JP2021093951A - 微生物の判別システム - Google Patents

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Abstract

【課題】真正細菌だけではなく、真菌の判別を高精度で実施可能な微生物の判別システムを提供すること。【解決手段】微生物を含む疑いのある試料を培養する培養容器の培養領域を撮像モジュールによって撮像し、取得された撮像画像において設定された解析領域に含まれる培地領域および培地に存在する存在物領域のうちの少なくとも一方の画像データを学習情報として記憶するとともに、当該画像データを予め既知微生物について取得されたデータベースと照合・比較することで前記存在物が微生物に由来するコロニーであるか否かを判別し、微生物に由来するコロニーの数をサイズごとにカウントするとともに前記画像データから抽出された特徴に基づいて判別用パラメータを算出し、当該判別用パラメータを予め既知微生物について取得された当該判別用パラメータのデータベースと照合・比較して微生物の種類を判別・同定する。【選択図】図1

Description

本発明は、光センシングによる微生物の判別システムに関する。
微生物の検出・同定試験は、食品や医薬品、化粧品の製造工程の管理や、医療分野における臨床診断を目的として広く行われている。微生物による健康被害を最小化し、さらに微生物によってもたらされる疾病の蔓延を防ぐため、簡便かつ迅速な微生物検出・同定法の開発が求められ、例えば、医薬品または化粧品の製造現場において、特定微生物試験が行われている。これは、製品中に検出可能な特定の5菌種(E.coli、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella enterica、Candida albicans)が存在しないことを判定する試験である。
従来、微生物等の細胞のコロニー形成評価は、目視確認や顕微鏡観察に基づいて実施されている。例えば寒天培地希釈法は、2倍系列希釈の薬剤液添加寒天培地に前培養した試験菌液を塗沫し、細菌なら18〜20時間、真菌なら48時間培養した際のコロニー形成の有無を目視確認する方法で、試験菌の発育が完全に阻止された最小濃度の評価に用いられる。本手法は、微生物の検出能が優れていることから、長きにわたり微生物検査の公定法として用いられているが、正確な種同定を可能とする一方で、多くの専門知識と熟練が要求される。また培養に基づいている手法であるため同定の結果を得るまでに2〜3日を要するといった問題点があり、その実施効率は著しく制限されている。
また、コロニー形成評価には、目視確認可能な大きさのコロニー形成を待たずに、光学顕微鏡を用いて微小段階のコロニーを観察するマイクロコロニー法がある。斯かる方法では計測の迅速化が達成されているが、顕微鏡観察は対物レンズによる拡大像を利用するため、一度の観察視野は制限されることになる。そのため、広域を計測するためには、自動制御ステージなどの外部装置及び専用ソフトウェアを付設して、スキャニングを行う必要がある。しかしながら、この方法では、時間分解能や測定面積に制限があることから、計測スループット性は著しく制限され、同時に多数の菌体増殖能を評価することは困難である。特に薬剤感受性評価においては、変異によって薬剤耐性を獲得した菌体の有無の確認が重要となるため、同時に多数の菌体増殖能を評価できないことは問題である。
一方、CCD等の撮像素子上の容器で培養した細胞を撮像する技術(特許文献1)、撮像素子表面に固定化した抗体に対象を捕捉し直接検出する技術(特許文献2)等が報告されている。
また、DNAシークエンサーや質量分析計(MALDI−TOF−MSなど)を用いて微生物の菌種を同定する方法が知られている。
特開平6−311879号公報 特開2010−38593号公報
而して、特許文献1および特許文献2に技術は、光検出素子を用いて、細胞の形態変化情報を撮像することが行われているが、微小なコロニーの形成や成長を同時多並列にモニタリングするものではなく、コロニー形成の判定やサイズ計測を実施可能とするプログラムについても何ら報告はない。
また、真菌類の場合にはカビコロニーでは菌糸が複雑に絡まって生育するために自動識別は困難であるといった問題がある。
また、DNAシークエンサーや質量分析計による微生物同定方法では、検査に必要な微生物試料を調製するために、数日間の培養を要する。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、対物レンズを介さない光センシングによって培養容器の画像を経時的に取得し、微生物由来のコロニー像の特徴から算出される特定のパラメータを組み合わせて用いることにより、微生物の判別が高精度で可能であることを見出した。
特に、直径200ピクセル円内の菌糸本数、直径200ピクセル円内の分岐点数、直径300ピクセル円内の分岐点数と平均輝度値、直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差の平均値を含む5種のパラメータのうちから選ばれる、少なくとも3種以上のパラメータを用いることで、真菌類の判別・同定を高い信頼性で実施可能であることを見出した。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、真正細菌だけではなく、真菌の判別を高精度で実施可能な微生物の判別システムを提供することを目的とする。
本発明の微生物の判別システムは、培養容器を透過照明する照明装置と、前記培養容器における培養領域を経時的に撮像する撮像モジュールと、前記撮像モジュールによって取得された撮像画像において設定された解析領域に含まれる培地領域および当該培地に形成された微生物に由来するコロニー領域のうちの少なくとも一方の画像データを学習情報として記憶するとともに当該画像データを解析する解析装置とを備え、前記解析装置は、微生物を含む疑いのある試料を培養する培養容器について取得された撮像画像の前記解析領域に含まれる培地領域および培地に存在する存在物領域のうちの少なくとも一方に係る画像データを、予め既知微生物について取得されたデータベースと照合・比較して前記存在物が微生物に由来するコロニーであるか否かを判別し、微生物に由来するコロニーの数をサイズごとにカウントするとともに前記画像データから抽出された特徴に基づいて判別用パラメータを算出し、当該判別用パラメータを予め既知微生物について取得された当該判別用パラメータのデータベースと照合・比較して微生物の種類を同定する機能を有することを特徴とする。
本発明の微生物の判別システムにおいては、前記微生物が真菌類である場合には、前記判別用パラメータとして、直径200ピクセル円内の菌糸本数、直径200ピクセル円内の分岐点数、直径300ピクセル円内の分岐点数と平均輝度値、直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差の平均値を含む5種のパラメータのうちから選ばれた少なくとも3種以上のパラメータが算出されることが好ましい。
さらにまた、本発明の微生物の判別システムにおいては、前記微生物が真正細菌である場合には、前記判別用パラメータとして、コロニー最大増殖速度、コロニー可視化時間、相対平均輝度、ヒストグラムの偏差、ドーナツ性、画像エントロピー、画像エネルギー密度、画像エネルギー、重み付け中心の差異、及び中心領域の平均輝度の10種のパラメータのうちから選ばれた、少なくともコロニー最大増殖速度及び相対平均輝度を含む3種以上のパラメータ、もしくは、少なくともヒストグラムの偏差及びドーナツ性、又はドーナツ性及び画像エントロピーを含む2種以上のパラメータが算出されることが好ましい。
さらにまた、本発明の微生物の判別システムにおいては、前記撮像モジュールは、一方向に延びるライン状の領域を撮像するセンサアレイを備えたラインセンサカメラにより構成され、前記ラインセンサカメラのセンサアレイが対物レンズを介さずに前記培養容器に近接して配置された構成とされることが好ましい。
本発明の微生物の判別システムによれば、検査のための操作を大幅に簡便化できるとともに検査時間を短縮化できるため、微生物の判別・同定処理を飛躍的に迅速化させることができる。しかも、撮像画像において設定された解析領域に含まれる培地領域および存在物領域のうち少なくとも一方の画像データを学習情報として学習させデータベースに蓄積させることで、微生物を高精度に判別・同定することが可能となる。
また、微生物の判別に際して、微生物の種類に応じて設定されたパラメータが用いられることで、微生物の判別・同定処理をより高精度で行うことができる。
さらにまた、ラインセンサカメラを用いたいわゆるレンズレスイメージングシステムによって画像を取得することにより、判別システム自体を小型なものとして構成することができ、しかも、微生物の判別・同定処理を高精度にかつ迅速に行うことが可能であることから、例えば、化粧品、食品、医薬品等の製造分野や、臨床診断における微生物検査に導入することにより、微生物同定試験を大幅に簡便、迅速化できる。また、一回の撮像で例えばシャーレなどの培養容器の培養領域の全域の撮像が可能であるため、計測の時間短縮を図ることができるとともに映像のつなぎ作業などが不要であるので、より便利性、安価のシステムを提供することが可能となる。
本発明の微生物の判別システムの一例における要部構成を概略的に示す説明図である。 培養容器と撮像モジュールとの位置関係を概略的に示す図である。
本発明の微生物の判別システムは、微生物を含む疑いのある試料(培養液)を培養する培養容器の培地領域を透過照明下で撮像モジュールによって撮像し、取得された撮像画像を解析して微生物を判別・同定するものである。
本発明において、試料は、臨床試料、非臨床試料の何れでもよい。
臨床試料としては、例えば血液、血清、血漿、血液分画、関節液、尿、精液、唾液、糞便、脳脊髄液、胃内容物、膣分泌物、組織ホモジェネート、骨髄穿刺液、骨ホモジェネート、痰、吸引液、ぬぐい液(swab)およびぬぐい液残滓(swab rinsate)、他の体液等が挙げられる。
また、非臨床試料としては、食品、飲料、医薬品、化粧品、水、海水バラスト、空気、土壌、汚水、植物材料、血液製剤、ドナー臓器または組織試料等を含めた物質が挙げられる。
また、本発明における菌種の判別・同定対象となる微生物は、コロニーを形成するものであれば特に限定されず、真正細菌、真菌等の何れでもよい。
例えば、シュードモナス属、エシェリキア属、サルモネラ属、赤痢菌属、エンテロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、カンピロバクター属、ヘモフィルス属、モルガネラ属、ビブリオ属、エルシニア属、アシネトバクター属、ステノトロフォモナス属、ブレブンディモナス属、ラルストニア属、アクロモバクター属、フゾバクテリウム属、プレボテラ属、ブランハメラ亜属、ナイセリア属、バークホルデリア属、シトロバクター属、ハフニア属、エドワードシエラ属、アエロモナス属、モラクセラ属、ブルセラ属、パスツレラ属、プロビデンシア属およびレジオネラ属等のグラム陰性細菌;腸球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、バチルス属、パエニバチルス属、乳酸桿菌属、リステリア属、ペプトストレプトコッカス属、プロピオン酸菌属、クロストリジウム属、バクテロイデス属、ガードネレラ属、コクリア属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、ミクロコッカス、マイコバクテリウム属およびコリネバクテリウム属等のグラム陽性細菌;カンジダ属、クリプトコックス属、ノカルジア属、アオカビ属、アルタナリア属、ロドトルラ属、アスペルギルス属、フザリウム属、サッカロミセス属およびトリコスポロン属等の真菌が挙げられる。
図1は、本発明の微生物の判別システムの一例における要部構成を概略的に示す説明図である。
この判別システムは、培養容器10を透過照明する照明装置20と、培養容器10における培養領域を経時的に撮像する撮像モジュール30と、解析装置40とを備えている。
培養容器10としては、例えばシャーレ(ペトリ皿)などの開放系容器が用いられ、蓋11が下方に位置される姿勢(皿12内に作製された培地13が上方側に位置される姿勢)でステージ15に保持される。なお、培養容器10は、特に限定されるものではなく、閉鎖系容器であってもよい。
照明装置20は、平行光による照明光を培養容器10に照射する透過照明光学系21を備える。
透過照明光学系21が平行光を培養容器10に照射するよう構成されていることにより、培養容器10に対する均一な照明を行うことができるため、培養対象とバックグラウンドとのコントラストが高く培養対象をより精度良く強調した画像を得ることができる。
透過照明光学系21は、光軸が水平方向に延びるように配置された照明用光源22と、照明用光源22の光軸上に位置され点光源を形成するピンホール23と、照明用光源22の光軸上に位置されピンホール23を透過した光を平行光もしくは平行光に近い状態で出射するコリメート光学系25とを備えている。
コリメート光学系25は、光軸が照明用光源22の光軸と一致する状態で配置された一対の平凸レンズ26a,26bと、光軸が照明用光源22の光軸に対して直交方向(鉛直方向)に延びるように配置された平凸レンズ27と、平凸レンズ26bからの光を平凸レンズ27に向かって反射する反射部材28とにより構成されている。
照明用光源22としては、LED、有機EL、蛍光灯、白熱球等のいずれのものも用いることができるが、波長400nm以上500nm以下の範囲の光を放射するものであることが好ましく、波長400nm以上500nm以下の範囲の光を放射するLEDを用いることがより好ましい。
このような照明用光源22によれば、培養対象とバックグラウンドとのコントラストが高く培養対象をより精度良く強調した撮像画像を得ることができ、しかも熱線成分(近赤外光以上の波長成分)による熱的悪影響を軽減することができる。
撮像モジュール30は、前記一方向に直交する方向に延びるライン状の領域を撮像するラインセンサカメラにより構成される。
撮像モジュール30としてラインセンサカメラが用いられることにより、広域のイメージングを行うことができるため、微小なコロニーの形成や成長を同時多並列にモニタリングすることができる。しかも、培養対象の培養経過を高い時間分解能で経時的に記録することが可能であり、時間経過に伴う変化を生じないバックグラウンドに対して、動的変化を示すコロニー像をシグナルとして判別することにより、コロニー形成の迅速な判定が可能となる。
撮像モジュール30は、図2にも示すように、複数の撮像素子32が一方向(図2において上下方向)に線状に並ぶよう配置されたセンサアレイ31を備えている。センサアレイ31は、複数の撮像素子32が線状に一列に配置されたものであっても、複数列に配置されたものであってもいずれであってもよい。図2においては、センサアレイ31として複数の撮像素子32が線状に一列に配置されたものが例示してある。
撮像モジュール30は、センサアレイ31が培養容器10に対物レンズを介さずに近接して配置される。
センサアレイ31における各々の撮像素子32の受光面と培養容器10における皿12の底面との離間距離dは、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
撮像素子32は、培養対象に対して透過照明光を照射した場合に、当該培養対象由来の光シグナルを撮像できるものであればよい。このような撮像素子32としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、ダブルゲート構造のTFT(Thin Film Transistor)、CIS(Contact Image Sensor)等を用いることができる。撮像素子32は、例えば10μm/pixel以下の解像度を有するものであるが好ましい。
本実施形態においては、培養容器10を保持するステージ15が前記一方向(撮像素子32の並ぶ方向)に直交する方向(図1において左右方向)に駆動可能に構成され、撮像モジュール30が培養容器10に対して走査されることで、高輝度部と低輝度部を有する散乱光パターンからなる撮像画像がピクセルデータとして取得される。
撮像は一定時間間隔で行われれば、時間間隔は特に限定されるものではないが、例えば1〜60分間とすることができる。
解析装置40は、撮像モジュール30によって取得された撮像画像において設定された解析領域に含まれる培地領域(培地に対応するピクセル)および培地に形成された微生物に由来するコロニー領域(コロニー像に対応するピクセル)のうちの少なくとも一方の画像データを学習情報として記憶するとともに、画像データを解析して微生物の種類を判別・同定するためのプログラムの他、照明光の強度やレンズの焦点位置、ステージの動作等を制御するためのプログラムを含むものとして構成される。解析領域は、培地領域の全域であっても、一部であっても何れであってもよい。
解析装置40は、微生物を含む疑いのある試料を培養する培養容器10における培地に存在する存在物が微生物に由来するコロニーであるか否かを判別し、微生物の種類ごとに設定された定量的な判別用パラメータを算出し、当該判別用パラメータに基づいて微生物の種類を判別・同定する機能を有する。
解析装置40においては、先ず、微生物を含む疑いのある試料を培養する培養容器10について取得された撮像画像の解析領域に含まれる培地領域および培地に存在する存在物領域のうちの少なくとも一方に係る画像データを、予め学習させておいた既知微生物についてのコロニー領域に係る画像データのデータベース、または、培地領域に係る画像データのデータベースと照合・比較して存在物が微生物に由来するコロニーであるか否かを判別する判別処理が行われる。
次いで、培地領域および存在物領域のうちの少なくとも一方に係る画像データから抽出された特徴に基づいて判別用パラメータが算出される。画像データから抽出される特徴は、例えば形状、輝度、面積などである。
真菌類を判別するための判別用パラメータは、真菌類菌糸の動態および干渉パターンに関するものであって、直径200ピクセル円内の菌糸本数、直径200ピクセル円内の分岐点数、直径300ピクセル円内の分岐点数、平均輝度値、直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差、菌糸の長さ、菌糸の太さ、菌糸の色の8種類のパラメータを含み、これらのうちから選ばれる少なくとも3種以上のパラメータが真菌類の判別ために算出されることが好ましい。特に、直径200ピクセル円内の菌糸本数、直径200ピクセル円内の分岐点数、直径300ピクセル円内の分岐点数、平均輝度値、および、直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差の5種のパラメータを用いることが好ましい。
真正細菌を判別するための判別用パラメータは、コロニー最大増殖速度μmax、コロニー可視化時間ta(Colony appearance time)、相対平均輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、及び画像エネルギー密度Ed、画像エネルギーE、重み付け中心の差異W、中心領域の平均輝度Cの計10種のパラメータであって、これらのうちから選ばれる、少なくともコロニー最大増殖速度μmax及び相対平均輝度Iを含む3種以上のパラメータ、もしくは少なくともヒストグラムの偏差G及びドーナツ性D、又はドーナツ性D及び画像エントロピーHを含む2種以上のパラメータが真正細菌の判別ために算出される。
コロニー最大増殖速度μmaxは、下記式(1)で表されるコロニー増殖速度μ(h-1 )のt=10hまでにおける最大値で定義される。下記式(1)においてAreaは、時刻tにおけるコロニーの面積である。
Figure 2021093951
コロニー可視化時間taは、コロニー非存在領域の直線(100px)上の輝度値の最大値と最小値の差をNとし、コロニー由来散乱光パターンの中心を通る直線(100px)上の最大値と最小値の差をSとしたとき、S/N≧2となった最小の時刻tと定義される。
相対平均輝度Iは、光源やフォトセンサの個体差による輝度の標準化を行うために、コロニー由来散乱光パターン領域内の平均輝度値から各画像のコロニー非存在領域の中から選んだ100px×100pxの領域の平均輝度値を引いた値と定義される。
ヒストグラムの偏差Gは、コロニーの散乱光パターン画像から輝度値を20分割することで得たヒストグラムの各ピクセル数の標準偏差と定義される。
ドーナツ性Dは、コロニー全体の平均相対輝度値Dwと、コロニー中心領域(直径1/2)の平均相対輝度値Cの比率を示すパラメータであり、Dw/Cと定義される。
画像エントロピーHは、一般的に画像の情報量を表す指標として用いられており、輝度勾配の共起行列と定義される。
画像エネルギー密度Edは、2次元離散フーリエ変換により求めた振幅スペクトルの平均として定義される。
画像エネルギーEは、2次元離散フーリエ変換により求めた振幅スペクトルの総和として定義される。
重み付け中心の差異Wは、輝度値を考慮せずに求めたコロニーの中心と、輝度値を考慮して求めたコロニーの中心との距離と定義する。
中心領域の平均輝度Cは、コロニー中心領域(直径1/2)の平均相対輝度値である。
次いで、菌種不明の微生物由来のコロニー領域の特徴から算出された判別用パラメータの値を予め構築された既知微生物ごとの当該判別用パラメータのデータベースと照合・比較することにより、微生物の判別・同定処理が行われる。
構築したデータベースから判別情報を得る方法としては、データベースの各判別用パラメータを説明変数として多変量解析する方法が挙げられる。本発明で用いる多変量解析としては、特に制限はないが、k平均法、線形判別分析(LDA)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト、k近傍法、単純ベイズ分類、ニューラルネットワーク(ANN)などを採用できる。これらのうちでも、高い精度(正答率)で判別分析を行うことができることから、サポートベクトルマシン、ランダムフォレストが好ましい。
微生物の判別・同定のために算出されるパラメータは、適宜増減可能であり、組み合わせにより判別精度が異なる。そのため、パラメータは分析方法や判別対象となる菌種を考慮して適宜決定すればよい。
また、解析装置は、微生物に由来するコロニーの数をサイズごとにカウントする機能を有するものであることが好ましい。
コロニー領域(コロニー像)は画像データにおける高輝度部と低輝度部から構成される光学パターンによって特定される。コロニー領域のサイズと実際のコロニーのサイズとは相関することから、コロニーのサイズ(ピクセル数)は、例えば、微生物に由来するコロニー領域の辺縁に外接する円の直径を計測することにより算出される。
上記の判別システムにおいては、撮像モジュール30が培養容器10に対して走査されることで培養領域において点在する全コロニーについて同時多並列的にモニタリングすることが可能である。すなわち、広域を対象とした培養対象の培養経過をモニタリングすることにより、動的変化を示すコロニー像をシグナルとして検出することが可能であり、コロニー形成の迅速な判定が可能である。ここで、モニタリングとは、コロニーの形成の有無、又はコロニーのサイズ若しくは立体形状を測定することにより、コロニーを追跡又は解析することを意味する。
また、コロニー像においては、菌体の単層ないし軽度の積層部分は高輝度部として、多層集積した中心部分は低輝度部として、さらに異なる積層状態の境界部では帯状の低輝度部として、それぞれ可視化される。したがって、得られた画像中のコロニー像の光学パターンから、コロニーの立体形状の推定が可能となる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[撮像系の構築]
図1に示す構成を参照してレンズレスラインスキャンによる撮像系を構築した。ラインセンサカメラは、CMOSイメージセンサ(解像度:3.2μm/pixel)を備えたものであって、撮像エリアのサイズは、直径90mmの円型のシャーレにおける培養領域の全面をカバーする大きさ(6.55×4.92mm2 )である。ラインセンサカメラとシャーレとの離間距離は3mmとした。また、照明用光源としては、ピーク波長が465nmのLEDを用いた。
そして、下記の21種の真菌をそれぞれ培養したシャーレの各々について、シャーレの培養領域をLED光照射下で撮像し、取得された撮像画像において設定された解析領域に含まれるコロニー領域(コロニー像に対応するピクセル)の画像データを学習情報として記憶させるとともに上述の判別用パラメータ(画像特徴量)をデータベースとして蓄積させた。撮像は10分間隔で行った。
[データベース構築用の真菌]
Aspergillus oryzae,Aspergillus niger,Aspergillus flavus,Aspergillus nomius,Aspergillus versicolorおよびAspergillus awamoriの6種のアスペルギルス属菌;
Penicillium citrinum,Penicillium digitatum,Penicillium camembertiおよびPenicillium glabrumの4種のペニシリウム属菌;
Fusarium solaniおよびFusarium oxysporumの2種のフザリウム属菌;
Eurotium amstelodami,Eurotium herbariorumおよびEurotium chevalieriの3種のユーロチウム属菌;
Pseudallescheria boydii、Aureobasidium pullulans、Cladosporium cladosporioides、Alternaria alternata、Wallemia sebi、Mucor circinelloides
〔実施例1〕
試験菌として、A.oryzae(アスペルギルス・オリザエ),A.niger(アスペルギルス・ニガー),A.nomius(アスペルギルス・ノミウス),A.flavus(アスペルギルス・フラブス),A.awamori(アスペルギルス・アワモリ),およびA.vercicolor(アスペルギルス・バージカラー)の6種の真菌をそれぞれ培養したシャーレの各々について、上記の撮像系によってシャーレの培養領域をLED光照射下で撮像した。
播種後48時間以内の撮像画像から、(a)直径200ピクセル円内の菌糸本数、(b)直径200ピクセル円内の分岐点数、(c)直径300ピクセル円内の分岐点数、(d)平均輝度値および(e)直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差の5種類の判別用パラメータ(画像特徴量)を取得し、得られた判別用パラメータに基づき、サポートベクトルマシンを用いた判別分析を行ったところ、上述の6種の試験菌を97.5%の精度で判別することが可能であることが確認された。
〔実施例2〕
上記実施例1において、撮像画像から得られた7種類の判別用パラメータ(画像特徴量)に基づき、ランダムフォレストを用いた判別分析を行ったことの他は実施例1と同様にして判別試験を行ったところ、上述の6種の試験菌を100%の精度で判別することが可能であることが確認された。
〔実施例3〕
上記実施例1において、試験菌として、A.oryzae(アスペルギルス・オリザエ)、P.citrinum(ペニシリウム・シトリナム)、F.solani(フザリウム・ソラニー)、E.amstelodami(ユーロチウム・アムステロダミ)およびAl.alternata(アルタナリア・アルタナタ)を用いたことの他は、実施例1と同様にして判別試験を行ったところ、上述の菌属の異なる5種の試験菌を100%の精度で判別することが可能であることが確認された。
〔実施例4〕
上記実施例1において、同一シャーレ内で共培養した病原性を持つA.flavus(アスペルギルス・フラブス)および病原性を持たないA.oryzae(アスペルギルス・オリザエ)を試験菌として用いたことの他は、実施例2と同様にして判別試験を行ったところ、病原性を持つA.flavusが正しく判別されることが確認された。
〔実施例5〕
上記実施例1において、試験菌としてEscherichia coli、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella entericaの4種の真正細菌をそれぞれ培養したシャーレを試験対象とし、判別用パラメータ(画像特徴量)として、コロニー最大増殖速度μmax、可視化時間ta、平均相対輝度I、ヒストグラムの偏差G、ドーナツ性D、画像エントロピーH、および画像エネルギー密度Edの7種類のものを用いたことの他は実施例1と同様にして判別試験を行ったところ、上述の4種の試験菌を100%以上の精度で判別することが可能であることが確認された。
なお、これら4種の真性細菌に係るコロニー領域(コロニー像に対応するピクセル)の画像データを学習情報として予め解析装置に記憶させておくとともに上述の判別用パラメータ(画像特徴量)をデータベースとして蓄積させておいた。
以上の結果より、真性細菌だけでなく、真菌類の迅速な菌種判別が実施可能であることが確認された。
而して、本発明の微生物の判別システムによれば、従来においては数日〜1週間程度必要であった検査時間を例えば1日以内にまで短縮することができるため、微生物検査を飛躍的に迅速化させることができ、しかも、遺伝子解析による微生物の判別・同定法においては必要とされる、微生物細胞からのDNAやペプチドの抽出といった煩雑な前処理が不要であるため、検査のための操作が大幅に簡便化できる。
従って、化粧品や食品、医薬品等の製造分野や、臨床診断における微生物検査に導入することにより、微生物混入の早期検出による製品保管コストの削減やリスク低減に貢献できることが期待される。
10 培養容器
11 蓋
12 皿
13 培地
15 ステージ
20 照明装置
21 透過照明光学系
22 照明用光源
23 ピンホール
25 コリメート光学系
26a 平凸レンズ
26b 平凸レンズ
27 平凸レンズ
28 反射部材
30 撮像モジュール
31 センサアレイ
32 撮像素子
40 解析装置

Claims (4)

  1. 培養容器を透過照明する照明装置と、前記培養容器における培養領域を経時的に撮像する撮像モジュールと、前記撮像モジュールによって取得された撮像画像において設定された解析領域に含まれる培地領域および当該培地に形成された微生物に由来するコロニー領域のうちの少なくとも一方の画像データを学習情報として記憶するとともに当該画像データを解析する解析装置とを備え、
    前記解析装置は、微生物を含む疑いのある試料を培養する培養容器について取得された撮像画像の前記解析領域に含まれる培地領域および培地に存在する存在物領域のうちの少なくとも一方に係る画像データを、予め既知微生物について取得されたデータベースと照合・比較して前記存在物が微生物に由来するコロニーであるか否かを判別し、微生物に由来するコロニーの数をサイズごとにカウントするとともに前記画像データから抽出された特徴に基づいて判別用パラメータを算出し、当該判別用パラメータを予め既知微生物について取得された当該判別用パラメータのデータベースと照合・比較して微生物の種類を同定する機能を有することを特徴とする微生物の判別システム。
  2. 前記微生物が真菌類である場合に、前記判別用パラメータとして、直径200ピクセル円内の菌糸本数、直径200ピクセル円内の分岐点数、直径300ピクセル円内の分岐点数と平均輝度値、直径300ピクセルの円に直交する菌糸輝度値の差の平均値を含む5種のパラメータのうちから選ばれる、少なくとも3種以上のパラメータが算出されることを特徴とする請求項1に記載の微生物の判別システム。
  3. 前記微生物が真正細菌である場合に、前記判別用パラメータとして、コロニー最大増殖速度、コロニー可視化時間、相対平均輝度、ヒストグラムの偏差、ドーナツ性、画像エントロピー、画像エネルギー密度、画像エネルギー、重み付け中心の差異、及び中心領域の平均輝度の10種のパラメータのうちから選ばれる、少なくともコロニー最大増殖速度及び相対平均輝度を含む3種以上のパラメータ、もしくは、少なくともヒストグラムの偏差及びドーナツ性、またはドーナツ性及び画像エントロピーを含む2種以上のパラメータが算出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物の判別システム。
  4. 前記撮像モジュールは、一方向に延びるライン状の領域を撮像するセンサアレイを備えたラインセンサカメラにより構成され、前記ラインセンサカメラのセンサアレイが対物レンズを介さずに前記培養容器に近接して配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の微生物の判別システム。
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