JP6833974B2 - 電気化学セル用酸素極および電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、電気化学セル用酸素極および電気化学セルに関する。
固体酸化物形電気化学セルは、発電用の燃料電池、水素製造用の電解セル、これらを組み合わせた電力貯蔵システムとして開発が進められている。固体酸化物形電気化学セルは、電解質として固体酸化物を用いていることから、作動温度が高く(例えば、600〜1000℃)、高価な貴金属触媒を用いなくても、大きな反応速度を得ることが可能となる。このため、これを燃料電池(固体酸化物形燃料電池:SOFC)として動作させると高い発電効率が得られ、電解セル(固体酸化物形電解セル:SOEC)として動作させると、低い電解電圧で高効率に水素を製造できる。
固体酸化物電気化学セルは、水素極側を支持体とし、その上に、酸素極を形成することが多い(水素極支持型)。この場合、酸素極は水素極より面積が小さく(電極や有効反応部の面積が小)、酸素極の性能がセル全体の性能を事実上決定付けることになる。すなわち、固体酸化物電気化学セルを高性能化したり、長寿命化したりするには、酸素極の性能を向上させることが重要である。
J.Phys.Chem.Solids., 343-348 (2005) Proc.SOFC-IX,Electrochem.Soc., 1695-1706 (2005) Electrochem.Acta, 54, 3309-3315 (2009)
本発明が解決しようとする課題は、酸素極の性能の向上が図られた電気化学セル用酸素極および電気化学セルを提供することである。
実施形態に係る電気化学セル用酸素極は、酸素極の層全体の連続した領域に配置される、ペロブスカイト構造の第1の酸化物と、前記第1の酸化物内に分散して配置され、一の構成元素が前記第1の酸化物より高密度の第2の酸化物と、を有する電気化学セル用酸素極であって、前記第1の酸化物が、ABO 型の酸化物であり、前記第2の酸化物が、ABO 型、A BO 型、またはB 型の酸化物であり、前記一の構成元素がAサイト、またはBサイトに含まれる
実施形態に係る電気化学セルの断面図である。 実施例3の電気化学セル断面のSEM写真である。 実施例3の電気化学セル断面のCo分布である。 実施例3の電気化学セル断面のFe分布である。 実施例3の電気化学セル断面のLa分布である。 実施例3の電気化学セル断面のSr分布である。 実施例3の電気化学セル断面のGd分布である。 実施例3の電気化学セル断面のCe分布である。 比較例の電気化学セル断面のSEM写真である。 比較例の電気化学セル断面のCo分布である。 比較例の電気化学セル断面のFe分布である。 比較例の電気化学セル断面のLa分布である。 比較例の電気化学セル断面のSr分布である。 比較例の電気化学セル断面のGd分布である。 比較例の電気化学セル断面のCe分布である。
以下、実施形態に係る固体酸化物電気化学セルについて説明するが、本発明は以下の実施の形態や実施例に限定されるものではない。また、以下の説明で参照する模式図は、各構成の位置関係を示す図であり、粒子の大きさや各層の厚さの比等は実際のものと必ずしも一致するものではない。
図1は、平板型固体酸化物電気化学セル10の断面構造の一部を模式的に示す断面図である。平板型固体酸化物電気化学セル10は、水素極支持型の固体酸化物電気化学セルである。
支持基板11上に、水素極12、電解質層13、反応防止層14、酸素極15が順に積層されている。
このうち、支持基板11、水素極12、酸素極15は、多孔質であり、ガス(気体)の通過が可能である。一方、電解質層13、反応防止層14は、ガスを通過させる必要がなく(イオンを通過させる)、緻密(非多孔質)である。
発電時には、水素極12供給される水素等の還元剤と、酸素極15に供給される酸素等の酸化剤とが電気化学的に反応して、電気エネルギーと水蒸気が生成される。電解時には、水素極12で水蒸気等を電気分解により還元し、酸素極15から酸素が放出される。
支持基板11は、電気化学セル10の支持体となる層であり、電気化学セル10の機械的強度の維持または向上が図られる。支持基板11の構成材料は、次の水素極12の構成材料と同様とできる。
水素極12は、金属(触媒)の粒子と金属酸化物(酸素イオン伝導性の酸化物)を含む焼結体から構成できる。
金属としては、ニッケル、コバルト、鉄と銅からなる群から選ばれる1種以上、もしくはそれらを含む合金が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、安定化ジルコニア(SZ)やドープセリア(DC)が挙げられる。安定化ジルコニアは、Y,Sc,Yb,Gd,CaO,MgO,CeO等からなる群から選ばれる1種以上の安定化剤が固溶されたジルコニア(二酸化ジルコニウム:ZrO)である。ドープセリアは、Sm、GdとY等からなる群から選ばれる1種以上の酸化物が固溶されたセリア(酸化セリウム:CeO)である。
電解質層13は、電子絶縁性と酸素イオン伝導性を有する固体酸化物の層であり、例えば、安定化ジルコニア(SZ)やドープセリア(DC)から構成できる。安定化ジルコニアには、Y,Sc,Yb,Gd,CaO,MgO,CeO等からなる群から選ばれる1種以上の安定化剤が固溶される。ドープセリアには、Sm、GdとY等からなる群から選ばれる1種以上の酸化物が固溶される。
反応防止層14は、ドープセリア(DC)から構成できる。このドープセリアには、Sm、GdとY等からなる群から選ばれる1種以上の酸化物が固溶される。
反応防止層14は、電解質層13と酸素極15の反応を防止する。固体酸化物電気化学セル10の作成時に、酸素極15と電解質層13が反応して、固体酸化物電気化学セル10の性能が低下する可能性がある。例えば、酸素極15、電解質層13をそれぞれLaCoO系のペロブスカイト酸化物、安定化ジルコニアとしたとき、焼成によって固相反応して、LaZrなどの高抵抗相が形成される。
このように、電解質層13と酸素極15の間に反応防止層14を配置することで、電解質層13と酸素極15の固相反応が防止され、固体酸化物電気化学セル10の性能を確保できる。
酸素極15は、ペロブスカイト酸化物を含む焼結体で構成される。ペロブスカイト酸化物は、主として、次の組成式(1)で表される。
Ln1−x1−y3−δ … 組成式(1)
Lnは、例えば、Laなどの希土類元素が挙げられる。Aは、例えば、Sr,Ca、Baが挙げられる。B及びCは、例えば、Cr,Mn,Co,Fe、Niが挙げられる。
x、y、δは、次の関係を満たす。
0≦x≦1、0≦y≦1、0≦δ≦1
LnをランタンLaとし、BまたはCをマンガンMnとすると、ランタン−マンガン系酸化物(LaMnO系)となり、LnをランタンLaとし、BまたはCをコバルトCoとすると、ランタン−コバルト系酸化物(LaCoO系)となる。
ペロブスカイト酸化物を次の組成式(2)で表すことも可能である。
ABO … 組成式(2)
この組成式(2)の「A」は、組成式(1)の「Ln」および「A」と対応する。また、組成式(2)の「B」は、組成式(1)の「B」および「C」と対応する。
組成式(1)のLn,A(組成式(2)のA)の元素はAサイトに属し、組成式(1)のB,C(組成式(2)のB)の元素はBサイトに属する。組成式(1)に示されるように、Aサイト、Bサイトの何れかの元素E1の量が多ければ、同一サイトに属する他の元素E2の量が少なくなる関係がある。ペロブスカイト構造の安定化のためである。
酸素極15は、ペロブスカイト酸化物の他に、ドープセリア(DC)を含んでもよい。このドープセリアには、Sm、GdとY等からなる群から選ばれる1種以上の酸化物が固溶される。
ここでは、酸素極15を構成する酸化物は、第1の相151(第1の酸化物),第2の相152(第2の酸化物)に区分される。
第1の相151は、酸素極15の層全体の連続した領域に配置される。
第2の相152は、第1の相151内に離散的に(分散して)配置される。
後述するように、第1、第2の相151,152を混在させることで、酸素極15の性能が向上し、しかも長寿命化を図ることができる。
第1、第2の相151,152は、次に示すように、ペロブスカイト酸化物のAサイト、Bサイト少なくともいずれか内での元素の比率が異なる。
(1)同一サイト内での元素の比率の相違
第1、第2の相151、152がいずれもLn1−x1−y3−δ構造である場合を考える。この場合、第1、第2の相151、152の構造は次のように表される。
第1の相151: Ln1−x1x11−y13−δ1
第1の相152: Ln1−x2x21−y23−δ2
すなわち、x1≠x2,y1≠y2のいずれかが成立すれば、Aサイト内(Ln,A)、Bサイト内(B,C)いずれかで元素の比率が異なることになる。
例えば、Lnが、ランタンLaで、A,B,Cがそれぞれ、Sr,Co,Feのとき、第1の相151より第2の相152が、Coが多く、Feが少ない場合(x1≠x2)、あるいはLaが多く、Srが少ない場合(y1≠y2)である。
(2)別サイトへの影響
以上の説明は、第1、第2の相151,152の双方において、Ln1−x1−y3−δ構造が維持されていることを前提としている。すなわち、A、B同一サイト内でのみの元素の比率を問題としていた。
しかしながら、ある元素の割合が多くなると、その影響は同一サイトに留まらず、別のサイトへも影響を与える可能性がある。例えば、Lnが、ランタンLaで、A,B,Cがそれぞれ、Sr,Co,Feのとき、第1の相151より第2の相152が、Coが多く、Fe、La、およびSrが少ないことが考えられる。
この場合、第1、第2の相151,152の共存が困難になる(第2の相152が不安定化する)ことも考えられる。
しかし、このような場合でも、第1、第2の相151,152は共存可能であることが実験的に示されている。基本的に、第1の相151は、ABO構造(Ln1−x1−y3−δ構造)である。これに対して、第2の相152は、ABO構造以外に、ABO構造、B構造を有し得る。このように、第1、第2の相151,152が、ABO構造−ABO構造の組み合わせ以外に、ABO構造−ABO構造、ABO構造−B構造の組み合わせであっても、第1、第2の相151,152は安定的に存在し得る。これは、固体酸化物電気化学セル10の作成時の焼成処理の際に、第1、第2の相151,152が安定的な状態に落ち着くためだと考えられる。
BO構造は、例えば、La2−xSrCo1−yFeが挙げられ、次の組成式(3)で表される。
Ln2−x1−y4−δ … 組成式(3)
構造は、例えば、Co3−xFeが挙げられ、次の組成式(4)で表される。
3−x4−δ … 組成式(4)
ここで、Lnは、例えば、Laなどの希土類元素が挙げられる。Aは、例えば、Sr,Ca、Baが挙げられる。B及びCは、例えば、Cr,Mn,Co,Fe、Niが挙げられる。
x、y、δは、次の関係を満たす。
0≦x≦1、0≦y≦1、0≦δ≦1
第2の相152は、ABO、ABO、B構造いずれかの単一の構造としてもよい。また、ABO、ABO、B構造の2つ以上を含んでもよい。
第2の相152は、ABO、ABO、B構造内に、複数の組成比の酸化物が入り交じって存在してもよい。すなわち、組成式(1)、(3)、(4)の変数x、y、δが第2の相152の同一構造内で一定でなくてもよい。
以上のように、第1、第2の相151,152は、その構成元素のいずれか(元素E1)が、第1の相151内より、第2の相152内の方が多い。
このとき、既述のように、元素E1と同一サイトの元素E2は、第1の相151内より、第2の相152内の方が少ない。
このため、第1、第2の相151,152それぞれで、元素E1、E2の密度比α(元素E2の密度d1に対する元素E1の密度d2の比α(=d1/d2))は異なる。第1、第2の相151、152それぞれでの密度比をα1,α2とすると、密度比α2は密度比α1より大きい(α2>α1)。
このとき、密度比の比R(=α2/α1)を規定することができる。この比Rは1より大きい。比Rが、ある程度大きな値、例えば、1.5以上(より好ましくは、2.0以上)であることが好ましい。比Rが1に近いと、第1、第2の相151,152の相違が小さく、相が混在しても性能の向上には繋がりにくくなる。
ここでは、第2の相152の外形は、便宜上、円形(球形)としているが、実際には、ペロブスカイト構造などの安定化の関係で、凹凸がある入り組んだ形状となる。むしろ入り組んだ形状である方が、第1、第2の相151,152間の境界面を大きくして、酸素極15の性能向上の上で好ましいと考えられる。
このとき、第2の相151のサイズは、仮想的な径(粒径、直径)Dによって評価できる。ここでは、仮想的な径Dを次の式(1)によって定義する。
D=2・(S/π)1/2 … 式(1)
面積Sは、試料断面上の第2の相152それぞれの面積である。
後述の図2Bの輝点の集合が第2の相152に対応する。なお、図2Bにおける第2の相152を囲む丸(点線)は、個々の第2の相152(第2の酸化物)を示すものであり、仮想的な径Dとは無関係である。
第2の相152のサイズ(仮想的な径D)は、100nm以上、5000nm以下(より好ましくは、0.3μm以上、3μm以下)であることが好ましい。サイズが小さすぎると、相の安定性に欠ける畏れがあり、サイズが大きすぎると第1、第2の相151,152間の境界面の増大による酸素極15の性能向上に逆行する。
第2の相152の密度は、10個/mm以上、約10000個/mm以下(より好ましくは、500個/mm以上、約5000個/mm以下)であることが好ましい。密度が小さすぎても大きすぎても酸素極15の性能向上に逆行する。
なお、第1、第2の相151,152以外に、組成の異なる第3の相(第3の酸化物)が分散配置されても差し支えない。この第3の相も、第2の相152同様、ABO構造、ABO構造、B構造何れかの酸化物とできる。
第2の相152の存在は、組成分布の測定によって確認できる。例えば、エネルギー分散X線分光(EDX)が可能な走査型電子顕微鏡(SEM)を利用できる。
例えば、固体酸化物電気化学セルを劈開し、その断面をイオンミリング等で平滑化する。この試料断面を1000〜100000倍程度の倍率でSEM観察すると共に、EDXで測定する。このとき、組成の最小測定領域(例えば、半径500nm程度以下)、エネルギー分解能(例えば、100eV程度以下)は小さい方が好ましい。
装置の測定限界を考慮すると、第2の相152の検出は、例えば、次のように行える。
(1)元素の集合体の検出
前述のように、試料断面を組成分析し、サイズ(仮想的な径D)がある程度以上(例えば、0.3μm以上)の元素E1の集合体の領域(第2の相152)を検出する(例えば、後述の図2Bの丸(点線)内)。
(2)元素の比率の確認
サイズがある程度以上の領域(第2の相152)内、外(第1の相151)で、元素E1と、この元素E1と元素E2(元素E1と同一サイト)の密度比α2、α1を求める。密度比α2は、領域内での元素E2に対する元素E1の比であり、密度比α1は、領域外での元素E2に対する元素E1の比である。
密度比の比R(=α2/α1)が1より大きければ(例えば、2.0以上)、第2の相152が検出された(元素E1が局所的に分布している)といえる。
第1、第2の相151,152を有する酸素極15を作成するには、次のような手法(a),(b)を用いることができる。
(a)原料
複数の材料M1,M2を混合することで、第1、第2の相151,152の構造を作成できる。例えば、第1の相151に対応する粉末材料M1と、第2の相152に対応する粉末材料M2を混合してスプレーコーティングする。
このとき、粉末材料M2は、粉末材料M1に比べて、少なくとも特定の元素の割合が多く、粒径が大きく、かつ混合量を少なくする。この混合体をスプレーコーティングすると、粉末材料M1中に、粉末材料M2の粒子が分散した構造になる。これを焼成することで、第1、第2の相151,152を有する酸素極15を作成できる。
(b)熱処理条件
実施例で詳細に説明するが、用いる材料は均一であっても、熱処理温度を調節することで、第1、第2の相151,152を有する酸素極15を作成できる。具体的には、電解質層13、反応防止層14の構成材料を積層した状態で熱処理し(一次熱処理)、さらに酸素極15の構成材料を積層して熱処理を行う(二次熱処理)。
このとき、ペロブスカイト酸化物を形成する通常の温度よりも、一次、二次の熱処理の温度を高くする。この結果、実施例にも示すように、第1、第2の相151,152を有する酸素極15を作成できる。これは、2段階での熱拡散(一次熱処理で電解質層13、反応防止層14間に熱拡散が生じ、二次熱処理で反応防止層14、酸素極15間に熱拡散が生じる)に起因するものと考えられる。
以下、実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
A.作成
次の手順(1)〜(5)によって、試料1を作成した。
(1)支持基板11の前駆体の作成
酸化ニッケル(NiO)の粉末とガドリウム・ドープ・セリア(GDC)の粉末を重量比で6:4の割合で混合し、混合粉末を作成する。このGDCは、セリア(酸化セリウム(IV):CeO)にガドリア(酸化ガドリウム:Gd)を(Gd0.1(CeO0.9の組成になるように混合し、焼成することで作成される。
混合粉末を溶媒と混合してペーストとし、これをシート形状とすることで、支持基板11の前駆体を作成する。
(2)一次積層体の作成
この前駆体上に、水素極12、電解質層13、反応防止層14を順にスプレーコーティングで作成し、前駆体110、水素極12,電解質層13、反応防止層14の一次積層体が形成される。
水素極12は、酸化ニッケル(NiO)とガドリウム・ドープ・セリア(GDC)の混合粉末を溶媒と混合して、スプレーコーティングして作成される。
電解質層13は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の粉末を溶媒と混合して、スプレーコーティングして作成される。
反応防止層14は、GDCを溶媒と混合して、スプレーコーティングして作成される。
(3)一次積層体の焼成(一次熱処理)
一次積層体を1200℃以上1600℃以下(ここでは、1400℃)で、各層内及び各層間が十分な強度になるまで焼成する。一次熱処理での温度を通常より高くすることで、電解質層13、反応防止層14間で熱拡散が生じる。
(4)酸素極15の追加
反応防止層14上にLa(Sr)Co(Fe)O3−δをスプレーコーティングして酸素極15を形成し、前駆体110、水素極12,電解質層13、反応防止層14、酸素極15の二次積層体が形成される。
(5)二次積層体の焼成(二次熱処理)
二次積層体を900℃以上1300℃以下(ここでは、1100℃)で、酸素極15が反応防止層14と強固に接着するように焼成する。二次熱処理での温度を通常より高くすることで、反応防止層14、酸素極15間で熱拡散が生じる。
この結果、実施例に係る固体酸化物型電気化学セル10が作成される。
B.評価
次の手順(1)、(2)によって、試料1を評価した。
(1)初期I−V特性の測定
水素極出力特性評価装置を用いて作成した固体酸化物型電気化学セル10の初期状態のI−V特性を評価した。
・支持基板11および水素極12の還元
固体酸化物型電気化学セル10を水素極出力特性評価装置に設置した。その後、700℃に保持し、水素極12側に乾燥水素を、酸素極15側にN/O混合気体(体積比で4:1で混合)を流し、支持基板11および水素極12を還元する。
・測定
水素極出力特性評価装置は、固体酸化物型電気化学セル10のI−V特性を評価できる。すなわち、水素極側の水蒸気濃度を制御し、固体酸化物型電気化学セル10をSOFCモードおよびSOECモードで動作させて、初期のI−V特性を測定する。その後、水素雰囲気で降温させ、室温まで冷却して、固体酸化物型電気化学セル10を水素極出力特性評価装置から取り出す。
(2)断面の拡大観察・組成分析
固体酸化物電気学セルの断面の拡大観察および組成分析を行った。
固体酸化物電気学セルを劈開し、その断面をイオンミリングで平滑化し、測定用試料とした。イオンミリングには、イオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ、IM−4000)を用いた。
走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ、SU8000、S−5200)を用いて、断面を観察した(10000倍に拡大したSEM観察およびEDX組成分析)。
(実施例2)
実施例1と同様に固体酸化物電気化学セル10を作製し、初期状態のI−V特性を評価した。その後、固体酸化物型電気化学セル10をSOECモードで約250時間連続動作させた。さらに、実施例1と同様に、断面を観察した。
(実施例3)
実施例1と同様に固体酸化物電気化学セル10を作製し、初期状態のI−V特性を評価した。その後、固体酸化物型電気化学セル10をSOECモードで約3000時間連続動作させた。さらに、実施例1と同様に、断面を観察した。
(比較例)
実施例1とほぼ同様に固体酸化物電気化学セルを作製した。但し、第1、第2の熱処理の温度をそれぞれ1300℃、1050℃と低くした。
初期状態のI−V特性を評価した後、固体酸化物型電気化学セル10をSOECモードで約3000時間連続動作させた。さらに、実施例1と同様に、断面を観察した。
以下、実施例1〜3,および比較例の評価結果を纏めて説明する。
(1)表面観察の結果
図2A〜2Gはそれぞれ、実施例3の試料断面のSEM写真およびCo,Fe,La,Sr、Gd,Ceの面分析の結果を表す。
図3A〜3Gはそれぞれ、比較例の試料断面のSEM写真およびCo,Fe,La,Sr、Gd,Ceの面分析(EDX)の結果を表す。
図2A,3Aは、電解質層13,反応防止層14,酸素極15の断面を拡大した状態を表す。判り易さのため、電解質層13,反応防止層14,酸素極15の境界に点線を引いている。電解質層13,反応防止層14,酸素極15の層構造が形成され、酸素極15が多孔質であることも判る。
図2Bには、Coの集合体が明るい点の集合として明瞭に表されている。判り易さのために、このCoの集合体を丸(点線)で囲っている。
図2C〜図2Eに示すように、Coの集合体と対応する位置(丸(点線))に、Fe,La,Srの密度が低い箇所(暗い部分)が存在している。
このように、Coの密度が局所的に大きく、その箇所では、Coと同一サイトのFeのみならず、別サイトのLa,Srの密度も低くなっている。
図3Dに示すように、Srに関しては、反応防止層14の近くに、密度が局所的に大きい箇所が別に存在する。その箇所では、同一サイトのLaの密度が低くなっている。
なお、図3F,図3Gに示すように、反応防止層14の構成元素であるGd,Ceは、反応防止層14内に留まっている。
以上のように、実施例3の試料では、酸素極15内に次のような局所的な領域(a)、(b)が存在していた。
(a)Coの密度が大きく、Fe,La,Srの密度が低い領域
(b)Srの密度が大きく、Laの密度が低い領域
より詳細な分析の結果、領域(a)には、Co3−xFe4−δ(例えば、Co)が、領域(b)にはLa2−xSrCo1−yFe4−δ(例えば、La1.2Sr0.8Co0.5Fe0.54−δ)が含まれていることが判った。
このような局所的な領域(a)、(b)は、実施例1,2でも見出された。また、実施例3での3000時間動作後の状態と、実施例1の動作前、実施例2の250時間動作後の状態には、明確な違いは見出されなかった。
これに対して、図3A〜図3Gに示されるように、比較例の試料では、酸素極15中にLa、Sr、Co、Feが比較的均一に分布している。
(2)初期IV特性、連続動作試験の結果
表1は、実施例1〜3および比較例の電流密度および実施例3および比較例1の連続動作試験での劣化率を示す。
Figure 0006833974
この電流密度は、ECモード、同一のセル電圧で測定している。
実施例1−3の初期状態の電流密度は同等の値であり、よく一致している。他方、比較例の初期状態の電流密度は、実施例1〜3の値よりも低い。また、比較例の劣化率は、実施例3の劣化率に比べ大きかった。
この結果は、酸素極15に複数の相が併存すること、例えば、「Coの密度が大きく、Fe,La,Srの密度が低い領域」(第2の相)の存在が係わっているものと考えられる。
第2の相152があることで、初期特性が向上すると共に、寿命(劣化率)も向上している。単純に考えると、比較例のような均一な酸素極15の方が、状態が安定であり、寿命が長いと考えられるが、相が均一でない実施例の方が、長寿命となっている。
このように、複数の相が存在することが、酸素極の性能および安定化に寄与すると考えられる。
以上説明したように、少なくともひとつの実施形態によれば、酸素極の性能の向上を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (7)

  1. 酸素極の層全体の連続した領域に配置される、ペロブスカイト構造の第1の酸化物と、
    前記第1の酸化物内に分散して配置され、一の構成元素が前記第1の酸化物より高密度の第2の酸化物と、
    を有する電気化学セル用酸素極であって、
    前記第1の酸化物が、ABO 型の酸化物であり、
    前記第2の酸化物が、ABO 型、A BO 型、またはB 型の酸化物であり、
    前記一の構成元素がAサイト、またはBサイトに含まれる
    電気化学セル用酸素極。
  2. 記一の構成元素と同一サイトの元素の密度が、前記第1の酸化物より前記第2の酸化物で小さい
    請求項1に記載の電気化学セル用酸素極。
  3. 前記一の構成元素と別サイトの元素いずれかの密度が、前記第1のペロブスカイト酸化物より前記第2のペロブスカイト酸化物で小さい
    請求項に記載の電気化学セル用酸素極。
  4. Aサイト元素が希土類元素,Ca、SrもしくはBaより選ばれる少なくとも一種であり、
    Bサイト元素がCr、Mn、Fe、Co、TiもしくはNiより選ばれる少なくとも一種である
    請求項に記載の電気化学セル用酸素極。
  5. 前記第2の酸化物の径が100nm以上5000nm以下である
    請求項1に記載の電気化学セル用酸素極。
  6. 支持基板と、
    前記支持基板上に配置される水素極と、
    前記水素極上に配置される電解質層と、
    前記電解質層上に配置される請求項1記載の電気化学セル用酸素極と、
    を有する電気化学セル。
  7. 前記電解質層と前記酸素極の間に配置される反応防止層、
    をさらに有する請求項6に記載の電気化学セル。
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