JP6820691B2 - コアシェル型ナノ粒子とタンパク質との複合体 - Google Patents
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Description
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
を含むコアシェル型ナノ粒子であって、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである、コアシェル型ナノ粒子と、
タンパク質と、
の、複合体。
[2]部分(a)が、AgおよびAuからなる群より選択される少なくとも1つを含む、1に記載の複合体。
[3]コアシェル型ナノ粒子が、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであり、シェルの外側に貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む第二のシェルをさらに有するダブルシェル型である、1または2に記載の複合体。
[4]第二のシェルが、AgおよびAuからなる群より選択される少なくとも1つを含む、3に記載の複合体。
[5]部分(b)が、FeおよびCoを含む、1から4のいずれか1項に記載の複合体。
[6]複合体に含まれる貴金属およびCuの、貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiに対する原子組成%が、1%以上99%以下である、1から5のいずれか1項に記載の複合体。
[7]Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物を有する、1から6のいずれか1項に記載の複合体。
[8]複合体が磁性を有する、1から7のいずれか1項に記載の複合体。
[9]タンパク質が、被検物質に対する抗体である、1から8のいずれか1項に記載の複合体。
[10]被検物質に対する抗体を標識するための、
(a)貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
を含むコアシェル型ナノ粒子であって、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである、コアシェル型ナノ粒子。
[11]被検物質と9に記載の複合体とを反応させ、そして
反応によって形成された反応体からのシグナルを検出する
工程を含み、
シグナルの有無または強度に基づき被検物質の存在または量を決定する、被検物質の分析方法。
[12]複合体が、磁性を有し、
反応体からのシグナルが、磁気シグナルである、11に記載の分析方法。
[13]9に記載の複合体を含む、被検物質の分析のための、キット。
タンパク質として、被検物質に対する抗体を用いた態様により、被検物質の迅速な分析を行うことができる。この分析方法は定量性にも優れている。
<ナノ粒子>
本発明の複合体は、下記のコアシェル型ナノ粒子を含む:
(a)貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
を含むコアシェル型ナノ粒子であって、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである。
ナノ粒子における部分(a)は、貴金属、すなわち、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、およびオスミウム(Os)からなる群より選択される少なくとも一つ、またはAuおよびAgと同じく11属同族元素であり、それらと性質の似た、銅(Cu)から構成される。これらの材料は、液性によらず常に負に荷電することから、シェルとして使用された場合は、液中でのナノ粒子の分散安定性を保つことができ、また、不活性かつ安定であることから、ナノ粒子の酸化に対する安定性を高めることができる。また、プラズモン吸収等による着色により、ナノ粒子の存在の検出や、吸光度測定による粒子濃度の定量が可能であるという利点も有する。好ましい態様において部分(a)は、部分(b)がいずれの材料であっても、AgおよびAuからなる群より選択される少なくとも1つを含む。その理由は、Ag、Au、およびAuとAgの合金からなるナノ粒子は、プラズモン吸収による着色が強く、液中で濃度が低い場合であっても吸光度を測定することで、粒子濃度を決定することが容易だからである。部分(a)を構成する材料は、部分(b)がいずれの材料であっても、Ag、またはAuであることが好ましく、Agであることがより好ましい。
ナノ粒子における部分(b)は、Fe(鉄)、Co(コバルト)、およびNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つを含む材料で構成される。部分(b)を構成する材料として、公知の磁性材料から適宜選択すると、複合体に磁性を付与することができ、好ましい。公知の磁性材料としては、例えば、Fe単体、Co単体、Ni単体、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γ−Fe2O3)等これらの酸化物、またはFe、CoおよびNiから選択される2以上の元素を含む磁性材料が挙げられる。Fe、CoおよびNiから選択される2以上の元素を含む磁性材料としては、例えば、FeCo合金、FeNi合金、CoNi合金、FeCoNi合金等や、CoFe2O4、NiFe2O4等のフェライト類の酸化物等が挙げられる。部分(b)は、金属状態のFe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいると、飽和磁化が大きくなる傾向にあり、好ましい。複合体に金属状態のFe、Co、およびNiが含まれることは、XPS(X線光電子分光法)測定により確認することができる。部分(b)を構成する材料は、例えば、Fe、CoおよびNiから選択される2以上の元素から成るもの(他の元素を実質的に含まないもの)であってもよいし、さらに他の元素を含んでいてもよい。他の元素の例は、酸素(O)、窒素(N)もしくは炭素(C)、またはMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属であり得る。特に、部分(b)が、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物を有すると、ナノ粒子の酸化による着色や磁性といった物性変化が小さくなり、好ましい。例えば、複合体が磁性を有する場合には、複合体の磁性変化が小さくなる。酸素を含む部分(b)の態様としては、例えば、NiO、NiO2等ニッケルの酸化物、CoO、CoO2、CoO3、Co3O4等コバルトの酸化物、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe4O5等鉄の酸化物、CoxFe1-xO、CoxFe2-xO4、Co2FeO4等コバルトと鉄の複合酸化物、NixFe1-xO、NixFe2-xO4、Ni2FeO4等ニッケルと鉄の複合酸化物、CoNi2O4等ニッケルとコバルトの複合酸化物、Co0.5Ni0.5Fe2O4等ニッケル、コバルト、鉄の複合酸化物などが挙げられる。複合体に、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物が含まれることは、XRD(X線回折)測定により確認することができる。
本発明の複合体に含まれるナノ粒子は、コアシェル型であるが、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである。好ましい態様においては、ナノ粒子は、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであり、シェルの外側に貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む第二のシェルを有するダブルシェル型であってもよい。ダブルシェル型である場合、第二のシェル(ダブルシェルということもある。)を構成する材料は、コア部およびシェル部がいずれの材料であっても、Ag、Au、またはAgおよびAuであることが好ましく、AgまたはAuであることがより好ましく、Agであることがさらに好ましい。本発明でコアシェル型というときは、特に記載した場合を除き、ダブルシェル型を含み、またシェルというときは、ダブルシェルを含む。なお本発明に関し、ナノ粒子の構成を「@」を用いて表す場合、特に記載した場合を除き、より内側のものを左側により外側のものを右側に示している。例えば「Au@FeCo@Ag」は、ダブルシェル型(コア―シェル―第二のシェル型)のナノ粒子であって、Auで構成されるコアと、FeおよびCoを含む材料で構成されるシェルと、Agで構成される第二のシェル(ダブルシェル)を含む、ナノ粒子を表す。
複合体は、磁性を有することが好ましい。ナノ粒子が強磁性、フェリ磁性、または超常磁性を有すると、磁気を利用して複合体を分離・泳動することができ、また複合体の存在を磁気シグナルに基づき検出することができるからである。複合体は、超常磁性を有することがより好ましい。外部磁場が存在しない場合、ナノ粒子が磁気モーメントを有さないため、ナノ粒子の凝集を抑制できるからである。複合体が強磁性、フェリ磁性、または超常磁性を有することは、複合体の磁気特性を超伝導量子干渉磁束計(SQUID)を備えた磁気特性測定装置により測定することで、確認することができる。
本発明においては複合体に含まれる貴金属およびCuの、貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiに対する原子組成%が1%以上99%以下とすることができる。貴金属およびCuの、貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiに対する原子組成%は、(複合体における貴金属およびCuの合計の原子濃度)/(複合体における貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiの原子濃度の合計)×100で求められる。例えば、複合体に、貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiのうち、Ag、FeおよびCoが含まれている場合、当該原子組成%は、(Agの原子濃度)/(Agの原子濃度+Feの原子濃度+Coの原子濃度)×100で計算される。
本発明の複合体は、タンパク質を含む。タンパク質は、ナノ粒子と複合化できる有用なタンパク質であれば特に限定されない。タンパク質の例は、抗体、ペプチドホルモン、インターフェロン、リンホカイン、血液成分、ウイルスタンパク質、酵素等である。より具体的な例として、インスリン、ヒト成長ホルモン、ACTH、エンドルフィン、副腎皮質ホルモン(PTH)、カリクレイン、アンギオテンシノーゲン、EGF、ウシ成長ホルモン、IFNa、IFNb、IFNg、IL−2(TCGF)、抗血友病因子(IX因子、VIII因子)、フィブリノーゲン、アルブミン、アンチトロンビンIII、a1−アンチトリプシン、B型肝炎ウイルスタンパク質(HBs、HBc、e抗原)、A型肝炎ウイルスタンパク質、インフルエンザウイルスタンパク質、ポリオウイルスタンパク質、トリパノソーマウイルスタンパク質、マラリアウイルスタンパク質、口蹄病ウイルスタンパク質、各種プロテアーゼ(ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ペプシノーゲン)、プロキモシン等が挙げられる。
<ナノ粒子の製造方法>
ナノ粒子の製造方法としては特に限定されず、コアシェル型のナノ粒子を製造するための種々の方法が適用できる。特にAg@FeCo@Agであるダブルシェル型ナノ粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
添加後、温度を210〜250℃まで、数分〜数十分かけて降温し、その後は加熱をやめ、室温まで自然冷却する。
ナノ粒子の表面にタンパク質を結合させる方法としては、タンパク質の機能を損なうことがない限り、特に限定されず、公知の種々の方法を利用することができる。例えば、ナノ粒子の表面がAuで構成される場合は、抗体を溶解した緩衝液中にナノ粒子を浸漬させ、適切な温度で一定時間インキュベートすることにより、ナノ粒子の表面に物理的にタンパク質を結合することができる。あるいは、AuまたはAgとSH基との化学結合や親和性を利用し、タンパク質にSH基を導入後、ナノ粒子と反応させてAuまたはAg−S結合を形成させることにより、タンパク質を化学的にナノ粒子表面に結合する、あるいはSH基を介してAuまたはAgにタンパク質を物理的に結合させることができる。タンパク質として抗体を用いる場合は、抗体のSH基を利用して、抗体をナノ粒子表面に直接的にまたは物理的に結合することができる。
本発明の複合体は、結合するタンパク質の機能に応じ、様々な用途にもちいることができる。特に、タンパク質として、被検物質に対する抗体を用いた複合体は、免疫クロマト法、抗原−抗体反応を利用した酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、ラテックス凝集法等の生物学的反応を利用した種々の被検物質の分析方法に好適に用いることができる。
被検物質と複合体とを反応させ、そして
反応によって形成された反応体からのシグナルを検出する。被検物質の存在または量は、複合体からのシグナルの有無または強度に基づき決定することができる。なお分析するとは、被検物質の有無(存在/非存在)を決定すること、被検物質の濃度を決定すること(すなわち、被検物質を定量すること)、または被検物質の濃度が所定の基準値以上であるか所定の基準値以下であるかを決定することを包含する。
本発明の分析方法は、免疫クロマトグラフィー法(「免疫クロマト法」ということもある)として実施するのに適している。
本発明は、本発明の分析方法を行うためのキットも提供する。キットは、免疫クロマトグラフィー装置を含み、それ以外に、検体を希釈するための液や、検体を採取するための用具、例えば綿棒、および/または吸引カテーテルを含んでいてもよい。
本発明のナノ粒子とタンパク質との複合体は、上記以外にも、医療・診断分野における種々の用途に用いうる。この用途には、例えば、抗原、抗体、酵素、レセプター、リガンド、毒素等の各種成分の分離、精製、および固定化、病原体、細胞の分離、精製、および固定化、標的の標識化等が含まれる。このため、本発明のナノ粒子とタンパク質との複合体は、ライフサイエンス分野において、物質の分離・精製、病気の検査、診断、イメージング、温熱療法、ドラッグデリバリー等への適用が期待できる。
50mL三つ口フラスコを使用し、0.0170gのAgNO3、0.258gの1,2−ヘキサデカンジオール、2.68gのオレイルアミン、2.26gのオレイン酸、10mLのテトラエチレングリコールの混合溶液を、アルゴン雰囲気に置換後、撹拌しながら加熱して、100℃10分保持した。
添加後、温度を230℃まで10分かけて降温し、その後は加熱をやめ、室温まで自然冷却した。
重合度が約32であり、数平均分子量が約4090、重量平均分子量が約4700のε−ポリ−L−リシン(日本国JNC株式会社販売)に、超純水を加え、ε−ポリ−L−リシンの25wt%水溶液を調製した。10mmolのリシンユニットを含む、ε−ポリ−L−リシンの25wt%水溶液5.12gに、少量の塩酸を滴下してpHを中性にした後、0.275g(2mmol)の2−イミノチオラン塩酸塩(カナダ国Tronto Research Chemicals社販売)を加え、室温で2時間撹拌した。得られた生成物を分画分子量(MWCO)500の透析膜(スペクトラ/ポアCE透析用チューブ)を用いて2日間透析した。さらに凍結乾燥を2日間行うことで、変性ポリ−L−リシンを得た。
Ag@FeCo@Agナノ粒子を17mg/mLの濃度でヘキサンヘ超音波分散させた。変性ポリ−L−リシンを15 mg秤量し、超純水1mLに溶解し、更にエタノールを100μL加えポリマー水溶液を得た。ポリマー水溶液を遠沈管へ移し、その後、ヘキサンに分散させたAg@FeCo@Agナノ粒子をポリマー水溶液へ加え、超音波を印加しながら攪拌した。超音波印加中に更に超純水2mLを加え、超音波は30分以上印加して混合物を得た。その後、混合物を6本の1.5mLエッペンドルフチューブヘ均等に分注し、さらに超純水を足してそれぞれの総量を1mLとした。そして超遠心分離機(Hitachi CS100FNX)によって40000rpmで3分間遠心分離を行った。上澄みを取り除き、少量の超純水を足して沈殿したナノ粒子を超音波により再分散させ、Ag@FeCo@Agナノ粒子の水分散液を得た。
粒子濃度2.048mg/mLである、Ag@FeCo@Agナノ粒子の水分散液20μLを1.5mL PP製チューブに移し、120μLの精製水を加え、さらに50μLの0.2M のpH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液を加えた。さらに、濃度50mMであるSPDP(N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を、10μL加え、30℃で20分反応させた後、遠心分離機にて遠心加速度20,000(×g)にて30分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
0.15MのNaClと0.05%のNaN3を含む、pH7.5の10mMリン酸ナトリウム緩衝液中に、抗CRPマウスモノクローナル抗体(日本国オリエンタル酵母工業株式会社製)を11.6mg/mL含む溶液を準備した。この溶液43.1μLに対し、pH7.0の0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液を200μL、156.9μLの精製水を添加し、さらに濃度2mMであるEMCS(N−(6−マレイミドカプロイロキシ)スクシンイミド)のジメチルスルホキシド溶液を25μL加え、30℃で60分反応させた。
Ag@FeCo@Agナノ粒子とSPDPの反応体の水分散液100μLと、抗体とEMCSの反応体の水分散液100μLを混合し、室温で45分間反応させた後、6℃で一晩静置し、Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の架橋複合体の水分散液を得た。
粒子濃度は、18.6(μg/mL)であった。
得られた架橋複合体の構造を図1に示す。
粒子濃度2.048mg/mLである、Ag@FeCo@Agナノ粒子の水分散液20μLを1.5mL PP製チューブに移し、pH6.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(0.5mMのEDTAを含む) 200μLを加えて超音波分散後、遠心加速度20,000(×g)で30分遠心分離を行った。上澄みを除去後、pH6.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(0.5mMのEDTAを含む) 200μLを加えて、超音波分散し、Ag@FeCo@Agナノ粒子の水分散液(A液)を得た。
日本国GEヘルスケア・ジャパン株式会社販売のPD―10カラムを使用し、pH6.0の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(0.5mMのEDTAを含む)を溶出溶媒としてゲル濾過を行い1mLごとに分取し、抗体の水分散液1mL(B液)(波長280nmの吸光度が最も高い分取成分)を得た。
A液50μLとB液50μLを混合し、室温で45分間撹拌混合した後、6℃で一晩静置し、その後粒子濃度が18.6(μg/mL)となるよう精製水を加え、Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の吸着複合体の水分散液を得た。
Ag@FeCo@Agナノ粒子の水分散液の、Ag@FeCo@Agナノ粒子濃度は、波長409nmの吸光度を測定し、
(波長409nmの吸光度)=0.024×(粒子濃度(μg/mL))
として、粒子濃度を算出した。なお係数0.024は、予めAg@FeCo@Agナノ粒子の吸光度と粒子濃度の関係を調べることにより求めた。
日本電子株式会社製の走査TEM(STEM)JEM−ARM200Fを使用して、STEM−HAADF像観察、ならびにEDS元素マッピングを行った。
試料をエタノールで希釈して、マイクログリット上に滴下後乾燥してTEM観察用サンプルとし、株式会社日立ハイテクノロジーズ製透過電子顕微鏡H−7650によりTEM観察を行った。500個の粒子径の平均値を算出し、これをナノ粒子の平均粒子径とした。
[原子組成(%)の算出方法]
複合体に王水を加えて加熱し溶解して、株式会社島津製作所製高周波プラズマ発光分光分析装置ICPS−7000により組成分析を行った。分析結果に基づき、FeとCoとAgの合計を100%としてそれぞれの原子組成%を求めた。
複合体を真空乾燥し、株式会社リガク製X線回折装置MiniFlex600を使用し、X線源はCuKαを利用して、X線回折(XRD)の測定を行った。測定範囲は2θ=25°〜90°とした。得られたピークの結晶相への帰属には、Ag相としてはPDFカード番号01−087−0717のデータを、Co50Fe50相としてはPDFカード番号00−049−1567のデータを用いた。(粉末回折データベース PDF−2、販売元:株式会社ライトストーン)。CoxFe1-xO相としてはChemistry of Matterials,26,P5063―5073(2014)記載のデータを用いた。
複合体を真空乾燥し、カンタム・デザイン社製の磁気特性測定装置MPMSにより温度300Kで、磁場−30〜30(kOe)の範囲で磁化の測定を行ない、表6に飽和磁化を記載した。また、複合体が超常磁性を示した場合、表6の超常磁性の欄に○を示した。
1.5mLのPP製チューブに、ELISA用洗浄液を150μLとり、粒子と抗体の(架橋または吸着)複合体の水分散液50μLを添加し、遠心加速度20,000(×g)で30分遠心分離を行い、上澄みを除去した。さらにELISA用洗浄液を200μL加え、超音波分散後、遠心加速度20,000(×g)で30分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の架橋複合体を用いて、HRP標識抗体との免疫複合化を行い、呈色反応を行った。結果を表1に示す。また、Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の架橋複合体の、コア部、シェル部の組成の解析結果を表2に、Fe、Co、Agの原子組成%を表3に、XRD測定により得られたピークとその帰属を表4に、磁性測定の結果を表6に示す。また、平均粒子径は13.5nmであった。
Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の吸着複合体を用いて、HRP標識抗体との免疫複合化を行い、呈色反応を行った。結果を表1に示す。また、Ag@FeCo@Agナノ粒子と抗体の吸着複合体のコア部、シェル部の組成の解析結果を表2に、複合体のFe、Co、Agの原子組成%を表3に、XRD測定により得られたピークとその帰属を表5に、磁性測定の結果を表6に示す。また、平均粒子径は13.5nmであった。
BBInternational社製の粒子径10nmの金コロイド(商品コードEMGC10、Au粒子濃度57.6(μg/mL))32.3μL、pH9.0の0.1M四ホウ酸ナトリウム緩衝液17.7μLを加えて、超音波分散し、Au粒子の水分散液(C液)50μLを得た。
日本国GEヘルスケア・ジャパン株式会社販売のPD―10カラムを使用し、pH9.0の0.1M四ホウ酸ナトリウム緩衝液(0.5mMのEDTAを含む)を溶出溶媒としてゲル濾過を行い、1mLごとに分取し、抗体の水分散液1mL(D液)(波長280nmの吸光度が最も高い分取成分)を得た。
沈殿に、ELISA用洗浄液を200μL加え、超音波分散後、4℃にて遠心加速度25,000(×g)で1時間遠心分離を行い、上澄みを除去した。再度沈殿に、ELISA用洗浄液を200μL加え、超音波分散後、4℃にて遠心加速度25,000(×g)で1時間遠心分離を行い、上澄みを除去した。
Claims (15)
- (a)貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
を含むコアシェル型ナノ粒子であって、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである、コアシェル型ナノ粒子と、
タンパク質と、
の、複合体であって、
タンパク質がナノ粒子表面にクロスリンカー部を介して結合しており、
クロスリンカー部が、ナノ粒子とN−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)の反応体と、タンパク質とN−(6−マレイミドカプロイロキシ)スクシンイミド(EMCS)の反応体を反応させることにより形成されたものであり、
タンパク質が、被検物質に対する抗体である、複合体。 - ナノ粒子とSPDPの反応体が、ポリリシンのアミノ基に2−イミノチオランを導入した変性ポリリシンを介してナノ粒子表面とSPDPが結合したものである、請求項1に記載の複合体。
- 部分(a)が、AgおよびAuからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の複合体。
- コアシェル型ナノ粒子が、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであり、シェルの外側に貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む第二のシェルをさらに有するダブルシェル型である、請求項1から3のいずれか1項に記載の複合体。
- 第二のシェルが、AgおよびAuからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項4に記載の複合体。
- 部分(b)が、FeおよびCoを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の複合体。
- 複合体に含まれる貴金属およびCuの、貴金属、Cu、Fe、CoおよびNiに対する原子組成%が、1%以上99%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の複合体。
- Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の複合体。
- 複合体が磁性を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合体。
- 被検物質に対する抗体を標識するための、
(a)貴金属およびCuからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む部分と、
を含むコアシェル型ナノ粒子であって、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルであるか、または部分(b)がコアであり、かつ部分(a)がシェルである、コアシェル型ナノ粒子であって、
ナノ粒子の表面に、ポリリシンのアミノ基に2−イミノチオランを導入した変性ポリリシンを介してSPDPが結合しており、
抗体とEMCSの反応体と反応させることにより、抗体を標識するための、ナノ粒子。 - 被検物質と請求項1から9のいずれか1項に記載の複合体とを反応させ、そして反応によって形成された反応体からのシグナルを検出する
工程を含み、
シグナルの有無または強度に基づき被検物質の存在または量を決定する、被検物質の分析方法。 - 複合体が、磁性を有し、
反応体からのシグナルが、磁気シグナルである、請求項11に記載の分析方法。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の複合体を含む、被検物質の分析のための、キット。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の複合体の、水分散液。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の複合体の、超音波により分散可能な沈殿物。
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