特許文献2記載の湯水混合装置では、ハンドルを手動で回転操作することにより混合水の温度設定を行う必要があるため、設定温度を変更するためにはハンドルが設置されている設備室まで作業員が行く必要があり、煩雑である。
したがって、特許文献1記載の掛け流し全自動装置のように制御部が高温水及び低温水の供給/停止を制御する構成としつつ、さらに混合水の温度に基づいて高温水及び低温水の流量をフィードバック制御する構成とすることが好ましい。
ところで、浴槽容量が湯水混合装置の混合水供給能力に対して大きい場合には、湯水混合装置を複数台設置することが要求されることがある。しかしながら、複数台の各湯水混合装置が上記の如き出湯制御を行うためには、各湯水混合装置毎にリモコンや水位センサを設ける必要があり、設備コストが大きくなるという問題がある。
そこで、本発明は、所定の出湯動作制御により高温水と低温水とを混合してなる混合水を出湯する湯水混合装置を複数台設置する場合のコスト低下を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、別体の熱源機から供給される高温水と所定の水源から供給される低温水とを混合してなる混合水を出湯するための一又は複数の制御弁と、所定の制御パラメータに基づいて出湯動作を行うか否かを判定するとともに出湯動作を行うと判定したときは出湯動作を行うべく前記制御弁の動作制御を行う制御部とを備える湯水混合装置において、前記制御部は、他の湯水混合装置の制御部との間で前記制御パラメータに基づく情報を通信可能に構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
かかる本発明の湯水混合装置によれば、出湯動作制御を行う制御部が、他の湯水混合装置の制御部と通信可能であるため、一の湯水混合装置の制御部の出湯動作制御に他の湯水混合装置の制御部を従属させて同じ動作制御をさせるための指令情報や、一の湯水混合装置の制御部が他の湯水混合装置における出湯動作判定をして他の湯水混合装置の制御部に出湯動作制御をさせるための指令情報や、また、他の湯水混合装置が独自に出湯動作を行うか否かを判定するために必要な制御パラメータや各種設定情報など、出湯動作判定のための制御パラメータに基づく情報(制御パラメータそのものも含む。)を一の湯水混合装置の制御部から他の湯水混合装置の制御部に通信により送受信可能であり、これにより制御パラメータを取得するための各種センサや各種設定情報を設定するためのリモコンなどを一の湯水混合装置と他の湯水混合装置とで共用することが可能となり、システム全体としてコスト低減を図ることができる。
なお、制御部同士の通信を実現するための構成は適宜のものであってよいが、入出力ポートを有するマイクロプロセッサにより制御部が主構成される場合には、一の制御部のマイクロプロセッサの出力ポートと他の制御部のマイクロプロセッサの入力ポートとを一の制御部から他の制御部へ信号送信可能に接続した構成、より具体的には例えば簡易的なスイッチング回路や通信線などを用いて接続した構成とすることで、実装コストを抑えることができる。より好ましくは、双方向に通信可能とするために、他の制御部のマイクロプロセッサの出力ポートと一の制御部のマイクロプロセッサの入力ポートとを同様に接続することもできる。
上記本発明の湯水混合装置において、前記制御部は、マスター動作モードとスレーブ動作モードとに選択的に動作モードを切り替え可能であってよい(請求項2,3)。例えば、制御部にリモコンや水位センサなどが接続されていればマスター動作モードに自動的に切り替えられ、接続されていなければスレーブ動作モードに自動的に切り替えられるよう構成することもできるし、また、ディップスイッチやメモリ内の動作モード設定フラグなどをマニュアル操作で切り替えることによって動作モードを手動選択するよう構成されていてもよい。
マスター動作モード時の制御構成は適宜のものであってよいが、例えば、マスター動作モード時には、前記制御パラメータに基づいて自己の湯水混合装置において出湯動作を行うか否かを判定するとともに、自己の出湯動作に同期させて他の湯水混合装置に出湯動作を行わせるよう他の湯水混合装置の制御部に対して出湯動作指令(制御パラメータに基づく情報)を通信により送信するよう構成されていてよい(請求項2,5)。
また、マスター動作モード時には、前記制御パラメータに基づいて自己の湯水混合装置において出湯動作を行うか否かを判定するとともに他の湯水混合装置において出湯動作を行うか否かも判定して、他の湯水混合装置において出湯動作を行うと判定したときは他の湯水混合装置に出湯動作を行わせるよう他の湯水混合装置の制御部に対して出湯動作指令(制御パラメータに基づく情報)を通信により送信するよう構成されていてもよい(請求項1)。
一方、スレーブ動作モード時には、前記制御パラメータに基づく前記判定を行わずに他の湯水混合装置の制御部との通信により受信する前記出湯動作指令に従って前記制御弁の動作制御を行うよう構成できる(請求項1,5)。
このように、マスター動作モードとスレーブ動作モードとに動作モードを切替可能に構成することで、マスター側として機能する湯水混合装置とスレーブ側として機能する湯水混合装置とを、共通の装置構成の湯水混合装置を用いてシステム構成することができ、製品構成の共通化により量産によるコスト削減効果をより大きくすることができるとともに、在庫管理や修理対応の簡素化等を図ることができる。
さらに、マスター動作モード時に他の湯水混合装置における出湯動作判定をも行う構成とする場合、前記制御部は、マスター動作モード時に、自己の湯水混合装置と他の湯水混合装置のうちいずれか一方を選択的に出湯動作させるよう構成することができる(請求項4)。かかる構成は、例えば、浴槽への足し湯動作(補給水動作)時など、大きな流量が要求されないときの出湯動作制御時に特に有用であり、自己の湯水混合装置と他の湯水混合装置の一方を選択的に出湯動作させることで、これら複数の湯水混合装置が交互に利用されることとなって、これによりシステム全体の耐用年数を大きく向上できる。
また、前記制御部は、運転開始操作や設定温度の変更操作などの所定の操作を行うためのリモコンと通信接続可能に構成され、前記リモコンが接続されているときマスター動作モードで動作し、前記リモコンが接続されていなければスレーブ動作モードで動作するよう構成されていてよい(請求項6)。これによれば、2つの湯水混合装置の制御部同士を通信接続するとともに、マスターとして動作させたい湯水混合装置の制御部のみにリモコンを通信接続することにより、リモコンを接続した制御部がマスター動作モードで動作するよう動作モードが自動選択されるとともに、リモコンを接続しなかった制御部がスレーブ動作モードで動作するよう動作モードが自動選択されるので、別途の動作モードの切り替え操作が必要でなく、動作モードを誤って設定しまうことによる不具合の発生を防止できる。
さらに、前記制御部は、前記制御パラメータに基づいて所定の外部機器の動作制御を行う第3の制御部と通信接続可能に構成され、第3の制御部に対して前記制御パラメータを通信により送信するよう構成されていてよい(請求項3,5)。具体的には、例えば、外部機器としては浴槽内の湯水を循環させてろ過するろ過機などであってよく、また、第3の制御部は、ろ過機に内蔵されてろ過動作を制御する制御部であってよい。また、制御パラメータとしては、例えば、浴槽に取り付けた水位センサの検出値などとすることができ、ろ過機の制御部は、水位センサの検出値に基づいてろ過動作を行うか否かを判定するよう構成できる。これによれば、浴槽への湯はり動作や足し湯動作などの出湯動作制御を行うために湯水混合装置の制御部に接続した水位センサなどの制御パラメータ取得手段から湯水混合装置の制御部が取得した制御パラメータを第3の制御部に送信することで、第3の制御部が外部機器の動作制御を行うための制御パラメータ取得手段を別途設ける必要がなく、システム構成の簡素化やコスト低減を図ることができる。
また、上記本発明の湯水混合装置は、前記制御弁として流量制御弁を備え、該流量制御弁の開度調整によって高温水と低温水との混合比率を調整して混合水の温度調整が可能に構成されていてよい。さらに、前記制御部は、マスター動作モード時には、所定の設定温度情報に基づいて前記流量制御弁の開度制御を行うよう構成されているとともに、他の湯水混合装置の制御部に対して前記設定温度情報を通信により送信するよう構成され、スレーブ動作モード時には、他の湯水混合装置の制御部から受信した前記設定温度情報に基づいて前記流量制御弁の開度制御を行うよう構成されていてよい(請求項7)。これによれば、例えば、マスター動作モードで動作する湯水混合装置の制御部に通信接続されたリモコンの操作によって設定された設定温度情報に基づいて、出湯湯温が設定温度となるように流量制御弁を開度制御することで、マスター動作モードで動作する湯水混合装置は設定温度に調温された混合水を出湯できる。さらに、スレーブ動作モードで動作する湯水混合装置も、マスター動作モードで動作する湯水混合装置の制御部との通信により受信する設定温度情報に基づいて、出湯湯温が設定温度なるように流量制御弁を開度制御することで、スレーブ動作モードで動作する湯水混合装置も設定温度に調温された混合水を出湯できる。このように、2つの湯水混合装置の出湯湯温の設定を、マスター側で一括して行えるようになり、温度設定操作の作業量を低減できる。
本発明によれば、所定の出湯動作制御により高温水と低温水とを混合してなる混合水を出湯する湯水混合装置を複数台設置する場合のコスト低下を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る湯水混合装置1を2台設置した場合の補給水システム構成を簡略的に示しており、該補給水システムは、図示しない別体に設置された熱源機としての給湯システム(好ましくは、複数台の給湯器を連結してなる連結給湯システム)から供給される高温水と、上水道などの水源から供給される低温水(常温の非加熱水等)とを、各湯水混合装置1において混合することで調温して、その混合水を浴槽3などの水槽に出湯するよう構成されている。
各湯水混合装置1は高温水と低温水とを混合してなる混合水を出湯するための混合出湯回路を備えており、この混合出湯回路は、図2に示すように、出湯管路11と、給湯システムから例えば80℃の高温水が供給される入湯管路12と、水源から例えば20℃の低温水が供給される入水管路13と、入湯管路12と出湯管路11との間に並列に設けられた3つの高温水供給管路14と、入水管路13と出湯管路11との間に並列に設けられた3つの低温水供給管路15とを備えている。出湯管路11、入湯管路12及び入水管路13は、それらの管軸方向がほぼ平行に配置されており、入湯管路12と入水管路13の中間位置に出湯管路11が配設されている。
出湯管路11には、管軸方向に離間して3つの混合部11aが設けられており、各混合部11aに対して一の高温水供給管路14と一の低温水供給管路15とがそれぞれ接続されている。各混合部11aに接続された一対の高温水供給管路14と低温水供給管路15とは、出湯管路11の直径方向に対向して設けられており、各供給管路14,15から供給される高温水と低温水とが混合部11a内で衝当して撹拌混合されるようになっている。
各高温水供給管路14は、入湯管路12内の高温水が給湯システムからの給湯圧により出湯管路11へ供給されるよう入湯管路12と出湯管路11とを接続するものであり、複数の高温水供給管路14は、出湯管路11に対して管軸方向に並んで並列に設けられている。なお、給湯システムは、水源の給水圧を利用して高温水の供給を行うものであってよい。
各低温水供給管路15は、入水管路13内の低温水が水源の給水圧により出湯管路11へ供給されるよう入水管路13と出湯管路11とを接続するものであり、複数の低温水供給管路15は、出湯管路11に対して管軸方向に並んで並列に設けられている。なお、高温水の給湯圧が水源の給水圧に依存する場合、給湯システムにおける圧力損失に合わせて低温水の給水圧を調整するために、水源から所定のガバナ(整圧器)を介して入水管路13に低温水を供給するよう構成することが好ましい。
なお、出湯管路11の管径(口径)は、入湯管路12及び入水管路13のそれぞれの管径よりも大きく、例えば流路断面積で2倍程度となされている。入湯管路12の管径と入水管路13の管径は等しくなされている。また、各高温水供給管路14及び各低温水供給管路15の管径は、入湯管路12及び入水管路13の管径よりも小さく、これら供給管路14,15は比較的小径の配管によって構成されている。例えば、供給管路14,15の管径は、一般的な家庭用の瞬間給湯器に用いられている配管と同じ管径であってよい。
各高温水供給管路14及び各低温水供給管路15には、それらの管径に対応した流量制御弁16(第1の制御弁)及び電磁開閉弁17(第2の制御弁)がそれぞれ直列に設けられている。図示実施例においては、電磁開閉弁17は上流側(入湯管路12又は入水管路13側)、流量制御弁16は下流側(出湯管路11側)に配設されている。これら流量制御弁16及び電磁開閉弁17は、制御基板18(制御部)によって動作制御されるよう配線接続されている。
流量制御弁16は、制御基板18により駆動制御されるステッピングモータMにより弁軸(図示せず)を駆動することによって開度を全閉から全開まで調整可能に構成され、弁軸が全閉位置になると所定の全閉状態信号を制御基板18に出力するとともに、弁軸が全開位置になると所定の全開状態信号を制御基板18に出力するよう構成されている。なお、出湯動作開始時などの所定のタイミングで、各ステッピングモータMの制御ステップ値を、上記全開状態信号若しくは全閉状態信号に基づいて更正することができる。
また、出湯管路11には、3つの混合部11aよりも下流側(出湯口側)に出湯サーミスタ19(温度センサ)が設けられており、出湯管路11を流れる混合水の温度を検出して、その検出値を制御基板18に出力するようになっている。なお、図示例では、2つの出湯サーミスタ19を出湯管路11の直径方向2カ所に取り付けている。この2つの出湯サーミスタ19の2つの検出値は種々の用途に利用でき、例えば、2つの出湯サーミスタ19の検出値の平均値を混合水の温度としたり、一方の出湯サーミスタ19をメインの給湯温度センサとして用いて他方の出湯サーミスタ19をメイン故障時の高温検出用に用いるなど、求められる機能や安全性等に応じて適宜設計できる。
なお、図中符号12aは高温水の温度を検出する入湯サーミスタ(温度センサ)、符号13aは低温水の温度を検出する入水サーミスタ(温度センサ)であり、入湯サーミスタ12a及び入水サーミスタ13aの検出値は制御基板18に出力される。
また、制御基板18には、所定の通信プロトコルにより通信を行うための通信回路20が接続されており、該通信回路20を介して通信プロトコルに対応する他の機器と通信可能となされている。該通信回路20は、例えば2芯により電源を供給するとともに電源電圧に通信データを重畳させてシリアル通信を行う2芯通信回路により構成できる。
さらに、制御基板18は、他の湯水混合装置1の制御基板18と通信を行うための出力ポートOut並びに入力ポートInを備えている。制御基板18がマイクロプロセッサにより主構成される場合は、マイクロプロセッサの入出力ポートにより上記出力ポートOut及び入力ポートInを構成することもできるし、簡易的なスイッチング回路を介してマイクロプロセッサの入出力信号が出力ポートOut及び入力ポートInから入出力されるよう構成することもできる。
図1に示すように、一の湯水混合装置1の制御基板18の出力ポートOutは、他の湯水混合装置1の制御基板18の入力ポートInに配線接続されているとともに、一の湯水混合装置1の制御基板18の入力ポートInは、他の湯水混合装置1の制御基板18の出力ポートOutに配線接続されており、これにより制御基板18同士が相互に通信可能に接続されている。この制御基板18同士の通信は、例えば簡易的なシリアル通信により行うことができる。
また、浴槽3には水位センサ31が取り付けられており、浴槽3内の湯の水位検出値を制御基板18に出力可能に構成されている。水位センサ31としては圧力式若しくは電極式など、適宜の検出方式のものを採用できる。水位センサ31は、制御基板18のアナログ信号入力ポートに直接接続することもできるが、図示実施例では、マイコン内蔵の水位検出ユニット33を浴槽3に付設し、水位センサ31は水位検出ユニット33に接続されている。また、水位検出ユニット33は、一の湯水混合装置1の制御基板18に2芯通信回路20を介して通信可能に接続されており、これら水位検出ユニット33及び2芯通信回路20を介して水位検出値が制御基板18に取得されるように構成されている。このように構成することで、浴槽3の設置位置が一の湯水混合装置1から離れている場合でも、接続配線におけるノイズ混入により水位を誤検出する可能性を低減できる。
また、浴槽3内の湯を循環させてろ過するためのろ過機32(外部機器)が設置されている。ろ過機32には、ろ過機32の動作を制御するための第3の制御部(図示せず)が内蔵されており、該第3の制御部は、浴槽3内の検出水位が所定のろ過機起動水位L3を超えるとろ過機32が起動され、ろ過機起動水位L3よりも低い所定のろ過機停止水位L4を下回るとろ過機32を停止させるよう構成できる。このろ過機32も一の湯水混合装置1の制御基板18に2芯通信回路20を介して通信可能に接続されており、水位センサ31の水位検出値などの所定の情報を通信により送受信可能となされている。なお、ろ過機32は、追い焚き機能並びに塩素濃度管理機能をも具備するものを採用できる。
また、ろ過機32にはろ過機リモコン34が接続され、該ろ過機リモコン34によってろ過機32の運転開始/停止を操作可能である。また、ろ過機リモコン34の運転開始/停止操作により複数の湯水混合装置1も連動して運転開始/停止がなされるように、ろ過機リモコン34の操作指令は、2芯通信回路20を介して一の湯水混合装置1の制御部18に送信され、さらに一の湯水混合装置1の制御部18から他の湯水混合装置1の制御部18に上記入出力ポートOut,Inを介して運転開始/停止信号が送受信されるように構成できる。
また、一の湯水混合装置1の制御基板18には、2芯通信回路18を介して補給水リモコン21が通信可能に接続されており、該リモコン21によって、補給水運転開始/停止操作や、浴槽3への出湯温度の設定や、浴槽3への湯はり動作制御や足し湯動作制御の開始などの各種操作を行えるようになっている。
制御基板18は、リモコン21が接続されるとマスター動作モードに動作モードが切り替わり、リモコン21が接続されていないとスレーブ動作モードに動作モードが切り替わるよう構成されており、したがって、図1において左側の湯水混合装置1の制御基板18はマスター動作モードで動作し、右側の湯水混合装置1の制御基板18はスレーブ動作モードで動作する。
リモコン21により出湯温度の設定操作が行われると、設定温度情報がマスター動作モードで動作する制御基板18に送信され、該制御基板18は不揮発性メモリなどの記憶手段に設定温度を記憶保持するとともに、他の湯水混合装置1の制御基板18に上記設定温度情報を入出力ポートOut,Inを介して送信する。他の湯水混合装置1の制御基板18も、受信した設定温度情報を不揮発性メモリなどの記憶手段に記憶保持する。
また、リモコン21により浴槽3への湯はり動作開始操作が行われると、湯はり動作指令信号がマスター動作モードで動作する制御基板18に送信される。マスター動作モードの制御基板18は、湯はり動作指令信号を受信すると、湯はり動作制御(第1の動作制御)により浴槽3への出湯を開始する。浴槽3内の検出水位(第1の制御パラメータ)が設定水位L1(第2の制御パラメータ)となったことを制御基板18が検出すると、足し湯動作制御(第2の動作制御)に自動的に移行して、浴槽3内の水位が設定水位L1を維持するよう浴槽3への出湯を断続的乃至継続的に行うようになっている。例えば、設定水位L1(補水停止水位)を超えると出湯動作を停止し、設定水位L1よりも低い所定の補水開始水位L2を下回ると出湯動作を開始するよう制御構成できる。
さらに、マスター動作モードの制御基板18は、上記のような浴槽3内の検出水位に基づく出湯動作を行う場合に、自己の出湯動作に同期させて他の湯水混合装置1の制御基板18に出湯動作を行わせるよう、他の湯水混合装置のスレーブ動作モードの制御基板18に対して出湯動作指令を入出力ポートOut,Inを介して送信し、また、出湯動作を停止する場合にも同様に他のスレーブ動作モードの制御基板18に対して出湯停止指令を入出力ポートOut,Inを介して送信するよう構成されている。
以下、制御基板18による湯はり動作制御並びに足し湯動作制御の制御構成について説明する。
〔湯はり動作制御〕
湯はり動作制御時には、マスター動作モードの制御基板18は、一の湯水混合装置1のすべての高温水供給管路14及びすべての低温水供給管路15に設けられたすべての電磁開閉弁17を開制御するとともに、出湯サーミスタ19の検出値が設定温度となるようすべての流量制御弁16の開度をフィードバック制御するよう制御構成されている。
さらに、マスター動作モードの制御基板18は、湯はり動作制御開始時に、スレーブ動作モードの制御基板18に対し、同様の湯はり動作を行う旨の出湯動作指令を送信するよう構成されている。スレーブ動作モードの制御基板18は、かかる出湯動作指令に従って、他の湯水混合装置1のすべての高温水供給管路14及びすべての低温水供給管路15に設けられたすべての電磁開閉弁17を開制御するとともに、出湯サーミスタ19の検出値が設定温度となるようすべての流量制御弁16の開度をフィードバック制御する。
なお、出湯動作開始初期の給湯温度の収束時間を短縮するために、入湯サーミスタ12a及び入水サーミスタ13aの検出値に基づいて各流量制御弁16の開度の初期値を演算により求め、その後、出湯サーミスタ19の検出値に基づくフィードバック制御を行うように制御構成することができる。
各制御基板18における複数の流量制御弁16の開度制御方法は適宜のものとすることができるが、本実施形態では、出湯管路11への高温水の供給に利用するすべての高温水供給管路14に設けられた複数の高温側流量制御弁16が同じ開度となるように同期制御するとともに、出湯管路11への低温水の供給に利用するすべての低温水供給管路15に設けられた複数の低温側流量制御弁16が同じ開度となるように同期制御する。より具体的には、複数の高温側流量制御弁16のステッピングモータMに同じ高温側制御ステップ値に基づく制御信号を出力するとともに、複数の低温側流量制御弁16のステッピングモータMに同じ低温側制御ステップ値に基づく制御信号を出力するよう構成している。かかる流量制御弁16の開度制御は、マスター動作モードの制御基板18、並びに、スレーブ動作モードの制御基板18においてそれぞれ独立して行わせることができる。
〔足し湯動作制御〕
足し湯動作制御時には、スレーブ動作モードの制御基板18における出湯動作をマスター動作モードの制御基板18における出湯動作に同期させることも可能であるし(同期制御)、マスター動作モードの制御基板18が2つの湯水混合装置1のすべての電磁開閉弁17の開閉動作を制御してスレーブ動作モードの制御基板18に出湯動作指令を送信するよう構成することも可能である(集中制御)。
(同期制御の場合)
同期制御の場合、マスター動作モードの制御基板18は、一の湯水混合装置1のいずれか一の(若しくは一部の複数の)混合部11aに接続された対の高温水供給管路14及び低温水供給管路15のみを選択して利用し、その他の混合部11aに接続された対の高温水供給管路14及び低温水供給管路15は利用しないものと決定する。どの供給管路14,15の対を利用するかは適宜設計でき、1日毎や1週間毎などの所定周期毎や、足し湯動作制御の起動毎などの所定のタイミングで、一の湯水混合装置1の3対の供給管路14,15のうちいずれを利用するかをローテーションさせることができる。
そして、利用する供給管路14,15については、浴槽への補水動作中、それら供給管路14,15の電磁開閉弁17を開制御するとともに、それら供給管路14,15の流量制御弁16を湯はり動作制御時の開度制御と同様の制御方法によって開度制御する。一方、利用しない供給管路14,15については、それら供給管路14,15の電磁開閉弁17を閉制御するとともに、それら供給管路14,15の流量制御弁16を全閉動作制御することによって、利用しない供給管路14,15からの湯水の流出を確実に阻止し、一対の高温水供給管路14及び低温水供給管路5のみから高温水及び低温水を供給することで、湯はり動作制御時よりも少ない給湯流量で足し湯動作制御時の補水動作を行わせることができるようになっている。
また、マスター動作モードの制御部18は、出湯に利用する供給管路14,15と同じ位置の他の湯水混合装置1の一対の供給管路14,15からも出湯させるよう、スレーブ動作モードの制御部18に対して、利用する供給管路14,15を指定するための指令情報とともに出湯動作指令を送信する。該出湯動作指令を受信したスレーブ動作モードの制御部18は、指定された対の供給管路14,15を利用して同様の補水動作を行うよう構成されている。なお、スレーブ動作モードの制御部18における補水動作終了判定は、スレーブ動作モードの制御部18がマスター動作モードの制御部18から供給される浴槽内水位検出情報に基づいて独自に行ってもよく、また、マスター動作モードの制御部18から出湯動作停止指令を受けるよう構成することもできる。
(集中制御の場合)
集中制御の場合、マスター動作モードの制御基板18は、水位センサ31の水位検出情報並びに設定水位情報L1,L2(制御パラメータ)に基づいて自己の湯水混合装置1において出湯動作を行うか否かを判定するとともに他の湯水混合装置1において出湯動作を行うか否かも判定して、他の湯水混合装置1において出湯動作を行うと判定したときは他の湯水混合装置1に出湯動作を行わせるよう他の湯水混合装置1の制御基板18に対して出湯動作指令を通信により送信するよう構成されている。
すなわち、マスター動作モードの制御基板18は、2つの湯水混合装置1に含まれる6対の供給管路14,15のうちいずれか一つを選択して出湯に利用し、その他の供給管路14,15は利用しないものと決定する。どの供給管路14,15の対を利用するかは適宜設計でき、1日毎や1週間毎などの所定周期毎や、足し湯動作制御の起動毎などの所定のタイミングで、2つの湯水混合装置1の6対の供給管路14,15のうちいずれを利用するかをローテーションさせることができる。
そして、利用するものと決定した供給管路14,15が他の湯水混合装置1に含まれるものである場合は、他の湯水混合装置1の制御基板18に対して、利用するものと決定した供給管路14,15を利用して出湯動作を行う旨の出湯動作指令を送信する。各制御基板18は、それぞれ自己の湯水混合装置1に含まれる供給管路14,15を利用して出湯動作を行う場合、その供給管路14,15の電磁開閉弁17を開制御するとともに、それら供給管路14,15の流量制御弁16を湯はり動作制御時の開度制御と同様の制御方法によって開度制御する。一方、利用しない供給管路14,15については、それら供給管路14,15の電磁開閉弁17を閉制御するとともに、それら供給管路14,15の流量制御弁16を全閉動作制御する。
〔異常判定制御〕
また、各制御基板18は、各流量制御弁16及び電磁開閉弁17の異常判定を所定のタイミングで行うことにより、異常の発生した供給管路14,15は、修理後にリセット操作が行われるまで湯はり動作制御時も足し湯動作制御時も利用しないよう制御構成されている。さらに、スレーブ動作モードの制御基板18が自己の湯水混合装置1に含まれる供給管路14,15の異常を検出した場合には、かかる異常情報をマスター動作モードの制御基板18に送信して、マスター動作モードの制御基板18による上記出湯動作制御において異常の発生した他の湯水混合装置1の供給管路14,15を利用しないよう判定させることができる。なお、高温水供給管路14側で異常が発生した場合、それと対となる低温水供給管路15も利用しないよう制御構成したり、低温水供給管路15側で異常が発生した場合にそれと対となる高温水供給管路14も利用しないよう制御構成することができ、これによれば、高温水の最大流量と低温水の最大流量とのバランスを維持して、混合水の温度調整制御の安定性を向上できる。
異常判定方法は適宜のものであってよいが、例えば、足し湯動作制御開始時に、利用する一対の供給管路14,15に設けられた流量制御弁16及び電磁開閉弁17についての異常判定処理を行うことができる。
各流量制御弁16の異常判定方法としては、例えば、直列に設けられた電磁開閉弁17を閉じた状態で全開動作制御したときに全開状態信号が出力されるとともに全閉動作制御したときに全閉状態信号が出力されれば正常と判定し、いずれかの信号が出力されなかった場合に異常が発生したと判定できる。
また、電磁開閉弁17の異常判定方法としては、例えば、対の高温側及び低温側の流量制御弁16を所定開度(例えば全開)とした状態で、対の電磁開閉弁17を同時に開閉制御し、両電磁開閉弁17を開制御したときの出湯サーミスタ19の検出温度が所定温度範囲内(例えば、高温水の温度と低温水の温度の平均値を中心として±10℃の範囲内など)であれば正常と判定し、その検出温度がほぼ高温水の温度であれば低温側の電磁開閉弁17の閉固着故障と判定し、その検出温度がほぼ低温水の温度であれば高温側の電磁開閉弁17の閉固着故障と判定し、その検出温度が所定の高温以上(例えば100℃以上)であれば、通水が無いことにより出湯サーミスタ19が自己発熱して高温となっているものと推定して、両電磁開閉弁17の異常(あるいは断水)であると判定できる。また、両電磁開閉弁17を閉制御したときの出湯サーミスタ19の検出温度が所定の高温以上であれば正常であると判定し、その検出温度がほぼ高温水の温度であれば高温側の電磁開閉弁17の開固着故障と判定し、その検出温度がほぼ低温水の温度であれば低温側の電磁開閉弁17の開固着故障であると判定できる。
上記した本実施形態に係る湯水混合装置によれば、補給水リモコン21から供給される各種情報や、水位センサ31の水位検出情報を、マスター動作モードの制御基板18からスレーブ動作モードの制御基板18に送信するよう構成したので、各湯水混合装置1毎にリモコンや水位センサを設ける必要がなく、一の補給水リモコン21と一の水位センサ31を複数の湯水混合装置1で共用して、浴槽3への湯はり動作や足し湯動作を的確に行わせることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では、他の湯水混合装置1の制御基板18をスレーブ動作モードで動作させたが、出湯するか否かの判定に必要な浴槽3内の検出水位情報や設定水位情報などを一の湯水混合装置1の制御部18から他の湯水混合装置1の制御部18に通信により送信しておき、他の湯水混合装置1の制御基板18も独自に出湯するか否かを判定して出湯動作するよう構成することもできる。
また、上記実施形態では、制御基板18をマスター動作モードとスレーブ動作モードとに選択的に切り替え可能に構成したが、一の湯水混合装置1の制御基板18はマスター動作モード専用に構成し、他の湯水混合装置1の制御基板18はスレーブ動作モード専用に構成することもできる。
また、制御弁として流量制御弁16及び電磁開閉弁17を設けたが、各供給管路14,15の電磁開閉弁17を設けずに、流量制御弁16の閉止機能のみで各供給管路14,15を開閉するよう構成することもできる。また、電磁開閉弁17を設けるのであれば、流量制御弁16は閉止機能を持たないものを用いてもよい。また、スレーブ動作モードで動作させる湯水混合装置1を複数台備えていても良い。