JP6834175B2 - 塗料用樹脂およびそれを用いた塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料用樹脂およびそれを用いた塗膜に関する。
金属材料の表面には、水分または酸素による金属の酸化劣化を防止したり、種々の汚れから保護するための塗膜が積層されることがある(特許文献1等)。塗膜は機械的な損傷には強い反面、耐油性や耐熱性には十分な性能を発揮しにくい場合がある。
特開平8−060083号公報
金属表面に積層される塗料の一部用途については、塗膜が油に常時接触する用途があるが、この場合、油が塗膜と反応して塗膜が膨潤すると塗膜の強度が低下して、剥離が生じることとなる。このため、油に膨潤しない塗膜が望まれている。
本発明は、塗膜の強度をより高め、さらには高温の油中で使用しても塗膜強度、膨潤による剥がれや浮きの少ない塗膜を作製可能な塗料用樹脂、およびこの樹脂を用いて得られる塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、硬化後の樹脂組成物中のOH基量を3.0mmol/g以上となるように硬化剤を配合し、少なくともエポキシ樹脂の一部にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、これを持って得られる塗膜が油中において、高温での塗膜強度維持、膨潤低減を大幅に向上できることを見出した。
本発明の塗料用樹脂は、これらの知見によるものであり、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、エポキシ樹脂と硬化剤に由来するOH基量が3.0mmol/g以上である。本発明の塗料用樹脂においては、エポキシ樹脂がナフタレン構造を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましく、また、ナフタレン型エポキシ樹脂が、3官能または4官能であるエポキシ樹脂を含むことが好ましく、さらに、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂硬化剤の水酸基当量の比率が1.0〜1.2であることが好ましい。
また、本発明の塗料は、上記の塗料用樹脂を溶剤に溶解したものである。
本発明の塗料用樹脂から得られる塗膜は、高温の油中でも油により膨潤しにくいため、膨潤による基材からの剥がれ、膨れが少なく、かつ塗膜強度の低下が生じ難いものであり、塗膜が高温で油中に曝される用途への適用が可能になるという格別の効果を有する。
実施例における各試料のOH基量と膨潤率の関係を示すグラフである。
本発明の塗料用樹脂は、エポキシ樹脂、硬化剤、を必須成分とし、エポキシ樹脂と硬化剤に由来するOH基量が3.0mmol/g以上であること、および少なくともエポキシ樹脂の一部にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を有することを特徴とする。以下、本発明の塗料用樹脂の構成要素、製造方法、および塗膜としての必要項目等について順に説明する。
[樹脂組成物]
本発明では、塗料用樹脂中の無機フィラーを除く有機成分、すなわち、エポキシ樹脂、硬化剤、を総称して"樹脂組成物"と呼ぶ。樹脂組成物は、塗料を構成する無機フィラーの結合材(バインダー)としての機能を有し、機械的強度の源となる。基材上に塗布形成された樹脂組成物は、乾燥、硬化後、強固なバインダーとしての機能を果たす。
[エポキシ樹脂]
本発明の樹脂組成物で用いるエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であればいかなるものも使用できるが、エポキシ当量が230以下であることが好ましい。エポキシ当量が230以下のエポキシ樹脂を用いることで、硬化剤であるフェノール樹脂との反応で生じる単位重量当たりのOH基が多くなり、疎水性の油に対して耐性が高くなり好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコール類のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、パラキシリレンおよび/またはメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル型またはメチルグリシジル型のエポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂およびオレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐水性、耐溶剤性および耐油性の観点からは、常温で固体のナフタレン型エポキシ樹脂が好適である。その中でも、4官能型のナフタレン系エポキシ樹脂が好ましく、3官能型のナフタレン系エポキシ樹脂やβナフトール型エポキシ樹脂等も好ましい。市販されているナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ株式会社製のHP−4700、EXA−5740、EXA−7311−G4等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[硬化剤]
本発明の塗料用樹脂に使用される硬化剤としては、フェノール樹脂硬化剤が耐熱性の観点で好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は、脂肪族ポリアミンやポリアミノアミド、ポリメルカプタンのような低温〜室温で硬化するタイプと、芳香族ポリアミンや酸無水物、フェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド(DICY)のように温度を上げないと硬化しない加熱硬化タイプに分類される。一般的には、低温〜室温硬化タイプの硬化剤で硬化させたエポキシ樹脂は、ガラス転移点が低く、軟らかい硬化物となるため、本発明には不適となる。そのため、加熱硬化タイプの硬化剤を使うことが好ましく、フェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることがより好ましい。フェノールノボラック樹脂を硬化剤に用いることでガラス転移点が高い樹脂硬化物が得られるため、耐熱性や機械強度に優れた塗膜を製造することができる。
フェノール樹脂硬化剤は、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物、例えば、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノールとアラルキル型フェノールとの共重合型フェノール樹脂、パラキシリレンおよび/またはメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、並びにこれらの2種以上を共重合して得たフェノール樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールFおよび置換または非置換のビフェノールなどが挙げられる
フェノールノボラック樹脂は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノールおよびアミノフェノール等のフェノール類および/またはα−ナフトール、β−ナフトールおよびジヒドロキシナフタレンなどのナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドおよびサリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合または共縮合させて得られるものなどが挙げられる。フェノール樹脂の中で市販されているものには、例えば、荒川化学工業株式会社製のタマノル758、73.0や、日立化成株式会社製のHP−850N等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物において、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基と反応する硬化剤中の活性基(フェノール性OH基)の比率が0.5〜1.5当量であることが好ましく、0.9〜1.4当量であることがより好ましく、1.0〜1.2当量であるとさらに好ましい。活性基が0.5当量未満であると、硬化後の単位重量当たりのOH量が少なくなり冷凍機油への耐性が不十分となる。また、樹脂組成物(エポキシ樹脂組成物)の硬化速度が小さくなる傾向がある。また、得られる硬化体のガラス転移温度が低くなったり、充分な弾性率が得られなくなる場合もある。一方、上記活性基の比率が1.5当量を超えると硬化後の樹脂成形品の強度が低下する傾向がある。
[硬化促進剤]
本発明の塗料用樹脂に使用される硬化促進剤は、リン系の硬化促進剤が好ましい。リン系効果促進剤としては、トリフェニルホスフィン−ベンゾキノン、トリス−4−ヒドロキシフェニルホスフィン−ベンゾキノン、テトラフェニルホスホニウム・テトラキス(4−メチルフェニル)ボレート、テトラ(n−ブチル)ホスホニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
上記硬化促進剤を用いることで得られた塗膜は、優れた機械的特性を示すとともに、本発明の樹脂で得られる塗料が、高温・高湿な環境下においても長期保存安定性を示すことができる。
本発明の塗料用樹脂における硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が達成できれば特に制限はない。しかし、樹脂組成物の吸湿時の硬化性および流動性における改善の観点からは、100質量部のエポキシ樹脂に対し、硬化促進剤の配合量は、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜15質量部である。硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂および硬化剤の合計量に対して0.001質量%〜5質量%であることが好ましい。硬化促進剤の配合量が0.1質量部未満であると、期待する硬化促進効果が得られず、また30質量部を超えると、得られた樹脂の保存安定性が低下する。また本発明の硬化促進剤は、1種以上の上述の硬化促進剤を含むが、それらに加えて上記以外の周知の硬化促進剤を含んでもよい。
[無機フィラー]
本発明の塗料は無機フィラーを含んでいても良い。
無機フィラーは、1種の粒子から構成されていてもよいし、2種以上の粒子の組み合わせから構成されていてもよい。無機フィラーの平均粒子径は、好ましくは1〜100μmより好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜20μm、より一層好ましくは1.5〜10μmである。無機フィラーは、平均粒子径の異なる複数種のフィラーの混合物であることが好ましい。これにより、無機フィラーによる空間充填率を高めることができる。
好ましい無機フィラーは、シリカ粒子である。シリカ粒子は、例えば、ゾルゲル法により得られる球状シリカ、粉砕により微細化された破砕シリカ、乾式シリカまたは湿式シリカであってもよい。球状シリカの市販品としては、MSR−2212、MSR−SC3、MSR−SC4、MSR−3512、MSR−FC208(株式会社龍森製商品名)、エクセリカ(株式会社トクヤマ製商品名)、SO−E1、SO−E2、SO−E3、SO−E5、SO−E6、SO−C1、SO−C2、SO−C3、SO−C5、SO−C6、(アドマテックス株式会社製商品名)などがあげられる。破砕シリカの市販品としては、クリスタライト3K−S、NX−7、MCC−4、CMC−12、A1、AA、CMC−1、VX−S2、VX−SR(株式会社龍森製商品名)、F05、F05−30、F05−12(福島窯業株式会社製商品名)などがあげられる。レオロシールなどの乾式シリカ、トクシール、ファインシールなどの湿式シリカ(以上株式会社トクヤマ製商品名)も利用できる。
シリカ粒子は、シランカップリング剤により表面処理されていることが好ましい。これにより、シリカ粒子の沈降が抑制されて、より分散安定性の高い塗料を得ることができる。シリカ粒子を表面処理するために用いられる表面処理剤としてのシランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランリエトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネ―トプロピルトリエトキシシラン、ジメチルシランの重縮合物、ジフェニルシランの重縮合物、およびジメチルシランとジフェニルシランの共重縮合物からなる群より選ばれる。これらの中でも、アミノ基を有するシランカップリング剤が特に好ましい。
[塗料用樹脂の製造方法]
エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤を有機溶剤に溶解することで得られる。無機フィラーは塗料用樹脂を溶解した溶液に順次配合して分散しても良い。無機フィラーは適宜、シランカップリング剤により処理しておくことが好ましい。
[塗膜の製造方法]
得られた塗料を基材の表面に塗布し、加熱し溶剤を乾燥した後、さらに加熱を行うことで塗膜を形成することができる。乾燥の際の温度は使用した溶剤の沸点より高いことが好ましい。硬化の際の加熱に必要な温度は150℃以上、好ましくは180℃以上であると好ましい。また230℃以下で行うことが好ましい。硬化に必要な時間は30分以上が好ましく60分以上がさらに好ましく120分以上がさらに好ましい。
[保存安定性]
本実施形態に係る塗料用樹脂は、優れた保存安定性を有する。本発明で言う保存安定性とは、所定時間保管された塗料を用いて作製した塗膜の強度の変動が、小さいことを意味する。保管される環境が苛酷であるほど、また、保管時間が長くなるほど、保存安定性が高いと言える。実際の使用環境を想定した場合、例えば、40℃/90%−RH(相対湿度)の高温高湿環境で5日ほどの保存安定性が示せれば好適であり、2週間ほどの保存安定性が示せれば実際の製品の量産上問題ない水準となる。
[樹脂組成物のその他の配合成分]
本発明の塗料用樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤以外にも必要に応じて副添加物を添加しても良い。例えば、カップリング剤等が挙げられる。
[カップリング剤]
本発明の塗料用樹脂は、シランカップリング剤を混合することで樹脂組成物と磁粉表面との密着性を高めることができ、塗膜を高強度化することが可能となる。好適なシランカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、酸無水物系シランおよびビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類並びにアルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤を樹脂組成物に配合してもよい。これらの中でも酸無水物系のシランカップリング剤が特に好ましい。
[有機溶媒]
本発明の塗料用樹脂は、有機溶媒を使用して溶解して基材表面に塗布することで均一な塗膜とすることができる。樹脂組成物の希釈・塗布の際に使用する有機溶剤は、樹脂組成物が溶解できれば、いかなるものも使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等が挙げられる。作業性を考慮した場合、常温では液体であるが、沸点が60℃〜150℃程度のものが好適に使用することができる。
[樹脂組成物と無機フィラーとの質量比]
無機フィラーの含有量は、無機フィラーおよび樹脂組成物の総量に対して、1〜50質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。このような含有量とすることで高強度化と耐油性を両立させることができる。
[塗膜に好適な樹脂硬化物のガラス転移温度]
塗膜における、樹脂組成物が硬化して形成した樹脂硬化物のガラス転移温度は、150℃以上であることが好ましく、より好ましくは200℃以上である。塗膜における樹脂硬化物のガラス転移温度を150℃以上のものとすることで、高温で過酷な環境下においても強度の低下が少ない、優れた塗膜となる。なお、本発明で言うガラス転移温度は、動的粘弾性測定において、tanδがピークになる温度のことを意味する。
[塗膜の弾性率]
50℃における塗膜の弾性率に対する、150℃における塗膜の弾性率の比率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。上記弾性率の比率が70%以上であると、耐熱性が優れた塗膜を得ることができる。なお、弾性率を測定する方法には、三点曲げ試験を50℃および150℃の温度で測定する方法、および動的粘弾性測定による50℃および150℃の弾性率を測定する方法等が挙げられる。
本発明の塗膜の150℃の温度における塗膜強度は、好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは150MPaであり、さらに好ましくは200MPa以上である。塗膜の150℃の温度における塗膜強度が100MPa以上であると、高温において機械強度の高い塗膜を得ることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[実施例1]
ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量160、軟化点64℃、大日本インキ株式会社製、商品名HP4700)、とフェノールノボラック樹脂(水酸基当量108、日立化成株式会社製、商品名HP−850N)、硬化促進剤、シランカップリング剤、および希釈溶媒としてメチルエチルケトンを使用した。これらの材料をプラスチック製容器内で表1記載の配合比にて混合し、ミックスローターにて回転数40rpmにて60分間攪拌し、樹脂溶液を得た。
(樹脂中のOH量の算出)
エポキシ樹脂の配合量およびフェノール樹脂硬化剤のOH当量(A)と配合量から以下の式により得られる値を硬化後の樹脂1g当たりのOH量(mmol/g)とした。
硬化後の樹脂1g当たりのOH量=フェノール樹脂の配合量[g]×1000/(A×(エポキシ樹脂の配合量[g]+フェノール樹脂の配合量[g]))
実施例で使用した配合のOH量は表1に示した。
(塗布・乾燥)
得られた樹脂溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に流延し80℃で15分乾燥後、フィルムから剥がし、185℃で60分硬化し塗膜の試験片を作製した。
(塗膜強度試験)
JIS−K−5600に従い、塗膜の鉛筆硬度を測定した。
(膨潤率の評価)
作製した試験片を縦5mm、横30mm、高さ1mmの板状に切り出し、長辺方向(30mm)の長さをマイクロメーターで正確に測り、初期の寸法とした。ガラス容器にヒマシ油と試験片を入れ密栓した後、150℃の恒温槽中で所定時間処理した。室温まで冷却した後、試験片を取り出し、ヒマシ油を拭取り、再度試験片の長さ方向をマイクロメーターで正確に測り、処理後の寸法とし、以下の式から膨潤率[%]を算出した。
膨潤率[%]=(処理後の寸法[mm]−初期の寸法[mm])/初期の寸法[mm]×100
これらの評価結果を表1に併せて示す。
[実施例2〜6]
ナフタレン骨格を含むエポキシ樹脂、フェノール樹脂を表1に示した配合で実施例1と同様にして樹脂溶液、成形体を得た。これらにつき上記と同様の試験を行い、その評価結果を表1に併せて示す。
[参考例1〜6]
エポキシ樹脂、フェノール樹脂を表2に示した配合で実施例1と同様にして樹脂溶液、成形体を得た。これらにつき上記と同様の試験を行い、その評価結果を表2に併せて示す。
[比較例1〜4]
エポキシ樹脂、フェノール樹脂を表3に示した配合で実施例1と同様にして樹脂溶液、成形体を得た。これらにつき上記と同様の試験を行い、その評価結果を表3に併せて示す。
Figure 0006834175
Figure 0006834175
Figure 0006834175
(評価結果)
表1中の実施例1から実施例6の試料は、いずれも初期の塗膜強度が高く、油に浸漬した後の膨潤率、および塗膜強度の低下が少ない。参考例1から6の試料は、実施例に比較して膨潤率の低下、塗膜強度は若干低くなっている。一方、比較例1から比較例4の試料)は、初期塗膜強度が低く、油浸漬後の強度低下幅が大きく、特に膨潤率が大きいことが分かった。
図1に実施例、参考例および比較例の樹脂組成物のOH量に対して膨潤率をプロットした図に纏めた。樹脂中のOH量と膨潤率の相関が高く、特に膨潤率を1.5%以下とするにはOH量を3.0以上とすることが必要であることが分かった。
本発明による樹脂を用いて作製した塗膜は、高温・高湿下、高温での塗膜強度および保存安定性に優れ、耐熱性も良好であり、長時間、油と接触し高温に曝されることによる塗膜強度の低下、膨潤が小さい。このような塗料用樹脂を用いることによって、耐熱性に優れる塗料および塗膜を提供することが可能となり、その工業的価値は高い。

Claims (5)

  1. ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、及びリン系の硬化促進剤を必須成分とし、前記リン系の硬化促進剤が、テトラフェニルホスホニウム・テトラキス(4−メチルフェニル)ボレート又はテトラ(n−ブチル)ホスホニウムテトラフェニルボレートを含み、エポキシ樹脂と硬化剤に由来するOH基量が3.0mmol/g以上である塗料用樹脂。
  2. フェノール樹脂硬化剤が、フェノールノボラック樹脂を含む、請求項1に記載の塗料用樹脂。
  3. ナフタレン型エポキシ樹脂が、3官能または4官能であるエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗料用樹脂。
  4. 前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に対するフェノール樹脂硬化剤の水酸基当量の比率が1.0〜1.4である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料用樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料用樹脂により無機フィラーが結着された塗膜。
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