JP6828367B2 - Au−Sn系はんだ合金の打抜き加工の製造方法 - Google Patents

Au−Sn系はんだ合金の打抜き加工の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Auを主成分とするAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法に関する。
近年、環境に有害な化学物質に対する規制がますます厳しくなってきており、この規制は電子部品などを基板に接合する目的で使用されるはんだ材料に対しても例外ではない。はんだ材料には古くから鉛が主成分として使われ続けてきたが、すでにRoHS指令などで鉛は規制対象物質になっている。そこで、Pbフリー(無鉛)はんだ材料の開発が各種機関で進められており、高温用のPbフリーはんだ材料では、高価なAu−Sn系はんだ合金などが水晶デバイス、SAWフィルター、MEMS等の電子装置の組立てにおける接合用として、既に実用化されている。
Au−Sn系はんだ合金は、Au−20質量%Sn(80質量%のAuと20質量%のSnから構成されることを意味しており、以降においても同様)の組成で共晶点となり、その融点は280℃である。Au−Sn系はんだ合金は、硬くて脆い機械的特性を有しており、特に粘りが無いため、きれいに破断させることができ、薄くて小さく加工することができることから枠形状等に加工して使用されることが多い。
電子装置の組立てにおける接合用のAu−Sn系はんだ合金は、原料を高周波溶解炉等で溶融し、坩堝内の溶湯を鋳型に流し込み、板状の母合金を作製し、その後、圧延機等で所定の厚さに圧延しリボン状に加工し、そのリボン状に圧延加工された母合金をプレス金型等でせん断加工することにより所定の製品形状に形成する。製品形状は特に限定されることはなく、四角や円の、面形状や枠形状等に形成される。このようなAu−Sn系はんだ合金は、例えば特許文献1に記載されている。
特開2016−52663号公報
このような電子装置の組立てにおける接合用のAu−Sn系はんだ合金は、水晶デバイスやSAWフィルターなどの電子装置における接合面の大きさに応じて適切な量を介在させることが重要である。
例えば、水晶振動子の封止用などに多用されるAu−Sn系はんだ合金は、水晶振動子を内部に備えた小型のセラミックパッケージの周縁部と、封止用蓋部材との間の接合領域に介在し、融解することにより、セラミックパッケージの内部を密封状態にシールするために、接合領域よりも面積がやや小さい枠形状に打抜きされた加工品の態様で使用される場合が多いが、その融解時にセラミックパッケージの周縁部と封止用蓋部の周縁部との接合面に介在するAu−Sn系はんだ合金が適切な量でなければならない。接合面に介在する量が不足すると、外部の水分や酸素等が隙間からセラミックパッケージの内部に浸入し水晶振動子にダメージを与えるリーク不良などの不具合が発生するおそれがあり、接合面に介在する量が多いと、接合面からはみ出したはんだ合金が他の部位と接触する等の不具合が発生する。
また、Au−Sn系はんだ合金を半導体素子の接合に使用する場合は、接合面に介在するAu−Sn系はんだ合金の量が適切な量でなければ十分な接合強度が得られなかったり、被接合体である半導体素子が傾いて接合信頼性が著しく低下したりするおそれがある。さらに熱応力等による歪みを十分に緩和できなくなってクラック等が発生しやすくなり、接合信頼性が低下するなどの問題が生じることもある。
このため、これらの電子装置の組立てにおける接合用のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品は、電子装置の小型化、薄型化に伴い、外形が小型化し、板厚が薄肉化されている。
例えば、枠形状に形成されるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の一般的なサイズは、特許文献1に記載されているように、外形寸法が1.5mm×2.0mm、枠幅が0.15mm、板厚が0.03mmである。
ところで、近年、電子機器のさらなる小型化、薄型化に伴い、水晶デバイスやSAWフィルターなどの電子装置には、外形がより一層小さくて薄型のものが求められており、特に薄型化の要求が高い。これに伴い、これらの電子装置に使用するためのはんだ合金の打抜き加工品には、さらなる外形の小型化と、板厚の薄肉化が必要となってきている。
しかるに、さらなる小型化、薄型化した電子装置の組立てに際し、特許文献1に記載されているような板厚が0.03mmのAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品を用いたのでは、接合面に介在するはんだ合金の量が多くなり、接合面からはみ出す等の不具合を生じてしまう虞がある。
特に、最近では、枠形状のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品に対し、外形寸法が1mm×1mm前後で、枠幅が0.1mm以下の小型化の要求があり、板厚も、それに応じて、従来の0.03mmよりもさらに薄肉化する必要がある。
しかし、より薄肉化したAu―Sn系はんだ合金の打抜き加工品を製造するために、Au―Sn系はんだ合金に圧延加工を施して、従来の板厚である0.03mmよりもさらに薄い板厚にすることは可能であるが、Au−Sn系はんだ合金の板厚を0.03mmよりもさらに薄肉化し、特に0.02mm未満の板厚に加工すると、薄肉化したAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を外形寸法1mm×1mm前後、枠幅0.1mm以下の枠形状に打抜き加工するときに、金型のクリアランスや材料供給等の問題が生じる。このため、現在、板厚を0.02mmよりも薄く薄肉化した枠形状のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品を量産化することが実現できていない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、水晶デバイスやSAWフィルターなどの電子装置におけるさらなる外形の小型化や薄型化に対応して、より一層の外形形状の小型化、薄肉化を実現し、電子装置の接合面に接合強度、接合信頼性を得るために適切なはんだ量を供給でき、特に、従来の製造方法では実現されていない、外形寸法1mm×1mm前後、枠幅0.1mm以下で、板厚が0.02mmよりも薄い枠形状のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の量産化が実現可能なAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法は、Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含まれる元素を除きAuからなり、板厚が0.008mm以上0.015mm以下に圧延されたリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工位置に搬送し、プレス金型を用いて2枚同時に、外形寸法が1.0〜1.2mm×1.0mm、枠幅が0.06mm以上0.1mm以下の枠形状に打抜き加工することを特徴としている。
また、本発明のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法においては、前記リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工位置に搬送する前に、該リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で、その両端を切断するのが好ましい。
また、本発明のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法においては、2枚重ねた状態の前記リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を、打抜き油を使用することなく、前記プレス金型を用いて2枚同時に打抜き加工するのが好ましい。
本発明によれば、水晶デバイスやSAWフィルターなどの電子装置におけるさらなる外形の小型化や薄型化に対応して、より一層の外形形状の小型化、薄肉化を実現し、電子装置の接合面に接合強度、接合信頼性を得るために適切なはんだ量を供給でき、特に、従来の製造方法では実現されていない、外形寸法1mm×1mm前後、枠幅0.1mm以下で、板厚が0.02mmよりも薄い枠形状のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の量産化が実現可能なAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法を提供することができる。
本発明のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法に用いるプレス金型のパンチとダイ及びこれらのクリアランスと加工対象の板厚との関係を示す模式図である。
以下、本発明のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法の実施形態について詳しく説明する。まずは、Au−Sn系はんだ合金の組成について説明する。
<Au>
Auは、本発明の実施形態の打抜き加工品にかかる、はんだ合金の主成分を構成する必須の元素である。Auは非常に酸化しづらい性質を有しているため、高い信頼性が要求される電子部品類の接合用や封止用のはんだとして、特性面においては最も適している。本発明の実施形態のはんだ合金においては、Auを主成分とすることで、水晶デバイスやSAWフィルターの封止用などの、高信頼性を要求される用途に特に適したはんだを提供することができる。
<Sn>
Snは、本発明の実施形態の打抜き加工品にかかる、はんだ合金においてAuと共に基本をなす必須の元素である。
<Au-Sn系はんだ合金>
Au−Sn系はんだ合金は、共晶点であるAu−20質量%Sn付近の組成で通常使用され、これにより固相線温度が280℃で安定し、均一な濡れ性が得られる。本発明の実施形態の打抜き加工品にかかる、Au−Sn系はんだ合金も、Au−20質量%Snを基本にすべく、Snの含有量を18.5質量%以上23.5質量%%以下、好ましくは19.0質量%以上22.0質量%%以下とし、残部を製造上、不可避的に含まれる元素を除きAuとしている。上記範囲内の組成において好ましい金属組織が得られる。
Snの含有量が18.5質量%未満の場合または23.5質量%を超えた場合は、亜共晶や過共晶となるため、良好な濡れ性等を有するはんだ合金は得られない。当然、再溶解後の凝固時、生成される各合金でそれぞれの融点の違いから部分的に溶けが早い部分や遅い部分が出来てしまう。このため、濡れ性にばらつきが出たり、個々に濡れ広がる部分や濡れ難くなる部分が存在することになる。例えば、リング状のAu−Sn系はんだ合金を溶融すると波状にAu−Sn系はんだが広がることがあり一定の体積確保がしづらくなることがあり、はんだとしての信頼性が確保出来ないことがある。このために上記組成範囲が必要となるのである。
本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品は、上記組成構造のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を打抜き加工位置に搬送しプレス金型で打抜き加工されて得られた打抜き加工品である。その打抜き加工品の板厚は、0.008mm以上0.015mm以下である。
特許文献1に記載されているように、一般的な、はんだ合金の打抜き加工品の板厚は、0.03mm前後であり、薄くとも0.02mm以上である。はんだ合金の被加工材料をプレス金型で打抜き加工する場合、図1に示すパンチ1とダイ2とのクリアランスL1を適切に設定することが重要である。
一般的に、このクリアランスL1は打抜き加工対象(図1では被加工材料3)の板厚L2の10%〜15%に設定する。このように、パンチ1とダイ2とのクリアランスL1を打抜き加工対象(被加工材料3)の板厚L2の10%〜15%の範囲に設定することで、打抜き加工時、製品の変形等が発生せず、バリ等の少ない製品を形成することができる。
しかし、打抜き加工対象の板厚が0.02mm未満、例えば、0.01mmの場合、設定するクリアランスは打抜き加工対象の板厚の10%では片側0.001mm、15%でも片側0.0015mmとなり、現在の金型技術においては打抜き加工品を正確な加工精度で製造することは難しい。また、樹脂等のテープ材料を打抜く場合は、クリアランスを0に設定して打抜き加工することもあるが、Au−Sn系はんだ合金の被加工材料をクリアランス0で打抜き加工した場合、パンチやダイの刃先の摩耗が激しくなるため、打抜き加工品を量産することが難しい。
このような事情により、従来、0.02mm未満の板厚を有するAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の量産化は、実現されていなかった。
本発明者らは、上記課題を鑑み試行錯誤の結果、板厚0.02mm未満の所定の板厚に圧延されたリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工位置に搬送し、プレス金型において2枚同時に加工することで、板厚0.02mm未満のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品を量産化できることを見出した。
板厚0.02mm未満に圧延されたAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ね、この状態で、プレス金型で打抜き加工するようにすれば、打抜き加工対象の板厚は2倍になる。例えば、1枚あたりの被加工材料の板厚が0.01mmの場合、2枚重ねることで加工対象の板厚は、2枚の被加工材料の板厚の合計である0.02mmになる。このため、設定すべき打抜き加工時のクリアランスは、板厚0.02mmの10%で0.002mmが適用可能となり、打抜き加工品を正確な加工精度で製造することが可能となる。
なお、被加工材料を2枚重ねて打抜き加工することは周知の技術である。
しかし、被加工材料を構成する金属元素の種類に応じて、その機械的特性は様々に異なり、2枚重ねて打抜き加工しても精度の良い打抜き加工品を量産できるとは限らない。
例えば、特開2015−136712号公報には、モーターコア用の鉄心片を2枚重ねて打抜く記載があるが、2枚重ねて打抜く場合、一方のバリが他方のダレ面側に食い込み、2枚重ねの状態で排出されることが多い。打抜かれた2枚重ねのモーターコア用の鉄心片を重ねて使用する場合は特に問題がないが、単品で使用する製品の場合は、バリが他方のダレ面側に食い込み2枚重ねの製品を分離することが難しく不具合となる場合が多い。
しかるに、本発明者らは、上述したAu−Sn系はんだ合金の硬くて脆い機械的特性に着目し、所定の板厚に圧延されたAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態での打抜き試験を行い、その結果、Au−Sn系はんだ合金は、打抜き加工時にダレや全周に渡るバリが発生しないため、2枚重なった状態で打抜かれても、製品段階では容易に個別に分離することが可能であることを見出した。
そして、本発明者らは、このようなAu−Sn系はんだ合金の特異的な機械的特性に着眼して、本発明のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法及びAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品を導出した。
本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法によれば、板厚が0.02mm未満、好ましくは、板厚が0.008mm以上0.015mm以下に薄肉化されたAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品を製造することができる。なお、Au−Sn系はんだ合金の被加工材料の板厚が0.008mm未満では、被加工材料を2枚重ねしても板厚の合計が0.016mm以下となり、プレス金型での打抜き加工時に十分なクリアランスを設定し難くなり、打抜き加工品を正確な加工精度で製造することが難しくなる。
また、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の形状は、特に限定はなく、四角や円の、枠形状や面形状等のいずれも打抜き加工品として量産可能である。特に枠幅が0.1mm未満の枠形状であっても打抜き加工品として量産可能であることが判明した。但し、2枚重ねたときの板厚の合計が0.02mm未満となるAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を、板厚0.02mm用にクリアランスが設定された(即ち、0.002mm〜0.003mmの範囲にクリアランスが設定された)プレス金型を使用して打抜き加工した場合、打抜き加工対象の板厚に対するクリアランスの割合が適正値の範囲(10%〜15%の範囲)の上限値よりも大きくなり、打抜き加工品において変形が出やすくなる場合がある。特に枠幅が0.1mmの製品を打抜き加工した場合は、枠部が外側へねじれる変形が発生する。このため、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法においては、クリアランスをAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねたときの板厚の合計の10%〜15%の適正な値に設定することが望ましい。そのようにクリアランスを設定すれば、板厚が0.02mm未満で枠幅が0.1mm未満であっても変形がなく打抜き加工することができる。
また、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法のように、2枚重ねの打抜き加工を行えば、1回の打抜き加工で、打抜き加工品の生産量は従来の2倍になり、生産性を向上させることもできる。
次に、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の具体的な製造方法について説明する。
本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法は、Snを18.5質量%以上23.5質量%以下、好ましくは、19.0質量%以上22.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含まれる元素を除きAuからなり、板厚が0.008mm以上0.015mm以下に圧延されたリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で公知の搬送手段を介して打抜き加工位置に搬送し、プレス金型を用いて2枚同時に所定形状に打抜き加工する。
本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法において、被加工材料として用いる圧延されたリボン状のAu−Sn系はんだ合金は、従来技術により製造される。例えば、特許文献1に示されるように、原料を高周波溶解炉等で溶融し、坩堝内の溶湯を鋳型に流し込み板状の母合金を作製する。その後、圧延機等で0.008mm以上0.015mm以下の所定の厚さに圧延しリボン状に加工する。
原料は、純度が99.999質量%以上のAuとSnを準備する。そして、Snが18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含まれる元素を除きAuからなるように所定量を秤量し坩堝に入れる。原料の入った坩堝を高周波炉等で加熱して溶融する。なお、酸化を抑制するため窒素雰囲気で行う。十分溶融した後、坩堝内の溶湯を母合金作製用の鋳型に流し込む。この鋳型には、急冷用のジェケットを取り付け、そこに供給する冷却水により急冷させてもよい。その後、作製した母合金を圧延機等で0.008mm以上0.015mm以下の所定厚さに圧延して、リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を作製する。
本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法は、このリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工することを特徴としている。このリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料1枚あたりの厚みは0.02mm未満であり、好ましくは0.015mmまたは0.01mmである。2枚重ねることで打抜き加工の際の被加工材料の板厚の合計は0.03mmまたは0.02mmとなる。この2枚重ねた状態の被加工材料を、従来使用している板厚の10%〜15%にクリアランス設定したプレス金型で打抜き加工する。なお、打抜き加工の際、打抜き油は使用しないようにする。打抜き油を使用すると、打抜き加工後に製品が2枚重なったまま分離しないといった、不具合が発生する場合がある。これは、打抜き加工品1枚あたりの板厚が0.008mm以上0.015mm以下と非常に薄いため、夫々の打抜き加工品同士が打抜き油を介して密着してしまうからである。このように打抜き油を介して2枚が密着した状態に打抜き加工された製品は、その後の洗浄等でも分離しづらく、また、製品自体が小さく薄いため、外部から分離する力を加えると変形等してしまう場合がある。このため、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法では、打抜き油を使用せずに被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工を行うのが好ましい。
また、本発明の実施形態のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法においては、打抜き加工前に、リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で、その両端を切断(スリティング)する工程を追加してもよい。このように、2枚重ねた状態の被加工材料の両端を切断する、切断加工を行うことで、上下2枚重ねた状態の夫々の被加工材料の幅を同じ寸法に揃えることが可能となり、上下の被加工材料の幅方向の位置を同一位置に位置合わせできる。一般的に、夫々の被加工材料は(本発明ではAu−Sn系はんだ合金)幅にばらつきがあり、被加工材料を2枚重ねた状態で、幅方向(プレス機における打抜き加工位置に搬送される、被加工材料の搬送方向に対し垂直な方向)の位置を同一位置に位置合わせすることは難しく、0.5mm〜1.0mm程度ずれ易い。このように2枚の被加工材料が幅方向にずれて重なった状態で打抜き加工を行うと、材料ガイド等の接触等により打抜き位置がずれて正確な寸法精度を維持することができなくなり易い。また、2枚の被加工材料が幅方向にずれて重なった状態では、板厚の薄い被加工材料を打抜き加工位置に精度よく搬送することも難しい。しかるに、打抜き加工前に被加工材料を2枚同時にスリティングして被加工材料の両端を切断すれば、2枚の被加工材料を同一の材料幅で幅方向に位置ずれのない状態にすることができる。その結果、薄板の被加工材料を打抜き加工位置に精度よく搬送することができ、打抜き形状を精度よく加工することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
まず原料として、それぞれ純度99.999質量%以上のAuおよびSnを準備した。大きな薄片やバルク状の原料については、溶解後の合金においてサンプリング場所による組成のバラツキがなく均一になるように留意しながら切断、粉砕等を行い、3mm以下の大きさに細かくした。次に、高周波溶解炉用グラファイトるつぼに、これら原料からSnを18.5質量%以上23.5質量%以下、好ましくは、19.0質量%以上22.0質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含まれる元素を除きAuからなるように、所定量を秤量して入れた。
原料の入ったるつぼを高周波溶解炉に入れ、原料を大気環境で加熱溶融させた。金属が溶融しはじめたときに混合棒でよく攪拌し、局所的な組成のばらつきが起きないように均一に混ぜた。その後、るつぼ側面のノズルから、厚さ3mm、幅34mmの断面形状で間欠的に連続鋳造を行い、はんだ母合金として長さ約5mの板状のインゴットを得た。なお、このときの平均引き出し速度は約1.5mm/秒とした。この板状のはんだ母合金を、温間圧延機を用いて圧延加工し、実施例及び比較例にかかるリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を得た。
詳しくは、実施例及び比較例にかかる各Au−Sn系はんだ母合金の組成比は、実施例1が18.5質量%、実施例2が22質量%、実施例3が23.5質量%、実施例4〜9及び比較例1が20質量%になるように設定した。また、リボン状の各Au−Sn系はんだ合金の被加工材料の板厚は、実施例1〜7及び比較1が0.01mm、実施例8が0.008mm、実施例9が0.015mmになるように圧延した。実施例及び比較例のデータを表1に示す。
Figure 0006828367
次に、実施例1〜6、8、9については、上記のリボン状の各Au−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ね、幅30mmになるようにスリッターで被加工材料の両端を2mm程度切断した。実施例7については、Au−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねたが、スリッターによる2枚重ねの両端の切断は行わなかった。比較例1については、Au−Sn系はんだ合金の被加工材料を1枚のまま幅30mmになるようにスリッターで被加工材料の両端面を2mm程度切断した。
次に、各Au−Sn系はんだ合金の被加工材料を公知の搬送手段を介して打抜き加工位置に搬送し、プレス金型で打抜き加工を行い、Au−Sn系はんだ合金の加工品を製造した。実施例1〜4、7〜9、比較例1は、外形寸法が1.2mm×1.0mm、枠幅が0.06mmの四角の枠形状、実施例5は、外形寸法が1.2mm×1.0mm、枠幅が0.08mmの四角の枠形状、実施例6は、外形寸法が1.0mm×1.0mmの四角の面形状に打抜き加工した。打抜き加工の際のプレス金型のダイとパンチのクリアランスは、実施例1〜8、比較例1では、板厚0.02mmの打抜き加工対象に対しての適正なクリアランスの範囲となる、片側0.002mmに設定し、実施例9では、板厚0.03mmに対しての適正なクリアランスの範囲となる、片側0.003mmに設定した。なお、打抜き加工に際し、各実施例及び比較例にかかる、いずれの被加工材料に対しても打抜き油は使用しなかった。また、実施例1〜9については、各Au−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工を行い、比較例1については、各Au−Sn系はんだ合金の被加工材料が1枚のままで打抜き加工を行った。
なお、実施例1〜5、7〜9、比較例1における四角の枠形状の打抜き加工は、まず、枠形状の内側領域を打抜き、次に、枠形状の外側を打抜いた。
このように製造した各実施例及び比較例にかかるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品について、変形等の有無を評価した。また、各実施例及び比較例にかかるAu−Sn系はんだ合金の打抜き品の製造工程における不具合の有無についても評価した。
実施例1〜9にかかるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品は、2枚重ねた状態で打抜き加工を行ったため、打抜き加工対象の板厚に対するクリアランスが適正な範囲(即ち、実施例1〜7、9では、2枚重ねた被加工材料の板厚の合計に対するクリアランスが10%、実施例8では、2枚重ねた被加工材料の板厚の合計に対するクリアランスが12.5%で、いずれも打抜き加工対象の板厚に対し、10%〜15%の範囲内)であり、打抜き加工後の製品は、枠幅が0.06mmと小さいが変形等不具合の発生が無く良好であった。これに対し、比較例1にかかるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品は、1枚のままで打抜き加工を行ったため、打抜き加工対象の板厚に対するクリアランスが大きくなる(即ち、1枚の被加工材料の板厚0.01mmに対し、クリアランスが0.002mmでは、打抜き加工対象の板厚の20%のクリアランスとなり、適正なクリアランスの範囲である10%〜15%を超える)ため、枠形状にねじれ変形が発生した。
また、実施例7にかかるAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品は、製品品質は良好であったが、製造工程においては、被加工材料を2枚重ねにした状態での、スリッターによる両端の切断を行わないため、被加工材料の打抜き加工位置への搬送において、2枚重ねた被加工材料同士の幅方向の位置がずれる等の不具合が発生することがあった。被加工材料を2枚重ねの状態にした場合において、打抜き加工前に、スリッターによる両端の切断を行わないと、材料ガイド等の接触等により打抜き位置がずれて正確な寸法精度を維持することができなくなり易く、また、2枚の被加工材料が幅方向にずれて重なった状態では、板厚の薄い被加工材料を打抜き加工位置に精度よく搬送することができなくなり易く、生産性が低下する要因となると考えられる。これに対し、実施例1〜6、8、9では、被加工材料を2枚重ねの状態で、スリッターによる両端の切断(スリッティング)を行った後に、2枚重ねの状態での打抜き加工を行ったが、被加工材料の打抜き加工位置への搬送において、2枚重ねた被加工材料同士の幅方向の位置がずれる等の不具合が発生することはなく、生産性が良く安定して生産することができた。
1 パンチ
2 ダイ
3 被加工材料
L1 クリアランス
L2 打抜き加工対象(被加工材料3)の板厚

Claims (3)

  1. Snを18.5質量%以上23.5質量%以下含有し、残部が製造上不可避的に含まれる元素を除きAuからなり、板厚が0.008mm以上0.015mm以下に圧延されたリボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工位置に搬送し、プレス金型を用いて2枚同時に、外形寸法が1.0〜1.2mm×1.0mm、枠幅が0.06mm以上0.1mm以下の枠形状に打抜き加工することを特徴とするAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法。
  2. 前記リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で打抜き加工位置に搬送する前に、該リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を2枚重ねた状態で、その両端を切断することを特徴とする請求項1に記載のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法。
  3. 2枚重ねた状態の前記リボン状のAu−Sn系はんだ合金の被加工材料を、打抜き油を使用することなく、前記プレス金型を用いて2枚同時に打抜き加工することを特徴とする請求項1又は2に記載のAu−Sn系はんだ合金の打抜き加工品の製造方法。
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