JP6830625B2 - 多段式排水パイプの押出治具及び多段式排水パイプの押出方法 - Google Patents

多段式排水パイプの押出治具及び多段式排水パイプの押出方法 Download PDF

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本発明は、切土や盛土、自然斜面などの土の斜面内を流れる地下水を排水して斜面崩壊を防止する排水パイプに関し、詳しくは、打ち込み時の抵抗力を少なくするために多段式とした多段式排水パイプの押出治具及びそれを用いた多段式排水パイプの押出方法に関するものである。
切土や盛土等の人工斜面、又は自然斜面など、セメント等で被覆されておらず土が露出している土の斜面は、降水量が多くなり、土の含水比率が高くなると地層に沿って地滑りを起こすなど、斜面崩壊のおそれがあった。
そこで、従来、土の斜面に地下水排水用の複数の孔が穿設された排水パイプを打ち込んで貫入させ、斜面が崩壊に至る前に地下水を排水することが行われている。
例えば、特許文献1には、多数の透孔2を穿設した抜水パイプ1と、高圧水噴射管3、及びハンマーガン13とからなり、高圧水噴射管3の先端ノズルは抜水パイプ1の先端付近に位置させ、これに対し後端部は脱着金具を介して抜水パイプ1の始端へ一体的に取付けると共に、圧力水の送給ホースに接続させ、且つハンマーガン13を使用して高圧水噴射管3と結合させた抜水パイプ1を傾斜面へ打込み、その後、ハンマーガン13を使用して抜水パイプ1内を挿通させて固定部材9を抜水パイプ1より地中深くに打ち込む土砂表層崩壌防止対策工法が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0012]〜[0015]、図面の図3〜図5等参照)。
しかし、特許文献1に記載の土砂表層崩壌防止対策工法では、手持ちのハンマーガン13で抜水パイプ1を打ち込まなければならず、そもそも長くて地中深くまで達するような抜水パイプを設置することが困難であるという問題があった。また、特許文献1に記載の土砂表層崩壌防止対策工法では、抜水パイプ1をハンマーガン13で打ち込んだ後、ハンマーガン13に打ち込みロッド20を装着したうえ、固定部材9を取り付けなければならず、固定部材9の取付作業が手間であるという問題もあった。その上、地中深くまで達するような固定部材9を設置する場合は、長尺な打ち込みロッド20が必要であり、打ち込みの際に打ち込みロッド20が座屈してしまうという問題もあった。
また、排水パイプではないが、棒状の治具で多段式のパイプ状のものを押し出す技術としては、特許文献2に、棒状治具12を用いて3段式の接続テーパー杭10を地中深くに貫入する接続テーパー杭の施工方法が開示されている(特許文献1の明細書の段落[0040]〜[0044]、図面の図4等参照)。
しかし、特許文献2に記載の接続テーパー杭の施工方法は、治具の取替作業がいらないものの、最終的には、接続テーパー杭の3段分の周面積に掛かる土圧による抵抗力が棒状治具12に作用することとなる。このため、特許文献2に記載の接続テーパー杭の施工方法を、軟弱地盤ではない土の斜面に適用した場合、棒状治具12が座屈してしまう可能性が非常に高いという問題があった。
また、多段式排水パイプの押出治具としては、特許文献3に、単管パイプ60の先端に、押圧体61を取り付けて多段式の排水パイプ1を打ち込む排水パイプの打ち込み方法が開示されている(特許文献1明細書の段落[0037]〜[0043]、[0047]、図面の図7〜図9等参照)。
しかし、特許文献3に記載の排水パイプの打ち込み方法では、押出治具である単管パイプ60を用いて第2の管体20を打ち込んだ後、押圧体61を第3の管体30の径に応じたものに取り替える際には、単管パイプ60を全て地表まで引き抜いて押圧体61を取り替えなければならなかった。このため、押出治具の取替作業が手間であるという問題があった。また、特許文献3に記載の排水パイプの打ち込み方法では、小径で中空のパイプを用いて押圧して打ち込むため、パイプが座屈して変形してしまうおそれがあるという問題もあった。
特開2008−106545号公報 特開2015−175193号公報 特開2015−166519号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、排水パイプを押し出す際に座屈のおそれが少なく確実に排水パイプを押し出すことができるとともに、押出治具の取替作業に手間が掛からず短時間で排水パイプの設置が可能な多段式排水パイプの押出治具及び多段式排水パイプの押出方法を提供することにある。
第1発明に係る多段式排水パイプの押出治具は、土砂部の斜面に打ち込まれ、複数の孔が穿設されている管径の異なる複数の管体を備える多段式排水パイプを、管径の大きな管体から順次前記斜面に貫入させる多段式排水パイプの押出治具であって、棒状又は管状の条材からなり、外表面にねじ山が形成されたロッドと、このロッド上に固定され、前記管体の管端に当接する押出部材と、前記ロッドのねじ山と螺合する1又は複数のナットと、を備え、前記押出部材は、前記管体の管径ごとに大きさが異なる複数種類あるとともに、前記押出部材には、前記ロッドの軸と略直交する方向に着脱して交換するための溝が形成され、前記複数種類の押出部材のうち、前記多段式排水パイプの最小径の管体を前記斜面内に押し出す押出部材は、前記ナットで兼用されていることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出治具は、第1発明において、前記ナットは、前記ロッドに複数装着され、前記押出部材は、前記ナットに両側から挟持されることにより前記ロッド上に固定されていることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出治具は、第1発明又は第2発明のいずれかの発明において、前記押出部材には、前記ナットを嵌め込むための、前記ナットの最大径と略同径の凹部からなる座繰り部が形成されていることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出治具は、第1発明ないし第発明のいずれかの発明において、前記多段式排水パイプを押出すための重機である油圧ブレーカーのチゼルに外側から嵌着するチゼルキャップを有することを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出方法は、土砂部の斜面に打ち込まれ、複数の孔が穿設されている管径の異なる複数の管体を備える多段式排水パイプを、管径の大きな管体から順次前記斜面に貫入させる押出治具を用いた多段式排水パイプの押出方法であって、前記押出治具は、棒状又は管状の条材からなり、外表面にねじ山が形成されたロッドと、このロッド上に固定され、前記管体の管端に当接する押出部材と、前記ロッドのねじ山と螺合する1又は複数のナットと、を備えており、前記押出部材は、前記管体の管径ごとに大きさが異なる複数種類あるとともに、前記押出部材には、前記ロッドの軸と略直交する方向に着脱して交換するための溝が形成されており、前記多段式排水パイプの前記複数の管体のうちの一の管体を前記斜面に押し出して貫入後、他の管体を押し出す際に、前記ロッドに装着されている前記押出部材を前記ロッドから前記ロッドの軸と直交する方向に引き出して他の種類の押出部材に交換又は取り外し、前記多段式排水パイプは、前記多段式排水パイプの最小径の管体の後端部が前記ナットに当接され、前記最小径の管体を除く各管体の後端部が前記押出部材に当接されて押し出されることを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出方法は、第発明において、前記ロッドには、前記ねじ山と螺合する複数のナットが装着され、これらのナットで両側から前記押出部材を挟み込んで挟持することを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出方法は、第発明又は第6発明において、前記多段式排水パイプの前記複数の管体を、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端を少しずつずらした状態で押し出すことを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出方法は、第5発明ないし第7発明のいずれかの発明において、前記押出部材には、前記ナットの最大径と略同径の凹部からなる座繰り部が形成されており、前記座繰り部に前記ナットを嵌め込んで前記押出部材を前記ロッドに装着することを特徴とする。
発明に係る多段式排水パイプの押出方法は、第発明ないし第発明のいずれかの発明において、前記多段式排水パイプの最小径の管体を前記斜面内に押し出す際は、前記押出部材を外したうえ、前記ナットを当該管体の管端に当接して前記斜面内に押し出すことを特徴とする。
第1発明〜第発明によれば、ロッド上に固定された押出部材で多段式排水パイプの管端を押し出して貫入させるので、押出部材と多段式排水パイプの管体とがずれるおそれが少なく、座屈することなく確実に排水パイプを押し出すことができる。
また、第1発明〜第発明によれば、押出部材には、ロッドの軸と略直交する方向に着脱して交換するための溝が形成されているので、ロッドへの押出部材の脱着が容易であり、且つ、多段式排水パイプから押出治具のロッドを全部引き抜かなくても押し出す管体の管径ごとに大きさが異なる押出部材を交換することができる。このため、押出治具の取替作業に手間が掛からず短時間で排水パイプの設置が可能であり、排水パイプの設置コストを低減することができる。
その上、第1発明〜第4発明によれば、多段式排水パイプの最小径の管体を斜面内に押し出す押出部材は、ナットで兼用されているので、最後の押出部材の装着の手間を省くことができ、押出治具の取替作業の時間短縮が可能となる。このため、さらに短時間で排水パイプの設置が可能であり、排水パイプの設置コストを低減することができる。また、押出部材の種類を低減することができ、押出治具の製作費用も低減することができる。
特に、第発明によれば、押出部材がナットに両側から挟持されているので、多段式排水パイプの管端に対して押出部材の板面を直交させることが容易であり、さらに効率よく排水パイプに押圧力を伝達することができる。また、第発明によれば、押出部材で多段式排水パイプの管端を押し出す方向が正確となり、多段式排水パイプの管体同士が引っ掛かって押出治具のロッドが座屈して変形してしまうことを防止することができる。
特に、第発明によれば、押出部材にナットを嵌め込むための座繰り部が形成されているので、ロッドの軸芯に対して正確に押出部材をセットすることができ、さらに効率よく排水パイプに押圧力を伝達することができるとともに、押出治具のロッドが座屈して変形してしまうことを防止することができる。
特に、第発明によれば、チゼルキャップがあるので、油圧ブレーカーのチゼルに押出治具を簡単に装着することができる。このため、押出治具を介して油圧ブレーカーによる多段式排水パイプの斜面への押圧が容易且つ確実に行うことができ、排水パイプの設置作業の短時間化をさらに促進することができる。
発明〜第発明によれば、ロッドに装着されている押出部材をロッドからロッドの軸と直交する方向に引き出して他の種類の押出部材に交換又は取り外すので、ロッドへの押出部材の脱着が容易であり、且つ、多段式排水パイプから押出治具のロッドを全部引き抜かなくても押し出す管体の管径ごとに大きさが異なる押出部材を交換することができる。このため、押出治具の取替、取り外し作業に手間が掛からず短時間で排水パイプの設置が可能であり、排水パイプの設置コストを低減することができる。
特に、第発明によれば、ナットで両側から押出部材を挟み込んで挟持するので、多段式排水パイプの管端に対して押出部材の板面を直交させることが容易であり、さらに効率よく排水パイプに押圧力を伝達することができる。また、押出部材で多段式排水パイプの管端を押し出す方向が正確となり、多段式排水パイプの管体同士が引っ掛かって押出治具のロッドが座屈して変形してしまうことを防止することができる。
特に、第発明によれば、前記多段式排水パイプの各管体の後端部の位置をずらして押出されるため、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端が所定間隔をおいて少しずつ段違いにずらして押し出すことができる。このため、多段式排水パイプの押出時の各管体の先端部の土砂詰まりを少なくし、押出しを容易にすることができる。
特に、第発明によれば、座繰り部にナットを嵌め込んで押出部材をロッドに装着するので、ロッドの軸芯に対して正確に押出部材をセットすることができ、さらに効率よく排水パイプに押圧力を伝達することができるとともに、押出治具のロッドが座屈して変形してしまうことを防止することができる。
特に、第発明によれば、多段式排水パイプの最小径の管体を斜面内に押し出す際は、押出部材を外したうえ、ナットを当該管体の管端に当接して斜面内に押し出すので、最後の押出部材の装着の手間を省くことができ、押出治具の取替作業の時間短縮が可能となる。このため、さらに短時間で排水パイプの設置が可能であり、排水パイプの設置コストを低減することができる。また、押出部材の種類を低減することができ、押出治具の製作費用も低減することができる。
本発明の実施形態に係る多段式排水パイプを設置する土の斜面の断面を模式的に表した断面図である。 本発明の実施形態に係る多段式排水パイプを示す斜視図である。 同上の多段式排水パイプを中間省略して示す側面図である。 同上の多段式排水パイプの第1管体と第2管体との接合部分である継手形状を、第1管体部分を断面で示し、第2管体部分を側面図で示す部分切断断面図である。 同上の多段式排水パイプの先端部分を管軸方向に沿って切断した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具を示す側面図である。 同上の押出治具のロッドを中間省略で拡大して示す部分拡大側面図である。 同上の押出治具のロッドのカプラーだけを断面で示す部分拡大断面図である。 同上の押出治具の押出ナット及び緩み止めナットが、押出プレートを挟持している状態を示す部分拡大断面図である。 同上の押出治具の第1管体の押し出し用の押出部材を示す斜視図である。 同上の押出治具の第2管体の押し出し用の押出部材を示す斜視図である。 同上の押出治具のチゼルキャップを中心軸で切断した状態を示す縦断面図である。 本発明の別形態に係る多段式排水パイプの押出治具を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法の工程を示すフローチャートである。 同上の多段式排水パイプの押出方法の架台設置工程を示す写真である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の押出治具組立工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第1管体押出工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の各工程を示す写真であり、(a)が第1管体押出工程を示し、(b)が押出プレート取替工程を示し、(c)が第2管体押出工程を示す。 同上の多段式排水パイプの押出方法の押出プレート取替工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第2管体押出工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第3管体押出工程を示す工程説明図である。 本発明の多段式排水パイプの押出方法により手持ちの油圧杭打機を用いて多段式排水パイプを押し出す場合の各工程を示す写真であり、(a)が第1管体押出工程を示し、(b)が押出プレート取替工程を示し、(c)が第2管体押出工程を示す。 本発明の第2実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法の工程を示すフローチャートである。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第1管体押出工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第2管体押出工程を示す工程説明図である。 同上の多段式排水パイプの押出方法の第3管体押出工程を示す工程説明図である。
以下、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具及び多段式排水パイプの押出方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<多段式排水パイプ>
先ず、図1〜図5を用いて、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具で押し出して土の斜面に貫入させる多段式排水パイプについて説明する。
図1は、本実施形態に係る多段式排水パイプを設置する、土の斜面の断面を模式的に表した断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る多段式排水パイプ10は、鉄道、道路、宅地等の盛土や切土などの土工構造物において、セメント被覆等がされていない未被覆の土の斜面に貫入される。そして、この多段式排水パイプ10は、地下水を排水して、降雨時の地下水位の上昇を抑制するとともに、地震時の過剰間隙水圧を消散して、前記斜面の耐降雨性や耐震性を高める機能を有している。勿論、この多段式排水パイプ10は、土工構造物などの人工斜面だけでなく丘陵地や段差地などの自然斜面にも適用できることは云うまでもない。
本実施形態に係る多段式排水パイプ10は、板厚2.3mmの高耐食性のメッキ鋼板(NSDH400 K27)から連続加工され、長さが2m程度となった大中小の管径の異なる3つの管体を備えている。多段式排水パイプ10は、図2、図3に示すように、外管となる第1管体11と、中管となる第2管体12と、内管となる第3管体13などから構成され、第1管体11は、直径76.3mm、第2管体12は、直径60.5mm、第3管体13は、直径48.6mmとなっている。このため、第2管体12は、第1管体11に収容可能であり、第3管体13は、第2管体12に収容可能となっている。
また、これらの第1管体11、第2管体12、第3管体13には、図3、図4等に示すように、それぞれ地下水や過剰間隙水を透水する直径5mmの集水孔H1が、12mmピッチで多数穿設されており、開口率が高く一度に多くの排水が可能となっている。このため、近年の異常降雨にも対応することができる。
図4は、本実施形態に係る多段式排水パイプ10の第1管体11と第2管体12との接合部分である継手形状を、第1管体11部分を断面で示し、第2管体12部分を側面図で示す部分切断断面図である。図4に示すように、第1管体11の先端部11aは、テーパー部分を経て徐々に縮径されているとともに、第2管体12の後端部12bは、テーパー部分を経て徐々に拡径されており、伸長時に第1管体11の先端部11aと第2管体12の後端部12bとがテーパー部分において互いに嵌合するように構成されている。
また、同様に、第2管体12の先端部12aは、縮径されているとともに、第3管体13の後端部13bは、拡径され、伸長時に第2管体12の先端部12aと第3管体13の後端部13bとが互いに嵌り合って嵌合する構成となっている(特に拡大図は示さず、図3参照)。なお、先端とは、多段式排水パイプ10を斜面に押し出して貫入させる際の進行方向の管体の端部を指し、後端とは、その反対側の端部を指している(以下同じ)。
多段式排水パイプ10は、管体同士の接合部分がこのような構成となっているため、後述のように、押出治具1を用いて伸長可能となっている。また、前述のように、管体同士の接合部分が、それぞれ先端が縮径されているとともに、後端が拡径されているため、多段式排水パイプ10を伸ばして所定長さまで貫入すると、管体同士の接合が完了する仕組みとなっている。本実施形態に係る多段式排水パイプ10は、伸長時において全長5.79m程度となる。
図5は、多段式排水パイプ10の先端部分を管軸方向に沿って切断した状態を示す部分拡大断面図である。図5に示すように、第3管体13の先端部13aには、貫入時の土圧抵抗を低減するため、円錐状の先端キャップ14が嵌着されている。この先端キャップ14は、ポリプロピレン(PP樹脂)から形成されている。
以上説明した本実施形態に係る多段式排水パイプ10によれば、入れ子形式の押出式構造となっているので、後述のように押出治具1及び押出治具1’により外側の径の大きな第1管体11から順次押し出すことで土の斜面への貫入が可能となっている。このため、貫入時のパイプと土の摩擦抵抗を分割でき、従来であれば、プレボーリングが必要な長尺な排水パイプであっても斜面の地盤を緩めることなく、設置することができる。
また、多段式排水パイプ10によれば、貫入時の摩擦抵抗を分割できるため、大型の重機を必要とせず、狭隘な現場や重機の搬入ができない場所でも排水パイプの設置が可能である。そのうえ、従来の排水パイプより長尺な排水パイプを設置できるため、広範囲の地中水を集水して排水可能である。
それに加え、多段式排水パイプ10によれば、プレボーリングを不要とすることで、排水パイプの施工コストを低減することができる。また、高耐食めっき鋼板を使用し、連続生産したパイプを用いることにより、材料コストを低減することができるだけでなく、メンテナンス費用を低減してライフサイクルコストを削減することができる。
<押出治具>
次に、図6〜図13を用いて、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具について説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具1は、外周面にねじ山が形成された棒鋼からなるロッド2と、このロッドのねじ山に螺合する押出ナット3及び緩み止めナット4と、こられのナットでロッド2上に固定され、前述の多段式排水パイプ10の各管体の管端に当接する大きさの異なる2種類の押出プレート5(5’)(押出部材)など、から主に構成されている。
また、押出治具1は、ロッド2の後端に装着されてロッド2の端部を保護するロッドキャップ6を備えるとともに、重機であるブレーカーのチゼルTに外側から嵌着され、ブレーカーでの押出治具1の押し出しを容易とするチゼルキャップ7も備えている。
なお、図6の矢印は、多段式排水パイプ10の貫入方向を示し、一点鎖線の架空線で示す符号11は、前述の多段式排水パイプ10の一番外側の管体である第1管体11及びその後端部11bを示している。
(ロッド)
図7は、ロッド2を中間省略して示す側面図である。ロッド2は、呼び名がD32の高強度鉄筋(SD490)からなり、表面の節が13mmピッチのねじ状となった高強度ネジフシ棒鋼である。このように、本実施形態に係る押出治具1のロッド2は、中実で高強度の鋼棒からなるので、特許文献3に記載の単管パイプと比べても、座屈しにくいものとなっている。勿論、本発明に係るロッドを管材など他の条材とすることも可能である。しかし、多段式排水パイプ10に挿入する関係上、管径に上限があるため、本実施形態に係るロッド2のように、中実の高強度の鋼棒とすることが座屈を防ぐ点では有利である。
なお、このロッド2の寸法は、節と節の距離に相当する最大径がD=35.7mmで長さが1,000mmとなっている。ここで、ロッド2の外表面には、ねじ山が形成されているので、図8に示すように、機械的継手であるカプラー8で簡単に継ぎ足すことができる。このため、1mの短尺なロッド2を現場で継ぎ足して長尺なロッドとすることができる。よって、長尺なロッドを斜面に突き立てるスペースがない狭隘な現場においても多段式排水パイプ10を設置することが可能となる。
(押出ナット及び緩み止めナット)
押出ナット3及び緩み止めナット4は、図9に示すように、ロッド2の外周面に形成されたねじ山と螺合する略同形のナットであり、押出プレート5(5’)を両側から挟み込んで挟持し、ロッド2上に押出プレート5(5’)を固定する機能を有している。また、押出ナット3は、前述の第3管体13を押し出す押出部材の機能も兼用している。
これらの押出ナット3及び緩み止めナット4は、加工し難い複雑な形状でも高強度とするため、オーステンパダクタイル鋳鉄(ADI処理:FCAD1200-2)から形成されている。
押出ナット3は、外径が52mmで長さが54mmの円筒状のナットであり、緩み止めナット4は、外径が52mmで長さが70mmの円筒状のナットである。勿論、円筒状のナットではなく、断面外形が多角形(六角形)のナットでもよい。要するに、本発明に係るナットの外径、長さ、形状等は、前記寸法等に限定されるものではなく、適宜、変更可能である。
(押出プレート)
本発明に係る押出部材の実施形態である押出プレート5(5’)は、機械構造用炭素鋼(S45C)からなる円板状の部材であり、前述の多段式排水パイプ10の管端に当接して斜面内に押し出す機能を有いている。押出プレート5(5’)は、多段式排水パイプ10の管体11〜13の管径ごとに大きさが異なる複数種類あり、押出プレート5が、第1管体11の押し出し用であり、押出プレート5’が、第2管体12の押し出し用である。なお、第3管体13の押し出し用の押出部材は、押出ナット3で兼用されている。
図10は、第1管体11の押し出し用の押出部材である押出プレート5を示す斜視図である。図10に示すように、押出プレート5は、直径140mmの円板状の鋼板からなるプレート本体50を基本として、その円板状のプレート本体50が中心から外側へ向け切り欠かれて脱着溝51が形成されている。この脱着溝51は、ロッド2の最大径(D=35.7mm)を超える幅36mmの溝である。このため、押出プレート5は、ロッド2の軸線上に固定されている状態から、ロッド2の軸と略直交する方向に引き抜いて着脱自在となっている。
また、プレート本体50の中央には、円板の中心を中心とする凹部からなる座繰り部52,53がプレート本体50の両側に形成されている。この座繰り部52,53は、押出ナット3及び緩み止めナット4の外径である53mmと略同径の凹部である。このため、この座繰り部52,53に、前述の押出ナット3及び緩み止めナット4がそれぞれ嵌め込まれることにより、必然的に、ロッド2の軸芯に対して正確に押出プレート5の中心がセットされることとなる。図示形態では、座繰り部52が、貫入方向反対側の緩み止めナット4が嵌まり込む凹部であり、座繰り部53が、貫入方向側の押出ナット3が嵌り込む凹部である。
図11は、第2管体12の押し出し用の押出部材である押出プレート5’を示す斜視図である。図11に示すように、押出プレート5’は、押出プレート5と同様に、直径68mmの円板状の鋼板からなるプレート本体50を基本として、その円板状のプレート本体50’が中心から外側へ向け切り欠かれて脱着溝51’が形成されている。
また、プレート本体50’の中央には、円板の中心を中心とする凹部である座繰り部52’,53’がプレート本体50’の両側に形成されている。座繰り部52’,53’は、押出ナット3及び緩み止めナット4の外径である53mmと略同径の凹部である。
(ロッドキャップ)
ロッドキャップ6は、オーステンパダクタイル鋳鉄(ADI処理:FCAD1200-2)からなり、D32のロッド2に丁度外嵌される内周面を有したキャップ状の部材である。このロッドキャップ6は、図6に示すように、後端側がキノコ状の丸く滑らかな形状となっている。このため、ブレーカーや油圧杭打機の押圧力を効果的にロッド2に伝達することがきる。
また、ロッドキャップ6の形状により、ロッド2の鋭利な端部にブレーカーや油圧杭打機が引っ掛かるおそれが低減され、ロッド2を重機で曲げてしまうことを防止することができる。その上、作業員がロッド2の鋭利な端部と接触して怪我をすることも防止することができる。
(チゼルキャップ)
図12は、チゼルキャップを中心線で切断して示した断面図である。チゼルキャップ7は、機械構造用炭素鋼(S45C)からなる円筒状の部材であり、図12に示すように、円筒状のチゼルキャップ本体70と、このチゼルキャップ本体70の先端側がラッパ状に拡径した拡径部71を備えている。また、チゼルキャップ本体70には、チゼルキャップ本体70の軸芯方向と直交する2本のボルトが進退自在に取り付けられたねじ止め部72が形成されている。
このため、チゼルキャップ7は、チゼルキャップ本体70にブレーカーのチゼルTを収容して、ねじ止め部72の2本のボルトで締め付けて圧着することにより、ブレーカーのチゼルTに装着される。そして、ラッパ状に拡径した拡径部71の形状を利用して、ブレーカーの油圧力により、ロッド2の後端に装着されたロッドキャップ6及び押出治具1全体を押し出し、多段式排水パイプ10を斜面に貫入する。チゼルキャップ7によれば、ブレーカーの油圧力を効率良く押出治具1へ伝達することができ、押出治具1の押し出しが容易となる。
次に、図13を用いて、前述の多段式排水パイプの押出治具1の変形例に係る押出治具1’について説明する。図13は、本発明の変形例に係る多段式排水パイプの押出治具1’を示す側面図である。押出治具1’が押出治具1と相違する点は、主に、押出部材である押出プレート5及び押出プレート5’の組み付け方(装着順序、位置等)である。
具体的には、前述の押出ナット3の代わりにそれより長い押出ナット3’、及び前述の緩み止めナット4より長い緩み止めナット4’を用いて、図13に示すように、長さ400mmのロッド2上に、押し出す方向(貫入方向)の先端側から押出ナット3’、前述の押出プレート5’、緩み止めナット4’、前述の押出プレート5、及び緩み止めナット4’の順に装着されている。
この押出ナット3’及び緩み止めナット4’は、前述の押出ナット3及び緩み止めナット4と同材からなる外径が52mmで長さが108mm程度の円筒状のナットである。
変形例に係る押出治具1’によれば、後述のように、多段式排水パイプ10の複数の管体11〜13の全ての管体の先端が揃ってしまうのを防ぎ、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端を少しずつ段差を付けてずらして押し出すことができる。このための管体11〜13の揃った先端に土砂が詰まることを防ぎ、押し出す際の土砂の抵抗を少なくして押出しを容易にすることができる。
[第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法]
次に、図14〜図22を用いて、本発明の第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法について説明する。前述の押出治具1を用いて前述の多段式排水パイプ10を土の斜面に貫入させる場合で説明する。また、油圧ショベルの先端にブレーカーを取り付けた0.2m3級の重機を用いて押出治具1を押圧する場合を例示して説明する。
図14は、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法の工程を示すフローチャートである。
(1)位置決め工程
先ず、図14に示すように、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、多段式排水パイプ10の貫入位置を位置決めする位置決め工程を行う(図示せず)。具体的には、地盤調査や測量等により多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる位置、貫入角度等を特定し、マーキング等により目印を付ける。
(2)架台設置工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、多段式排水パイプ10を貫入させる作業の事前準備として、架台を組み立てて設置する架台設置工程を行う。具体的には、図15に示すように、クランプ等を用いて単管パイプを鳥居状に組むとともに、倒れないように斜面に対して控えの単管パイプを組み、その控えのパイプがずれないように支保工で支える。この架台の鳥居状の横パイプにより多段式排水パイプ10の貫入方向の規定が容易となる。
(3)押出治具組立工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図16に示すように、前述の押出治具1を組み立てて、多段式排水パイプ10内に挿置する押出治具組立工程を行う。具体的には、第1管体11押し出し用の押出プレート5を押出ナット3及び緩み止めナット4で挟み込んで1本のロッド2の中央付近に装着する。そして、ロッド2の後端に、ロッドキャップ6を嵌着する。このとき、チゼルキャップ7もブレーカーのチゼルTに装着する(図17も参照)。
(4)第1管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図17に示すように、前工程で組み立てた押出治具1を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第1管体押出工程を行う。具体的には、押出治具1の押出プレート5で第1管体11ごと多段式排水パイプ10全体を押し出して斜面に貫入させる。
このとき、本実施形態に係る押出治具1は、第1管体11を押し出す押出プレート5が、ロッド2の軸線上の途中に取り付けられている。即ち、ロッド2の先端部分が、多段式排水パイプ10の第3管体13内に挿入された状態で、押出治具1により第1管体11ごと多段式排水パイプ10全体を押し出している。このため、特許文献3に記載の単管パイプの先端に押圧体が取り付けられている場合と相違して、押出プレート5が滑って第1管体11の押圧位置がずれてしまうおそれが少ない。よって、ブレーカー等の押圧力を効率よく多段式排水パイプ10の貫入に用いることができ、ロッド2が途中で座屈するおそれも少ない。
なお、本第1管体押出工程では、図18(a)に示すように、押出治具1を用いずに、チゼルキャップ7で直接多段式排水パイプ10を押し出して斜面に貫入させてもよい。そのようにすることで、前工程である押出治具組立工程を省略することができる。但し、押圧位置がずれてしまうおそれはある。
(5)押出プレート取替工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図19に示すように、押出部材である押出プレートを取り替える押出プレート取替工程を行う。具体的には、図18(b)に示すように、ブレーカーでの押圧を中断する。そして、図19に示す押出プレートの位置まで押出治具1を多段式排水パイプ10から引き抜いて、第1管体11押し出し用の押出プレート5から第2管体12押し出し用の押出プレート5’に交換する。
このとき、本実施形態に係る押出治具1の押出プレート5,5’には、前述の脱着溝51,51’が形成されている。このため、緩み止めナット4を緩め、ロッド2の軸と略直交する方向に押出プレート5引き抜いて、押出プレート5’を同様に装着して緩み止めナット4を締めるだけで、押圧部材の交換が可能である。よって、押圧部材の交換作業が短時間ででき、多段式排水パイプの設置作業自体も短くすることができる。
(6)第2管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図20、図18(c)に示すように、前工程で押出プレート5’に交換した押出治具1を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第2管体押出工程を行う。具体的には、カプラー8を用いてロッド2を延長して行き、前工程で取り替えた押出治具1の押出プレート5’で第2管体12を押し出して、第2管体12と第3管体13を斜面奥深くに貫入させる。
このとき、貫入時のパイプと土の摩擦抵抗は、第2管体12の周面に掛かる土の摩擦抵抗だけで済み、土圧による摩擦抵抗を分割できるため、小型の重機や手持ちの油圧杭打機などの小型の装置で排水パイプの設置が可能となる。
(7)押出プレート撤去工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図示しないが、押出部材である押出プレートを撤去する押出プレート撤去工程を行う。具体的には、押出プレート5’の位置まで押出治具1を多段式排水パイプ10から引き抜いて、緩み止めナット4を緩め、ロッド2の軸と略直交する方向に押出プレート5’を引き抜いて撤去する。
このとき、本実施形態に係る押出治具1の押出ナット3は、第3管体13の押し出し用の押出部材を兼用しているので、最後の押出部材の装着の手間を省くことができ、押出治具の取替作業の時間短縮が可能となる。また、押出部材の種類を低減することができ、押出治具1の製作費用も低減することができる。
(8)第3管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図21に示すように、前工程で押出プレート5’を撤去した押出治具1を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第3管体押出工程を行う。具体的には、カプラー8を用いてロッド2を延長して行き、前工程で押出プレート5’を撤去するとともに、押出ナット3に当接するまで、緩み止めナット4を締め込んで固定する。その後、押出治具1の押出ナット3で第3管体13を押し出して、第3管体13を所定の深さまで斜面に貫入させる。
本工程が終了すれば、設置した架台等を撤去し、後片付けをすることにより、多段式排水パイプ10の設置作業が全て終了する。
なお、油圧ショベルの先端にブレーカーを取り付けた0.2m3級の重機を用いて押出治具1を押圧する場合を例示して説明したが、0.2m3級の重機も搬入できないような狭隘な現場においては、図22に示すように、手持ちの杭打機で押出治具1を押圧して多段式排水パイプ10を斜面に貫入させても構わない。
図22は、手持ちの油圧杭打機を用いて、本発明の多段式排水パイプの押出方法により多段式排水パイプを押し出す場合の各工程を示す写真である。(a)が第1管体押出工程を示し、(b)が押出プレート取替工程を示し、(c)が第2管体押出工程を示している。
<実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具及び押出方法の作用効果>
以上説明した本実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具1及び押出治具1を用いた多段式排水パイプの押出方法によれば、ロッド2の先端部分が多段式排水パイプ10の第3管体13内に挿入された状態で、ロッド2上に固定された押出プレート5(5’)で多段式排水パイプ10の管端を押し出して貫入させるので、押出プレート5(5’)と多段式排水パイプ10の管体とがずれるおそれが少なく、且つ、座屈することなく確実に排水パイプを押し出すことができる。
また、押出プレート5,5’には、脱着溝51,51’が形成されているので、押出プレート5,5’のロッド2への脱着・交換が容易である。その上、多段式排水パイプ10からロッド2の先願部分まで全部引き抜かなくても押出プレート5,5’の交換・撤去を行うことができる。このため、押出治具1の取替作業に手間が掛からず短時間で排水パイプ10の設置が可能であり、排水パイプ10の設置コストを低減することができる。
さらに、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具1及び押出治具1を用いた多段式排水パイプの押出方法によれば、ロッド2の軸線上で押出ナット3及び緩み止めナット4により、押出プレート5,5’を挟持するので、多段式排水パイプ10の管端に対して押出プレート5,5’の板面を直交させることが容易であり、効率よく排水パイプ10に押圧力を伝達することができる。
それに加え、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具1及び押出治具1を用いた多段式排水パイプの押出方法によれば、押出プレート5,5’に座繰り部52,52’,53,53’が形成されているので、ロッド2の軸芯に対して押出プレート5,5’の中心を正確にセットすることができる。このため、さらに効率よく排水パイプに押圧力を伝達することができるとともに、ロッド2が座屈して変形してしまうことを防止することができる。
[第2実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法]
次に、図13、図23〜図26を用いて、本発明の第2実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法について説明する。第2実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法が、第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法と相違する点は、主に、変形例に係る押出治具1’を用いて、各管体の先端に段差を付けて、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端を少しずつずらして押し出す点である。よって、その点を主に説明し、同様の工程は、説明を省略する。
先ず、第2実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図23に示すように、第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法と同様に(1)位置決め工程、(2)架台設置工程を行う。
(3)押出治具組立工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図13に示すように、前述の押出治具1’を組み立てて、多段式排水パイプ10内に挿置する押出治具組立工程を行う。
具体的には、長さ400mm程度の1本のロッド2の中央付近に、緩み止めナット4’を螺着し、その後、押出プレート5を装着して、もう1つの緩み止めナット4’を締めて押出プレート5を挟み込む。そして、押出プレート5’を装着し、押出ナット3’を締めて押出プレート5’を挟み込んで固定する。このとき、ロッド2の後端に、ロッドキャップ6を嵌着するとともに、チゼルキャップ7もブレーカーのチゼルTに装着する(図24も参照)。
(4)第1管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図24に示すように、前工程で組み立てた押出治具1’を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第1管体押出工程を行う。具体的には、押出治具1’の押出プレート5で第2管体12及び第3管体13を収容した第1管体11(多段式排水パイプ10全体)の後端部11bを押し出して斜面に貫入させる。
このとき、多段式排水パイプ10は、図23に示すように、管体12の先端が、それより管径の大きな管体11の先端より突出し、管体12よりさらに管径の小さな管体13の先端が管体12の先端より突出した状態で、各管体の先端(先端部11a,12a,13a)が少しずつ段差を付けてずらされて押し出されている。このため、管体11〜13の先端が揃って、そこに土砂が詰まることを防ぎ、多段式排水パイプ10を押し出す際の土砂の抵抗を少なくして押出しを容易にすることができる。
なお、本工程では、押出治具1’を用いるのではなく、前述の押出治具1を用いて管体11〜管体13の長さを変えることにより、各管体の先端を段違いにずらしても構わない。要するに、複数の管体を、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端が少しずつ段差を付けて所定間隔をおいてずらした状態で押し出すことができればよい。
(5)押出プレート取外し工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、押出部材である押出プレートを取り外す押出プレート取外し工程を行う。具体的には、ブレーカーでの押圧を中断して押出治具1’を多段式排水パイプ10から引き抜いて、緩み止めナット4’を緩めて第1管体11押し出し用の押出プレート5だけ取り外す。
(6)第2管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図25に示すように、前工程で押出プレート5’を取り外した押出治具1’を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第2管体押出工程を行う。具体的には、カプラー8を用いてロッド2を延長して行き、押出治具1’の押出プレート5’で第2管体12の後端部12bを押し出して、第2管体12と第3管体13を斜面奥深くに貫入させる。
このときも、図25に示すように、第1管体押出工程と同様に、多段式排水パイプ10は、管体12より管径の小さな管体13の先端が管体12の先端より突出した状態で、各管体の先端(先端部12a,13a)が少しずらされて押し出されている。よって、本工程でも多段式排水パイプ10を押し出す際の土砂の抵抗を少なくして押出しを容易にすることができる。
(7)押出プレート撤去工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図示しないが、押出部材である押出プレートを撤去する押出プレート撤去工程を行う。具体的には、押出プレート5’の位置まで押出治具1を多段式排水パイプ10から引き抜いて、緩み止めナット4’を緩め、ロッド2の軸と略直交する方向に押出プレート5’を引き抜いて撤去する。
このとき、本実施形態に係る押出治具1’の押出ナット3’は、第3管体13の押し出し用の押出部材を兼用しているので、最後の押出部材の装着の手間を省くことができ、押出治具の取替作業の時間短縮が可能となる。
(8)第3管体押出工程
次に、本実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法では、図26に示すように、前工程で押出プレート5’を撤去した押出治具1’を用いて、多段式排水パイプ10を斜面に貫入させる第3管体押出工程を行う。具体的には、カプラー8を用いてロッド2を延長して行き、押出治具1’の押出ナット3’で第3管体13を押し出して、第3管体13を所定の深さまで斜面に貫入させる。
本工程が終了すれば、設置した架台等を撤去し、後片付けをすることにより、多段式排水パイプ10の設置作業が全て終了する。
以上説明した本実施形態に係る押出治具1’を用いた多段式排水パイプ10の押出方法によれば、各管体11〜13の先端(先端部11a,12a,13a)を少しずつずらした状態で押し出しているので、第1実施形態に係る多段式排水パイプの押出方法の作用効果に加え、管体の先端に土砂が詰まることを防ぎ、多段式排水パイプ10を押し出す際の土砂の抵抗を少なくして押出しを容易にすることができる。
以上、本発明の実施形態に係る多段式排水パイプの押出治具及びそれを用いた多段式排水パイプの押出方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1,1’ :押出治具
2 :ロッド
3,3’ :押出ナット(ナット)
4,4’ :緩み止めナット(ナット)
5、5’ :押出プレート(押出部材)
50、50’ :プレート本体
51,51’ :脱着溝(溝)
52,52’,53,53’ :座繰り部
6 :ロッドキャップ
7 :チゼルキャップ
70 :チゼルキャップ本体
71 :拡径部
72 :ねじ止め部
8 :カプラー
10 :多段式排水パイプ
11 :第1管体
12 :第2管体
13 :第3管体
11a,12a,13a :先端部
11b,12b,13b :後端部
14 :先端キャップ
H1 :集水孔
T :チゼル

Claims (9)

  1. 土砂部の斜面に打ち込まれ、複数の孔が穿設されている管径の異なる複数の管体を備える多段式排水パイプを、管径の大きな管体から順次前記斜面に貫入させる多段式排水パイプの押出治具であって、
    棒状又は管状の条材からなり、外表面にねじ山が形成されたロッドと、このロッド上に固定され、前記管体の管端に当接する押出部材と、前記ロッドのねじ山と螺合する1又は複数のナットと、を備え、
    前記押出部材は、前記管体の管径ごとに大きさが異なる複数種類あるとともに、前記押出部材には、前記ロッドの軸と略直交する方向に着脱して交換するための溝が形成され
    前記複数種類の押出部材のうち、前記多段式排水パイプの最小径の管体を前記斜面内に押し出す押出部材は、前記ナットで兼用されていること
    を特徴とする多段式排水パイプの押出治具。
  2. 前記ナットは、前記ロッドに複数装着され、
    前記押出部材は、前記ナットに両側から挟持されることにより前記ロッド上に固定されていること
    を特徴とする請求項に記載の多段式排水パイプの押出治具。
  3. 前記押出部材には、前記ナットを嵌め込むための、前記ナットの最大径と略同径の凹部からなる座繰り部が形成されていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の多段式排水パイプの押出治具。
  4. 前記多段式排水パイプを押出すための重機である油圧ブレーカーのチゼルに外側から嵌着するチゼルキャップを有すること
    を特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の多段式排水パイプの押出治具。
  5. 土砂部の斜面に打ち込まれ、複数の孔が穿設されている管径の異なる複数の管体を備える多段式排水パイプを、管径の大きな管体から順次前記斜面に貫入させる押出治具を用いた多段式排水パイプの押出方法であって、
    前記押出治具は、棒状又は管状の条材からなり、外表面にねじ山が形成されたロッドと、このロッド上に固定され、前記管体の管端に当接する押出部材と、前記ロッドのねじ山と螺合する1又は複数のナットと、を備えており、
    前記押出部材は、前記管体の管径ごとに大きさが異なる複数種類あるとともに、前記押出部材には、前記ロッドの軸と略直交する方向に着脱して交換するための溝が形成されており、
    前記多段式排水パイプの前記複数の管体のうちの一の管体を前記斜面に押し出して貫入後、他の管体を押し出す際に、前記ロッドに装着されている前記押出部材を前記ロッドから前記ロッドの軸と直交する方向に引き出して他の種類の押出部材に交換又は取り外し、
    前記多段式排水パイプは、前記多段式排水パイプの最小径の管体の後端部が前記ナットに当接され、前記最小径の管体を除く各管体の後端部が前記押出部材に当接されて押し出されること
    を特徴とする多段式排水パイプの押出方法。
  6. 前記ロッドには、前記ねじ山と螺合する複数のナットが装着され、これらのナットで両側から前記押出部材を挟み込んで挟持すること
    を特徴とする請求項に記載の多段式排水パイプの押出方法。
  7. 前記多段式排水パイプの前記複数の管体を、管径の小さな管体の先端が前方へ突出するように各管体の先端を少しずつずらした状態で押し出すこと
    を特徴とする請求項5又は6に記載の多段式排水パイプの押出方法。
  8. 前記押出部材には、前記ナットの最大径と略同径の凹部からなる座繰り部が形成されており、
    前記座繰り部に前記ナットを嵌め込んで前記押出部材を前記ロッドに装着すること
    を特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の多段式排水パイプの押出方法。
  9. 前記多段式排水パイプの最小径の管体を前記斜面内に押し出す際は、前記押出部材を外したうえ、前記ナットを当該管体の管端に当接して前記斜面内に押し出すこと
    を特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の多段式排水パイプの押出方法。
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