通路と前記タンク通路との他方を前記吐出通路に連通させて、前記排気弁を開とすることにより、前記他方を大気に連通させる排気工程と
を含む排気弁開時制御方法。
循環工程は、吸引工程において、共通通路のエアの圧力である通路圧が設定圧より低くなった場合に実行されるようにすることができる。
排気工程は、循環工程が第1設定時間の間実行された後に、実行される。また、排気工程は、コンプレッサの停止状態を第2設定時間の間保持する保持工程を含むものとすることができる。排気工程が保持工程を含む場合には、保持工程が終了した後に、排気弁が開とされる。
(a)エアを蓄えたタンクと、(b)コンプレッサと、(c)そのコンプレッサの吐出側部に接続された吐出通路の途中に設けられ、大気と連通する連通位置と大気から遮断する遮断位置とに切換え可能な排気弁と、(d)前記タンクに接続されたタンク通路と、前記コンプレッサの吸引側部に接続された吸引通路と、前記吐出通路と、前記共通通路との間に設けられた複数の電磁弁を備え、これらの連通状態を切り換え可能な切換え装置とを備えたエア給排装置と、
前記タンクに蓄えられたエアの圧力であるタンク圧が第1設定圧より高くなり、前記排気弁を閉から開に切り換える前に、前記排気弁の周辺のエアの圧力を前記第1設定圧より低い第2設定圧より低くする排気弁開準備制御部と
を含むことを特徴とする車高制御システム。
例えば、第1設定圧は、減圧開始しきい値とすることができる。第2設定圧は、排気弁が閉から開に切り換えられた場合に大きな音の発生を抑制し得る高さとすることができる。
Claims (1)
- 車両の複数の車輪にそれぞれ設けられ、共通通路に接続された複数の車高制御アクチュエータと、
(a)エアを蓄えたタンクと、(b)コンプレッサと、(c)そのコンプレッサの吐出側部に接続された吐出通路の途中に設けられ、大気と連通する連通位置と大気から遮断する遮断位置とに切換え可能な排気弁と、(d)複数の電磁弁を備え、前記タンクに接続されたタンク通路と、前記コンプレッサの吸引側部に接続された吸引通路と、前記吐出通路と、前記共通通路との間に設けられ、これらの間の連通状態を切り換え可能な切換え装置とを備えたエア給排装置と、
前記エア給排装置を制御する車高制御コンピュータと
を含む車高制御システムにおいて、前記車高制御コンピュータに、
前記吸引通路が前記タンク通路から遮断されて前記共通通路に連通させられ、前記吐出通路が前記タンク通路に連通させられる状態に前記切換え装置を制御するとともに、前記コンプレッサを作動状態とする第1ステップと、
前記コンプレッサの作動状態において、前記タンク通路が前記吐出通路から遮断されるとともに前記吸引通路と前記吐出通路とが連通させられる状態に前記切換え装置を制御する第2ステップと、
前記コンプレッサを停止状態とするとともに、前記共通通路と前記タンク通路との一方が前記吸引通路からも前記吐出通路からも遮断されて、前記共通通路と前記タンク通路との他方が前記吐出通路に連通させられる状態に前記切換え装置を制御し、かつ、前記排気弁を開とする第3ステップと
を実行させるための排気弁開時制御プログラム。
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