以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、この発明の実施の形態に従う無停電電源装置100の構成を示す回路ブロック図である。
図1を参照して、無停電電源装置100は、交流入力端子T1〜T3、交流出力端子T4,T5、直流端子T6,T7、コンバータ1、直流母線L1,L2、コンデンサC1、インバータ2、双方向チョッパ3、および開閉器S10〜S15を備える。図1の構成例では、無停電電源装置100は、交流電源5から三相交流電力を受け、負荷6に単相交流電力を供給する。
交流電源5は、例えば、三相3線式の商用交流電源であり、交流入力端子T1〜T3に商用周波数の三相交流電圧を供給する。開閉器S10の一方端子は、交流電源5からの三相交流電圧を受け、他方端子は開閉器S11の一方端子に接続される。開閉器S11の他方端子はコンバータ1に接続される。開閉器S10は、例えば遮断器であり、開閉器S11は、例えば電磁接触器である。なお、本願明細書において、無停電電源装置100(後述する予備充電制御装置10を含む)に含まれる開閉器はいずれも、制御信号に応答して導通および非導通が制御されるものであればよい。
開閉器S10,S11は、無停電電源装置100を制御する制御装置(図示せず)からの制御信号に応答して導通(オン)および非導通(オフ)が制御されることにより、交流電源5と無停電電源装置100との間の電力供給経路を導通および遮断する。開閉器S10は、無停電電源装置100の電源が投入された場合にオンする。開閉器S11は、インバータ2の出力電圧を負荷6に供給するインバータ給電モード時に導通し、後述するコンデンサC1を予備充電する予備充電モード時にオフとなる。
負荷6は、一相2線式であり、交流出力端子T4,T5から供給される商用周波数の単相交流電力によって駆動される。
コンバータ1は、交流電源5から三相交流電力が供給されている健全時には、交流電源5から供給される三相交流電圧を直流電圧VDに変換する。コンバータ1によって生成された直流電圧VDは、直流母線L1,L2を介してインバータ2に供給されるとともに、バッテリ7(電力貯蔵装置)に蓄えられる。
コンデンサC1は、直流正母線L1および直流負母線L2の間に接続される。コンデンサC1は、直流母線L1,L2間の直流電圧を平滑化および安定化させる。
インバータ2は、コンバータ1から直流母線L1,L2を介して供給される直流電圧VDを単相交流電圧に変換する。開閉器S12の一方端子はインバータ2に接続され、他方端子は負荷6に接続される。開閉器S12は、制御装置によって制御され、無停電電源装置100の電源が投入された場合にオンする。インバータ2によって生成された単相交流電圧は、開閉器S12および交流出力端子T4,T5を介して負荷6に供給される。開閉器S12は、例えば遮断器である。
バッテリ7は直流端子T6,T7間に接続される。バッテリ7の正極は直流端子T6に接続され、負極は直流端子T7に接続される。バッテリ7は電力を蓄える「電力貯蔵装置」の一実施例に対応する。バッテリ7の代わりに、電気二重層コンデンサが設けられてもよい。
開閉器S14の一方端子はバッテリ7に接続され、他方端子は開閉器S15の一方端子に接続される。開閉器S15の他方端子は双方向チョッパ3に接続される。開閉器S14は、例えば遮断器であり、開閉器S15は、例えば電磁接触器である。
開閉器S14,S15は、制御装置(図示せず)からの制御信号に応答してオンおよびオフが制御されることにより、バッテリ7と無停電電源装置100との間の電力供給経路を導通および遮断する。開閉器S14は、無停電電源装置100の電源が投入された場合にオンする。開閉器S15は、インバータ給電モード時にオンし、コンデンサC1を予備充電する予備充電モード時にオフとなる。
双方向チョッパ3は、交流電源5から三相交流電圧が供給されている健全時には、直流母線L1,L2間の直流電圧VDを降圧してバッテリ7に供給することにより、バッテリ7を充電する。双方向チョッパ3は、交流電源5から三相交流電圧の供給が遮断された停電時は、バッテリ7の電圧VB(バッテリ電圧)を昇圧して直流母線L1,L2間に供給することにより、バッテリ7を放電させる。
コンバータ1、インバータ2および双方向チョッパ3は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、交流電源5から供給される三相交流電圧、直流母線L1,L2間の直流電圧VD(コンデンサC1の端子間電圧)、バッテリ7の電圧VB(バッテリ電圧)、インバータ2から出力される三相交流電圧、およびインバータ2から負荷6に流れる交流電流(負荷電流)などに基づいて、コンバータ1、インバータ2および双方向チョッパ3を制御する。
無停電電源装置100の起動時においては、直流母線L1,L2間に接続されるコンデンサC1が0Vまで放電されていることがある。このような場合には、開閉器S10とともに開閉器S11をオンして交流電源5とコンバータ1とを電気的に接続すると、交流電源5からコンバータ1を通じてコンデンサC1に過大な突入電流が流れる可能性がある。したがって、起動時の突入電流を抑制するためには、無停電電源装置100の電源投入時、開閉器S11をオンする前に、予めコンデンサC1を所定の電圧まで充電しておく必要がある。
無停電電源装置100は、コンデンサC1を予備充電するための構成として、予備充電制御装置10をさらに備える。予備充電制御装置10は、交流予備充電回路12、直流予備充電回路14、制御部15、制御電源16、遮断器SA、変圧器18、および電圧検出器17を有する。
交流予備充電回路12は、交流電源5および直流母線L1,L2の間にコンバータ1と電気的に並列に接続される。交流予備充電回路12は、開閉器SRC(SRC1,SRC2)と、抵抗素子R1,R2と、ダイオードD1,D2とを含む。
開閉器SRC1の一方端子は開閉器S10を介して交流入力端子T1に接続され、他方端子は抵抗素子R1の一方端子に接続される。抵抗素子R1の他方端子はダイオードD1のアノードに接続される。ダイオードD1のカソードは直流正母線L1に接続される。開閉器SRC2の一方端子は開閉器S10を介して交流入力端子T3に接続され、他方端子は抵抗素子R2の一方端子に接続される。抵抗素子R2の他方端子はダイオードD2のカソードに接続される。ダイオードD2のアノードは直流負母線L2に接続される。開閉器SRCは「第1の開閉器」の一実施例に対応する。
開閉器SRCは、予備充電制御装置10の制御部15からの制御信号SRC_ONに応答してオンおよびオフが制御されることにより、交流電源5と直流母線L1,L2との間の電力供給経路を導通および遮断する。後述するように、開閉器SRCは、インバータ給電モード時および直流予備充電モード時にオフし、交流予備充電モード時にオンとなる。
無停電電源装置100の電源投入時には、開閉器S11をオフしておき、開閉器S10およびSRCをオンすることで、交流予備充電回路12を交流電源5に接続する。これにより、交流入力端子T1の交流電圧(R相電圧)が交流入力端子T3の交流電圧(T相電圧)よりも高い期間において、交流端子T1から開閉器S10,SRC1、抵抗素子R1、ダイオードD1、直流正母線L1、コンデンサC1、直流負母線L2、ダイオードD2、抵抗素子R2、開閉器SRC2,S10を経由して交流端子T3に至る電流経路が形成されるため、コンデンサC1が充電される。以下の説明では、交流電源5から供給される交流電圧によりコンデンサC1を予備充電するモードを「交流予備充電モード」とも称する。
なお、図1の例では、交流電源5のR相−T相の線間電圧によってコンデンサC1を充電する構成とされるが、交流電源5のR相−S相の線間電圧またはS相−T相間の線間電圧によってコンデンサC1を充電する構成としてもよい。
直流予備充電回路14は、バッテリ7および直流母線L1,L2の間に電気的に接続される。直流予備充電回路14は、バッテリ7および直流母線L1,L2の間に、双方向チョッパ3と電気的に並列に接続される。直流予備充電回路14は、開閉器SDD(SDD1,SDD2)、開閉器SDC(SDC1,SDC2)、抵抗素子R3,R4、およびダイオードD3,D4とを含む。
開閉器SDD1の一方端子は直流端子T6に接続され、他方端子は開閉器SDC1の一方端子に接続される。開閉器SDC1の他方端子は抵抗素子R3の一方端子に接続される。抵抗素子R3の他方端子はダイオードD3のアノードに接続される。ダイオードD3のカソードは直流正母線L1に接続される。開閉器SDD2の一方端子は直流端子T7に接続され、他方端子は開閉器SDC2の一方端子に接続される。開閉器SDC2の他方端子は抵抗素子R4の一方端子に接続される。抵抗素子R4の他方端子はダイオードD4のカソードに接続される。ダイオードD4のアノードは直流負母線L2に接続される。開閉器SDDは例えば遮断器であり、開閉器SDCは例えば電磁接触器である。開閉器SDCは「第2の開閉器」の一実施例に対応する。開閉器SDDは「第4の開閉器」の一実施例に対応する。
開閉器SDDは、無停電電源装置100を制御する制御装置からの制御信号に応答してオンおよびオフが制御される。開閉器SDDは、無停電電源装置100の電源が投入された場合にオンする。
開閉器SDCは、制御部15からの制御信号SDC_ONに応答してオンおよびオフが制御されることにより、バッテリ7と直流母線L1,L2との間の電力供給経路を導通および遮断する。開閉器SDCは、後述するように、インバータ給電モード時および交流予備充電モード時にオフし、直流予備充電モード時にオンとなる。
無停電電源装置100の電下投入時には、開閉器S15をオフしておき、開閉器SDDおよびSDCをオンすることで、直流予備充電回路14をバッテリ7に接続する、これにより、直流端子T6から開閉器SDD1,SDC1、抵抗素子R3、ダイオードD3、直流正母線L1、コンデンサC1、直流負母線L2、ダイオードD4、抵抗素子R4、開閉器SDC2,SDD2を経由して直流端子T7に至る電流経路が形成されるため、コンデンサC1が充電される。以下の説明では、バッテリ7から供給される直流電圧(バッテリ電圧VB)によりコンデンサC1を予備充電するモードを「直流予備充電モード」とも称する。
開閉器SA(SA1,SA2)は、交流入力端子T1〜T3と変圧器18との間に接続される。開閉器SA1の一方端子は開閉器S10を介して交流入力端子T1に接続され、他方端子は変圧器18の一次巻線の一方端子に接続される。開閉器SA2の一方端子は開閉器S10を介して交流入力端子T3に接続され、他方端子は変圧器18の一次巻線の他方端子に接続される。変圧器18の二次巻線は制御電源16に接続される。開閉器SAは「第3の開閉器」の一実施例に対応する。
開閉器SAは、無停電電源装置100を制御する制御装置からの制御信号に応答してオンおよびオフが制御される。開閉器SAは、無停電電源装置100の電源が投入された場合にオンする。開閉器SAは例えば遮断器である。開閉器SAがオンすると、交流入力端子T1,T3間の交流電圧(線間電圧)VRが変圧器18の一次巻線に入力される。変圧器18の二次巻線は、一次巻線に入力された交流電圧VRを制御電源16に伝達する。
制御電源16は、交流電圧VRに加えて、直流母線L1,L2間の直流電圧VD(コンデンサC1の端子間電圧)、およびバッテリ7の電圧VB(バッテリ電圧)を受ける。無停電電源装置100の電源投入時、開閉器S10,SA,SDDがオンすることにより、交流電圧VRおよびバッテリVBが制御電源16に供給される。制御電源16は、交流電圧VR、直流電圧VDおよびバッテリ電圧VBを用いて制御部15の電源電圧を生成する。ただし、無停電電源装置100の電源投入時に直流電圧VDが0V程度である場合には、交流電圧VRまたはバッテリ電圧VBを用いて電源電圧が生成される。
電圧検出器17は、開閉器SAのオン時に制御電源16に供給される交流電圧VRを検出し、検出値を示す信号を制御部15に与える。電圧検出器17は、直流母線L1,L2間の直流電圧VDを検出し、検出値を示す信号を制御部15に与える。電圧検出器17は、開閉器SDDのオン時に予備充電回路14に供給されるバッテリ電圧VBを検出し、検出値を示す信号を制御部15に与える。制御部15は、制御電源16から電源電圧の供給を受けて動作し、交流予備充電回路12および直流予備充電回路14を制御する。
次に、図2から図4を参照して、予備充電制御装置10の動作について説明する。
図2は、交流電源5から三相交流電力が供給されている健全時におけるコンデンサC1の予備充電を説明するための図である。
図2(A)に示すように、交流電源5の健全時には、交流予備充電モードによるコンデンサC1の予備充電が実行される。図中の矢印は、交流予備充電モード時に形成される電流経路を示している。
具体的には、無停電電源装置100の電源が投入されると、無停電電源装置100の制御装置によって開閉器S10,S14およびSDDがオンされ、開閉器S11およびS15がオフされる。
予備充電制御装置10において、制御部15は、開閉器SRCをオンし、開閉器SDCをオフする。これにより、交流電源5から供給される交流電圧によりコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の充電が完了すると、制御部15は、開閉器SRCをオフする。その後、制御装置によって開閉器S11がオンされることにより、交流電源5とコンバータ1とが接続される。また、制御装置によって開閉器S15がオンされることにより、電力貯蔵装置7と双方向チョッパ3とが接続される。
交流予備充電モードの実行中に交流電源5からの三相交流電力の供給が停止される停電が発生した場合には、図2(B)に示すように、交流予備充電モードから直流予備充電モードに切り替えられる。制御部15は、交流電源5の停電による交流入力電圧の異常を検出すると、開閉器SDCをオンするとともに、開閉器SRCをオフする。これにより、バッテリ7から供給される直流電圧(バッテリ電圧VB)によりコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の充電が完了すると、制御部15は、開閉器SDCをオフする。その後、制御装置によって開閉器S15がオンされることにより、バッテリ7と双方向チョッパ3とが接続される。交流電源5の停電時は開閉器S11をオンしても交流電力を受けてコンバータ1を起動させることができないため、開閉器S15をオンすることで、バッテリ7の直流電力により双方向チョッパ3を起動させる。
あるいは、交流予備充電モードの実行中に交流予備充電回路12の異常が発生した場合には、図2(C)に示すように、交流予備充電モードから直流予備充電モードに切り替えられる。交流予備充電回路12の異常は、例えば、開閉器SRCの開故障(開状態に固定されて、閉状態に切替わらない故障)または抵抗素子およびダイオードの断線等による電力供給経路の遮断である。制御部15は、交流予備充電回路12の異常を検出すると、開閉器SDCをオンするとともに、開閉器SRCをオフする。これにより、バッテリ7から供給される直流電圧(バッテリ電圧VB)によりコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の充電が完了すると、制御部15は、開閉器SDCをオフする。その後、制御装置によって開閉器S15がオンされることにより、バッテリ7と双方向チョッパ3とが接続される。
後述するように、交流予備充電モードと直流予備充電モードとでは、予備充電完了時の直流電圧VDが異なるため、図2(C)のように直流予備充電モードを実行した後に、開閉器S11をオンしてコンバータ1を起動すると、突入電流が流れる可能性がある。そのため、コンデンサC1の予備充電を完了した後は、予備充電モードを実行した側の開閉器(図2(C)では、開閉器S15)をオンして当該開閉器に接続される電力変換器(図2(C)では、双方向チョッパ3)を起動することとしている。
図4(A)には、交流予備充電モードの実行中における直流電圧VDの変化が示される。図4(A)に示すように、時刻t0にてコンデンサC1の充電が開始されると、時刻t0以降、直流電圧VDは徐々に上昇する。制御部15は、コンデンサC1の充電中、電圧検出器17により検出される直流電圧VDと閾値電圧とを比較する。そして、直流電圧VDの検出値が閾値電圧に達すると、制御部15は、コンデンサC1の充電が完了したと判定する。
なお、交流予備充電モードにおける閾値電圧は、電圧検出器17により検出される交流電圧VRに基づいて設定される。図4(A)の例では、閾値電圧は、交流電圧VRの実効値×120%に設定されている。
このように、予備充電制御装置10は、交流電源5の健全時には、交流予備充電モードを優先して実行し、交流予備充電モードの実行中に、交流入力電圧の異常または交流予備充電回路12の異常が検出された場合には、交流予備充電モードから直流予備充電モードに切り替える。これによると、交流入力電圧または交流予備充電回路12の異常が発生した後においてもコンデンサC1の予備充電を継続することができる。
予備充電制御装置10は、さらに、直流予備充電モードの実行中において、直流入力電圧の異常または直流予備充電回路14の異常が検出された場合であって、交流電源5の停電後に電力供給が復旧(復電)したときには、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切り替えることができる。
図3は、交流電源5からの三相交流電力の供給が停止されている停電時におけるコンデンサC1の予備充電を説明するための図である。
図3(A)に示すように、交流電源5の停電時には、直流予備充電モードによるコンデンサC1の予備充電が実行される。図中の矢印は、直流予備充電モード時に形成される電流経路を示している。直流予備充電モードの実行中は、開閉器SRCがオフ状態とされる一方で、開閉器SDCがオン状態とされる。
直流予備充電モードの実行中に、バッテリ7の電圧(バッテリ電圧VB)が許容下限電圧に達することにより直流電力の供給が停止(喪失)した場合を想定する。この場合、交流電源5が復電したときには、図3(B)に示すように、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切り替えられる。
制御部15は、バッテリ7からの直流電力の喪失による直流入力電圧の異常を検出したときには、交流電源5が復電したか否かを判定する。交流電源5の復電が検出されると、制御部15は、開閉器SRCをオンするとともに、開閉器SDCをオフする。これにより、復電した交流電源5から供給される交流電圧によりコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の充電が完了すると、制御部15は、開閉器SRCをオフする。その後、制御装置によって開閉器S11がオンされることにより、交流電源5とコンバータ1とが接続される。
あるいは、直流予備充電モードの実行中に直流予備充電回路14の異常が発生した場合であって、交流電源5が復電したときには、図3(C)に示すように、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切り替えられる。直流予備充電回路14の異常は、例えば、開閉器SDCの開故障または抵抗素子およびダイオードの断線等による電力供給経路の遮断である。
制御部15は、直流予備充電回路14の異常を検出したときには、交流電源5が復電したか否かを判定する。交流電源5の復電が検出されると、制御部15は、開閉器SRCをオンするとともに、開閉器SDCをオフする。これにより、復電した交流電源5から供給される交流電圧によりコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の充電が完了すると、制御部15は、開閉器SRCをオフする。その後、制御装置によって開閉器S11がオンされることにより、交流電源5とコンバータ1とが接続される。
図4(B)には、直流予備充電モードの実行中における直流電圧VDの変化が示される。図4(B)に示すように、時刻t0にてコンデンサC1の充電が開始されると、時刻t0以降、直流電圧VDは徐々に上昇する。制御部15は、充電中、電圧検出器17により検出される直流電圧VDと閾値電圧とを比較する。そして、直流電圧VDの検出値が閾値電圧に達すると、制御部15は、コンデンサC1の充電が完了したと判定する。
なお、直流予備充電モードにおける閾値電圧は、電圧検出器17により検出されるバッテリ電圧VBに基づいて設定される。図4(B)の例では、閾値電圧は、バッテリ電圧VB×95%に設定されている。
このように、予備充電制御装置10は、交流電源5の停電に起因する直流予備充電モードの実行中において、直流入力電圧の異常または直流予備充電回路14の異常が検出された場合であっても、交流電源5が復電したときには、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切り替えることができる。したがって、コンデンサC1の予備充電を継続することができる。
なお、交流電源5の停電に起因して交流予備充電モードから直流予備充電モードに移行した場合には、その後、交流電源5が復電しても、直流入力電圧および直流予備充電回路14が正常である限り、直流予備充電モードを実行するものとする。これは、予備充電の実行中に、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切替えることで、制御が不安定になるおそれがあるためである。
次に、予備充電制御装置10の制御構成について説明する。
図1に戻って、予備充電制御装置10の制御部15は、開閉器SA,SDD,SRC,SDCの各々から、開閉器の開閉状態を示す信号を受ける。制御部15は、各開閉器から入力される信号に基づいて、各開閉器の開閉状態を検出することができる。
具体的には、開閉器SRCは、例えば電磁接触器であり、主接点および補助接点を有する。開閉器SRCの主接点は、制御部15から与えられる制御信号SRC_ONに応答して、開状態または閉状態に切替わる。主接点が閉状態に切替わると、開閉器SRCが導通(オン)状態となり、交流電源5から交流予備充電回路12に交流電圧VRが供給される。一方、主接点が開状態に切替わると、開閉器SRCが非導通(オフ)状態となり、交流電源5からの交流電圧VRが遮断される。
開閉器SRCの補助接点の開閉状態は、主接点の開閉状態に連動して切替わる。すなわち、主接点が開状態に切替わると、補助接点が開状態に切替わり、主接点が閉状態に切替わると、補助接点が閉状態に切替わる。開閉器SRCは、補助接点の開閉状態を示す信号SRC_AXを制御部15に出力する。制御部15は、開閉器SRCからの信号SRC_AXに基づいて開閉器SRCの補助接点の開閉状態を検出することにより、開閉器SRCの主接点の開閉状態を検出することができる。
開閉器SDCは、開閉器SRCと同様に電磁接触器であり、主接点および補助接点を有する。開閉器SDCの主接点は、制御部15から与えられる制御信号SDC_ONに応答して、開状態または閉状態に切替わる。主接点が閉状態に切替わると、開閉器SDCがオン状態となり、バッテリ7から直流予備充電回路14にバッテリ電圧VBが供給される。一方、主接点が開状態に切替わると、開閉器SDCがオフ状態となり、バッテリ7からのバッテリ電圧VBが遮断される。
開閉器SDCの補助接点の開閉状態は、主接点の開閉状態に連動して切替わる。開閉器SDCは、補助接点の開閉状態を示す信号SDC_AXを制御部15に出力する。制御部15は、開閉器SDCからの信号SDC_AXに基づいて開閉器SDCの補助接点の開閉状態を検出することにより、開閉器SDCの主接点の開閉状態を検出することができる。
開閉器SAは、例えば遮断器であり、主接点および補助接点を有する。開閉器SAの主接点は、制御装置(図示せず)から与えられる制御信号に応答して、開状態または閉状態に切替わる。主接点が閉状態に切替わると、開閉器SAがオン状態となり、交流電源5から変圧器18に交流電圧VRが供給される。一方、主接点が開状態に切替わると、開閉器SAがオフ状態となり、交流電源5からの交流電圧VRが遮断される。開閉器SAの補助接点の開閉状態は、主接点の開閉状態に連動して切替わる。制御部15は、開閉器SAからの信号SA_AXに基づいて開閉器SAの補助接点の開閉状態を検出することにより、開閉器SAの主接点の開閉状態を検出することができる。
開閉器SDDは、開閉器SAと同様に、主接点および補助接点を有する。開閉器SDDの主接点は、制御装置(図示せず)から与えられる制御信号に応答して、開状態または閉状態に切替わる。主接点が閉状態に切替わると、開閉器SDDがオン状態となり、バッテリ7から直流予備充電回路14にバッテリ電圧VBが供給される。一方、主接点が開状態に切替わると、開閉器SDDがオフ状態となり、バッテリ7からのバッテリ電圧VBが遮断される。開閉器SDDの補助接点の開閉状態は、主接点の開閉状態に連動して切替わる。制御部15は、開閉器SDDからの信号SDD_AXに基づいて開閉器SDDの補助接点の開閉状態を検出することにより、開閉器SDDの主接点の開閉状態を検出することができる。
制御部15は、電圧検出器17の出力信号および開閉器SRC,SDC,SA,SDDの出力信号に基づいて、開閉器SRC,SDCのオンおよびオフを制御する。制御部15は、無停電電源装置100の電源投入時において、開閉器SRC,SDCのオンおよびオフを制御することにより、交流予備充電モードおよび直流予備充電モードを選択的に実行することができる。
図5は、予備充電制御装置10における制御部15の機能ブロック図である。
図5を参照して、制御部15は、スイッチ40,42と、予備充電モード選択手段44と、予備充電回路異常検出手段46と、補助接点異常検出手段48と、予備充電停止手段50とを含む。
制御部15は、無停電電源装置100の電源が投入され、制御電源16から電源電圧が供給されると(図中の「制御電源確立」に相当)、交流予備充電回路12の開閉器SRCおよび直流予備充電回路14の開閉器SDCのいずれか一方をオンすることにより、コンデンサC1の予備充電を実行するように構成される。図5は、制御電源が確立してからコンデンサC1の予備充電が開始され、コンデンサC1の予備充電が停止されるまでの制御部15における処理の流れを示している。
図5において、スイッチ40は、コンデンサC1の予備充電の実行および停止を切り替えるためのスイッチである。スイッチ40が閉状態のときにはコンデンサC1の予備充電が実行され、スイッチ40が開状態になると、コンデンサC1の予備充電が停止される。
また、スイッチ42は、スイッチ40が閉状態のときに、開閉器SRCおよび開閉器SDCのいずれか一方をオンするためのスイッチである。スイッチ42がH(論理ハイ)状態のときには、制御部15は、開閉器SRCをオンするための制御信号SRC_ONを出力する。一方、スイッチ42がL(論理ロー)状態のときには、制御部15は、開閉器SDCをオンするための制御信号SDC_ONを出力する。スイッチ42におけるH状態とL状態との切り替えは、予備充電モード選択手段44からの信号によって制御される。
予備充電モード選択手段44は、開閉器SRCの制御信号SRC_ON、開閉器SRCの補助接点の開閉状態を示す信号SRC_AX、開閉器SDCの制御信号SDC_ON、開閉器SDCの補助接点の開閉状態を示す信号SDC_ON、電圧検出器17の出力信号(交流電圧VR,直流電圧VDおよびバッテリ電圧VBの検出値)、ならびに予備充電回路異常検出手段46の出力信号を受ける。予備充電モード選択手段44は、これらの入力信号に基づいて、交流予備充電モードおよび直流予備充電モードのいずれか一方を選択する。予備充電モード選択手段44は、交流予備充電モードを選択したときにはHレベルの信号を出力し、直流予備充電モードを選択したときにはLレベルの信号を出力する。スイッチ42は、Hレベルの信号に応答してH状態に設定される一方で、Lレベルの信号に応答してL状態に設定される。
予備充電回路異常検出手段46は、開閉器SRCの制御信号SRC_ON、開閉器SDCの制御信号SDC_ON、および電圧検出器17の出力信号に基づいて、交流予備充電回路12の異常、および直流予備充電回路14の異常を検出する。予備充電回路異常検出手段46は、検出結果を示す信号を予備充電モード選択手段44および予備充電停止手段50に出力する。
予備充電停止手段50は、予備充電モード選択手段44の出力信号、電圧検出器17の出力信号、予備充電回路異常検出手段46の出力信号、および補助接点異常検出手段48の出力信号を受ける。予備充電停止手段50は、コンデンサC1の予備充電の実行中、これらの入力信号に基づいてスイッチ40を閉状態から開状態に切り替えることにより、コンデンサC1の予備充電を停止する。予備充電停止手段50は、後述するように、直流電圧VD(コンデンサC1の端子間電圧)の検出値が閾値電圧に達したとき、もしくは、予備充電の継続が不可であると判定されたときに、予備充電を停止するように構成される。
補助接点異常検出手段48は、開閉器SRC,SDC,SA,SDDの各々が有する補助接点の異常を検出するように構成される。上述したように、各開閉器は、主接点に連動する補助接点の開閉状態を示す信号を制御部15に出力するように構成される。これにより、制御部15は、各開閉器の出力信号に基づいて、各開閉器の主接点の開閉状態を検出することができる。
しかし、開閉器において補助接点の開閉状態を示す信号を正常に送信できない異常が発生した場合には、制御部15は、当該開閉器の主接点の開閉状態を検出することが困難となる。このような場合、制御部15は、開閉器の出力信号から開閉器の主接点の開閉状態を誤って検出してしまうことにより、コンデンサC1の予備充電の制御に支障が生じることが懸念される。
その一方で、予備充電の実行中に開閉器において補助接点に異常が生じても、主接点が正常に開閉できれば、コンデンサC1の予備充電を継続して実行しても問題がないと判断される。そこで、補助接点異常検出手段48は、開閉器の補助接点の異常を検出して予備充電停止手段50に検出結果を出力することで、予備充電停止手段50に対して、開閉器の主接点が正常であることを保証する。
図6は、図5に示した制御部15により実行されるコンデンサC1の予備充電制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図6を参照して、ステップS01により、制御部15は、無停電電源装置100の電源が投入されて制御電源16が確立したか否かを判定する。制御電源16が確立すると(S01のYES判定時)、制御部15は、処理をステップS02に進めて、交流予備充電モードを実行するための条件(以下、「交流予備充電モード条件」とも称す)が成立しているか否かを判定する。
図7は、図6のステップS02の処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、主に、予備充電モード選択手段44および予備充電回路異常検出手段46により実行される。
図7を参照して、予備充電モード選択手段44は、ステップS21により、交流入力電圧が異常であるか否かを判定する。ステップS21では、予備充電モード選択手段44は、電圧検出器17よる交流電圧VRの検出値が所定の基準電圧よりも低い場合に、交流入力電圧が異常であると判定する。予備充電モード選択手段44は、交流入力電圧が異常と判定された場合(S21のYES判定時)、ステップS24により、交流予備充電モードが不成立であると判定する。
一方、交流入力電圧が正常と判定された場合(S21のNO判定時)、予備充電モード選択手段44は、ステップS22により、交流予備充電回路12が異常であるか否かを判定する。ステップS22の判定は、予備充電回路異常検出手段46の出力信号に基づいて行なわれる。
予備充電回路異常検出手段46は、開閉器SRCをオンするための制御信号SRC_ONが出力されている状態において、直流電圧VDの検出値が上昇しない場合、交流予備充電回路12が異常と判定する。予備充電モード選択手段44は、交流予備充電回路12が異常と判定された場合(S22のYES判定時)、ステップS24により、交流予備充電モードが不成立であると判定する。
一方、交流予備充電回路12が正常と判定された場合(S22のNO判定時)、すなわち、交流入力電圧が正常であり、かつ、交流予備充電回路12が正常であると判定された場合、予備充電モード選択手段44は、ステップS23により、交流予備充電モード条件が成立していると判定する。
図6に戻って、交流予備充電モード条件が成立していると判定された場合(S02のYES判定時)、制御部15(予備充電モード選択手段44)は、ステップS03により、交流予備充電モードを選択する。ステップS03では、予備充電モード選択手段44は、Hレベルの信号を出力する。スイッチ42(図5)がHレベルの信号に応答してH状態に設定されることにより、制御信号SRC_ONが開閉器SRCに出力される。これにより、交流予備充電モードが実行される。
一方、交流予備充電モード条件が成立していないと判定された場合(S02のNO判定時)、制御部15(予備充電モード選択手段44)は、ステップS04により、直流予備充電モードを実行するための条件(以下、「直流予備充電モード条件」とも称す)が成立しているか否かを判定する。
図8は、図6のステップS04の処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、主に、予備充電モード選択手段44および予備充電回路異常検出手段46により実行される。
図8を参照して、予備充電モード選択手段44は、ステップS31により、交流予備充電モード条件が不成立であるか否かを判定する。交流予備充電モード条件が不成立である場合(S31のYES判定時)、予備充電モード選択手段44は、ステップS32により、直流入力電圧が異常であるか否かを判定する。ステップS32では、予備充電モード選択手段44は、電圧検出器17よるバッテリ電圧VBの検出値が所定の許容下限電圧よりも低い場合に、直流入力電圧が異常であると判定する。予備充電モード選択手段44は、直流入力電圧が異常と判定された場合(S32のYES判定時)、ステップS35により、直流予備充電モードが不成立であると判定する。
一方、直流入力電圧が正常と判定された場合(S32のNO判定時)、予備充電モード選択手段44は、ステップS33により、直流予備充電回路14が異常であるか否かを判定する。ステップS33の判定は、予備充電回路異常検出手段46の出力信号に基づいて行なわれる。
予備充電回路異常検出手段46は、開閉器SDCをオンするための制御信号SDC_ONが出力されている状態において、直流電圧VDの検出値が上昇しない場合、直流予備充電回路14が異常と判定する。予備充電モード選択手段44は、直流予備充電回路14が異常と判定された場合(S33のYES判定時)、ステップS35により、直流予備充電モードが不成立であると判定する。
一方、直流予備充電回路14が正常と判定された場合(S34のNO判定時)、すなわち、直流入力電圧が正常であり、かつ、直流予備充電回路14が正常であると判定された場合、予備充電モード選択手段44は、ステップS34により、直流予備充電モード条件が成立していると判定する。
図6に戻って、直流予備充電モード条件が成立していると判定された場合(S04のYES判定時)、制御部15(予備充電モード選択手段44)は、ステップS05により、直流予備充電モードを選択する。ステップS05では、予備充電モード選択手段44は、Lレベルの信号を出力する。スイッチ42がLレベルの信号に応答してL状態に設定されることにより、制御信号SDC_ONが開閉器SDCに出力される。これにより、直流予備充電モードが実行される。一方、直流予備充電モード条件が不成立と判定された場合(S04のNO判定時)、制御部15(予備充電モード選択手段44)は、処理を終了する。
交流予備充電モードの実行(S03)または直流予備充電モードの実行(S05)がなされると、制御部15は、ステップS06により、予備充電を完了するための条件(以下、「予備充電完了条件」とも称す)が成立しているか否かを判定する。
図9は、図6のステップS06の処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、主に、予備充電停止手段50により実行される。
図9を参照して、予備充電停止手段50は、ステップS51により、交流予備充電モードが実行されているか否かを判定する。ステップS51の判定は、予備充電モード選択手段44の出力信号に基づいて行なわれる。
交流予備充電モードが実行されている場合(S51のYES判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS52により、電圧検出器17による直流電圧VDの検出値が閾値(例えば、交流電圧VR×120%)以上であるか否かを判定する。直流電圧VDの検出値が閾値以上である場合(S52のYES判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS53により、予備充電完了条件が成立していると判定する。一方、直流電圧VDの検出値が閾値未満である場合(S52のNO判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS56により、予備充電完了条件が不成立であると判定する。
これに対して、交流予備充電モードが実行されていない場合(S51のNO判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS54により、直流予備充電モードが実行されているか否かを判定する。ステップS54の判定は、予備充電モード選択手段44の出力信号に基づいて行なわれる。
直流予備充電モードが実行されている場合(S54のYES判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS55により、電圧検出器17による直流電圧VDの検出値が閾値(例えば、バッテリ電圧VB×95%)以上であるか否かを判定する。直流電圧VDの検出値が閾値以上である場合(S55のYES判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS53により、予備充電完了条件が成立していると判定する。一方、直流電圧VDの検出値が閾値未満である場合(S55のNO判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS56により、予備充電完了条件が不成立であると判定する。
図6に戻って、予備充電完了条件が成立していると判定された場合(S06のYES判定時)、制御部15(予備充電停止手段50)は、ステップS10により、コンデンサC1の予備充電を停止する。ステップS10では、予備充電停止手段50は、スイッチ40(図5)を閉状態から開状態に切り替えることにより、開閉器SRCまたはSDCをオン状態からオフ状態に切り替える。
一方、予備充電完了条件が不成立であると判定された場合(S06のNO判定時)には、制御部15は、ステップS07により、コンデンサC1の予備充電の実行が不可となる条件(以下、「予備充電不可条件」とも称す)が成立しているか否かを判定する。
図10は、図6のステップS07の処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、主に、予備充電停止手段50により実行される。
図10を参照して、予備充電停止手段50は、ステップS61により、交流入力電圧が異常であるか否かを判定する。ステップS61では、予備充電停止手段50は、電圧検出器17よる交流電圧VRの検出値が所定の基準電圧よりも低い場合に、交流入力電圧が異常であると判定する。
予備充電停止手段50は、交流入力電圧が異常と判定された場合(S61のYES判定時)、ステップS62により、直流入力電圧が異常であるか否かを判定する。ステップS62では、予備充電停止手段50は、電圧検出器17よるバッテリ電圧VBの検出値が所定の許容下限電圧よりも低い場合に、直流入力電圧が異常であると判定する。予備充電停止手段50は、直流入力電圧が異常と判定された場合(S62のYES判定時)、すなわち、交流入力電圧が異常であり、かつ、直流入力電圧が異常である場合、ステップS63により、予備充電不可条件が成立していると判定する。
一方、交流入力電圧が正常と判定された場合(S61のNO判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS64により、交流予備充電回路12が異常であるか否かを判定する。ステップS64の判定は、予備充電回路異常検出手段46の出力信号に基づいて行なわれる。予備充電回路異常検出手段46は、開閉器SRCをオンするための制御信号SRC_ONが出力されている状態において、直流電圧VDの検出値が上昇しない場合、交流予備充電回路12が異常と判定する。
交流予備充電回路12が正常と判定された場合(S64のNO判定時)、すなわち、交流入力電圧が正常であり、かつ、交流予備充電回路12が正常である場合、予備充電停止手段50は、予備充電不可条件が不成立であると判定する。
一方、予備充電停止手段50は、交流予備充電回路12が異常と判定された場合(S64のYES判定時)、ステップS62により、直流入力電圧が異常であるか否かを判定する。予備充電停止手段50は、直流入力電圧が異常と判定された場合(S62のYES判定時)、すなわち、交流予備充電回路12が異常であり、かつ、直流入力電圧が異常である場合、ステップS63により、予備充電不可条件が成立していると判定する。
ステップS62にて直流入力電圧が正常と判定された場合(S62のNO判定時)、予備充電停止手段50は、ステップS65により、直流予備充電回路14が異常であるか否かを判定する。ステップS65の判定は、予備充電回路異常検出手段46の出力信号に基づいて行なわれる。予備充電回路異常検出手段46は、開閉器SDCをオンするための制御信号SDC_ONが出力されている状態において、直流電圧VDの検出値が上昇しない場合、直流予備充電回路14が異常と判定する。予備充電停止手段50は、直流予備充電回路14が異常と判定された場合(S65のYES判定時)、すなわち、交流入力電圧が異常であり、かつ、直流予備充電回路14が異常である場合、または、交流予備充電回路12が異常であり、かつ、直流予備充電回路14が異常である場合、ステップS63により、予備充電不可条件が成立していると判定する。
一方、直流予備充電回路14が正常と判定された場合(S65のNO判定時)、すなわち、交流入力電圧または交流予備充電回路12が異常であるが、直流入力電圧および直流予備充電回路14が正常である場合、予備充電停止手段50は、ステップS66により、予備充電不可条件が不成立であると判定する。
図6に戻って、制御部15(予備充電停止手段50)は、予備充電不可条件が不成立であると判定された場合(S07のNO判定時)、処理をステップS09に進めて、コンデンサC1の予備充電を実行する。
一方、予備充電不可条件が成立していると判定された場合(S07のYES判定時)、制御部15(予備充電停止手段50)は、ステップS08により、補助接点異常が検出されているか否かを判定する。
ステップS08における補助接点の異常検出は、主に、補助接点異常検出手段48により実行される。図5に戻って、補助接点異常検出手段48は、開閉器SRC,SDC,SA,SDDの各々の補助接点の異常を検出する。
具体的には、開閉器SRCから補助接点の開閉状態を示す信号SRC_AXを正常に受信できない場合には、開閉器SRCをオンするための制御信号SRC_ONが出力されている状況で、電圧検出器17による直流電圧VDの検出値が上昇していれば、開閉器SRCの主接点が閉状態であると判断することができる。したがって、補助接点異常検出手段48は、開閉器SRCの補助接点が異常である(=開閉器SRCの主接点は正常である)と判定する。
同様に、開閉器SDCから補助接点の開閉状態を示す信号SDC_AXを正常に受信できない場合には、開閉器SDCをオンするための制御信号SDC_ONが出力されている状況で、電圧検出器17による直流電圧VDの検出値が上昇していれば、開閉器SDCの主接点が閉状態であると判断することができる。したがって、補助接点異常検出手段48は、開閉器SDCの補助接点が異常である(=開閉器SDCの主接点は正常である)と判定する。
また、開閉器SAから補助接点の開閉状態を示す信号SA_AXを正常に受信できない場合には、電圧検出器17により交流電圧VRが正常に検出されていれば、開閉器SAの主接点が閉状態であると判断することができる。したがって、補助接点異常検出手段48は、開閉器SAの補助接点が異常である(=開閉器SAの主接点は正常である)と判定する。
同様に、開閉器SDDから補助接点の開閉状態を示す信号SDD_AXを正常に受信できない場合であっても、電圧検出器17によりバッテリ電圧VBが正常に検出されていれば、開閉器SDDの主接点が閉状態であると判断することができる。したがって、補助接点異常検出手段48は、開閉器SDDの補助接点が異常である(=開閉器SDDは主接点が正常である)と判定する。
図6に戻って、制御部15(予備充電停止手段50)は、開閉器SRC,SDC,SA,SDDの少なくとも1つから補助接点の開閉状態を示す信号が受信できない場合において、該開閉器の補助接点の異常と判定されたとき(S08のYES判定時)には、該開閉器の主接点が正常であると判断できるため、処理をステップS09に進めて、コンデンサC1の予備充電を実行する。
一方、制御部15は、開閉器SRC,SDC,SA,SDDの少なくとも1つから補助接点の開閉状態を示す信号が受信できない場合において、該開閉器の補助接点の異常と判定されないとき(S08のNO判定時)には、該開閉器の主接点が異常であると判断できるため、処理をステップS10に進めて、コンデンサC1の予備充電を停止する。
以上説明したように、本実施の形態に従う予備充電制御装置10によれば、交流電源5から供給される交流電圧によりコンデンサC1を予備充電する交流予備充電モードと、バッテリ7から供給される直流電圧(バッテリ電圧)によりコンデンサC1を予備充電する直流予備充電モードとを選択的に実行可能に構成される。これによると、交流予備充電モードおよび直流予備充電モードのいずれか一方の予備充電モードによる予備充電が実行できない場合であっても、他方の予備充電モードによる予備充電を実行することができる。
また、一方の予備充電モードの実行中に、当該予備充電モードを実行できない異常が検出された場合には、他方の予備充電モードに切り替えることができる。これにより、異常の検出後においても、コンデンサC1の予備充電を継続することができる。
さらに、いずれかの予備充電モードの実行中において、開閉器の補助接点の開閉状態を示す信号を正常に受信できない状態が生じた場合には、当該開閉器の補助接点の異常であるか否か(すなわち、当該開閉器の主接点は正常であるか否か)を判定することができる。これによると、開閉器の補助接点が異常(主接点が正常)と判定されるときには、コンデンサC1の予備充電に影響がないと判断できるため、コンデンサC1の予備充電を実行することができる。
このように、本実施の形態に係る予備充電制御装置および無停電電源装置によれば、平滑用コンデンサを確実に予備充電することができる。
なお、上述した実施の形態では、交流予備充電モードおよび直流予備充電モードのうち交流予備充電モードを優先的に実行する構成例について説明したが、直流予備充電モードを優先的に実行しても同様の作用効果を得ることができる。この場合、予備充電制御装置10は、無停電電源装置100の電源が投入されて制御電源が確立すると、最初に、直流予備充電モードを実行する。そして、直流予備充電モードの実行中において、直流入力電圧の異常または直流予備充電回路14の異常が検出されると、直流予備充電モードから交流予備充電モードに切り替えて、コンデンサC1の予備充電を継続する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。