以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、各実施の形態に共通する、開閉器の制御装置(以下、単に「制御装置」という)を説明するための図である。図1を参照して、制御装置100は、たとえば、電力供給システム1に用いられる。
電力供給システム1は、制御装置100と、電圧センサ131と、電流センサ132と、開閉器200と、負荷300と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2とを含む。電力供給システム1は、商用系統電力から負荷300に電力が供給されるだけでなく、太陽電池や燃料電池などの直流電源から負荷300に電力を供給する電力供給システムであってもよく、具体的には、住宅や工場、蓄電池を搭載した車両など、様々なものに適用できる。
電力線PLは、電力線PL1およびPL2を含む。電力線PL1およびPL2は、電力ノードN1およびN2に接続される。電力ノードN1およびN2には、図1には図示しない電力源から、電力が供給される。電力線PLは、電力源からの電力を、負荷300に伝送する。なお、電力源は、交流電源または直流電源に限定されない。交流電源は、たとえば、商用系統電力やモータを利用した発電機、パワーコンディショナなどの直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換機などが挙げられる。また、直流電源は、たとえば、太陽電池やリチウムイオン電池などの蓄電池、燃料電池などが挙げられる。
負荷300は、電力を消費する電気負荷である。負荷300は、たとえば電気器機である。負荷300への電力供給が行なわれると、負荷300は動作する。負荷300への電力供給が行なわれないと、負荷300の動作は停止する。
開閉器200は、少なくとも電力線PLに設けられる。開閉器200は、主接点部210と、連動部220とを含む。なお、後に図2などを参照して説明するように、主接点部210は主接点を含み、連動部220は補助接点を含む。
主接点部210は、たとえば電力線PL1に設けられる。主接点部210は、開状態および閉状態のいずれかの状態に切替わる。主接点部210が閉状態に切替わると、電力ノードN1と負荷300とが接続される。主接点部210が開状態に切替わると、電力ノードN1と負荷300とは切り離される。なお、主接点部210は、電力線PL2に設けられてもよい。あるいは、主接点部210は、電力線PL1および電力線PL2の両方の電力線に設けられてもよい。
連動部220の状態は、主接点部210の開閉状態に連動して切替わる。たとえば、主接点部210が開状態となると、連動部220は、それに応じた状態(第1の状態)に切替わる。主接点部210が閉状態となると、連動部220は、それに応じた状態(第2の状態)に切替わる。連動部220の第1の状態および第2の状態については、後に図2を参照してさらに説明する。
連動部220の状態は、主接点部210の開閉状態と同時に切替わる必要はなく、たとえば、時間差(タイムラグ)を有して切替わってもよい。
制御装置100は、開閉制御部110と、状態検出部120と、電圧電流検出部130とを含む。
開閉制御部110は、開閉器200の開閉動作を制御する。つまり、開閉制御部110は。主接点部210が開状態または閉状態となるように、主接点部210を制御する。
状態検出部120は、連動部220の状態を検出する。状態検出部120は、連動部220の状態を検出することによって、主接点部210の状態を検出することができる。開閉制御部110の制御と、主接点部210の状態とに基づいて、状態検出部120は、主接点部210が閉状態に固定される開閉器200の故障(閉故障)を検出する。開閉器200の閉故障は、たとえば、主接点部210が溶着することによって生じる。
電圧電流検出部130は、電力線PLの電圧および/または電力線PLを流れる電流を検出する。このため、電圧センサ131および/または電流センサ132が、電力線PLに設けられる。図1に示す例では、電圧センサ131は、電力線PL1とPL2との間に設けられる。電流センサ132は、電力線PL1に設けられる。電力線PL1でなく、電力線PL2に、電流センサ132が設けられてもよい。電圧センサ131の検出結果は、電圧電流検出部130に送られる。電流センサ132の検出結果は、電圧電流検出部130に送られる。説明の便宜上、電圧センサ131が検出する箇所における電力線PLの電圧を主電圧と称し、「V」として図示する。
電力供給システム1において、制御装置100は、開閉制御部110によって、開閉器200の開閉制御を行なう。また、制御装置100は、状態検出部120によって、開閉器200の閉故障を診断する。
開閉器200の閉故障の診断は、たとえば、次のようにして行なうことができる。
まず、主接点部210が開状態となるための制御が、開閉制御部110によって実行される。制御の詳細については、後に図2を参照してさらに説明する。
つぎに、主接点部210が開状態となるための制御が行なわれている間に、状態検出部120によって、連動部220の状態が検出される。状態検出部120は、連動部220の状態に基づいて、主接点部210が開状態であるか否かを判断する。すなわち、連動部220が第1の状態であれば、主接点部210は開状態と判断される。連動部220が第2の状態であれば、主接点部210は閉状態であると判断される。主接点部210が開状態となるための制御が行なわれているにもかかわらず、主接点部210が閉状態であると検出されれば、主接点部210は正常に動作していない。したがって、状態検出部120は、開閉器200が閉故障であると検出(診断)する。
しかし、上述のように開閉器200の閉故障を診断する場合に、開閉器200が閉故障でないにもかかわらず主接点部210を開状態に切替えるための制御が行なわれると、主接点部210が開状態に切替わってしまう。主接点部210が開状態に切替わると、電力線PLによる負荷300への電力伝送が遮断されるおそれがある。
そこで、開閉器200の閉故障を診断するために、以下の制御が実行される。
すなわち、所定期間のみ、主接点部210が開状態となるように、開閉制御部110が主接点部210を制御する。所定期間における連動部220の状態に基づいて、状態検出部120が、主接点部210の状態を検出する。ここで、所定期間は、主接点部210が開状態であっても負荷300の動作が停止しない期間に設定される。
このようにして開閉器200の閉故障の診断を行うことで、主接点部210が開状態になったとしても、負荷300の動作は停止することなく、開閉器200の閉故障の検出が可能になる。詳細については、後に、各実施の形態とともに説明する。
開閉器200の閉故障の診断は、あらかじめ定められた時刻、たとえば、1時間ごと(毎時0分など)、1日ごと(毎日0時など)、あるいは1か月ごと(毎月1日など)において行なわれてもよい。または、溶着が疑われるような場合、たとえば一時的に過電流が流れた場合などに、開閉器200の閉故障の診断が行なわれてもよい。
[実施の形態1]
図2は、実施の形態1に係る制御装置を説明するための図である。図2を参照して、制御装置100は、たとえば、電力供給システム1Aに用いられる。電力供給システム1Aは、制御装置100と、電圧センサ131と、電流センサ132と、開閉器200Aと、負荷300Aと、交流電源400と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2と、電源端子Vccとを含む。図1の電力供給システム1と同様の構成については、ここでは説明を繰り返さない。
開閉器200Aは、主接点部210Aと、連動部220Aと、励磁コイル230とを含む。主接点部210Aは、主接点(メイン接点)211を含む。連動部220Aは、補助接点221を含む。図2に示す例では、開閉器200Aは、センサ121と、スイッチ150と、抵抗R1とをさらに含む。
主接点211は、電力線PL1に設けられる。主接点211は、開状態または閉状態に切替わる。主接点211の開閉状態は、主接点部210Aの開閉状態にそれぞれ対応する。主接点211が閉状態に切替わると、電力線PLによる電力伝送によって、交流電源400からの電力が負荷300Aに供給される。主接点211が開状態に切替わると、電力線PLによる電力伝送が遮断される。そのため、交流電源400から負荷300Aへの電力供給が行われなくなり、負荷300Aの動作が停止する。
補助接点221の開閉状態は、主接点211の開閉状態に連動して切替わる。たとえば、主接点211が開状態に切替わると、補助接点221も開状態に切替わる。主接点211が閉状態に切替わると、補助接点221も閉状態に切替わる。補助接点221の開状態は、連動部220Aの第1の状態に対応する。補助接点221の閉状態は、連動部220Aの第2の状態に対応する。
補助接点221と主接点211との連動させるためには、種々の公知の技術を用いることができる。たとえば、主接点211のバネ(図示しない)と、補助接点221のバネ(図示しない)とが機械的に連動するように開閉器200Aを構成することで、補助接点221を、主接点211に連動させることができる。
補助接点221の一方端は、電源端子Vccに接続される。補助接点221の他方端は、抵抗R1の一方端に接続される。抵抗R1の他方端は、グランド(GND)1に接続される。GND1は、基準電位(たとえば0V)を有する。
電源端子Vccには、電圧が印加される。補助接点221が閉状態のとき、電源端子VccとGND1との間に発生する電位差によって、補助接点221および抵抗R1に電流が流れる。この電流の有無は、センサ121によって検出される。センサ121は、たとえば電圧センサである。センサ121が電圧センサの場合、センサ121は、抵抗R1に発生する電圧を検出することによって、補助接点221および抵抗R1を流れる電流の有無を検出できる。センサ121の検出結果は、状態検出部120に送信される。これにより、状態検出部120は、補助接点221の開閉状態、すなわち連動部220Aの状態を検出することができる。
なお、センサ121は、電流センサであってもよい。センサ121が電流センサの場合、センサ121は、補助接点221および抵抗R1を流れる電流を検出する。
励磁コイル230は、主接点211を開状態または閉状態に切替えるために用いられる。励磁コイル230に電流が流れると、磁場が発生する。たとえば、磁場が発生していると、主接点211が開状態となるように、主接点211が設計される。磁場が発生していないと、主接点211が閉状態となるように、主接点211が設計される。設計されるとは、主接点211が正常に動作する場合(開閉器200Aが閉故障でない場合)には、磁場が発生しているときに主接点211は開状態になることを意味する。逆に、主接点211が溶着などによって正常に動作しない場合(開閉器200Aが閉故障である場合)には、磁場が発生しても、主接点211は閉状態で固定されて、開状態に切替わらない。
なお、励磁コイル230に流れる電流と、主接点211の開閉状態とは、上述とは逆の関係であってもよい。すなわち、励磁コイル230に電流が流れて磁場が発生しているときに、主接点211が閉状態となるように、主接点211が設計されてもよい。
励磁コイル230の一方端は、電源端子Vccに接続される。励磁コイル230の他方端は、スイッチ150の一方端に接続される。スイッチ150の他方端はGND1に接続される。
スイッチ150は、開閉制御部110によって制御される。制御は、たとえば、開閉制御部110からスイッチ150に、開閉信号が送信されることによって行なわれる。開閉信号がONのとき、スイッチ150が導通状態(ON)とされる。このとき、電源端子VccとGND1との間に発生する電位差によって、励磁コイル230に電流が流れる。開閉信号がOFFのとき、スイッチ150が非導通状態(OFF)とされる。このとき、励磁コイル230には電流は流れない。このようにスイッチ150を制御することによって、開閉制御部110は、主接点211の開閉状態を切替えることができる。
交流電源400は、電力ノードN1およびN2に接続される。交流電源400は、交流電力を発生する。図2に示す例では、電力ノードN2は、グランド(GND)2に接続される。GND2は、基準電位を有する。GND2が有する基準電位は、GND1が有する基準電位と異なっていてもよい。
負荷300Aは、交流電力を受けて動作する。
電力供給システム1Aにおいて、開閉器200Aの閉故障を診断するために、以下の制御が実行される。
すなわち、所定期間、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。所定期間における補助接点221の状態に基づいて、状態検出部120が、主接点211の状態を検出する。
実施の形態1において、所定期間は、電力線PLの電圧(主電圧V)が所定電圧以上になった後に開始される。所定電圧は、主接点211が閉状態から開状態に切替わる際にアークが発生するのに必要な電圧に設定される。所定電圧は、たとえば、開閉器200の設計データおよび実験などに基づいて設定することができる。
主接点211が開状態に切替わったとしても、アークが発生していれば、アーク電流によって、電力線PLによる負荷300Aへの電力伝送が維持される。その結果、負荷300への電力供給が維持されるため、負荷300Aの動作は停止しない。
電力線PLの電圧が所定電圧以上であることの判断は、たとえば、電圧電流検出部130によって検出される電圧が所定電圧以上であるか否かを判断することによって行なわれ得る。電力線PLが伝送する電力の型が規定されており、電力線PLの電圧が予測可能であれば、電力線PLの電圧が所定電圧以上であることの判断が容易になる。これについては、後に[実施の形態3]で説明する。
図3は、実施の形態1において図2の制御装置100によって実行される処理の一例を説明するための図(タイミングチャート)である。図2および図3を参照して、図3の「主電圧V」は、電力線PLの電圧(図2中の「V])を示す。「開閉信号」は、開閉制御部110が主接点211の開閉状態を切替えるためにスイッチ150に送信する制御信号を示す。「主接点」は、主接点211の開閉状態を示す。「補助接点(状態検出)」は、補助接点221の開閉状態(状態検出部120の検出結果)を示す。「Vth1」は、主電圧Vに対して設定される閾値電圧(所定電圧)である。「dt1」は、開閉信号がOFFとされる期間(所定期間)である。
図2および図3を参照して、はじめに、時刻t0において、開閉信号がONとされている。開閉信号がONとされているため、主接点211は閉状態であり、補助接点221も閉状態である。なお、補助接点221の閉状態は、状態検出部120の検出結果と同じである。
時刻t100において、主電圧VがVth1以上となる。主電圧VがVth1以上のとき、たとえば時刻t110において、開閉信号がOFFとされる。これにより、主接点211が開状態に切替わるように制御される。
以下、開閉器200Aが閉故障でない場合と、閉故障である場合とについてそれぞれ説明する。
[開閉器200Aが閉故障でない場合]
開閉器200Aが閉故障でない場合は、時刻t110において開閉信号がOFFとされると、主接点211は、閉状態から開状態に切替わる。このとき、主電圧Vは、閾値電圧Vth1以上であるため、主接点211においてアーク放電が発生する。アーク放電によって、アーク電流が流れる。アーク電流が流れているため、主接点211が開状態であったとしても、負荷300Aへの電力供給が維持される。そのため、負荷300Aの動作は停止しない。
時刻t110において主接点211が開状態に切替わることに応じて、時刻t120において、補助接点221が開状態に切替わる。時刻t110と時刻t120との時間差は、主接点211の切替えと補助接点221の切替えとのタイムラグに相当する。タイムラグがない場合、時刻t110と時刻t120とは同じ時刻となる。補助接点221の開状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が開状態であることを検出する。これにより、開閉信号の「OFF」に応じて主接点211が正常に開状態に切替わったことが検出される。したがって、開閉器200Aは、閉故障でないと診断される。
なお、時刻t120の後、一旦、補助接点221が開状態に切替わり、その後、時刻t130において再び閉状態に切替わる。これは、補助接点221のチャタリングを表している。図3に示す例では、チャタリングは、時刻t130に収束する。図示しないが、主接点211においてもチャタリングが生じ得る。
時刻t140において、主電圧Vが閾値電圧Vth1を下回る。主電圧Vが閾値電圧Vth1を下回っても、アーク放電は維持される。したがって、主電圧Vが閾値電圧Vth1を下回る時刻t140においては、開閉信号はいまだOFFとされていてもよい。アーク放電は、最長で、主電圧Vがゼロになる(後述の時刻t180)まで維持され得る。したがって、開閉信号がOFFとされる期間(所定期間dt1)は、最長で、交流電力の半周期である。換言すれば、所定期間dt1は、交流電力の半周期以下に設定される。なお、主接点211が閉状態に切替わると、アーク放電は終了する。
時刻t150において、開閉信号がONとされる。これにより、主接点211が閉状態に切替わる。主接点211が閉状態であるため、交流電源400の電力が、電力線PLの電力伝送によって、負荷300Aに供給される。そのため、負荷300Aの動作が維持される。なお、主接点211が閉状態に切替わると、アーク放電は終了する。
時刻t150において主接点211が閉状態に切替わることに応じて、時刻t160において、補助接点221も閉状態に切替わる。時刻t160の後、一旦、補助接点221が開状態となり、その後、時刻t170において再び閉状態となっている。これは、補助接点221のチャタリングを表している。図3に示す例では、時刻t170において、チャタリングが収束する。
時刻t180において、主電圧Vはゼロになる。
[開閉器200Aが閉故障の場合]
開閉器200Aが閉故障の場合は、時刻t110において開閉信号がOFFとされても、主接点211は、閉状態で固定されているため、開状態に切替わらない(図3中、一点鎖線で示される)。したがって、補助接点221も、閉状態のままである(図3中、一点鎖線で示される)。補助接点221の閉状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が閉状態であることを検出する。これにより、開閉信号が「OFF」であるにもかかわらず、主接点211が閉状態となっていることが検出される。したがって、開閉器200Aは閉故障であると診断される。
図3に示すタイミングチャートによれば、開閉器200Aの閉故障を診断するため、主電圧Vが閾値電圧Vth1(所定電圧)以上のときに、所定期間dt1(時刻t110〜時刻t150)、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。これにより、アーク放電が発生して、負荷300Aへの電力供給が維持される。状態検出部120は、所定期間dt1における補助接点221の状態に基づいて、主接点211の状態を検出することによって、開閉器200Aを診断する。したがって、負荷300Aの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
図4は、アーク放電を模式的に説明するための図である。図4を参照して、主接点211は開状態とされている。主接点211においてアーク放電が発生したことにより、アーク電流Iarcが流れている。アーク電流Iarcが流れることによって、主接点211が開状態であっても、電力線PLによる電力伝送が維持される。
[実施の形態2]
実施の形態1では、電力線PL(図1など)が交流電力を伝送する場合について説明した。これに対し、実施の形態2では、電力線PLが直流電力を伝送する場合について説明する。
図5は、実施の形態2に係る制御装置を説明するための図である。図5を参照して、制御装置100Aは、たとえば、電力供給システム1Bに用いられる。電力供給システム1Bは、制御装置100Aと、電圧センサ131と、電流センサ132と、スイッチ150と、開閉器200Aと、負荷300Bと、直流電源400Aと、コンデンサ500と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2と、抵抗R1と、電源端子Vccとを含む。図1および図2を参照して説明した電力供給システム1および1Aと同様の構成については、ここでは説明を繰り返さない。
制御装置100Aは、開閉制御部110Aと、状態検出部120と、電圧電流検出部130とを含む。
開閉制御部110Aは、先に説明した開閉制御部110(図2)と同様の機能を有する。開閉制御部110Aは、たとえば、スイッチ150を制御するタイミングにおいて、開閉制御部110と異なる。
直流電源400Aは、電力ノードN1およびN2に接続される。直流電源400Aは、直流電力を発生する。図5に示す例では、直流電源400Aのプラス側(+)は、電力ノードN1に接続される。直流電源400Aのマイナス側(−)は、電力ノードN2に接続される。
負荷300Bは、直流電力を受けて動作する。説明の便宜上、負荷300Bに供給される電流を「IL」として図示する。
コンデンサ500は、電力貯蔵装置として電力線PLと負荷300Bとの間に設けられる。コンデンサ500は、一方端(+)が電力線PL1に接続され、他方端(−)が電力線PL2に接続されることによって、負荷300Bに対して並列に設けられる。電力貯蔵装置としては、コンデンサ500の代わりに、たとえば、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などの蓄電池が用いられてもよい。以下では、電力貯蔵装置としてコンデンサ500を適用した実施の形態について説明する。
コンデンサ500は、電力線PLの電力(直流電源400Aからの電力)によって充電される。コンデンサ500の充電電力は、負荷300Aに放電される。これにより、負荷300Aへの電力供給が安定化する。説明の便宜上、コンデンサ500の電圧を「Vc」として図示する。Vcは、(開閉器200Aよりも負荷300B側の)電力線PLの電圧Vと等しい。
なお、主接点211が開状態であってコンデンサ500が充電されていないときに、主接点211が閉状態に切替わると、コンデンサ500に突入電流が流れる。そのため、突入電流を防止する種々の手段が用いられてもよい。たとえば、リレーと抵抗器との並列接続構成(図示しない)を、コンデンサ500の一方端(+)と電力線PL1との間に設けることによって、突入電流を防止することができる。
電力供給システム1Bにおいて、開閉器200Aの閉故障を診断するために、以下の制御が実行される。
すなわち、所定期間、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。所定期間における補助接点221の状態に基づいて、状態検出部120が、主接点211の状態を検出する。
実施の形態2において、所定期間は、電力線PLの電圧(主電圧V)が所定電圧以上になった後に開始する。図5に示す例では、コンデンサ500の電圧は、電力線PLの電圧に等しい。すなわち、所定期間は、コンデンサ500の電圧が所定電圧以上に充電された後に開始する。
所定期間は、負荷300Bがコンデンサ500からの電力(放電電力)のみによって動作可能な期間長以下に設定される。そのため、主接点211が開状態であっても、所定期間、コンデンサ500から負荷300Bに電力が供給される。その結果、負荷300Bへの電力供給が維持されるため、負荷300Bの動作は停止しない。
所定期間は、たとえば、コンデンサ500に蓄えられている電荷量と、負荷300Bに流れている電流ILとによって決まる。コンデンサ500に蓄えられている電荷量は、コンデンサ500の容量と、コンデンサ500の電圧とに基づいて求めることができる。負荷300Bに流れている電流ILは、たとえば電流センサ132によって検出できる。
図6は、実施の形態2において図5の制御装置100Aによって実行される処理の一例を説明するための図(タイミングチャート)である。図6の「コンデンサ電圧Vc」は、コンデンサ500の電圧(Vc)を示す。コンデンサ電圧Vcは、電力線PLの電圧(主電圧V)に等しい。「電流IL」は、負荷300Bに供給される電流である。「Vth2」は、コンデンサ電圧Vc(主電圧V)に対して設定される閾値電圧(所定電圧)である。「dt2」は、開閉信号がOFFとされる期間(所定期間)である。図5に示すコンデンサ500は、当初、完全には充電されていないものとする。
図5および図6を参照して、はじめに、時刻t0において、開閉信号がONとされている。開閉信号がONとされているため、主接点211は閉状態であり、補助接点221も閉状態である。主接点211が閉状態であるため、コンデンサ500は直流電源400Aからの電力によって充電されており、コンデンサ電圧Vc(主電圧V)は時間とともに上昇する。電流ILは、ほぼ一定である。電流ILが流れていることは、負荷300Bには電力が供給されて、負荷300Bが動作していることを意味する。
時刻t200において、コンデンサ電圧Vc(主電圧V)がVth2に到達する。コンデンサ電圧Vc(主電圧V)がVth2以上の、たとえば時刻t210において、開閉信号がOFFとされる。これにより、主接点211が開状態に切替わるように制御される。
以下、開閉器200Aが閉故障でない場合と、閉故障である場合とについてそれぞれ説明する。
[開閉器200Aが閉故障でない場合]
開閉器200Aが閉故障でない場合は、時刻t210において開閉信号がOFFとされると、主接点211は、閉状態から開状態に切替わる。主接点211が閉状態から開状態に切替わると、電力線PLによる直流電源400Aから負荷300Bへの電力伝送が遮断される。このとき、直流電源400Aの電力に代えて、コンデンサ500に蓄えられている電力が、負荷300Bに供給される。すなわち、図6に示すように、時刻t210において主接点211が開状態に切替わった後も、電流ILが流れ続け、負荷300Bへの電力供給が維持される。したがって、負荷300Bの動作は停止しない。
時刻t210において主接点211が開状態に切替わることに応じて、時刻t220において、補助接点221が開状態に切替わる。補助接点221の開状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が開状態であることを検出する。これにより、開閉信号の「OFF」に応じて主接点211が正常に開状態に切替わったことが検出される。したがって、開閉器200Aは、閉故障でないと診断される。
なお、時刻t220〜t230において、補助接点221のチャタリングが生じている。図6に示す例では、チャタリングは、時刻t230に収束する。図示しないが、主接点211においてもチャタリングが生じ得る。
時刻t240において、コンデンサ電圧Vcが閾値電圧Vth2を下回る。主電圧Vが閾値電圧Vth2を下回っても、コンデンサ500が放電可能である限り、電流ILが流れて、負荷300Bへの電力供給が維持される。したがって、主電圧Vが閾値電圧Vth2を下回る時刻t240においては、開閉信号は依然としてOFFとされていてもよい。
時刻t250において、開閉信号がONとされる。これにより、主接点211が閉状態に切替わる。主接点211が閉状態であるため、直流電源400Aの電力が、電力線PLの電力伝送によって、負荷300Bに供給される。そのため、負荷300Bの動作が維持される。なお、主接点211が閉状態に切替わると、コンデンサ500が再び充電されて、コンデンサ電圧Vcは上昇し得るが、図6に示す例では、後の時刻t270辺りにおいて、コンデンサ電圧Vcが上昇を開始する。これは、図示しない主接点211のチャタリングが時刻t270辺りに収束して、その後、コンデンサ電圧Vcが上昇することを表している。
時刻t250において主接点211が閉状態に切替わることに応じて、時刻t260において、補助接点221も閉状態に切替わる。時刻t260の後、一旦、補助接点221が開状態となり、その後、時刻t270において再び閉状態となっている。これは、補助接点221のチャタリングを表している。図6に示す例では、チャタリングは、時刻t270に収束する。
なお、時刻t280において、主電圧Vは再び閾値電圧Vth2以上になる。
[開閉器200Aが閉故障の場合]
開閉器200Aが閉故障の場合は、時刻t210において開閉信号がOFFとされても、主接点211は、閉状態で固定されているため、開状態に切替わらない(図6中、一点鎖線で示される)。したがって、補助接点221も、開状態のままである(図6中、一点鎖線で示される)。コンデンサ500も放電されないため、コンデンサ電圧Vc(主電圧V)も、一定である(図6中、一点鎖線で示される)。補助接点221の閉状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が閉状態であることを検出する。これにより、開閉信号が「OFF」であるにもかかわらず、主接点211が閉状態となっていることが検出される。したがって、開閉器200Aは閉故障であると診断される。
図6に示すタイミングチャートによれば、開閉器200Aの故障を診断するため、(コンデンサ電圧Vc(主電圧V)が閾値電圧Vth2(所定電圧)以上のときに、所定期間dt2(時刻t210〜時刻t250)、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110Aが主接点211を制御する。これにより、コンデンサ500の放電によって、負荷300Bへの電力供給が維持される。状態検出部120は、所定期間dt2における補助接点221の状態に基づいて、主接点211の状態を検出することによって、開閉器200Aを診断する。したがって、負荷300Bの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
[実施の形態3]
実施の形態2では、電力線PL(図1など)が直流電力を伝送する場合について説明した。実施の形態3では、先に説明した実施の形態1と同様に電力線PLが交流電力を伝送する場合について説明する。実施の形態3は、電力線PLの電圧を予測する点などにおいて、実施の形態1と異なる。
再び図2を参照して、電力線PLの電圧が予測可能であれば、電圧電流検出部130によって検出される電圧が所定電圧以上(先に実施の形態1で説明したアーク放電が発生する電圧)であるか否かの判断が行ないやすくなる。
具体的に、たとえば、電力線PLが伝送する交流電力が所定の正弦波交流電力であれば、電力線PLの電圧を予測することができる。所定の正弦波交流電力は、たとえば所定の周波数(50Hzまたは60Hzなど)および所定の電圧(実効値が100Vまたは200Vなど)を有する、正弦波交流電力である。
すなわち、正弦波交流電力であれば、電圧がゼロとなる点(ゼロクロス点)での時刻に基づいて、その後の任意の時刻における電圧が予測できる。そこで、実施の形態3では、アーク放電が発生する電圧に到達する時刻(この時刻を、ゼロクロス点から所定の遅延時間ΔT1経過後の時刻とする)を予測し、その時刻から、所定期間、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。このような制御によっても、主接点211が開状態に切替わるとアーク放電が発生する。したがって、主接点211が開状態であったとしても、アーク電流によって、負荷300への電力供給が維持される。
なお、ゼロクロス点は、たとえば、電圧電流検出部130によって検出することができる。
図7は、実施の形態3において図2の制御装置100によって実行される処理の一例を説明するための図(タイミングチャート)である。図7に示す例では、主電圧Vは、正弦波である。「dt3」は、開閉信号がOFFとされる期間(所定期間)である。「Ton」は、チャタリングが収束する時間である。
図2および図7を参照して、はじめに、時刻t0において、開閉信号がONとされている。開閉信号がONとされているため、主接点211は閉状態であり、補助接点221も閉状態である。
時刻t300において、主電圧Vがゼロとなる。すなわち、時刻t300は、ゼロクロス点の時刻である。
時刻t310において、主電圧Vは、閾値電圧Vth1に到達する。
主電圧Vが閾値電圧Vth1以上となる時刻t300から所定の遅延時間(ΔT1)経過したとき、すなわち時刻t320において、開閉信号がOFFとされる。これにより、主接点211が開状態に切替わるように制御される。
以下、開閉器200Aが閉故障でない場合と、閉故障である場合とについてそれぞれ説明する。
[開閉器200Aが閉故障でない場合]
開閉器200Aが閉故障でない場合は、時刻t320において開閉信号がOFFとされると、主接点211は、閉状態から開状態に切替わる。このとき、主電圧Vは、閾値電圧Vth1以上であるため、主接点211においてアーク放電が発生する。これにより、負荷300Aへの電力供給が維持されるため、負荷300Aの動作は停止しない。なお、このとき、主電圧Vが実際に閾値電圧Vth1以上であることを、電圧電流検出部130が確認してもよい。
以下、時刻t330〜時刻t370において、図3の時刻t120〜t160と同様にして、開閉器200Aは閉故障でないと診断される。
時刻t380において、補助接点221のチャタリングが収束する。また、主電圧VがVth1以下となる。
[開閉器200Aが閉故障の場合]
開閉器200Aが閉故障の場合は、時刻t320において開閉信号がOFFとされても、主接点211は、閉状態で固定されているため、開状態に切替わらない(図7中、一点鎖線で示される)。したがって、補助接点221も、閉状態のままである(図7中、一点鎖線で示される)。したがって、開閉器200Aは閉故障であると診断される。
図7に示すタイミングチャートによれば、開閉器200Aの故障を診断するため、主電圧Vがゼロになったゼロクロス点(時刻t300)から所定の遅延時間(ΔT1)が経過した後に、所定期間dt3(時刻t320〜時刻t360)、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。所定期間dt3は、先のゼロクロス点(時刻t300)の次のゼロクロス点(時刻t380)の前に終了する。これにより、アーク放電が発生して、負荷300Aへの電力供給が維持される。状態検出部120は、所定期間dt3における補助接点221の状態に基づいて主接点211の状態を検出することによって、開閉器200Aを診断する。したがって、負荷300Aの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
図7に示すタイミングチャートにおいて、遅延時間ΔT1は、たとえば、次のように計算できる。すなわち、電力線PLが伝送する正弦波交流電力の周波数が50Hzの場合であれば、その半周期は10msecとなる。その場合、たとえば、ΔT1=10msec−(dt3+Ton)として、ΔT1を設定することができる。
[実施の形態4]
実施の形態4では、先に説明した実施の形態1および実施の形態3と同様に電力線PL(図1など)が交流電力を伝送する場合について説明する。実施の形態4は、アーク放電を利用しない点などにおいて、実施の形態1および実施の形態3と異なる。
再び図2を参照して、負荷300Aのように交流電力を受ける負荷のなかには、内部に整流回路を含む負荷も存在し得る。整流回路は、たとえば整流素子とコンデンサを含む。
図8は、実施の形態4に係る制御装置を説明するための図である。図8を参照して、制御装置100Bは、たとえば、電力供給システム1Cに用いられる。電力供給システム1Cは、制御装置100Bと、電圧センサ131と、電流センサ132と、スイッチ150と、開閉器200Aと、負荷300Cと、交流電源400と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2と、抵抗R1と、電源端子Vccとを含む。先に図1、図2および図5を参照して説明した電力供給システム1,1Aおよび1Bと同様の構成については、ここでは説明を繰り返さない。
制御装置100Bは、開閉制御部110Bと、状態検出部120と、電圧電流検出部130とを含む。
開閉制御部110Bは、先に説明した開閉制御部110(図2)と同様の機能を有する。開閉制御部110Bは、たとえば、スイッチ150を制御するタイミングにおいて、開閉制御部110と異なる。
負荷300Cは、ダイオード311〜314と、コンデンサ320と、電力消費部330とを含む。
ダイオード311〜314は、整流素子として用いられる。ダイオード311〜314は、いわゆるダイオードブリッジによる全波整流回路を構成する。コンデンサ320は、全波整流回路の出力を平滑化するための平滑コンデンサである。
電力消費部330は、ダイオード311〜314によって整流され、コンデンサ320によって平滑化された電力、すなわち直流電力を消費する。電力消費部330が直流電力を消費することによって、負荷300Cが動作する。電力消費部330が消費する電力は、負荷300Cの消費電力となる。
コンデンサ320の電圧は、充放電されることによって変化する。また、電力線PLの電圧(交流電源400の電圧)は交流電圧であり、時間とともに変化する。電力線PLの電圧の絶対値が、コンデンサ320の電圧よりも小さいとき、交流電源400の電力は、電力線PLの電力伝送によってコンデンサ320側には供給されない。このときは、交流電源400に代えて、コンデンサ320からの電力が、電力消費部330に供給される。とくに、電力線PLの電圧がゼロ付近(ゼロクロス点付近)のときに、電力線PLの電圧の絶対値がコンデンサ320の電圧よりも小さくなりやすい。
電力供給システム1Cにおいて、開閉器200Aの閉故障を診断するために、以下の制御が実行される。
すなわち、ゼロクロス点付近において、所定期間、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110が主接点211を制御する。所定期間における補助接点221の状態に基づいて、状態検出部120が、主接点211の状態を検出する。
所定期間は、負荷300Cがコンデンサ320の電力(放電電力)のみによって動作可能な期間長以下に設定される。そのため、主接点211が開状態であっても、所定期間、コンデンサ320から電力消費部330に電力が供給される。その結果、負荷300Cの動作は停止しない。
図9は、実施の形態4において図8の制御装置100Bによって実行される処理を説明するための図(タイミングチャート)である。「dt4」は、開閉信号がOFFとされる期間(所定期間)である。
図8および図9を参照して、はじめに、時刻t0において、開閉信号がONとされている。開閉信号がONとされているため、主接点211は閉状態であり、補助接点221も閉状態である。
時刻t400において、主電圧Vがゼロとなる。すなわち、時刻t400は、ゼロクロス点の時刻である。
時刻t400から所定の遅延時間(ΔT2)経過したとき、すなわち時刻t410において、開閉信号がOFFとされる。これにより、主接点211が開状態に切替わるように制御される。時刻t410は、時刻t400のゼロクロス点の次のゼロクロス点(後述の時刻t440)付近であって、次のゼロクロス点よりも前の時刻である。
以下、開閉器200Aが閉故障でない場合と、閉故障である場合とについてそれぞれ説明する。
[開閉器200Aが閉故障でない場合]
開閉器200Aが閉故障でない場合は、時刻t410において開閉信号がOFFとされると、主接点211は、閉状態から開状態に切替わる。これにより、電力線PLによる交流電源400から負荷300Cへの電力伝送が遮断される。そのため、電流ILも流れなくなる(ゼロになる)。このとき、交流電源400の電力に代えて、コンデンサ320の電力が、負荷300Cの電力消費部330に供給される。これにより、電力消費部330への電力供給が維持されるため、負荷300Cの動作は停止しない。
時刻t410において主接点211が開状態に切替わることに応じて、時刻t420において、補助接点221が開状態に切替わる。補助接点221の開状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が開状態であることを検出する。これにより、開閉信号の「OFF」に応じて主接点211が開状態となったことが検出される。したがって、開閉器200Aは、閉故障でないと診断される。
なお、時刻t420〜t430において、補助接点221のチャタリングが生じている。図9に示す例では、チャタリングは、時刻t430に収束する。図示しないが、主接点211においてもチャタリングが生じ得る。
時刻t440において、主電圧Vがゼロとなる。すなわち、時刻t440は、ゼロクロス点である。このとき、開閉信号は依然としてOFFとされている。
時刻t450において、開閉信号がONとされる。これにより、主接点211が閉状態に切替わる。主接点211が開状態であるため、交流電源400の電力が、電力線PLの電力伝送によって、負荷300Cの電力消費部330に供給される。そのため、負荷300Cの動作が維持される。時刻t450は、ゼロクロス点である時刻t440の付近であって、時刻t440よりも後の時刻である。
時刻t450において主接点211が閉状態に切替わることに応じて、時刻t460において、補助接点221も閉状態に切替わる。その後、補助接点221のチャタリングが生じている。図9に示す例では、チャタリングは、時刻t470に収束する。
[開閉器200Aが閉故障の場合]
開閉器200Aが閉故障の場合は、時刻t410において開閉信号がOFFとされても、主接点211は、閉状態で固定されているため、開状態に切替わらない(図9中、一点鎖線で示される)。したがって、補助接点221も、開状態のままである(図9中、一点鎖線で示される)。補助接点221の開状態を検出することによって、状態検出部120は、主接点211が開状態であることを検出する。これにより、開閉信号が「OFF」であるにもかかわらず、主接点211が閉状態となっていることが検出される。したがって、開閉器200Aは閉故障であると診断される。
図9に示すタイミングチャートによれば、開閉器200Aの故障を診断するため、主電圧Vがゼロとなるゼロクロス点の時刻(時刻t440)の付近において、所定期間dt4(時刻t420〜時刻t450)、主接点211が開状態となるように、開閉制御部110Bが主接点211を制御する。この時、コンデンサ320の放電によって、電力消費部330への電力供給が維持される。状態検出部120は、所定期間dt4における補助接点221の状態に基づいて、主接点211の状態を検出することによって、開閉器200Aを診断する。したがって、負荷300Cの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
図9に示すタイミングチャートにおいて、遅延時間ΔT2は、たとえば、次のように計算できる。すなわち、電力線PLが伝送する正弦波交流電力の周波数が50Hzの場合であれば、その半周期は10msecとなる。その場合、たとえば、ΔT2=10msec−(dt4+Ton)/2として、ΔT2を設定することができる。
[実施の形態5]
実施の形態1〜実施の形態4では、1つの開閉器(図2などの開閉器200A)を用いる場合について説明した。実施の形態5では、複数の開閉器を用いる場合について説明する。
図10は、実施の形態5に係る制御装置を説明するための図である。図10を参照して、制御装置100Cは、たとえば、電力供給システム1Dに用いられる。電力供給システム1Dは、制御装置100Cと、電圧センサ131と、電流センサ132と、スイッチ150と、開閉器200−1,200−2と、負荷300と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2とを含む。先に図1、図2、図5および図8を参照して説明した電力供給システム1,1A,1Bおよび1Cと同様の構成については、ここでは説明を繰り返さない。
開閉器200−1は、電力線PLに設けられる。開閉器200−1は、主接点部210−1と、連動部220−1とを含む。開閉器200−1は、先に図1を参照して説明した開閉器200と同様の構成および機能を有する。主接点部210−1および連動部220−1は、それぞれ、図1の主接点部210および連動部220と同様の構成および機能を有する。開閉器200−2は、開閉器200−1と同様の構成および機能を有する。
電力線PLは、電力線PL1およびPL2を含む。電力線PL1は、電力線PL1−1,PL1−2を含む。電力線PL1−1およびPL1−2は、互いに並列に接続される。
電力供給システム1Dでは、2つ以上の開閉器が用いられる。各開閉器は、並列に配置される。図10に示す例では、開閉器200−1は、電力線PL1−1に設けられる。開閉器200−2は、開閉器200−1をバイパス可能なように、電力線PL1−1を介して、開閉器200に接続される。
制御装置100Cは、開閉制御部110Cと、状態検出部120Cと、電圧電流検出部130とを含む。
開閉制御部110Cは、主接点部210−1および210−2の開閉動作を制御する。主接点部210−1の制御と、主接点部210−2の制御とは、独立して行なうことが可能である。
状態検出部120Cは、連動部220−1および220−2の状態を検出する。連動部220−1の状態の検出と、連動部220−2の状態の検出とは、独立して行なわれる。
開閉制御部110Cが主接点部210−1および210−2の開閉動作を独立して制御し、状態検出部120Cが連動部220−1および220−2の状態を独立して検出するため、制御装置100Cは、開閉器200−1および開閉器200−2の閉故障をそれぞれ検出することができる。
電力供給システム1Dにおいて、開閉器200−1の閉故障を診断するために、以下の制御が実行される。
すなわち、所定期間のみ、主接点部210−2を閉状態にしたまま、主接点部210−1が開状態となるように、開閉制御部110Cが主接点部210−1を制御する。所定期間における連動部220−1の状態に基づいて、状態検出部120Cが、主接点部210−1の状態を検出する。
実施の形態5において、所定期間は、負荷300の動作に必要な電力が、開閉器200−2の容量以下のときに開始される。開閉器200−2の容量は、たとえば、主接点部210−2に流すことができる電流の大きさの上限である。
このようにして開閉器200−1の閉故障の診断を行うことで、主接点部210−1が開状態になったとしても、開閉器200−2を介して、電力ノードN1およびN2からの電力が負荷300に供給される。したがって、負荷300の動作を停止することなく、開閉器200−1の閉故障の検出が可能になる。
負荷300の動作に必要な電力は、たとえば、現時点での負荷300の消費電力として求めることができる。また、現時点での負荷300の消費電力に、適切な補正を行なうことにより、負荷300の動作に必要な電力を求めてもよい。補正は、たとえば、現時点での負荷300の消費電力に、所定のマージンを加算することによって行なわれてもよい。あるいは、補正は、たとえば、負荷300の消費電力の変化率に基づいて、将来の負荷300の消費電力を予測して算出することによって行なわれてもよい。
現時点での負荷300の消費電力は、たとえば、電圧電流検出部130を用いることによって取得できる。
一方、開閉器200−2の閉故障を診断するためには、以下の制御が実行される。
すなわち、所定期間のみ、主接点部210−1を閉状態にしたまま、主接点部210−2が開状態となるように、開閉制御部110Cが主接点部210−2を制御する。所定期間における連動部220−2の状態に基づいて、状態検出部120Cが、主接点部210−2の状態を検出する。
この場合、所定期間は、負荷300の動作に必要な電力が、開閉器200−1の容量以下のときに開始される。開閉器200−2の容量は、たとえば、主接点部210−2に流すことができる電流の大きさの上限である。開閉器200−2の容量は、開閉器200−1の容量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
このようにして開閉器200−2の閉故障の診断を行うことで、主接点部210−2が開状態になったとしても、開閉器200−1を介して、電力ノードN1,N2からの電力が負荷300に供給される。したがって、負荷300の動作を停止することなく、開閉器200−2の閉故障の検出が可能になる。
このように、電力供給システム1Dでは、開閉器200−1と、開閉器200−2との2つの開閉器を利用して、一方の開閉器によって電力線PLによる負荷300への電力供給を維持しながら、他方の開閉器を診断することで、負荷300の動作を停止することなく、各開閉器の閉故障を検出することが可能となる。
なお、図10を参照して、開閉器200−1と、開閉器200−2との2つの開閉器を利用する例について説明したが、開閉器の数は2つに限定されない。開閉器の数は、3つ以上であってもよい。
[適用例]
図11は、制御装置の適用例を説明するための図である。この適用例では、制御装置の機能がパワーコンディショナに組込まれて実現される。そのため、制御装置の構成要素は、パワーコンディショナの内部に設けられる図11を参照して、電力供給システム1Eは、パワーコンディショナ10と、電圧センサ131と、電流センサ132と、負荷300と、分電盤600と、電力線PLと、電力ノードN1およびN2とを含む。
パワーコンディショナ10は、電力変換部11と、制御部12とを含む。
電力変換部11には、電力Pが入力される。電力Pは、たとえば太陽電池、リチウムイオン電池および燃料電池などの直流電源から供給される。
電力変換部11は、入力された電力Pを、負荷300が消費するための電力に変換して、電力ノードN1およびN2に出力する。電力変換部11は、電力変換に必要な回路(たとえばインバータ回路など)を含む。
制御部12は、電力変換部11を制御する。制御は、たとえば制御信号を用いて行なわれる。制御信号によって、電力変換部11に含まれる回路が制御される。回路がインバータ回路の場合には、たとえば、インバータ回路に含まれるスイッチング素子のオン・オフが制御される。
分電盤600は、開閉器200Bを含む。開閉器200Bは、センサ121と、スイッチ150と、抵抗R1とを有さない点において、開閉器200A(図2など)とは異なる。開閉器200Bの他の部分の構成は、図2などに示す開閉器200Aの対応する部分と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。このように、図11に示す例では、開閉器200Bは、分電盤600の中に設けられる。
パワーコンディショナ10は、開閉制御部110と、状態検出部120と、電圧・電流検出部130と、スイッチ150と、抵抗R1と、センサ121と、電源端子Vccとをさらに含む。これらの構成要素については、図2中の対応する部分と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。なお、図11では、電圧センサ131および電流センサ132の検出結果が「S1」および「S2」として示される。「S1」および「S2」は、電圧・電流検出部130に入力される。また、電源端子Vccには、パワーコンディショナ10内部で生成された電圧が印加され得る。
このようにして、パワーコンディショナ10には、先に説明した制御装置(たとえば図2の制御装置100)の機能が組込まれる。この機能によって、開閉器200Bの閉故障を検出することができる。すなわち、図11の構成とすることで、パワーコンディショナ10からの電力を負荷300に伝送する電力線PLに設けられる開閉器200Bの閉故障を検出することが可能になる。
なお、開閉制御部110、状態検出部120、および電圧・電流検出部130の機能は、制御部12に組込まれて実現されてもよい。
最後に、本発明の実施の形態について総括する。図1を参照して、開閉器200は、電力線PLと負荷300との間に設けられ、開状態および閉状態のいずれかの状態に切り替わる主接点(主接点部210)と、主接点(主接点部210)の状態に連動して状態が切替わる連動部220とを含む。制御装置100は、所定期間、主接点(主接点部210)が開状態となるように主接点(主接点部210)を制御する開閉制御部110と、所定期間における連動部220の状態に基づいて主接点(主接点部210)の状態を検出することによって、主接点(主接点部210)が閉状態に固定される閉故障を検出する状態検出部120とを含む。所定期間は、主接点(主接点部210)が開状態であっても負荷300の動作が停止されない期間に設定される。
これにより、主接点部210が開状態に切替わったとしても、負荷300の動作は停止することなく、開閉器200の閉故障の検出が可能になる。
好ましくは、図2および図3に示すように、電力線PLは、交流電力を伝送し、所定期間は、電力線PLの電圧Vが所定電圧(閾値電圧Vth1)以上になった後(時刻t110)に開始され、所定期間は、交流電力の一周期以下(時刻t110〜t150)に設定される。
これにより、主接点211が開状態に切替わると、アーク放電が発生して、負荷300Aへの電力供給が維持される。したがって、負荷300Aの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
あるいは、好ましくは、図5および図6に示すように、電力線PLは、直流電力を伝送し、電力線PLと負荷300Bとの間にコンデンサ500が設けられ、所定期間は、電力線PLの電圧Vが所定電圧(閾値電圧Vth2)以上になった後(時刻t210)に開始され、所定期間は、負荷300Bがコンデンサ500からの電力のみによって動作可能な期間長以下(時刻t210〜時刻t250)に設定される。
これにより、主接点211が開状態に切替わると、コンデンサ500の放電によって、負荷300Bへの電力供給が維持される。したがって、負荷300Bの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
好ましくは、図2および図7に示すように、交流電力は、正弦波交流電力であり、所定期間は、正弦波交流電力の電圧がゼロになったとき(時刻t300)から所定の遅延時間(ΔT1)が経過した後に開始される。
これによっても、主接点211が開状態に切替わると、アーク放電が発生して、負荷300Aへの電力供給が維持される。したがって、負荷300Aの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
また、好ましくは、図8および図9に示すように、負荷300Cは、整流素子(ダイオード311〜314)とコンデンサ320とを有する整流回路を含み、所定期間は、負荷300C(の電力消費部330)がコンデンサ320の電力のみによって動作可能な期間長以下(時刻t410〜t450)に設定される。
これにより、主接点211が開状態に切替わったとしても、コンデンサ320の放電によって、電力消費部330への電力供給が維持される。したがって、負荷300Cの動作を停止することなく、開閉器200Aの閉故障を検出することが可能となる。
また、好ましくは、図10に示すように、制御装置100Cは、開閉器200−1をバイパス可能なように開閉器200−1に接続される第2の開閉器(開閉器200−2)をさらに制御する。所定期間は、負荷300の動作に必要な電力が、第2の開閉器(開閉器200−2)の容量以下のときに開始される。
このように、開閉器200−1と、開閉器200−2との2つの開閉器を利用することで、負荷300の動作を停止することなく、各開閉器の閉故障を検出することが可能となる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。