JP6830593B2 - 微生物の判別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光センシングによる微生物の判別方法に関する。
微生物の検出・同定試験は、食品や医薬品、化粧品の製造工程の管理や、医療分野における臨床診断を目的として広く行われている。微生物による健康被害を最小化し、さらに微生物によってもたらされる疾病の蔓延を防ぐため、簡便かつ迅速な微生物検出・同定法の開発が求められ、例えば、医薬品または化粧品の製造現場において、特定微生物試験が行われている。これは、製品中に検出可能な特定の5菌種(E.coli、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella enterica、Candida albicans)が存在しないことを判定する試験である。本試験では、製品の増菌培養(18時間〜5日間)により得られた培養液を、鑑別培地上に塗布・培養(18〜72時間)し、得られたコロニーの色や形状から、特定5菌種であると疑わしいコロニーを検出する培養法が用いられている。本手法は、微生物の検出能が優れていることから、長きにわたり微生物検査の公定法として用いられているが、正確な種同定を可能とする一方で、多くの専門知識と熟練が要求される。また培養に基づいている手法であるため同定の結果を得るまでに2−3日を要するといった問題点がある。
公定法に代わる方法として、複数の生化学的試験を一枚のストリップ上に集積化させ、対象菌種を同定するキットも市販され、生化学的性状試験を大幅に簡便化できるが、培養に基づく手法であるため結果が出るまでに最大で48時間を要し、迅速化は達成していない。また、近年ではMatrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry(MALDI−TOF MS)を用いて、菌体構成成分の網羅的な分析結果を種同定の手段として利用する手法が報告されている (非特許文献1)。しかし、この方法ではサンプル調製に煩雑な操作を要する、また特別な試薬を使用するため運営コストが高いといった問題点がある。
斯かる状況の下、コロニーの前処理が不要であり、運営コストの低い微生物同定として、微生物コロニーの画像パターンから菌種判別を行う手法が報告され、注目を浴びている (非特許文献2)。その代表例であるBActerial Rapid Detection using Optical scattering Technology(BARDOT)法は、ディッシュ上のコロニー(直径:1.1±0.2mm)に波長635 nmのレーザー光を照射し、背面に投影された散乱光のパターンから菌種判別を行う手法である。本手法は、上述の培養法と同様、同一の菌種は同一の特徴を持つコロニーを形成するという前提に基づいた方法である。古典的な培養法では目視観察による菌種判別を試みているのに対し、本手法では散乱光パターンから得られる様々なコロニーの特徴(コロニーの大きさや厚さ、色や表面の粗さ等)の違いを捉え、独自のアルゴリズムを用いて定量的に評価しているため、目視よりも格段に高い精度で菌種判別が可能である。
これまでに、コロニー由来散乱光パターンの画像から抽出したZernikeモーメント(二値化した画像の円形範囲内の形状などの量を表すデータ)に基づく判別パラメータを使用することで、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureus、Salmonella typhimurium、Vibrio parahaemolyticus及びEscherichia coliの異なる5属の細菌を90〜99%で判別可能であることが報告されている(非特許文献3)。また同属異種の細菌の判別にも応用されており、Listeria属6種を正答率91%以上で判別した報告(非特許文献2)やVibrio属3種を正答率93%以上で判別した報告(非特許文献4)がある。
以上のように、BARDOT法は高い分類精度を有するが、分類対象が近縁種の場合は正答率が90%程度にまで低下するといった問題点があり、さらなる高精度化が必要である。高精度化には判別パラメータの増加が必要であると考えられる。しかし、BARDOT法はスナップショットに基づく判別法であるため、1枚の散乱光パターンから得られる情報量には限界がある。さらに、レーザー照射装置や投影スクリーン、レーザー照射装置とプレート上のコロニーの位置合わせを行うアクチュエーターなどが必要であるため、装置は大型・高価となり、大規模検査機関などでの利用が主である。したがって、迅速な対策が要求される、食品や医薬品、化粧品の製造工程や医療機関での微生物汚染においては、オンサイトで利用可能な小型・安価で簡便な菌種判定システムの開発が求められている。
一方、近年、安価なシステムでありながら、ハイスループットに散乱光パターンを取得する手法として、2次元フォトセンサを用いたレンズレスイメージングが報告されている。2次元フォトセンサは、数百〜数千万個の検出素子が平面上にアレイ化されており、広範囲の光情報を高い時間分解能をもって2次元画像として記録できるという特徴を有する。この2次元フォトセンサ直上に細胞を配置し、可干渉性の光照射下で撮像を行う手法が細胞のレンズレスイメージングである。本手法は、対物レンズによる像の拡大や結像処理を経ずに細胞を認識、画像化することで、広域に存在する細胞由来散乱光パターンを取得可能である。例えば、LED光照射下のセンサ撮像領域上に配置した個々の細胞に由来する影や散乱光パターンを取得することにより、一度に広視野をイメージングする手法がある(非特許文献5)。
Welker M, Moore ER. 2011. Applications of whole-cell matrix-assisted laser-desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry in systematic microbiology. Syst Appl Microbiol 34(1):2-11. Banada PP, Guo SL, Bayraktar B, Bae E, Rajwa B, Robinson JP, Hirleman ED, Bhunia AK. 2007. Optical forward-scattering for detection of Listeria monocytogenes and other Listeria species. Biosens Bioelectron 22(8):1664-1671. Banada PP, Huff K, Bae E, Rajwa B, Aroonnual A, Bayraktar B, Adil A, Robinson JP, Hirleman ED, Bhunia AK. 2009. Label-free detection of multiple bacterial pathogens using light-scattering sensor. Biosens Bioelectron 24(6):1685-1692. Huff K, Aroonnual A, Littlejohn AEF, Rajwa B, Bae E, Banada PP, Patsekin V, Hirleman ED, Robinson JP, Richards GP and others. 2012. Light-scattering sensor for real-time identification of Vibrio parahaemolyticus, Vibrio vulnificus and Vibrio cholerae colonies on solid agar plate. Microbial Biotechnol 5(5):607-620. Ozcan A, Demirci U. 2008. Ultra wide-field lens-free monitoring of cells on-chip. Lab Chip 8(1):98-106.
本発明は、レンズレスイメージングシステムを用いて、微生物コロニーの散乱光パターンから微生物を判別する方法を提供することに関する。
本発明者らは、微生物を培養することにより形成されるコロニーを、レンズレスイメージングシステムを用いて経時的に撮像し、得られたコロニー形成画像の特徴から算出される特定のパラメータを組み合わせて用いることにより、微生物の判別が高精度で可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)〜12)に係るものである。
1)フォトセンサを用いたレンズレスイメージングシステムを用いて微生物を判別する方法であって、
フォトセンサ上に載置した培養容器中で、微生物を含むサンプルを培養し、培養期間中に形成されるコロニーを経時的に撮像する工程、
複数のコロニー形成画像から抽出される特徴から、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、画像エネルギーE、重み付け中心の差異W、及び中心領域の平均輝度Cの10種のパラメータのうち、少なくともコロニー最大増殖速度μmax及び相対平均輝度Iを含む3種以上、又は少なくともヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHを含む2種以上を算出する工程、
前記パラメータの値を、予め構築された既知微生物ごとに算出した当該パラメータのデータベースと照合・比較して微生物を特定する工程、を含む方法。
2)フォトセンサがCMOSセンサである、1)の方法。
3)撮像が、5分間隔毎に18時間行われる、1)又は2)の方法。
4)微生物の特定が、前記パラメータを説明変数として多変量解析することにより行われる、1)〜3)の何れかの方法。
5)多変量解析が、判別分析、ロジスティック回帰分析、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、又はクラスター分析である4)の方法。
6)微生物が、エシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、カンジダ・アルビカンス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・サプロフィティカス、及びスタフィロコッカス・シミュランスから選ばれる何れかであることを判別する1)〜5)の何れかの方法。
7)算出されるパラメータが、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t及び相対平均輝度Iの3種、ヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHの2種、コロニー最大増殖速度μmax、可視化時間t、平均相対輝度I、及びヒストグラムの偏差Gの4種、又はコロニー最大増殖速度μmax、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、重み付け中心の差異W及び中心領域の平均輝度Cの8種である1)〜6)の何れかの方法。
8)算出されるパラメータが、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t及び相対平均輝度Iの3種であり、微生物がエシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、及びカンジダ・アルビカンスの5菌種の何れかであることを判別する1)〜7)の何れかの方法。
9)算出されるパラメータが、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間ta、相対平均輝度I及びヒストグラムの偏差Gの4種であり、微生物がエシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、カンジダ・アルビカンス及びスタフィロコッカス・エピデルミディスの6菌種の何れかであることを判別する1)〜7)の何れかの方法。
10)算出されるパラメータが、ヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHの2種であり、微生物がスタフィロコッカス・アウレウス及びスタフィロコッカス・エピデルミディスの何れかであることを判別する1)〜7)の何れかの方法。
11)算出されるパラメータが、コロニー最大増殖速度μmax、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、重み付け中心の差異W、及び中心領域の平均輝度Cの8種であり、微生物がスタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・サプロフィティカス、スタフィロコッカス・シミュランスの5菌種の何れかであることを判別する1)〜7)の何れかの方法。
12)微生物のコロニー形成画像をピクセルデータとして取得するフォトセンサと、微生物を含む試料を培養するための培養容器、微生物コロニーに対して光照明する光源、及び演算装置を含む、1)〜11)の何れかの微生物の判別を行うための装置。
本発明の方法によれば、安価で小型の装置を用いて、高精度に微生物を判別・同定可能なことから、化粧品、食品、医薬品等の製造分野や、臨床診断における微生物検査に導入することにより、微生物同定試験を大幅に簡便、迅速化できる。
本発明のレンズレスイメージングシステムの構成を示す断面図。 培養容器(チャンバー)の構築工程。 タイムラプス撮像された各微生物のコロニー形成画像。 3種のパラメータを用いた特定5菌種のクラスター分析結果。 2種のパラメータを用いた非階層的クラスター分析結果。 4−7種のパラメータを用いた非階層的クラスター分析(Ward法)結果。 8種のパラメータを用いた線形判別分析の結果。
本発明の微生物の判別方法は、フォトセンサを用いたレンズレスイメージングシステムを用い、当該システムにより撮像して得られる画像(「レンズレス画像」)を解析するものである。
ここで、レンズレスイメージングシステムとは、対物レンズを介さない光センシングシステムを意味する。
本発明の微生物の判別方法において用いられるレンズレスイメージングシステムとしては、微生物のコロニー形成画像(散乱光パターン)をピクセルデータとして取得するフォトセンサと、微生物を含む試料を培養するための培養容器、微生物コロニーに対して光照明する光源、及び、コロニー形成画像のピクセルデータから定量的パラメータを抽出し、それらを用いて多変量解析を行うための演算装置から構成される。これに、必要に応じて培養温度を管理するインキュベーターを備えてなるデバイスは、本発明の微生物の判別方法を実行するための装置となり得る。図1に、本発明の方法を実行するための装置の一構成例を示す。
図1に示されるように、フォトセンサ2の上に、培養容器1が載置され、培養容器1の上方には、点光源3が配置されている。尚、培養容器はコロニー形成画像が撮像できるようにフォトセンサ上に載置されればよく、図1に示すようにフォトセンサ2に対して、微生物培養面(コロニー形成面)を向けるように載置してもよく、或いはコロニー形成面を上に向けて載置することでもよい。
ここで、培養容器としては、微生物の培養が可能で、培養面をフォトセンサに向けて積載可能なものであれば特に制限はされないが、例えば、顕微鏡観察用スライドガラス上にフレームシール(例えば、剥離フィルム及びカバーフィルムによって覆われているin situ PCRシール(例えば、厚さ:300μm、Frame−Seal Incubation Chambers,BIO RAD))を数枚(例えば2枚)重ねて接着形成されるチャンバーが好適に使用できる。図2に当該チャンバーの構築工程を示す。
フォトセンサとしては、形成された微生物コロニーに対して光照射した場合に、当該コロニー由来の光シグナル又は影シグナルを撮像できるものであればよく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ダブルゲート構造のTFT(Thin Film Transistor)、CIS Contact Image Sensor)等の撮像素子を用いることができるが安価であり、解像度が高い点からCMOSセンサを用いるのが好ましい。
CMOSセンサとしては、検出素子サイズが2〜8μm四方であり、素子数が30万〜1810万のものでカラーイメージングが可能なものが望ましく、例えば3.2μm四方の検出素子が2048×1536に配列し、撮像エリアのサイズが6.55mm×4.92mmであるDFK61BUC02(Imaging Source社,Germany)などを挙げることができる。
照明用光源としては、LED、有機EL、蛍光灯、白熱球等が使用できるが、LEDを用いるのが好ましく、コロニー画像のコントラストを高くできる点から波長400nm以上500nm以下の範囲のLEDを用いるのがより好ましい。
本発明の方法においては、フォトセンサアレイ上に載置した培養容器中で、微生物を含むサンプルが培養される。
ここで、「微生物を含む試料」は、菌種の判別・同定対象の微生物を含む試料であり、臨床試料、非臨床試料の何れでも良い。臨床試料としては、例えば血液、血清、血漿、血液分画、関節液、尿、精液、唾液、糞便、脳脊髄液、胃内容物、膣分泌物、組織ホモジェネート、骨髄穿刺液、骨ホモジェネート、痰、吸引液、ぬぐい液(swab)およびぬぐい液残滓(swab rinsate)、他の体液等が挙げられる。また、非臨床試料としては、食品、飲料、医薬品、化粧品、水、海水バラスト、空気、土壌、汚水、植物材料、血液製剤、ドナー臓器または組織試料等を含めた物質が挙げられる。
本発明において、「微生物」としては、コロニーを形成するものであれば特に限定されず、細菌、真菌等の何れでもよい。例えば、シュードモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、赤痢菌属、エンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、モルガネラ属、ビブリオ属、エルシニア属、アシネトバクター属、ステノトロフォモナス属、ブレブンディモナス属、ラルストニア属、アクロモバクター属、フゾバクテリウム属、プレボテラ属、ブランハメラ亜属、ナイセリア属、バークホルデリア属、シトロバクター属、ハフニア属、エドワードシエラ属、アエロモナス属、モラクセラ属、ブルセラ属、パスツレラ属、プロビデンシア属およびレジオネラ属等のグラム陰性細菌;腸球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、バチルス属、パエニバチルス属、乳酸桿菌属、リステリア属、ペプトストレプトコッカス属、プロピオン酸菌属、クロストリジウム属、バクテロイデス属、ガードネレラ属、コクリア属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ミクロコッカス、マイコバクテリウム属およびコリネバクテリウム属等のグラム陽性細菌;カンジダ属、クリプトコックス属、ノカルジア属、アオカビ属、アルタナリア属、ロドトルラ属、アスペルギルス属、フザリウム属、サッカロミセス属およびトリコスポロン属等の真菌が挙げられる。
培養条件は適宜設定すればよく、例えば室温で、18時間が挙げられる。撮像は、当該培養時間中、一定間隔、例えば1〜60分間隔で行えばよいが、好ましくは5分間隔が挙げられる。
撮像条件は、コロニー形成画像の特徴が正確に抽出できれば特に限定されないが、例えば、露光時間は1/100〜1/4秒、好ましくは1/18〜1/10秒、フレームレートは3.75〜10、好ましくは3.75〜5とすることができ、ホワイトバランスは、例えばRed:255、Green:154、Blue:64とすることが挙げられる。
また、ノイズの削減のため、画像を複数枚連続取得し、その平均画像を使用することが好ましい。
コロニー形成画像から抽出した特徴、例えば、面積、輝度、形状等から、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t(Colony appearance time)、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、及び画像エネルギー密度Ed、画像エネルギーE、重み付け中心の差異W、中心領域の平均輝度Cの計10種のパラメータから選ばれる、少なくともコロニー最大増殖速度μmax及び相対平均輝度Iを含む3種以上、又は少なくともヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHを含む2種以上が算出される。
ここで、コロニー最大増殖速度μmaxは、時刻tにおけるコロニーの面積をAreaとすると、コロニー増殖速度μ(h−1)は式(1)で表される。t=10hまでにおける最大値をμmaxとした。
コロニー可視化時間tは、レンズレス画像中のコロニー非存在領域の直線(100px)上の輝度値の最大値と最小値の差をNとし、コロニー由来散乱光パターンの中心を通る直線(100px)上の最大値と最小値の差をSとしたとき、S/N≧2となった最小の時刻tと定義される。
相対平均輝度Iは、光源やフォトセンサの個体差による輝度の標準化を行うために、コロニー由来散乱光パターン領域内の平均輝度値から各レンズレス画像のコロニー非存在領域の中から選んだ100px×100pxの領域の平均輝度値を引いた値と定義される。
ヒストグラムの偏差Gは、コロニーの散乱光パターン画像から輝度値を20分割することで得たヒストグラムの各ピクセル数の標準偏差と定義される。
(式中、nは分割(ヒストグラムのビン)の数である20、xiは各ビンに含まれるピクセル数、はx ̄は各ビンに含まれるピクセル数の平均値を示す。)
ドーナツ性Dは、コロニー全体の平均相対輝度値Dwと、コロニー中心領域(直径1/2)の平均相対輝度値Cの比率を示すパラメータであり、Dw/Cと定義される。
画像エントロピーHは、一般的に画像の情報量を表す指標として用いられており、輝度勾配の共起行列と定義される。
(式中、Pijは256階調に補正した輝度値がiのピクセルに隣接するピクセルの輝度値がjである確率を示す。)
画像エネルギー密度Edは、2次元離散フーリエ変換により求めた振幅スペクトルの平均として定義される。
画像エネルギーEは、2次元離散フーリエ変換により求めた振幅スペクトルの総和として定義される。
重み付け中心の差異Wは、輝度値を考慮せずに求めたコロニーの中心と、輝度値を考慮して求めたコロニーの中心との距離と定義する。
中心領域の平均輝度Cは、コロニー中心領域(直径1/2)の平均相対輝度値である。
微生物の判別は、菌種不明の微生物のコロニー形成画像から算出された前記パラメータの値を、予め構築された既知微生物ごとの当該パラメータのデータベースと照合・比較することにより行われる。データベースは、多くの菌種について、上述した方法によりコロニー形成画像を撮像し、得られた画像ライブラリに基づいて前記パラメータを算出しデータベース化したものである。ここで、データベースを構築する際は、同一菌種においても複数の株からデータを収集するのが好ましい。
構築したデータベースから判別情報を得る方法としては、データベースの各パラメータを説明変数として多変量解析する方法が挙げられる。本発明で用いる多変量解析としては、特に制限はないが、判別分析、二次判別分析、ロジスティック回帰分析、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、又はクラスター分析などを採用できる。
具体的な例としては、構築したデータベース中のコロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、及び画像エネルギー密度Ed、画像エネルギーE、重み付け中心の差異W、中心領域の平均輝度Cからなる10種のパラメータのうち、少なくともコロニー最大増殖速度μmax及び相対平均輝度Iを含む3種以上、又は少なくともヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHを含む2種以上のパラメータを説明変数として判別分析を行って判別関数を得ることにより菌種の判別を行うことができる。
判別に使用するために算出されるパラメータは、適宜増減可能であり、組み合わせにより判別精度が異なる。そのため、パラメータは分析方法や判別対象となる菌種を考慮して適宜決定すればよいが、少なくともコロニー最大増殖速度μmax、相対平均輝度I、及びコロニー可視化時間tを含む3種以上を含むのがより好ましい。
例えば、エシェリヒア・コリ(E.coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、シュードモナス エルギノーザ(P.aeruginosa)、サルモネラ・エンテリカ(S.enterica)、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)の5菌種の判別においては、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t及び相対平均輝度Iの3種を用いることによりその判別が可能である。また、当該コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t及び相対平均輝度Iに、ヒストグラムの偏差Gを加えた4種を使用することで、上記5菌種にスタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)を加えた6菌種の判別が可能となる。
また、ヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHの2種を使用すると、スタフィロコッカス・アウレウス及びスタフィロコッカス・エピデルミディスの判別が可能である。
また、スタフィロコッカス属の近縁5種(スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(S.haemolyticus)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(S.saprophyticus)、スタフィロコッカス・シミュランス (S.simulans))の判別が、コロニー最大増殖速度μmax、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、重み付け中心の差異W及び中心領域の平均輝度Cの8種を用いることにより可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<使用機器・試薬>
撮像素子としてCMOSセンサ(DFK61BUC02,Imaging Source,Germany)を使用した。本センサは、3.2μm四方の検出素子が2048×1536に配列した2次元フォトセンサであり、撮像エリアのサイズは6.55mm×4.92mmである。CMOSセンサによる撮像には同社の制御用ソフトウェア(IC Capture 2.3)を利用した。
また、画像解析用ソフトウェアとしてMATLAB (MathWorks inc.,USA)を使用した。コロニーの面積、ラインプロファイル、輝度値の計測にはImage Jを、クラスター分析には統計解析ソフトRを使用した。
照明用光源として、Light Emitting Diode (LED)(LM1−TPP1−01,COTCO,China)を使用した。
また、寒天培地作製には、LB培地(Merck Millipore,Germany)及び低融点アガロース(Invitrogen, USA)を使用した。
<使用菌株および培養方法>
細胞培養及びコロニー形成評価には、Escherichia coli ATCC 8739株、Staphylococcus aureus ATCC6538株、Pseudomonas aeruginosa ATCC9027株、Salmonella enterica NBRC100797株、Candida albicans ATCC10231株、Staphylococcus epidermidis ATCC14990株、S.haemolyticus ATCC29970株、S.saprophyticus ATCC15305株、S.simulans ATCC27848株の計9株を使用した。
グリセロール中に凍結保存されているE.coli、S.aureus、P.aeruginosa、S.enterica、S.epidermidis、S.haemolyticus、S.saprophyticus、S.simulansをLB培地5mlに融解後、37℃にて15−18時間振とう培養することで菌体培養液を得た。C.albicansのグリセロールストックはYPD培地を用いて融解し、上記と同様に菌体培養液を得た。得られた菌体培養液中の菌体数は、バクテリアカウンター(Bacteria Counter,Japan)及び位相差顕微鏡(ECLIPSE E200,Nikon,Japan)を用いてカウントした。その後、LB培地を溶媒とし、5×10 cells/mlとなるように調製し、プレーティング用菌体懸濁液とした。
実施例1 レンズレスイメージングシステムの構築
(1)顕微鏡観察用スライドガラス(厚さ:1.2mm)に両面のフィルムを剥がしたin situ PCRシール(厚さ:300μm、Frame−Seal Incubation Chambers,BIO RAD)を貼り、その上にカバーフィルムのみを剥がした2枚目のin situ PCRシールを重ねて貼ることで、9mm角、高さ600μmのチャンバーを作製した(図2参照)。
作製したチャンバーに1.5%(w/v)低融点アガロース添加LB培地を流し込み、上からカバーガラス(厚さ:170μm)を載せ寒天培地表面を平らにした後、20分間室温で放置することでLB寒天培地を固化した。カバーガラス及び剥離フィルムを剥がした後、寒天培地上に菌体懸濁液1μl(5×10 cells/ml)を滴下し、再びカバーガラスを載せることで、プレーティングを行った。
(2)スペーサーシール(厚さ:300μm)を貼ったCMOSセンサ保護ガラス上に、(1)で作製した培養チャンバーのカバーガラス面を下に向けて設置した(図1参照)。卓上インキュベーター(#1−7605−01,ASONE)を用いて培養チャンバーを37°Cに保持し、培養チャンバーから高さ10cmの位置に置いたLEDを点光源とした。
実施例2 特定5菌種コロニーの判別
(1)レンズレス画像ライブラリの構築
特定5菌種(E.coli、S.aureus、P.aeruginosa、S.enterica、C.albicans)をそれぞれ播種した直後の培養チャンバーをCMOSセンサに載せ、37°C条件下で5分間隔、約18時間連続でタイムラプス撮像を行った。
撮像条件は、露光時間:1/18秒、フレームレート:3.75、ホワイトバランスRed:255、Green:154、Blue:64とした。また、ノイズの削減のため、画像を4枚連続取得し、その平均画像を使用した。画像取得を開始した時間をt=0hとした。
その結果、E.coli、S.aureus、P.aeruginosa、S.entericaについては、プレーティング直後に像が観察されていなかった位置から、約1−5時間後に各菌種コロニー由来だと考えられる散乱光パターンが観察された(図3A−D)。その後、培養時間の経過に伴い、レンズレス画像上のコロニー由来散乱光パターンが水平方向へ広がっていく変化が確認された。また、C.albicansは培養チャンバーへのプレーティング直後からパターンが観察され、その後水平方向への像の拡大が観察された(図3E)。これは、E.coli等の細菌のサイズが数μm程度であるのに対し、真核生物であるC.albicansの細胞サイズは直径約10μmと大きく、また出芽によって細胞のサイズが大きくなった状態で播種されていることに起因すると考えられた。2台のCMOSセンサを使用して得られたコロニーの画像の内、ランダムに選んだ計15コロニー分のレンズレス画像をライブラリとした。
(2)判別パラメータに基づくクラスター分析
(1)で構築したライブラリ画像から、特定5菌種間においてコロニーのサイズの推移に差異が見られた。そこで、コロニーサイズの経時変化に基づく特定5菌種の判別パラメータとして、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t(Colony appearance time)、及び相対平均輝度I(定義式は前記のとおり)を用い、k−means法によるクラスター分析を行い、特定5菌種の判別を試みた。
i)判別パラメータの取得には、光源であるLEDやイメージングを担うCMOSセンサの個体差による輝度の標準化を行うために、レンズレス画像上の輝度値の下位1%を0、上位1%を255とし、コントラストを調整した。さらに、レンズレス画像上の培地領域(コロニー非存在領域)と比較して、低輝度であるコロニーの散乱光パターン領域を白色として抽出するため、画像の白黒反転を行った。その後、画像の輝度値を10段階で分類し、最大の値を閾値として設定することにより、2値化画像を作成した。次に、得られた2値化画像の膨張・収縮処理を行うことにより、オブジェクトの平滑化・穴埋め処理、及びノイズ除去を行い、コロニー領域を抽出した。その後、ImageJを用いてコロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t、及び相対平均輝度Iを算出した。
ii)クラスター分析は、統計分析ソフトRを用い、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t、及び相対平均輝度Iの3つを含むデータセットに対し、値の標準化を行った。解析コロニー数をn、時刻tにおける各パラメータの値をxとすると、標準化後の値Zは式(4)で定義される。
標準化した各値に対し、k−means法によるクラスター分析を行った(クラスター数:5)。
iii)その結果、全75個のデータセットを15個からなる5つのクラスターに分類することができ、正答率は100%(75/75)となった(図4)。
以上より、最大コロニー増殖速度μmax及び可視化時間t、平均相対輝度Iの3つの判別パラメータを組み合わせることによって、特定5菌種を判別可能であることが示唆された。
実施例3 同属近縁種コロニーの判別
同属近縁種であるS.aureus及びS.epidermidisコロニーの判別を試みた。
まず、S.epidermidis由来コロニー形成過程のレンズレス画像を実施例2と同様にして取得し、レンズレス画像をライブラリに追加した。
実施例2で用いたμmax、t、Iの3つのパラメータを用いてS.aureus及びS.epidermidisの判別を試みた。その結果、S.aureusコロニー5個及びS.epidermidisコロニー1個から構成されるクラスター1と、S.aureusコロニー10個及びS.epidermidisコロニー14個から構成されるクラスター2に分類され、正答率は63.3%となった。
そこで、S.aureus及びS.epidermidisの画像ライブラリに対して、MATLABプログラムを用いて、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーHの3つを判別パラメータとして抽出した(定義式は前記のとおり)。ヒストグラムの偏差Gは、コロニーの散乱光パターンの輝度値の分布の違いを表すパラメータである。散乱光パターンのヒストグラムから得られたピクセル数の標準偏差として定義した。ヒストグラムの幅が狭い場合、Gは高い値を示すため、S.epidermidisが高い値を示すことが想定される。実際に、直径約250μmのコロニー由来散乱光パターンに対し、Gを算出した結果、S.aureus、S.epidermidisはそれぞれ282.7±32.6、449.5±95.6となり、両菌種間で差異が確認された。ドーナツ性Dは、コロニー全体の平均相対輝度値と、コロニー中心領域(直径1/2)の輝度の比率を示すパラメータである。白黒反転後の散乱光パターンの中心領域の輝度値が高い場合、ドーナツ性Dは小さくなる。S.aureus、S.epidermidisはそれぞれ1.30±0.11、0.94±0.03となった。画像エントロピーHは、パターン内部の輝度値の規則正しさ(ランダム性の低さ)を表すパラメータであり、輝度勾配の共起行列に基づき算出される。画像エントロピーHを算出した結果、S.aureus、S.epidermidisはそれぞれ5.73±0.14、5.12±0.26となり、差異が確認された。
そこで、ヒストグラムの偏差Gとドーナツ性D、ドーナツ性Dと画像エントロピーHの組み合わせでk−means法によるクラスター分析を行い、S.aureus及びS.epidermidisの判別を試みた(クラスター数:2)。その結果、S.aureusコロニー15個から構成されるクラスター1と、S.epidermidisコロニー15個から構成されるクラスター2に分類され、正答率は100%となった(図5)。
実施例4 クラスター分析法の検討
クラスター分析に使用するパラメータは、数の増加に伴い計算量が増加し、結果が出るまでの時間が長くなる。そのため、パラメータ数はより少ない方が望ましい。
そこで、一般的にクラスター分析手法の中で高精度であるとされているWard法を用いて階層的クラスター分析を行い、パラメータ数を減らすことが可能かどうか検証した。
7パラメータ(コロニー最大増殖速度μmax、可視化時間t、平均相対輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed)を用いて、階層的クラスター分析を行った。このとき、S.auruesコロニーのデータセットをナンバー1−15、S.epidermidisコロニーのデータセットをナンバー16−30とした。その結果、4つの判別パラメータを使用した時点で100%の精度で判別可能となった(図6)。
以上より、本発明の方法は、μmax、t、I、Gの4パラメータを用いて、Ward法による階層的クラスター分析を行うことにより、S.aureus及びS.epidermidisを100%の精度で判別可能である事が示唆された。
実施例5 判別分析を用いた微生物の判別
CMOSイメージセンサ上にStaphylococcus aureus、 Staphylococcus epidermidis、 Staphylococcus haemolyticus、 Staphylococcus saprophyticus、 Staphylococcus simulansを播種したLB寒天培地を設置した。実施例2と同様にして、LED光照射下で画像取得を行った。取得した5菌種の画像を対象として、MATLABを用いて、最大コロニー増殖速度μmax、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、平均輝度値I、重み付け中心の差異W、中心領域の平均輝度Cを算出した。各菌種をグループとし、得られたパラメータに基づいた線形判別分析を行った。
算出した8パラメータに基づき、Staphylococcus属5種について1菌種10コロニーを対象とし線形判別分析を行った。その結果、グループ間の境界となる判別関数LD1〜LD4を得た。この判別関数をもとにStaphylococcus属5種の判別分析を行ったところ、100%の精度で判別可能となった(図7)。
本発明の方法によれば、安価、小型の装置でありながら、微生物を属レベル(例えば、エシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、及びカンジダ・アルビカンスの5属)を、10時間以内に正確に判別することができる。また、種レベル(例えば、スタフィロコッカス属の近縁5種(スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・サプロフィティカス、スタフィロコッカス・シミュランス)を正確に判別可能である。本発明のデバイスは安価、小型の装置でありながら高精度に微生物を同定可能なことから、化粧品や食品、医薬品等の製造分野や、臨床診断における微生物検査に導入することにより、微生物同定試験を大幅に簡便、迅速化できると考えられ、その工学的意義は大きい。
1 培養容器
2 フォトセンサ
3 光源

Claims (5)

  1. フォトセンサを用いたレンズレスイメージングシステムを用いて微生物を判別する方法であって、
    フォトセンサ上に載置した培養容器中で、微生物を含むサンプルを培養し、培養期間中に形成されるコロニーを経時的に撮像する工程、
    複数のコロニー形成画像から抽出される特徴から、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間t、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度Ed、画像エネルギーE、重み付け中心の差異W、及び中心領域の平均輝度Cの10種のパラメータのうち、少なくともコロニー最大増殖速度μmax及び相対平均輝度Iを含む3種以上、又は少なくともヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHを含む2種以上を算出する工程、
    前記パラメータの値を、予め構築された既知微生物ごとに算出した当該パラメータのデータベースと照合・比較して微生物を特定する工程、を含み、判別される微生物及び当該判別に用いる前記パラメータが下記1)〜4)で示される、方法。
    1)エシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、及びカンジダ・アルビカンスの5菌種の判別:
    コロニー最大増殖速度μ max 、コロニー可視化時間t 及び相対平均輝度Iの3種
    2)エシェリヒア・コリ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス エルギノーザ、サルモネラ・エンテリカ、カンジダ・アルビカンス及びスタフィロコッカス・エピデルミディスの6菌種の判別:
    コロニー最大増殖速度μ max 、コロニー可視化時間t a、 相対平均輝度I及びヒストグラムの偏差Gの4種
    3)スタフィロコッカス・アウレウス及びスタフィロコッカス・エピデルミディスの判別:
    ヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHの2種
    4)スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・サプロフィティカス、スタフィロコッカス・シミュランスの5菌種の判別:
    コロニー最大増殖速度μ max 、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、画像エネルギー密度E d 、重み付け中心の差異W、及び中心領域の平均輝度Cの8種
  2. フォトセンサがCMOSセンサである、請求項1記載の方法。
  3. 撮像が、5分間隔毎に18時間行われる、請求項1又は2記載の方法。
  4. 微生物の特定が、前記パラメータを説明変数として多変量解析することにより行われる、請求項1〜3の何れか1項記載の方法。
  5. 多変量解析が、判別分析、ロジスティック回帰分析、サポートベクトルマシン、決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、又はクラスター分析である請求項4記載の方法。
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