JP2001239397A - 複合半田材料の製造方法 - Google Patents

複合半田材料の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィラー含有複合半田材料の製造に関し、半田
材料としてSn基半田を用い、そのSn基半田材料の生
産性の低下を抑制する為に押出し法を採用し、且つその
押出加工に伴うボイド発生の少ない方法を提供する。 【解決手段】半田材料より高融点のフィラー62を含有
した複数枚の半田板6を縦型押出機の筒形コンテナ1内
に直接積層して押出素材7とし、その押出素材7に押出
加工を施して複合半田材料を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワートランジス
タ等における電子部品接続用材料に用いる複合半田材料
の製造方法に関し、詳しくは、半導体素子の基板への接
続用材料として用いる複合半田材料の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、ICチップ等の半導体素子を
リードフレーム等の基板に接続する際、接続材料として
半田等を用い、該半田材料を溶融した後固化させて半導
体素子を基板に固定している。この時、溶融半田の固化
後の厚みを一定に保つことが重要である。すなわち、固
化後の半田材料に傾斜が生じるとその分半導体素子が傾
斜した状態で基板に接続され、使用時に発熱した半導体
素子の熱放散が不均一となり、トラブルを生じることが
ある。このようなトラブルを防止するべく、接続後の半
導体素子の水平度を維持する為に、半田等の接続用材料
に高融点フィラーを混入させて用いることが提案されて
いる。
【0003】例えば特開平3−281088号には、帯
状半田の上面にフィラーを散布して圧延したシート状複
合半田の製造方法と、該複合半田を用いて発熱電子部品
を放熱板に接合した状態が開示されている。また、この
製造方法ではフィラーの分布状態を制御しにくい為、フ
ィラーを散布して圧延したシートを複数層重ねてさらに
圧延したシートとすることにより、半田材料中に均一に
フィラーを分布させる方法が、特開平4−48770号
に開示されている。
【0004】また、特開平7−299591号には、半
田からなるビレットの軸方向に設けた空洞部内に、フィ
ラーを含有した半田圧延材を複数積層し、このビレット
を押出加工したのち冷間加工する複合半田材料の製造方
法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年において
は、環境汚染の問題等からPbの使用を規制する要望が
強くなり、半導体素子の基板への接続に用いる半田材料
として、Sn基半田材料が注目されている。ところが、
Sn基半田材料はPb基半田材料として比較的硬く脆い
ため圧延や引抜等の冷間加工に困難を伴い、例えばロー
ルによる圧延加工を施すと摩擦熱が発生してロールに付
着し、生産性が大幅に低下するという欠点を有してい
る。前記付着を防止するためにロール表面に油を塗るこ
とも考えられるが、この場合、油が半田材料に付着し半
田特性が低下するので好ましくない。
【0006】そこで、高融点フィラーを含有した半田材
料としてSn基半田材料を製造する場合、前記したよう
な生産性の低下を抑制する為に、押出加工により仕上げ
寸度近くまで加工し、圧延や引抜等の冷間加工は必要最
小限にする製造方法が考えられる。そのような方法の一
例として、前述の特開平7−299591号に開示され
るように、複合半田材料を押出し法により所定の形状に
加工する方法が提案できるが、この場合、材料中にボイ
ドが生じ易い。
【0007】本発明はこのような従来事情に鑑みてなさ
れたもので、その目的とする処は、フィラーを含有した
複合半田材料の製造に関し、半田材料としてSn基半田
を用い、そのSn基半田材料の生産性の低下を抑制する
為に押出し法を採用し、且つその押出加工に伴うボイド
発生の少ない複合半田材料の製造方法を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに本発明の製造方法は、半田材料より高融点のフィラ
ーを含有した複数枚の半田板を押出機の筒形コンテナ中
に直接積層する工程と、該積層半田板からなる押出素材
に押出加工を施して所定形状に形成する工程と、必要に
応じてさらに伸線、圧延等の成形加工を施す工程を有す
ることを特徴とする複合半田材料の製造方法である。
【0009】また本発明は、上記フィラーを含有した半
田板が、薄板状半田インゴットの上面に上記フィラーを
塗布したものであることを特徴とする複合半田材料の製
造方法である。
【0010】また本発明は、上記半田板がSn基半田材
料からなることを特徴とする複合半田材料の製造方法で
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成と作用につい
て、実施の形態を参照して詳述する。本発明の製造方法
に用いる押出加工法の一例を図1を参照して説明する。
図1(a)は押出前の状態を示しており、図中の符号1
はコンテナとしての円筒状容器、2はダイス、3はダイ
スホルダー、4は荷重受け板、5はステム(押し棒)、
6はフィラー含有半田板である。コンテナ1の中には、
フィラー含有半田板6を所要数積層した押出素材7が収
容されており、その状態でステム5を矢印方向(下方)
へ前進させることにより、ダイス2の出口から、所望形
状の複合半田材料8が押し出されてくる。この押出中の
状態を図1(b)に示す。
【0012】コンテナ1に収容される押出素材7は、所
要枚数のフィラー含有半田板6をコンテナ1内に直接積
層することが必要である。ここで云うフィラー含有半田
板をコンテナ内に直接積層するとは、フィラー含有半田
板の外周とコンテナ内面との間に隙間が確保される積層
であって、図3に示すような、半田ビレットの中央を穿
孔して形成した凹部内にフィラー含有半田板を積層する
方法を除外するものである。
【0013】図2は本発明に用いる押出素材7を示すも
のであり、半田板61、フィラー62からなる所要数の
フィラー含有半田板6を積層した状態の一例を示してい
る。フィラー含有半田板6をコンテナ1中に直接積層す
る方法としては、例えば、フィラー含有半田板6をコン
テナ1内で順次積み重ねる方法や、予めフィラー含有半
田板6を積層した積層体に所定圧を加えたり或いはその
積層体を結束手段で結束して一体化し、これをコンテナ
1内に収容する方法等が例示できる。また、フィラー含
有半田板6をコンテナ1中に直接積層する方法として、
積層や収容の作業性及びフィラーの均一な分散などを考
慮すると、押出方向が床面に対して垂直となる縦方向の
積層が好ましく、この場合、図1に示すような縦型押出
し機が好ましく用いられる。
【0014】図3は前述した従来技術に係る押出素材2
0を示すものであり、該押出素材20は、半田ビレット
21の中央を穿孔して凹部22を形成し、該凹部22に
フィラー含有半田板23を積層したものである。このよ
うな押出素材20を押出加工に供して得た複合半田材料
は、ボイドが発生し易い。この為、本発明においては、
フィラー含有半田板6の積層をコンテナ内で直接積層す
ることとした。本発明の方法によってボイドの発生を抑
制するこが出来る理由は明確ではないが、図3に示すよ
うに半田ビレット21の中央にフィラー含有半田板23
を積層,充填した従来の方法に比べ、本発明の方法では
図2に示すように、積層状のフィラー含有半田板6の外
周とコンテナ1内周との間に隙間9が確保され、押出素
材7に押出加工を施した際、フィラー62相互間の空隙
部分10がガス状となって前記隙間9を通じて外方へ排
出され易くなるためではないかと考えられる。
【0015】本発明に用いる半田板61は、コンテナ1
に収納可能な大きさであれば良いが、押出加工の際の加
工性を考慮すると、上記隙間9が小さい程好ましい。円
形の半田板61を用いてた場合、その直径をコンテナの
内径より0.5〜5mm程度、好ましくは2〜5mm程
度小さくし、厚さは10〜20mm程度とすることが好
ましい。半田板61の製造方法としては、半田インゴッ
トを薄板状半田インゴットに切断する方法、所定寸法厚
さの薄板状半田インゴットに鋳造する方法、半田圧延板
を切断して薄板状半田板とする方法が例示できる。本発
明でいう薄板状半田インゴットとは、一旦インゴットに
鋳造されたものを薄板状に切断したものと、鋳造段階か
ら所定寸法厚さの薄板状に鋳造したものとの何れでもよ
い。
【0016】半田板61にフィラー62を含有する方法
としては、塗布方法と、サンドイッチ状への加工方法が
例示できる。塗布方法は、揮発性液体中にフィラーを混
合し、この混合液を刷毛,筆等を用いて半田板61上面
に塗布し、乾燥させる方法が例示できる。揮発性液体
は、フィラーを均一に混合できると共に、塗布後に半田
板61から揮発し且つ残存しても半田特性に影響を与え
ないものが好ましく、例えばエタノールやアセトンなど
が例示できる。揮発性液体中にフィラーを混合する割合
は、塗布後の乾燥が迅速に行われること、フィラーが均
一に分散されることなどを考慮すると、フィラー:揮発
性液体=5:1程度が好ましい。サンドイッチ状への加
工方法としては、フイラーを上下二枚の半田板でサンド
イッチ状に挟み、その状態で圧延、鍛造等で加工する方
法が例示できる。
【0017】本発明に用いる半田材料としては、Sb−
Sn、Ni−Sn、Ag−Cu−Sn等のSn基合金半
田が好ましく用いられる。
【0018】本発明で用いるフィラーは、使用する半田
材料より高融点のもので、例えば、金属粒子としてのC
u,Ni,Mo,Wなど、酸化物としてのAl23,T
iO 2,Cr23,ZrO2など、その他、炭化物,窒化
物,ホウ化物などをあげることができる。この中でも、
半田材料とのぬれ性の点から、金属粒子と酸化物が好ま
しく用いられる。フィラーの寸法は5〜100μm程度
が好ましく、形状は不定形及び球状のものが使用できる
が、球状の方が好ましい。また、複合半田材料中のフィ
ラー含有量は、半導体素子の水平度の維持や半田特性の
低下防止などを考慮すると、0.001〜0.6重量%
程度であることが好ましい。
【0019】上述した押出素材7を図1に示す方法によ
り押出加工する際、押出温度は、Pb基合金半田の場合
140〜170℃、Sn基合金半田の場合150〜19
0℃が好ましい。またこの際、ダイス2の形状を調整し
て、断面が丸、長方形等の任意の加工形状を選択するこ
とが出来る。
【0020】複合半田材料の形状としてはワイヤ状、テ
ープ状、ペレット状等が例示出来る。前述の押出加工に
より得られる加工品をそのまま製品としての複合半田材
料として使用することも出来るが、前記加工品を室温で
成形加工を施して寸法、形状を整えることが好ましい。
室温での成形加工方法として、ワイヤ状にする場合は伸
線加工を施し、テープ状にする場合は圧延加工を施し、
ペレット状にする場合はテープ状に加工したものを所定
形状に切断したり、プレス加工を施すなどして夫々製造
する。
【0021】
【実施例】以下、実施例について説明する。 (実施例1)10質量%Sb、残部Snからなる半田材
料を直径68mmのインゴットに鋳造し、これを厚さ1
0mmに切断して円形半田板を作製した。次いで、複合
半田材料のフィラー含有率が0.1質量%になるよう
に、フィラーとして平均粒径50μmのNi粒を秤量
し、これを重量比で1/5倍程度のアセトン中に浮遊させ
攪拌した後、刷毛を用いて前記円形半田板の上面に塗布
し、その後アセトンを揮発させてフィラー含有半田板を
作製した。このフィラー含有半田板を10枚用意し、縦
型押出機における内径70mmのコンテナ内に直接積層
して押出素材とした。次に、コンテナ内で前記押出素材
を150℃に加熱して後、押出加工を施して、厚さ1.
5mm×幅11mmのテープ状とし、該テープに圧延を
施して厚さを0.2mmにし、これにプレス加工を施し
て直径3.0mmのペレットに仕上げて測定試料とし
た。ガス分析装置を用いて前記測定試料を真空中で融点
+20℃に加熱し、溶融時の発生ガスを質量分析装置に
導き、水分及びガスを同定し定量することにより発生ガ
ス量を測定した。発生ガス量は、後述する比較例1を
1.0として指数で表示した。結果を表1に示す。
【0022】(実施例2)コンテナ内でフィラー含有半
田板を15枚積層して押出素材としたこと以外は実施例
1と同様にして、発生ガス量を測定した。結果を表1に
示す。
【0023】(実施例3)複合半田材料のフィラー含有
率が0.5質量%になるようにしたこと以外は実施例1
と同様にして、発生ガス量を測定した。結果を表1に示
す。
【0024】(実施例4)半田板の形状寸法を、縦48
mm×横48mm×厚さ10mmの正方形の鋳造品とし
たこと以外は実施例1と同様にして、発生ガス量を測定
した。結果を表1に示す。
【0025】(比較例1)コンテナ内にフィラー含有半
田板を直接積層することに代えて、次の要領でフィラー
含有半田板を内部に積層した押出素材を作製した。ま
ず、半田板の直径を30mmとしたこと以外は実施例1
と同様にして、フィラー含有半田板を作製した。次い
で、10質量%Sb、残部Snからなる半田材料を直径
68mm×長さ150mmの半田ビレットを鋳造した。
この半田ビレットの中心に、一端から直径32mm×長
さ130mmの空洞部を設け、該空洞部に前記フィラー
含有半田板を10枚積層して押出素材を作製した。この
押出素材を縦型押出機における内径70mmのコンテナ
内に収容したこと以外は実施例1と同様にして、発生ガ
ス量を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】以上の測定結果から、フィラー含有半田板
をコンテナ内に直接積層して押出素材とし、該押出素材
に押出加工を施した本発明実施品は、半田ビレットの中
央にフィラー含有半田板を積層状に充填して押出素材と
し、該押出素材に押出加工を施した比較品に比べ、溶融
時の発生ガス量が少なく、ボイド発生率が少ないことが
確認できた。
【0028】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成したの
で、以下の効果を有する。 (請求項1)フィラー含有半田板をコンテナ内に直接積
層した押出素材に押出加工を施して所定形状に形成する
複合半田材料の製造方法としたので、押出加工により仕
上げ寸度近くまで加工し、圧延や引抜等の冷間加工は必
要最小限にする製造方法としながら、その押出加工に伴
うボイド発生の少ない複合半田材料を得ることができ
る。従って、比較的硬く脆いため圧延や引抜等の冷間加
工に困難を伴うSn基半田材料を用いた複合半田材料の
製造等に好適に用いることができる。 (請求項2)薄板状半田インゴットの上面にフィラーを
散布するだけでフィラー含有半田板を容易に得ることが
でき、製造コストの低減を図ることができるなどの効果
がある。 (請求項3)環境汚染の問題等にも考慮したSn基半田
材料を用いた複合半田材料の製造方法として、好適に用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)は押
出し前の状態、(b)は押出し中の状態を表す。
【図2】フィラー含有半田板を直接積層した状態の一例
を示す断面図。
【図3】従来の方法を示す断面図。
【符号の説明】
1:コンテナ 5:ステム 6:フィラー含有半田板 7:押出素材 61:半田板 62:フィラー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半田材料より高融点のフィラーを含有し
    た複数枚の半田板を押出機のコンテナ内に直接積層して
    押出素材とし、該押出素材に押出加工を施して所定形状
    に形成し、必要に応じてさらに伸線、圧延等の成形加工
    を施すことを特徴とする複合半田材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記フィラーを含有した半田板が、薄板
    状半田インゴットの上面に上記フィラーを塗布したもの
    であることを特徴とする請求項1記載の複合半田材料の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 上記半田板がSn基半田材料からなるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の複合半田材料の
    製造方法。
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