以下、本実施形態に係る自脱型のコンバインについて図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走する走行機体2の前部に、植立穀稈を刈り取る刈取部3が備えられている。走行機体2の前部右側に、キャビン4にて周囲が覆われた運転部5が備えられている。運転部5の後方には、刈取部3にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置6と、脱穀処理にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク7とが、横方向に並ぶ状態で配備されている。穀粒タンク7は機体右側に位置し、脱穀装置6は機体左側に位置している。つまり、運転部5は穀粒タンク7の前方に位置している。運転部5における運転座席8の下方にエンジンEが備えられている。走行機体2の後部であって穀粒タンク7の後方に、穀粒タンク7に貯留された穀粒を機外に排出する穀粒排出装置9が備えられている。
この実施形態では、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、図1及び図2に符号(F)で示す方向が機体前側、図1及び図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。図2に符号(L)で示す方向が機体左側、図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
刈取部3は、刈取対象となる植立穀稈の株元を分草案内する分草具10と、分草された植立穀稈を縦姿勢に引き起こす複数の引き起こし装置11、引き起された植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置12、刈取穀稈を縦姿勢から徐々に横倒れ姿勢になるように姿勢変更しながら後方に搬送して脱穀装置6に供給する縦搬送装置13等を備えている。縦搬送装置13の上方側は防塵カバー14によって覆われている。
図示はしていないが、脱穀装置6は、供給された刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって挟持搬送しながら、穂先側を扱室にて扱き処理して脱穀処理を行う。脱穀処理された後の処理物が下方の選別部にて穀粒とワラ屑等に選別される。穀粒は、図示しない一番物搬送スクリューにより脱穀装置6の右横側外方に搬出されたのち、揚穀コンベア15により揚送されて穀粒タンク7の内部に搬送される。穀粒タンク7は、脱穀装置6から送り込まれる穀粒を貯留する。その後、穀粒タンク7に貯留された穀粒は、穀粒排出装置9により外部に搬出される。
穀粒タンク7の底部には、前後向き軸芯周りで回転して貯留される穀粒を機体後部側に向けて搬送する底部スクリュー16が備えられている。穀粒排出装置9は、底部スクリュー16から搬出される穀粒を受け入れて、その穀粒を上方に向けて搬送する縦送りスクリューコンベア17と、その縦送りスクリューコンベア17の上端部に連なる基端部から先端部の排出口18まで穀粒を横方向に向けて搬送する横送りスクリューコンベア19とを備えている。
〔品質計測装置〕
穀粒タンク7の内部に、穀粒の品質を計測する品質計測装置20が備えられている。
図3に示すように、品質計測装置20は、計測対象である穀粒を一時貯留する一時貯留部21と、一時貯留部21にて貯留されている穀粒に対して計測作用して品質を計測する計測部22とを備えている。図3に示すように、一時貯留部21が穀粒タンク7の内方側に位置し、計測部22が穀粒タンク7の外方側に位置している。計測部22は、密閉状に形成された収納ケース23の内部に収納されている。一時貯留部21は、収納ケース23の内方側の側面に一体的に連結された略角筒状の貯留用ケース24を備え、その内部に穀粒を貯留することができる。
一時貯留部21は、貯留用ケース24の内部に、上下方向に貫通する上下向き通路25が形成され、横向き姿勢で上下向き通路25の途中を閉じる閉状態(図3参照)と、縦向き姿勢となって上下向き通路25を開放する開状態(図示せず)とに姿勢変更可能なシャッター板26と、図示しない電動モータの駆動力によりシャッター板26を姿勢変更する操作部27とを備えている。一時貯留部21は、揚穀コンベア15により揚送されて穀粒タンク7の内部に搬送される穀粒の一部を受止めて貯留する。
揚穀コンベア15は、スクリューコンベア28により穀粒を上端部近くまで揚送させたのち、上端部に設けられた送り出し羽根29によって、穀粒を穀粒タンク7に形成された開口部30を通してタンク内方側に向けて放出する。送り出し羽根29によって放出された穀粒のうちの一部の穀粒が、一時貯留部21に供給される。
本実施形態では、図3、図9および図20に示すように、穀粒タンク7の開口部30の周囲が、縦補強板30aおよび横補強板30bによって補強されている。縦補強板30aは、断面がL字形状である棒状の金属製の部材であって、上下方向に沿う姿勢にて開口部30の前側と後側とに溶接により左側壁部47に取り付けられている。横補強板30bは、帯状の金属製の部材であって、開口部30の上側と下側とに沿って、溶接により左側壁部47に取り付けられている。縦補強板30aと横補強板30bとは、溶接により接合されている。縦補強板30aおよび横補強板30bによる開口部30の補強によって、穀粒タンク7の強度が向上し、穀粒タンク7の振動が低減されている。
一時貯留部21は、シャッター板26を閉状態に切り換えている状態で、放出された穀粒を受止めて、シャッター板26の上部に形成された貯留用の空間31に穀粒を貯留することができる。シャッター板26を開状態に切り換えると、貯留されていた穀粒が下方に落下排出されて穀粒タンク7の内部に戻される。
計測部22は、貯留用の空間31に貯留される穀粒に向けて光を照射し、穀粒から得られた光に基づいて、公知技術である分光分析手法によって穀粒の内部品質を計測する。貯留用の空間31を形成する側面のうち計測部22側の側面に光が透過可能な窓部32が形成され、計測部22は、この窓部32を通して、穀粒に光を照射するとともに、穀粒からの光を受光する。
〔収納ケース〕
次に、収納ケース23について説明する。
図3,4,5に示すように、収納ケース23は、前部側に位置する縦向きの前壁部33、後部側に位置する縦向きの後壁部34、前壁部33の上端部と後壁部34の上端部とにわたって連結される縦向き板状の上部連結部35、前壁部33の下端部と後壁部34の下端部とにわたって連結される下部連結部36、機体左側(タンク内方側)に位置して上下方向に延びる内側壁部37、機体右側(タンク外方側)に位置して上下方向に延びる外側壁部38の夫々を備えて構成されている。
収納ケース23における、前壁部33、後壁部34、上部連結部35、及び、下部連結部36の夫々によって枠状の上下向きフレーム39が形成されている。そして、上下向きフレーム39を構成する前壁部33と後壁部34に加えて、上下向きフレーム39にて支持される内側壁部37と外側壁部38との夫々によって、密閉状の収納空間が形成されている。品質計測装置20は、内側壁部37に連結されることにより上下向きフレーム39の枠内に収容されている。
収納ケース23の穀粒タンク7に対する支持構造については、後述する。
〔穀粒タンク〕
次に、穀粒タンク7について説明する。
図8,9に示すように、穀粒タンク7は、機体前部側に位置する前側面40、機体後部側に位置する後側面41、機体右側に位置する右側面42、機体左側に位置する左側面43の夫々により周囲が囲まれている。又、上部側は上側面44により覆われている。従って、前側面40、後側面41、右側面42、左側面43、及び、上側面44の夫々によって囲まれて穀粒の貯留空間Qが形成されている。
穀粒タンク7は、右側面42を構成する右側壁部45のうちの一部(後述する開閉壁部50)が貯留空間Qを閉塞して穀粒の貯留を可能にする貯留状態と、貯留空間Qを外部に開放して貯留空間Qへの作業者のアクセスを可能にするメンテナンス状態とに切り換え可能に構成されている。
図5に示すように、穀粒タンク7における右側面42を除く他の側面、すなわち、前側面40、後側面41、左側面43、上側面44の夫々は、全て一連に連なるように連結された状態の壁部材によって形成され、タンク本体部46を構成している。図9に示すように、タンク本体部46のうち左側面43を構成する左側壁部47には、揚穀コンベア15を入り込ませた状態で配備するための凹入部48が形成されている。
穀粒タンク7の右側壁部45は、走行機体2の右横側外方に臨む状態で位置している。右側壁部45は、上部から下部に亘るとともに前部から後部に亘る範囲の領域を開放可能である。すなわち、図5,7に示すように、右側壁部45には、上部から下部に亘るとともに前部から後部に亘る範囲の領域を開放するように大きく開放される状態で開口49が形成されている。このように大きく開放されている開口49を開閉自在な開閉壁部50(側板の一例)によって閉塞して、内部に貯留空間Qを形成するように構成されている。
図5,6に示すように、右側壁部45は、開閉壁部50と開口49の周囲を囲う枠状部分51とを備えており、枠状部分51は、他の側面に連結されており、タンク本体部46の一部を構成している。図8に示すように、開閉壁部50が閉じられて、後述するように開閉壁部50と枠状部分51とが一体的に連結されることで、右側壁部45を構成する。
本実施形態では、開閉壁部50は、回動支持構造Aを介して、上下方向に沿った軸芯Y1周りに回動可能な状態で、タンク本体部46に支持される。回動支持構造Aは、タンク本体部46に、軸芯Y1上に位置する状態で取り付けられた軸部材52と、開閉壁部50に取り付けられ、軸部材52が挿通支持されるボス部材57とを有する。詳しくは図5に示すように、開閉壁部50は、穀粒タンク7の後方に位置する軸部材52の軸芯Y1周りで揺動開閉可能にタンク本体部46に支持されている。タンク本体部46の後側面41を構成する後側壁部53の右側端部において、上下方向に間隔をあけて2つの回動支持部54が設けられている。回動支持部54は、後方に突出する支持台55と、支持台55から上方に延びる軸部材52とを備えている。
開閉壁部50における回動支持部54に対応する箇所には、軸部材52に対して上方側から嵌り合い係合する貫通穴57bが形成された側面視で略U字形のボス部材57が連結されている。上下両側のボス部材57を軸部材52に対して嵌り合い係合させることにより、開閉壁部50を軸部材52の軸芯Y1周りで揺動自在に支持する構成となっている。回動支持構造Aについては、後述する。
次に、タンク本体部46における強度補強のための構成について説明する。
図5,6,9に示すように、タンク本体部46の前部と後部とに亘って機体前後方向に延びるフレーム体としての前後向きフレーム58が備えられている。前後向きフレーム58は、円筒状に形成され、タンク本体部46における前側面40を構成する前側壁部59と、後側面41を構成する後側壁部53とに亘って延びる状態で設けられている。前後向きフレーム58は、穀粒タンク7内部の機体右側端部の上下中間部に位置する状態で設けられている。図5,6に示すように、前後向きフレーム58の前側端部が前側壁部59を挿通して前部側外方に露出する状態で設けられている。前後向きフレーム58の後側端部が後側壁部53を挿通して後部側外方に露出する状態で設けられている。前後向きフレーム58は、前側壁部59及び後側壁部53の夫々を挿通した状態で、図示しない抜け止めピンにより抜け外れが阻止された状態で位置保持されている。
前後向きフレーム58から夫々異なる方向に延び、且つ、開閉壁部50とは異なる面状のタンク構成体としての左側壁部47と前後向きフレーム58とを連結する複数の補助フレーム体が備えられている。
図5,6,8,9に示すように、前後向きフレーム58の前後中央部よりも前側に寄った位置、及び、前後中央部よりも後側に寄った位置の夫々において、前後向きフレーム58と左側壁部47とを連結する補助フレーム体としての丸棒材からなる第1補助フレーム61が備えられている。図8に示すように、前後両側の第1補助フレーム61は、前後向きフレーム58との連結位置から左側上方に向けて延設され、左側壁部47の上部側箇所に連結されている。
又、右側壁部45の上部側箇所と左側壁部47の下部側箇所とを連結する補助フレーム体としての帯板材からなる第2補助フレーム62が備えられている。
上述したように、前後向きフレーム58、2つの第1補助フレーム61及び1つの第2補助フレーム62を備えているから、右側壁部45が大きく開口されているタンク本体部46の支持強度を高めることができる。説明を加えると、前後向きフレーム58によって前側壁部59と後側壁部53とが連結されるので、前側壁部59と後側壁部53とが穀粒の重量で外方に張り出すように力を受けても、前後向きフレーム58によってその力を受止めて変形を防止できる。図8に示すように、左側壁部47の上部側箇所が穀粒の重量で外方に張り出すように力を受けても、第1補助フレーム61によってその力を受止めて変形を防止できる。左側壁部47の下部側箇所も同様に、第2補助フレーム62によって変形を防止できる。
品質計測装置20を収納する収納ケース23の支持構造について説明する。
収納ケース23における上下向きフレーム39の下部が、前後向きフレーム58に係合する状態で載置支持されている。すなわち、図3に示すように、前壁部33及び後壁部34の下端部に、前後向きフレーム58に係合する係合凹部65が形成されている。前壁部33及び後壁部34夫々の係合凹部65が、前後向きフレーム58に上側から係合した状態で、前後向きフレーム58に受止め支持することができる。
図3,6に示すように、上下向きフレーム39の上部が、穀粒タンク7の右側壁部45の上側縁部51aに連結されている。
次に、開閉壁部50における強度補強のための構成について説明する。
図8に示すように、開閉壁部50は前後方向視で緩やかな円弧状に形成されている。図5,10,11に示すように、開閉壁部50のタンク内方側の上部側箇所に上部側補強部材67が備えられている。上部側補強部材67は、板材を断面略U字形に折り曲げて形成され且つ前後方向に延びる状態で設けられている。上部側補強部材67は、前後方向全域にわたり開閉壁部50の壁面に一体的に連結されている。上部側補強部材67と開閉壁部50の壁面とによって角筒状のフレーム体68が構成されている。開閉壁部50の後部側端部には、上下両側のボス部材57を介して開閉壁部50全体を支持するための支持補強部材50cが備えられている。
開閉壁部50のタンク内方側の下部側箇所には、下部側補強部材70が備えられている。下部側補強部材70は、板材を略U字形に折り曲げて形成され且つ前後方向に延びる状態で設けられている。下部側補強部材70は、前後方向全域にわたり開閉壁部50の壁面に一体的に連結されている。
下部側補強部材70の上部側には傾斜案内体71が備えられている。傾斜案内体71は、貯留している穀粒を下部側補強部材70の上方側を迂回して下方の底部スクリュー16に向けて流下案内する傾斜面71aを備えている。開閉壁部50のタンク内方側の上下中間部には、板材を略山形状に折り曲げて形成され且つ前後方向に延びる中間側補強部材72が備えられている。中間側補強部材72は前後方向全域にわたり開閉壁部50の壁面に一体的に連結されている。
開閉壁部50のタンク内方側には、上部側補強部材67と下部側補強部材70とにわたって、上下方向に延びる複数の縦向き支持板が、前後方向に間隔をあけて複数備えられている。具体的には、図4,5,9,11に示すように、縦向き支持板として、開閉壁部50の前部側端部に位置する第1の縦向き支持板73、前部側端部よりも設定幅だけ後部側に寄った箇所に位置する第2の縦向き支持板74、前後中間部に位置する第3の縦向き支持板75の夫々が備えられている。複数の縦向き支持板73,74,75は夫々、断面L字形の板体からなり、開閉壁部50のタンク内方側の側面に一体的に連結されている。
図5,11に示すように、上部側補強部材67は、開閉壁部50の前後方向の全幅にわたって設けられている。中間側補強部材72、傾斜案内体71、下部側補強部材70は、夫々、第2の縦向き支持板74と支持補強部材50cとにわたって設けられている。
次に、開閉壁部50をタンク本体部46に連結するための連結構造について説明する。
穀粒タンク7が貯留状態にある際、開閉壁部50の揺動側端部をタンク本体部46に連結する連結装置76が備えられている。図7,8,10に示すように、連結装置76は、タンク本体部46に設けられた前後向きフレーム58と、開閉壁部50に設けられて前後向きフレーム58に係止する係止部材77と、係止部材77を前後向きフレーム58に係止する係止状態と係止を解除する解除状態とに切り換える切換操作機構78とを備えている。図10に示すように、係止部材77は、略U字状の係止溝79を有するフック状部材にて構成されている。
切換操作機構78は、操作レバー80の揺動操作により、係止部材77が前後向きフレーム58に引っ掛かり係止する係止状態と、係止を解除する解除状態とに切り換え操作可能に構成されている。図4,10,11に示すように、切換操作機構78は、操作レバー80と係止部材77とを備えている。操作レバー80は、把持部80aと回動軸部80bとが一体に形成されたL字形状の部材である。係止部材77は、回動軸部80bに連結されている。操作レバー80の把持部80aの揺動操作に伴う回動軸部80bの回動により、係止部材77が係止状態と解除状態とに切り換わる。
回動軸部80bは、開閉壁部50のタンク内方側の近い位置において、開閉壁部50の前後中間部と前部とにわたって前後方向に延びる状態で備えられている。
図14に示すように、操作レバー80の回動軸部80bが筒軸部82に差し込まれて、係止部材77と共に溶接により接合されている。縦向き支持板74の切欠き部位74aに、回動軸部80bが挿入されている。押え板74bが縦向き支持板74にボルトBoにより取り付けられて、切欠き部位74aを塞いでいる。以上の様にして、操作レバー80が縦向き支持板74に取り付けられている。なお縦向き支持板75への操作レバー80の取付も、同様の形態で行われる。
図14に示すように、操作レバー80は、第1の縦向き支持板73と第2の縦向き支持板74との間に位置する状態で備えられている。開閉壁部50の壁部のうち、第1の縦向き支持板73と第2の縦向き支持板74との間における操作レバー80が対応する位置に、上下方向にスライド開閉が可能な蓋体85(図1参照)によって覆われた開口86が形成されている。蓋体85を上方向にスライドさせると、開口86を通して操作レバー80が外方に臨む状態となり、機体外部から作業者が手動操作可能な状態となる。
図4及び図10,15の実線にて示すように、操作レバー80が開閉壁部50の内部に位置する縦向き姿勢に切り換えられると、係止部材77が前後向きフレーム58に係止して、開閉壁部50の揺動側端部とタンク本体部46とが連結される。そして穀粒タンク7が貯留状態となる。図14に白抜き矢符にて示すように、開口86を通して手動で操作レバー80を外方側に引き操作して、操作レバー80が傾斜姿勢に切り換えられると、係止部材77が前後向きフレーム58に対する係止が解除され、開閉壁部50の揺動側端部とタンク本体部46との連結が解除される。そして開閉壁部50が開かれると、穀粒タンク7がメンテナンス状態となる。
図15に示すように、後部側の係止部材77と第3の縦向き支持板75とにわたってトグルバネ87が張設されている。操作レバー80が縦向き姿勢に切り換えられると、トグルバネ87は、前後方向視で回動軸部80bの軸芯よりも下側に位置して、係止部材77を下方側に向けて回動付勢する。その結果、係止部材77は前後向きフレーム58に係止する状態が維持される。一方、操作レバー80が外方側の傾斜姿勢に切り換えられると、トグルバネ87は、前後方向視で回動軸部80bの軸芯よりも上側に位置して、係止部材77を上方側に向けて回動付勢する。その結果、係止部材77は前後向きフレーム58から離間した解除状態が維持される。
係止部材77が前後向きフレーム58に係止すると、開閉壁部50が穀粒の重量で外方に張り出すように力を受けても、前後向きフレーム58によってその力が受止められて変形を防止できる。又、前後向きフレーム58と右側壁部45における開口49の周囲の枠状部分51とが、上下向きフレーム39を介して連結される。その結果、前後向きフレーム58は、図8に示すように、第1補助フレーム61、第2補助フレーム62、係止部材77、収納ケース23により、周方向に異なる複数の方向に対して受止め保持されるので、穀粒タンク7の各側面に係る荷重を分散させた状態で互いに受止め合うことができ、支持強度を向上させることができる。
切換操作機構78は、穀粒タンク7が貯留状態にある際、開閉壁部50を位置保持するとともに、開閉壁部50をタンク本体部46側に引き寄せて隙間を無くして貯留空間の閉塞性を高めるための構成を備えている。以下、その構成について説明する。
図7,8,10,11に示すように、開閉壁部50に、上下方向にのみ移動可能に支持されるとともに、回動軸81の回動に伴って上下方向に移動可能に回動軸81に連動連結された複数のロッド88が備えられ、タンク本体部46に複数の傾斜案内部材89が備えられている。そして、係止部材77が係止状態となるように、操作レバー80が傾斜姿勢から縦向き姿勢に切り換え操作されると、ロッド88が、傾斜案内部材89に摺動案内されて、開閉壁部50をタンク本体部46側に引き寄せるように構成されている。
説明を加えると、側面視で、回動軸部80bの前後両端部に対応する箇所であって、且つ、開閉壁部50の上部側箇所及び下部側箇所の夫々に、合計4本のロッド88が上下方向にのみ移動可能に備えられている。
図10,11に示すように、第2の縦向き支持板74及び第3の縦向き支持板75夫々の上部側途中部に、ロッド88が挿通する挿通孔が形成された側面視略L字形の上部側支持部材90が設けられている。又、上部側補強部材67にロッド88が挿通する挿通孔が形成されている。上側に位置する2本のロッド88は、上部側支持部材90及び上部側補強部材67の夫々に形成された挿通孔を挿通する状態で設けられ、上下方向にのみ移動可能に支持されている。
図10,11に示すように、前後方向視で略U字形に形成され、且つ、ロッド88が挿通する挿通孔が形成された下部側支持部材91が設けられている。下部側支持部材91は、下部側補強部材70と傾斜案内体71に連結されている。下側に位置する2本のロッド88は、下部側支持部材91の上下両側部に形成された挿通孔を挿通する状態で設けられ、上下方向にのみ移動可能に支持されている。
図10,14に示すように、回動軸部80bの前後両側端部に外挿された筒軸部82に回動軸部80bと一体回動する操作体92が連結されている。操作体92は前後の筒軸部82の前後中間側箇所に設けられている。すなわち、前部側の操作体92は、前部側の筒軸部82の後端部に設けられている。後部側の操作体92は、後部側の筒軸部82の前端部に設けられている。
操作体92は、回動軸部80bから径方向外方側に延びる第1アーム部92Aと、その第1アーム部92Aとは逆向きに径方向外方側に延びる第2アーム部92Bとを備えている。第1アーム部92Aの外端部と、上側のロッド88とがリンク部材93によって枢支連結されている。第2アーム部92Bの外端部と、下側のロッド88とがリンク部材93によって枢支連結されている。操作レバー80の操作に伴って回動軸部80bが回動して、操作体92とリンク部材93を介してロッド88が上下方向にスライド移動する。
図5,10に示すように、タンク本体部46の枠状部分51におけるロッド88がスライド移動する箇所に、複数の傾斜案内部材89が備えられている。上側に位置する2つの傾斜案内部材89は、枠状部分51におけるタンク外側の箇所に設けられている。下側に位置する2つの傾斜案内部材89は、枠状部分51におけるタンク内側の箇所に設けられている。上側に位置する2つの傾斜案内部材89は、下端部が枠状部分51から離間する側に位置し、上方に向かうほど枠状部分51に近づくような傾斜面を備えている。下側に位置する2つの傾斜案内部材89は、上端部が枠状部分51から離間する側に位置し、下方に向かうほど枠状部分51に近づくような傾斜面を備えている。
図6,10に示すように、複数の傾斜案内部材89は夫々、枠状部分51を挿通する2本のネジ軸部89aが一体的に備えられ、ネジ軸部89aに螺合するナット89bで締め付けて枠状部分51に固定されている。傾斜案内部材89は、枠状部分51に対するネジ軸部89aのナット89bによる締め付け位置を変更することにより、タンク本体部46と開閉壁部50との接近離間方向での位置を変更調節可能に設けられている。
操作レバー80が縦向き姿勢に切り換えられると、操作体92とリンク部材93を介して、上側のロッド88は上方に移動し、下側のロッド88は下方に移動する。上側のロッド88は、タンク本体部46に備えられた上側の傾斜案内部材89に摺動案内され、下側のロッド88は、タンク本体部46に備えられた下側の傾斜案内部材89に摺動案内される。ロッド88と傾斜案内部材89との摺動案内によって、開閉壁部50とタンク本体部46とが相対変位して、開閉壁部50がタンク本体部46に近づく方向に引き寄せられる。その結果、開閉壁部50とタンク本体部46の開口49の周囲の枠状部分51とが密に接触して穀粒を貯留可能な状態となる。
上述したような開閉壁部50をタンク本体部46に連結するための連結構造を備えることにより、開閉壁部50が閉じ状態となって枠状部分51に密に接触することにより、穀粒タンク7が貯留状態に切り換わる。従って、右側壁部45には、開閉壁部50と枠状部分51だけでなく、開閉壁部50をタンク本体部46に連結するための連結構造、すなわち、前後向きフレーム58、係止部材77と、切換操作機構78等も含まれる。開閉壁部50と枠状部分51との接触箇所、つまり、上部側補強部材67と枠状部分51との接触箇所、及び、下部側補強部材70と枠状部分51との接触箇所には、シール部材を介在させておくとよい。
操作レバー80が傾斜姿勢(図10の仮想線)に切り換えられると、図15に仮想線にて示すように、係止部材77が解除状態となる。それに伴って、図7に示すように、操作体92とリンク部材93を介して、上側のロッド88は下方に移動して傾斜案内部材89との係合が解除され、下側のロッド88は上方に移動して傾斜案内部材89との係合が解除される。その結果、開閉壁部50が開放状態に切り換わり、穀粒タンク7がメンテナンス状態に切り換わる。
図4に示すように、開閉壁部50の第1の縦向き支持板73と第2の縦向き支持板74とで挟まれるレバー収納領域Wに操作レバー80が備えられる。図4,6に示すように、タンク本体部46の右側面におけるレバー収納領域Wに対応する箇所には壁面部94が形成されている。又、この壁面部94の後端縁には上下方向に長い仕切り板95が設けられ、この仕切り板95と第2の縦向き支持板74とによって、レバー収納領域Wと貯留空間Qとが仕切られる構成となっている。その結果、貯留空間Qに穀粒が貯留されていても、操作レバー80が備えられるレバー収納領域Wには穀粒がなく、操作を容易に行える。
開閉壁部50は、後部側の縦軸芯Y1周りで片持ち状に支持される構成であるから、枢支箇所におけるガタや使用に伴う摩耗等によって、揺動端側が基端側に比べて少し下がり、斜め姿勢になるおそれがある。そこで、このような姿勢変化に対して、穀粒タンク7を貯留状態に切り換えるときに、開閉壁部50の揺動端側を適正位置に持ち上げ案内するための機構が設けられている。
すなわち、図10に示すように、開閉壁部50における下部側補強部材70は、穀粒タンク7が貯留状態に切り換えられると、枠状部分51の下側縁部に接当して密に接触する状態となる。この下部側補強部材70における枠状部分51の下側縁部に接当する箇所は、タンク内側ほど上側に位置するような傾斜姿勢となっている。この構成により、例えば、開閉壁部50の揺動端側が基端側に比べて少し下がり、斜め姿勢になっている場合であっても、開閉壁部50を閉じて、切換操作機構78による連結操作が行われると、下部側補強部材70の傾斜面が枠状部分51の下側縁部に乗り上げて、開閉壁部50を適正位置に持ち上げ案内することができる。
次に、回動支持構造Aの詳細について説明する。図18、図19に示すように、回動支持構造Aは、回動支持部54と、ボス部材57とを有して構成される。本実施形態では、回動支持部54がタンク本体部46に取り付けられ、ボス部材57が開閉壁部50に取り付けられている。
回動支持部54は、軸部材52と、支持台55と、支持板56とを有して構成されている。支持板56は長方形の板状の部材であって、長辺が上下方向に沿う姿勢にて、後側壁部53に取り付けられている。支持台55は2枚の板状の部材であって、互いに平行かつ上下方向に直交する姿勢にて、支持板56に取り付けられている。軸部材52は円筒状の部材であって、中心軸が上下方向に沿う姿勢にて、支持台55に取り付けられている。詳しくは、軸部材52の下半分が支持台55の2枚の板状の部材に接合され、軸部材52の上半分は支持台55から上方向に突出している。軸部材52の中心軸が、軸芯Y1となる。
支持板56は、上下の端部に長穴56aを有している。支持板56は、長穴56aを介してボルトBoにより後側壁部53に取り付けられている。したがって支持板56は、左右方向、および上下方向に移動可能であり、かつ、上下方向に対する傾きが変更可能である。そうすると、支持板56に取り付けられている軸部材52は、左右方向、および上下方向に移動可能であり、かつ、上下方向に対する傾きが変更可能である。
すなわち、軸部材52は上下位置調整機構Fを介して開閉壁部50(側板)およびタンク本体部46のうち一方に取り付けられており、上下位置調整機構Fは軸部材52の上下方向の位置を調整するといえる。支持板56、長穴56a、およびボルトBoが上下位置調整機構Fに相当する。
また、軸部材52は水平位置調整機構Gを介して開閉壁部50(側板)およびタンク本体部46のうち一方に取り付けられており、水平位置調整機構Gは軸部材52の水平方向の位置を調整するといえる。支持板56、長穴56a、およびボルトBoが水平位置調整機構Gに相当する。
さらに、軸部材52は傾き調整機構Hを介して開閉壁部50(側板)およびタンク本体部46のうち一方に取り付けられており、傾き調整機構Hは軸部材52の傾きを調整するといえる。支持板56、長穴56a、およびボルトBoが傾き調整機構Hに相当する。
以上説明した上下位置調整機構F、水平位置調整機構G、傾き調整機構Hにより、タンク本体部46と開閉壁部50との位置関係を調整することができ、穀粒タンク7の閉塞度や気密性を調整することが可能となる。本実施形態では、2つの回動支持部54が上下方向に離間した状態でタンク本体部46に取り付けられている。そして2つの回動支持部54で互いに独立して、軸部材52の上下方向の位置、水平方向の位置、傾きを調整することができる。
ボス部材57は、2まいの板部材57aと、支持部材57eとしての第1部材57fおよび第2部材57gを有して構成されている。第2部材57gは、折り曲げられた板状の部材である。第2部材57gの前側の端部が右方向へ折り曲げられ、上下方向に沿った姿勢の被支持面57hが形成されている。そして第2部材57gは開閉壁部50の支持補強部材50cへ取り付けられ、第2部材57gの被支持面57hと、支持補強部材50cの支持面50aとが、面接触にて接合されている。支持面50aは、タンク本体部46における上下方向に沿った姿勢の面である。第2部材57gの後側の端部は、左方向へ折り曲げられて、突出部位57jとなっている。
第1部材57fは、L字状に折り曲げられた板状の部材である。第1部材57fは、上面視がL字状となる姿勢にて、第2部材57gに取り付けられている。
板部材57aは、板状の部材であって、貫通穴57bと、切欠き部位57dとを有する。2枚の板部材57aは、上下方向に沿って並列され、かつ上下方向に直行する姿勢にて、第1部材57fに取り付けられている。詳しくは、板部材57aの外周における交差する2つの辺部57cが、支持部材57eに接合されている。そして第2部材57gの突出部位57jが、板部材57aの切欠き部位57dに挿入され、互いに接合されている。
以上の構成をとる回動支持構造Aにおいて、ボス部材57の貫通穴57bに、回動支持部54の軸部材52が挿入されて、開閉壁部50がタンク本体部46に回動可能に支持される。
本実施形態では、図5、図11に示すように、穀粒タンク7が開度保持棒140を有して構成されている。開度保持棒140は両端が曲げられた棒状の部材であって、一方の端部(支持端)が支持板141の穴141aに保持されている。穀粒タンク7がメンテナンス状態に保持される際、開度保持棒140の他方の端部(自由端)が、タンク本体部46の固定部材142の穴に差し込まれる。これにより開度保持棒140が、開閉壁部50を閉じようとする力に抗して、開閉壁部50を開いた状態に保持する。開閉壁部50を閉じる際には、開度保持棒140の自由端を固定部材142の穴から取り外し、開度保持棒140を下方向へ回動して、開度保持棒140をクリップ部材143に保持させる。
本実施形態では、図5に示すように、穀粒タンク7が開放防止ワイヤ150を有して構成されている。開放防止ワイヤ150は金属製の柔軟なワイヤであって、一方の端部がタンク本体部46のピン151に接続され、他方の端部が開閉壁部50のピン152に接続されている。開放防止ワイヤ150は、開閉壁部50が所定の角度(例えば、90度)以上に開くことを防止する。なお開放防止ワイヤ150は、図5に示す状態(開度保持棒140が開閉壁部50とタンク本体部46との間に渡された状態)や、開閉壁部50が閉じられた状態(穀粒タンク7のメンテナンス状態)においては、たるんだ状態となる。
次に、品質計測装置20を冷却するための構造について説明する。
品質計測装置20における穀粒に照射する計測用の光は大きな光量が必要である。このような大きな光量の光を投射する光源(例えば、ハロゲンランプ等)は発熱量も大きくなる。そこで、収納ケース23内の高温の空気を外部に排出するための構造として、連通部Dが備えられている。
本実施形態に係るコンバインの穀粒タンク7では、図3、図12に示すように、穀粒タンク7が貯留状態に切り換えられると、開閉壁部50(側板の例)とタンク本体部46との間に、貯留空間Qと区画された間隙空間50bが形成される。詳しくは、穀粒タンク7が貯留状態に切り換えられると、タンク本体部46の右側壁部45の上側縁部51a(枠状部分51)と、上部側補強部材67とに囲まれた空間が形成される。この空間が間隙空間50bに相当する。連通部Dは、間隙空間50bと、品質計測装置20の内部、すなわち収納ケース23の内部とを連通する。連通部Dは、通気口51bと、ダクト130と、フィルタ133とを有して構成されている。
通気口51bは、タンク本体部46の枠状部分51の上側縁部51aに形成された開口である。品質計測装置20の収納ケース23は、図3、図12に示すように、通気口51bを覆うように設けられている。そして穀粒タンク7が貯留状態に切り換えられると、通気口51bに対向する位置に間隙空間50bが形成される。従って、品質計測装置20の収納ケース23の内部の高温の空気は、通気口51bを通って間隙空間50bへ排出される。
ダクト130は、品質計測装置20の収納ケース23の内部の高温の空気を間隙空間50bへ導く構造体であって、枠状部分51に対して貯留空間Qの内側および外側に突出して設けられている。ダクト130の開口130aは、貯留空間Qの外側、すなわち間隙空間50bにおいて、下方向に向けられている。
ダクト130は、第1ダクト部材131と第2ダクト部材132とを有して構成されている。第1ダクト部材131は下側面が開放された箱状の部材であって、通気口51bを覆う状態で、枠状部分51に対して貯留空間Qとは反対側に配置され、枠状部分51に着脱可能に支持されている。詳しくは第1ダクト部材131は、ボルトBoにて、枠状部分51にねじ止めされている。
第2ダクト部材132は下側面が開放された箱状の部材であって、通気口51bを覆う状態で、枠状部分51に対して貯留空間Qの側に配置されている。収納ケース23は、第2ダクト部材132を覆う状態で設けられている。
フィルタ133は、通気性と集塵性とを有するスポンジ状の部材であって、通気口51bに挿入された状態で、第1ダクト部材131と第2ダクト部材132との間に配置されている。
図示はしていないが、品質計測装置20には通風用のファンが備えられ、ファンが作動することで、収納ケース23の下部から空気が流入する。そうすると、図12に示すように、収納ケース23の内部の高温の空気は、第2ダクト部材132の下側の開口130bからダクト130の内部に流入し、フィルタ133および通気口51bを通って、第1ダクト部材131の下側の開口130aから間隙空間50bへ流出し、間隙空間50bのY上部(開閉壁部50とタンク本体部46との間)から外部へ流出する。
第2ダクト部材132には、図3、図12、図13に示すように、円形の開口である点検口132aが形成されている。ここで、品質計測装置20の計測部22は、図3、図12に示すように、収納ケース23における開閉壁部50(側板)と対向する面に、取付具22aによって着脱可能に支持されている。そして点検口132aは、第2ダクト部材132の左側面の、左右方向視で取付具22aと重なる位置に形成されている。つまり点検口132aは、第2ダクト部材132のうち、取付具22aと対向する位置に形成されている。
以上の構成により、品質計測装置20の計測部22のメンテナンスを次の様にして行うことができる。開閉壁部50を開放して穀粒タンク7をメンテナンス状態とする。第1ダクト部材131を枠状部分51から取り外し、フィルタ133を通気口51bから取り外す。そうすると、図13に示すように、穀粒タンク7の右側から第2ダクト部材132の点検口132aを通して工具を差し込んで、取付具22aを取り外すことができる。
開閉壁部50の揺動端側が基端側に比べて少し下がり斜め姿勢になる姿勢変化に対して、穀粒タンク7を貯留状態に切り換えるときに、開閉壁部50の揺動端側を適正位置に持ち上げ案内するための別の案内機構として、次のような係止案内体110が備えられている。
図5,図9、図16に示すように、開閉壁部50に備えられた第3の縦向き支持板75における前後向きフレーム58に対応する位置に係止案内体110が備えられている。係止案内体110は、板状の部材であって、第3の縦向き支持板75からタンク内方側に片持ち状に延設され、前後向きフレーム58に乗り上げるように作用する傾斜案内部111を備えている。また係止案内体110の中央には、穀粒が通過することができる抜き部110aが形成されている。係止案内体110は、レーザーカットにより作成されている。
図16,17に示すように、開閉壁部50がメンテナンス状態から貯留状態に切り換わるように揺動すると、傾斜案内部111が前後向きフレーム58に乗り上げて開閉壁部50の揺動端部を適正位置に持ち上げ案内することができるとともに、貯留状態においてその位置を維持することができる。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)側板としての開閉壁部50を、機体前部側に位置する縦軸芯周りで揺動させる構成としてもよく、縦軸芯に代えて、前後向き軸芯周りで揺動させて開閉させるようにしてもよい。また、揺動するものに代えて、右側壁部45を取り外しあるいは取付けによって開閉させる構成としてもよい。
(2)図21に示すように、タンク本体部46の開口49の枠状部分51に、タンク内方側ほど開口内側に向けて傾斜する案内部120を備え、開閉壁部50に案内部120に接当する傾斜姿勢の接当部121を備える構成としてもよい。この構成では、閉じ操作に伴って案内部120と接当部121との間での接当により密閉性をより高めることができ、しかも、穀粒タンク全体の剛性を高める利点もある。
(3)穀粒タンク7を手動にて貯留状態とメンテナンス状態とに切り換えるものに代えて、例えば、ガススプリング等のダンパーを用いて開閉壁部50の開閉操作を補助する構成としてもよく、あるいは、油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを用いて自動的に開閉操作させる構成としてもよい。
(4)開閉壁部50が閉じられて穀粒タンク7が貯留状態に切り換わったことを検知するセンサ、あるいは、係止部材77による保持状態、ロッド88による係合状態等を検知するセンサ、及び、これらが検知していなければ報知処理する報知手段等を設ける構成としてもよい。報知手段としては、ランプを点灯して報知する構成、文字表示が可能な表示装置によりメッセージを表示して報知する構成、作業者の身体が触れる部材を振動させて報知する構成、音声やブザー音により報知する構成、あるいは、開閉壁部50に小窓を設け、色の変化で報知する構成等の種々の構成が考えられる。また、図24に示すように、上述した検知センサが検知していなければ、作業者に警告するとともに、エンジンEの始動を牽制するエンジン牽制処理を実行する制御装置(図示せず)を備える構成としてもよい。
(5)開閉壁部50が確実に閉じられていることを確認するための構造として、図22、図23に示すように、開閉壁部50における傾斜案内部材89に対向する位置に、窓部位160を形成してもよい。開閉壁部50が確実に閉じられて、ロッド88が適正位置に挿入されると、窓部位160から内部を見た際に、ロッド88は傾斜案内部材89の向こう側(貯留空間Qの側)に位置するため、図22に示すように、ロッド88は見えない状態となる。開閉壁部50の閉塞が不完全で、ロッド88が傾斜案内部材89の手前側(開閉壁部50の側)に位置すると、窓部位160から内部を見た際に、図23に示すように、ロッド88が見える状態となる。すなわち開閉壁部50の窓部位160により、開閉壁部50の閉塞を確認することができる。
(6)上述の実施形態では、回動支持構造Aの構成のうち、回動支持部54がタンク本体部46に取り付けられ、ボス部材57が開閉壁部50に取り付けられた。回動支持部54が開閉壁部50に取り付けられ、ボス部材57がタンク本体部46に取り付けられる構成も可能である。
(7)回動支持部54の水平位置調整機構Gとして、図25に示す形態も可能である。この形態の水平位置調整機構Gは、軸部材170と、軸保持部材171と、調整ねじ172とを有して構成される。軸部材170は円柱状の部材であって、中心軸が上下方向に沿う姿勢にて、軸保持部材171に取り付けられている。軸部材170は、上述の実施形態の軸部材52と同様に、ボス部材57の板部材57aの貫通穴57bに挿入される。
軸保持部材171は、直径が軸部材170よりも大きい円柱状の部材であって、上下方向に沿う軸のまわりに回転可能な状態で、回動支持部54の支持台55に配置されている。軸部材170は、軸保持部材171の回転中心からオフセットした位置に配置されている。軸保持部材171の外周面には、歯車状のギア部位171aが形成されている。調整ねじ172は、螺旋ねじ状に形成されたウォーム部位172aが軸保持部材171のギア部位171aと噛み合う状態にて、左右方向に沿う軸のまわりに回転可能な状態で、回動支持部54の支持台55に配置されている。調整ねじ172を回転させると、軸保持部材171が回転して、回転中心からオフセット配置された軸保持部材171の水平方向の位置が変化する。以上の構成により、水平位置調整機構Gは軸部材170の水平方向の位置を調整する。
(8)上述の実施形態では、品質計測装置として、計測用の光を穀粒に照射して、穀粒から得られる計測光を分光分析手法により分析して品質を計測する構成が採用された。品質計測装置としては、上述の光学式の他、様々な形式のものを用いることが可能である。