本発明の塗料組成物および熱線遮蔽フィルムの実施形態について説明する。本発明の水系樹脂塗料組成物は、ポリウレタン樹脂エマルション(A)(以下、「(A)成分」とも称す)と、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、スズドープ酸化インジウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物粒子(B)(以下、「(B)成分」とも称す)と、糖類および糖アルコールからなる群から選択される少なくとも1種のレベリング剤(C)(以下、「(C)成分」とも称す)と、を含有する。
<(A)ポリウレタン樹脂エマルション>
本発明の水系塗料組成物において、(A)成分とは、ウレタン樹脂が水に分散または乳化したものをいう。(A)成分の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法で製造することができ、例えば、必要に応じて溶剤を用いて、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて、比較的高分子量のウレタンプレポリマーを合成した後、乳化剤を加え、その後水を少しずつ加えて転相乳化する方法(100℃以下の低沸点の溶剤を用いた場合は乳化工程後に減圧条件下で除去する、以下の方法において同じ)が挙げられる。上記転相乳化する方法においては、ウレタンプレポリマー中にポリエチレングリコール残基や、カルボキシル基等の親水基を骨格に組み込んだ場合は、乳化剤を使用しなくてもよい。転相乳化する方法以外では、乳化剤を加えた水中に、ウレタンプレポリマーを少しずつ添加して分散・乳化させる方法(プレポリマーミキシング法)が挙げられる。プレポリマーミキシング法において、ウレタンプレポリマー中にポリエチレングリコール残基や、カルボキシル基等の親水基を骨格に組み込んだ場合は、転相乳化する方法と同様に、乳化剤を使用しなくてもよい。
ポリオールとしては、少なくとも水酸基を2つ有する化合物であれば、特に制限されるものではなく、例えば、(a1)ポリエステルポリオール、(a2)ポリカーボネートジオール、(a3)ポリエーテルポリオール、(a4)数平均分子量500未満のポリオール等の(a)ポリオール成分を使用することができる。
(a1)ポリエステルポリオールとして、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる化合物、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られる化合物、およびこれらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂肪族環式構造含有ポリオール;およびビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール型ポリオールを使用することができる。中でも、ウレタンプレポリマーの粘度と、皮膜化した時のウレタン樹脂の物性のバランスの観点から、脂肪族ポリオールを使用することが好ましい。
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸の脂肪族ポリカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸やシクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸;オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;およびそれらの無水物、またはエステル誘導体を、単独または2種以上併用して使用することができ、この中では、ウレタン樹脂皮膜にした時の強度と、耐溶剤性を良好にするために、芳香族ポリカルボン酸を使用することが好ましく、芳香族ジカルボン酸を使用することがより好ましい。
(a2)ポリカーボネートジオールとして、例えば、炭酸エステルおよび/またはホスゲンと、後述するポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。上記炭酸エステルとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート等を使用することできる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
(a3)ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
開始剤としては、例えば水、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、燐酸、酸性リン酸エステル等を使用することができる。
アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記(a4)数平均分子量500未満のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上のポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂肪族環式構造含有ポリオール;およびビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール型ポリオール等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン樹脂皮膜の物性を向上させるという点で、脂肪族ジオール、3価以上のポリオール、ビスフェノール型ポリオールを使用することが好ましく、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用することがより好ましい。
本発明の塗料組成物においては、上述のポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の何れを用いてもよい。また、上記(a)ポリオール成分として、上記ポリオール(a1)、(a2)、(a3)、(a4)を単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
本発明に係るポリウレタン樹脂エマルションを塗料に用いて強度の高いウレタン樹脂皮膜を得るためには、上記(a)ポリオール成分として、(a1)ポリエステルポリオールが好ましく、脂肪族ポリオールと芳香族ポリカルボン酸を反応させて得られるポリエステルポリオールがより好ましい。(a)ポリオール成分として上記(a1)、(a2)、(a3)のいずれか1種以上を用いる場合には、(a)ポリオール成分の数平均分子量は好ましくは700〜5000であり、より好ましくは1000〜3000である。ウレタンプレポリマーの製造時の作業性と、本発明の塗料組成物を塗料に用いた場合のウレタン樹脂皮膜の物性とのバランスのためには、上記(a)ポリオール成分が(a4)ポリオールを含有することが好ましい。この場合の(a4)ポリオールの(a)ポリオール成分の総量に対する割合は好ましくは1〜30質量%であり、さらに好ましくは3〜15質量%である。
本発明に係るポリウレタン樹脂エマルションを得るためのポリイソシアネートとしては、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であれば、特に制限なく公知のものを使用することができる。例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式構造含有ジイソシアネート、およびこれらの芳香族ジイソシアネート、若しくは脂肪族または脂環式構造含有ジイソシアネートを3量体化させた化合物等を使用することができる。これらは単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用することもできる。これらその他のイソシアネート化合物として、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートは安価で入手が可能であるという点で好ましい。
本発明に係るポリウレタン樹脂エマルションを得る際に、分子骨格に親水基を導入した場合は、乳化剤を用いなくても、ウレタンプレポリマーを分散・乳化させることできる。そのような親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基、アミノ基等の塩基性基、アミド基、ポリオキシエチレン基等のノニオン基が挙げられる。
酸性基をウレタン樹脂骨格に導入するための化合物としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、グリコール酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、アミノ安息香酸、グリシン、アラニン等のアミノ酸(アミノカルボン酸)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等のヒドロキシスルホン酸、アミノエチルスルホン酸等のアミノスルホン酸が挙げられる。これらの化合物を、上記に挙げたポリオール成分と併用することにより、ウレタン樹脂骨格に酸性基を導入させることができる。また、これらの酸性基に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の1価の金属水酸化物や、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物により中和させることで、ウレタンプレポリマーの水への分散性・乳化性を向上させることができる。
塩基性基をウレタン樹脂骨格に導入するための化合物としては、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等の3級アミン化合物等が挙げられる。これらの化合物を、上記に挙げたポリオール成分と併用することにより、ウレタン樹脂骨格に塩基性基を導入させることができる。また、また、これらの塩基性基に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、メチルクロライド、ベンジルクロライド等の有機酸や、塩酸、燐酸、硝酸等の無機酸により中和させることで、ウレタンプレポリマーの水への分散性・乳化性を向上させることができる。
ノニオン基をウレタン樹脂骨格に導入するための化合物としては、ポリオキシエチレングリコールや、ポリオキシエチレングリコールの水酸基の1つがメチル基やエチル基等のアルキル基で置換されたポリオキシエチレンモノオール、特許5869893等に記載の、ポリオキシエチレン基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物が挙げられる。これらの化合物を、上記のポリオール成分と併用することにより、ウレタン樹脂骨格にノニオン基を導入させることができる。
ポリウレタン樹脂エマルションを製造する上で任意で用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。沸点100℃以下の溶媒を使用する場合には、ポリウレタン樹脂エマルションを合成した後、その溶媒を減圧留去等によって除去することが好ましい。溶媒の使用量は特に制限は無いが、ウレタンプレポリマーの原料の全量100質量部に対して3〜200質量部が好ましい。
ウレタンプレポリマーの製造では、架橋剤を用いてウレタンプレポリマーに架橋構造を導入することができる。架橋剤としてウレタンプレポリマーの合成時に通常用いられる架橋剤を制限なく使用することができる。このような架橋剤として、例えば、メラミン、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、ブチル化メチロールメラミン、メラミン樹脂等を使用することができる。架橋剤としてはポリウレタンへの分散性が優れ安価なメラミンが好ましい。架橋剤の使用量は、ポリオール成分100質量部に対して好ましくは0.01〜50質量部であり、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。
ウレタンプレポリマーを乳化するための乳化剤としては、公知の界面活性剤を使用することができる。例えば、界面活性剤として一般的なアニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アミン塩およびピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、ベタイン型、硫酸エステル型およびスルホン酸型等の両性界面活性剤等を使用することができる。
アニオン性界面活性剤として、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類、ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、およびアンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキシエチレンエーテルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノレート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホン酸塩類;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩類;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート類を使用することができる。さらに、高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩、ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、およびN−アシルメチルタウリン塩等も使用することができる。
ノニオン性界面活性剤として、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類を使用することができる。さらに炭素原子数1〜18のアルコールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物、アルキレングリコールおよび/またはアルキレンジアミンのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物等も使用することができる。
ノニオン性界面活性剤を構成する炭素原子数1〜18のアルコールは例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、およびステアリルアルコール等である。
アルキルフェノールとしては、例えば、フェノール、メチルフェノール、2,4−ジ第3ブチルフェノール、2,5−ジ第3ブチルフェノール、3,5−ジ第3ブチルフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−第3オクチルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、およびビスフェノールF等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、および1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルキレンジアミンは、例えば先に説明したアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換された化合物である。エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物としては、ランダム付加物とブロック付加物のいずれも使用することができる。
カチオン性界面活性剤として例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルピリジニウムブロマイドおよびイミダゾリニウムラウレート等を使用することができる。
両性界面活性剤として例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等のベタイン型両性界面活性剤、β−ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、硫酸エステル型両性界面活性剤およびスルホン酸型両性界面活性剤を使用することができる。
本発明に係るポリウレタン樹脂エマルションは、ウレタンプレポリマーを水中に分散・乳化させた後、鎖伸長剤を反応させることにより、さらに高分子量化させることができる。高分子量化させたポリウレタン樹脂は、塗膜にした時の物性や耐薬品性、耐水性等の諸性能が向上したものとなる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオールを用いることができる。さらに、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン等の低分子ジアミン類、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、アミノエチルアミノエタノール、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類;m−キシレンジアミン、α−(m/p−アミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の、芳香族ジアミン類のポリアミンも使用することができる。さらにコハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド等のヒドラジン類、水加ヒドラジン、および水も使用することができる。
これらの化合物の中では、入手容易性および反応容易性の観点から、ジアミン類、ヒドラジド類、水和ヒドラジン、水が好ましく、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、水加ヒドラジン、水が特に好ましい。
鎖伸長剤の使用量は特に制限されないが、ポリウレタン樹脂エマルションからなる塗膜の物性と反応時の作業性のバランスの観点から、反応させる鎖伸長反応前のウレタンプレポリマーに含まれるイソシアネート基当量に対する鎖伸長剤に含まれるイソシアネート反応基当量の比が0.1〜1.0の範囲となる量が好ましい。
本発明のポリウレタン樹脂エマルションにおいては、ウレタン樹脂由来の固形分が塗料組成物の総量に対して5〜50質量%であることが好ましく、7〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。5質量%よりも少ない場合、ウレタン樹脂皮膜の強度や熱線の遮蔽効果が劣る傾向にあり、50質量%よりも多い場合は、塗料組成物の粘度が著しく大きくなり、作業性に悪影響を及ぼす傾向にある。
なお、ポリウレタン樹脂エマルションを、ポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂が水に分散、若しくは乳化したものである場合には、ポリウレタン樹脂の繰り返し単位は一様ではなく、その構造と繰り返し数はバラエティに富む。従って、本発明に係るポリウレタン樹脂の構造は複雑であり、一律にある種の一般式で表すことはできない。
本発明の塗料組成物に係る(A)成分としては、市販されているポリウレタン樹脂エマルションを使用してもよい。市販されているポリウレタン樹脂エマルションとしては、例えば、(株)ADEKA製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業(株)製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッツ」シリーズ等が挙げられる。
<金属酸化物粒子(B)>
本発明の塗料組成物においては、(B)成分は、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛およびスズドープ酸化インジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属酸化物粒子である。(B)成分は、塗料組成物に赤外線や近赤外線等の熱線遮蔽効果を付与する成分である。(B)成分としては、太陽光のうち室内温度上昇効果の高い近赤外線等の遮蔽効果が高いことから、アンチモンドープ酸化スズが好ましい。
本発明の塗料組成物においては、赤外線や近赤外線等の熱線遮蔽効果を付与する(B)成分以外にも、一般的に知られている他の熱線遮蔽成分も併用することができる。このような化合物としては、例えば、タングステン系複合酸化物や六ホウ化ランタン等のランタン系化合物を挙げることができる。
本発明の塗料組成物においては、(A)成分と(B)成分との割合は、(A)成分由来の固形分100質量部に対する(B)成分の含量が18〜80質量部であることが好ましい。(B)成分の含量が、18質量部よりも低い場合は、十分な熱線遮蔽性を得るために厚い塗膜にする必要があり塗装のための作業性が低下し、80質量部よりも高い場合には、塗膜の平滑性や基材に対する密着性に悪影響が発生する場合がある。(A)成分由来の固形分100質量部に対する(B)成分の含量は、20〜70質量部がより好ましく、25〜60質量部がさらに好ましい。
本発明の塗料組成物に係る(B)成分の粒子径は、分散安定性や、塗膜の透明性の点から、できるだけ小さい方が好ましい。小さい粒子径の金属酸化物粒子を得る方法としては、金属酸化物粒子を乾式粉砕、または湿式粉砕する方法が挙げられる。
乾式粉砕するための乾式粉砕機としては、例えば、フレーククラッシャ、ハンマーミル、ピンミル、バンタムミル、ジェットミル、フレットミル、パンミル、エッジランナー、ローラーミル、ミックスマーラー、振動ミル等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせるか、同じ機器で微細化処理を繰り返し行ってもよい。
湿式粉砕するための湿式粉砕機としては、例えば、ビーズ型湿式粉砕機(OBミル、ウルトラアペックスミル等)、ローラーミルのローラー転動ミル(ロッシェミル等)、遠心ローラーミル(レイモンドミル等)、高速回転ミルのターボミル型(ターボミル等)、固定衝撃板型(ウェトコミル等)、媒体攪拌ミルの流通管式ミル(サンドグラインダー)、攪拌槽式ミル(アトライター等)、ジェットミルのジェット気流衝突型(マジャックパルペライザー等)、衝突板型複合型(スーパーシングルトラックジェットミル等)、その他コロイドミル等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせるか、同じ機器で微細化処理を繰り返し行ってもよい。
本発明の塗料組成物においては、上記に挙げた粉砕方法の中でも、湿式粉砕により、小さい粒子径の金属酸化物粒子を得る方法が好ましい。ウレタン樹脂エマルションと金属酸化物粒子の混合溶液中で、湿式粉砕をすることにより、金属酸化物粒子がより安定に存在することができるようになる。さらに、より貯蔵安定性が良好な組成物にできるという点で、ビーズ型湿式粉砕機を用いた湿式粉砕をすることがより好ましい。
ビーズ型湿式粉砕機を用いる時のビーズの種類としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス等が挙げられるが、耐摩耗性に優れることからセラミックスが好ましい。ビーズの粒子径は小さい方が粒子径の小さい分散物が得られるが、ビーズの粒子径があまりにも小さい場合には操作性に劣ることから、ビーズの粒子径は30〜300μmが好ましく、50〜100μmがより好ましい。
上記の方法により、湿式粉砕した金属酸化物粒子の粒子径としては、ポリウレタン樹脂エマルションと金属酸化物粒子の混合液中において、動的光散乱法により測定される体積基準における、ウレタン樹脂粒子と金属粒子径の平均粒子径が1〜70nmであることが好ましく、工業的な原料の入手のし易さと作業性の点から、2〜50nmがより好ましく、5〜30nmがさらに好ましい。
[(C)レベリング剤]
本発明の塗料組成物に用いられる(C)成分は糖類、または糖アルコールである。糖類、または糖アルコールをポリウレタン樹脂エマルションと金属酸化物粒子の混合液に、さらに添加することにより、塗膜にした時の乾燥性を下げて、急速な乾燥による塗膜表面の凹凸を低減させることができ、また、垂直面に塗布した場合にも垂れにくく、作業性が良好な塗料を提供することができる。
糖類としては、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類が挙げられ、具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、メリビオース、マルトトリオース、グリコーゲン、デンプン、フルクタン、キチン質等が挙げられる。
糖アルコールとしては、グリセリン、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、イソマルト等が挙げられる。
上記の糖類、糖アルコールは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これら糖類および糖アルコールの中では、特に塗料にした時の美装性が良好であるという点で、リボース、キシロース、メリビオース、キシリトール、ソルビトール、イソマルトを使用することが好ましく、ソルビトールを使用することがより好ましい。
本発明の塗料組成物に用いられる(C)成分の量としては、(A)成分と(B)成分とを合わせた成分中の固形分100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、2〜80質量部がより好ましく、2.5〜70質量部がさらに好ましく、30〜70質量部が特に好ましい。
(C)成分を添加する方法としては、ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤で高分子量化する前に添加する方法や、ポリウレタン樹脂エマルションを製造した後に添加する方法が挙げられるが、ウレタン樹脂の分子量をコントロールできるという観点から、ポリウレタン樹脂エマルションを製造した後に添加する方法が好ましい。また、(C)成分は、そのものを直接添加してもよいし、水等の溶媒で希釈した溶液の状態で添加してもよい。
[他の添加剤]
本発明の水系樹脂塗料組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤を添加することができる。添加剤としては一般的な各種の樹脂添加剤を制限なく使用することができる。このような添加剤として、例えば、架橋剤、各種耐候剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤)、基材に対する密着性を特に強固にするシランカップリング剤、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、テトラアルコキシシランおよびその縮重合物、キレート剤、エポキシ化合物、顔料、染料、造膜助剤、硬化剤、外部架橋剤、粘度調整剤、糖類および糖アルコール以外のレベリング剤、消泡剤、凝固防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機または有機の充填剤、可塑剤、滑剤、フッ素系またはシロキサン系等の帯電防止剤、補強剤、触媒、揺変剤、ワックス類、防曇剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐触剤、および防錆剤等を使用することができる。
架橋剤としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、上記付加物と炭素原子数が1〜6のアルコール単位を含むアルキルエーテル化合物等からなるアミノ樹脂、多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物および亜鉛錯体等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜C13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)―4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;および各種の金属塩または金属キレート、例えば、ニッケルまたはクロムの塩またはキレート類等が使用される。
酸化防止剤としては、リン系抗酸化剤、フェノール系抗酸化剤、硫黄系抗酸化剤を使用することができる。リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)−1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12アルキル〜C15アルキルの混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−[(2,4,7,9−テトラキス第3ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−[(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチルアミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4−[3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、および2−ブチル−2−エチルプロパンジオール−2,4,6−トリ第3ブチルフェノールモノホスファイト等を使用することができる。
フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、およびトコフェロール等を使用することができる。
硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等の、ポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類を使用することができる。
耐候剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤)の使用量は、(A)成分の固形分100質量部に対して好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。耐候剤の量が上記固形分100質量部に対して0.001質量部より少ないと充分な添加効果を得られない場合がある。耐候剤の量が上記固形分100質量部に対して10質量部より多いと、水分散安定性や塗膜物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
これらの耐候剤を添加する方法としては、ウレタン原料のポリオールに添加する方法、ウレタンプレポリマーに添加する方法、ウレタンプレポリマーの水分散時における水相に添加する方法、水分散後に添加する方法の何れでもよい。操作が容易であるという点では、原料ポリオールに添加する方法およびウレタンプレポリマーに添加する方法が好ましい。
カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタンカップリング剤;ジルコニウムトリブトキシステアレート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチルジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ドデシル)ベンゼン−スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)ピロ−ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(N−エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(m−アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリメタクリルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシジ(3−メルカプト)プロピルジルコネート、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ジルコニウム2,2−ビス(2−プロペノラトメチル)ブチラート,ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のジルコニウム系カップリング剤を挙げることができる。
これらのカップリング剤の中でも、ガラス表面への密着性を向上させる点、およびウレタン樹脂エマルションとの相溶性の点から、シランカップリング剤を使用することが好ましく、ウレタン樹脂骨格にカップリングする官能基を組み込めるという点で、アミノ基を含有するシランカップリング剤を使用することがより好ましい。
カップリング剤を添加する方法としては、ウレタンプレポリマーを水中に分散させる前に添加してもよいし、水分散後に添加してもよい。
カップリング剤の使用量は有効量以上であれば特に制限されないが、(A)成分の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
カップリング剤以外の密着促進剤としては、例えば、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらの中では、好ましくはベンゾトリアゾールである。
カップリング剤以外の密着促進剤の使用量は有効量以上であれば特に制限されないが、(A)成分の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
本発明の塗料組成物により得られる塗膜は、熱線遮蔽性に優れることから、塗料組成物は、窓ガラス用の熱線遮蔽性塗料として好適に使用できる。窓ガラスへの塗料組成物の塗布方法は、特に限定されないが、既設の窓ガラスに塗布する場合は、容易に塗布できることから、ローラーコート、スポンジコート、スプレーコートが好ましい。また、工場の製造ラインで塗布する場合は、ローラーコート、スポンジコート、スプレーコート、カーテンコート(フローコート)が好ましい。塗膜の厚さがあまりに薄い場合には、熱線の遮蔽効果が不十分となり、またあまりに厚い場合には、コスト高になると共に、可視光線の透過率が低下する場合がある。このため、塗膜の厚さが、乾燥後の厚さで、2〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。なお、ガラスに塗布する場合は、ガラスの片面でも両面でもよいが、既設の窓ガラスに塗布する場合、施設外部からの塗膜の汚染が低減できることから、内面(室内面)のみに塗布することが好ましい。内面のみに塗布することは、2階以上の窓ガラスの場合は、施工の容易さからも好ましい。
本発明の塗料組成物を窓ガラスに塗布することにより、屋外からの熱線が遮蔽されることにより、屋内の気温の急激な上昇が抑制されて夏季の冷房に要する電力が節約できる。冬季においては屋内の暖房の熱が屋外に逃げることを防ぐことにより、暖房効率を向上し、暖房に要する電力を節約できる。また、本発明の塗料組成物は、車両のフロントガラス、サイドガラス、サンルーフ等に使用すれば、車内の温度上昇を抑制できる。本発明の塗料組成物は無機ガラスだけでなく、透明な樹脂板や樹脂シートにも適用できる。
[熱線遮蔽フィルム]
次に、本発明の熱線遮蔽フィルムについて説明する。本発明の熱線遮蔽フィルムは、樹脂製基材フィルムに、上述した本発明の水系樹脂塗料組成物からなる熱線遮蔽層が形成されてなるものである。
本発明の熱線遮蔽フィルムで使用する樹脂製基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素フィルム、ポリイミドフィルム等の耐候性を有する樹脂フィルムが好ましい。これらの樹脂製基材フィルム上に、本発明の水系樹脂塗料組成物の塗膜を形成し、粘着加工したフィルムは、窓ガラスや車両のフロントガラス等に付着させて使用する熱線遮蔽シートとして有用である。樹脂製基材フィルムの厚さは、シートのハンドリング性から50〜200μmが好ましい。また、塗膜の厚さは、乾燥後の厚さで、2〜50μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが更に好ましい。
本発明の熱線遮蔽フィルムを得るための、水系樹脂塗料組成物を樹脂製基材フィルム上に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法等を単独または組み合わせて適用するとよい。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。実施例において、下記に示す原料を使用した。
<ポリオール化合物>
a1:ネオペンチルグリコール/12−ヒドロキシステアリン酸/アジピン酸=10/9/5(モル比)の反応物 数平均分子量1030
a2:アデカニューエースYG−215(数平均分子量2000のポリエステルポリオール、(株)ADEKA製)
<添加剤>
SE−21:シリコーン系消泡剤(旭化成ワッカーシリコーン(株)社製)
金属酸化物B1:アンチモンドープ酸化スズ粉末(一次粒径20nm)
BYK−066:シリコン系界面活性剤(ビックケミージャパン(社)製)
サーフィノール(登録商標)104E:アセチレングリコール系非イオン性界面活性剤(日新化学工業(株)製)
<製造例1:ポリウレタン樹脂エマルションA1>
ジムロート、撹拌羽根、窒素ラインを装着した2Lの5つ口セパラブル丸底フラスコに、ポリオール化合物a1を222g、ヘキサメチレンジイソシアネートを78g、ジメチロールプロピオン酸を22g、N−メチル−2−ピロリドンを83g加え、100〜120℃にて4時間反応させた。反応系を60℃に冷却し、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを20g加え、10分間反応させた後、トリエチルアミンを17.8g加えて中和することにより、ウレタンプレポリマーを製造した。その後、40℃の水1066.6gを少しずつ加え、ウレタンプレポリマーを転相乳化させ、さらに30分間撹拌を行った後、20〜40℃にてヘキサメチレンジアミンを8.3g加え、30分間反応を行い、固形分30%のポリウレタン樹脂エマルションA1を製造した。
<製造例2:ポリウレタン樹脂エマルションA2>
ジムロート、撹拌羽根、窒素ラインを装着した2Lの5つ口セパラブル丸底フラスコに、ポリオール化合物a2を660g、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを273g、ジメチロールプロピオン酸を38.4g、N−メチル−2−ピロリドンを332g加え、100〜120℃にて4時間反応させた。反応系を60℃に冷却し、トリエチルアミンを29.4g加えて中和することにより、ウレタンプレポリマーを製造した。その後、3Lのディスポカップに、40℃の水を1209g、SE−21を2.3g、トリエチルアミンを5g加え、5分間撹拌を行った後、上記ウレタンプレポリマー1306gを少しずつ加え、水分散を行い、さらに30分間撹拌を行った。その後、20〜40℃にて25%エチレンジアミン水溶液を56.4g、アジピン酸ヒドラジドを13.5g加え、30分間反応を行い、固形分37.9%のポリウレタン樹脂エマルションA2を製造した。
<実施例1>
500mLのガラスビーカーにウレタン樹脂エマルションA1を48.6g、ウレタン樹脂エマルションA2を20.8g、金属酸化物B1を11.2g、水を54.4g、ソルビトールを10.2g加え、25℃にて5分間撹拌を行った。その後、ビーズミル湿式粉砕機(型式UAM−015、(株)広島メタル&マシナリー製)を用いて、平均粒子径の変化が一定になるまで粉砕して、分散させ、水系樹脂塗料組成物を調製した。なお、ビーズは粒径0.1mmのジルコニアビーズを用い、ビーズミルの粉砕槽のビーズの空間充填率は50%とした。調整した水系樹脂塗料組成物を用いて、以下の方法により、透過率、塗工性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[透過率]
調整した水系樹脂塗料組成物を、縦100mm、横70mm、厚さ2mmのソーダガラス板面に乾燥膜厚が20μmとなるように塗布し、25℃で3日間乾燥させて試験片を作製した。この試験片を用いて、分光光度計(型式NHD2000、日本分光(株)製)により、波長550nm(可視光)、および950nm(赤外線)における透過率を測定した。
[塗工性]
調整した水系樹脂塗料組成物を、垂直に立てた縦300mm、横300mm、厚さ3mmのソーダガラス板に無泡ローラーで塗布し、室温(20〜25℃)で3日間静置させ塗膜を作製し、塗工性の評価として、塗膜の泡残り、ハジキ、ゆず肌、垂れ、スジ、ムラの評価を目視にてA、B、Cのランクをつけて行った。
<泡残り>
A:塗膜表面の泡立ちが全くない
B:塗膜表面の泡立ち個数が10個以下である
C:塗膜表面の泡立ち個数が10個より多い
<ハジキ>
A:塗膜表面のホール(樹脂がない部分)が全くない
B:塗膜表面のホール個数が10個以下である
C:塗膜表面のホール個数が10個より多い
<ゆず肌>
塗膜表面に蛍光灯による光を当てた時の塗膜の見え方を以下の通りに評価した。
A:塗膜表面の歪みが全く見られない
B:塗膜表面の一部が僅かに歪んで見える
C:塗膜表面全体が歪んで見える
<垂れ>
A:塗料組成物の垂れた跡が全く見られない
B:塗料組成物の垂れた跡が僅かに見られる
C:塗料組成物が塗工面の下部まで垂れている
<スジ>
A:塗膜表面に塗工具の跡が全くない
B:塗膜表面に塗工具の跡が僅かに見られる
C:塗膜表面全体に塗工具の跡が見られる
<ムラ>
試験片を背景にかざした時の塗膜のムラを以下の通りに評価した。
A:塗膜全体が一様に見える
B:塗膜全体は一様に見えないが、塗膜の濃淡は区別がつかない
C:塗膜全体においてコーティングの濃淡の区別が出てしまっている
<実施例2〜7、比較例1〜4>
表1〜3に示す通りに原料の配合を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、それぞれの水系樹脂塗料組成物を製造し、水系樹脂塗料組成物の評価を行った。評価結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3中の(C’)成分とは、本発明の(C)成分との比較材料であり、一般的に知られているレベリング剤である。
<実施例8〜10、比較例5>
表2、3に示す通りに原料の配合を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、それぞれの水系樹脂塗料組成物を製造し、水系樹脂塗料組成物の評価を行った。評価に関し、透過率については実施例1と同様に測定をおこない、塗工性については、無泡ローラーの代わりにメラミンスポンジを用いてソーダガラス板に塗布して、塗工性の評価を実施例1と同様におこなった。評価結果を、評価結果を表2、3に示す。
表1〜3からわかる通り、本発明の水系樹脂塗料組成物はガラス板に塗布した後、赤外線領域の光の透過を防いでいることから、遮熱効果を有していることがわかるが、塗工性の面でも良好であることが分かった。本発明の水系樹脂塗料組成物を用いない比較例1〜5においては、遮熱効果は有しているものの、塗工性において、何れかの項目において満足のいく結果が得られなかった。