JP6834572B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関するものである。
樹脂をフィルム化して光学特性を有するフィルムを製造する方法の一つに、溶融押出法がある。溶融押出法では、例えば、溶融した樹脂をダイから押出して得られた溶融フィルムを、冷却ロール上で冷却し、原反フィルムを得る。そして、得られた原反フィルムを延伸することで、長尺の延伸フィルムを得ることができる。(以下、「原反フィルム」および「延伸フィルム」をまとめて、「光学フィルム」という。)
従来から、溶融押出法を用いて、諸性能に優れる光学フィルムを効率的に製造する方法の検討が行われている。例えば、溶融フィルムに電荷を供給してフィルム表面を帯電させることで、溶融フィルムと冷却ロールを密着させて冷却効率を高める方法(静電密着法)が知られている。しかしながら、従来の静電密着法では、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を確保できない場合があった。
このような問題に対し、例えば特許文献1では、溶融した熱可塑性樹脂を口金から回転冷却ドラム上にシート状に押出し、該回転冷却ドラム上で急冷固化してシート状物を成形するに際し、回転冷却ドラム上で成形中のシート状物に帯電した空気を吹き付ける方法が提案されている。そして、特許文献1によれば、成形中のシート状物に帯電した空気を吹き付けることで、回転冷却ドラム上へのシート状物の密着力が大幅に向上すると共に、シート状物の透明性を高めることができる。
特開平8−142162号公報
しかしながら、上記従来の方法では、溶融フィルムと冷却ロールの密着性に更なる改善の余地があった。例えば、光学フィルムの製造には、製造ラインの一層の高速化が求められているところ、上記従来の方法を用いてライン速度を上昇させると、溶融フィルムと冷却ロールの密着性が低下し、得られる光学フィルムの厚み精度の悪化や、搬送時の蛇行などの問題が生じていた。
そこで、本発明は、溶融フィルムと冷却ロールを十分に密着させて、光学フィルムの搬送時の蛇行を抑制すると共に、光学フィルムの厚み精度を高めることが可能な光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した。そして、本発明者は、溶融フィルムを静電密着法により冷却ロール上で冷却して、幅方向中央部の平均厚みが40μm以上の原反フィルムを得るに際し、溶融フィルムの幅方向両端部において、冷却ロールと接する面(ロール面)と、ロール面の反対面(反ロール面)の少なくとも一方の面に粗面化処理を行い、粗面化された領域に電荷を供給することで、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を高めることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の光学フィルムの製造方法は、樹脂を含む樹脂組成物をダイから溶融押出しして、溶融フィルムを得る工程と、前記溶融フィルムの幅方向両端部において、前記溶融フィルムの少なくとも片面に粗面化処理を施す工程と、前記溶融フィルムの粗面化された領域への電荷供給により前記溶融フィルムを冷却ロールに密着させて冷却し、原反フィルムを得る工程と、を含み、前記原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みが40μm以上であることを特徴とする。このように、幅方向中央部の平均厚みが40μm以上である原反フィルムを得るに際し、溶融フィルムの幅方向両端部(幅方向端部の双方)の、ロール面および/または反ロール面に対して粗面化処理を行い、粗面化された領域に電荷を供給すれば、溶融フィルムと冷却ロールを十分に静電密着させることが可能となる。そして、溶融フィルムを冷却した後の工程において、得られる原反フィルムおよび延伸フィルムの蛇行を抑制すると共に、厚み精度を高めることができる。
なお、本発明において、フィルムの「幅方向中央部」とは、フィルムの長手方向中心線からの距離が、フィルムの幅の35%以内の領域をいい、フィルムの「幅方向両端部」とは、「幅方向中央部」の幅方向外側の領域をいう。
また、本発明において、「幅方向中央部の平均厚み」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
そして、本発明において、「粗面化処理」とは、溶融フィルムの幅方向両端部の少なくとも一部に粗面化された領域を設ける処理をいう。なお、粗面化された領域の表面粗さRaは、通常、粗面化されていない任意の領域の表面粗さRaよりも大きい。
ここで、本発明の光学フィルムの製造方法において、前記樹脂組成物の比誘電率を2.5以下とすることができる。比誘電率が低い樹脂組成物からなる溶融フィルムは、一般的に、冷却ロールと静電密着し難い。しかしながら、粗面化された領域に電荷を供給する本発明の光学フィルムの製造方法を用いれば、比誘電率が2.5以下の樹脂組成物を用いた場合であっても、溶融フィルムと冷却ロールを十分に密着させることができる。
なお、本発明において、「比誘電率」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
そして、本発明の光学フィルムの製造方法において、前記粗面化された領域が、前記溶融フィルムの幅方向末端から幅方向内側に100mm以下の領域であることが好ましい。溶融フィルムの幅方向末端から、フィルムの幅方向内側に100mm以下の領域に対して粗面化処理を行うことで、十分な製品歩留まりを確保することができる。
また、本発明の光学フィルムの製造方法において、前記粗面化処理を、粗面化ロールとの接触、スクラッチ処理、ブラスト処理、およびダイリップとの接触からなる群から選択される少なくとも1つにより行うことが好ましい。上述した何れかの手法により粗面化処理を行えば、溶融フィルムの粗面化を効率良く行うことが可能となり、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を更に向上させることができる。
更に、本発明の光学フィルムの製造方法において、前記粗面化された領域の算術平均粗さRaが、0.10μm以上6.00μm以下であることが好ましい。粗面化された領域の算術平均粗さRaが、0.10μm以上6.00μm以下であれば、過度な耳切れを抑制しつつ、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を更に向上させることができる。
なお、本発明において、「粗面化された領域の算術平均粗さRa」は、粗面化された領域を有する溶融フィルムを冷却して得られる原反フィルムの、当該粗面化された領域に相当する箇所の算術平均粗さRaを測定することで得られる。そして算術平均粗さRaは、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
なお、本発明の光学フィルムの製造方法は、前記原反フィルムを得る工程の後、さらに、前記粗面化された領域を除去して、粗面化された領域を製品として巻き取らないことが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、溶融フィルムと冷却ロールを十分に密着させて、光学フィルムの搬送時の蛇行を抑制すると共に、光学フィルムの厚み精度を高めることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法における、粗面化処理後の溶融フィルムの一例を模式的に示す図である。 本発明の光学フィルムの製造方法の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、樹脂を含む樹脂組成物をダイから溶融押出しして、溶融フィルムを得る工程(押出工程)と、溶融フィルムの幅方向両端部において、溶融フィルムの少なくとも片面に粗面化処理を施す工程(粗面化工程)と、溶融フィルムの粗面化された領域への電荷供給により溶融フィルムを冷却ロールに密着させて冷却し、幅方向中央部の平均厚みが40μm以上の原反フィルムを得る工程(静電密着工程)を含み、任意に、その他の工程を含む。
そして、本発明の光学フィルムの製造方法では、溶融フィルムの幅方向両端部を粗面化し、粗面化された領域に電荷を供給しているため、溶融フィルムと冷却ロールを良好に密着させることができる。このように、幅方向両端部が粗面化された溶融フィルムに静電密着法を適用することで、溶融フィルムと冷却ロール間の密着性を向上させることができる理由は定かではないが、本発明者によれば、次のように推察される。すなわち、溶融フィルムのロール面および/または反ロール面に粗面化された領域を設けることで、ロール面ではフィルムと冷却ロール間の空気層が低減し、および/または、反ロール面では表面積増大により帯電量が増加するためと考えられる。加えて、本発明者らの検討によれば、冷却後の原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みが40μm未満となるような比較的薄い溶融フィルムを用いると、溶融フィルム表面に供給された電荷が何らかの理由でクーロン引力の発生に十分に寄与しないためと推察されるが、上述した粗面化による溶融フィルムと冷却ロール間の密着性向上効果が十分に得られないことが分かった。
すなわち、幅方向中央部の平均厚みが40μm以上である原反フィルムを得るに際し、溶融フィルムの幅方向両端部を粗面化することで、静電密着法を用いた際の溶融フィルムと冷却ロール間の十分な密着性向上が達成される。そして、このように溶融フィルムと冷却ロールを十分に密着させることで、冷却ロール上での冷却むらを抑えて、得られる光学フィルムの厚み精度を向上させると共に、光学フィルムの搬送時の蛇行を抑制することが可能となる。
(押出工程)
押出工程では、樹脂を含む樹脂組成物をダイから溶融押出しして、溶融フィルムを作製する。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、樹脂を主成分として含む組成物である。ここで、樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。具体的な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、脂環式ポリオレフィン樹脂等)、ポリカーボネート樹脂(芳香族ポリカーボネート等)、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂(ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリシクロヘキシルアクリレート等)、およびその他の樹脂(ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等)が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。これらの中でも、光学フィルムに求められる機械特性、耐熱性、透明度といった品質をバランス良く向上させることができる観点から、ポリオレフィン樹脂が好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂がより好ましい。
また、樹脂組成物は、ピニング剤(高誘電率化剤)等の添加剤を含んでいてもよい。しかしながら、ピニング剤等の添加剤は、得られる光学フィルムにおいて、透明度等の光学特性の低下を引き起こす虞がある。よって、ピニング剤等の添加剤の配合量は、樹脂100質量部当たり、3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることが更に好ましく、0.1質量部以下であることが特に好ましく、0質量部であることが最も好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法を用いれば、ピニング剤により樹脂組成物の比誘電率を高めずとも、溶融フィルムと冷却ロールの間の十分な密着性を確保することができる。そして、樹脂組成物の比誘電率は、例えば、2.5以下とすることができ、2.3以下とすることができる。また、樹脂組成物の比誘電率の下限は特に限定されないが、通常1.5以上である。このような低い比誘電率の樹脂組成物を構成しうる樹脂としては、例えば、上述したポリオレフィン樹脂が挙げられる。
<溶融押出条件>
上述した樹脂組成物を、ダイから溶融押出しして溶融フィルムを作製する際の溶融押出条件は特に限定されず、用いる樹脂の種類等に応じて適宜決定することができる。
なお、冷却ロール上での溶融フィルムの幅は、特に限定されないが、1000mm以上であることが好ましく、1200mm以上であることがより好ましく、3000mm以下であることが好ましく、2500mm以下であることがより好ましい。
(粗面化工程)
粗面化工程では、溶融フィルムの幅方向両端部内の少なくとも一部の領域に、溶融フィルムのロール面および/または反ロール面に粗面化処理を施して、粗面化された領域を設ける。なお、粗面化処理は、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を更に高める観点から、溶融フィルムのロール面および反ロール面の双方に行うことが好ましい。
<粗面化処理>
粗面化処理を行う手法としては、特に限定されないが、溶融フィルムの粗面化を効率良く行い、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を更に向上させる観点からは、例えば、以下の(1)〜(4)の手法:
(1)ダイから押出された溶融フィルムの幅方向両端部内の少なくとも一部の領域を、当該領域との接触面に凹凸を有する粗面化ロールと接触させる手法(粗面化ロールとの接触)、
(2)ダイから押出された溶融フィルムの幅方向両端部内の少なくとも一部の領域を、突起物と接触させる手法(スクラッチ処理)、
(3)ダイから押出された溶融フィルムの幅方向両端部内の少なくとも一部の領域に、圧縮した空気を利用してドライアイスなどを吹き付ける手法(ブラスト処理)、
(4)ダイリップの両端部の研磨度合いを予め調整して、溶融フィルムがダイから押出されるのと同時に幅方向両端部内の少なくとも一部の領域に線状のキズを生じさせる手法(ダイリップとの接触)、
が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。そして、これらの中でも、加工が容易で効率よく均一に粗面化可能な観点から、(4)の手法が好ましい。
<粗面化された領域>
図1に、粗面化処理後の溶融フィルムの一例を模式的に示す。図1中、溶融フィルム1は、幅方向中央部2と幅方向両端部3とで構成され、幅方向両端部3内に、溶融フィルム長手方向に延在した粗面化された領域4を有する。
ここで、粗面化された領域は、良好な製品歩留まりを確保する観点から、溶融フィルムの幅方向末端から幅方向内側に100mm以下の領域であることが好ましい。
そして、粗面化された領域の算術平均粗さRaは、0.10μm以上であることが好ましく、0.20μm以上であることがより好ましく、0.30μm以上であることが更に好ましく、6.00μm以下であることが好ましく、5.50μm以下であることがより好ましく、5.00μm以下であることが更に好ましい。粗面化された領域の算術平均粗さRaが0.10μm以上であれば、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を更に向上させることができ、6.00μm以下であれば、溶融フィルムの冷却後において、過度な耳切れが生じることもない。
(静電密着工程)
静電密着工程では、粗面化工程において設けられた粗面化領域に電荷を供給して、溶融フィルムを冷却ロールに密着させて、冷却する。溶融フィルムを冷却ロール上で冷却することで、光学フィルムである原反フィルムが得られる。
ここで、粗面化された領域に電荷を供給する方法は特に限定されず、静電密着法で用いられる既知の電荷供給手段を採用することができる。例えば、粗面化された領域に近接させた電極に電圧を印加して放電させる方法や、粗面化された領域に帯電した空気を吹き付ける方法が挙げられるが、前者の方法が好ましい。
例えば図2の例では、ダイ5のダイリップ6から押出された溶融フィルム1の粗面化された領域に、電極としてのエッジピニング7からの放電により電荷が供給され、溶融フィルム1が冷却ロール8に密着する。なお、図2では、溶融フィルムの両端側に各2本(合計4本)のエッジピニング7が設けられているが、エッジピニングの数は特に限定されず、適宜変更することができる。
また、原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みは、40μm以上であることが必要である。得られる原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みは、冷却ロール上の溶融フィルムの厚みに概ね一致するものであるところ、冷却後の原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みが40μm未満となるような溶融フィルムを用いても、冷却ロールとの密着性を確保することができない。そして、光学フィルム搬送時の蛇行を抑制することができず、光学フィルムの厚み精度も低下する。原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みの上限は、特に限定されないが、通常、200μm以下である。
なお、原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みは、例えば、溶融押出に用いるダイリップ(樹脂吐出部)のクリアランスを変更することで調整することができる。
また原反フィルムの幅は、特に限定されないが、1000mm以上であることが好ましく、1200mm以上であることがより好ましく、3000mm以下であることが好ましく、2500mm以下であることがより好ましい。
(その他の工程)
本発明の光学フィルムの製造方法は、上述した押出工程、粗面化工程、および静電密着工程以外の工程を含むことができる。例えば、本発明の光学フィルムの製造方法は、溶融フィルムが、静電密着工程で冷却ロールと密着することで冷却して得られる原反フィルムを、さらに延伸して延伸フィルムを得る工程(延伸工程)を含んでいてもよい。
また、本発明の光学フィルムの製造方法は、原反フィルムおよび延伸フィルムの少なくとも何れかの光学フィルムの粗面化された領域を除去する工程(トリミング工程)を含むことが好ましい。
上記延伸工程およびトリミング工程は、何れも既知の手法により実施することができる。また、得られた光学フィルムは、必要に応じて巻き取ってもよい(巻き取り工程)。
なお、本発明の光学フィルムの製造方法において、ライン速度は、生産効率向上の観点から、30m/分以上であることが好ましく、40m/分以上であることがより好ましい。本発明の光学フィルムの製造方法は、ライン速度を30m/分以上の高速とした場合であっても、溶融フィルムと冷却ロールとの密着性を十分に確保することができ、光学フィルムの蛇行を抑制しつつ厚み精度を高めることができる。なお、ライン速度の上限は特に限定されないが、通常80m/分以下である。
ここで、本発明において、「ライン速度」とは、原反フィルムの搬送速度を意味する。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、樹脂組成物の比誘電率、粗面化された領域の表面粗さRa、原反フィルム幅方向中央部の平均厚みおよび厚み標準偏差、溶融フィルムと冷却ロールの密着性、原反フィルムの蛇行量および耳切れの有無、並びに光学フィルムの全光線透過率およびヘイズは、以下の方法で測定および評価した。結果は何れも表1に示す。
<樹脂組成物の比誘電率>
原反フィルムの任意の場所からφ40mmでサンプリングし、「プレジョンLCRメーター HP4284A」(HEWLETT PACKARD社製)を用いて、周波数1MHz、電圧1Vにて比誘電率を測定した。この測定を合計5回行い、それらの算術平均値を、原反フィルムの調製に用いた樹脂組成物の比誘電率とした。
<粗面化された領域の表面粗さRa>
原反フィルムにおける幅方向各末端からそれぞれ100mm以下の領域内であってピニング下を通過していない任意の場所から、以下の条件でサンプリングおよび測定を行った。この測定を、ロール面および反ロール面についてそれぞれ合計5回行った。各面における5回の測定値の算術平均値を、各面における表面粗さRaとした。
測定装置:「DEKTAK 6M 触針式表面形状測定器」(ULVAC社製)
測定長さ:10mm
測定方向:幅方向
触針の先端半径:2.5μm
触針の荷重:10mg
<原反フィルム幅方向中央部の平均厚みおよび厚み標準偏差>
原反フィルム全幅について、「接触式ウェブ厚さ計 RC−101」(明産社製)を用いて、原反フィルムのTD方向に0.48mm毎に厚みを測定した。得られた厚みの測定値から、原反フィルム幅方向中央部の平均厚み(算術平均値)および厚み標準偏差を算出した。
<溶融フィルムと冷却ロールの密着性>
溶融フィルムと冷却ロールの接触後に得られる原反フィルムから、エッジピニング下を通過した任意の部分を幅方向20mm×長手方向50mmのサイズで切り出し、エアマーク(空気溜まり)の個数を目視で数えた。このエアマークの数が多いほど、エッジピニングにより溶融フィルムが冷却ロール側に強く押されていることを表し、すなわち、溶融フィルムと冷却ロールの密着性に優れることを示す。
<原反フィルムの蛇行量および耳切れの有無>
原反フィルムを水平方向に搬送する際、搬送中の原反フィルム両端の変位を、「LS−9120M」(キーエンス社製)を用いてサンプリングレート1秒にて10分間測定した。この測定値の中での最大値から同最小値を差し引いた値を蛇行量(mm)とした。また、測定中に、1秒間で10mm以上の変位があった場合を、耳切れ有りと判断した。
<光学フィルムの全光線透過率およびヘイズ>
トリミング工程後、巻き取った光学フィルム(延伸フィルム)の任意の場所から30mm角でサンプリングし、「濁度計NDH−300A」(日本電色工業社製)を用いて測定した。この測定を合計5回行い、それらの算術平均値を、光学フィルムの全光線透過率およびヘイズとした。
(実施例1)
脂環式ポリオレフィン樹脂(製品名「ZEONOR(登録商標)1420」:日本ゼオン(株)製)のペレットを100℃で5時間乾燥した。乾燥後のペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを経て、Tダイから押出して溶融フィルムを得た(押出工程)。このTダイのダイリップ両端部は予め研磨度合いを調整しておき、溶融フィルムとダイリップとの接触により、溶融フィルム幅方向両端部のロール面および反ロール面の双方に対し、粗面化処理を施した(粗面化工程)。なお、粗面化処理は、溶融フィルムの幅方向末端から幅方向内側に100mm以下の領域に行った。粗面化された溶融フィルムを冷却ロール上に吐出し、図2に示した要領で、溶融フィルムの粗面化された領域に対してエッジピニングで電荷を供給して、静電密着法により両端20mmを拘束しながら冷却を行い、原反フィルムを得た(静電密着工程)。
得られた原反フィルム(幅:1600mm)を、延伸温度135℃で同時二軸延伸(MD方向延伸倍率:1.15倍、TD方向延伸倍率:1.40倍)し、延伸フィルムを得た(延伸工程)。なお、得られた延伸フィルムの幅は1790mmであり、平均厚みは32μmであった。
得られた延伸フィルムの両端を150mmずつトリミングして(トリミング工程)、巻取り速度:57.5m/分、巻取り張力:150N/m、タッチ圧:250N/mで巻き取った。なお、巻取り張力は、巻き終わり時の巻取り張力を巻き始め時の巻取り張力の85%となるように漸減させる設定(15%ダウンテーパ)とし、タッチ圧は、巻き終わり時のタッチ圧を巻き始め時のタッチ圧の90%となるように漸減させる設定(10%ダウンテーパ)とした。
なお、実施例1におけるライン速度は、50m/分とした。
(実施例2、4)
Tダイのリップクリアランスおよびダイリップ両端部の研磨度合いを調整して、溶融フィルムの幅方向中央部平均厚みおよび粗面化された領域の表面粗さRaを表1のように変更すると共に、ライン速度を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして各工程を実施した。
(実施例3)
Tダイのリップクリアランスおよびダイリップ両端部の研磨度合いを調整して、溶融フィルムの幅方向中央部平均厚みおよび粗面化された領域の表面粗さRaを表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして各工程を実施した。
(比較例1)
Tダイのダイリップ両端部の研磨度合いを調整して、粗面化工程を行わない以外は、実施例1と同様にして各工程を実施した。なお、溶融フィルムの幅方向末端から幅方向内側に100mm以下の領域と、それ以外の領域の表面粗さRaは同等であり、粗面化処理が行われていないことを確認した。
(比較例2)
Tダイのリップクリアランスを調整して、溶融フィルムの幅方向中央部平均厚みを表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして各工程を実施した。
Figure 0006834572
表1より、溶融フィルムの両端部に粗面化処理を施し、静電密着法により溶融フィルムと冷却ロールを密着させて幅方向中央部の平均厚みが40μm以上の原反フィルムを得た実施例1〜4では、溶融フィルムと冷却ロールの密着性に優れ、そして原反フィルム搬送時の蛇行が抑制されると共に、得られる原反フィルムは厚み精度に優れることがわかる。
一方、粗面化処理を行わなかった比較例1、および粗面化処理を行って幅方向中央部の平均厚みが40μm未満の原反フィルムを得た比較例2では、溶融フィルムと冷却ロールの密着性を確保できず、原反フィルム搬送時に大きな蛇行が確認され、また得られる原反フィルムは厚み精度に劣ることがわかる。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、溶融フィルムと冷却ロールを十分に密着させて、光学フィルムの搬送時の蛇行を抑制すると共に、光学フィルムの厚み精度を高めることができる。
1 溶融フィルム
2 幅方向中央部
3 幅方向両端部
4 粗面化された領域
5 ダイ
6 ダイリップ
7 エッジピニング
8 冷却ロール

Claims (4)

  1. 樹脂を含む樹脂組成物をダイから溶融押出しして、溶融フィルムを得る工程と、
    前記溶融フィルムの幅方向両端部において、前記溶融フィルムの少なくとも片面に粗面化処理を施す工程と、
    前記溶融フィルムの粗面化された領域への電荷供給により前記溶融フィルムを冷却ロールに密着させて冷却し、原反フィルムを得る工程と、
    を含み、前記原反フィルムの幅方向中央部の平均厚みが40μm以上であり、
    前記粗面化処理は、前記溶融フィルムが前記ダイから押出されるのと同時に、ダイリップとの接触により幅方向両端部内の少なくとも一部の領域に線状のキズを生じさせる手法により行われ、そして、
    前記粗面化された領域の算術平均粗さRaが、0.20μm以上6.00μm以下である、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記樹脂組成物の比誘電率が2.5以下である、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記粗面化された領域が、前記溶融フィルムの幅方向末端から幅方向内側に100mm以下の領域である、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記原反フィルムを得る工程の後、
    さらに、前記粗面化された領域を除去する工程を含む、請求項1〜3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
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