本開示の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。なお、後述する各画像200A〜200Gは、同一のサイズである。
(1)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図3参照)34を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド60,62と作業ヘッド移動装置64とを有している。各作業ヘッド60,62の下端面には、図2に示すように、ノズル保持部65を介して複数の吸着ノズル66が設けられており、それぞれの吸着ノズル66が部品を1個ずつ吸着保持する。なお、本実施形態では、生産タクト向上のため、4個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されているが、これに限るものではなく、例えば、24個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されても良いし、1個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されても良い。また、作業ヘッド移動装置64は、X方向移動装置68とY方向移動装置70とZ方向移動装置72とを有している。そして、X方向移動装置68とY方向移動装置70とによって、2台の作業ヘッド60,62は、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動させられる。また、各作業ヘッド60,62は、スライダ74,76に着脱可能に装着されており、Z方向移動装置72は、スライダ74,76を個別に上下方向に移動させる。つまり、作業ヘッド60,62は、Z方向移動装置72によって、個別に上下方向に移動させられる。なお、各作業ヘッド60,62は、ノズル保持部65を回動させるQ方向移動装置(図3参照)77を内蔵している。
マークカメラ26は、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド60とともに、X方向、Y方向およびZ方向に移動させられる。これにより、マークカメラ26は、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、パーツカメラ28は、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66に保持された部品を撮像する。
部品供給装置30は、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置78とフィーダ型部品供給装置(図3参照)80とを有している。トレイ型部品供給装置78は、トレイ上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置80は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。なお、部品供給装置30および、ばら部品供給装置32によって供給される部品として、電子回路部品、太陽電池の構成部品、パワーモジュールの構成部品等が挙げられる。また、電子回路部品には、リードを有する部品、リードを有さない部品等が有る。
図3に示すように、制御装置34は、コントローラ82、複数の駆動回路86、複数の撮像制御回路88を備えている。複数の駆動回路86は、上記搬送装置50、クランプ装置52、作業ヘッド60,62、作業ヘッド移動装置64、Q方向移動装置77、トレイ型部品供給装置78、フィーダ型部品供給装置80、ばら部品供給装置32に接続されている。コントローラ82は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、HDD(Hard Disc Drive)94、RAM(Random Access Memory)96等を備え、コンピュータを主体とするものであり、画像処理部98を含む。CPU90は、部品実装機10の全体制御を司る中央演算処理装置である。ROM92は、後述する図7、図9、図11、図17、図21、及び図22のフローチャートを実現するための処理プログラム等が記憶された読み出し専用のメモリである。HDD94は、各種データ及び生産プログラム等が記憶される読み書き共用のメモリである。RAM96は、作業領域として使用される読み書き共用のメモリである。画像処理部98は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ82は、画像データから各種情報を取得する。また、コントローラ82は、複数の駆動回路86に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ82によって制御される。さらに、コントローラ82は、複数の撮像制御回路88にも接続されている。複数の撮像制御回路88は、マークカメラ26、パーツカメラ28に接続されている。マークカメラ26とパーツカメラ28は、それぞれの撮像制御回路88によって制御される。
(2)部品実装機の作動
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業(以下、「対基板作業」と記載する場合がある。)が行われる。具体的には、回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。これにより、回路基材12の保持位置等に関する情報が得られる。また、部品供給装置30若しくは、ばら部品供給装置32は、所定の供給位置において、部品を供給する。そして、作業ヘッド60,62の何れかが、部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル66によって部品を保持する。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、吸着ノズル66に保持された部品が撮像される。これにより、部品の保持位置等に関する情報が得られる。続いて、部品を保持した作業ヘッド60,62が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12の保持位置の誤差、部品の保持位置の誤差等を補正する。そして、吸着ノズル66が部品を離脱することで、回路基材12に部品が装着される。
(3)パーツカメラによる部品の保持位置等の認識
上述したように、部品実装機10では、吸着ノズル66により保持された部品が回路基材12に装着されるため、吸着ノズル66による部品の保持位置等に関する情報がパーツカメラ28により取得される。
詳しく説明すると、パーツカメラ28は、その上方が撮像範囲であり、吸着ノズル66に保持された部品100を下方から撮像して画像を生成する。なお、本実施形態では、上述したように、4個の吸着ノズル66がノズル保持部65に保持されている。そこで、4個の吸着ノズル66のうち1個を特定する場合には、図4に示すように、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dと記載する。また、図4に示す第3吸着ノズル66Cには、図4の紙面裏側において第1吸着ノズル66Aが位置することによって、第1吸着ノズル66Aが隠れている。この点は、部品100においても同様である。
パーツカメラ28は、交換可能なカメラユニットであり、撮像対象の部品100に対して光を照射する照明部141と、受光した光に基づいて部品100を撮像する撮像部151と、パーツカメラ28全体を制御する撮像制御回路88と、を備えている。照明部141は、ハウジング142と、連結部143と、落射用光源144と、ハーフミラー146と、側射用光源147と、を備えている。ハウジング142は、上面及び下面(底面)が八角形状に開口した椀状の部材である。ハウジング142は、下面の開口よりも上面の開口の方が大きく、下面から上面に向かって内部空間が大きくなる傾向の形状をしている。連結部143は、ハウジング142と撮像部151とを連結する筒状の部材である。落射用光源144から照射される光や撮像部151に受光される光は、この連結部143の内部空間を通過する。
落射用光源144は、吸着ノズル66に保持された部品100に対して撮像部151の光軸151aに沿う方向に光を照射するための光源である。落射用光源144は、ハーフミラー146に向けて光軸151aに垂直な方向に光を照射するLED145を複数有している。この複数のLED145は、連結部143の内周面に取り付けられている。本実施形態では、光軸151aは上下方向に沿っており、LED145からの光は水平方向(例えば左右方向)に照射される。ハーフミラー146は、連結部143の内部に、光軸151aから傾斜して(例えば傾斜角45°)配置されている。ハーフミラー146は、落射用光源144からの水平方向の光を上方に反射する。そのため、落射用光源144のLED145からの光は、ハーフミラー146での反射後に、撮像部151の光軸151aに沿う方向(ここでは上方向)に照射される。また、ハーフミラー146は上方からの光については撮像部151に向けて透過する。
側射用光源147は、吸着ノズル66に保持された部品100に対して光軸151aから傾斜した方向に光を照射するための光源である。側射用光源147は、複数のLED148aを有する上段光源147aと、上段光源147aよりも下方に配置され複数のLED148bを有する中段光源147bと、中段光源147bよりも下方に配置され複数のLED148cを有する下段光源147cと、を備えている。これらのLED148a〜148cは、ハウジング142の内周面に取り付けられている。LED148a〜148cは、いずれも光軸151aから傾斜した方向(光軸151aからの傾斜角が0°超過90°未満)に光を照射する。LED148a〜148cの照射方向の光軸151aからの傾斜角は、LED148aが最も大きく、LED148aは水平に近い方向に光を照射する。また、この傾斜角は、LED148cが最も小さくなっている。
撮像部151は、図示しないレンズなどの光学系及び撮像素子を備えている。落射用光源144及び側射用光源147から発せられ撮像対象の部品100で反射した後の光がハーフミラー146を透過して撮像部151に到達すると、撮像部151はこの光を受光する。そして、撮像部151は、受光した光を光電変換して画像中の各々の画素に対応する電荷を生成し、生成された電荷に基づいて各々の画素の情報を含むデジタルデータである画像データを生成する。
撮像制御回路88は、照明部141に制御信号を出力して照明部141からの光の照射を制御したり、撮像部151に制御信号を出力して画像の撮像を行わせたり、撮像部151が生成した画像データをコントローラ82の画像処理部98に出力したりする。その画像データが、コントローラ82の画像処理部98において解析されることで、吸着ノズル66に保持されている部品100の位置が認識される。このようにして、吸着ノズル66に保持されている部品100をパーツカメラ28で撮像することで、部品100の保持位置の認識処理を適切に行うことが可能となる。
なお、撮像制御回路88は、照明部141のLED145,148a〜148cの各々に通電する電流の値及び通電時間を制御して、落射用光源144及び側射用光源147の単位時間当たりの発光量及び発光時間を個別に制御可能である。撮像制御回路88は、側射用光源147の上段光源147a、中段光源147b、及び下段光源147cの各々について、単位時間当たりの発光量及び発光時間を個別に制御可能である。
(4)吸着ノズル又は部品の撮像領域の所定位置
次に、吸着ノズル66又は部品100の撮像領域の所定位置について説明する。本実施形態では、作業ヘッド60,62の何れかが所定の撮像位置まで移動すると、パーツカメラ28の上方において、4個の吸着ノズル66がそれぞれ決まった位置に停止する。その後、パーツカメラ28は、生産タクトの向上のため、カメラ視野を全体的に使用した撮像を行う。これにより、パーツカメラ28で生成された画像には、4個の吸着ノズル66、又は4個の吸着ノズル66に保持されている各部品100がそれぞれの所定位置において写る。
例えば、図5に示す画像200Aにおいては、第1ノズル領域201A、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、及び第4ノズル領域201Dが存在する。第1ノズル領域201Aは、部品100を保持していない状態の第1吸着ノズル66Aが写る予定の領域を示している。同様にして、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、又は第4ノズル領域201Dは、部品100を保持していない状態の第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dが写る予定の領域を示している。
つまり、部品100を保持していない状態の第1吸着ノズル66Aは、パーツカメラ28の上方に移動した後にパーツカメラ28で撮像されると、その撮像により生成される画像中の第1ノズル領域201Aに写る。同様にして、部品100を保持していない状態の第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dは、パーツカメラ28の上方に移動した後にパーツカメラ28で撮像されると、その撮像により生成される画像中の第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、又は第4ノズル領域201Dに写る。
なお、第1ノズル領域201A、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、又は第4ノズル領域201Dのサイズは、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dのサイズに対応している。
第1ノズル領域201A、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、及び第4ノズル領域201Dの2次元座標データは、HDD94にノズル領域情報として記憶される。
また、画像200Aにおいては、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dが存在する。第1部品領域203Aは、第1ノズル領域201Aの周囲にあり、第1吸着ノズル66Aに保持されている部品100が写る予定の領域を示している。同様にして、第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203Dは、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、又は第4ノズル領域201Dの周囲にあり、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dに保持されている部品100が写る予定の領域を示している。
つまり、第1吸着ノズル66Aに保持されている部品100は、パーツカメラ28の上方に移動した後にパーツカメラ28で撮像されると、その撮像により生成される画像中の第1部品領域203A内に写る。同様にして、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dに保持されている部品100は、パーツカメラ28の上方に移動した後にパーツカメラ28で撮像されると、その撮像により生成される画像中の第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203D内に写る。
なお、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203Dのサイズは、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、又は第4吸着ノズル66Dに保持される部品100のサイズに対応している。
第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dの2次元座標データは、HDD94に部品領域情報として記憶される。また、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dは、第1ノズル領域201A、第2ノズル領域201B、第3ノズル領域201C、及び第4ノズル領域201Dとそれぞれ対応関係にあるが、それらの対応関係もHDD94に部品領域情報として記憶される。
(5)撮像不可領域の特定
次に、撮像不可領域の特定について説明する。先ず、撮像不可領域について説明する。撮像不可領域とは、パーツカメラ28で生成される画像内において、吸着ノズル66に保持されている部品100を正常に撮像できない領域をいう。具体的に説明すると、パーツカメラ28に部品100が落下した状態において、白色等の背景プレート(図示省略)をパーツカメラ28の上方まで移動させた後に、パーツカメラ28で撮像すると、例えば、図6に示す画像200Bが生成される。
画像200Bでは、画像200Bの全領域である画像領域205内において、黒色の落下部品領域207が存在する。落下部品領域207は、パーツカメラ28に落下した部品100が写っている領域である。従って、落下部品領域207は、パーツカメラ28で生成された画像200B内において、吸着ノズル66に保持されている部品100を正常に撮像できない領域であるが、本実施形態では、上記認識処理等を考慮して、落下部品領域207に対して図6の縦方向と横方向とで外接した矩形状の領域を撮像不可能領域209とする。撮像不可能領域209は、上述したように、パーツカメラ28に部品100が落下した場合に発生するが、その他には、例えば、パーツカメラ28内へのグリスの飛散、レンズの汚れ、レンズのキズ、又は照明部141の一部不良等によっても発生する。
なお、パーツカメラ28で生成される画像内において、吸着ノズル66に保持されている部品100を正常に撮像できる領域を撮像可能領域という。具体的に説明すると、画像200Bでは、画像領域205から撮像不可能領域209を除いた領域が撮像可能領域210である。
次に、撮像不可能領域209の特定について説明する。撮像不可能領域209の特定に際しては、図7のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「撮像不可能領域特定プログラム」と記載する。)が、制御装置34のCPU90によって実行される。なお、撮像不可能領域特定プログラムは、吸着ノズル66に吸着異常が発生した場合又は所定の供給位置に供給された部品100が異常である場合に実行されることを避けるため、上記認識処理のエラーが連続して発生した場合に実行される。
撮像不可能領域特定プログラムが実行されると、図7に示すように、制御装置34のCPU90は、第1移動処理を行う(ステップS101)。この処理では、作業ヘッド60,62が、所定の設置位置にまで移動する。所定の設置位置は、上記背景プレート(図示省略)が設置されている箇所であり、例えば、フレーム部40上に設けられる。
この移動が行われると、制御装置34のCPU90は、プレート吸着処理を行う(ステップS103)。この処理では、上記背景プレート(図示省略)が吸着ノズル66に吸着される。この吸着が行われると、制御装置34のCPU90は、第2移動処理を行う(ステップS105)。この処理では、特定のタイミングにおいて、上記背景プレート(図示省略)がパーツカメラ28の上方まで移動する。これにより、パーツカメラ28のカメラ視野が上記背景プレート(図示省略)によって覆われる。
その後、制御装置34のCPU90は、撮像処理を行う(ステップS107)。この処理では、上記背景プレート(図示省略)がパーツカメラ28によって規定の露光時間で撮像される。このような疑似バックライト撮像により、上記背景プレート(図示省略)が白色等で写された画像が生成される。なお、その画像では、上記背景プレート(図示省略)以外のものが黒色等で写される。
この生成が行われると、制御装置34のCPU90は、撮像不可能領域の特定処理を行う(ステップS109)。この処理では、上記背景プレート(図示省略)を白色等で写した画像において、上記背景プレート(図示省略)以外のものを黒色等で写した領域が検出されると、その検出領域に基づいて撮像不可能領域が検出される。これらの検出は、公知の画像処理技術によって自動で行われるが、部品実装機10のオペレータ等によって手動で行われても良い。
具体的には、例えば、図6の画像200Bが生成された場合には、パーツカメラ28に落下した部品100を黒色で写した落下部品領域207が検出されると、落下部品領域207に対して図6の縦方向と横方向とで外接した矩形状の領域が撮像不可能領域209として検出される。これにより、撮像不可能領域209が特定される。なお、撮像不可能領域209の2次元座標データは、HDD94に撮像不可能領域情報として記憶される。
その後、制御装置34のCPU90は、第3移動処理を行う(ステップS111)。この処理では、作業ヘッド60,62が、上記所定の設置位置にまで移動する。この移動が行われると、制御装置34のCPU90は、プレート返却処理を行う(ステップS113)。この処理では、上記背景プレート(図示省略)が吸着ノズル66から離脱されることにより、上記背景プレート(図示省略)が上記所定の設置位置に戻される。これにより、撮像不可能領域特定プログラムが終了する。
なお、上記背景プレート(図示省略)は、作業ヘッド60,62に付設しておき、作業ヘッド60,62によってパーツカメラ28の上方まで移動させても良い。また、上記背景プレート(図示省略)は、部品実装機10のオペレータ等によってパーツカメラ28の上方まで移動させても良い。また、部品実装機10の一部(例えば、作業ヘッド60,62等)を白色等で塗装し、その塗装された部分を上記背景プレート(図示省略)として使用しても良い。これらの場合には、吸着ノズル66による上記背景プレート(図示省略)の吸着及び離脱は行われない。
(6)吸着ノズルによる部品の保持中止
次に、吸着ノズル66による部品100の保持中止について説明する。本実施形態では、パーツカメラ28で生成される画像内において、吸着ノズル66に保持されている部品100が写る予定の領域(部品領域)の一部又は全域が撮像不可能領域209に含まれると算定される場合には、回路基材12に部品100を装着するに際し、その算定対象の吸着ノズル66による部品100の保持が中止される。
具体的に説明すると、例えば、図5の画像200Aに対して上記撮像不可能領域特定プログラムで生成された図6の画像200Bを重ね合わせると、図8に示す画像200Cが作成される。画像200Cでは、第2部品領域203Bの一部である領域211が撮像不可能領域209に含まれている。第2部品領域203Bは、第2吸着ノズル66Bに保持されている部品100が写る予定の領域である。従って、第2吸着ノズル66Bに保持されている部品100が写る予定の第2部品領域203Bの一部(領域211)が撮像不可能領域209に含まれると算定されるので、回路基材12に部品100を装着するに際し、その算定対象の第2吸着ノズル66Bによる部品100の保持が中止される。
さらに、画像200Cでは、第3部品領域203Cの半域が撮像不可能領域209に含まれている。第3部品領域203Cは、第3吸着ノズル66Cに保持されている部品100が写る予定の領域である。従って、第3吸着ノズル66Cに保持されている部品100が写る予定の第3部品領域203Cの半域が撮像不可能領域209に含まれると算定されるので、回路基材12に部品100を装着するに際し、その算定対象の第3吸着ノズル66Cによる部品100の保持が中止される。
吸着ノズル66による部品100の保持中止に際しては、図9のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「第1回避プログラム」と記載する。)が、制御装置34のCPU90によって実行される。以下、図8の画像200Cを参照しながら、第1回避プログラムを具体的に説明する。第1回避プログラムが実行されると、図9に示すように、制御装置34のCPU90は、部品領域の特定を行う(ステップS121)。この特定では、画像200Cにおいて、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203Dのいずれかが特定される。
その後、制御装置34のCPU90は、上記特定対象の部品領域の一部又は全域が撮像不可能領域209内にあるか否かを判定する(ステップS123)。この判定は、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、第4部品領域203D、及び撮像不可能領域209の2次元座標データ等に基づいて行われる。それらの2次元座標データ等は、部品領域情報又は撮像不可能領域情報としてHDD94に記憶されている。
ここで、上記特定対象の部品領域の一部又は全域が撮像不可能領域209内にある場合、具体的には、上記特定対象の部品領域が第2部品領域203B又は第3部品領域203Cである場合には(ステップS123:YES)、制御装置34のCPU90は、ノズルスキップ登録処理を行う(ステップS125)。この処理では、HDD94に記憶されている部品領域情報に基づいてノズルスキップ登録が行われる。具体的には、判定対象の第2部品領域203Bに対応する第2吸着ノズル66Bが、HDD94にノズルスキップ登録される。或いは、判定対象の第3部品領域203Cに対応する第3吸着ノズル66Cが、HDD94にノズルスキップ登録される。なお、第2部品領域203Bと第2吸着ノズル66Bとの対応関係、及び第3部品領域203Cと第3吸着ノズル66Cとの対応関係は、部品領域情報としてHDD94に記憶されている。
ノズルスキップ登録されると、回路基材12に部品100を装着するに際し、その登録対象の吸着ノズル66による部品100の保持が中止される。従って、第2吸着ノズル66B及び第3吸着ノズル66Cは、回路基材12に部品100を装着するに際し、部品100の保持が中止される。なお、ノズルスキップ登録のこのような機能は、公知技術であって、異常吸着が連続して発生した吸着ノズル66に対して行われるものである。ノズルスキップ登録されると、制御装置34のCPU90は、ステップS127の判定を行う。
これに対して、上記特定対象の部品領域の全域が撮像不可能領域209内にない場合、具体的には、上記特定対象の部品領域が第1部品領域203A又は第4部品領域203Dのいずれかである場合には(ステップS123:NO)、制御装置34のCPU90は、上記ノズルスキップ登録処理(ステップS125)を行うことなく、ステップS127の判定を行う。従って、第1吸着ノズル66A及び第4吸着ノズル66Dについては、ノズルスキップ登録されない。
ステップS127の判定では、上記ステップS121で特定されていない部品領域があるか否かが判定される。ここで、上記ステップS121で特定されていない部品領域がある場合、具体的には、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203Dのいずれかが上記ステップS121で未だ特定されていない場合には(ステップS127:YES)、制御装置34のCPU90は、上記ステップS121に戻って、上記ステップS121以降の処理を繰り返し実行する。これに対して、上記ステップS121で特定されていない部品領域がない場合、具体的には、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dのいずれもが上記ステップS121で既に特定されている場合には(ステップS127:NO)、制御装置34のCPU90は、第1回避プログラムを終了する。
このようにして第1回避プログラムが実行された後に、回路基材12に部品100を装着する装着作業(以下、「対基板作業」と記載する場合がある。)が行われる際には、ノズルスキップ登録対象の第2吸着ノズル66B及び第3吸着ノズル66Cによる部品100の保持が中止される。その一方で、対基板作業は、ノズルスキップ登録対象外の第1吸着ノズル66A及び第4吸着ノズル66Dを用いて行われる。これにより、部品実装機10では、対基板作業中において、上記認識処理のためにパーツカメラ28が生成した画像内に撮像不可能領域209が発生した場合でも、撮像不可能領域209の範囲外に写る予定の部品100を保持する吸着ノズル66のみを用いることにより、タクト低下を最低限に抑えた対基板作業を継続することができる。
なお、上記ステップS123の判定は、上記特定対象の部品領域の全域が撮像可能領域210内にあるか否かによって行っても良い。このような場合には、上記特定対象の部品領域の全域が撮像可能領域210内にないと判定されると、上記ステップS125のノズルスキップ登録処理が行われた後に、上記ステップS127の判定が行われる。これに対して、上記特定対象の部品領域の全域が撮像可能領域210内にあると判定されると、上記ステップS125のノズルスキップ登録処理が行われることなく、上記ステップS127の判定が行われる。
(7)ハンドリングサイズの変更
次に、ハンドリングサイズの変更について説明する。本実施形態では、パーツカメラ28で生成される画像内において、吸着ノズル66に保持されている部品100が写る予定の領域(部品領域)の一部又は全域が撮像不可能領域209に含まれると算定される場合に、ハンドリングサイズの変更が行われる。ハンドリングサイズの変更では、上記算定対象の吸着ノズル66に保持されると予め定められた部品100を、そのサイズがより小さい部品(以下、「サイズ変更部品」と記載する。)に変更する。なお、サイズ変更部品は、上記算定対象の吸着ノズル66に保持されているサイズ変更部品が写る予定の領域(部品領域)の全域が撮像不可能領域209の範囲外に位置するようなサイズを有している。
これに伴い、ハンドリングサイズの変更では、上記算定対象の吸着ノズル66に保持されている部品100が写る予定の領域(部品領域)も変更される。具体的に説明すると、例えば、図8の画像200Cに示すように、第2吸着ノズル66Bに保持されている部品100が写る予定の第2部品領域203Bの一部(領域211)が撮像不可能領域209に含まれると算定される場合を想定する。そのような場合には、上記算定対象の第2吸着ノズル66Bに保持されている部品100が写る予定の第2部品領域203Bは、図10の画像200Dに示すように、新第2部品領域213に変更される。新第2部品領域213は、上記サイズ変更部品のサイズに対応する領域であって、その領域の全域が撮像不可能領域209の範囲外に位置するようなサイズを有している。
なお、ハンドリングサイズの変更に関する事項(例えば、上記算定対象の第2吸着ノズル66Bの特定情報、上記サイズ変更部品の特定情報、及び新第2部品領域213の2次元座標データ等)は、HDD94に記憶される。
ハンドリングサイズの変更に際しては、図11のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「第2回避プログラム」と記載する。)が、制御装置34のCPU90によって実行される。以下、第2回避プログラムを具体的に説明する。第2回避プログラムが実行されると、図11に示すように、制御装置34のCPU90は、部品領域の特定を行う(ステップS131)。この特定は、上記図9のステップS121の特定と同様である。
その後、制御装置34のCPU90は、上記特定対象の部品領域の一部又は全域が撮像不可能領域209内にあるか否かを判定する(ステップS133)。この判定は、上記図9のステップS123の判定と同様である。
ここで、上記特定対象の部品領域の一部又は全域が撮像不可能領域209内にある場合、具体的には、上記特定対象の部品領域が第2部品領域203Bである場合には(ステップS133:YES)、制御装置34のCPU90は、ハンドリングサイズ変更処理を行う(ステップS135)。この処理では、判定対象の第2部品領域203Bに対応する第2吸着ノズル66Bについて、上記ハンドリングサイズの変更が行われる。つまり、第2吸着ノズル66Bに保持されると予め定められた部品100がサイズ変更部品に変更されると共に、第2吸着ノズル66Bに対応する第2部品領域203Bが新第2部品領域213に変更される。上記ハンドリングサイズの変更は、HDD94に記憶されている部品領域情報及び撮像不可能領域情報に加えて、HDD94に記憶されている生産プログラムから取得した情報に基づいて行われる。その取得情報には、部品実装機10で供給される部品100について、そのサイズを特定する情報、保持予定の吸着ノズル66を特定する情報等がある。その後、制御装置34のCPU90は、ステップS137の判定を行う。
なお、上記特定対象の部品領域が第3部品領域203Cである場合も、上記特定対象の部品領域の一部又は全域が撮像不可能領域209内にある場合(ステップS133:YES)に該当する。そこで、上記ハンドリングサイズ変更処理により、第3部品領域203C(及び第3ノズル領域201C)に対応する第3吸着ノズル66Cに保持される部品100を、そのサイズが小さい部品100に変更する場合を想定する。図8の画像200C及び図10の画像200Dに示すように、第3部品領域203C内の第3ノズル領域201Cにおいては、その半域が撮像不可能領域209に含まれている。従って、そのような場合には、その変更された部品100が写る予定の部品領域の一部又全部を含むことが可能な第3ノズル領域201Cの領域がその半域となり、その変更された部品100を第3吸着ノズル66Cの半分で保持することになるので、その保持状態が不安定になる虞がある。そのような観点から、第3吸着ノズル66Cについては、上記ハンドリングサイズ変更処理に代えて、上記図9のステップS125のノズルスキップ登録処理を行うことにより、回路基材12に部品100を装着するに際して、部品100の保持が中止されるようにする。
これに対して、上記特定対象の部品領域の全域が撮像不可能領域209内にない場合には(ステップS133:NO)、制御装置34のCPU90は、上記ハンドリングサイズ変更処理(ステップS135)を行うことなく、ステップS137の判定を行う。従って、第1吸着ノズル66A及び第4吸着ノズル66Dについては、上記ハンドリングサイズの変更が行われない。
ステップS137の判定は、上記図9のステップS127の判定と同様である。ここで、上記ステップS131で特定されていない部品領域がある場合には(ステップS137:YES)、制御装置34のCPU90は、上記ステップS131に戻って、上記ステップS131以降の処理を繰り返し実行する。これに対して、上記ステップS131で特定されていない部品領域がない場合には(ステップS137:NO)、制御装置34のCPU90は、第2回避プログラムを終了する。
このようにして第2回避プログラムで上記ハンドリングサイズの変更が実行された後に、回路基材12に部品100を装着する装着作業が行われる際には、ハンドリングサイズの変更対象の第2吸着ノズル66Bに保持されると予め定められた部品100がサイズ変更部品に変更されると共に、ハンドリングサイズの変更対象の第2吸着ノズル66Bに対応する第2部品領域203Bが新第2部品領域213に変更される。これにより、部品実装機10では、対基板作業中において、上記認識処理のためにパーツカメラ28が生成した画像内に撮像不可能領域209が発生した場合でも、撮像不可能領域209の範囲外に位置する第1部品領域203A、新第2部品領域213、及び第4部品領域203Dを用いて上記認識処理を実行することにより、上記認識処理のエラーを事前に回避することができる。同時に、撮像不可能領域209の範囲外に写る予定の部品100を保持する吸着ノズル66のみを用いることにより、タクト低下を最低限に抑えた対基板作業を継続することができる。
なお、上記ステップS133の判定は、上記特定対象の部品領域の全域が撮像可能領域210内にあるか否かによって行っても良い。この点は、上記図9のステップS123の判定と同様である。
(8)分割撮像
次に、分割撮像について説明する。ここでは、分割撮像が行われる具体例として、例えば、図12に示すような場合、つまりパーツカメラ28の上方に1個の第1大型部品300が移動する場合を想定する。なお、図12では、1個の吸着ノズル66が第1大型部品300を保持しているが、これに限るものではなく、複数の吸着ノズル66(例えば、上記図4に示すように、4個の吸着ノズル66)が第1大型部品300を保持しても良い。この点は、後述する図18の場合も同様である。
図12に示すような場合において、作業ヘッド60,62の何れかが所定の撮像位置まで移動すると、パーツカメラ28の上方において、吸着ノズル66が決まった位置に停止する。その後、パーツカメラ28がカメラ視野を全体的に使用した撮像を行うと、パーツカメラ28で生成された画像には、吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300が所定位置において写る。
例えば、図13に示す画像200Eにおいては、大型部品領域215が存在する。大型部品領域215は、画像200Eの略全体を占めており、吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300が写る予定の領域を示している。従って、吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300は、パーツカメラ28の上方に移動した後にパーツカメラ28で撮像されると、その撮像により生成される画像中の大型部品領域215内に写る。なお、大型部品領域215のサイズは、吸着ノズル66に保持される第1大型部品300のサイズに対応している。大型部品領域215の2次元座標データは、HDD94に大型部品領域情報として記憶される。
一方、パーツカメラ28に上記部品100が落下した状態において、第1大型部品300ではなく白色等の背景プレート(図示省略)をパーツカメラ28の上方まで移動させた後に、パーツカメラ28で撮像すると、例えば、図14に示す画像200Fが生成される。画像200Fでは、画像200Fの全領域である画像領域217内において、黒色の落下部品領域219が存在する。落下部品領域219は、パーツカメラ28に落下した上記部品100が写っている領域である。本実施形態では、上述したように、上記認識処理等を考慮して、落下部品領域219に対して図14の縦方向と横方向とで外接した矩形状の領域を撮像不可能領域221とする。なお、画像200Fにおいては、画像領域217から撮像不可能領域221を除いた領域が撮像可能領域222である。
画像200Fは、図15に示すように、非分割領域223と分割領域225とに分けることが可能である。非分割領域223は、落下部品領域219が含まれた領域であって、第1大型部品300の撮像に使用されない領域である。これに対して、分割領域225は、撮像可能領域222のみで構成される領域(つまり、落下部品領域219が含まれない領域)であって、第1大型部品300の撮像に使用される領域である。なお、画像200Fは、図15の上下方向で上半分と下半分とに2等分されることによって、非分割領域223と分割領域225とに分けられている。
分割撮像では、パーツカメラ28のカメラ視野のうち、画像200Fの分割領域225に相当する視野部分(以下、「使用可能な視野部分」と記載する。)を使用して、第1大型部品300の撮像が行われる。画像200Fの分割領域225は、上述したように、画像200Fが図15の上下方向で2等分された上半分の領域である。そこで、このような場合に分割撮像を行う際は、大型部品領域215が図13の上下方向で2等分された上半分(以下、「大型部品領域215の上半分」と記載する。)に相当する第1大型部品300の部分を、パーツカメラ28の使用可能な視野部分で撮像する。さらに、大型部品領域215が図13の上下方向で2等分された下半分(以下、「大型部品領域215の下半分」と記載する。)に相当する第1大型部品300の部分を、パーツカメラ28の使用可能な視野部分で撮像する。このようにして、2回の撮像で構成される分割撮像が行われる。
分割撮像が行われた際には、撮像毎に画像(以下、「分割画像」と記載する。)が生成される。各分割画像は、合成されることによって、第1大型部品300が写された一つの画像になる。例えば、図16に示す画像200Gは、2つの分割画像227,229が合成された画像であって、第1大型部品300が写された一つの画像である。分割画像227は、大型部品領域215の上半分に相当する第1大型部品300の部分をパーツカメラ28の使用可能な視野部分で撮像することによって生成された画像である。これに対して、分割画像229は、大型部品領域215の下半分に相当する第1大型部品300の部分をパーツカメラ28の使用可能な視野部分で撮像することによって生成された画像である。なお、このように合成して作成された画像200Gは、上記認識処理で使用される。
分割撮像に際しては、図17のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「分割撮像プログラム」と記載する。)が、制御装置34のCPU90によって実行される。分割撮像プログラムが実行されると、図17に示すように、制御装置34のCPU90は、撮像可能領域の特定処理を行う(ステップS141)。具体的には、この処理により、上記図7の撮像不可能領域特定プログラムで画像200Fの撮像不可能領域221を特定し、画像200Fの画像領域217から撮像不可能領域221を除いた領域を撮像可能領域222として特定する。
その後、制御装置34のCPU90は、外形寸法の読出処理を行う(ステップS143)。具体的には、この処理により、HDD94に記憶されている生産プログラムから第1大型部品300の外形寸法が読み出される。そのような読み出しが行われると、制御装置34のCPU90は、算出処理を行う(ステップS145)。具体的には、この処理により、上記ステップS141で特定した撮像可能領域222と上記ステップS143で特定した第1大型部品300の外形寸法とに基づいて、画像200Fの分割領域225が算出される。さらに、分割領域225に基づいて、分割撮像に必要な撮像位置、撮像角度、及び撮像回数が算出される。つまり、撮像回数と、撮像回数分の撮像位置及び撮像角度とが算出される。
そのような算出が行われると、制御装置34のCPU90は、吸着処理を行う(ステップS147)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62が所定の供給位置まで移動し、第1大型部品300が吸着ノズル66によって保持される。なお、吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300は、作業ヘッド60,62によってパーツカメラ28の上方に移動する。その後、制御装置34のCPU90は、取得処理を行う(ステップS149)。この処理では、上記ステップS145で算出した撮像位置、撮像角度、及び撮像回数に基づいて分割撮像が行われる。その分割撮像では、撮像回数分の撮像が行われる毎に、第1大型部品300の保持位置が、作業ヘッド60,62又はノズル保持部65の移動により撮像位置及び撮像角度に応じて調整される。このような分割撮像により、具体的には、分割画像227,229が取得される。
その後、制御装置34のCPU90は、合成処理を行う(ステップS151)。具体的には、この処理により、上記ステップS149で取得された分割画像227,229を合成することにより、第1大型部品300が写された画像200Gが作成される。そのような作成が行われると、制御装置34のCPU90は、認識処理を行う(ステップS153)。この処理は、上述した認識処理と同様である。つまり、この処理により、上記ステップS151で作成された画像200Gの画像データがコントローラ82の画像処理部98において解析されることで、吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300の位置が認識される。そのような認識が行われると、制御装置34のCPU90は、装着処理を行う(ステップS155)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62が回路基材12の上方に移動し、作業ヘッド60,62の吸着ノズル66が第1大型部品300を離脱することで、回路基材12に第1大型部品300が装着される。その後、制御装置34のCPU90は、分割撮像プログラムを終了する。
このようにして分割撮像プログラムが実行されることにより、回路基材12に第1大型部品300を装着する装着作業(以下、「対基板作業」と記載する場合がある。)が行われると、対基板作業中において、上記認識処理(ここでは、上記ステップS153の認識処理をいう。)のためにパーツカメラ28が生成した画像内に撮像不可能領域221が発生した場合でも、第1大型部品300が写された画像200Gが作成される。つまり、分割領域225に相当するパーツカメラ28の使用可能な視野部分を使用した分割撮像により、第1大型部品300の分割画像227,229が取得され、その取得された分割画像227,229が合成されることにより、第1大型部品300が写された画像200Gが作成される。そのように作成された画像200Gが上記認識処理で用いられることにより、上記認識処理のエラーを事前に回避することができると共に、タクト低下を最小限に抑えた対基板作業を継続することができる。
なお、撮像不可能領域221は、上記部品100がパーツカメラ28に落下したことにより発生したものであるが、照明部141のうち側射用光源147の一部に異常がある場合も発生する。そのような場合には、分割画像227,229の照明条件を同一に整える必要がある。そのため、上記ステップS145の算出処理では、例えば、側射用光源147が正常に点灯している箇所(以下、「正常点灯箇所」と記載する。)と第1大型部品300のリードとが互いに向かい合うような相対的位置関係が撮像毎に実現されるように、撮像位置及び撮像角度が算出される。さらに、上記ステップS149の取得処理では、第1大型部品300の保持位置が撮像位置及び撮像角度に応じて調整される際において、側射用光源147の正常点灯箇所と第1大型部品300とのリードとが互いに向かい合うようにするため、作業ヘッド60,62のノズル保持部65が回転移動することにより、ノズル保持部65の吸着ノズル66に保持されている第1大型部品300が回転移動することがある。
また、上記実施形態は、図13に示すように、大型部品領域215の全域が画像200E内にあることから、パーツカメラ28が生成する画像内に第1大型部品300の全部が写る場合であったが、パーツカメラ28が生成する画像内に部品の全部が写らない場合であっても、上述した分割撮像を適用することが可能である。
例えば、図18に示すように、第2大型部品303がパーツカメラ28の上方にある所定の撮像位置に移動した状態にあり、その状態の第2大型部品303をパーツカメラ28で撮像したときに、パーツカメラ28のカメラ視野に第2大型部品303が収まらない場合を想定する。そのような場合には、図19に示すように、第2大型部品303を2分割撮像することにより分割画像231,233を取得し、それらの分割画像231,233を合成することにより、第2大型部品303が写された画像200Hを作成することが可能である。このように作成された画像200Hは、上記認識処理で用いられる。
もっとも、例えば、上記図14の画像200Fに示すように、上記認識処理のためにパーツカメラ28が生成した画像内に撮像不可能領域221がある場合であっても、上記図17の分割撮像プログラムが実行されていれば、第2大型部品303が写された一つの画像を作成することが可能である。つまり、上記図17の分割撮像プログラムを実行することにより、例えば、図20に示すように、第2大型部品303の分割画像235,237,239,241を分割撮像により取得し、それらの分割画像235,237,239,241を合成することにより、第2大型部品303が写された画像200Iを作成することが可能である。このように作成された画像200Iは、上記認識処理で用いられることが可能である。
(9)まとめ
本実施形態の部品実装機10では、吸着ノズル66が保持している部品100、第1大型部品300、又は第2大型部品303を撮像して画像を生成するパーツカメラ28に不具合が発生(例えば、その生成画像に撮像不可能領域209が発生)しても、上記図9の第1回避プログラム、上記図11の第2回避プログラム、又は上記図17の分割撮像プログラム等が実行されていれば、パーツカメラ28の清掃又は交換を行うことなく、タクト低下を最小限に抑えた対基板作業を継続することが可能である。
ちなみに、本実施形態において、部品実装機10は、「対基板作業装置」の一例である。パーツカメラ28は、「撮像装置」の一例である。回路基材12は、「基板」の一例である。吸着ノズル66は、「保持具」の一例である。作業ヘッド60,62は、「装着ヘッド」の一例である。第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dは、「部品の撮像領域」の一例である。図7のフローチャートで示す撮像不可能領域特定プログラムは、「撮像不可能領域特定処理」の一例である。第1大型部品300又は第2大型部品303は、「部品」の一例である。大型部品領域215は、「部品の撮像領域」の一例である。図9のフローチャートで示す第1回避プログラム又は図11のフローチャートで示す第2回避プログラムは、「回避処理」の一例である。
(10)変更例
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、回路基材12に部品100を装着する装着作業が行われる毎に、画像200Aの第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、又は第4部品領域203Dに該当する位置に停止する吸着ノズル66が、上記実施形態とは異なり、撮影タイミングによって、常に同じノズルでない場合を想定する。そのような場合には、上記図9のフローチャートで示す第1回避プログラム及び上記図11のフローチャートで示す第2回避プログラムに代えて、図21のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「第3回避プログラム」と記載する。)が実行される。
第3回避プログラムが実行されると、図21に示すように、制御装置34のCPU90は、ノズル数の算出処理を行う(ステップS161)。具体的には、この処理により、4個の吸着ノズル66(つまり、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、及び第4吸着ノズル66D)のうち、部品100の装着に使用することが可能な吸着ノズル66の個数を使用可能ノズル数として算出する。
その算出では、先ず、上記図7の撮像不可能領域特定プログラムで撮像不可能領域209を特定する。次に、撮像不可能領域209に基づいて、4個の吸着ノズル66(つまり、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、及び第4吸着ノズル66D)のうち、部品100の装着に使用することが不可能な吸着ノズル66の個数を使用不可能ノズル数として算出する。なお、部品100の装着に使用することが不可能な吸着ノズル66とは、例えば、第1部品領域203A、第2部品領域203B、第3部品領域203C、及び第4部品領域203Dのうち、撮像不可能領域209の一部又は全域を含む部品領域に停止する予定の吸着ノズル66をいう。その後、吸着ノズル66(つまり、第1吸着ノズル66A、第2吸着ノズル66B、第3吸着ノズル66C、及び第4吸着ノズル66D)の全数(つまり、4個)から使用不可能ノズル数を減ずることにより、使用可能ノズル数を算出する。
使用可能ノズル数が算出されると、制御装置34のCPU90は、吸着処理を行う(ステップS163)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62が所定の供給位置まで移動し、上記ステップS161で算出された使用可能ノズル数分の部品100が、使用可能な各吸着ノズル66で1個ずつ保持される。なお、吸着ノズル66に保持されている部品100は、作業ヘッド60,62によってパーツカメラ28の上方に移動する。
その後、制御装置34のCPU90は、回転処理を行う(ステップS165)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62のノズル保持部65が回転移動して、吸着ノズル66に保持されている部品100を、その全体が撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)で写るように回転移動する。そのような回転移動が行われると、制御装置34のCPU90は、撮像処理を行う(ステップS167)。具体的には、この処理により、吸着ノズル66に保持されている部品100がパーツカメラ28で撮像される。
そのような撮像が行われると、制御装置34のCPU90は、認識処理を行う(ステップS169)。この処理は、上記図17のステップS153の認識処理と同様にして行われる。但し、この処理では、上記図7の撮像不可能領域特定プログラムで特定された撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)において、全体が写された部品100の位置が認識される。そのような認識が行われると、制御装置34のCPU90は、装着処理を行う(ステップS155)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62が回路基材12の上方に移動し、吸着ノズル66に保持された部品100を離脱することで、回路基材12に部品100が装着される。その後、制御装置34のCPU90は、第3回避プログラムを終了する。
また、上記図21のフローチャートで示す第3回避プログラムに代えて、図22のフローチャートを実現するための処理プログラム(以下、「第4回避プログラム」と記載する。)が実行されても良い。
第4回避プログラムが実行されると、図22に示すように、制御装置34のCPU90は、吸着処理を行う(ステップS181)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62が所定の供給位置まで移動し、各吸着ノズル66が部品100を1個ずつ保持する。なお、吸着ノズル66に保持されている部品100は、作業ヘッド60,62によってパーツカメラ28の上方に移動する。
その後、制御装置34のCPU90は、第1撮像処理を行う(ステップS183)。具体的には、この処理により、吸着ノズル66に保持されている部品100がパーツカメラ28で撮像される。そのような撮像が行われると、制御装置34のCPU90は、第1認識処理を行う(ステップS185)。この処理は、上記図21のステップS169の認識処理と同様である。つまり、この処理では、上記図7の撮像不可能領域特定プログラムで特定された撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)において、全体が写された部品100の位置が認識される。
そのような認識が行われると、制御装置34のCPU90は、回転処理を行う(ステップS187)。具体的には、この処理により、作業ヘッド60,62のノズル保持部65が回転移動して、上記ステップS183で撮像不可能領域209の一部又は全域に写された部品100を、その全体が撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)で写るように回転移動する。
そのような回転移動が行われると、制御装置34のCPU90は、第2撮像処理を行う(ステップS189)。具体的には、この処理により、吸着ノズル66に保持されている部品100がパーツカメラ28で撮像される。そのような撮像が行われると、制御装置34のCPU90は、第2認識処理を行う(ステップS191)。この処理は、上記S185の第1認識処理と同様である。その後、制御装置34のCPU90は、装着処理を行う(ステップS193)。この処理は、上記図21のステップS171の装着処理と同様である。その後、制御装置34のCPU90は、第4回避プログラムを終了する。
このようにして、図21のフローチャートで示す第3回避プログラム又は図22のフローチャートで示す第4回避プログラムが実行されることにより、回路基材12に部品100を装着する装着作業が行われると、対基板作業中において、上記認識処理(ここでは、上記ステップS169の認識処理、上記ステップS185の第1認識処理、又は上記ステップS191の第2認識処理をいう。)のためにパーツカメラ28が生成した画像内に撮像不可能領域209が発生した場合でも、吸着ノズル66に保持されている部品100が撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)で写った画像が取得される。そのように取得された画像を用いて、撮像不可能領域209の範囲外(つまり、撮像可能領域210の範囲内)に全体が写った部品100を対象にする上記認識処理を実行することにより、上記認識処理のエラーを事前に回避することができると共に、タクト低下を最小限に抑えた対基板作業を継続することができる。
ちなみに、図21のフローチャートで示す第3回避プログラム又は図22のフローチャートで示す第4回避プログラムは、「回避処理」の一例である。