JP6831514B2 - 半導体層の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体層の製造方法、および半導体層に関する。
GeSn層は、光デバイスや電子デバイスの分野で利用が期待されている。
例えば、光デバイスの分野において、シリコンフォトニックスへの期待が高まる中、IV族半導体は間接遷移であるため、レーザーなどの通信用光源を実現し難い。しかし、GeSn層のスズの組成比(Sn組成比)が高いと、直接遷移となるため、高効率に発光し、レーザーなどの光源への応用が期待される。
また、例えば、電子デバイスの分野において、p型トランジスタの高速化が大きな課題となっている。これは、p型の正孔伝導がn型の電子伝導に比べて遅いことに起因している。ここで、p型で最も高速に動作するのがGeであり、Snを添加することによりさらなる高速化が期待される。
しかしながら、GeへのSnの固溶限は低く、GeSn層においてSn組成比を高くしようとすると、成膜中の温度により、Snが析出してしまう。そのため、高いSn組成比のGeSn層を実現するためには、低温での結晶成長が考えられる。ところが、結晶成長を低温で行うと、GeSn層の結晶性が低下してしまう。
例えば非特許文献1には、Sn組成比が4.5%で、ラマンスペクトルの半値幅が7.3cm−1であるGeSn層が記載されている。
Ruben R.Lieten,Tatsuro Maeda,Wipakorn Jevasuwan,Hiroyuki Hattori,Noriyuki Uchida,Shu Miura,Masatoshi Tanaka and Jean−Pierre Locquet,「Tensile−Strained GeSn Metal-Oxide-Semiconductor Field−Effect Transistor Devices on Si(111) Using Solid Phase Epitaxy」,Applied Physics Express,Volume 6,Number 10,p.101301
非特許文献1に記載のGeSn層は、結晶性が高いとはいえない。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)を含む半導体層の製造方法であって、スズの組成比が高くても、スズの析出を抑制することができ、高い結晶性を有することができる半導体層の製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、ゲルマニウムおよびスズを含む半導体層であって、スズの組成比が高くても、スズの析出を抑制することができ、高い結晶性を有することができる半導体層を提供することにある。
本発明に係る半導体層の製造方法は、
物理気相成長法によって、基板の上方に、ゲルマニウムおよびスズを含む半導体層を形成する半導体層の製造方法であって、
前記基板を第1温度に加熱して、前記基板の上方に、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅が3cm−1より大きい第1層を形成する工程と、
前記基板を、前記第1温度より高い温度であって、かつ50℃以上で350℃より低い第2温度に加熱して、前記第1層の上方に第2層を形成する工程と、
を含む。
このような半導体層の製造方法では、スズの組成比が高くても、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる半導体層を形成することができる。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記第1層の前記半値幅は、4.5cm−1以下であってもよい。
このような半導体層の製造方法では、より高い結晶層を有することができる半導体層を形成することができる。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記第2温度は、275℃以上であってもよい。
このような半導体層の製造方法では、第2温度を275℃にしても、第2層の表面にスズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有する半導体層を形成することができる。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記基板を、前記第1温度よりも高く前記第2温度よりも低い第3温度に加熱して、前記基板と前記第1層との間に、第3層を形成する工程を含んでもよい。
このような半導体層の製造方法では、第3層を形成しない場合に比べて、高い結晶性を有する半導体層を形成することができる。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記第2層の厚さは、200nm以下であってもよい。
このような半導体層の製造方法では、スズが析出することを、より確実に抑制することができる。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記半導体層の表面を除去する工程を含んでもよい。
このような半導体層の製造方法では、より確実に、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有する半導体層を形成することができる。
本発明に係る半導体層の製造方法において、
前記物理気相成長法は、スパッタ法であってもよい。
このような半導体層の製造方法では、スズの組成比が高くても、スズの析出を抑制することができ、高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層は、
ゲルマニウムおよびスズを含み、
ゲルマニウムの原子数とスズの原子数との和に対するスズの原子数の比は、3%以上であり、
ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅は、3cm−1より大きく、4cm−1以下である。
このような半導体層では、スズの組成比が高くても、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
前記比は、9%以上であってもよい。
このような半導体層では、より高いスズの組成比を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
前記比は、14%以下であってもよい。
このような半導体層では、スズの組成比が高くても、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
前記半値幅は、3.7cm−1以下であってもよい。
このような半導体層では、より高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層は、
ゲルマニウムおよびスズを含み、
ゲルマニウムの原子数とスズの原子数との和に対するスズの原子数の比は、12%以上であり、
ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅は、3cm−1より大きく、5.5cm−1以下である。
このような半導体層では、スズの組成比が高くても、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
前記比は、14%以上であってもよい。
このような半導体層では、より高いスズの組成比を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
前記比は、15%以下であってもよい。
このような半導体層では、スズの組成比が高くても、スズが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる。
本発明に係る半導体層において、
表面粗さRmsは、2nm以下であってもよい。
このような半導体層では、滑らかな表面を有することができる。
本実施形態に係る半導体層を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る半導体層の製造方法を説明するためのフローチャート。 本実施形態に係る半導体層の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る半導体層の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る半導体層の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る半導体層の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る半導体層の製造工程を模式的に示す断面図。 実験例で作製した試料を説明するための表。 実施例1のAFM象。 実施例2のAFM象。 実施例5のAFM象。 実施例8のAFM象。 比較例1のAFM象。 比較例2のAFM象。 参考例3のAFM象。 XRDの逆格子空間マップを模式的に示すグラフ。 第2低結晶層の基板温度とFWHMとの関係を示すグラフ。 スズの組成比とFWHMとの関係を示すグラフ。 参考例4のAFM象。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 半導体層
まず、本実施形態に係る半導体層について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る半導体層10を模式的に示す断面図である。
半導体層10は、図1に示すように、基板2の上方に(図示の例では、基板2上に)設けられている。基板2は、例えば、シリコン(Si)基板である。基板2は、単結晶基板であってもよい。なお、基板2は、絶縁体にシリコン単結晶薄膜が形成されたSOI(Silicon on Insulator)基板やSOQ(Silicon on Quartz)基板であってもよい。また、基板2は、ゲルマニウム(Ge)基板であってもよいし、GOI(Germanium on Insulator)基板であってもよい。また、基板2は、酸化物基板(例えば、酸化シリコンからなる基板)であってもよい。基板2は、例えば、(100)基板であってもよい。基板2および半導体層10は、例えば、半導体積層膜100を構成している。
半導体層10は、ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)を含む。半導体層10は、ゲルマニウムおよびスズからなるGeSn層であってもよい。
半導体層10におけるGeの原子数とSnの原子数との和に対するSnの原子数の比(Snの原子数/(Geの原子数+Snの原子数)、Sn組成比)は、3%以上20%以下であり、好ましくは、9%以上15%以下である。Sn組成比を3%以上とすることにより、例えば、Sn組成比の高い半導体層10を形成することができる。Sn組成比を20%以下とすることにより、例えば、Snの析出を抑制することができる。
半導体層10のラマンスペクトルのGe−Ge結合(GeとGeとの間の結合)に帰属されるピークの半値幅(FWHM:full width at half maximum、以下、単に「ラマンスペクトルの半値幅」ともいう)は、3cm−1より大きく5.5cm−1以下である。半導体層10のラマンスペクトルの半値幅を3cm−1より大きくすることにより、Snが析出することを抑制することができる。半導体層10のラマンスペクトルの半値幅を5.5cm−1以下にすることにより、半導体層10は、高い結晶性を有することができる。ラマンスペクトルの半値幅が小さいほど、結晶性は高い。また、基板の加熱温度が高いほど、結晶性は高い。
ここで、一般的に、Sn組成比が高くなるほど、結晶性の高い半導体層を形成することは難しく、ラマンスペクトルの半値幅は大きくなる。半導体層10では、例えば、Sn組成比が3%以上14%以下、好ましくは9%以上11.5%以下で、ラマンスペクトルの半値幅は、4cm−1以下、好ましくは3.7cm−1以下である。また、半導体層10では、例えば、Sn組成比が12%以上15%以下、好ましくは14%以上15%以下で、ラマンスペクトルの半値幅は、5.5cm−1以下である。
なお、Sn組成比は、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS; Secondary
Ion Mass Spectrometry)やXRD(X−ray diffraction)におけるスペクトルの分析(例えば、逆格子空間マップ(RSM:reciprocal space map))により測定することができる。また、ラマンスペクトルは、ラマン分光法により取得することができ、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークは、ラマンシフトが285cm−1以上315cm−1以下で確認されるピークである。Ge−Ge結合に帰属されるピークは、基本的には300.4cm−1であるが、半導体層10では、Snが添加されていることにより、Ge−Ge間の格子間隔が変化する場合がある(歪が生じる場合がある)。したがって、上記のように、半導体層10において、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークは、ラマンシフトが285cm−1以上315cm−1以下で確認されるピークである。
半導体層10の表面粗さRms(Root Mean Square)値は、例えば、4.5nm以下であり、好ましくは2nm以下であり、より好ましくは1.5nm以下である。表面粗さRmsは、二乗平均粗さであり、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic
Force Microscope)により測定することができる。例えば、半導体層10の表面にSnが析出する場合は、表面粗さRmsは、4.5nmより大きくなる。
半導体層10の厚さ(膜厚)は、例えば、10nm以上3μm以下であり、好ましくは100nm以上1μm以下である。半導体層10の厚さは、例えば、断面TEM(Transmission Electron Microscope)像の観察により測定することができる。
半導体層10は、添加物として炭素(C)およびシリコン(Si)の少なくとも一方を含んでいてもよい。半導体層10における、Geの原子数とSnの原子数と添加物の原子
数との和に対する添加物の原子数の比(添加物の原子数/(Geの原子数+Snの原子数+添加物の原子数))は、例えば、20%以下である。CやSiを半導体層10に添加することにより、半導体層10の格子定数を調整することができる。具体的には、CやSiの格子定数は、GeやSnの格子定数よりも小さいため、CやSiを添加することにより、半導体層10の格子状数を小さくすることができる。これにより、例えば、Si基板である基板2と、半導体層10と、の格子不整合の影響を減らすことができ、半導体層10の結晶性を高くすることができる。
半導体層10は、例えば、以下の特徴を有する。
半導体層10では、スズの組成比(Sn組成比)は、3%以上であり、ラマンスペクトルの半値幅は、3cm−1より大きく、4cm−1以下であってもよい。そのため、半導体層10は、Sn組成比が高くても、Snの析出を抑制することができ、高い結晶性を有することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。
半導体層10では、Sn組成比は、12%以上であり、ラマンスペクトルの半値幅は、3cm−1より大きく、5.5cm−1以下であってもよい。そのため、半導体層10は、Sn組成比が高くても、Snの析出を抑制することができ、高い結晶性を有することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。
半導体層10では、表面粗さRmsは、2nm以下であってもよい。そのため、半導体層10は、滑らかな表面を有することができる。
2. 半導体層の製造方法
次に、本実施形態に係る半導体層10の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る半導体層10の製造方法を説明するためのフローチャートである。図3〜図5は、本実施形態に係る半導体層10の製造工程を模式的に示す断面図である。
半導体層10の製造方法では、物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)によって、図1に示すように、基板2の上方に(図示の例では基板2上に)、半導体層10を形成する。
半導体層10を形成するための物理気相成長法は、例えば、スパッタ法である。スパッタ法は、スパッタ装置のチャンバー内にスパッタガスを導入し、ターゲットに電圧を印加してグロー放電を発生させ、スパッタガス原子をイオン化し、高速でターゲットの表面にガスイオンを衝突させて、ターゲットを構成する成膜材料の粒子をたたきだし、基板の表面に堆積させて薄膜を形成することができる。スパッタ装置としては、例えば、真空反応容器(チャンバー)と試料導入容器(チャンバー)とが真空遮閉器を介して連結されている装置を用いる。
半導体層10を形成するためのスパッタ法において、成膜圧力は、例えば、1mTorr以上10mTorr以下である。スパッタガスは、アルゴン(Ar)などの不活性ガスであってもよいし、不活性ガスと水素ガスとの混合ガスであってもよい。半導体層10を形成するためのスパッタにおいて、例えば、Geをスパッタするために高周波電源を用い、Snをスパッタするために直流電源を用いる。この場合、高周波電源の高周波電力は、ターゲットの単位面積当たり、例えば、0.1W/cm以上20W/cm以下であり、直流電源の電力は、ターゲットの単位面積当たり、例えば、0.1W/cm以上2W/cm以下である。高周波電源および直流電源の電力を上記範囲にすることにより、半導体層10の成膜速度ならびにSn組成比を調整することができる。
具体的には、まず、図3に示すように、基板2を第3温度に加熱して、スパッタ法によって、基板2上に第1低結晶層(第3層)12を形成する(ステップS1)。基板2の加熱は、例えば、ヒーターや、基板2の電流を流して基板2の抵抗で発熱させる通電加熱により行われる。
第1低結晶層12を形成することにより、基板2と半導体層10との間の格子不整合の影響を減らすことができる。第1低結晶層12を形成する際の基板2の加熱温度(第3温度)は、例えば、150℃以上250℃以下である。第3温度を150℃以上とすることにより、例えば基板2と半導体層10との間の格子不整合の影響を減らすことができ、結晶性の高い半導体層10を形成することができる。第3温度を250℃以下とすることにより、第1低結晶層12を形成した際に、第1低結晶層12の表面にSnが析出することを抑制することができる。第1低結晶層12の厚さは、例えば、5nm以上2μm以下である。
次に、図4に示すように、基板2を第1温度で加熱して、スパッタ法によって、第1低結晶層12の上方に第2低結晶層(第1層)14を形成する(ステップS2)。
第1温度は、例えば、第3温度よりも低い温度である。第1温度は、例えば、25℃以上250℃以下であり、好ましくは100℃以上250℃以下である。第1温度を250℃以下とすることにより、第2低結晶層14を形成した際に、第2低結晶層14の表面にSnが析出することを抑制することができる。
第2低結晶層14のラマンスペクトルの半値幅は、3cm−1より大きい。第2低結晶層14のラマンスペクトルの半値幅は、好ましくは、3.2cm−1以上で4.5cm−1以下である。第2低結晶層14の結晶性は、例えば、第1低結晶層12の結晶性よりも低い。第2低結晶層14は、結晶性を有していてもよいし、アモルファスでもよいが、半導体層10の結晶性を高くすることを考慮すると、第2低結晶層14は、結晶性を有していることが好ましい。また、第2低結晶層14をアモルファスとすると、後述するステップS3の加熱によりSnが析出してしまう場合があり、この点からも、第2低結晶層14は、結晶性を有していることが好ましい。第2低結晶層14の厚さは、例えば、5nm以上2μm以下である。
ステップS2では、例えば、ターゲットを構成する成膜材料の粒子を堆積させながら(スパッタを行いながら)、基板2の温度を第3温度から第1温度に変化させる。そのため、第1低結晶層12と第2低結晶層14との間には、第1中間層13が形成される。すなわち、第1中間層13を形成する際の基板2の加熱温度は、第3温度から第1温度へと変化する。第1中間層13の厚さは、例えば、1nm以上50nm以下であり、好ましくは20nm程度である。
次に、図5に示すように、基板2を第2温度で加熱して、スパッタ法によって、第2低結晶層14の上方に高結晶層(第2層)16を形成する(ステップS3)。
第2温度は、第1温度よりも高い温度である。第2温度は、例えば、第3温度よりも高い温度である。第2温度は、例えば、50℃以上で350℃より低い温度である。第2温度が50℃以上であれば、高結晶層16は、結晶性を有することができる。第2温度は、好ましくは、仮に、基板を第2温度で加熱しながら、スパッタ法によって、基板の直上に、GeおよびSnを含む層を形成した場合に、該層の表面にSnが析出するような温度である。半導体層10では、高結晶層16と基板2との間には、第2低結晶層14が設けられているため、基板2を第2温度で加熱しても、Snの析出を抑制することができる。第
2温度を350℃より高くすると、第2低結晶層14が設けられていても、Snが析出する場合がある。第2温度は、好ましくは、275℃以上で350℃より低い温度であり、より好ましくは275℃以上330℃以下、さらにより好ましくは275℃以上300℃以下である。
高結晶層16の結晶性は、例えば、第1低結晶層12および第2低結晶層14の結晶性よりも高い。高結晶層16の厚さは、例えば、5nm以上500nm以下であり、好ましくは5nm以上200nm以下である。高結晶層16の厚さを500nm以下とすることにより、高結晶層16を形成した際に、高結晶層16の表面にSnが析出することを抑制することができる。
ステップS3において、例えば、スパッタを行いながら、基板2の温度を第1温度から第2温度に変化させる。そのため、第2低結晶層14と高結晶層16との間には、第2中間層15が形成される。すなわち、第2中間層15を形成する際の基板2の加熱温度は、第1温度から第2温度へと変化する。第2中間層15の厚さは、例えば、1nm以上50nm以下である。
ステップS3において、基板2を第2温度で加熱することにより、低結晶層12,14および中間層13,15の結晶性は、高くなる。そして、低結晶層12,14、中間層13,15、および高結晶層16は、図1に示すように、半導体層10となる。すなわち、ステップS3では、基板2を第2温度で加熱することにより、高結晶層16を成膜しつつ、低結晶層12,14および中間層13,15の結晶性を高くして、低結晶層12,14、中間層13,15、および高結晶層16からなる半導体層10を形成することができる。半導体層10は、厚さ方向において、例えば、均一な結晶性を有している。
なお、ステップS3の後に、ステップS4として、半導体層10の表面を除去してもよい。半導体層10の表面の除去は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、エッチング等により行われる。
以上の工程により、半導体層10を製造することができる。
半導体層10の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
半導体層10の製造方法では、基板2を第1温度に加熱して、基板2の上方に、ラマンスペクトルの半値幅が3cm−1より大きい第2低結晶層14を形成する工程(ステップS2)と、基板2を第2温度に加熱して、第2低結晶層14の上方に高結晶層16を形成する工程(ステップS3)と、を含む。そのため、半導体層10の製造方法では、Sn組成比が高くても、Snが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有することができる半導体層10を形成することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。
半導体層10の製造方法では、第2低結晶層14のラマンスペクトルの半値幅は、4.5cm−1以下であってもよい。そのため、半導体層10の製造方法では、より高い結晶層を有することができる半導体層10を形成することができる。
半導体層10の製造方法では、第2温度は、275℃以上であってもよい。仮に、基板を275℃以上で加熱しながら、スパッタ法によって、基板の直上に、GeおよびSnを含む層を形成すると、該層の表面にSnが析出する。しかし、半導体層10の製造方法では、第2温度を275℃以上にしても、高結晶層16の表面にSnが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有する半導体層10を形成することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。
半導体層10の製造方法では、基板2を第3温度に加熱して、基板2と第2低結晶層14との間に、第1低結晶層12を形成する工程(ステップS1)を含んでもよい。そのため、半導体層10の製造方法では、第1低結晶層12を形成しない場合に比べて、高い結晶性を有する半導体層10を形成することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。
半導体層10の製造方法では、高結晶層16の厚さは、200nm以下であってもよい。そのため、半導体層10の製造方法では、Snが析出することを、より確実に抑制することができる(詳細は、「3. 実験例」参照)。「3. 実験例」では、高結晶層16の厚さを200nmにしてもスズの析出を抑制できることが確認された。そのため、例えば、半導体層10全体の厚さを大きくしたい場合は、高結晶層16の厚さを200nm以下とし、低結晶層12,14の厚さを大きくすることで、スズの析出を抑制しつつ、厚さの大きい半導体層10を形成することができる。
半導体層10の製造方法では、半導体層10の表面を除去する工程(ステップS4)を含んでもよい。例えば、高結晶層16を成膜した後、基板2を所定時間、第2温度で加熱し続けると、高結晶層16の表面にSnが析出してしまう場合がある。したがって、高結晶層16を成膜した後、Snが析出する直前に基板2の加熱を停止することが好ましい。しかし、Snが析出する直前に基板2の加熱を停止しようとしても、例えば、ばらつきによって基板2の加熱時間が長くなってしまい、Snが析出してしまう場合がある。そこで、基板2の加熱時間を、Snが析出する時間よりも、ある程度短くする(Snが析出する直前で加熱を停止するのではなく、余裕をもって加熱を停止する)ことが考えられるが、そうすると、半導体層10の表面近傍の結晶性が低くなる場合ある。そのため、半導体層10の製造方法では、半導体層10の表面を除去することにより、半導体層10の結晶性の低い部分を除去する。これにより、半導体層10の製造方法では、より確実に、Snが析出することを抑制することができ、高い結晶性を有する半導体層10を形成することができる。
なお、高結晶層16を成膜した後、Snが析出しないように、基板2の加熱時間を制御することができる場合は、半導体層10の製造方法では、半導体層10の表面を除去する工程を含んでいなくてもよい。
また、上記の例では、図5に示すように、第1低結晶層12と第2低結晶層14との間には第1中間層13が形成され、第2低結晶層14と高結晶層16との間には第2中間層15が形成される例について説明した。これは、スパッタを行いながら、ステップS2におけて基板2の温度を第3温度から第1温度に変化させ、ステップS3におけて基板2の温度を第1温度から第2温度に変化させたためである。例えば、スパッタを行わずに(スパッタを停止させて)、基板2の温度を変化させることにより、図6に示すように、第1中間層13および第2中間層15を形成させないことができる。ただし、スパッタを行いながら基板2の温度を変化させた方が、製造工程の時間を短縮させることができる。
また、上記の例では、図5に示すように、基板2と第2低結晶層14と間には、第1低結晶層12が形成される例について説明したが、図7に示すように、第1低結晶層12は形成されていなくてもよい。
また、上記の例では、スパッタ法によって半導体層10を形成したが、半導体層10を形成する方法は、物理気相成長法であれば、スパッタ法に限定されない。半導体層10を形成する方法は、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシー法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法であってもよい。
3. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
3.1. 試料の作製
真空反応容器(チャンバー)と試料導入容器(チャンバー)とが真空遮閉器を介して連結されているスパッタ装置を用いてスパッタを行い、Si基板上にGeSn層を形成した。真空反応容器は、Ge用マグネトロンスパッタガンと、Sn用マグネトロンスパッタガンと、を具備している。
具体的には、まず、真空反応容器を真空排気した。より具体的には、真空遮閉器を閉じて真空反応容器を1×10−9Torr以下まで排気した。そして、真空遮閉器を閉じたまま試料導入容器にSi基板を載置した。次に、試料導入容器を、試料導入容器に連結されているターボ分子ポンプおよびロータリーポンプで排気して、1×10−7Torr以下の真空にした。
次に、試料導入容器の真空度を保ったまま、真空遮閉器を開いて真空反応容器の所定の位置にSi基板を載置した。次に、真空遮閉器を閉じ、真空反応容器を1×10−9Torr以下の超高真空領域の圧力になるように排気した。1×10−9Torr以下の圧力となっている真空反応容器内で、所定の位置に設置したSi基板を、通電加熱によって1030℃以上に加熱し、清浄化した。
次に、スパッタガスを真空反応容器に導入し、スパッタガスの流量を調整し、真空反応容器内のスパッタガス圧力を3mTorrに設定した。
次に、通電加熱によってSi基板の温度を所定の値に調整した。次に、スパッタターゲットをシャッターで覆い、Ge用マグネトロンスパッタガンに高周波電源からの高周波電力を印加し、Sn用マグネトロンスパッタガンに直流電源からの電力を印加して、スパッタを開始した。この段階では、スパッタターゲットから飛散したGeおよびSnは、シャッターの裏面に付着し、Si基板の表面には到達しない。
次に、スパッタを行っている状態でシャッターを開いて、Si基板の表面からスパッタターゲットが見えるようにした。スパッタされたGeおよびSn原子は、Si基板に到達して成膜が開始する。GeおよびSnのスパッタレートならびにGeとSnとの原子数(組成比)は、予め高周波電力と直流電力とで調整した。このようにしてSi基板上にGeSn層(半導体層)を成膜した。
GeSn層を成膜した後、スパッタガンへの電力供給を停止し、スパッタガスの導入を停止し、通電加熱による加熱を停止した。GeSn層が形成されたSi基板を、真空反応容器への導入のときの逆手順で、試料導入容器側に取り出した。すなわち、真空反応容器の圧力を1×10−7Torr以下に保持し、GeSn層が形成されたSi基板を試料導入容器へ移送し、真空遮閉器を閉じた。真空遮閉器を閉じた後、真空反応容器を、真空ポンプを用いて1×10−9Torr以下まで排気した。
以上により、Si基板上にGeSn層(半導体層)が形成された半導体積層膜を作製した。
3.2. 試料の種類
本実験例では、上記の方法において、Si基板の加熱温度(基板温度)等を変化させて、GeSn層を形成した。具体的には、図8に示すように、実施例1〜11、比較例1,
2、および参考例1〜3のGeSn層を形成した。
実施例1では、Si基板上に、第1低結晶層、第2低結晶層、および高結晶層を、この順で成膜してGeSn層を形成した。第1低結晶層の基板温度(図8では、単に「温度」と記載)を250℃とし、第2低結晶層の基板温度を100℃とし、高結晶層の基板温度を300℃とした。第1低結晶層、第2低結晶層、および高結晶層の各々の厚さ(膜厚)を、100nmとした。GeSn層のSn組成比の設定値(狙い値)を、9.2%とした。
具体的には、第1実施例では、通電加熱による温度を250℃に設定して第1低結晶層を成膜した後に、通電加熱のスイッチをOFFにして(通電加熱を停止して)、数分経過した後に、自然冷却によりSi基板が冷やされた状態で、第2低結晶層を成膜した。その後、通電加熱による温度を300℃に設定して通電加熱のスイッチをONにし(通電加熱を行って)、高結晶層を成膜した。本実験例に用いたスパッタ装置では、200℃以上の温度は赤外線温度計によりモニターすることができるが、200℃未満の温度はモニターすることができない。しかし、発明者らの経験により、第2低結晶層を成膜する際の基板温度は、100℃程度である可能性が高いため、本実験例では、「100℃」と記載している。
第1実施例では、スパッタを行いながら基板温度を変化させた。したがって、第1実施例では、第1低結晶層と第2低結晶層との間には第1中間層が形成され、第2低結晶層と高結晶層との間には第2中間層が形成されている。
実施例2は、第2低結晶層の基板温度を200℃としたこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例3は、第1低結晶層を形成しなかったこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例4は、第1低結晶層を形成せず、第2低結晶層の基板温度を200℃としたこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例5は、第1低結晶層を形成せず、第2低結晶層の基板温度を225℃としたこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例6は、第1低結晶層を形成せず、第2低結晶層の基板温度を250℃としたこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例7は、高結晶層の厚さを5nmとしたこと以外は、第1実施例と同じである。
実施例8は、第1低結晶層を形成せず、第2低結晶層および高結晶層の厚さを200nmとしたこと以外は、実施例1と同じである。
実施例9は、第2低結晶層の基板温度を200℃とし、Sn組成比の設定値を11.5%としたこと以外は、実施例1と同じである。
実施例10は、第1低結晶層の基板温度を225℃とし、第2低結晶層の基板温度を200℃とし、高低結晶層の基板温度を250℃とし、Sn組成比の設定値を13%としたこと以外は、実施例1と同じである。
実施例11は、第1低結晶層の基板温度を200℃とし、第2低結晶層の基板温度を1
00℃とし、高低結晶層の基板温度を225℃とし、Sn組成比の設定値を14.6%としたこと以外は、実施例1と同じである。
比較例1は、第1低結晶層および第2低結晶層を形成せず、Si基板上に直接、高結晶層を成膜したこと以外は、第1実施例と同じである。
比較例2は、Sn組成比の設定値を11.5%とし、第1低結晶層および第2低結晶層を形成せず、基板温度275℃でSi基板上に直接、高結晶層を形成したこと以外は、第1実施例と同じである。
参考例1は、高結晶層を成膜しなかったこと以外は、第1実施例と同じである。
参考例2は、第2低結晶層の基板温度を225℃とし、高結晶層を形成しなかったこと以外は、第1実施例と同じである。
参考例3は、第2低結晶層の基板温度を225℃とし、第1低結晶層および高結晶層を形成しなかったこと以外は、第1実施例と同じである。
3.3. Snの析出評価
上記試料のGeSn層におけるSnの析出を、AFMにより評価した。さらに、GeSn層の表面粗さRmsを、AFMにより測定した。Snの析出の評価結果および表面粗さRmsを、図8に示す。なお、図8では、Snの析出が確認されたものを「有り」と記載し、Snの析出が確認されなかったものを「無し」と記載した。また、図9〜図15は、それぞれ、実施例1、実施例2、実施例5、実施例8、比較例1、比較例2、および参考例3のGeSn層の表面のAFM像である。
図8,13,14に示すように、比較例1,2では、GeSn層の表面にSnの析出が確認された。なお、便宜上、図13,14では、析出されたSnの一部を、円で囲んでいる。一方、実施例1〜11および参考例1〜3では、Snの析出は確認されなかった。これにより、Si基板上に直接GeSn層を成膜した場合には、Snが析出するような基板温度(例えば300℃)であっても、第2低結晶層を形成することにより、例えば高結晶層の基板温度を300℃としても、Snの析出を抑制できることがわかった。
さらに、実施例8において、Snの析出は確認されなかったことから、高結晶層の膜厚を200nmにしても、Snの析出を抑制できることがわかった。
さらに、図8に示すように、Snの析出が確認された比較例1,2は、実施例1,2,5,8および参考例3に比べて、表面粗さRmsが大きいことがわかった。したがって、第2低結晶層を形成することにより、表面が滑らかなGeSn層を形成できることがわかった。さらに、Snの析出が確認された比較例1,2のRmsは、4.8nm以上であることから、Rmsが4.5nm以下のGeSn層では、Snの析出を抑制できることがわかった。
3.4. Sn組成比評価
上記試料のGeSn層におけるSn組成比を、Ge(224)におけるXRDの逆格子空間マップにより求めた。Sn組成比を図8に示す。また、図16は、Ge(224)における実施例5および比較例1のXRDの逆格子空間マップを模式的に示すグラフである。なお、図8および図16において、比較例1のSn組成比は、膜厚を300nmではなく、500nmとした試料(比較例1(500mn))において求めたものである。
図16に示すように、比較例1(500mn)では、Sn組成比9.2%を狙って成膜したにもかかわらず、2つのピークが確認され、該2つのピークは、それぞれ、Sn組成比2.2%、6.7%に相当するものであった。このような2つのピークが確認されたことは、Snの析出が影響していると考えられる。一方、実施例5では、1つのピークが確認され、該ピークは、狙いどおり9.2%に相当するピークであった。
図8に示すように、実施例1〜11では、狙いどおりのSn組成比を有するGeSn層を形成することができた。
3.5. 結晶性評価
上記試料のGeSn層における結晶性を、ラマンスペクトルの半値幅により評価した。具体的には、ラマン分光法を行い、GeSn層のラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅(FWHM)を求めた。ラマン分光法の光源としては、波長488nmのレーザーを用いた。本実験例のラマン分光法では、GeSn層の表面から20nm程度の深さの情報が得られる。GeSn層のラマンスペクトルの半値幅(FWHM)の値を、図8に示した。図17は、実施例1〜6および参考例1〜3における第2低結晶層の基板温度とFWHMとの関係を示すグラフである。
図8に示すように、実施例1〜7,9〜11では、FWHMが5.5cm−1以下であり、高い結晶性を有することがわかった。実施例8のFWHMは測定されていないが、実施例1と実施例7を比較すると、FWHMは膜厚にほとんど依存しないといえる。そのため、実施例8のFWHMも5.5cm−1以下であると考えられる。
実施例1と参考例1とを比較すると、FWHM3.7cm−1の第2低結晶層の上方に高結晶層を成膜することにより、FWHM3.3cm−1のGeSn層を形成できることがわかった。また、実施例5と参考例3とを比較すると、FWHM4.4cm−1の第2低結晶層の上方に高結晶層を成膜することにより、FWHM3.4cm−1のGeSn層を形成できることがわかった。このように、第2低結晶層の上方に、基板温度を高くして高結晶層を成膜することにより、全体として結晶性の高いGeSn層を形成できることがわかった。
FWHM3cm−1の比較例1ではSnが析出したことから、第2低結晶層のFWHMを3cm−1以下にしようとすると、第2低結晶層の基板温度を高くする必要があり、第2低結晶層の表面にSnが析出すると考えられる。したがって、第2低結晶層のFWHMは、3cm−1より大きくすることが好ましい。
実施例1と実施例2とを比較すると、第2低結晶層の基板温度が高い方が、GeSn層のFWHMを小さくできることがわかった。同様に、実施例3〜実施例5を比較すると、第2低結晶層の基板温度が高い方が、GeSn層のFWHMを小さくできることがわかった。ただし、実施例6の方が実施例5より第2低結晶層の基板温度が高いが、FWHMは同じ値であった。したがって、第2低結晶層の温度は、225℃以上にしても、GeSn層のFWHMは、変わらないことがわかった。
実施例1と実施例3とを比較すると、第1低結晶層を形成した方が、GeSn層のFWHMを小さくできることがわかった。同様に、実施例2と実施例4とを比較すると、第1低結晶層を形成した方が、GeSn層のFWHMを小さくできることがわかった。
図18は、実施例2,9〜11におけるSn組成比とFWHMとの関係を示すグラフである。一般的に、Sn組成比を高くすると、FWHMは大きくなる傾向がある。しかし、本実験例では、図8および図18に示すように、Sn組成比を9.2%より高くしても、
GeSn層のFWHMは5.5cm−1以下であり、結晶性の高いGeSn層を形成できることがわかった。
図8および図18により、Sn組成比が、3%以上、好ましくは9%以上14%で、かつ、ラマンスペクトルの半値幅が、3cm−1より大きく、4cm−1以下、好ましくは3.7cm−1であるGeSn層を形成できることがわかった。また、Sn組成比が、12%以上、好ましくは14%以上15%以下で、かつ、ラマンスペクトルの半値幅が、3cm−1より大きく、5.5cm−1以下であるGeSn層を形成できることがわかった。
3.6. 350℃アニールの影響評価
上記のスパッタ法で、基板温度を250℃として、Si基板上にGeSn層(膜厚100nm)を形成した。Sn組成比の設定値を11.5%とした。その後、350℃で5分間熱処理を行って試料(参考例4)を作成した。図19は、参考例4のGeSn層の表面のAFM象である。
図19に示すように、参考例4では、Snの析出が確認された。表面粗さRmsは9.9nmであった。なお、図19では、析出されたSnの一部を、円で囲んでいる。
このように、350℃のアニールでは、Snが析出した。したがって、Snの析出を防ぐためには、高結晶層の基板温度を、350℃より低くすることが好ましい。
4. 半導体デバイスへの応用
4.1. レーザー光源への応用
本発明に係る半導体層(GeSn層)は、高効率な発光層としての応用が期待される。シリコンフォトニクスへの期待が高まる中、IV族半導体は、間接遷移であるため、レーザーなどの通信用の光源が欠けていた。本発明に係るSn組成比が高いGeSn層は、直接遷移となるため、高効率に発行し、シリコンフォトニックスで欠けていたレーザー光源を実現することができる。
4.2. 高移動度トランジスタへの応用
p型で最も高速に動作するのがGeであり、Snを添加することにより、さらなる高速化が期待されている。例えば、Sn組成比を7%とすることにより、Snを添加しないGeに比べて、1.85倍高速になることが知られている。そこで、本発明に係るSn組成比が高いGeSn層は、高速移動度トランジスタを実現することができる。具体的には、本発明に係るGeSn層は、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、ドープチャネル電界効果トランジスタ(DCFET:Doped−Channel Field−Effect Transistor)、共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunnel
Diode)、ヘテロバイポーラトランジスタ(HBT:Hetero−Bipolar Transistor)などに応用することができる。このような高速移動度トランジスタは、ミリ波無線通信やレーダー、物体画像検出や非侵襲・非破壊検査などに応用することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…基板、10…半導体層、12…第1低結晶層、13…第1中間層、14…第2低結晶層、15…第2中間層、16…高結晶層、100…半導体積層膜

Claims (9)

  1. 物理気相成長法によって、基板の上方に、ゲルマニウムおよびスズを含む半導体層を形成する半導体層の製造方法であって、
    前記基板を第1温度に加熱して、前記基板の上方に、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅が3cm−1より大きい第1層を形成する工程と、
    前記基板を、前記第1温度より高い温度であって、かつ50℃以上で350℃より低い第2温度に加熱して、前記第1層の上方に第2層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第2温度は、275℃以上である、半導体層の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記基板を、前記第1温度よりも高く前記第2温度よりも低い第3温度に加熱して、前記基板と前記第1層との間に、第3層を形成する工程を含む、半導体層の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記半導体層の表面を除去する工程を含む、半導体層の製造方法。
  4. 物理気相成長法によって、基板の上方に、ゲルマニウムおよびスズを含む半導体層を形成する半導体層の製造方法であって、
    前記基板を第1温度に加熱して、前記基板の上方に、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅が3cm−1より大きい第1層を形成する工程と、
    前記基板を、前記第1温度より高い温度であって、かつ50℃以上で350℃より低い第2温度に加熱して、前記第1層の上方に第2層を形成する工程と、
    を含み、
    前記基板を、前記第1温度よりも高く前記第2温度よりも低い第3温度に加熱して、前記基板と前記第1層との間に、第3層を形成する工程を含む、半導体層の製造方法。
  5. 請求項において、
    前記半導体層の表面を除去する工程を含む、半導体層の製造方法。
  6. 物理気相成長法によって、基板の上方に、ゲルマニウムおよびスズを含む半導体層を形成する半導体層の製造方法であって、
    前記基板を第1温度に加熱して、前記基板の上方に、ラマンスペクトルのGe−Ge結合に帰属されるピークの半値幅が3cm−1より大きい第1層を形成する工程と、
    前記基板を、前記第1温度より高い温度であって、かつ50℃以上で350℃より低い第2温度に加熱して、前記第1層の上方に第2層を形成する工程と、
    を含み、
    前記半導体層の表面を除去する工程を含む、半導体層の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記第1層の前記半値幅は、4.5cm−1以下である、半導体層の製造方法。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記第2層の厚さは、200nm以下である、半導体層の製造方法。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記物理気相成長法は、スパッタ法である、半導体層の製造方法。
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