以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
また、この明細書において「アクリル系ポリマー」とは、(メタ)アクリル系モノマーに由来するモノマー単位をポリマー構造中に含む重合物をいい、典型的には(メタ)アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を50重量%を超える割合で含む重合物をいう。また、(メタ)アクリル系モノマーとは、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーをいう。ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。したがって、ここでいう(メタ)アクリル系モノマーの概念には、アクリロイル基を有するモノマー(アクリル系モノマー)とメタクリロイル基を有するモノマー(メタクリル系モノマー)との両方が包含され得る。同様に、この明細書において「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸およびメタクリル酸を、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、それぞれ包括的に指す意味である。
また、ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着フィルム、粘着ラベル等と称されるものが包含され得る。粘着シートは、ロール形態であってもよく、枚葉形態であってもよく、用途や使用態様に応じて適宜な形状に切断、打ち抜き加工等されたものであってもよい。
図1は一実施形態に係る粘着シートを模式的に示す上面図であり、図2は図1のII−II線における断面図である。図面を参照しながら、この実施形態の粘着シートについて説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る粘着シート1は、粘着剤層20と、該粘着剤層を支持するフィルム状基材(支持基材)10との積層構造を有する。粘着剤層20は、支持基材10の第一面側に固定的に、すなわち当該支持基材10から粘着剤層20を分離する意図なく、設けられている。粘着シート1において、粘着剤層20が設けられている側の表面20Aは粘着性表面(粘着面)1Aとなっている。粘着シート1は、粘着面1Aの被着体への貼り合わせの初期(例えば、貼り合わせから30分程度経過した時点)においては低粘着性を示すように構成されている。粘着シート1の他方の表面、すなわちフィルム状基材10側の表面1Bは、非粘着性の表面である。
粘着剤層20の表面20Aには、密着抑制材としてのコート層30が部分的に配置されている。換言すると、粘着剤層20の表面20Aは、コート層30によって部分的に覆われている。このことによって、粘着面1Aは、コート層30が配置されたコート層配置部50と、コート層30が配置されておらず粘着剤層20が表面(粘着面1A)に露出したコート層非配置部51と、を有する。本実施形態では、このコート層配置部50によって、粘着シート1と被着体との間におけるガスの移動を誘導する案内部が構成されている。コート層配置部(案内部)50では、粘着剤層20と被着体との間にコート層30が介在することにより、コート層非配置部(非案内部)51に比べて粘着面1Aの被着体への密着が抑制されている。すなわち、コート層配置部50は、粘着面1Aの被着体への密着が部分的に抑制された部分となっている。これにより、粘着シート1と被着体との間に形成された気泡内のガスを粘着面1Aに沿って押し出す(移動させる)際に、コート層配置部50と被着体との間にガスが誘導されやすくなっている。
ここで、ガスの押し出し速度または容量が小さい場合は、コート層配置部50と被着体との間をガス流路として利用することで、ガスを十分に移動させ得る。このようにコート層配置部50と被着体との間を通じて気泡内のガスを抜き出すことにより、小容量の気泡を効果的に解消することができる。一方、ガスの押し出し速度または容量が大きい場合には、粘着面1Aの低粘着性により、コート層非配置部51を被着体から浮き上がらせることでガス流路を拡大し、ガスを効率よく移動させることができる。これにより大容量の気泡をも効率よく解消することができる。このとき、コート層非配置部51の浮き上がりは、主として、より浮き上がりやすいコート層配置部50との境界を起点として進行する。したがって、コート層非配置部51と被着体との間をガス流路の一部として利用する場合にも、コート層配置部50がガスの移動を誘導する案内部として機能することにより、ガスの広がり(拡散)を抑制することができる。
なお、コート層30は、その表面が粘着剤層表面20Aと面一であってもよく、粘着剤層表面20Aに対して厚さ方向の少なくとも一部が突出していてもよい。また、特に図示しないが、ここに開示される粘着シートは、図1に示すようにコート層を粘着剤層上に配置する態様に限定されず、コート層の下には粘着剤層がない構成としてもよい。例えば、支持基材の第一面上に直接コート層を配置してもよい。このような構成によってもコート層配置部を案内部として機能させることができる。
コート層配置部50は、粘着剤層表面20Aを上方から見たときに所定のパターン(コート層パターン)60を呈している。この実施形態では、コート層配置部50は格子状パターン60を呈している。コート層30による格子状パターン60は、具体的には、粘着剤層表面20Aを上方から見たときに、第1ストライプ状パターン部70と、第1ストライプ状パターン部70と交差するように配置された第2ストライプ状パターン部80とからなる。
第1ストライプ状パターン部70は、粘着剤層20の一端から他端に向かって直線状に延びる複数の長尺部(帯状部分)75A,75B,75Cから構成されており、これら複数の長尺部75A,75B,75Cは、その幅方向にて間隔をおいて平行に配置されている。この実施形態では、長尺部75A,75B,75Cは、その長手方向が粘着シート1の幅方向の端部と交差する角度で配置されており、それぞれ粘着剤層20の一端から他端に到達している。なお、この明細書において「長尺部」は、長手方向と幅方向(長手方向に直交する方向)とを有する部分という意味で用いられ、典型的には、直線状、曲線状にかかわらず、帯状に延びる部分である。長尺部は、線状に延びる部分と言い換えることが可能である。
第2ストライプ状パターン部80も、第1ストライプ状パターン部70と同様に、粘着剤層20の一端から他端に向かって直線状に延びる複数の長尺部(帯状部分)85A,85B,85Cから構成されており、これら複数の長尺部85A,85B,85Cは、その幅方向にて間隔をおいて平行に配置されている。この実施形態では、長尺部85A,85B,85Cは、その長手方向が粘着シート1の幅方向の端部と交差する角度で配置されており、それぞれ粘着剤層20の両端に到達している。
なお、この実施形態では、長尺部75A,75B,75C,85A,85B,85Cは直線状であるが、これに限定されず、各長尺部は曲線状や折れ線状に延びるものであってもよい。その場合、複数の長尺部が形成し得るストライプ状パターンは波状等であり得る。波状としては、サインウェーブや疑似サインウェーブ、円弧波等の曲線状のものや、ジグザグ状、三角波等の非曲線状のものが挙げられる。波状パターンは、同形または異形の2種以上の波をそれらの位相をずらした状態で、あるいは形状やパターンを反転させる等して、重ねて形成されたものであってもよい。
また、この実施形態では、第1ストライプ状パターン部70と第2ストライプ状パターン部80とは、第1ストライプ状パターン部70の長尺部75A,75B,75Cと第2ストライプ状パターン部80の長尺部85A,85B,85Cとがほぼ直交するように交差している。したがって、第1ストライプ状パターン部70の長尺部75A,75B,75Cと第2ストライプ状パターン部80の長尺部85A,85B,85Cとは、部分的に重なっている。
なお、本明細書において格子状パターンとは、典型的には、互いに交差する2つのストライプ状パターン部を含むパターンを指し、本実施形態のような斜方格子だけでなく、正方格子、三角格子等の各種の格子形状を包含する。長尺部が直線状の場合、2つのストライプ状パターン部の交差角度(鋭角側)は、10度〜90度(好ましく45度〜90度、典型的には60度〜90度)の範囲内で設定され得る。また、ここに開示される格子状パターンには、屈曲を繰り返す複数の長尺部から構成されるストライプ状パターン部を含むパターン、例えば六角格子や三角格子のようなパターンも包含されるものとする。そのようなパターンは、隣りあう長尺部同士が一部で接続したものであり得る。気泡解消性(空気抜け性)の観点から、コート層配置部は、1または2以上のストライプ状パターン部を有することが好ましい。したがって、コート層配置部(典型的には格子状パターン)は、第3のストライプ状パターン部を有するものであり得る。
コート層配置部50における各長尺部75A,75B,75C,85A,85B,85Cの幅W1は、特に限定されず、案内部として有効に機能しかつ所望の初期粘着力と加熱後粘着力とを両立し得るように設定することができる。粘着シートの外観や粘着性能の均一性の観点から、長尺部の幅W1は、通常、凡そ5mm以下が適当であり、凡そ3mm以下が好ましく、凡そ2mm以下がより好ましく、凡そ1mm以下がさらに好ましい。ここに開示される粘着シートは、初期の低粘着性を利用して、必要に応じてコート層非配置部(非案内部)51を被着体から浮き上がらせることでガス流路を容易に拡大し得ることから、長尺部の幅W1をより狭く設定しても良好な気泡解消性を発揮し得る。このことは粘着シートの外観品位向上や加熱後粘着力向上の観点から有利である。かかる観点から、いくつかの好ましい態様において、長尺部の幅W1は、例えば0.7mm以下であってよく、0.5mm以下でもよく、0.4mm以下でもよく、0.3mm以下でもよい。長尺部の幅W1の下限は、粘着シートと被着体との間においてガスの移動を誘導する案内部としての機能を発揮し得る幅であればよく、特に限定されない。製造容易性の観点から、長尺部の幅W1は、例えば0.01mm以上とすることができ、通常は0.03mm以上が適当である。いくつかの態様において、長尺部の幅W1は、例えば0.05mm以上であってよく、0.1mm以上でもよく、0.15mm以上でもよい。長尺部の幅W1の増大により、案内部と被着体との間を通じてのガスの移動性が増す傾向にある。このことは小気泡の解消容易性の観点から有利となり得る。
コート層配置部50において第1ストライプ状パターン部70を構成する長尺部75A,75B,75Cの間隔W2は、特に限定されず、案内部として有効に機能しかつ所望の初期粘着力と加熱後粘着力とを両立し得るように設定することができる。ここで長尺部の間隔W2とは、図1に示すように、粘着剤層表面において隣りあう2つの長尺部の間に存在する部分の幅を指す。案内部としての有効性や粘着性能の均一性の観点から、長尺部の間隔W2は、通常、凡そ20mm以下が適当であり、凡そ10mm以下が好ましい。いくつかの態様において、長尺部の間隔W2は、例えば5mm以下であってよく、3mm以下でもよく、2mm以下でもよい。また、長尺部の間隔W2は、使用時における接合信頼性や製造容易性の観点から、通常、0.5mm以上が適当であり、1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上(例えば1.5mm以上)がより好ましい。第2ストライプ状パターン部80を構成する長尺部85A,85B,85Cの間隔も、上記長尺部75A,75B,75Cの間隔W2として例示した範囲内から好ましく設定される。上記間隔W2は等間隔であることが好ましい。
長尺部のピッチは、特に限定されないが、使用時における接合信頼性や製造容易性の観点から、通常、0.6mm以上が適当であり、1.1mm以上が好ましく、1.4mm以上(例えば1.7mm以上)がより好ましい。また、粘着性能の均一性の観点から、上記長尺部のピッチは、通常、凡そ25mm以下が適当であり、15mm以下が好ましく、5mm以下(例えば3mm以下)がさらに好ましい。なお、上記ピッチは、上記長尺部の幅方向の中心線間の距離(間隔)を指すものとする。
粘着シート1は、使用前においては、図3に示すように、粘着面1Aが、少なくとも粘着面1A側が剥離面となっている剥離ライナー40によって保護された構成を有する剥離ライナー付き粘着シート1の形態であり得る。あるいはまた、フィルム状基材10の背面(粘着面1A側の表面とは反対側の面)が剥離面となっており、粘着シート1を巻回することにより粘着面1Aがフィルム状基材10の背面で保護された構成であってもよい。このように片面のみが接着性を有する片面接着性の粘着シート(片面粘着シート)は、例えば、粘着面とは反対側の表面に装飾性、表面保護性等の特性が要求される場合や、塗料代替シートとして用いられる場合に好適である。
また、ここに開示される粘着シートが、図4に示す両面接着タイプの基材付き粘着シート(両面粘着シート)の場合には、粘着シート2は、フィルム状基材10の各面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22がそれぞれ設けられ、それらの粘着剤層21,22が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー41,42によってそれぞれ保護された構成を有するものであり得る。なお、この粘着シート2では、粘着剤層21の表面にのみコート層30が部分的に配置されており、粘着剤層22の表面にはコート層は設けられていない。あるいは、特に図示しないが、両面粘着シートは、フィルム状基材の各面(いずれも非剥離性)にそれぞれ粘着剤層が設けられ、それらのうち一方の粘着剤層が、両面が剥離面となっている剥離ライナーにより保護された構成を有していてもよい。この種の粘着シートは、該粘着シートを巻回して他方の粘着剤層を剥離ライナーの裏面に当接させることにより、2つの粘着剤層が1つの剥離ライナーによって保護された構成となる。上記両面粘着シートは、例えば接合固定用途等に好ましく利用される。
なお、上記実施形態におけるコート層配置部50は、粘着面に部分的に設けられた密着抑制材(ここではコート層)により構成された案内部の一例であるが、ここに開示される技術における案内部の構成はこれに限定されない。例えば、粘着面に部分的な凹部を設けることで案内部を形成してもよい。この場合、上記凹部において粘着面の被着体への密着が部分的に抑制されることで、当該部分を案内部として機能させ得る。上記凹部は、例えば、粘着面を上方から見たときに上記凹部が上述したコート層配置部50と同様の格子状パターン60を呈するように形成することができる。上記凹部が長尺部を有する態様において、該長尺部の形状や配置(長尺部の幅W1、長尺部の間隔W2、長尺部のピッチ等)は特に限定されず、案内部として有効に機能しかつ所望の初期粘着力と加熱後粘着力とを両立し得るように設定することができる。例えば、長尺部の幅W1、間隔W2、ピッチは、上述したコート部の有する長尺部において採用し得る幅W1、間隔W2、ピッチと同様の範囲から選択することができる。なお、本明細書において上記凹部の形状とは、特記しない場合、該凹部の粘着面への開口端における形状をいうものとする。
上記粘着面の凹部は、例えば、粘着剤層表面に開口する穴や溝等であり得る。表面に凹部を有する粘着剤層は、例えば、凸部を有する剥離面に流動性を有する粘着剤組成物を付与して乾燥または硬化させることにより上記剥離面側の表面に凹部を有する粘着剤層を形成する方法、あらかじめ形成された粘着剤層をエンボス加工することにより該粘着剤層の表面に凹部を形成する方法、等により作製することができる。あるいは、表面に凹部を有する支持基材に、平滑な剥離面上に形成された粘着剤層を貼り合わせることで、上記支持基材の表面形状の影響により粘着剤層の表面に凹部が形成されるようにしてもよい。これらの方法を適宜組み合わせてもよい。
上記粘着面の凹部は、また、粘着面に粘着剤層を有しない部分(すなわち、粘着剤層不存在部)を部分的に設けることにより形成された凹部であってもよい。このような凹部は、粘着面を構成する粘着剤層の隙間(切れ間)や、粘着剤層に形成された貫通孔等であり得る。粘着面に粘着剤層不存在部を有する粘着シートは、粘着剤組成物をパターン状に塗工する方法や、連続的に塗工された粘着剤組成物を部分的に除去した後に乾燥または硬化させる方法、連続的に形成された粘着剤層を部分的に除去する方法、等により作製することができる。これらの方法を組み合わせてもよい。
ここに開示される粘着シートにおいて、案内部の形状は、上述のような格子状パターンに限定されず、案内部としての機能、すなわち粘着面と被着体との間においてガスの移動を方向づける機能を発揮し得る形状であればよい。例えば、幅方向に間隔をおいて配置された一群の長尺部により構成されたストライプ状パターンを有し、該ストライプ状パターンと交差するパターンを有しない案内部であってもよい。
案内部は、上記ストライプ状パターンのように粘着シートの端に至るまで連続して設けられるものに限定されず、例えば粘着シートの端に至っていなくてもよく、断続的に(すなわち、不連続に)設けられていてもよい。粘着シートの端まで連続して案内部を設けることにより、粘着面と被着体との間に存在するガスを、該案内部と被着体との間から粘着シートの貼付け範囲外まで追い出しやすくなる。一方、ここに開示される粘着シートは、初期粘着力が低いので、案内部以外の部分、すなわち非案内部においても該非案内部を被着体から浮き上がらせることで上記ガスを移動させることができる。したがって、案内部が粘着シートの端に至っていない態様や、案内部に不連続な箇所がある態様であっても、非案内部と被着体との間をガス流路の一部として利用し、かつ該ガスの移動を案内部により誘導することによって、ガスの追い出しを効率よく行うことができる。案内部が粘着シートの端に至っていない態様によると、粘着シートの使用時に、該粘着シートの外縁における浮きや剥がれの発生が抑制される利点がある。また、案内部に不連続な箇所がある態様は、初期の低粘着性および上記案内部の機能を利用して初期における良好な気泡解消性を享受しつつ、使用時における接合信頼性をより向上させる観点から有利となり得る。案内部は、連続する部分と不連続な部分とを含んでいてもよい。
不連続な案内部の一例として、上述のようなストライプ状パターンや格子状パターンを不連続な線(点線、破線等)により構成した案内部が挙げられる。不連続な案内部の他の例として、短線、長円、楕円、数珠状、長方形、菱形、三角形等のように異方性のあるドット状パターンを、該異方性パターンの向き(姿勢)が概ね揃うように配向させて設けた案内部が挙げられる。ここで、異方性パターンの向きが概ね揃うとは、典型的には、異方性パターンのうち該異方性の向きが概ね±45度の範囲内にあるパターンの個数割合が凡そ50%超(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、例えば90%以上)であることをいう。上記異方性パターンは、その異方性の向きに応じた方向に配列されていてもよく、ランダムに配置されていてもよい。あるいは、実質的に異方性を有しない形状のドット状パターン(典型的には円形や円環状のパターン)が間隔をあけて配列された構成の案内部であってもよい。
ここに開示される粘着シートにおいて、粘着面に占める案内部の面積割合(例えば、コート層、介在物または凹部の面積割合。ここで凹部の面積とは、該凹部の粘着面への開口端における面積をいう。)は、特に限定されず、所望の初期粘着力と加熱後粘着力とを両立し得るように適宜設定することができる。案内部の面積割合は、例えば50%未満であってよく、40%以下であってもよく、30%以下であってもよい。使用時における接合信頼性の観点から、いくつかの態様において、案内部の面積割合は、25%以下であってよく、20%以下であってもよい。ここに開示される粘着シートは、必要に応じて非案内部をも利用してガスの追い出しを行い得ることから、案内部の面積割合が15%未満、または10%未満、または5%未満、または2%未満である態様でも好適に実施され得る。一方、ガスの追い出し性を高める観点から、いくつかの態様において、案内部の面積割合は、5%以上としてもよく、10%以上としてもよく、15%以上としてもよい。
ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、該粘着シートは、被着体への貼付け後に経時や加熱により粘着力が上昇した後(例えば、粘着力が3N/20mmに上昇した後)においても、粘着シートと被着体との間に存在するガスを該被着体と案内部と被着体との間から粘着シートの貼付け範囲外に追い出し得るように構成され得る。このように構成された粘着シートには、例えば、粘着力の上昇後または上昇の過程で粘着シートまたは被着体から発生したガス等を上記案内部を通じて追い出し得るという利点がある。
また、ここに開示される粘着シートの他のいくつかの態様において、該粘着シートは、被着体への貼付け後に(例えば、経時や加熱等により)案内部が縮小、減少または消失するように構成され得る。このような案内部の縮小等は、例えば、粘着剤の流動によって粘着面の凹部が縮小、減少または消失することや、密着抑制材またはその構成成分の一部が粘着剤層に吸収されること等により起こり得る。上記案内部の縮小等は、加熱後粘着力や外観を向上させる観点から有利となり得る。
<粘着シートの特性>
ここに開示される粘着シートは、気泡解消性の向上に適した低い初期粘着力と、被着体の固定等に適した十分な加熱後粘着力とを兼ね備えている。初期粘着力が低いことは、気泡解消性のほか、粘着シートの貼り損ねや貼り間違い等が生じた場合におけるリワーク性向上の観点からも有益である。上記初期粘着力は、例えば凡そ1.0N/20mm以下であり得る。上記加熱後粘着力は、例えば凡そ3.0N/20mm以上であり得る。ここで、初期粘着力は、被着体としてのステンレス鋼(SUS)板に圧着して23℃、50%RHの環境で30分間放置した後、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で180°引きはがし粘着力を測定することにより評価することができる。また、加熱後粘着力は、被着体としてのSUS板に圧着して80℃で5分間加熱し、次いで23℃、50%RHの環境に30分間放置した後に、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で180°引きはがし粘着力を測定することにより評価することができる。被着体としては、初期粘着力、加熱後粘着力ともに、SUS304BA板が用いられる。初期粘着力および加熱後粘着力は、より具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。なお、両面粘着シートについて測定を行う場合、必要に応じて、測定対象ではない側の粘着面に適当なフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のプラスチックフィルム)を貼り合わせる、適当なパウダーをまぶす等の手法により、該粘着面のべたつきによる作業性の低下を回避することができる。また、基材レスの両面粘着シートの場合は、必要に応じて、測定対象の粘着シートに適切な裏打ち材(例えば、厚さ25μm程度のPETフィルム)を貼り付けて補強することができる。後述する気泡抜け性の評価においても同様である。
ここに開示される粘着シートの初期粘着力は、典型的には凡そ1.0N/20mm以下であり、通常は1.0N/20mm未満であることが好ましい。粘着シートの初期粘着力が低くなると、気泡解消性や粘着シートのリワーク性は、概して向上する傾向にある。かかる観点から、いくつかの態様において、初期粘着力は、0.8N/20mm以下であってもよく、0.6N/20mm以下であってもよい。初期粘着力の下限は特に制限されず、例えば0.01N/20mm以上であり得る。粘着シートの被着体への貼付け作業性(例えば、位置決め性や被着体表面への密着性)向上等の観点から、初期粘着力は、通常、0.05N/20mm以上であることが適当である。また、案内部による気泡の誘導作用を効果的に発揮する観点から、いくつかの態様において、初期粘着力は、0.1N/20mm以上であってよく、0.2N/20mm以上であってもよい。また、ここに開示される粘着シートは、初期粘着力が例えば0.3N/20mm以上である態様でも好適に実施され得る。初期粘着力は、粘着剤層を構成する粘着剤の組成、粘着面に占める案内部の面積割合、案内部の構成(例えば、材質、構造、配置)等により調節することができる。
特に限定するものではないが、気泡の押し出し性を高める観点から、粘着面のうち非案内部の初期粘着力は、通常、凡そ1.5N/20mm以下であることが適当であり、好ましくは1.2N/20mm以下(より好ましくは1.0N/20mm以下、例えば0.8N/20mm以下、または0.6N/20mm以下)である。また、非案内部の初期粘着力は、案内部による気泡の誘導作用を効果的に発揮する観点から、通常、0.05N/20mm以上であることが適当であり、0.1N/20mm以上(例えば0.2N/20mm以上、または0.3N/20mm以上)であってもよい。なお、非案内部の初期粘着力は、案内部を有しない他は本発明に係る粘着シートと同様に構成した粘着シートについて初期接着力を測定することにより把握することができる。
ここに開示される粘着シートの加熱後粘着力は、典型的には凡そ3.0N/20mm以上である。より高い加熱後粘着力を示すことは、粘着力上昇後(例えば、被着体の使用時)における接合信頼性向上の観点から好ましい。かかる観点から、いくつかの態様において、加熱後粘着力は、4.0N/20mm以上であってよく、5.0N/20mm以上であってもよい。ここに開示される粘着シートは、加熱後粘着力が7.0N/20mm以上または9.0N/20mm以上(例えば10N/20mm以上)である態様でも好適に実施され得る。加熱後粘着力の上限は特に制限されない。粘着シートの製造容易性や経済性の観点から、いくつかの態様において、加熱後粘着力は、50N/20mm以下であってよく、40N/20mm以下であってもよい。ここに開示される粘着シートは、加熱後粘着力が30N/20mm以下(例えば25N/20mm以下、または20N/20mm以下、または15N/20mm以下)である態様でも好適に実施され得る。
ここに開示される粘着シートにおいて、初期粘着力に対する加熱後粘着力の比(粘着力上昇比)は、例えば5以上であり得る。初期の低粘着性と使用時の強粘着性とをより高レベルで両立する観点から、粘着力上昇比は、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、25以上であることがさらに好ましい。いくつかの態様において、粘着力上昇比は、例えば30以上であってよく、35以上であってもよく、40以上であってもよく、45以上であってもよい。粘着力上昇比の上限は特に制限されないが、粘着シートの製造容易性や経済性の観点から、例えば100以下であってよく、80以下であってもよく、70以下でもよく、50以下(例えば15〜50程度)でもよい。ここに開示される粘着シートは、粘着力上昇比が40以下(例えば30以下)である態様でも好適に実施され得る。
なお、ここに開示される粘着シートの加熱後粘着力は、該粘着シートの一特性を表すものであって、この粘着シートの使用態様を限定するものではない。言い換えると、ここに開示される粘着シートの使用態様は、80℃で5分間の加熱を行う態様に限定されず、例えば室温域(通常は20℃〜30℃、典型的には23℃〜25℃)以上に加熱する処理を特に行わない態様でも使用することができる。かかる使用態様においても長期的に粘着力が上昇し、強固な接合を実現することができる。また、ここに開示される粘着シートは、貼付け後の任意のタイミングで加熱処理を行うことによって粘着力の上昇を促進することができる。かかる加熱処理における加熱温度は、特に限定されず、作業性、経済性、粘着シートの基材や被着体の耐熱性等を考慮して設定することができる。上記加熱温度は、例えば150℃未満であってよく、120℃以下であってもよく、100℃以下でもよく、80℃以下でもよく、70℃以下でもよい。また、上記加熱温度は、例えば35℃以上、50℃以上または60℃以上とすることができ、80℃以上としてもよく、100℃以上としてもよい。より高い加熱温度によると、より短時間の処理によって粘着力を上昇させ得る。加熱時間は特に限定されず、例えば1時間以下であってよく、30分以下であってもよく、10分以下でもよく、5分以下でもよい。あるいは、粘着シートや被着体に顕著な熱劣化が生じない限度で、より長期間の加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は、一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
<粘着剤層>
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する粘着剤は、特に限定されず、粘着剤の分野において公知のアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の、室温域においてゴム弾性を示す各種のポリマーの1種または2種以上をベースポリマー(すなわち、ポリマー成分の50重量%以上を占める成分)として含む粘着剤であり得る。ここに開示される技術における粘着剤層は、このようなベースポリマーを含む粘着剤組成物から形成されたものであり得る。粘着剤組成物の形態は特に制限されず、例えば水分散型、溶剤型、ホットメルト型、活性エネルギー線硬化型(例えば光硬化型)等の、各種の形態の粘着剤組成物であり得る。
(ベースポリマー)
上記ベースポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満であることが好ましく、−10℃未満(例えば−20℃未満)であることがより好ましい。かかるTgのベースポリマーを含む粘着剤は、適度な流動性(例えば、該粘着剤に含まれるポリマー鎖の運動性)を示すことから、初期粘着力が低くかつ加熱後粘着力の高い粘着シートの実現に適している。いくつかの態様において、ベースポリマーのTgは、−30℃未満であってよく、−40℃未満であってもよい。ベースポリマーのTgの下限は特に制限されないが、材料の入手容易性や粘着剤層の凝集力向上の観点から、通常はTgが−80℃以上のベースポリマーを好適に採用し得る。
ここで、ベースポリマーのTgとしては、文献やカタログ等に記載された公称値か、または該ベースポリマーの調製に用いられるモノマー成分の組成に基づいてFoxの式により求められるTgをいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。ベースポリマーがホモポリマーである場合、該ホモポリマーのTgとベースポリマーのTgとは一致する。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料に記載の値を用いるものとする。具体的には、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989年)に数値が挙げられている。上記Polymer Handbookに複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。上記Polymer Handbookに記載のないモノマーのホモポリマーのガラス転移温度としては、特開2007−51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いることができる。
特に限定するものではないが、ベースポリマーの重量平均分子量(Mw)は、典型的には凡そ5×104以上である。かかるMwのベースポリマーによると、良好な凝集性を示す粘着剤が得られやすい。いくつかの態様において、ベースポリマーのMwは、例えば10×104以上であってよく、20×104以上であってもよく、30×104以上であってもよい。また、ベースポリマーのMwは、通常、凡そ500×104以下であることが適当である。かかるMwのベースポリマーは、適度な流動性(ポリマー鎖の運動性)を示す粘着剤を形成しやすいことから、初期粘着力が低くかつ加熱後粘着力の高い粘着シートの実現に適している。
なお、この明細書において、ベースポリマーや後述するシロキサン構造含有ポリマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算して求めることができる。より具体的には、後述する実施例において記載する方法および条件に準じてMwを測定することができる。
(アクリル系ポリマーPa)
ここに開示される粘着シートは、Tgが0℃以下のアクリル系ポリマーPaをベースポリマーとして含む粘着剤により構成された粘着剤層を備える形態で好適に実施され得る。特に、後述するシロキサン構造含有ポリマーPsが(メタ)アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含む単独重合体または共重合体である場合には、かかるシロキサン構造含有ポリマーPsとの良好な相溶性が得られやすいことから、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーPaを好ましく採用し得る。ベースポリマーとシロキサン構造含有ポリマーPsとの相溶性が良いことは、粘着剤層の透明性向上の観点から有利である。また、粘着剤層内におけるシロキサン構造含有ポリマーPsの移動性向上を通じて、初期粘着力の低減および加熱後粘着力の向上にも寄与し得る。
アクリル系ポリマーPaは、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマー単位を50重量%以上含有するポリマー、すなわちアクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分全量のうち50重量%以上が(メタ)アクリル酸アルキルエステルであるポリマーであり得る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜20の(すなわち、C1−20の)直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ得る。上記モノマー成分全量のうち(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルの割合は、例えば50重量%〜99.9重量%であってよく、好ましくは60重量%〜98重量%、より好ましくは70重量%〜95重量%である。
(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルの非限定的な具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸C1−14アルキルエステルがより好ましい。いくつかの態様において、アクリル系ポリマーPaは、(メタ)アクリル酸C4−12アルキルエステル(好ましくはアクリル酸C4−10アルキルエステル、例えばアクリル酸C6−10アルキルエステル)の少なくとも一種をモノマー単位として含有し得る。例えば、アクリル酸n−ブチル(BA)およびアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)の一方または両方を含むアクリル系ポリマーが好ましく、少なくとも2EHAを含むアクリル系ポリマーPaが特に好ましい。モノマー成分として好ましく用いられ得る他の(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n−ブチル(BMA)、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2EHMA)等が挙げられる。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分に含まれる(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルは、その50重量%超が、アクリル酸C6−20アルキルエステル(例えば、アクリル酸C6−10アルキルエステル)であり得る。このような組成によると、初期粘着力が低く、かつ加熱後粘着力の高い粘着シートが得られやすい。また、粘着力上昇比の高い粘着シートが得られやすい。アクリル酸C6−20アルキルエステルの好適例としては、2EHA、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸イソノニル等が挙げられる。なかでも2EHAが好ましい。(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルのうちアクリル酸C6−20アルキルエステルの占める割合は、60重量%以上であってもよく、70重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分に含まれる(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルの実施的に全部がアクリル酸C6−20アルキルエステルである態様でも好適に実施され得る。一方、粘着剤の凝集力向上や透明性向上の観点から、いくつかの態様において、(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルのうちアクリル酸C6−20アルキルエステルの占める割合は、例えば99重量%以下であってもよく、98重量%以下であってもよく、95重量%以下であってもよく、90重量%以下であってもよい。
他のいくつかの態様において、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分に含まれる(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルは、その50重量%超が、アクリル酸C2−5アルキルエステルであり得る。このような組成によると、ヘイズ値の低い粘着剤層が得られやすい。アクリル酸C2−5アルキルエステルの好適例としては、アクリル酸エチル、BA、アクリル酸イソブチル等が挙げられる。なかでもBAが好ましい。(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルのうちアクリル酸C2−5アルキルエステルの占める割合は、70重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分に含まれる(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステルの実施的に全部がアクリル酸C2−5アルキルエステルである態様でも好適に実施され得る。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー単位は、主成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基(例えば、カルボキシ基、水酸基、窒素原子含有環等)を有するモノマーを好適に使用することができる。極性基を有するモノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりするために役立ち得る。共重合性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合性モノマーの非限定的な具体例としては、以下のものが挙げられる。
カルボキシ基含有モノマー:例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等。
酸無水物基含有モノマー:例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸。
水酸基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等。
スルホン酸基またはリン酸基を含有するモノマー:例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等。
エポキシ基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルや(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有アクリレート、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル等。
シアノ基含有モノマー:例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
イソシアネート基含有モノマー:例えば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等。
アミド基含有モノマー:例えば、(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルカルボン酸アミド類;その他、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等。
窒素原子含有環を有するモノマー:例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等(例えば、N−ビニル−2−カプロラクタム等のラクタム類)。
スクシンイミド骨格を有するモノマー:例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等。
マレイミド類:例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等。
イタコンイミド類:例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等。
(メタ)アクリル酸アミノアルキル類:例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類:例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等。
ビニルエステル類:例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等。
ビニルエーテル類:例えば、例えば、メチルビニルエーテルやエチルビニルエーテル等のビニルアルキルエーテル。
芳香族ビニル化合物:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等。
オレフィン類:例えば、エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等。
脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等。
芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル:例えば、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等。
その他、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリレート、塩化ビニルやフッ素原子含有(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のケイ素原子含有(メタ)アクリレート、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等。
このような共重合性モノマーを使用する場合、その使用量は特に限定されないが、通常はモノマー成分全量の0.01重量%以上とすることが適当である。共重合性モノマーの使用による効果をよりよく発揮する観点から、共重合性モノマーの使用量をモノマー成分全量の0.1重量%以上としてもよく、1重量%以上としてもよい。また、共重合性モノマーの使用量は、モノマー成分全量の50重量%以下とすることができ、40重量%以下とすることが好ましい。これにより、粘着剤の凝集力が高くなり過ぎることを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させ得る。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマーPaは、モノマー単位として、上述のような水酸基含有モノマー(典型的には、水酸基を含有する(メタ)アクリル系モノマー)および下記一般式(M1)で表されるN−ビニル環状アミドからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含有することが好ましい。
ここで、上記一般式(M1)中のR
1は、2価の有機基である。
N−ビニル環状アミドの具体例としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン等が挙げられる。特に好ましくはN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタムである。
N−ビニル環状アミドの使用により、粘着剤の凝集力や極性を調整し、加熱後粘着力を向上させ得る。また、凝集力の向上にN−ビニル環状アミドを利用することにより、後述する架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤)の使用量を抑制し得、このことは粘着力上昇比向上の観点から有利となり得る。N−ビニル環状アミドは、粘着剤層の親水性を高めることで、湿気による透明性低下を抑制するためにも役立ち得る。
N−ビニル環状アミドの使用量は、特に制限されないが、通常、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分全量の0.01重量%以上(好ましくは0.1重量%以上、例えば0.5重量%以上)とすることが適当である。いくつかの態様において、N−ビニル環状アミドの使用量は、上記モノマー成分全量の1重量%以上としてもよく、5重量%以上としてもよく、10重量%以上としてもよい。また、常温(25℃)でのタック感向上や低温における柔軟性向上の観点から、N−ビニル環状アミドの使用量は、通常、上記モノマー成分全量の40重量%以下とすることが適当であり、30重量%以下としてもよく、20重量%以下としてもよい。
水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等を好適に使用することができる。なかでも好ましい例として、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)が挙げられる。
水酸基含有モノマーの使用により、粘着剤の凝集力や極性を調整し、加熱後粘着力を向上させ得る。また、水酸基含有モノマーは、後述する架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤)との反応点を提供し、架橋反応によって粘着剤の凝集力を高め得る。水酸基含有モノマーは、粘着剤層の親水性を高めることで、湿気による透明性低下を抑制するためにも役立ち得る。
水酸基含有モノマーの使用量は、特に制限されないが、通常、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分全量の0.01重量%以上(好ましくは0.1重量%以上、例えば0.5重量%以上)とすることが適当である。いくつかの態様において、水酸基含有モノマーの使用量は、上記モノマー成分全量の1重量%以上としてもよく、5重量%以上としてもよく、10重量%以上としてもよい。また、常温(25℃)でのタック感向上や低温における柔軟性向上の観点から、水酸基含有モノマーの使用量は、通常、上記モノマー成分全量の40重量%以下とすることが適当であり、30重量%以下としてもよく、20重量%以下としてもよい。
いくつかの態様において、共重合性モノマーとして、N−ビニル環状アミドと水酸基含有モノマーとを併用することができる。この場合、N−ビニル環状アミドと水酸基含有モノマーとの合計量は、例えば、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分全量の0.1重量%以上とすることができ、1重量%以上としてもよく、5重量%以上としてもよく、10重量%以上としてもよく、15重量%以上としてもよく、20重量%以上としてもよく、25重量%以上としてもよい。また、N−ビニル環状アミドと水酸基含有モノマーとの合計量は、例えば、モノマー成分全量の50重量%以下とすることができ、40重量%以下とすることが好ましい。
また、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分は、粘着剤層の凝集力調整等の目的で、必要に応じて多官能性モノマーを含有してもよい。多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジオール(メタ)アクリレート、ヘキシルジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。多官能性モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、通常は、アクリル系ポリマーPaを調製するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%〜3.0重量%の範囲とすることが適当であり、0.02重量%〜2.0重量%としてもよく、0.03重量%〜1.0重量%としてもよい。
アクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。いくつかの態様において、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃〜170℃程度(典型的には40℃〜140℃程度)とすることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法に応じて、従来公知の熱重合開始剤や光重合開始剤等から適宜選択することができる。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等);過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等);レドックス系重合開始剤等が挙げられる。熱重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーの調製に用いられるモノマー成分100重量部に対して0.01重量部〜5重量部、好ましくは0.05重量部〜3重量部の範囲内の量とすることができる。
光重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーの調製に用いられるモノマー成分100重量部に対して0.01重量部〜5重量部、好ましくは0.05重量部〜3重量部の範囲内の量とすることができる。
いくつかの態様において、アクリル系ポリマーPaは、上述のようなモノマー成分に重合開始剤を配合した混合物に紫外線(UV)を照射して該モノマー成分の一部を重合させた部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)の形態で、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に含まれ得る。かかるアクリル系ポリマーシロップを含む粘着剤組成物を所定の被塗布体に塗布し、紫外線を照射させて重合を完結させることができる。すなわち、上記アクリル系ポリマーシロップは、アクリル系ポリマーPaの前駆体として把握され得る。ここに開示される粘着剤層は、例えば、上記アクリル系ポリマーシロップと後述するシロキサン構造含有ポリマーPsとを含む粘着剤組成物を用いて形成され得る。
(シロキサン構造含有ポリマーPs)
ここに開示される技術における粘着剤層には、必要に応じて、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマーPa)以外の成分を含有させることができる。このような任意成分の一好適例として、シロキサン構造含有ポリマーPsが挙げられる。シロキサン構造含有ポリマーPsは、分子内にシロキサン構造(Si−O−Si構造)を有するポリマーとして定義される。シロキサン構造含有ポリマーPsは、シロキサン構造の低極性および運動性によって、初期粘着力の抑制および粘着力上昇比の向上に寄与する粘着力上昇遅延剤として機能し得る。シロキサン構造含有ポリマーPs(以下、「ポリマーPs」と略記することがある。)としては、側鎖にシロキサン構造を有するポリマーが好ましく用いられ得る。
ポリマーPsは、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー(以下、「モノマーS1」ともいう。)をモノマー単位として含むことが好ましい。モノマーS1としては、特に限定されず、ポリオルガノシロキサン骨格を含有する任意のモノマーを用いることができる。このようなポリオルガノシロキサン骨格含有モノマーは、その構造に由来する極性の低さにより、使用前(被着体への貼付け前)の粘着シートにおいてポリマーPsの粘着剤層表面への偏在を促進し、貼り合わせ初期の軽剥離性を発現する。
モノマーS1としては、例えば、下記一般式(1)または(2)で表される化合物を用いることができる。より具体的には、信越化学工業株式会社製の片末端反応性シリコーンオイルとして、X−22−174ASX、X−22−2426、X−22−2475、KF−2012などが挙げられる。モノマーS1は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ここで、上記一般式(1),(2)中のR
3は水素またはメチルであり、R
4はメチル基または1価の有機基であり、mおよびnは0以上の整数である。
モノマーS1の官能基当量は、例えば、700g/mol以上15000g/mol未満であることが好ましく、800g/mol以上10000g/mol未満であることがより好ましく、850g/mol以上6000g/mol未満であることがさらに好ましく、1500g/mol以上5000g/mol未満であることが特に好ましい。モノマーS1の官能基当量が700g/mol未満であると、初期粘着力が十分に抑制されないことがあり得る。モノマーS1の官能基当量が15000g/mol以上であると、粘着力の上昇が不十分になることがあり得る。モノマーS1の官能基当量が上記範囲内であると、粘着剤層内における相溶性(例えば、ベースポリマーとの相溶性)や移動性を適度な範囲に調節しやすく、初期の低粘着性と使用時の強粘着性とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。
ここで、「官能基当量」とは、官能基1個当たりに結合している主骨格(例えばポリジメチルシロキサン)の重量を意味する。標記単位g/molに関しては、官能基1molと換算している。モノマーS1の官能基当量は、例えば、核磁気共鳴(NMR)に基づく1H−NMR(プロトンNMR)のスペクトル強度から算出することができる。1H−NMRのスペクトル強度に基づくモノマーS1の官能基当量(g/mol)の算出は、1H−NMRスペクトル解析に係る一般的な構造解析手法に基づいて、必要であれば特許第5951153号公報の記載を参照して行うことができる。
なお、モノマーS1として官能基当量が異なる2種類以上のモノマーを用いる場合、モノマーS1の官能基当量としては、算術平均値を用いることができる。すなわち、官能基当量が異なるn種類のモノマー(モノマーS11,モノマーS12・・・モノマーS1n)からなるモノマーS1の官能基当量は、下記式により計算することができる。
モノマーS1の官能基当量(g/mol)=(モノマーS11の官能基当量×モノマーS11の配合量+モノマーS12の官能基当量×モノマーS12の配合量+・・・+モノマーS1nの官能基当量×モノマーS1nの配合量)/(モノマーS11の配合量+モノマーS12の配合量+・・・+モノマーS1nの配合量)
モノマーS1の含有量は、ポリマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、例えば5重量%以上であってよく、粘着力上昇遅延剤としての効果をよりよく発揮する観点から10重量%以上とすることが好ましく、15重量%以上としてもよい。また、モノマーS1の含有量は、重合反応性や相溶性の観点から、ポリマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、60重量%以下とすることが適当であり、50重量%以下としてもよく、40重量%以下としてもよく、30重量%以下としてもよい。モノマーS1の含有量が5重量%より少ないと、初期粘着力が十分に抑制されないことがあり得る。モノマーS1の含有量が60重量%より多いと、粘着力の上昇が不十分になることがあり得る。
ポリマーPsを構成するモノマー単位は、モノマーS1の他に、必要に応じて、モノマーS1と共重合可能な(メタ)アクリル系モノマーまたは他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。例えば、1種または2種以上の(メタ)アクリル系モノマーとモノマーS1とを共重合させることにより、ポリマーPsとベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマーPa)との相溶性を好適に調節し得る。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。例えば、アクリル系ポリマーPaに用いられ得る(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして上述したモノマーの1種または2種以上を用いることができる。いくつかの態様において、ポリマーPsは、(メタ)アクリル酸C4−12アルキルエステル(好ましくは(メタ)アクリル酸C4−10アルキルエステル、例えば(メタ)アクリル酸C6−10アルキルエステル)の少なくとも一種をモノマー単位として含有し得る。他のいくつかの態様において、ポリマーPsは、メタクリル酸C1−18アルキルエステル(好ましくはメタクリル酸C1−14アルキルエステル、例えばメタクリル酸C1−10アルキルエステル)の少なくとも一種をモノマー単位として含有し得る。ポリマーPsを構成するモノマー単位は、例えば、MMA、BMAおよび2EHMAから選択される1種または2種以上を含み得る。
上記(メタ)アクリル系モノマーの他の例として、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。いくつかの態様において、ポリマーPsは、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートから選択される少なくとも1種をモノマー単位として含有し得る。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、ポリマーPsを調製するための全モノマー成分に対して、例えば10重量%以上95重量%以下であってよく、20重量%以上95重量%以下であってもよく、30重量%以上90重量%以下であってもよく、40重量%以上90重量%以下であってもよく、50重量%以上85重量%以下であってもよい。
ポリマーPsを構成するモノマー単位としてモノマーS1とともに含まれ得るモノマーの他の例として、アクリル系ポリマーPaに用いられ得るモノマーとして上記で例示したカルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、スクシンイミド骨格を有するモノマー、マレイミド類、イタコンイミド類、(メタ)アクリル酸アミノアルキル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、オレフィン類、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、複素環含有(メタ)アクリレート、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
ポリマーPsを構成するモノマー単位としてモノマーS1とともに含まれ得るモノマーのさらに他の例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマー、例えばポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレン鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等の重合性官能基を有し、他方の末端にエーテル構造(アルキルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテル等)を有する重合性ポリオキシアルキレンエーテル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル等の多価(メタ)アクリレート:塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル等のハロゲン化ビニル化合物;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル等のアジリジン基含有モノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物等の水酸基含有ビニルモノマー;フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の含フッ素ビニルモノマー;2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニル等の反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類;等を挙げることができる。これらは、1種を単独であるいは組み合わせてモノマーS1と共重合させることができる。
ポリマーPsのMwは特に限定されない。いくつかの態様において、ポリマーPsのMwは、例えば1×104以上5×104未満であってよく、1.2×104以上5×104未満であることが好ましく、1.5×104以上4×104未満であることがより好ましく、2×104以上4×104未満であることがさらに好ましい。ポリマーPsのMwが1×104未満であると、粘着力の上昇が不十分になることがあり得る。ポリマーPsのMwが5×104以上であると、初期粘着力が十分に抑制されないことがあり得る。ポリマーPsのMwが上記範囲内であると、粘着剤層内における相溶性や移動性を適度な範囲に調節しやすく、初期の低粘着性と使用時の強粘着性とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。
ポリマーPsは、例えば、上述したモノマーを、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の公知の手法により重合させることで作製することができる。
ポリマーPsの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。使用する連鎖移動剤の例としては、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ノニルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−チオグリセロール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル等のチオグリコール酸エステル類;α−メチルスチレンダイマー;等が挙げられる。
連鎖移動剤の使用量としては、特に制限されないが、通常、モノマー100重量部に対して、連鎖移動剤を0.05重量部〜20重量部、好ましくは、0.1重量部〜15重量部、さらに好ましくは0.2重量部〜10重量部含有する。このように連鎖移動剤の添加量を調整することで、好適な分子量のポリマーPsを得ることができる。なお、連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
特に限定するものではないが、ポリマーPsの使用量は、ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマーPa)100重量部に対して、例えば0.1重量部以上とすることができ、より高い効果を得る観点から0.3重量部以上としてもよく、0.4重量部以上としてもよく、0.5重量部以上としてもよい。いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対するポリマーPsの使用量は、1重量部以上としてもよく、2重量部以上としてもよく、3重量部以上としてもよい。また、粘着剤層の凝集力が過度に低下することを避ける観点から、ベースポリマー100重量部に対するポリマーPsの使用量は、通常、25重量部以下とすることが適当であり、より高い加熱後粘着力を得る観点から20重量部以下とすることが好ましく、17重量部以下としてもよく、15重量部以下としてもよく、10重量部以下としてもよい。ここに開示される粘着シートのいくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対するポリマーPsの使用量は、10重量部未満であってよく、8重量部以下であってもよい。
なお、上述のようなシロキサン構造含有ポリマーPsは、粘着剤層に配合されることで、粘着力上昇遅延剤として好ましく機能し得る。ここに開示される粘着シートは、粘着剤層を構成する粘着剤がベースポリマーおよび粘着力上昇遅延剤を含み、該粘着力上昇遅延剤がポリマーPsを含む態様で好ましく実施され得る。ここで、ポリマーPsが粘着力上昇遅延剤として機能するのは、被着体への貼付け前から貼付け初期の粘着シートにおいては粘着剤層の表面に存在するポリマーPsによって初期粘着力が抑制され、貼付け後の経時や加熱等により粘着剤が流動することで粘着剤層表面におけるポリマーPsの存在量が減少して粘着力が上昇するためと考えられる。したがって、ここに開示される技術における粘着力上昇遅延剤としては、ポリマーPsに代えて、あるいはポリマーPsと組み合わせて、同種の機能を発揮し得る他の材料が用いられ得る。そのような材料の非限定的な例として、分子内にポリオキシアルキレン構造を有するポリマー(以下「ポリマーPo」ともいう。)が挙げられる。ポリマーPoは、例えば、ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合体であり得る。具体例としては、上述のようなポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーのいずれか1種の単独重合体や2種以上の共重合体、ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの1種または2種以上と他のモノマー(例えば、(メタ)アクリル系モノマー)との共重合体等をポリマーPoとして使用し得る。ポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したポリマーPsにおけるモノマーS1の使用量を、ポリマーPoにおけるポリオキシアルキレン骨格を有するモノマーの使用量にも適用することができる。また、粘着剤層におけるポリマーPoの使用量は、特に限定されないが、例えば、上述したベースポリマーに対するポリマーPsの使用量を、ベースポリマーに対するポリマーPoの使用量にも適用することができる。あるいは、上述したベースポリマーに対するポリマーPsの使用量のうち一部(例えば、ポリマーPsの全使用量のうち5重量%〜95重量%程度、または15重量%〜85重量%程度、または30重量%〜70重量%程度)をポリマーPoに置き換えてもよい。
(架橋剤)
ここに開示される粘着剤層には、凝集力の調整等の目的で、架橋剤が用いられ得る。架橋剤は、通常用いる架橋剤を使用することができ、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤を好適に使用することができる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニル(メタ)ンジイソシアネート、水添ジフェニル(メタ)ンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニル(メタ)ントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、および、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。あるいは、1分子中に少なくとも1つ以上のイソシアネート基と、1つ以上の不飽和結合を有する化合物、具体的には、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどもイソシアネート系架橋剤として使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができ、0.05重量部以上とすることが好ましい。架橋剤の使用量の増大により、より高い凝集力が得られる傾向にある。いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、0.1重量部以上であってもよく、0.5重量部以上であってもよく、1重量部以上であってもよい。一方、過度な凝集力向上によるタックの低下を避ける観点から、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、通常、15重量部以下とすることが適当であり、10重量部以下としてもよく、5重量部以下としてもよい。シロキサン構造含有ポリマーPsまたは他の粘着力上昇遅延剤を含む組成の粘着剤では、架橋剤の使用量が多過ぎないことは、粘着剤の流動性を利用して粘着力上昇遅延剤の使用効果をよりよく発現させる観点からも有利となり得る。
ここに開示される技術は、架橋剤として少なくともイソシアネート系架橋剤を用いる態様で好ましく実施され得る。加熱後凝集力が高く、かつ粘着力上昇比が大きい粘着シートを実現しやすくする観点から、いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の使用量は、例えば5重量部以下とすることができ、3重量部以下としてもよく、1重量部未満としてもよく、0.7重量部以下としてもよく、0.5重量部以下としてもよい。
上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるために、架橋触媒を用いてもよい。架橋触媒としては、例えばスズ系触媒(特にジラウリン酸ジオクチルスズ)を好ましく用いることができる。架橋触媒の使用量は特に制限されないが、例えば、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.0001重量部〜1重量部とすることができる。
(粘着付与樹脂)
粘着剤層には、必要に応じて粘着付与樹脂を含ませることができる。粘着付与樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを重合、不均化、水添化などにより変性した変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンや、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。
上記ロジン誘導体としては、例えば、
ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール系樹脂;
未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物(未変性ロジンエステル)や、重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物(重合ロジンエステル、安定化ロジンエステル、不均化ロジンエステル、完全水添ロジンエステル、部分水添ロジンエステルなど)などのロジンエステル系樹脂;
未変性ロジンや変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂;
ロジンエステル系樹脂を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂;
未変性ロジン、変性ロジン(重合ロジン、安定化ロジン、不均化ロジン、完全水添ロジン、部分水添ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン系樹脂や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル系樹脂におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール系樹脂;
未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン系樹脂(特に、ロジンエステル系樹脂)の金属塩などが挙げられる。
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、上記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、上記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックなどが挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。
好ましく使用され得る重合ロジンエステルの市販品としては、荒川化学工業株式会社製の商品名「ペンセルD−125」、「ペンセルD−135」、「ペンセルD−160」、「ペンセルKK」、「ペンセルC」等が例示されるが、これらに限定されない。
好ましく使用され得るテルペンフェノール系樹脂の市販品としては、ヤスハラケミカル株式会社製の商品名「YSポリスターS−145」、「YSポリスターG−125」、「YSポリスターN125」、「YSポリスターU−115」、荒川化学工業株式会社製の商品名「タマノル803L」、「タマノル901」、住友ベークライト株式会社製の商品名「スミライトレジンPR−12603」等が例示されるが、これらに限定されない。
粘着付与樹脂としては、軟化点(軟化温度)が凡そ80℃以上(好ましくは凡そ100℃以上、例えば凡そ120℃以上)であるものを好ましく使用し得る。上述した下限値以上の軟化点をもつ粘着付与樹脂によると、初期の低粘着性および使用時の強粘着性が効果的に改善される傾向にる。軟化点の上限は特に制限されず、例えば凡そ200℃以下(典型的には180℃以下)であり得る。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定することができる。
粘着付与樹脂の含有量は特に限定されず、目的や用途に応じて適切な粘着性能が発揮されるように設定することができる。ベースポリマー100重量部に対する粘着付与樹脂の含有量(2種以上の粘着付与樹脂を含む場合には、それらの合計量)は、例えば5〜500重量部程度とすることができる。
いくつかの態様において、粘着付与樹脂の使用量は、ヘイズ値低減等の観点から、ベースポリマー100重量部に対して15重量部以下とすることが望ましく、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下であり、1重量部以下(例えば0.5重量部以下)としてもよい。ここに開示される技術は、粘着付与樹脂を実質的に使用しない態様(例えば、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与樹脂の含有量が0.1重量%未満である態様)で好ましく実施され得る。
その他、ここに開示される技術における粘着剤層は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、レベリング剤、可塑剤、軟化剤、着色剤(染料、顔料等)、充填剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防腐剤等の、粘着剤に使用され得る公知の添加剤を必要に応じて含んでいてもよい。
(粘着剤層の形成)
ここに開示される粘着シートを構成する粘着剤層は、粘着剤組成物の硬化層であり得る。すなわち、該粘着剤層は、粘着剤組成物を適当な表面に付与(例えば塗布)した後、硬化処理を適宜施すことにより形成され得る。二種以上の硬化処理(乾燥、架橋、重合等)を行う場合、これらは、同時に、または多段階にわたって行うことができる。モノマー成分の部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)を用いた粘着剤組成物では、典型的には、上記硬化処理として、最終的な共重合反応が行われる。すなわち、部分重合物をさらなる共重合反応に供して完全重合物を形成する。例えば、光硬化性の粘着剤組成物であれば、光照射が実施される。必要に応じて、架橋、乾燥等の硬化処理が実施されてもよい。例えば、光硬化性粘着剤組成物で乾燥させる必要がある場合は、乾燥後に光硬化を行うとよい。完全重合物を用いた粘着剤組成物では、典型的には、上記硬化処理として、必要に応じて乾燥(加熱乾燥)、架橋等の処理が実施される。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて実施することができる。
基材を有する形態の粘着シートでは、基材表面に粘着剤層を設ける方法として、該基材に粘着剤組成物を直接付与して粘着剤層を形成する直接法を用いてもよく、剥離性を有する表面(剥離面)上に形成した粘着剤層を基材に転写する転写法を用いてもよく、これらの方法を組み合わせてもよい。上記剥離面としては、剥離ライナーの表面や、剥離処理された基材背面等を利用し得る。
特に限定するものではないが、粘着剤層を構成する粘着剤のゲル分率は、通常、20.0%〜99.0%の範囲にあることが適当であり、30.0%〜90.0%の範囲にあることが望ましい。ゲル分率を上記範囲とすることにより、初期の低粘着性と使用時の強粘着性とを高レベルで両立する粘着シートを実現しやすくなる。ゲル分率は、以下の方法で測定される。
[ゲル分率の測定]
約0.1gの粘着剤サンプル(重量Wg1)を平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量Wg2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量Wg3)で縛る。上記多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜としては、商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」(日東電工株式会社、平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用する。この包みを酢酸エチル50mLに浸し、室温(典型的には23℃)で7日間保持して粘着剤中のゾル分(酢酸エチル可溶分)を上記膜外に溶出させる。次いで、上記包みを取り出し、外表面に付着している酢酸エチルを拭き取った後、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(Wg4)を測定する。各値を以下の式に代入することにより、粘着剤のゲル分率GCを算出することができる。
ゲル分率GC(%)=[(Wg4−Wg2−Wg3)/Wg1]×100
粘着剤層の厚さは特に限定されず、例えば1μm以上とすることができる。通常は、粘着剤層の厚さを3μm以上(例えば5μm以上)とすることにより、良好な接着性が実現され得る。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、13μm以上であってもよい。粘着剤層の厚さを大きくすることにより、加熱後粘着力を向上させることが容易となり得る。また、粘着剤層の厚さは、例えば200μm以下とすることができ、150μm以下としてもよく、100μm以下としてもよい。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、100μm未満であることが好ましく、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、35μm以下であってもよい。他のいくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、30μm以下であってもよく、25μm以下(例えば20μm以下)であってもよい。粘着剤層の厚さが大きすぎないことは、粘着シートの薄型化や粘着剤層の凝集破壊防止等の観点から有利となり得る。なお、基材の両面に粘着シートを有する基材付き両面粘着シートの場合、上述した粘着剤層の厚さは、基材の片面当たりの粘着剤層の厚さである。
(ヘイズ値)
特に限定するものではないが、ここに開示される粘着シートにおいて、粘着剤層のヘイズ値は10%以下(例えば5%以下)であり得る。いくつかの好ましい態様において、粘着剤層のヘイズ値は、例えば2.5%以下であってよく、1.0%以下であってもよく、1.0%未満であってもよく、0.8%以下であってもよい。このように透明性の高い粘着剤層を有する粘着シートは、基材を有する構成または有しない構成において、高い光透過性が求められる用途や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好適である。また、基材を有する構成において、粘着剤層を通して上記基材の外観を良好に視認し得る性質が求められる用途に好適である。粘着剤層に関するこれらのヘイズ値は、ここに開示される技術を基材レス粘着シートの形態で実施する場合における該粘着シートのヘイズ値にも好ましく適用され得る。
ここで「ヘイズ値」とは、測定対象に可視光を照射したときの、全透過光に対する拡散透過光の割合をいう。くもり価ともいう。ヘイズ値は、以下の式で表すことができる。
Th(%)=Td/Tt×100
上記式において、Thはヘイズ値(%)であり、Tdは散乱光透過率、Ttは全光透過率である。ヘイズ値の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って行うことができる。ヘイズ値は、例えば、粘着剤層の組成や厚さ等の選択によって調節することができる。
ここに開示される粘着剤層は、(メタ)アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を、該粘着剤層に含まれる全モノマー単位のうち50重量%を超える割合で含むことが好ましい。(メタ)アクリル系モノマーを上記割合で用いた粘着剤層は、ヘイズ値の低いものとなりやすい。また、(メタ)アクリル系モノマーの組成によって粘着特性を調製しやすいという観点からも好ましい。したがって、(メタ)アクリル系モノマーを上記割合で用いた粘着剤層によると、ヘイズ値が低く、かつ初期粘着力が低くて加熱後粘着力の高い粘着シートが好適に実現され得る。粘着剤層に含まれる全モノマー単位のうち(メタ)アクリル系モノマーに由来するモノマー単位の割合は、例えば60重量%以上であってよく、70重量%以上であってもよく、80重量%以上であってもよい。いくつかの態様において、上記割合は、90重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。また、粘着特性の調節(例えば、凝集力の向上)等の観点から、いくつかの態様において、上記割合は、99重量%以下であってもよく、95重量%未満であってもよく、90重量%未満であってもよい。
ヘイズ値低減の観点から、モノマーS1(ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマー)を用いる場合における使用量は、粘着剤層に含まれる全モノマー単位の10重量%以下とすることが適当であり、5重量%以下とすることが好ましく、3重量%以下とすることがより好ましく、2重量%以下(例えば1.5重量%以下)としてもよい。また、初期粘着力の低減や粘着力上昇比向上の観点から、モノマーS1の使用量は、粘着剤層に含まれる全モノマー単位の0.05重量%以上とすることが適当であり、0.1重量%以上とすることが好ましく、0.3重量%以上(例えば0.5重量%以上、または0.7重量%以上)とすることがより好ましい。
特に限定するものではないが、粘着剤層がモノマー単位として水酸基含有モノマーを含む構成においてイソシアネート系架橋剤を用いる場合、イソシアネート系架橋剤の使用量WNCOに対する水酸基含有モノマーの使用量WOHは、重量基準で、WOH/WNCOが2以上となる量とすることができる。このようにイソシアネート系架橋剤に対する水酸基含有モノマーの使用量を多くすることにより、粘着力上昇比の向上に適した架橋構造が形成され得る。いくつかの態様において、WOH/WNCOは、3以上であってよく、5以上であってもよく、10以上であってもよく、20以上であってもよく、30以上であってもよく、50以上であってもよい。WOH/WNCOの上限は特に制限されない。WOH/WNCOは、例えば500以下であってよく、200以下であってもよく、100以下であってもよい。
粘着剤層がベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)およびポリマーPsを含む構成において、ポリマーPsに含まれるモノマー単位と共通するモノマー単位をベースポリマーにも含ませることにより、粘着剤層内におけるポリマーPsの移動性を改善し、粘着力上昇比を向上させ得る。共通するモノマー単位は、ポリマーPsを構成する全モノマー単位の5重量%以上を占める成分であることが効果的であり、10重量%以上(より好ましくは20重量%以上、例えば30重量%以上)を占める成分であることが好ましい。上記共通するモノマー単位がベースポリマーを構成する全モノマー単位に占める割合は、例えば1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、7重量%以上であってもよい。共通するモノマー単位がベースポリマーを構成する全モノマー単位に占める割合が高くなると、相溶性を改善する効果がよりよく発揮される傾向にある。また、他の特性とのバランスを考慮して、共通するモノマー単位がベースポリマーを構成する全モノマー単位に占める割合を50重量%以下としてもよく、30重量%以下としてもよい。共通するモノマー単位として好ましく採用し得るモノマーの非限定的な例として、MMA,BMA,2EHMA,メチルアクリレート(MA)、BA,2EHA, シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<支持基材>
ここに開示される技術は、支持基材の片面または両面に粘着剤層を備える基材付き粘着シートの形態で実施され得る。支持基材の材質は特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。使用し得る基材の非限定的な例としては、ポリプロピレンやエチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンを主成分とするポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを主成分とするポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルを主成分とするポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリクロロプレンフォーム等の発泡体からなる発泡体シート;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布;和紙、上質紙、クラフト紙、クレープ紙等の紙類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等が挙げられる。これらを複合した構成の基材であってもよい。このような複合基材の例として、例えば、金属箔と上記プラスチックフィルムとが積層した構造の基材、ガラスクロス等の無機繊維で強化されたプラスチック基材等が挙げられる。
ここに開示される粘着シートの基材としては、各種のフィルム基材を好ましく用いることができる。上記フィルム基材は、発泡体フィルムや不織布シート等のように多孔質の基材であってもよく、非多孔質の基材であってもよく、多孔質の層と非多孔質の層とが積層した構造の基材であってもよい。
いくつかの態様において、上記フィルム基材としては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)樹脂フィルムをベースフィルムとして含むものを好ましく用いることができる。ここで「樹脂フィルム」とは、非多孔質の構造であって、典型的には実質的に気泡を含まない(ボイドレスの)樹脂フィルムを意味する。したがって、上記樹脂フィルムは、発泡体フィルムや不織布とは区別される概念である。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造(例えば三層構造)であってもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66、部分芳香族ポリアミド等のポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂を用いることができる。上記樹脂フィルムは、このような樹脂の1種を単独で含む樹脂材料を用いて形成されたものであってもよく、2種以上がブレンドされた樹脂材料を用いて形成されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(例えば一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂材料の好適例として、ポリエステル系樹脂、PPS樹脂およびポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ここで、ポリエステル系樹脂とは、ポリエステルを50重量%を超える割合で含有する樹脂のことをいう。同様に、PPS樹脂とはPPSを50重量%を超える割合で含有する樹脂のことをいい、ポリオレフィン系樹脂とはポリオレフィンを50重量%を超える割合で含有する樹脂のことをいう。
ポリエステル系樹脂としては、典型的には、ジカルボン酸とジオールを重縮合して得られるポリエステルを主成分として含むポリエステル系樹脂が用いられる。
上記ポリエステルを構成するジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸;これらの誘導体(例えば、テレフタル酸等の上記ジカルボン酸の低級アルキルエステル等);等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。いくつかの態様において、芳香族ジカルボン酸を好ましく採用することができる。なかでも好ましいジカルボン酸として、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。例えば、上記ポリエステルを構成するジカルボン酸のうち50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には95重量%以上)が、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはこれらの併用であることが好ましい。上記ジカルボン酸は、実質的にテレフタル酸のみ、実質的に2,6−ナフタレンジカルボン酸のみ、または実質的にテレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸のみから構成されていてもよい。
上記ポリエステルを構成するジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、透明性等の観点から脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。上記ポリエステルを構成するジオールに占める脂肪族ジオール(好ましくはエチレングリコール)の割合は、50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には95重量%以上)であることが好ましい。上記ジオールは、実質的にエチレングリコールのみから構成されていてもよい。
ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、1種のポリオレフィンを単独で、または2種以上のポリオレフィンを組み合わせて用いることができる。該ポリオレフィンは、例えばα−オレフィンのホモポリマー、2種以上のα−オレフィンの共重合体、1種または2種以上のα−オレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体等であり得る。具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレンプロピレンゴム(EPR)等のエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。低密度(LD)ポリオレフィンおよび高密度(HD)ポリオレフィンのいずれも使用可能である。ポリオレフィン樹脂フィルムの例としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、中密度ポリエチレン(MDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム、2種以上のポリエチレン(PE)をブレンドしたポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)をブレンドしたPP/PEブレンドフィルム等が挙げられる。
ここに開示される粘着シートの基材に好ましく利用し得る樹脂フィルムの具体例として、PETフィルム、PENフィルム、PPSフィルム、PEEKフィルム、CPPフィルムおよびOPPフィルムが挙げられる。強度や取扱い性等の観点から好ましい例として、PETフィルム、PENフィルム、PPSフィルムおよびPEEKフィルムが挙げられる。基材の入手容易性等の観点からPETフィルムおよびPPSフィルムが特に好ましく、なかでもPETフィルムが好ましい。
樹脂フィルムの製造方法は特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の、従来公知の一般的な樹脂フィルム成形方法を適宜採用することができる。
他のいくつかの態様において、上記フィルム基材としては、独立して形状維持可能な(自立型の、あるいは非依存性の)発泡体フィルムをベースフィルムとして含むものが好適に用いられ得る。上記フィルム基材は、例えば、プラスチック材料の発泡体(プラスチック発泡体)により形成された発泡体フィルムを含むフィルム基材(発泡体基材)であり得る。プラスチック発泡体を形成するためのプラスチック材料(ゴム材料を包含する意味である。)は、特に制限されず、公知のプラスチック材料のなかから適宜選択することができる。プラスチック材料は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
プラスチック発泡体の具体例としては、ポリエチレン製発泡体、ポリプロピレン製発泡体等のポリオレフィン系樹脂製発泡体;ポリエチレンテレフタレート製発泡体、ポリエチレンナフタレート製発泡体、ポリブチレンテレフタレート製発泡体等のポリエステル系樹脂製発泡体;ポリ塩化ビニル製発泡体等のポリ塩化ビニル系樹脂製発泡体;酢酸ビニル系樹脂製発泡体;ポリフェニレンスルフィド樹脂製発泡体;脂肪族ポリアミド(ナイロン)樹脂製発泡体、全芳香族ポリアミド(アラミド)樹脂製発泡体等のアミド系樹脂製発泡体;ポリイミド系樹脂製発泡体;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製発泡体;ポリスチレン製発泡体等のスチレン系樹脂製発泡体;ポリウレタン樹脂製発泡体等のウレタン系樹脂製発泡体;等が挙げられる。また、プラスチック発泡体として、ポリクロロプレンゴム製発泡体等のゴム系樹脂製発泡体を用いてもよい。
好ましい発泡体として、ポリオレフィン系樹脂製発泡体(以下「ポリオレフィン系発泡体」ともいう。)が例示される。ポリオレフィン系発泡体を構成するプラスチック材料(すなわちポリオレフィン系樹脂)としては、公知または慣用の各種ポリオレフィン系樹脂を特に限定なく用いることができる。上記ポリオレフィン系樹脂の好適例として、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ここでポリエチレン系樹脂とは、エチレンを主モノマー(すなわち、モノマーのなかの主成分)とする樹脂を指し、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;例えば、チーグラー・ナッタ触媒系LLDPEや、メタロセン触媒系LLDPE等)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の他、エチレンの共重合割合が50重量%を超えるエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体等を包含し得る。同様に、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンを主モノマーとする樹脂を指す。このようなポリオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
プラスチック発泡体の製造方法は特に限定されず、公知の各種方法を適宜採用し得る。例えば、上記プラスチック材料、もしくは上記プラスチック発泡体の成形工程、架橋工程および発泡工程を含む方法により製造し得る。また、必要に応じて延伸工程を含み得る。
フィルム基材には、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料等)、充填材、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の公知の添加剤を、必要に応じて配合することができる。添加剤の配合量は特に限定されず、粘着シートの用途等に応じて適宜設定することができる。
上記基材は、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記基材は、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、光学特性調整層(例えば着色層、反射防止層)、基材に所望の外観を付与するための印刷層やラミネート層、帯電防止層、下塗り層、剥離層等の表面処理層が挙げられる。
基材の第一面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤(プライマー)の塗布、帯電防止処理等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、基材と粘着剤層との密着性、言い換えると粘着剤層の基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。プライマーの組成は特に限定されず、公知のものから適宜選択することができる。下塗り層の厚さは特に制限されないが、通常、0.01μm〜1μm程度が適当であり、0.1μm〜1μm程度が好ましい。
片面粘着シートの場合、基材の第二面には、必要に応じて、剥離処理や帯電防止処理等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。例えば、基材の背面を剥離処理剤で表面処理することにより(典型的には、剥離処理剤による剥離層を設けることにより)、ロール状に巻回された形態の保護シートの巻戻し力を軽くすることができる。剥離処理剤としては、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、脂肪酸アミド系剥離処理剤、硫化モリブデン、シリカ粉等を用いることができる。また、印字性の向上、光反射性の低減、重ね貼り性向上等の目的で、基材の第二面にコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理等の処理が施されていてもよい。また、両面粘着シートの場合、基材の第二面には、必要に応じて、基材の第一面に施され得る表面処理として上記で例示したものと同様の表面処理が施されていてもよい。なお、基材の第一面に施される表面処理と第二面に施される表面処理とは、同一であってもよく異なってもよい。
ここに開示される粘着シートに用いられる基材は、透明であってもよく、不透明であってもよい。ここで透明とは、無色透明および着色透明を包含する意味である。例えば、透明な(典型的には、無色透明な)樹脂フィルムを基材として好ましく採用し得る。
いくつかの態様において、基材のヘイズ値は、例えば90%以下であってよく、70%以下であってもよく、50%以下でもよく、25%以下でもよい。ヘイズ値の低い基材は、粘着シートに高い光透過性が求められる用途や、該粘着シートを通して被着体を良好に視認し得る性能が求められる用途に好適である。かかる観点から、基材のヘイズ値は、10%以下でもよく、5%以下でもよい。基材のヘイズ値の下限は特に限定されず、例えば0.1%以上であってよく、0.5%以上であってもよく、1%以上であってもよい。
ここに開示される粘着シートが支持基材の片面または両面に粘着剤層を備える基材付き粘着シートの形態である場合、該粘着シートは、透明であってもよく、不透明であってもよい。いくつかの態様において、粘着シートのヘイズ値は、例えば90%以下であってよく、70%以下であってもよく、50%以下でもよく、25%以下でもよく、10%以下でもよく、5%以下でもよい。粘着シートのヘイズ値の下限は特に限定されず、例えば0.1%以上であってよく、0.5%以上であってもよく、1%以上であってもよい。
ここに開示される粘着シートを構成する基材の厚さは、特に限定されず、粘着シートの使用目的や使用態様等に応じて適宜選択し得る。基材(例えばフィルム基材)の厚さは、例えば2μm以上であってよく、5μm以上であってもよく、10μm以上でもよい。いくつかの態様において、基材の厚さは、20μm以上であってもよく、25μm以上でもよく(例えば25μm超)でもよく、30μm以上でもよく、35μm以上でもよく、40μm以上でもよく、50μm以上(例えば50μm超)でもよく、60μm以上でもよく、70μm以上でもよい。基材の厚さが大きくなると、気泡による粘着シート背面の膨らみが小さくなるため、気泡の押し出しは難しくなる傾向にある。したがって、ここに開示される技術を適用して気泡の移動方向や拡散を制御しやすくすることが特に有意義である。ここに開示される粘着シートは、基材の厚さが90μm以上、または100μm以上、または120μm以上である態様でも好適に実施され得る。基材の厚さの上限は、特に限定されない。ここに開示される技術は、例えば、基材の厚さが4.5mm以下(例えば2.5mm以下)である態様で実施され得る。粘着シートの取扱い性や加工性の観点から、基材の厚さは、例えば900μm以下であってよく、500μm以下であってもよく、300μm以下であってもよく、250μm以下でもよく、200μm以下でもよい。粘着シートの薄型化等の観点から、いくつかの態様において、基材の厚さは、160μm以下であってよく、130μm以下であってもよく、100μm以下でもよく、90μm以下でもよい。他のいくつかの態様において、基材の厚さは、50μm以下であってよく、25μm以下であってもよく、20μm未満でもよく、15μm未満でもよい。
<密着抑制材>
粘着面に部分的に配置された密着抑制材を含む案内部を有する態様の粘着シートにおいて、該密着抑制材は、粘着面の上記被着体への密着を部分的に抑制することで案内部を構成し得るものであればよく、特に限定されない。
上記密着抑制材は、例えば、粘着面に部分的に設けられたコート層であり得る。コート層の構成材料は特に限定されず、例えば、金属材料、無機材料(ガラスファイバーやガラスビーズを構成するガラス材料や、タルク、シリカ、アルミナ、各種顔料等のセラミック材料を包含する。)、炭素材料(カーボン粒子やカーボンファイバーを構成する炭素材料であり得る。)、有機材料(各種樹脂材料のほか、綿、麻、毛、絹、木材パルプ等の天然材料を包含する。)等から選択される1種または2種以上であり得る。コート層形成の容易性の観点から、樹脂材料を好ましく採用し得る。いくつかの態様において、外観性の観点から、透明または半透明の樹脂材料から形成されたコート層を好ましく採用し得る。
コート層に用いられ得る樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、尿素メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリシラザン系樹脂、フッ素系樹脂、フェノキシ樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース類、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、レーヨン、ビニロン、アセテート等が挙げられる。これらの樹脂は、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂等の各種タイプの樹脂から選択される1種または2種以上の樹脂であり得る。
ここに開示されるコート層は、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤、滑剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、流動性調整剤(チクソトロピー剤、増粘剤等)、造膜助剤等の各種添加剤を、必要に応じて含んでよい。
コート層は、非粘着性または弱粘着性であることが好ましい。これにより、良好な気泡押し出し性が好ましく実現される。ここで、コート層が非粘着性または弱粘着性であるとは、典型的には、コート層の初期粘着力が粘着シートの初期粘着力より低くかつ0.5N/20mm以下(好ましくは0.2N/20mm未満、より好ましくは0.1N/20mm未満であり、粘着力が低すぎて測定できない場合を包含する。)であることをいう。コート層の初期粘着力は、以下のようにして測定することができる。すなわち、粘着剤層表面の全面にコート層を配置した粘着シートを20mm幅に切断したものを試験片とし、23℃、50%RHの標準環境下にて、上記試験片のコート層表面をステンレス鋼板(SUS304BA板)の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着し(接着しない場合には、この時点で非粘着性とみなされる。)、これを同環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機を使用して、JIS Z0237に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で、180°引きはがし粘着力(N/20mm)を測定する。
ここに開示される技術における密着抑制材は、粘着面に部分的に配置された介在物(好ましくは、非粘着性または低粘着性の介在物)であってもよい。例えば、上記介在物としては、例えば細線を用いることができる。密着抑制材としての細線を粘着面に(例えば、粘着剤層上に)配置することにより、該細線が配置された部分において粘着面の被着体への密着を部分的に抑制し、当該部分を案内部として機能させ得る。細線の太さ(扁平断面を有する細線では長軸方向の長さ)は特に限定されず、例えば、上述した長尺部の幅W1と同程度の範囲から適宜選択することができる。
あるいは、粒子状の介在物(短繊維や薄片等であり得る。)を密着性抑制材として用いてもよい。このような介在物の構成材料は特に限定されず、例えば、コート層の構成材料と同様の金属材料、無機材料、炭素材料、各種樹脂材料等から選択され得る。このような粒子状の介在物を粘着面に(例えば、粘着剤層上に)配置することにより、不連続な案内部が形成され得る。上記粒子状の介在物は、異方性を有する形状(例えば、粘着面の上方からみた形状が短線、長円、楕円、数珠状、長方形、菱形、三角形等)であり得る。かかる異方性粒子は、その異方性形状の向き(姿勢)が概ね揃うように配向させて配置することができる。また、異方性粒子は、その異方性の向きに応じた方向に配列して設けられていてもよく、ランダムに配置されていてもよい。あるいは、実質的に異方性のない粒子状介在物(典型的には、円形、球形、円環状等の粒子)が間隔をあけて配列された構成の案内部であってもよい。粒子状の介在物のサイズは特に限定されない。いくつかの態様において、粘着面の上方からみた介在物のサイズは、その円換算径(すなわち、粘着面の上方からみた介在物の面積と同じ面積を有する円の直径)として、例えば0.01μm以上であってよく、0.1μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよく、10μm以上でもよい。また、上記介在物の円換算径は、例えば10mm以下であってよく、外観性等の観点から通常は5mm以下が適当であり、3mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.5mm以下でもよく、0.1mm以下でもよい。
密着抑制材は、典型的には、その少なくとも一部が粘着面に露出するように(すなわち、粘着面の一部を構成するように)設けられている。密着抑制材は、粘着剤層上に配置され得る。また、密着抑制材は、支持基材を有する態様において、該支持基材の上に直接または粘着剤層以外の層(例えば下塗り層)を介して配置されていてもよい。粘着剤層上に配置された密着抑制材は、その一部が粘着剤層に埋まっていてもよい。
粘着面に密着抑制材を配置する方法は、特に限定されない。例えば、密着抑制材としてのコート層を粘着剤層上に配置する方法として、次のような方法が採用され得る。
具体的には、コート層形成用組成物を、必要に応じて適当な溶媒に溶解または分散する等して調製する。次いで、公知または慣用の各種の印刷処理方法のうち適当な方法を採用して、当該組成物を剥離性支持体(「コート層転写用フィルム」ともいう。典型的には剥離ライナー)の剥離性表面に付与して硬化させる。そして、コート層が形成された剥離性支持体表面を粘着剤層表面に当接させてコート層を粘着剤層表面に転写する。このようにして、粘着剤層表面にコート層を部分的に配置することができる。コート層形成用組成物を付与する方法は特に限定されない。例えば、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の方法を採用することにより、格子状パターン等の所望のコート層パターンを好ましく形成することができる。気泡解消性の観点から、グラビア印刷がより好ましい。
粘着剤層上にコート層を配置する方法の他の例として、上記コート層が形成された剥離性支持体に、該コート層の上から粘着剤組成物(すなわち、粘着剤層形成用の組成物)を付与し、乾燥または硬化させることで粘着剤層を形成する方法が例示される。これにより、上記粘着剤層の剥離性支持体側表面にコート層を部分的に配置することができる。基材付き粘着シートの作製においては、上記粘着剤層の剥離性支持体とは反対側の表面に支持基材を貼り合わせることにより、上記粘着剤層およびその表面に部分的に配置されたコート層を上記支持基材に転写することができる。この方法により作製された粘着シートは、コート層の厚さの一部またはほぼ全部が粘着剤層に埋め込まれたものとなり得る。かかる形態の粘着シートは、加熱後粘着力を向上させる観点から有利となり得る。
粘着剤層上にコート層を配置する方法のさらに他の例として、粘着剤層表面に直接コート層形成用組成物を付与して、例えば紫外線硬化等の手法により硬化させることにより、粘着剤層表面にコート層を部分的に配置する方法が挙げられる。
密着抑制材(例えばコート層)の厚さは、所望の気泡解消性が得られるよう設計すればよく、特に限定されない。密着抑制材が粘着剤層上に配置される構成のいくつかの態様において、外観性や接合信頼性向上の観点から、密着抑制材の厚さを粘着剤層の厚さの半分以下(例えば1/3以下、典型的には1/5以下)とすることができる。具体的には、密着抑制材の厚さは、10μm以下とすることが好ましく、5μm以下(例えば3μm以下、典型的には2μm以下)とすることがより好ましい。また、密着抑制材が支持基材上に直接配置される構成のいくつかの態様において、密着抑制材の厚さは、例えば、粘着剤層の厚さの3/2以下(例えば4/3以下、典型的には6/5以下)とすることができる。密着抑制材の厚さの下限は特に制限されない。製造容易性等の観点から、いくつかの態様において、密着抑制材の厚さは、例えば0.001μm以上であってよく、0.01μm以上でもよく、0.1μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。なお、密着抑制材の厚さは、粘着シートの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより把握することができる。
<剥離ライナー付き粘着シート>
ここに開示される粘着シートは、 粘着面に剥離ライナーが貼り合わされた粘着製品の形態をとり得る。したがって、この明細書により、ここに開示されるいずれかの粘着シートと、該粘着シートの粘着面を保護する剥離ライナーとを含む剥離ライナー付き粘着シート(粘着製品)が提供され得る。
剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙(ポリエチレン等の樹脂がラミネートされた紙であり得る。)等のライナー基材の表面に剥離層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)のような低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナー等を用いることができる。表面平滑性に優れることから、ライナー基材としての樹脂フィルムの表面に剥離層を有する剥離ライナーや、低接着性材料により形成された樹脂フィルムからなる剥離ライナーを好ましく採用し得る。樹脂フィルムとしては、粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエステルフィルム(PETフィルム、PBTフィルム等)、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。上記剥離層の形成には、例えば、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、脂肪酸アミド系剥離処理剤、硫化モリブデン、シリカ粉等の、公知の剥離処理剤を用いることができる。シリコーン系剥離処理剤の使用が特に好ましい。剥離層の厚さは、特に制限されないが、通常、0.01μm〜1μm程度が適当であり、0.1μm〜1μm程度が好ましい。
剥離ライナーの厚さは、特に限定されないが、通常は5μm〜200μm程度(例えば10μm〜100μm程度、好ましくは20μm〜50μm程度)が適当である。剥離ライナーの厚さが上記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合わせ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。上記剥離ライナーには、必要に応じて、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理が施されていてもよい。
好ましい一態様では、上記剥離ライナー(剥離フィルム)の剥離性表面(粘着シートの粘着性表面に接する側の面)は、平滑に形成されている。このような剥離ライナーの剥離性表面に密着抑制材(例えばコート層)を部分的に配置し、該密着抑制材が部分的に配置された剥離ライナー表面に粘着剤層の表面を当接させて密着抑制材を粘着剤層表面に転写する場合に(その場合、剥離ライナーは密着抑制材転写用フィルム(剥離フィルム)ともなる。)、良好な密着抑制材転写性を実現し得る。また剥離ライナーの平滑表面が粘着剤層表面に転写されることにより、粘着特性も向上する傾向がある。また、上記のような剥離ライナーの剥離性表面に密着抑制材を部分的に配置し、該密着抑制材が形成された剥離性表面上に、該密着抑制材を覆うように粘着剤層をさらに形成することによっても、上記と同様の効果が得られる。この場合、形成された粘着剤層は基材の表面に転写される。上記のような理由から、上記剥離ライナーの剥離性表面における算術平均表面粗さは1μm以下(例えば凡そ0.05〜0.75μm、典型的には凡そ0.1〜0.5μm)であることが好ましい。
また、ここに開示される粘着シートの作製に用いられる剥離ライナーは、図5に示すように、剥離性表面120Aを有する剥離性支持体120を備える密着抑制材(ここではコート層30)付きの剥離ライナー110であり得る。剥離性支持体120は、ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離処理層を有するものであってもよく、低接着性材料からなる支持体であってもよい。この剥離性支持体120の剥離性表面120A上に、粘着シートに転写可能なコート層30が設けられる。つまり、コート層30は、粘着剤の粘着力等によって分離可能な状態で剥離性表面120A上に配置されている。このような、転写可能なコート層30を表面に有する剥離ライナー110を用いることにより、ここに開示される粘着シートが好ましく作製される。剥離性支持体の剥離性表面上に設けられるコート層の構成(形状、配置状態、配置関係、サイズ、パターン等)は、上述した粘着シートの粘着剤層表面を部分的に覆うコート層の構成と基本的に同じであり、したがって、上記剥離性表面上におけるコート層配置部およびコート層非配置部の構成や相対的関係(コート層非配置部の面積割合を包含する。)も、上記粘着剤層表面におけるコート層配置部およびコート層非配置部の構成や相対的関係(コート層非配置部の面積割合を包含する。)と基本的に同じであるので、説明は省略する。
<用途>
ここに開示される粘着シートは、気泡解消性と使用時の強粘着性とを好適に両立することができる。例えば、被着体に貼り合わせた後、室温域(例えば20℃〜30℃)においてしばらくの間は粘着力が低く抑えられており、この間は案内部および必要に応じて非案内部と被着体との間を通じて良好な気泡解消性を発揮することができる。また、かかる初期低粘着性を利用して、粘着シートのリワークや、所定形状への加工、貼付け等を行うことも可能である。そして、上記粘着シートは、エージング(加熱、経時、これらの組合せ等であり得る。)により粘着力を大きく上昇させることができ、その後は強固な接合を実現することができる。例えば、所望のタイミングで加熱することによって粘着シートを被着体に強固に接着させることができる。
このような特徴を活かして、ここに開示される粘着シートは、例えば各種の携帯機器(ポータブル機器)を構成する部材に貼り付けられる態様で、該部材の固定、接合、成形、装飾、保護、支持等の用途にも好適に用いられ得る。ここで「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは充分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。また、ここでいう携帯機器の例には、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム等の携帯電子機器の他、機械式の腕時計や懐中時計、懐中電灯、手鏡等が含まれ得る。上記携帯電子機器を構成する部材の例には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置に用いられる光学フィルムや表示パネル等が含まれ得る。ここに開示される粘着シートは、自動車、家電製品等における各種部材に貼り付けられる態様で、該部材の固定、接合、成形、装飾、保護、支持等の用途にも好ましく用いられ得る。
この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
(1) 粘着面を構成する粘着剤層を含む粘着シートであって、
上記粘着面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に貼り合わせた後、23℃で30分間放置後の粘着力N1が1.0N/20mm以下であり、かつ
上記粘着面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に貼り合わせた後、80℃で5分間加熱後の粘着力N2が3.0N/20mm以上であり、
上記粘着面には、上記粘着シートと被着体との間に存在するガスの上記粘着面に沿っての移動を方向づける案内部が設けられている、粘着シート。
(2) 上記案内部は、上記粘着面に沿って線状に延びる部分を複数有しており、
上記複数の線状に延びる部分のうち一群を構成する複数の線状に延びる部分は、その幅方向に間隔をおいて配置されており、これによって、上記案内部はストライプ状パターンを有する、上記(1)に記載の粘着シート。
(3) 上記案内部は、第1ストライプ状パターン部と、該第1ストライプ状パターン部と交差する第2ストライプ状パターン部とを含み、これによって、上記案内部は格子状パターンを有する、上記(2)に記載の粘着シート。
(4) 上記案内部は、上記粘着面の少なくとも一端に至るように設けられている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着シート。
(5) 上記案内部は、上記粘着面の上記被着体への密着が部分的に抑制された部分として構成されている、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着シート。
(6) 上記案内部は、上記粘着面に部分的に設けられた凹部を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着シート。
(7) 上記案内部は、上記粘着面に部分的に配置された密着抑制材を含む、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の粘着シート。
(8) 上記密着抑制材の厚さは5μm以下である、上記(7)に記載の粘着シート。
(9) 上記粘着面に占める上記案内部の面積割合が25%以下である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の粘着シート。
(10) 上記粘着力N2が上記粘着力N1の20倍以上である、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の粘着シート。
(11) 上記粘着剤層は、ガラス転移温度が0℃以下のアクリル系ポリマーPaと、シロキサン構造含有ポリマーPsと、を含む、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の粘着シート。
(12) 上記シロキサン構造含有ポリマーPsの含有量は、上記アクリル系ポリマーPa100重量部に対して0.1重量部以上10重量部未満である、上記(11)に記載の粘着シート。
(13) 上記シロキサン構造含有ポリマーPsは、重量平均分子量が1×104以上5×104未満である、上記(11)または(12)に記載の粘着シート。
(14) 上記シロキサン構造含有ポリマーPsは、ポリオルガノシロキサン骨格を有するモノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体である、上記(11)〜(13)のいずれかに記載の粘着シート。
(15) 上記アクリル系ポリマーPaおよび上記シロキサン構造含有ポリマーPsは、MMA,BMA,2EHMA,MA,BAおよび2EHAからなる群から選択される少なくとも一種のモノマーを共通するモノマー単位として含む、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の粘着シート。
(16) 上記共通するモノマー単位は、上記シロキサン構造含有ポリマーPsを構成する全モノマー単位の5重量%以上を占める成分である、上記(15)に記載の粘着シート。
(17) 上記共通するモノマー単位は、上記アクリル系ポリマーPaを構成する全モノマー単位の5重量%以上を占める成分である、上記(15)または(16)に記載の粘着シート。
(18) 支持基材を備え、該支持基材の少なくとも片面に上記粘着剤層が積層されている、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の粘着シート。
(19) 上記支持基材は樹脂フィルムを含む、上記(18)に記載の粘着シート。
(20) 上記支持基材は発泡体フィルムを含む、上記(18)または(19)に記載の粘着シート。
(21) 上記(1)〜(20)のいずれかに記載の粘着シートと、
上記粘着シートの上記粘着面を保護する剥離ライナーと
を備える、剥離ライナー付き粘着シート。
(22) 上記剥離ライナーは、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、オレフィン系剥離処理剤およびフッ素系剥離処理剤からなる群から選択される少なくとも一種の剥離処理剤で処理された剥離面を備える、上記(21)に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
(アクリル系ポリマーA1の調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管および冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)30部、n−ブチルアクリレート(BA)70部、アクリル酸(AA)3部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)0.1部、および重合溶媒としてトルエン150部を仕込み、60℃にて窒素雰囲気下で2時間撹拌した後、熱重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を投入し、60℃で6時間反応を行って、アクリル系ポリマーAの溶液を得た。このアクリル系ポリマーA1のMwは45万であった。
(シロキサン構造含有ポリマーPsの調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、トルエン100重量部、MMA40重量部、n−ブチルメタクリレート(BMA)20重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)20重量部、官能基当量が900g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:X−22−174ASX、信越化学工業株式会社製)8.7部、官能基当量が4600g/molのポリオルガノシロキサン骨格含有メタクリレートモノマー(商品名:KF−2012、信越化学工業株式会社製)11.3部および連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル0.51部を投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間撹拌した後、熱重合開始剤としてAIBN0.2部を投入し、70℃で2時間反応させた後に、熱重合開始剤としてAIBN0.1重量部を投入し、続いて80℃で5時間反応させた。このようにしてシロキサン構造含有ポリマーPs1の溶液を得た。このシロキサン構造含有ポリマーPs1の重量平均分子量は22000であった。
なお、上述した各ポリマーの重量平均分子量は、GPC装置(東ソー社製、HLC−8220GPC)を用いて下記の条件で測定を行い、ポリスチレン換算により求めた。
・サンプル濃度:0.2wt%(テトラヒドロフラン(THF)溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH-RC(1本)
・検出器:示差屈折計(RI)
(コート層形成剥離フィルムの作製)
片面がシリコーン系剥離処理剤による剥離面となっている厚さ75μmの剥離フィルム(フジコー社製、商品名「FMN−75WD(C1−CA1)」)を用意した。この剥離フィルムの上記剥離面にコート層形成材料(ウレタン系:2液混合硬化型インク)をグラビア印刷により付与し、格子状パターンを有するコート層(厚さ1.5μm、透明)を形成することにより、コート層形成剥離フィルムを得た。
<粘着シートの作製>
(例1)
上記アクリル系ポリマーA1の溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーA1の100部当たり、シロキサン構造含有ポリマーPs1を5部、粘着付与樹脂としてペンセルD−125(荒川化学工業社製の重合ロジンエステル、軟化点120〜130℃)を30部、架橋剤としてコロネートL(東ソー社製のイソシアネート系架橋剤)を3部添加し、均一に混合して粘着剤組成物C1を調製した。
上記コート層形成剥離フィルムの剥離性表面に、上記粘着剤組成物C1を塗布し、110℃で2分間加熱した。これにより、上記コート層からなる案内部が上記剥離性表面側の表面に部分的に配置された、厚さ19μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上記剥離性表面とは反対側の表面に、支持基材としての厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、商品名「ルミラー」)を第一面を貼り合わせることにより、コート層を有する粘着剤層が上記第一面上に支持された粘着シートを作製した。この粘着シートは、上記コート層形成剥離フィルムに用いた剥離フィルムとともに、剥離ライナー付き粘着シートを構成している。この粘着シートの粘着面には、図1に示すコート層からなる格子状パターンが形成されており、コート層配置部の長尺部の幅(線幅)は0.2mm、間隔は1.8mm、コート層非配置部の面積割合は81%であった。
(例2)
シロキサン構造含有ポリマーPs1を使用しない他は粘着剤組成物C1の調製と同様にして、粘着剤組成物C2を調製した。粘着剤組成物C1に代えて粘着剤組成物C2を用いた他は例1に係る粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。この粘着シートの粘着面には、例1に係る粘着シートと同形状のコート層からなる案内部が配置されている。
(例3)
例1に係る粘着シートの作製において、上記コート層形成剥離フィルムに代えて、三菱樹脂株式会社製の商品名「ダイアホイルMRF」(ポリエステルフィルムの片面がシリコーン系剥離処理剤による剥離面となっている剥離ライナー、厚さ38μm)を粘着剤層に貼り合わせた。この粘着シートの粘着面には案内部は設けられていない。
(例4)
粘着剤組成物C1に代えて粘着剤組成物C2を用いた他は例3に係る粘着シートの作製と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。この粘着シートの粘着面には案内部は設けられていない。
<対SUS粘着力の測定>
各例に係る粘着シートを剥離ライナーごと20mm幅に切断したものを試験片とし、トルエンで清浄化したSUS板(SUS304BA板)を被着体として、以下の手順で初期粘着力N1および加熱後粘着力N2を測定した。
(初期粘着力の測定)
23℃、50%RHの標準環境下にて、各試験片の粘着面を覆う剥離ライナーを剥がし、露出した粘着面を被着体に、2kgのローラを1往復させて圧着した。このようにして被着体に圧着した試験片を上記標準環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機、TCM−1kNB」ミネベア社製)を使用して、JIS Z0237に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で、180°引きはがし粘着力(上記引張りに対する抵抗力)を測定した。測定は3回行い、それらの平均値を初期粘着力として表1に示した。
(加熱後粘着力の測定)
上記初期粘着力の測定と同様にして被着体に圧着した試験片を、80℃で5分間加熱し、次いで上記標準環境下に30分間放置した後に、同様に180°引きはがし粘着力を測定した。測定は3回行い、それらの平均値を加熱後粘着力として表1に示した。
<気泡抜け性の評価>
各例に係る粘着シートを剥離ライナーごと面積5cm2の正方形状にカットした。被着体としての透明なアクリル板を水平に保持し、粘着面を覆う剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させ、該粘着面を下にして上記アクリル板の上に軽く載せた(圧着はしない)。次いで、上記アクリル板上の粘着シートを上面側(粘着面とは反対側)から指で直径2cm程度の円を描くように押圧し、上記円内にて粘着シートと被着体との間に空気が留まるように粘着シートを被着体に圧着した。そして、上記円が周方向に狭まるように指で円を描きながら円の中心に向かって圧着していき、円の中心に面積約3cm2の気泡を形成した。粘着シートの一辺と直交する方向にハンドローラーを約300cm/分の速度で転がして上記気泡を押し出した。1回の押し出し操作後(ハンドローラー転がし後)に気泡の残存が認められた場合には、再度同じ方向にハンドローラーを転がした。そのときの大気泡(最初に形成した面積約3cm2の気泡)および小気泡(上記大気泡の押し出し途中で生じた気泡)の解消性を、以下の4水準で官能評価した。結果を表1に示す。
E:3回以内の押し出し操作により、大気泡、小気泡ともに解消した(気泡解消性に優れる)。
G:3回以内の押し出し操作により大気泡から分かれた小気泡は解消したが、大気泡を解消するには4回以上の押し出し操作が必要であった(気泡解消性良好)。
A:3回以内の押し出し操作により、大気泡は解消したが、大気泡から分かれた小気泡は押し出し操作を繰り返しても解消しなかった(実用上許容可能な気泡解消性を示す)。
P:大気泡、小気泡ともに、押し出し操作を繰り返しても解消しなかった(気泡解消性に欠ける)。
表1に示されるように、初期粘着力が低くかつ案内部が設けられている例1の粘着シートは、大気泡および小気泡のいずれに対しても優れた気泡解消性を示した。これに対して、案内部を有するが初期粘着力の高い例2の粘着シートでは、大気泡の迅速解消性の点で例1の粘着シートに及ばないものであった。初期粘着力は低いが案内部を有しない例3の粘着シートは、小気泡の押し出し性に難があった。初期粘着力が高くかつ案内部を有しない例4の粘着シートは、気泡解消性に欠けるものであった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。