JP6827852B2 - 石英ガラスルツボの製造方法 - Google Patents

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本発明は、石英ガラスルツボの製造方法に関し、特にカーボン電極を用いたアーク放電によりルツボ成形体を溶融する際、カーボン電極のアーク切れを抑制することのできる石英ガラスルツボの製造方法に関する。
例えばシリコン単結晶引上げ用の石英ガラスルツボを製造するには、図9に示すような石英ガラスルツボ製造装置50を用いて行なわれている(特許文献1参照)。即ち、図示する石英ガラスルツボ製造装置50においては、図示しない回転駆動源を稼働し、回転軸55を矢印の方向に回転駆動し、ルツボ成形用型51を高速で回転させる。そして、この回転するルツボ成形用型51内の上方に配置された原料供給ノズル61から、初めに天然石英原料粉末を前記ルツボ成形用型51内に供給する。
初めに供給された天然石英原料粉末は、遠心力によってルツボ成形用型51の内側部材52に押圧され、一つの天然石英原料粉末層20bが形成される。
続いて、この天然石英原料粉末層20bの上に、原料供給ノズル62から合成石英原料粉末を供給する。供給された合成石英原料粉末は、遠心力によって天然石英原料粉末層20bに対し押圧され、一つの合成石英原料粉末層20aが形成され、全体としてルツボ形状の2層からなるルツボ成形体20が形成される。
その後、大気雰囲気において減圧機構58の作動により開口部56を介して通気部53を減圧し、カーボン電極59に通電してルツボ成形体20の内側からアーク放電により加熱し、ルツボ成形体20を内側から順次溶融する。
その後、冷却することにより、内面側には実質的に無気泡化状態で酸素過剰欠陥が抑制された透明石英ガラス層が形成され、外表側には多数の気泡が存在する不透明石英ガラス層が形成された、2重層構造の石英ガラスルツボが製造される。
ところで、前記石英ガラスルツボ製造装置50において使用するカーボン電極59にあっては、前記ルツボ成形体20を溶融中にアーク放電が突然停止する(以下、アーク切れという)ことがあった。このアーク切れが複数回発生した場合、ルツボの形成作業が継続できず、前記ルツボ成形体20は廃棄せざるを得なくなり、損失が大きくなるという課題があった。
特許第4290291号公報
しかしながら、従来は、前記アーク切れの原因を特定することができず、アーク切れを抑制するための有効な手段がなかった。
このような課題を解決するため、本願発明者は、鋭意研究開発を行ってきた。そして、3本のカーボン電極が夫々有する固有抵抗の相互の関係が、アーク切れの発生に大きく関わっていることを見出し、本発明を想到するに至った。
本発明は、カーボン電極のアーク放電によりルツボ成形体を溶融し石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法において、アーク切れの発生を抑制できる石英ガラスルツボの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法は、3本のカーボン電極によりアーク放電し、ルツボ成形体を溶融することにより石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法であって、複数のカーボン電極の中から、3本のカーボン電極の常温における固有抵抗値のバラツキが、3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準として±1μΩmの範囲内となる3本のカーボン電極を複数組選定するステップと、前記選定した複数組のうち、3本のカーボン電極の0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が119%以下となる組を選定し、該選定した組の3本のカーボン電極を用いるステップと、を含むことに特徴を有する。
このようにアーク放電によりルツボ成形体を溶融して石英ガラスルツボを製造する際、使用する3本のカーボン電極は、その常温時における固有抵抗値のバラツキが小さく、且つ0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が119%以下となる組み合わせを選定するため、アーク切れの発生を1回程度に抑制することができ、アーク放電による安定した溶融を行うことができる。
或いは、上記目的を達成するためになされた本発明にかかる石英ガラスルツボの製造方法は、3本のカーボン電極によりアーク放電し、ルツボ成形体を溶融することにより石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法であって、複数のカーボン電極の中から、3本のカーボン電極の常温における固有抵抗値のバラツキが、3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準として±0.4μΩmの範囲内となる3本のカーボン電極を複数組選定するステップと、前記選定した複数組のうち、3本のカーボン電極の0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が117%以下となる組を選定し、該選定した組の3本のカーボン電極を用いるステップと、を含むことに特徴を有する。
このようにアーク放電によりルツボ成形体を溶融して石英ガラスルツボを製造する際、使用する3本のカーボン電極は、その常温時における固有抵抗値のバラツキが小さく、且つ0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が117%以下となる組み合わせを選定するため、アーク切れの発生を略0回に抑制することができ、アーク放電による安定した溶融を行うことができる。
本発明によれば、カーボン電極のアーク放電によりルツボ成形体を溶融し石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法において、アーク切れの発生を抑制することができる。
図1は、本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法を適用可能な石英ガラスルツボ製造装置の断面図である。 図2は、本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法の工程を示すフローである。 図3は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図5は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図8は、本発明の実施例の結果を示すグラフである。 図9は、従来の石英ガラスルツボ製造装置の断面図である。
以下、本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法の一実施形態を、特にシリコン単結晶引上げ用石英ガラスルツボを製造する場合を例とし、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法を適用可能な石英ガラスルツボ製造装置の断面図である。
図1に示す石英ガラスルツボ製造装置1のルツボ成形用型3は、高純化処理した多孔質カーボン型で構成されている内側部材4と、前記内側部材4を保持する保持体6と、前記内側部材4の外周面と前記保持体6の内周面との間に設けられた通気部5とから構成されている。
保持体6の下部には、図示しない回転手段と連結されている回転軸7が固着され、ルツボ成形用型3を回転可能に支持している。通気部5は、保持体6の下部に設けられた開口部8を介して、回転軸7の中央に設けられた排気口9と連結されている。この排気口9は、減圧機構10と連結されている。
また、ルツボ成形用型3の上方には、天然石英原料粉末を供給するための原料供給ノズル11と、合成石英原料粉末を供給するための原料供給ノズル12とが配置されている。
また、内側部材4に対向する上部にはアーク放電により加熱溶融を行うための3本のカーボン電極2a、2b、2cが設けられている。
前記カーボン電極2a、2b、2cは、粒子がコークスなどの原料、例えば石炭系ピッチコークス、およびコールタールピッチなどの結合材、例えば石炭系コールタールピッチとを炭化した混練物を用いて、全体的に円柱形状であり、先端部が先細の形状に形成されたものである。
また、カーボン電極2a、2b、2cは、かさ密度が1.80g/cm以上で、かつ3点曲げ強さが35MPa以上のカーボンからなる。
かさ密度は、単位体積当りのカーボン量を示すもので、密度が高いほどカーボン電極の消耗、落下が少なく、1.80g/cm以上であることが好ましく、1.80g/cmより小さいとカーボン電極の消耗、粒子の落下が起こり、石英ガラス内にこの泡を発生させる場合が多く、例えば石英ガラス内に泡を有する石英ガラスルツボを用いてシリコン単結晶の引上げを行うと、石英ガラスルツボの内表面付近(透明層)に形成された泡が膨脹して大きな泡となり、泡が透明層の溶解と共にシリコン融液中に混入し、シリコン単結晶の成長に悪影響を与え、シリコン単結晶の単結晶化歩留りを低下させる。
3点曲げ強さは、粒子同士の結合の強さに関係し、3点曲げ強さが高いほど消耗されにくく、粒子の脱落もない。かさ密度と3点曲げ強さの2つの要素から石英ガラス溶融時の消耗の生じ易さ、粒子の脱落のし易さが決定され、さらに、かさ密度が1.80g/cm以上、3点曲げ強さが35MPa以上の条件が揃うことにより、上記効果が増大する。
また、前記カーボン電極2a、2b、2cは、カーボン質原料および結合材の炭化物より組成されており、カーボン質原料の最大粒径が200μm以下で、かつカーボン質原料の90%以上が粒径75μm以下であることが好ましい。
カーボン質原料の最大粒径は、使用中粒子が脱落した時、脱落した粒子が溶融中の石英ガラスに落下、到達するまでに酸化消耗するかによって、決定される。カーボン質原料の最大粒径が200μm以下で、且つこの90重量%が粒径75μm以下である場合には、脱落粒子が石英ガラスまで到達しにくく、途中で完全に酸化消耗されるか、もしくは溶融中の石英ガラスに落下しても、その時点で脱落粒子の径が非常に小さくなり、石英ガラスに泡を発生させにくくなる。
カーボン質原料の最大粒径が200μmより大きいもしくは、粒径75μmを超えるものが、10重量%を超えて存在すると、脱落粒子は酸化消耗されずに溶融中の石英ガラスに落下して、石英ガラス中に取り込まれ、石英ガラスに泡を発生させる可能性が高くなる。
なお、このカーボン質原料の粒径は、カーボン電極の組成を偏光顕微鏡にて観察することによって、確認することができる。
また、前記カーボン電極2a、2b、2cは、カーボン質原料および結合材の炭化物よりなる2次粒子が上記結合材の炭化物により結合された等方性黒鉛材料または押出成形黒鉛材料であって、前記2次粒子の最大粒径が500μm以下で、かつ前記2次粒子の50%以上が粒径38〜500μmであることがより好ましい。
2次粒子の最大粒径を500μm以下にするのは、使用中粒子が脱落した時、脱落した粒子が溶融中の石英ガラスに落下、到達するまでに酸化消耗するようにするためである。500μmより大きいと、脱落粒子は酸化消耗されずに溶融中のルツボ成形体20に落下して、石英ガラス中に取込まれ、石英ガラスに泡を発生させる原因となり易い。
なお、2次粒子の最大粒径がこの原料である1次粒子の最大粒径より大きな値で許容される理由は、前記2次粒子は1次粒子である原料と結合材を混練し、乾燥、粉砕したものであり、つまり、1次粒子が結合材のカーボン分(乾燥成分)により、結合されたものであり、このカーボン分は1次粒子よりはるかに酸化消耗し易い材料だからである。
また、2次粒子の50重量%以上を粒径38〜500μmにするのは、粒径38μm未満のものを50重量%を超えて含むと、確かに粒子脱落の程度は低くなるが、石英ガラス溶融時のカーボン電極の消耗が早くなり、耐用寿命が短くなる傾向があるからである。
なお、前記カーボン電極2a、2b、2cは、灰分を5ppm以下にすることが好ましい。
灰分を5ppm以下にするのは、カーボン電極2a、2b、2cの消耗を低減できるからである。カーボン電極2a、2b、2c中に不純物が多くなると、カーボン電極2a、2b、2cの局部的消耗が早くなり、また、灰分が5ppmを超えると消耗の均一性が失われ、選択的に消耗されるため、複数個の粒子が結合した大きい粒子塊が脱落し、石英ガラスルツボに泡を発生させる原因となる。
また、前記各カーボン電極2a、2b、2cの固有抵抗は、アーク切れ1回までを許容する場合には、3本のカーボン電極2a、2b、2cの常温時における固有抵抗値のバラツキが、3つの各抵抗値のうち、中間値を基準として、±1μΩmの範囲内であることが好ましい。尚、本実施形態において、常温とは、20℃から25℃までである。
更には、前記3本のカーボン電極2a、2b、2cにおいて、0℃から1600℃までの固有抵抗変化率の平均が、119%以下であることが好ましい。
また、アーク切れなし(0回)を目標とする場合には、3本のカーボン電極2a、2b、2cの常温時における固有抵抗値のバラツキが、3つの各抵抗値のうち、中間値を基準として、±0.4μΩmの範囲内であることが好ましい。
更には、前記3本のカーボン電極2a、2b、2cにおいて、0℃から1600℃までの固有抵抗変化率の平均が、117%以下であることが好ましい。
このように3本のカーボン電極2a、2b、2cにおいて、常温時の固有抵抗値を近似させ、且つ0℃から1600℃までの固有抵抗率を規定することにより、アーク放電中におけるアーク切れの発生が抑制される。
尚、前記カーボン電極2a、2b、2cは、次のようにして製造することができる。
最大粒径が200μm以下で、かつカーボン質原料の90重量%以上が粒径75μm以下であるカーボン質原料と、残炭率が50%以上である結合材とを加熱混練し、得られる混練物を粉砕し、これを最大粒径が500μm以下であり50重量%以上が粒径38〜500μmとなるように篩分し、得られた2次粒子をCIP成形し、これを焼成後、2900〜3100℃で黒鉛化して等方性黒鉛材料を得、これを加工、純化処理するものである。
結合材の残炭率が50%未満であると、カーボン質原料の結合性が弱く、特に35MPa以上の3点曲げ強度が得られにくくなる。
また、CIP成形を用いるのは、CIP成形は原料および結合材を混練後、混練物の粉砕が可能であり、2次粒子の調整が容易であり、等方性黒鉛材料の製造に適しているからである。
焼成後の成形体を2900〜3100℃で黒鉛化するのは、2900℃未満では黒鉛化が不十分であり、カーボン電極の均一性が十分でない。3100℃を超える温度での黒鉛化は工業上実用化に乏しい。
焼成体を純化処理することにより、灰分を5%以下にすることができる。
さらに、前記カーボン電極2a、2b、2cの他の製造方法について説明する。最大粒径が150μm以下で、かつカーボン質原料の90重量%以上が粒径75μm以下であるカーボン質原料と、残炭率が50%以上である結合材とを加熱混練し、加熱混練して得られる混練物を130〜200℃で押出し成形し、これを焼成後2900〜3100℃で黒鉛化した黒鉛材料を得、これを加工、純化処理するものである。
130〜200℃で押出し成形するのは、130℃未満では、押出し成形に必要な混練物の流動性が得られにくいことから好ましくない。また、200℃を超えると焼成前の成形体の揮発分を適切に調整することが困難となり、高いかさ密度や3点曲げ強度が得られにくくなる。
上述した製造方法で得られた等方性黒鉛材料または他の製造方法で得られた黒鉛材料は、いずれも気孔率が10%であるが、この気孔に熱硬化性樹脂、例えばフェノール系またはフラン系のものを含浸させた後、上述の焼成と同様に重油バーナを熱源とする炉で焼成し、加工して成形し、高純度処理を行い、灰分を5ppm以下にして、カーボン電極2a、2b、2cを製造する。
尚、熱硬化性樹脂を成形体に含浸することにより、粒子同士のネック部が強化され、使用時の消耗度合が小さく、粒子の落下も低減される。また、熱硬化性樹脂としてフェノール系またはフラン系のものを用いるのは、酸化されにくく、消耗落下を抑制でき、石英ガラスに泡を発生させにくく、シリコン単結晶の単結晶化歩留を向上させることができる。
また、混練物の揮発分を12〜15%に調整することによって、1.80g/cm以上のかさ密度、35MPa以上の3点曲げ強さが得られ易くなり、かつより均一性の高い黒鉛材料とすることができる。
また、カーボン質原料を石炭系ピッチコークス、結合材を石炭系コールタールピッチとする組合わせによって、石英ガラス溶融時のカーボン電極1の消耗をより低減せしめることができる。
続いて、本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法の各工程について、図2のフローに基づいて説明する。
先ず、予め多数本のカーボン電極を用意し、各カーボン電極について、その常温時の固有抵抗値を測定し、固有抵抗値のバラツキが、所定の範囲内となる3本のカーボン電極の組み合わせを複数組選定する(ステップS1)。所定の範囲内とは、アーク切れの許容回数が1回の場合、3本のカーボン電極2a、2b、2cの固有抵抗値のバラツキが、3つの各抵抗値のうち、中間値を基準として、±1μΩmの範囲内である。尚、抵抗率の測定は、電位差計法を用いて行う。
さらに、選定した複数組のカーボン電極に対し、0℃から1600℃まで発熱させた際の固有抵抗変化率を測定し、その値の平均が119%以下となるカーボン電極の組を選定する(ステップS2)。
選定した組の3本のカーボン電極2a、2b、2cを、図1に示した石英ガラスルツボ製造装置2にセットし、図示しない回転駆動源を稼働させて回転軸7を回転させ、ルツボ成形用型3を高速で回転させる(ステップS3)。
ルツボ成形用型3内に原料供給ノズル11より天然石英原料粉末を供給する。供給された天然石英原料粉末は、遠心力によってルツボ成形用型3の内側部材4に押圧され、天然石英粉末層20bが形成される。
次いで、前記天然石英粉末層の上に、原料供給ノズル12より合成石英原料粉末を供給する。供給された合成石英原料粉末は、天然石英粉末層20bに対し押圧され、合成石英粉末層20aが形成される。
このようにして、内層側に合成石英粉末層20aが形成され、外側層に天然石英粉末層20bが形成されたルツボ成形体20が得られる(ステップS4)。
さらに、減圧機構10の作動により内側部材4内を減圧し、カーボン電極2a、2b、2cに通電してルツボ成形体11の内側からアーク放電により加熱し、ルツボ成形体20の内表面から外表面にかけて溶融する(ステップS5)。
その後、冷却することにより、内面側には実質的に無気泡化状態で酸素過剰欠陥が抑制された透明石英ガラス層が形成され、外表側には多数の気泡が存在する不透明石英ガラス層が形成された、2重層構造の石英ガラスルツボが得られる(ステップS6)。
このように本発明に係る実施の形態によれば、アーク放電によりルツボ成形体を溶融して石英ガラスルツボを製造する際、使用する3本のカーボン電極2a、2b、2cは、その常温時における固有抵抗値のバラツキが小さく、且つ0℃から1600℃までの固有抵抗変化率に基づき選定するため、アーク切れの発生を抑制することができ、アーク放電による安定した溶融を行うことができる。
本発明に係る石英ガラスルツボの製造方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示した石英ガラスルツボ製造装置を用いて石英ガラスルツボの製造を行い、使用したカーボン電極の抵抗特性等について検証した。
尚、本実施例で使用したカーボン電極は、次のようにして製造した。
最大粒径が200μm以下で、かつカーボン質原料の90重量%以上が粒径75μm以下であるカーボン質原料と、残炭率が50%以上である結合材とを加熱混練し、得られる混練物を粉砕し、これを最大粒径が500μm以下であり50重量%以上が粒径38〜500μmとなるように篩分し、得られた2次粒子をCIP成形し、これを焼成後、2900〜3100℃で黒鉛化して等方性黒鉛材料を得、これを加工、純化処理して製造した。
(実験1)
実験1では、3本のカーボン電極における常温での固有抵抗値とアーク切れの関係について検証した。
試料として4組のカーボン電極を用いてアーク放電を行い、ルツボ成形体に対して溶融作業を行った。そして、このアーク放電中におけるアーク切れの回数を測定した。この実験結果を表1に示す。
[表1]
Figure 0006827852
表1において、アーク切れ1回までを許容範囲とすれば、3本のカーボン電極において、常温での3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準にして(例えば試験No.2では、電極2の5.4μΩmを基準とする)、±1μΩmの範囲内であれば、アーク切れが抑制されることを確認した(試験No.3の結果について、請求項の内容に沿うようにアーク切れ回数の結果を提案書とは変えて記載しています。ご確認ください)。
また、3本のカーボン電極において、常温での3つの固有抵抗値が同じであれば、アーク切れが0回となった。
(実験2)
実験2では、石英ガラスルツボ溶融に使用したカーボン電極について、アーク切れの発生回数ごとに、0℃から1600℃までの固有抵抗変化率を求めた。
使用したカーボン電極の組み合わせのうち、アーク切れが発生しなかった3本のカーボン電極を0−1、0−2、0−3とし、アーク切れが1回発生した3本のカーボン電極を1−1、1−2、1−3とし、アーク切れが5回発生した3本のカーボン電極を5−1、5−2、5−3とし、試料として結果をまとめた。
測定結果として、アーク切れが発生しなかったカーボン電極(0−1、0−2、0−3)と、アーク切れが1回発生したカーボン電極(1−1、1−2、1−3)と、アーク切れが5回発生したカーボン電極(5−1、5−2、5−3)とについて、0℃から1600℃までの固有抵抗の温度変化を、それぞれ図3、図4、図5のグラフに示す。尚、図3〜図5の縦軸は固有抵抗(μΩm)であり、横軸は温度(℃)である。
図3〜図5に示すように、アーク切れ回数が少ないほど、固有抵抗の特性が近いことが確認できた。
また、アーク切れが発生しなかったカーボン電極(0−1、0−2、0−3)と、アーク切れが1回発生したカーボン電極(1−1、1−2、1−3)と、アーク切れが5回発生したカーボン電極(5−1、5−2、5−3)とについて、0℃から1600℃までの固有抵抗変化率の分布を、それぞれ図6、図7、図8のグラフに示す。尚、図6〜図8の縦軸は固有抵抗変化率(%)であり、横軸は温度(℃)である。
図6〜図8に示すように、アーク切れが5回発生したカーボン電極(5−1、5−2、5−3)の場合(図8)よりも、アーク切れが発生しなかったカーボン電極(0−1、0−2、0−3)の場合(図6)と、アーク切れが1回発生したカーボン電極(1−1、1−2、1−3)の場合(図7)のほうが固有抵抗変化率が小さいことが確認できた。
以上の測定結果を表2にまとめて示す。尚、表中のAVGは平均値、STDは標準偏差を示す。
[表2]
Figure 0006827852
アーク切れは、1回までを許容すれば、表2に示すように固有抵抗変化率は119%以下であることが望ましいことを確認した。
また、常温での固有抵抗値は、アーク切れ1回品は、3本のカーボン電極において、常温での3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準にして(試料1−2の7.0μΩmを基準とする)、±1μΩmの範囲内であるため、アーク切れが抑制されたことを確認した。
また、アーク切れ0回を目標とする場合、表2に示すように固有抵抗変化率は、117%以下であることが望ましいことを確認した。
また、常温での固有抵抗率は、アーク切れ0回品は、3本のカーボン電極において、常温での3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準にして(試料0−1の6.4μΩmを基準とする)、±0.4μΩmの範囲内であるが、アーク切れは発生しなかった。
即ち、実験1では、3本のカーボン電極の固有抵抗値が全て同じの場合にアーク切れが発生しないことが確認されたが、本実験2の結果、常温での3つの固有抵抗値が全て同じでなくとも、3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準にして±0.4μΩmの範囲内であればアーク切れが発生しないことを確認した。
以上の実施例の結果、本発明による作用効果を確認することができた。
1 石英ガラスルツボ製造装置
2a カーボン電極
2b カーボン電極
2c カーボン電極
3 ルツボ成形用型
4 内側部材
5 通気部
6 保持体
7 回転軸
8 開口部
9 排気口
10 減圧機構

Claims (2)

  1. 3本のカーボン電極によりアーク放電し、ルツボ成形体を溶融することにより石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法であって、
    複数のカーボン電極の中から、3本のカーボン電極の常温における固有抵抗値のバラツキが、3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準として±1μΩmの範囲内となる3本のカーボン電極を複数組選定するステップと、
    前記選定した複数組のうち、3本のカーボン電極の0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が119%以下となる組を選定し、該選定した組の3本のカーボン電極を用いるステップと、
    を含むことを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
  2. 3本のカーボン電極によりアーク放電し、ルツボ成形体を溶融することにより石英ガラスルツボを形成する石英ガラスルツボの製造方法であって、
    複数のカーボン電極の中から、3本のカーボン電極の常温における固有抵抗値のバラツキが、3つの固有抵抗値のうち、中間値を基準として±0.4μΩmの範囲内となる3本のカーボン電極を複数組選定するステップと、
    前記選定した複数組のうち、3本のカーボン電極の0℃から1600℃までの固有抵抗変化率が117%以下となる組を選定し、該選定した組の3本のカーボン電極を用いるステップと、
    を含むことを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
JP2017044810A 2017-03-09 2017-03-09 石英ガラスルツボの製造方法 Active JP6827852B2 (ja)

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