JP7319407B2 - 細菌検査装置および細菌検査方法 - Google Patents
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Description
A’T=-k×(LT-L0)×s+AT0
ここで、基準時刻T0とその直前の時刻の細菌面積の傾きをs、基準時刻T0での細菌面積をAT0、現在の時刻Tの輝度特徴量をLT、基準時刻の輝度特徴量をLT0、輝度値の特徴量に固有な比例定数をk、補正後の細菌面積A’Tとする。
顕微鏡画像を用いた細菌の増殖状況を判定する方法では、細菌の増殖度合いに応じて2値化の閾値が異なることがあるため、細菌の増殖が進み、画像全体に細菌が増殖すると、2値化の閾値が適切に設定されなくなる可能性がある。そのため、画像内の実際の細菌よりも少なく検出され、細菌が減少しているように見えてしまう場合がある。
第1の実施形態は、検査プレートの各ウェルの画像を取得し、各ウェルの画像の輝度値(例えば、輝度平均値)の時間変化に基づいて細菌の増殖の有無を判定する形態について開示する。
図2は、本開示の実施形態(全実施形態共通)の細菌検査装置100の概略構成例を示す図である。細菌検査装置100は、照明部101と、検査プレート102と、対物レンズ103と、撮像部104と、画像処理部105と、制御部106と、を備えている。
図3は、画像処理部105の内部構成例を示す図である。画像処理部105は、演算部1051と、記憶部1053と、判別器(判別部)1055と、を備えている。
図4は、第1の実施形態による、画像処理および増殖/阻止判定(画像処理部105の処理の詳細)を説明するためのフローチャートである。なお、以降の説明において、画像は8bitのグレースケール画像とし、画素値0が黒、255が白とする。8bit以外のグレースケール画像や、白黒反転した画像でも、当該処理は有効(適用可能)である。カラー画像も、グレースケール画像へ変換することで同様の処理が可能となる。
演算部1051は、撮像部104から、撮影された画像を取得する(S300)。演算部1051での画像処理では、2つの独立した画像処理により特徴量が抽出される。1つは輝度値に基づく特徴量(撮像画像の各画素の輝度値に関する統計的特徴量)であり、もう1つは既知の手法による特徴量(2値化画像に基づく特徴量)である。それぞれの特徴量抽出処理は、例えば、並行して実行することができる。
演算部1051は、各画素の輝度値から、画像内の輝度値ヒストグラムを算出する。
演算部1051は、ステップ310で得られた輝度値ヒストグラムから輝度値の特徴量として、平均値、中央値、最頻値などの特徴量を算出し、これらの輝度値の特徴量を記憶部1053に記憶する。
演算部1051は、まず対象の画像に対して分散フィルタ処理を実行する。分散フィルタ処理は、注目する画素の値を、その画素の周囲の画素の分散値に置き換える処理である。細菌がある画素では、細菌がいない周囲の画素との変化が大きくなるため、細菌のエッジを検出することができる。分散フィルタ以外のエッジ検出技術、例えばソーベルフィルタなどを用いてもよい。
演算部1051は、分散フィルタ処理された画像に対してガウシアンフィルタ処理を実行する。ガウシアンフィルタ処理は、検出したエッジを平滑化するために行う処理である。その後、処理後の画像を見やすくするため、任意で白黒反転処理を行う。白黒反転により、細菌が黒、背景が白と表示される。
続いて、演算部1051は、その後の2値化処理のため、白黒の閾値を設定する。画像内の細菌の明るさやコントラストは、菌種や画像内の細菌数によって変化するため、同じウェルの画像であっても、培養が進むに従って変化する場合がある。一定の閾値で2値化した場合には、画像内の細菌を十分に認識できず、細菌数などに誤差が生じることがある。したがって、同一ウェルであっても、画像毎に自動で判別する必要がある。本実施形態では、公知である判別分析を利用した方法で2値化の閾値を設定する。閾値の自動設定法は、公知の別の方法を利用してもよい。
演算部1051は、ステップ324で設定された閾値に基づいて2値化処理を実行し、2値化された画像を記憶部1053に保存する。
演算部1051は、2値化された画像から、細菌として黒で認識された部分について特徴量を抽出する。特徴量として、画像内の細菌数、細菌面積、細菌の周長、細菌の真円度、短軸・長軸の長さおよびそれらの比、などが算出される。
演算部1051は、ステップ312で抽出した特徴量(輝度値の特徴量)とステップ328で抽出した特徴量(2値化画像に基づく特徴量)のそれぞれについて、同一ウェルからの時間変化を利用した新たな特徴量を算出する。この新たな特徴量としては、最大値、最小値、傾き、特定の2つの時刻間の特徴量の差分、最大値や最小値が得られた時間、などが算出される。これらの新たな特徴量も、記憶部1053で保存される。測定したデータは、再度教師データとして利用することも可能である。教師データを増やすことで、判別器1055の判定精度を向上させることができる。
判別器1055は、演算部1051から新たな特徴量を取得し、ウェルごとに判別結果を出力する。まず、判別器1055は、輝度値の特徴量(輝度値に関する統計的特徴量)を用いて、細菌の増殖が起こっているか判別する。本実施形態では、輝度値の統計的特徴量として、平均値が使用される。あらかじめ設定された判別時刻で撮影された画像から輝度平均値を算出し、培養初期の輝度平均値との差分を算出する。ここで、培養初期とは、培養開始後0~1時間程度とする。閾値は、教師データにより学習して設定される。画像全体に細菌が増殖した場合、細菌は焦点が合っている底面よりも上部でも増殖が進む。細菌の増殖が進むと、透過する光量が減少するため、画像全体の輝度値が黒に近づき、輝度平均値は減少する。したがって画像の輝度平均値が、ある閾値以下に減少したときに、確実に細菌が増殖していると判別することができる。細菌の増殖が画像全体に至らない場合には、輝度平均値の変化は非常に少ないため、誤って細菌を増殖と判別することはない。
判別器1055は、判別する時刻の輝度平均値と、培養初期の輝度平均値の差分の絶対値が閾値よりも大きい場合、増殖と判定する。
一方、判別器1055は、輝度平均値の差分が閾値以下の場合は、細菌の特徴量を用いた判別式により、増殖または阻止と判別する。細菌の特徴量としては、細菌数や細菌面積の最大値、細菌面積の傾き、真円度の最小値など、1ないし複数の特徴量を用いて判別式を作成する。判別式は、抗菌薬や菌種により異なる特徴量を用いることが好ましい。
図5は、細菌の生画像の例と画像処理ステップ300~ステップ326の処理により2値化した画像の例を示す図である。当該測定例では、アンピシリン/スルバクタムの濃度4/2μg/mLを含む培地で大腸菌を培養し、0分、180分、360分で撮影した。2値化画像において黒色の部分が細菌と認識されている部分である。さらに、図5と同じ条件で30分毎に6時間撮影した画像から、S312およびS328で特徴量を抽出した。図6は、特徴量の例として、画像内の細菌面積と輝度平均値をプロットした結果を示す図である。図6に示されるように、細菌面積は300分まで増加しているが、その後は減少している。一方、輝度平均値は培養初期から6時間までほとんど変化がない。ここから、ステップ330における時間変化に基づく特徴量の例として、最大細菌面積や各測定時刻での傾きが算出される。例えば、判別時間が6時間のとき、6時間時点での細菌面積の最大値、6時間とその直前の細菌面積から求められる傾き、6時間での輝度平均値と0時間での輝度平均値の差分、などを算出する。
第2の実施形態は、各ウェルの画像に対して最小値フィルタ処理を施し、各画像の輝度値の時間的変化に基づいて、より迅速に細菌の増殖を判定する形態について開示する。
第2の実施形態による細菌検査装置について、第1の実施形態による細菌検査装置100(図2参照)と同様の構成(例)を用いることができる。
図12は、図9に示した画像に対して3×3の最小値フィルタ処理を施した場合の輝度最頻値の変化と当該最小値フィルタ処理を施さない場合の輝度最頻値の変化とを比較した結果を示す図である。
第3の実施形態は、輝度値変化を利用し、画像全体に細菌が増殖した後の細菌の増殖曲線を推定する形態について開示する。
一般的な細菌検査装置においては、細菌が画像全体に増殖してしまうと、それ以降に細菌が増殖しているかどうかを検知することができない。また、ユーザが制御部106で細菌面積を利用して細菌の増殖曲線を確認する場合に、自動2値化の影響により細菌面積が減少していると、直感的に増殖かどうかわかりにくくなってしまう。このため、細菌面積が減少したとしても細菌が増殖したか否かの判断を可能にすることが望ましい。
本実施形態では、輝度最頻値と細菌面積を組み合わせることにより、細菌面積の増殖曲線を推定している。図15は、細菌面積と輝度値に基づいて細菌面積による増殖曲線を推定する処理を説明するためのフローチャートである。以下、細菌面積の増殖曲線推定処理について説明する。
画像処理部105は、図4の画像処理に基づいて、入力された画像を用い、各特徴量(輝度最頻値および最近検知後の特徴量)を算出する。
画像処理部105は、培養初期の輝度最頻値に対して、ある時刻で撮影された画像の輝度最頻値の差分の絶対値が、あらかじめ設定された閾値を超えたか否か判断する。当該輝度最頻値の差分の絶対値が閾値以下の場合、処理はステップ1411に移行する。当該輝度最頻値の差分の絶対値が閾値よりも大きい場合、処理はステップ1421に移行する。当該輝度最頻値の差分の絶対値が閾値よりも大きい場合には、細菌の検知が実際よりも少なくなったと判断される。当該予め設定された閾値は、例えば、教師データにより学習し、設定することができる。
画像処理部105は、輝度最頻値の差分絶対値が閾値以下の場合、抽出された細菌面積をそのまま用いる。
画像処理部105は、輝度最頻値の差分の絶対値が閾値を超えた場合、同一ウェルで撮影された画像から、各時刻の輝度最頻値の傾きを計算する。なお、培養初期(0~1時間まで)では菌数が少ないことが明らかであるため、傾きは計算しない。
画像処理部105は、培養初期と次の撮影時刻の傾き(例えば、1時間と1.5時間との輝度最頻値の傾き)に対して、一定以上の傾きの変化となった時刻を基準時刻に設定する。例えば、培養初期での傾きの10倍以上の傾きとなった時刻が基準時刻とされる。
画像処理部105は、基準時刻以降の細菌面積について、式(1)に示される補正式を用いて、細菌面積を補正する。
A’T=-k×(LT-L0)×s+AT0 ・・・・ (1)
式(1)では、基準時刻T0とその直前の時刻の細菌面積の傾きをs、基準時刻T0での細菌面積をAT0、現在の時刻Tの輝度最頻値をLT、基準時刻の輝度最頻値をLT0、輝度値の特徴量に固有な比例定数をkとし、補正後の細菌面積A’Tを推定する。つまり、細菌面積は、基準時刻まではほぼ正確に検出できているとの仮定と、基準時刻直後も対数増殖期であると考えられる。このことから、ほぼ同等の増殖速度で細菌は増殖していると仮定し、増殖曲線を推定する。その後の細菌の増殖速度は、基準時刻の輝度値からの変化量にほぼ比例すると考えられるため、輝度値の差分に傾きをかけることで細菌面積が推定される。細菌の増殖が飽和し、静止期となると細菌の増殖速度が低下するため、輝度値の変化量も少なくなる。
画像処理部105は、細菌面積の変化を制御部106に出力する。制御部106は、生成された増殖曲線を表示装置の表示画面に表示する。これにより、ユーザは、増殖曲線を確認することができるようになる。
図16は、図9に示した画像の輝度最頻値、補正前の細菌面積、および補正後の細菌面積の時間変化を示す(30分毎に撮影)図である。
(i)各実施形態は、細菌の同定や薬剤感受性を検査する細菌検出装置について開示する。当該細菌検査装置は、抗菌薬と細菌を含む培養液を保持する複数のウェルのそれぞれにおける菌の画像を、複数の時点において取得する顕微鏡光学系と、菌の画像ごとに輝度値の特徴量を算出する演算部と、輝度値の特徴量の変化に基づいて、ウェルにおける細菌の増殖を判別する判別部と、判別部による判別結果を表示する表示装置と、を備える。ここで、演算部は、上記輝度値の特徴量として、平均値、中央値および最頻値のうち少なくとも1つを含む特徴量を算出する。従来は、細菌の形状の特徴量(細菌の面積、周長、円形度、個数の少なくとも1つ)によって細菌の増殖および阻止を判別していたが、本実施形態では輝度値の特徴量に基づいて増殖の有無を判定するので、確実にかつ精度良く細菌の増殖を検知することができるようになる。
101 照明部
102 検査プレート
103 対物レンズ
104 撮像部
105 画像処理部
106 制御部
Claims (10)
- 細菌の同定や薬剤感受性を検査する細菌検査装置であって、
抗菌薬と細菌を含む培養液を保持する複数のウェルのそれぞれにおける菌の画像を、複数の時点において取得する顕微鏡光学系と、
前記菌の画像ごとに輝度値の特徴量を算出する演算部と、
前記輝度値の特徴量の時間的変化に基づいて、前記ウェルにおける前記細菌の増殖を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果を表示する表示装置と、を備え、
前記演算部は、前記輝度値の特徴量として、平均値、中央値および最頻値のうち少なくとも1つを含む特徴量を算出し、前記輝度値の特徴量の変化が閾値を超えた場合に、前記複数のウェルのそれぞれのウェルにおける画像から前記輝度値の特徴量の傾きを算出し、前記傾きが予め決められた大きさ以上の変化をした時刻を基準時刻とし、前記基準時刻以降の細菌面積について、以下の式を用いて補正して、細菌の増殖曲線を推定し、前記推定された細菌の増殖曲線を前記表示装置に表示させる、細菌検査装置。
A’T=-k×(LT-L0)×s+AT0
ここで、基準時刻T0とその直前の時刻の細菌面積の傾きをs、基準時刻T0での細菌面積をAT0、現在の時刻Tの輝度特徴量をLT、基準時刻の輝度特徴量をLT0、輝度値の特徴量に固有な比例定数をk、補正後の細菌面積A’Tとする。 - 請求項1において、
前記基準時刻は、前記複数のウェルのそれぞれのウェルにおける培養初期と当該ウェルの次の撮像時刻における前記輝度の特徴量の傾きに対して、前記傾きが予め決められた大きさ以上の変化をした時刻である、細菌検査装置。 - 請求項1において、
前記輝度値の特徴量の変化が閾値を超えない場合には、前記補正を行わずに細菌面積の時間変化を算出し、細菌の増殖曲線を前記表示装置に表示させる、細菌検査装置。 - 請求項1において、
前記演算部は、前記菌の画像の前記輝度値の特徴量に加えて、前記菌の画像内の前記細菌の面積、円形度、周長および個数のうち少なくとも1つを含む形状特徴量を取得し、前記判別部は、前記輝度値の特徴量と前記形状特徴量とを複数組み合わせて、前記細菌の増殖および阻止について判別する、細菌検査装置。 - 請求項1において、
前記演算部は、前記菌の画像に対して最小値フィルタ処理を施して前記菌のエッジを強調した後に前記輝度値の特徴量を算出する、細菌検査装置。 - 細菌の同定や薬剤感受性を検査する細菌検査方法であって、
顕微鏡光学系を用いて、抗菌薬と細菌を含む培養液を保持する複数のウェルのそれぞれにおける菌の画像を、複数の時点において取得することと、
演算部が、前記菌の画像ごとに輝度値の特徴量を算出することと、
判別部が、前記輝度値の特徴量の時間的変化に基づいて、前記ウェルにおける前記細菌の増殖を判別することと、
表示装置が、前記判別部による判別結果を表示することと、を含み、
前記演算部は、前記輝度値の特徴量として、平均値、中央値および最頻値のうち少なく
とも1つを含む特徴量を算出し、前記輝度値の特徴量の変化が閾値を超えた場合に、前記複数のウェルのそれぞれのウェルにおける画像から前記輝度値の特徴量の傾きを算出し、前記傾きが予め決められた大きさ以上の変化をした時刻を基準時刻とし、前記基準時刻以降の細菌面積について、以下の式を用いて補正して、細菌の増殖曲線を推定し、前記推定された細菌の増殖曲線を前記表示装置に表示させる、細菌検査方法。
A’T=-k×(LT-L0)×s+AT0
ここで、基準時刻T0とその直前の時刻の細菌面積の傾きをs、基準時刻T0での細菌面積をAT0、現在の時刻Tの輝度特徴量をLT、基準時刻の輝度特徴量をLT0、輝度値の特徴量に固有な比例定数をk、補正後の細菌面積A’Tとする。 - 請求項6において、
前記基準時刻は、前記複数のウェルのそれぞれのウェルにおける培養初期と当該ウェルの次の撮像時刻における前記輝度の特徴量の傾きに対して、前記傾きが予め決められた大きさ以上の変化をした時刻である、細菌検査方法。 - 請求項6において、
前記輝度値の特徴量の変化が閾値を超えない場合には、前記補正を行わずに細菌面積の時間変化を算出し、細菌の増殖曲線を前記表示装置に表示させる、細菌検査方法。 - 請求項6において、
さらに、前記演算部が、前記菌の画像内における、前記細菌の面積、円形度、周長および個数のうち少なくとも1つを含む形状特徴量を取得することと、
前記判別部が、前記輝度値の特徴量と前記形状特徴量とを組み合わせて、前記細菌の増
殖および阻止を判別することと、を含む、細菌検査方法。 - 請求項6において、
前記演算部は、前記菌の画像に最小値フィルタ処理を施して前記菌のエッジを強調した
後、前記輝度値の特徴量を算出する、細菌検査方法。
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