JP6830816B2 - コーティングイネ種子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、鉄コーティング湛水直播は、鉄粉でイネ種子をコーティングすることにより、土壌表面播種における種子の浮遊を抑制し、スズメによる食害を防止する技術として知られている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、該技術は鉄粉が酸化されることにより固化することを利用しているため、酸化の際に発生する熱を放散する必要がある等コーティング後のイネ種子の管理が煩わしく、また、管理が不十分な場合には発芽率が低下するという問題があった。このような問題の解決手法としては、例えば、高けん化度のポリビニルアルコールと、酸化鉄等のコーティング資材とを用いてイネ種子をコーティングする技術が知られている(特許文献1参照)。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] イネ種子の表面にコーティング層を有してなるコーティングイネ種子であって、前記コーティング層は、炭酸カルシウムと、スチレンブタジエン共重合体及びメチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体とを含有し、前記炭酸カルシウムの含有量は、前記コーティングイネ種子100重量%に対して30〜90重量%であるコーティングイネ種子。
[2] 前記共重合体のガラス転移点が10℃以下である[1]に記載のコーティングイネ種子。
[3] 下記の工程を有するコーティングイネ種子の製造方法。
(1)イネ種子を転動させながら、炭酸カルシウムと、スチレンブタジエン共重合体ラテックス及びメチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合体ラテックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体ラテックスとを添加し、イネ種子の表面に炭酸カルシウムを付着させる工程、及び(2)前記工程で得られた種子を乾燥させる工程
[4] 前記工程(1)が、イネ種子を転動させながら、炭酸カルシウムを添加する工程及び前記共重合体ラテックスを添加する工程を反復して実施することにより、イネ種子の表面に炭酸カルシウムを付着させる工程である[3]に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
[5] 炭酸カルシウムの1回の添加量は、イネ種子重量の1〜1/20であり、前記共重合体ラテックスの1回の添加量は、前記共重合体重量に換算して、イネ種子重量の1/10〜1/1000である[4]に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
[6] 炭酸カルシウムの1回の添加量は、イネ種子重量100重量部に対して5〜100重量部であり、前記共重合体ラテックスの1回の添加量は、前記共重合体重量に換算して、イネ種子重量100重量部に対して0.1〜10重量部である[4]に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
[7] イネ種子100重量部に対し、炭酸カルシウム100〜1200重量部を用いる[3]〜[6]のいずれか一項に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
[8] [3]〜[7]のいずれか一項に記載のコーティングイネ種子の製造方法により製造されたコーティングイネ種子。
[9] [1]、[2]または[8]に記載のコーティングイネ種子を直接水田に播く工程を有するイネの栽培方法。
かかる殺虫活性成分としては、例えば、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムが挙げられる。
かかる殺菌活性成分としては、例えば、イソチアニル、フラメトピルが挙げられる。
かかる除草活性成分としては、例えば、イマゾスルフロン、ブロモブチドが挙げられる。
かかる植物生長調節活性成分としては、例えば、ウニコナゾールPが挙げられる。
本発明においては、農薬活性成分は、そのまま、またはクレー等の固体担体と混合し、必要により乾式粉砕機等の粉砕機を用いて粉砕された粉状物として用いる。農薬活性成分の粒径は、通常200μm以下、好ましくは100μm以下である。本発明において農薬活性成分の粒径とはレーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置により測定される粒径であり、体積基準頻度分布において累積頻度で100%となる粒径を指す。なお、農薬活性成分が固体担体との混合物である場合には、該混合物の粒径を意味する。レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置としては、例えばLA−950V2(HORIBA製)が挙げられ、該装置を用いて水中に農薬活性成分の粒子を分散させて測定する方法所謂湿式測定により求めることができる。
前記コーティング層が農薬活性成分を含む場合、その合計含有量は、本コーティングイネ種子100重量%に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%の範囲である。
前記コーティング層が着色剤を含む場合、その合計含有量は、本コーティングイネ種子100重量%に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
このようにして得られたイネ種子を用いて、工程1を実施する。工程1は、イネ種子を転動状態にして、(1−1)炭酸カルシウムを添加する工程(以下、工程1−1と記す)及び(1−2)本共重合体ラテックスを添加する工程(以下、工程1−2と記す)を有する。工程1−1に次いで工程1−2を実施してもよいし、順番を逆転させても何ら差し支えない。また、工程1−1及び工程1−2を同時に実施してもよい。
イネ種子を転動状態にする装置としては、コーティングマシン等の公知の装置を用いることができる。炭酸カルシウムの総添加量は、乾燥イネ種子100重量部に対して通常100〜1200重量部であり、好ましい範囲としては、150〜1200重量部、150〜1000重量部、150〜500重量部及び190〜400重量部の範囲が挙げられる。また、本共重合体ラテックスの総添加量は、乾燥イネ種子100重量部に対して、本共重合体換算で通常1〜100重量部であり、好ましい範囲としては、5〜50重量部、5〜20重量部及び8〜16重量部の範囲が挙げられる。そして、本共重合体と炭酸カルシウムとの重量比は、通常1:10〜1:100、好ましくは1:25〜1:50の範囲である。
工程1において、炭酸カルシウムが装置の内壁等に付着する場合は、スクレーパー等を用いて掻き落とすことにより、添加した炭酸カルシウムの略全量をイネ種子の表面に付着させることができる。農薬活性成分及び着色剤を添加する場合、通常は、工程1において炭酸カルシウムと共に添加する。また、所定量の炭酸カルシウムをイネ種子の表面に付着させた後、転動状態のイネ種子に界面活性剤を添加することにより、イネ種子表面に形成されたコーティング層の表面に界面活性剤を付着させることができる。
(I)乾燥状態(水分含量20%以下)のコーティングイネ種子を、カッター等を用いて半分に切断する。このとき、図1に示すように、矢印aの方向に沿ってイネ種子bに刃を入れる。
(II)半分に切断されたコーティングイネ種子から玄米部分を取り除き、コーティング層と籾殻のみからなる試験片を得る。
(III)該試験片が完全に浸る量の水を入れたシャーレに該試験片を入れて、試験片を完全に水に浸した状態で30分間静置した後、水から試験片を取り出し表面に付着した水分を拭き取り、湿潤状態の試験片cを得る。
(IV)該湿潤状態の試験片cについて、筒井理化学器械製の簡易粒体硬度計を用い、以下の手順で硬度を測定する。ただし、本測定方法においては、円錐形の加圧棒を用いる。
(IV−I)図2に示すように、試料台dに切断面が下になるように試験片cを載せ、加圧ハンドルを回して加圧棒eを下げ、試験片cの中心部分にあてる。
(IV−II)ハンドルをゆっくり回し、試験片cが潰れ指示針が戻った際の置針が示す硬度を記録する。
(IV−III)更に6個の試験片cについて上記と同様に測定し、それらの測定値のうち最大値と最小値の値を除く5点につき算出した相加平均値をコーティング層の硬度とする。
また、製造例及び比較製造例に記載された商品名は以下の通りである。
G−100:炭酸カルシウム、三共精粉株式会社製
SS#80:炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製
ナルスターSR140:カルボキシ変性MBSラテックス、Tg;−12℃、固形分含量;48.5%、日本エイアンドエル株式会社製
ナルスターSR103:カルボキシ変性SBRラテックス、Tg;7℃、固形分含量;48.2%、日本エイアンドエル株式会社製
トダカラー300R:赤色顔料、戸田工業株式会社製
Nubix G−58:青色顔料、nubiola社製
勝光山クレーS:蝋石、株式会社勝光山鉱業所製
クラレポバールPVA117S:ポリビニルアルコール、けん化度;98.0〜99.0mol%、株式会社クラレ製
モビニール180E:酢酸ビニルとエチレンとの共重合体ラテックス、Tg;−15℃、固形分含量;55%、日本合成化学工業株式会社製
モビニール6485:アクリル酸エステルとスチレンとの共重合体ラテックス、Tg;−22℃、固形分含量;55%、日本合成化学工業株式会社製
まず、用いるイネ種子が少量の場合にコーティング可能な簡易種子コーティングマシンを作製した。図3に示すように、シャフト1の先に500mL容量のポリエチレン製カップ2を取りつけ、それを攪拌機3(スリーワンモータ、新東科学製)のドライブシャフトに挿入し、仰角が45度になるように攪拌機3を斜めにしてスタンド4に取りつけることにより、簡易種子コーティングマシンを作製した。
次に、G−100 60.0重量部及びSS#80 20.0重量部を混合して炭酸カルシウム混合物Aを得た。炭酸カルシウム混合物Aの(D90−D10)/D50は2.7であった。
また、ナルスターSR140 6.6g及び水3gを混合してナルスターSR140水希釈液9.6gを得た。
200mL容量のポリエチレン製カップに水を100mL程度入れ、そこへ乾燥イネ種子20gを投入し、10分間浸種した。その後、イネ種子を水中から取り出し、表面の過剰な水分を除去した後、作製した簡易種子コーティングマシンに取りつけられたポリエチレン製カップ2に投入した。簡易種子コーティングマシンを攪拌機3の回転数130〜140rpmの範囲で作動させ、ナルスターSR140水希釈液9.6gの1/16程度の量(約0.6g)を、スポイトを用いてイネ種子表面に滴下しながら、炭酸カルシウム混合物A 80gの1/16程度の量(約5g)を添加し、イネ種子に付着させた。炭酸カルシウム混合物Aがポリエチレン製カップ2の内壁に付着する場合はスパチュラを用いて掻き落とすことにより、1回に添加した炭酸カルシウム混合物Aの略全量をイネ種子に付着させた。簡易種子コーティングマシンを回転させながら、ナルスターSR140水希釈液約0.6gを、スポイトを用いてイネ種子表面に滴下しながら、炭酸カルシウム混合物A約5gを添加する操作を合計16回行い、炭酸カルシウム混合物A 80gをイネ種子表面に付着させた後、ステンレス鋼製バットにコーティング種子が重ならないよう広げ、一晩乾燥させることにより本発明のコーティングイネ種子1(以下、本コーティングイネ種子1と記す)を得た。本コーティングイネ種子1 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ77.5重量%及び3.1重量%であり、本コーティングイネ種子1のコーティング層の硬度は908gであった。
G−100 30.0重量部及びSS#80 9.0重量部を混合して炭酸カルシウム混合物Bを得た。炭酸カルシウム混合物Bの(D90−D10)/D50は3.2であった。炭酸カルシウム混合物B 39g及びトダカラー300R 1gを混合して混合物B 40gを得た。
また、ナルスターSR140 3.3g及び水1.5gを混合してナルスターSR140水希釈液4.8gを得た。
ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のナルスターSR140水希釈液4.8gとし、炭酸カルシウム混合物A 80gを上記の混合物B 40gとした以外は製造1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子2(以下、本コーティングイネ種子2と記す)を得た。ただし、簡易種子コーティングマシンを回転させながら、ナルスターSR140水希釈液4.8gの1/8程度の量(約0.6g)を、スポイトを用いてイネ種子表面に滴下しながら、混合物B 40gの1/8程度の量(約5g)を投入し、添加する操作を合計8回行い、混合物B 40gをイネ種子に付着させた。本コーティングイネ種子2 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ63.3重量%及び2.6重量%であり、本コーティングイネ種子2のコーティング層の硬度は805gであった。
G−100 60.0重量部及びSS#80 19.0重量部を混合して炭酸カルシウム混合物Cを得た。炭酸カルシウム混合物Cの(D90−D10)/D50は2.3であった。炭酸カルシウム混合物C 79g及びNubix G−58 1gを混合して混合物C 80gを得た。
炭酸カルシウム混合物Aを上記の混合物Cとした以外は製造例1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子3(以下、本コーティングイネ種子3と記す)を得た。本コーティングイネ種子3 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ76.5重量%及び3.1重量%であり、本コーティングイネ種子3のコーティング層の硬度は1020gであった。
70.0重量部の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)及び30.0重量部の勝光山クレーSを混合した後、遠心粉砕機で粉砕して、粉状農薬Aを得た。LA−950V2(HORIBA製)を用いて湿式測定により求めた粉状農薬Aの粒径は68.0μmであった。製造例3で得られた混合物C 80g及び粉状農薬A 0.086gを混合して混合物D 80.086gを得た。
炭酸カルシウム混合物A 80gを上記の混合物D 80.086gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子4(以下、本コーティングイネ種子4と記す)を得た。本コーティングイネ種子4 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ76.5重量%及び3.1重量%であり、本コーティングイネ種子4のコーティング層の硬度は972gであった。
ナルスターSR103 6.6g及び水4.3gを混合してナルスターSR103水希釈液10.9gを得た。
ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のナルスターSR103水希釈液10.9gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子5(以下、本コーティングイネ種子5と記す)を得た。本コーティングイネ種子5 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ77.5重量%及び3.1重量%であり、本コーティングイネ種子5のコーティング層の硬度は752gであった。
G−100 90.0重量部及びSS#80 30.0重量部を混合して炭酸カルシウム混合物Dを得た。炭酸カルシウム混合物Dの(D90−D10)/D50は2.7であった。
また、ナルスターSR140 9.9g及び水3.7gを混合してナルスターSR140水希釈液13.6gを得た。
炭酸カルシウム混合物A 80gを上記の炭酸カルシウム混合物D 120gとし、ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のナルスターSR140水希釈液13.6gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子6(以下、本コーティングイネ種子6と記す)を得た。ただし、簡易種子コーティングマシンを回転させながら、ナルスターSR140水希釈液13.6gの1/24程度の量(約0.6g)を、スポイトを用いてイネ種子表面に滴下しながら、炭酸カルシウム混合物D 120gの1/24程度の量(約5g)を添加する操作を合計24回行い、炭酸カルシウム混合物D 120gをイネ種子表面に付着させた。本コーティングイネ種子6 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ82.9重量%及び3.3重量%であり、本コーティングイネ種子6のコーティング層の硬度は1392gであった。
G−100 120.0重量部及びSS#80 40.0重量部を混合して炭酸カルシウム混合物Eを得た。炭酸カルシウム混合物Eの(D90−D10)/D50は2.7であった。
また、ナルスターSR140 13.2g及び水5.5gを混合してナルスターSR140水希釈液18.7gを得た。
炭酸カルシウム混合物A 80gを上記の炭酸カルシウム混合物E 160gとし、ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のナルスターSR140水希釈液18.7gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、本発明のコーティングイネ種子7(以下、本コーティングイネ種子7と記す)を得た。ただし、簡易種子コーティングマシンを回転させながら、ナルスターSR140水希釈液18.7gの1/32程度の量(約0.6g)を、スポイトを用いてイネ種子表面に滴下しながら、炭酸カルシウム混合物E 160gの1/32程度の量(約5g)を添加する操作を合計32回行い、炭酸カルシウム混合物E 160gをイネ種子表面に付着させた。本コーティングイネ種子7 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ85.8重量%及び3.4重量%であり、本コーティングイネ種子7のコーティング層の硬度は2592gであった。
酸化鉄10g及びクラレポバールPVA117S 0.1gを混合して混合物E 10.1gを得た。
200mL容量のポリエチレン製カップに水を100mL程度入れ、そこへ乾燥イネ種子20gを投入し、10分間浸種した。その後、イネ種子を水中から取り出し、表面の過剰な水分を除去した後、製造例1で作製した簡易種子コーティングマシンに取りつけられたポリエチレン製カップ2に投入した。簡易種子コーティングマシンを攪拌機3の回転数130〜140rpmの範囲で作動させ、霧吹きを用いて水を噴霧しながら、混合物E 10.1gの1/4程度の量(約2.5g)を添加し、イネ種子に付着させた。混合物Eがポリエチレン製カップ2の内壁へ付着する場合は、スパチュラを用いて掻き落とすことにより、1回に添加した混合物Bの略全量をイネ種子に付着させた。簡易種子コーティングマシンを回転させて、霧吹きを用いて水を噴霧しながら、混合物E約2.5gを添加する操作を合計4回行い、混合物E 10.1gをイネ種子表面に付着させた。水は合計1.1g用いた。その後、ステンレス鋼製バットにコーティング種子が重ならないよう広げ、一晩乾燥させることにより比較用のコーティングイネ種子1(以下、比較コーティングイネ種子1と記す)を得た。比較コーティングイネ種子1 100重量%に対する酸化鉄及びPVAの含有量は、それぞれ99.0重量%及び1.0重量%であり、比較コーティングイネ種子1のコーティング層の硬度は70gであった。
モビニール180E 5.8g及び水3.5gを混合してモビニール180E水希釈液7.5gを得た。
ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のモビニール180E水希釈液7.5gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、比較用のコーティングイネ種子2(以下、比較コーティングイネ種子2と記す)を得た。比較コーティングイネ種子2 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ77.5重量%及び3.1重量%であり、比較コーティングイネ種子2のコーティング層の硬度は88gであった。
モビニール6485 5.8g及び水3.5gを混合してモビニール6485水希釈液9.3gを得た。
ナルスターSR140水希釈液9.6gを上記のモビニール6485水希釈液9.3gとした以外は製造例1と同様の操作を行い、比較用のコーティングイネ種子3(以下、比較コーティングイネ種子3と記す)を得た。比較コーティングイネ種子3 100重量%に対する炭酸カルシウム及び本共重合体の含有量は、それぞれ77.5重量%及び3.1重量%であり、比較コーティングイネ種子3のコーティング層の硬度は288gであった。
育苗箱(内径57.0×34.5×6.0cm)に土壌を入れて湛水し、コーティングイネ種子100粒を播いた。該育苗箱を圃場に静置し、播種3日後に残存するコーティングイネ種子を計数し、以下の式より残存率を算出した。
残存率(%)=播種3日後に残存するコーティングイネ種子数/100×100
結果を表1に示す。なお、表1においてイネ種子(対照)とは、コーティングされていないイネ種子を指し、該種子はスズメ等の鳥により食害されたため、残存率が10%未満であった。
b イネ種子
c 試験片
d 試料台
e 加圧棒
1 シャフト
2 ポリエチレン製カップ
3 攪拌機
4 スタンド
Claims (6)
- イネ種子の表面にコーティング層を有してなるコーティングイネ種子であって、前記コーティング層は、炭酸カルシウムと、スチレンブタジエン共重合体及びメチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体とを含有し、前記炭酸カルシウムの含有量は、前記コーティングイネ種子100重量%に対して30〜90重量%であるコーティングイネ種子。
- 前記共重合体のガラス転移点が10℃以下である請求項1に記載のコーティングイネ種子。
- 下記の工程を有するコーティングイネ種子の製造方法であって、イネ種子100重量部に対し、炭酸カルシウム100〜1200重量部を用いる、コーティングイネ種子の製造方法。
(1)イネ種子を転動させながら、炭酸カルシウムと、スチレンブタジエン共重合体ラテックス及びメチルメタクリレートブタジエンスチレン共重合体ラテックスからなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体ラテックスとを添加し、イネ種子の表面に炭酸カルシウムを付着させる工程、及び(2)前記工程で得られた種子を乾燥させる工程 - 前記工程(1)が、イネ種子を転動させながら、炭酸カルシウムを添加する工程及び前記共重合体ラテックスを添加する工程を反復して実施することにより、イネ種子の表面に炭酸カルシウムを付着させる工程である請求項3に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
- 炭酸カルシウムの1回の添加量は、イネ種子重量の1〜1/20であり、前記共重合体ラテックスの1回の添加量は、前記共重合体重量に換算して、イネ種子重量の1/10〜1/1000である請求項4に記載のコーティングイネ種子の製造方法。
- 請求項1または2に記載のコーティングイネ種子を直接水田に播く工程を有するイネの栽培方法。
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