JP6828464B2 - ナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法およびセメントの製造方法 - Google Patents

ナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法およびセメントの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法およびセメントの製造方法に関する。
ソーダ石灰ガラスやホウケイ酸ガラスなどのナトリウム含有ガラスは、板ガラス、ガラス瓶、ディスプレイや太陽電池パネルなどの様々な分野で利用されている。ナトリウム含有ガラスは二酸化ケイ素を主成分とすることから、使用済みのナトリウム含有ガラスを、セメントの珪石代替原料として再利用することが検討されている。但し、ナトリウム含有ガラスには、一般にアルカリ金属のナトリウムが酸化物(NaO)換算で10〜15質量%含まれており、ナトリウム含有ガラスをそのままセメントの原料として用いると、アルカリ骨材反応を誘発するおそれがある。このため、ナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去するための技術が検討され、その成果は、例えば、下記の特許文献に開示されている。
特許文献1には、塩素含有可燃物を燃焼させることによって発生させた塩素系ガスと、アルカリ金属含有物(ガラス、陶磁器)とを接触させて、アルカリ金属を塩化物に変化させて揮発させる方法が開示されている。
特許文献2には、酸性ガスと廃ガラスとを接触させて、廃ガラス中のアルカリ成分を塩に変化させて水洗して除去する方法が開示されている。この特許文献2には、酸性ガスとして、二酸化硫黄ガス、亜硫酸ガス、二酸化窒素ガス、臭化水素や塩化水素等のハロゲン化水素ガスが例示されている。
特許文献3には、塩素含有廃棄物を加熱することによって生成させた塩素含有ガスにアルカリ金属化合物(廃ガラス)とカルシウム化合物を添加して、塩化アルカリ金属を含む生成物を生成させ、この生成物から塩化アルカリ金属を水洗によって除去する方法が開示されている。この特許文献3には、塩素含有ガスの塩素とカルシウム化合物とを反応させて塩化カルシウムを生成させ、この塩化カルシウムとガラス粉末中のNaOとを反応させて、塩化ナトリウムを生成させることが記載されている。
特許第4313936号公報 特許第4373621号公報 特許第4087657号公報
特許文献1〜3に記載されているナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法は、塩素を含む酸性ガスを利用しているため、設備への負荷が非常に大きいという問題がある。また、塩素源として、塩素含有廃棄物を加熱することによって生成させたガスを用いると、ガラス中のナトリウムとの反応に寄与する塩素量を調整するのが難しいという問題もある。塩素量が少ないと、ナトリウムの除去率が低下する。一方、塩素量が多くなりすぎると、ワダライト(CaAlSi16Cl)などの難溶性塩化物が生成するおそれがある。塩素は、金属腐食を起こして、鉄筋の強度低下など、悪影響を与えるため、セメントの原料として用いるガラスは塩化物の混入量が少ない方が好ましい。
さらに、特許文献1、2に記載されているガス(気体)とガラス(固体)との接触による気固反応によって塩素とナトリウムとを反応させる方法では、ガスとガラスの接触時間を十分に長く設定しなければならなく、処理に時間を要するといった問題があった。また、ガスの温度が600℃を上回るとガラス表面が次第に溶融してしまい、ガラスのナトリウム除去率が低下するという問題があった。加えて、塩素を含むガスは酸性で腐食性が高いため、反応装置や配管の材質が劣化しやすく、排出ガスの処理が煩雑になる問題もあった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、難水溶性塩化物の生成を抑えつつ、比較的短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができる方法を提供することを目的としている。また、本発明は、ナトリウム含有ガラスを材料として用いたセメントの製造方法を提供することもその目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法は、ナトリウム含有ガラスと、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合して、前記ナトリウム含有ガラス中のナトリウムに対して塩素をモル比で2以上3以下の割合で含み、かつ塩素に対してカルシウムをモル比で1以上の割合で含む混合物を得る混合工程と、前記混合物を400℃以上900℃以下の温度で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で得られた加熱混合物を水洗する水洗工程とを備えることを特徴としている。
このような構成とされた本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法によれば、加熱工程において、先ず、塩素含有樹脂を加熱することによって発生する塩素とカルシウム含有物のカルシウムとが反応してカルシウム含有塩化物を生成する。次いで、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムとカルシウム含有塩化物中のカルシウムとが置換反応することによって、ナトリウム含有ガラスのナトリウムが外部に放出される。放出されたナトリウムは、塩素と反応して塩化ナトリウムを生成する。一方、ナトリウム含有ガラスの内部に侵入したカルシウムは、ケイ酸塩鉱物(ウォラストナイト:CaSiO)を生成する。そして、加熱工程で生成した塩化ナトリウムは、水洗工程にて溶解除去される。
本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法では、塩素源として、塩素含有樹脂を用いるため、ナトリウム含有ガラスに対して過剰に塩素が供給されるおそれがない。このため、難水溶性塩化物の生成を抑えることができる。また、加熱工程において生成するケイ酸塩鉱物は、融点が約1540℃であり、ナトリウム含有ガラスと比較して融点が高い。そのため、比較的高温で処理すること可能となり、ガラスの脱ナトリウム反応が促進されるため、短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができる。さらに、塩素源として、塩素を含むガスを利用していないため、設備への負荷を大きく軽減できる。
ここで、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記混合物は塩素Clに対してカルシウムCaをモル比(Ca/Cl比)で1以上の割合で含むので、加熱工程において、塩素含有樹脂の加熱によって発生する塩素をカルシウムによって確実に捕捉することができ、排ガス中に塩素が移行することを抑えることができる。また、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムNaに対して塩素Clをモル比(Cl/Na比)で1以上含むので、ナトリウム含有ガラスから放出されたナトリウムを効率よく塩化ナトリウムとして固定することができる。さらに、Cl/Na比が4以下とされているので、難水溶性塩化物の生成をより確実に抑制することができる。さらにまた、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムNaに対するカルシウムCaの量がモル比(Ca/Na比)で1以上となるので、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムとカルシウム含有塩化物中のカルシウムとの置換反応が進みやすく、ナトリウム含有ガラスのナトリウムを外部により放出させることができる。このため、ナトリウムの除去率が高くなり、またガラスが溶融しにくくなる。
また、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記ナトリウム含有ガラスが、粒子径が150μm以下であることが好ましい。
この場合、ナトリウム含有ガラスは粒子径が150μm以下と微細であるので、ナトリウムを外部にさらに放出させやすくなり、ナトリウムの除去率が高くなる。
さらに、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記カルシウム含有物が、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、ドロマイト粉末、ドロマイトの水酸化物粉末、およびドロマイトの酸化物粉末からなる群より選択された少なくとも1種の物質を含むことが好ましい。
この場合、これらの物質に含まれているカルシウムは塩素と反応しやすいため、塩素をカルシウムによって確実に捕捉することができ、外部に塩素が流出することを抑えることができる。
また、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記混合物が、さらに、塩化カルシウム粉末、焼却飛灰、ばいじんおよびクリンカダストからなる群より選択された少なくとも1種の塩素含有無機物を含むことが好ましい。
この場合、これらの塩素含有無機物に含まれている塩素によって、ナトリウムを塩化ナトリウムとして固定することができるので、ナトリウムの除去率が確実に向上する。
またさらに、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記加熱混合物が、前記塩素含有樹脂の加熱残渣である粗大炭化物を含み、さらに、前記水洗工程の前に、前記加熱混合物から前記粗大炭化物を取り出す粗大炭化物取出工程を備えていてもよい。
この場合、粗大炭化物取出工程で取り出した粗大炭化物は、熱量代替として利用することができる。
さらにまた、本発明のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法においては、前記水洗工程で得られた洗浄物が、前記塩素含有樹脂の加熱残渣である炭化物とナトリウムが除去された脱ナトリウムガラスを含み、さらに、前記水洗工程の後に、前記洗浄物に含まれている前記炭化物と前記脱ナトリウムガラスを分離する分離工程を備えていてもよい。
この場合、分離工程で取り出した脱ナトリウムガラスは、二酸化ケイ素(珪石)の代替としてセメントの原料とすることができる。また、炭化物は熱量代替として利用することができる。
本発明のセメントの製造方法は、ナトリウム含有ガラスと、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合して、前記ナトリウム含有ガラス中のナトリウムに対して塩素をモル比で1以上4以下の割合で含み、かつ塩素に対してカルシウムをモル比で1以上の割合で含む混合物を得る混合工程と、前記混合物を400℃以上900℃以下の温度で加熱する加熱工程と、前記加熱工程で得られた加熱混合物を水洗する水洗工程と、前記水洗工程で得られた洗浄物を含むセメント原料組成物を焼成する焼成工程とを備えることを特徴としている。
このような構成とされたセメントの製造方法によれば、難水溶性塩化物の生成を抑えつつ、比較的短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができるので、ナトリウム含有ガラスをセメントの原料として有利に用いることができる。
本発明によれば、難水溶性塩化物の生成を抑えつつ、比較的短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができる方法を提供することが可能となる。また、本発明によれば、ナトリウム含有ガラスを材料として用いたセメントの製造方法を提供することも可能となる。
本発明の一実施形態に係るナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係るセメントの製造方法を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態であるナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法について添付した図1を参照して説明する。
本実施形態でナトリウムの除去の対象となるナトリウム含有ガラスは、例えば、家庭やガラス製品の製造工場により廃棄された使用済みガラス、使用済みのディスプレイや太陽電池パネルをリサイクルするときに回収される使用済みガラスである。ナトリウム含有ガラスの例としては、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスが挙げられる。
本実施形態であるナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法は、使用済みガラスを粉砕する粉砕工程S11、粉砕工程S11で得られたガラス粉末と、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合する混合工程S12、混合工程S12で得られた混合物を加熱する加熱工程S13、加熱工程S13で加熱された加熱混合物から粗大炭化物を取り出す粗大炭化物取出工程S14と、粗大炭化物を取り出した加熱混合物を水洗する水洗工程S15、水洗工程S15で得られた洗浄物を脱ナトリウムガラスと炭化物とに分離する分離工程S16を備えている。
(粉砕工程S11)
粉砕工程S11では、使用済みガラスを粉砕してガラス粉末を得る。粉砕は乾式で行ってもよいし、湿式で行ってもよい。粉砕装置としては、一般的に無機鉱物の粉砕に使用される粉砕装置、例えば、ロールミル、ハンマーミル、ピンミル、ウイングミル、トルネードミル、ボールミル、ロッドミルまたは振動ミルなどを単独で、あるいは組合せて使用することができる。使用済みガラスが大きい場合には、粉砕する前に、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャーのような衝撃式の破砕機で粗粉砕するとよい。
粉砕によって得られたガラス粉末は、分級により粗大なガラス粒子を除去することが好ましい。分級は、粉体ふるい分けに使用されるふるい分け装置、例えば、円型振動ふるい、超音波振動ふるい、ジャイロシフター、バイブレーティングスクリーン、エアセパレータ、サイクロンなどを用いることができる。分級によって除外された粗大ガラス粒子は、再度、粉砕装置で目標粒度まで微粉砕することが好ましい。
本実施形態では、粉砕工程S11で得られるガラス粉末は、粒子径が150μm以下とされている。ガラス粉末の粒子径が150μm以下と微細であると、後述の加熱工程S13において、ガラス粉末のナトリウムを外部に放出させやすくなるので、ナトリウムの除去率が高くなる。なお、本実施形態において、粒子径はJIS Z8801−1に規定された試験用ふるいを用いて測定した値である。粒子径が150μm以下のガラス粉末は、公称見開き150μmのふるいを通過したガラス粉末を意味する。
ナトリウムの除去率をより向上させるためには、粉砕工程S11で得られるガラス粉末の粒子径は100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、45μm以下であることが特に好ましい。なお、ガラス粉末の粒子形状は特に制限はなく、例えば、球状、楕円球状、角柱状、針状、鱗片状であってもよい。
(混合工程S12)
混合工程S12では、粉砕工程S11で得られたガラス粉末と、別に用意した塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合して混合物を得る。混合は乾式で行ってもよいし、湿式で行ってもよい。混合装置としては、タンブラーミキサー、ドラムミキサーまたはリボンミキサーなどの一般的な微粉体の混合に利用される混合装置を用いることができる。塩素含有樹脂が粉体状や顆粒状でなく、ガラス粉末と同時にハンドリングすることが難しければ、加熱工程の炉内の流動で十分に混合してもよい。
塩素含有樹脂は、加熱によって塩素が発生するものであれば特に制限はない。塩素含有樹脂は200〜400℃の温度で樹脂から塩素が脱離するものであることが好ましい。塩素含有樹脂の塩素含有量は、1質量%以上50質量%以下の範囲にあることが好ましい。塩素含有樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、クロロプレンゴム、あるいはこれを複合的に含む混合物などが挙げられる。塩素含有樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。塩素含有樹脂は、廃棄物由来の可燃物との混合物であってもよい。塩素含有樹脂と可燃物の混合物の例としては、RPF(Refuse Paper and Plastic Fuel)、一般廃棄物や産業廃棄物の廃プラスチックを挙げることができる。
カルシウム含有物は、塩素と反応してカルシウム含有塩化物を生成するものであれば特に制限はない。カルシウム含有物のカルシウム含有量は、10質量%以上70質量%以下の範囲にあることが好ましい。カルシウム含有物の例としては、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、ドロマイト[CaMg(CO]粉末、ドロマイトの水酸化物[CaMg(OH)]粉末、ドロマイトの酸化物(CaMgO)粉末を挙げることができる。加えて、カルシウム含有物として、都市ゴミの焼却処理で発生する焼却飛灰、産業廃棄物の焼却処理で発生するばいじん、産業排水の中和汚泥の乾燥物などの廃棄物を活用することもできる。これらは塩素を含有するが、塩素と未結合のカルシウムを多く含んでいるため、カルシウム含有物として使用することができる。同様の理由で、セメント工場で副生するクリンカダストを使用することもできる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。カルシウム含有物は、反応効率を上げるために、微粉末にして比表面積を大きくした方がよい。カルシウム含有物の粒度は5μm以上、500μm以下の範囲であることが望ましい。カルシウム含有物の粒度が大きくなり過ぎると、塩素含有樹脂の加熱によって発生する塩素との反応面積が小さくなり、塩素を十分に補足することが困難となるおそれがある。一方、カルシウム含有物の粒度が小さくなり過ぎると、カルシウム含有物が凝集しやすくなり、ナトリウム含有ガラスや塩素含有樹脂との均一な混合が困難となるおそれがある。また、カルシウム含有物の微粉末が浮遊して排ガスに移行してしまい、ロスするおそれがある。
混合工程S12においては、先ず、ガラス粉末中のナトリウム量と、塩素含有樹脂中の塩素量と、カルシウム含有物中のカルシウム量とを測定することが好ましい。塩素含有樹脂として廃プラスチックなどの混合物を用いる場合は、塩素量とカルシウム量を測定することが好ましい。次いで、得られる混合物が、塩素とガラス中のナトリウムのモル比(Cl/Na比)と、カルシウムと塩素のモル比(Ca/Cl比)が所定の割合となるように、ガラス粉末と塩素含有樹脂とカルシウム含有物とを混合することが好ましい。
混合物中のカルシウムは、後述の加熱工程S13において、塩素含有樹脂の加熱によって発生する塩素をカルシウム含有塩化物として捕捉すると共に、ガラス粉末中のナトリウムと置換反応して、ナトリウムを外部に放出させる作用がある。また、混合物中の塩素は、後述の加熱工程S13において、ガラス粉末から放出されたナトリウムを塩化ナトリウムとして固定化する作用がある。
Ca/Cl比が低くなりすぎると、塩素の捕捉量が低下して、排ガスに移行する塩素の量が増大するおそれがある。このため、本実施形態では、Ca/Cl比を1以上と設定している。カルシウムはセメントの原料として利用できるため、Ca/Cl比の上限は特に制限はないが、通常、Ca/Cl比は2以下である。
また、Cl/Na比が低くなりすぎると、放出されたナトリウムが、再度ガラス粉末に侵入してしまい、ナトリウムの除去率が低下するおそれがある。一方、Cl/Na比が高くなりすぎると、加熱工程S13において生成する難水溶性塩化物の量が多くなるおそれがある。このため、本実施形態では、Cl/Na比を1以上4以下と設定している。難水溶性塩化物の生成を確実に抑えつつ、ナトリウムの除去率をより向上させるためには、Cl/Na比は2以上3以下であることが特に好ましい。
本実施形態では、Ca/Cl比とCl/Na比が上記の範囲に設定されているので、カルシウムとナトリウムのモル比(Ca/Na比)は1以上となる。このため、ガラス粉末中のナトリウムとカルシウムの置換反応が進みやすく、ナトリウム含有ガラスのナトリウムを外部により放出させることができる。
Cl/Na比を1以上とするために、混合物に、塩素含有樹脂以外に塩素の供給補助剤を添加してもよい。塩素の供給補助剤はセメントの原料として利用できる塩素含有無機物であることが好ましく、さらに、塩素の対イオンとしてセメントの主成分であるカルシウムを含有する化合物が特に好ましい。塩素の供給補助剤の例としては、塩素とカルシウムを高濃度に含む、塩化カルシウム粉末、都市ゴミの焼却処理で発生する焼却飛灰、産業廃棄物の焼却処理で発生するばいじん、セメント工場で副生するクリンカダストを挙げることができる。焼却飛灰、ばいじんおよびクリンカダストは、含有するCl濃度に応じて、塩素の供給補助剤あるいはカルシウム含有物として利用することができる。
(加熱工程S13)
加熱工程S13では、混合工程S12で得られた混合物を加熱する。加熱装置としては、電気炉、マッフル炉などのバッチ式の加熱装置、ロータリーキルン、流動床炉、ストーカー炉などの連続式の加熱装置を用いることができる。本実施形態において加熱は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガスの種類に特に制限はなく、窒素やアルゴンを用いることができる。
加熱工程S13において混合物を不活性ガス雰囲気下にて加熱すると、塩素含有樹脂が熱分解して塩素および乾留ガスが発生する。乾留ガスは、燃焼させて加熱工程などの熱源として利用することができる。発生した塩素は、カルシウム含有物のカルシウムと反応して、カルシウム含有塩化物が生成する。カルシウム含有塩化物は、カルシウムと塩素とを含む化合物である。カルシウム含有塩化物の例としては、塩化カルシウム(CaCl)、塩化水酸化カルシウム[CaCl(OH)]が挙げられる。この生成したカルシウム含有塩化物中のカルシウムとガラス粉末中のナトリウムとが置換反応して、ケイ酸塩鉱物が生成する。ケイ酸塩鉱物カルシウム含有ガラスが生成することによって、ガラス粉末の融点が高くなり、溶融しにくくなる。置換反応によって外部に放出されたナトリウムは、塩化カルシウムの塩素と反応して、塩化ナトリウムとなる。
なお、カルシウム含有物がドロマイト粉末などのマグネシウムを含む場合は、カルシウムと同様に、マグネシウムも塩素と反応してマグネシウム含有塩化物が生成する。マグネシウム含有塩化物中のマグネシウムは、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムと置換して、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムを外部に放出させる作用がある。但し、カルシウムと比べると、マグネシウムは塩素の捕捉能力やナトリウム含有ガラス中のナトリウムとの置換作用が弱い。このため、カルシウム含有物はマグネシウムよりもカルシウムの含有量が高い方がよい。
本実施形態において加熱温度は、400℃以上900℃以下の範囲とされている。加熱温度が低くなりすぎると、ナトリウムとカルシウムとの置換反応が起こりにくくなり、ナトリウムの除去率が低下する。一方、加熱温度が高くなりすぎると、ガラス粉末が溶融して固結するおそれある。また、ガラスと塩素が反応して、ワダライト(CaAlSi16Cl)などの難水溶性塩化物が生成しやすくなるおそれがある。
難水溶性塩化物の生成を抑えつつ、ナトリウムの除去率を向上させるためには、加熱温度は、500℃以上800℃以下の範囲が好ましく、600℃以上800℃以下の範囲がより好ましく、700℃以上750℃以下の範囲が特に好ましい。
加熱時間は、加熱装置の容量や混合物の組成などの条件によって変動するが、一般に10分以上120分以下の範囲、好ましくは15分以上60分以下の範囲である。
(粗大炭化物取出工程S14)
粗大炭化物取出工程S14では、加熱工程S13で得られた加熱混合物から粗大炭化物を取り出す。粗大炭化物は、塩素含有樹脂の加熱残渣である。粗大炭化物の取り出しは乾式で行うことが好ましい。粗大炭化物の取り出し方法としては、例えば、見開き500μmの篩を用いて、粗大炭化物を篩上として回収する方法を用いることができる。回収した粗大炭化物は熱量代替として使用できる。
(水洗工程S15)
水洗工程S15では、粗大炭化物取出工程S14にて粗大炭化物が取り出された加熱混合物を水洗する。この水洗によって、加熱混合物中の塩化ナトリウム、残存したカルシウムや塩素などの可溶性塩類を溶解させて除去する。水洗の方法としては、加熱混合物を水に懸濁させて撹拌洗浄する方法、加熱混合物に水をシャワーリングする方法などを用いることができる。水洗した処理物は脱水して回収するが、後段の分離工程を湿式で行う場合には分離工程後に脱水してもよい。脱水方法としては、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、遠心分離機などの脱水機を用いることができる。脱水後の処理物は、含水率が30質量%以下であることが好ましい。また、加熱後のガラスや炭化物が塊状化したり、凝集して、水洗が効率良くできない場合には、粉砕して洗浄しやすくしてもよい。
(分離工程S16)
分離工程S16では、水洗工程S15で得られた洗浄物を脱ナトリウムガラスと炭化物とに分離する。脱ナトリウムガラスは、ナトリウムが除去されたガラス粉末である。炭化物は、塩素含有樹脂の加熱残渣である。洗浄物を脱ナトリウムガラスと炭化物とに分離する方法としては、比重差を利用する方法、炭化物粒子の表面が疎水性であるため気泡に付着させてフロスとして回収する方法、篩を用いる方法などを採用することができる。炭化物の発熱量が低い、あるいはガラス粉末に比べて炭化物の回収量が低い場合には、分離工程は省略してもよい。
分離工程S16によって分離された脱ナトリウムガラスは、NaOの含有量が、通常は、7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下である。また、塩素の含有量は、通常は0.7質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.2質量%以下である。
以上の本実施形態の方法によって、ナトリウムが除去された脱ナトリウムガラスは、ナトリウムおよび塩素の含有量が少ないことから、例えば、普通ポルトランドセメントなどの珪石を含む各種セメントの原料として用いることができる。
次に、本発明の実施形態であるセメントの製造方法について添付した図2を参照して説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るセメントの製造方法を示すフロー図である。但し、上述のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法と同一の工程については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態のセメントの製造方法は、水洗工程S15で得られた洗浄物を脱水する脱水工程S21と、脱水工程S21で得られた脱水物とセメント原料とを混合するセメント原料組成物調製工程S22と、得られたセメント原料組成物を焼成する焼成工程S23を備えている。本実施形態のセメントの製造方法では、粗大炭化物取出工程S14と分離工程S16とが省略されている。粗大炭化物取出工程S14で取り出される粗大炭化物と分離工程S16で分離される炭化物を、焼成工程S23において熱量代替として利用するためである。
(脱水工程S21)
脱水工程S21では、水洗工程S15で得られた洗浄物を脱水する。脱水装置としては、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、遠心分離機などの脱水機を用いることができる。脱水工程によって得られる脱水物は、含水率が30質量%以下であることが好ましい。
(セメント原料組成物調製工程S22)
セメント原料組成物調製工程S22では、脱水工程S21で得られた脱水物と別に用意したセメント原料とを混合してセメント原料組成物を得る。セメント原料の例としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、粘土、酸化鉄、酸化アルミニウム、石膏などを挙げることができる。混合装置としては、原料ミルなどの一般的なセメントの製造に利用される混合装置を用いることができる。
(焼成工程S23)
焼成工程S23では、セメント原料組成物調製工程S22で得られたセメント原料組成物を焼成してセメント(クリンカー)を得る。焼成装置としては、ロータリーキルンを用いることができる。焼成によって得られたセメントクリンカーは、粉砕されてセメントとされる。
以上のようにして、ポルトランドセメント、シリカセメント、アルミナセメントなどの珪石を含む各種セメントを製造することができる。
本実施形態のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法によれば、塩素源として、塩素含有樹脂を用いるため、ナトリウム含有ガラスに対して過剰に塩素が供給されるおそれがない。このため、難水溶性塩化物の生成を抑えることができる。また、加熱工程S13において生成するケイ酸塩鉱物は、ナトリウム含有ガラスと比較して融点が高いので、比較的高温で処理すること可能となり、短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができる。
また、本実施形態においては、混合工程S12で得られる混合物が、塩素Clに対してカルシウムCaをモル比(Ca/Cl比)で1以上の割合で含むので、加熱工程S13において、塩素含有樹脂の加熱によって発生する塩素をカルシウムによって確実に捕捉することができ、排ガス中に塩素が移行することを抑えることができる。また、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムNaに対して塩素Clをモル比(Cl/Na比)で1以上含むので、ナトリウム含有ガラスから放出されたナトリウムを効率よく塩化ナトリウムとして固定することができる。さらに、Cl/Na比が4以下とされているので、難水溶性塩化物の生成をより確実に抑制することができる。さらにまた、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムNaに対するカルシウムCaの量がモル比(Ca/Na比)で1以上となるので、ナトリウム含有ガラス中のナトリウムとカルシウム含有塩化物中のカルシウムとの置換反応が進みやすく、ナトリウム含有ガラスのナトリウムを外部により放出させることができる。このため、ナトリウムの除去率が高くなり、またガラスが溶融しにくくなる。
さらに、本実施形態においては、粉砕工程S11で得られるガラス粉末の粒子径が150μm以下と微細であるので、ナトリウムを外部に効率よく放出させることができ、ナトリウムの除去率が高くなる。
また、本実施形態においては、混合工程S12において用いるカルシウム含有物が、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、ドロマイト粉末、ドロマイトの水酸化物粉末、およびドロマイトの酸化物粉末からなる群より選択された少なくとも1種の物質を含むので、塩素をカルシウムによって確実に捕捉することができ、排ガスに塩素が移行することを抑えることができる。さらに、混合工程S12において混合物に、塩化カルシウム粉末、焼却飛灰、ばいじんおよびクリンカダストからなる群より選択された少なくとも1種の塩素含有無機物を添加することにより、これらの塩素含有無機物に含まれている塩素によって、ナトリウムを塩化ナトリウムとして固定することができるので、ナトリウムの除去率が確実に向上する。
またさらに、本実施形態においては、水洗工程S15の前に、粗大炭化物取出工程S14を備えているので、加熱混合物から塩素含有樹脂の加熱残渣である粗大炭化物を取り出すことができ、その粗大炭化物を、熱量代替として利用することができる。
さらにまた、本実施形態においては、分離工程S16を備えているので、洗浄物に含まれている炭化物と脱ナトリウムガラスを分離するので、脱ナトリウムガラスを、高品位の二酸化ケイ素(珪石)としてセメントの原料とすることができる。また、炭化物は熱量代替として利用することができる。
本実施形態のセメントの製造方法によれば、難水溶性塩化物の生成を抑えつつ、比較的短時間でナトリウム含有ガラスからナトリウムを効率よく除去することができるので、ナトリウム含有ガラスをセメントの原料として有利に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、粉砕工程S11にて使用済みガラスをガラス粉末とした後、混合工程S12にてガラス粉末と塩素含有樹脂とカルシウム含有物とを混合しているが、これに限定されることはない。例えば、使用済みガラスと塩素含有樹脂とカルシウム含有物とを粉砕しながら混合してもよい。また、混合工程S12で得られる混合物は、Cl/Na比が1未満であってもよいし、4を超えていてもよい。さらに、ガラス粉末は粒子径が150μmを超える粒子を含有していてもよい。但し、粒子径が150μmを超える粒子の含有量は10質量%以下であることが好ましい。またさらに、カルシウム含有物として、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、ドロマイト粉末、ドロマイトの水酸化物粉末、およびドロマイトの酸化物粉末以外のものを使用してもよい。
またさらに、塩素含有樹脂が粉体状や顆粒状でなく、ガラス粉末やカルシウム含有物と混合することが困難な場合は、混合工程S12を実施せずに、加熱装置内にガラス粉末、塩素含有樹脂およびカルシウム含有物をそれぞれ直接投入してもよい。但し、この場合は、加熱装置内の混合物が、所定のCl/Na比およびCa/Cl比となるように、ガラス粉末、塩素含有樹脂およびカルシウム含有物の投入速度を調整することが好ましい。
さらにまた、本実施形態では、加熱工程S13にて、混合物の加熱を不活性ガス雰囲気下で行っているが、空気雰囲気下で行ってもよい。但し、この場合は、熱量代替となる炭化物を回収することができず、また塩素含有樹脂の燃焼によって加熱温度が急激に上昇して、ガラス粉末が溶融しないように留意する必要がある。
また、本実施形態のセメントの製造方法では、セメント原料組成物調製工程S22にて脱水物と別に用意したセメント原料とを混合し、得られたセメント原料組成物を焼成工程S23で焼成しているが、セメント原料組成物調製工程S22を実施せずに、焼成装置に脱水物とセメント原料とをそれぞれ直接投入してもよい。
以下に、本発明に係るナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法およびセメントの製造方法の作用効果について評価した評価試験の結果について説明する。
[本発明例1]
ソーダ石灰ガラス(SiO:73.2質量%、CaO:8.0質量%、Al:1.7質量%、NaO:12.9質量%、KO:0.4質量%、Cl:0.02質量%)を、ハンマークラッシャーと振動ミルとを用いて粉砕した。
得られたソーダ石灰ガラス粉砕物を、目開きが45μm、75μmの篩を用いて分級した。
粒子径45−75μmのソーダ石灰ガラス粉末と、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを、塩素とナトリウムのモル比(Cl/Na比)が1.4で、かつカルシウムと塩素のモル比(Ca/Cl比)が1.3となるように秤量し、リボンミキサーを用いて混合して、混合物を得た。得られた混合物を、ガス加熱式ロータリーキルンに投入し、700℃で30分、窒素雰囲気下で加熱した。ロータリーキルンから取り出された加熱混合物を、室温まで放冷した後、処理物を水洗した。水洗は、処理物10gと水100mLとを混合してスラリーとし、振とう機を用いて30分間振とうした後、スラリーを減圧ろ過して、ケーキを得て、得られたケーキを水100mLで洗浄することによって行った。
水洗によって得られた洗浄物(ケーキ)を、乾燥機を用いて105℃の温度で乾燥した。乾燥後、目開き500μmの篩を用いて、炭化物を篩上、脱ナトリウムガラスを篩下に分離した。分離した脱ナトリウムガラス中のナトリウムと塩素の含有量を下記の方法により測定した。
その結果、脱ナトリウムガラスに含まれるナトリウム含有量は、NaO換算で4.4質量%であり、上記の処理によってナトリウム含有量が大幅に低減することが確認された。また、塩素の含有量は0.6質量%であり、セメント原料として実用上問題ない量であった。
(ナトリウム含有量の測定方法)
脱ナトリウムガラスを酸で溶解し、得られた溶液をろ過して試験溶液を調製した。調製した試験溶液中のNa量をICP−AES法にて測定し、NaO含有量に換算した。
(塩素含有量の測定方法)
JIS Z 7302−6による方法で塩素含有量を測定した。950℃に加熱した石英製燃焼管中に空気を導入して脱ナトリウムガラスを燃焼させ、生じたガスを水に吸収させた。得られた溶液中の塩素量をイオンクロマトグラフにて測定し、脱ナトリウムガラス中に残留する塩素含有量を算出した。
[本発明例2]
本発明例1で得られた脱ナトリウムガラスと、酸化カルシウム、粘土、酸化鉄、酸化アルミニウムを、ポルトランドセメントを生成する割合にて混合して、セメント原料組成物を得た。得られたセメント原料組成物を電気外熱式ロータリーキルンに投入し、1450℃で120分、大気雰囲気下で加熱した。ロータリーキルンから取り出された加熱混合物を室温まで放冷した。得られた加熱組成物(セメントクリンカー)を石膏と混合後、粉砕して、ポルトランドセメントを得た。得られたポルトランドセメントは、脱ナトリウムガラスの代わりに通常の珪石を用いて製造したポルトランドセメントと同様の特性を示した。

Claims (8)

  1. ナトリウム含有ガラスと、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合して、前記ナトリウム含有ガラス中のナトリウムに対して塩素をモル比で1以上4以下の割合で含み、かつ塩素に対してカルシウムをモル比で1以上の割合で含む混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を400℃以上900℃以下の温度で加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で得られた加熱混合物を水洗する水洗工程とを備えることを特徴とするナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  2. 前記混合物が、前記ナトリウム含有ガラス中のナトリウムに対して塩素をモル比で以上以下の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  3. 前記ナトリウム含有ガラスが、粒子径が150μm以下の粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  4. 前記カルシウム含有物が、炭酸カルシウム粉末、水酸化カルシウム粉末、酸化カルシウム粉末、ドロマイト粉末、ドロマイトの水酸化物粉末、およびドロマイトの酸化物粉末からなる群より選択された少なくとも1種の物質を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  5. 前記混合物が、さらに、塩化カルシウム粉末、焼却飛灰、ばいじんおよびクリンカダストからなる群より選択された少なくとも1種の塩素含有無機物を含むことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  6. 前記加熱混合物が、前記塩素含有樹脂の加熱残渣である粗大炭化物を含み、さらに、前記水洗工程の前に、前記加熱混合物から前記粗大炭化物を取り出す粗大炭化物取出工程を備えることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  7. 前記水洗工程で得られた洗浄物が、前記塩素含有樹脂の加熱残渣である炭化物とナトリウムが除去された脱ナトリウムガラスを含み、さらに、前記水洗工程の後に、前記洗浄物に含まれている前記炭化物と前記脱ナトリウムガラスを分離する分離工程を備えることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のナトリウム含有ガラスからナトリウムを除去する方法。
  8. ナトリウム含有ガラスと、塩素含有樹脂と、カルシウム含有物とを混合して、前記ナトリウム含有ガラス中のナトリウムに対して塩素をモル比で1以上4以下の割合で含み、かつ塩素に対してカルシウムをモル比で1以上の割合で含む混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を400℃以上900℃以下の温度で加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程で得られた加熱混合物を水洗する水洗工程と、
    前記水洗工程で得られた洗浄物を含むセメント原料組成物を焼成する焼成工程とを備えることを特徴とするセメントの製造方法。
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