JP6819553B2 - 車両用ピラー構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ピラー構造に関する。
下記特許文献1に記載のフロントピラーでは、フロントピラーの一部が透明の樹脂材によって構成されている。これにより、運転者に対してフロントピラーによって遮られる死角領域の発生が抑制されている。
特開2017−114410号公報
しかしながら、上記フロントピラーは、透明に形成されたピラー部の車幅方向両側部、かつ、車内側には、不透明に形成された外側壁及び内側壁が立設されている。また、当該外側壁と内側壁における互いに対向する側面が、透明に形成されたピラー部に向かって傾斜している。このため、車室内の乗員からみて、透明に形成されたピラー部の車室側の側面に外側壁と内側壁が写り込み、フロントピラーを介して視認される車両外側の対象物に対する視認性が低下する可能性がある。
本発明は、上記事実を考慮し、ピラー部の車両外側の対象物に対する乗員から見た視認性を向上させることができる車両用ピラー構造を提供することが目的である。
請求項1に記載の車両用ピラー構造は、ウィンドシールドガラスにおける車幅方向一方側の端部に沿って延在し、不透明に形成されると共に、ピラーの骨格の一部を構成する内側壁部と、前記内側壁部に対して車幅方向外側に離間して配置され、前記内側壁部に沿って延在し、不透明に形成されると共に、前記骨格の一部を構成する外側壁部と、透明に形成されて前記内側壁部と前記外側壁部に沿って延在し、かつ、前記内側壁部の前端部と前記外側壁部の前端部との間に架け渡された透明部と、前記内側壁部及び前記外側壁部における互いに対向して配置された側面のそれぞれに設けられ、車内側に傾斜した状態で向けられた少なくとも一つの第1面と、前記透明部側に傾斜した状態で向けられ、かつ、反射率が前記第1面の反射率より低く設定される少なくとも一つの第2面と、を含んで構成された低反射部と、を備える。
請求項1に記載の車両用ピラー構造では、ウィンドシールドガラスにおける車幅方向一方側の端部に沿って延在しピラーの骨格の一部を構成する内側壁部と、この内側壁部に対して車幅方向外側に離間して配置され、内側壁部に沿って延在しピラーの骨格の一部を構成する外側壁部と、を備えている。また、内側壁部の前端部と外側壁部の前端部との間には、透明に形成された透明部が架け渡されている。
これにより、ピラーに近い側の乗員は、内側壁部と外側壁部の空間から車両の外側を視認することができるので、当該乗員の死角を小さくすることができる。
また、内側壁部及び外側壁部における互いに対向して配置された側面のそれぞれには、車内側に傾斜した状態で向けられた少なくとも一つの第1面と、前記透明部側に傾斜した状態で向けられ、かつ、反射率が前記第1面の反射率より低く設定される少なくとも一つの第2面と、を含んで構成された低反射部と、を備えている。
上記構成によれば、第1面は車内側に傾斜した状態で配置されている。従って、この第1面に光が入射しても、乗員から見て、透明部の車内側の側面へ第1面が写りこむといった現象は起こりにくい。一方で、第2面は透明部側に傾斜した状態で配置されている。従って、この第2面に光が入射すれば、乗員から見て、透明部の車内側の側面へ第2面が写りこむといった現象が起こりやすい。
そこで、請求項1に記載の車両用ピラー構造では、ピラーの透明部への写り込みが起こりやすい上記第2面の反射率が、第1面の反射率より低く設定されている。これにより、第2面から反射される光を抑制し、透明部の車側の側面に内側壁部や外側壁部が写り込むことが抑止又は抑制されている。
以上説明したように、本発明に係る車両用ピラー構造は、ピラー部の車両外側の対象物に対する乗員から見た視認性を向上することができるという優れた効果を奏する。
(A)は、第1実施形態に係る車両用ピラー構造が適用されたフロントピラーの平断面を拡大して示す拡大断面図であり、(B)は、(A)において、一点鎖線で示される領域Qを概略的に拡大して示す要部拡大図である。 図1に示されるフロントピラーが適用された車両のキャビン内の前部を示す模式的な平面図である。 参考例に係る車両用ピラー構造が適用されたフロントピラーの平断面を拡大して示す拡大断面図である。 従来例に係る車両用ピラー構造を示す図1に対応するフロントピラーの平断面を拡大して示す拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を用いて第1実施形態に係る車両用ピラー構造10について説明する。なお、図面において、適宜示される矢印FRは、車両用ピラー構造10が適用された車両Sの車両前側を示し、矢印UPは車両上側を示し、矢印RHは車両右側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両左右方向(車幅方向)の左右、を示すものとする。
(全体構成)
図2に示されるように、本実施形態に係る車両用ピラー構造10が適用された車両Sの前部には、車室内における車幅方向の右側部に、運転席用の車両用シート12が配設されている。この車両用シート12は、乗員Pが着座するシートクッション14と、乗員Pの背部を支えるシートバック16と、を含んで構成されており、シートバック16の下端部がシートクッション14の後端部に傾倒可能に連結されている。
車両Sの車室の前端部には、ウィンドシールドガラス18が設けられている。このウィンドシールドガラス18は、透明板状に形成されると共に、側面視で上側へ向かうに従い後側へ傾斜して配置されている。また、ウィンドシールドガラス18は、車幅方向の中央部が前側へ凸に若干膨らむ湾曲形状に形成されている。そして、このウィンドシールドガラス18の車両幅方向の両端部(車幅方向一方側及び他方側)には、フロントピラー20が設けられている。また、ウィンドシールドガラス18の下端部が、車両幅方向に沿って延在されたカウル22に支持されており、カウル22は、車両Sの車室の前部を構成する図示しないダッシュパネルの上端部に沿って配設されている。また、ウィンドシールドガラス18の上端部は、車室の上部を構成するルーフ24の前端部において、車両幅方向に沿って配設されたフロントヘッダ26に支持されている。
また、図2に示されるように、車両Sの車室の右側部には、透明板状のサイドドアガラス28が設けられている。そして、サイドドアガラス28の前端部とウィンドシールドガラス18の車幅方向一方側の端部との間に、フロントピラー20が配設されている。
ここで、上述した通り、フロントピラー20は、ウィンドシールドガラス18における車幅方向一方側の端部に沿って延在されている。従って、図2に示されるように、運転席側の乗員Pから見て、車両前方かつ斜め右側に配置されている。このため、仮にフロントピラー20全体が不透明部材により形成されていると、乗員Pに対して車両前方かつ斜め右側の視界がフロントピラー20によって遮られて、当該遮られた領域が死角領域BSとなっている。
具体的には、フロントピラー20に対して車両外側の領域であって、乗員PのアイポイントEPから延出され、かつ、フロントピラー20の車幅方向両側部に接する一対の接線T1の間の領域が死角領域BSとされている。なお、アイポイントEPとは、車両用シート12に乗員Pが着座した状態において、乗員Pの両眼の中間点であり、乗員Pの両眼を結ぶ線の中央点である。また、本実施形態において乗員Pは、AM50(米国人成人男性の50パーセンタイル)と同等の体格を有しており、標準的な着座姿勢で車両用シート12に着座しているものとする。
以下、運転席用の車両用シート12に近い右側のフロントピラー20について説明する。なお、左側のフロントピラー20も同様の構成とされている。
(本実施形態の要部)
図1(A)に示されるように、フロントピラー20は、ピラーフレーム30と、ピラーガラスアウタ32とを主要部として構成されている。なお、フロントピラー20は、本発明における「ピラー」に相当し、ピラーガラスアウタ32は、本発明における「透明部」に相当する。
ピラーフレーム30は、不透明の樹脂材(一例として炭素繊維入り強化プラスチック)で構成されており、図示しないフロントピラーロアとフロントヘッダとの間に架け渡されている。このピラーフレーム30は、ウィンドシールドガラス18の右端部(車幅方向一方側の端部)に沿って延在する内側壁部34と、当該内側壁部34に対して車両後方側かつ車幅方向外側に離間して配置され、内側壁部34に沿って延在する外側壁部36とを備えている。これらの内側壁部34及び外側壁部36は、フロントピラー20の骨格を構成しており、車両上方側へ向かうほど車両後方側へ向かうように傾斜している。
内側壁部34は、中実の柱状に形成されており、内側壁部34の前面及び内側面を形成する第1壁部34Aと、内側壁部34の外側面を形成する第2壁部34Bと、内側壁部34の後面を形成する第3壁部34Cと、を備えている。
第1壁部34Aは、内側壁部34の前面を形成する前側壁34A1と、この前側壁34A1の車幅方向内側端部から車両後方側かつ車幅方向内側に延在され、内側壁部34の内側面を形成する内側壁34A2とを備えている。第1壁部34Aは、概ね車幅方向に沿って延在しているが、内側壁部34の長手方向から見た断面が略クランク状に曲がっている。また、第1壁部34Aは、車幅方向外側の部位が車幅方向内側の部位よりも車両前方側へ突出している。
また、内側壁34A2における車幅方向内側の部位は、当該部位に対して車両前方側に配置されたウィンドシールドガラス18の車幅方向右端部と、ウレタンシーラント等の接着剤38を介して接合されている。また、接着剤38の車幅方向右側には、クッションゴム40が設けられており、当該クッションゴム40によって第1壁部34Aとウィンドシールドガラス18の車幅方向右端部との間の隙間が塞がれている。
第2壁部34Bは、第1壁部34Aの車幅方向外側端部から車両後方側へ延出しており、外側壁部36と対向して配置されている。また、図1(A)に示されるように、この第2壁部34Bは、複数の低反射面42と、複数の平常面44によって構成された低反射部39を備えている。
低反射面42は、第2壁部34Bの上下方向に沿って略長尺状平面として設けられ、車外側(ピラーガラスアウタ32側)傾斜した状態で向けられている。そのため、低反射面42は、ピラーガラスアウタ32側に面しており、車外側から、ピラーガラスアウタ32を介して視認可能な意匠面の一部を構成している。
これに対して、平常面44は、第2壁部34Bの上下方向に沿って略長尺状平面として設けられ、車内側に傾斜した状態で向けられている。そのため、平常面44は、車内側に面しており、車室内の意匠面の一部を構成している。
また、図1(A)に示されるように、低反射部39は、第2壁部34Bに上述した低反射面42と平常面44とが交互に形成される構成とされている。従って、第2壁部34Bを長手方向から見ると、一組の低反射面42と平常面44とにより、稜状をなす稜部48が形成されている。これにより、第2壁部34Bの長手方向から見た断面形状は、複数の稜部48が連続して配置された形状とされている。
ここで、図1(A)には、乗員PのアイポイントEPの高さにおけるフロントピラー20の平断面を拡大して図示している。この図1では、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46B上の所定の定点をRとし、定点Rにおける接線をT2とする。また、内側壁部34の第2壁部34Bに形成された一の低反射面42の傾斜方向に沿った直線をT3とし、第2壁部34Bに形成された一の平常面44の傾斜方向に沿った直線をT4とする。
この図に示されるように、接線T2と低反射面42の傾斜方向に沿った直線T3とがなす角αが、外側壁部36側に開放された鋭角となるように構成されている。一方で、接線T2と平常面44の傾斜方向に沿った直線T4とがなす角βが、外側壁部36側に開放された鈍角となるように構成されている。
つまり、内側壁部34に形成された、低反射面42及び平常面44についてより構造的に説明すると、低反射面42は、内側壁部34の長手方向から見た場合に、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bにおける接線T2に対して、外側壁部36側に開放された鋭角をなす方向に沿って傾斜して配置されている。一方、内側壁部34の第2壁部34Bに形成された平常面44は、内側壁部34の長手方向から見た場合に、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bにおける接線T2に対して、外側壁部36側に開放された鈍角をなす方向に沿って傾斜して配置されている。
ところで、低反射面42の表面の色彩は、平常面44の色彩より明度の低い色に設定されている。なお、明度とは、HSVモデルにおいて定義され、明度100%を純色、明度0%を真黒とする。これにより、低反射面42では、低反射面42に対する入射光の吸収率が、平常面44に対する入射光の吸収率よりも高くなるため、低反射面42の反射率が平常面44の反射率より低く設定される。
その結果、図1(B)に概略的にされるように、低反射面42に対する入射光L1の多くは、この低反射面42で吸収されやすくなっている。そのため、低反射面42で反射される光(図1(B)において破線矢印で示す)が抑制されている。
そして、図1に示されるように、第3壁部34Cは、第1壁部34Aの車幅方向内側端部と第2壁部34Bの車両前後方向後端部とを連結しており、第2壁部34Bを構成する平常面44と同様に、車室内の意匠面の一部を構成している。
一方、外側壁部36は、内側壁部34と同様に、中実の柱状に形成されており、外側壁部36の前面及び外側面を構成する第1壁部36Aと、外側壁部36の内側面を形成する第2壁部36Bと、外側壁部36の後面を形成する第3壁部36Cと、を備えている。第1壁部36Aは、外側壁部36の前面を形成する前側壁36A1と、この前側壁36A1の車幅方向外側端部から車両後方側かつ車幅方向外側に延在した外側壁36A2とを備えている。この第1壁部36Aは、概ね車幅方向に沿って延在しているが、外側壁部36の長手方向から見た断面が略クランク状に曲がっている。また、第1壁部36Aは、車幅方向外側の部位が車幅方向外側の部位よりも車両後方側へ突出している。
なお、外側壁36A2における中間部位には、帯状のステンレス鋼等を折り曲げて形成されたリテーナ50が設けられている。このリテーナ50は平断面視で車幅方向外側且つ後側へ開口された略U字状に形成されており、リテーナ50の底壁が、第1壁部36Aに図示しないネジ等の締結部材によって固定されている。
リテーナ50には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等の弾性部材で形成されたドアシール52が装着されている。これにより、ドアシール52が、リテーナ50を介してフロントピラー20に保持されると共に、サイドドアガラス28の前端部とフロントピラー20との間がシールされる構成になっている。
第2壁部36Bは、第1壁部36Aを構成する前側壁36A1の車幅方向内側端部から車両後方側へ延出され、内側壁部34と対向して配置されている。この第2壁部36Bは、複数の低反射面42と、複数の平常面44によって構成された低反射部39が設けられている。なお、第2壁部36Bの低反射部39は、内側壁部34の第2壁部34Bに設けられた低反射部39と同様の構成であるため、説明を省略する。一方、第3壁部36Cは、第1壁部36Aの車幅方向外側端部と第2壁部36Bの車両前後方向後端部とを連結しており、車室側に面して配置されている。このため、第3壁部36Cは、車室内の意匠面の一部を構成している。
なお、内側壁部34の第2壁部34Bと外側壁部36の第2壁部36Bは、本発明における「内側壁部及び外側壁部における互いに対向する側面」に相当し、低反射面42は、本発明における「第2面」に相当し、平常面44は、本発明における「第1面」に相当する。
一方、ピラーガラスアウタ32は、例えば無機ガラス又は高強度透明樹脂からなり、透明な板状に形成されている。本実施形態では一例として、可視光の透過率が70%以上の樹脂によってピラーガラスアウタ32が形成されている。なお、高強度透明樹脂としては、例えばガラス繊維によって強化されたポリカーボネート(PC−GF)や、セルロース・ナノ・ファイバーによって強化されたポリカーボネート(PC−CNF)等が挙げられる。これらのピラーガラスアウタ32は、内側壁部34の車両前後方向における前端部と外側壁部36における車両前後方向の前端部との間に架け渡されている。
具体的には、ピラーガラスアウタ32は、内側壁部34及び外側壁部36の車外側に配置されており、ピラーガラスアウタ32の車外側の側面46Aが、フロントピラー20の車外側の意匠面の一部を形成している。このピラーガラスアウタ32は、フロントピラー20の長手方向と直交する方向を板厚方向として配置されており、車両前方側へ向かうほど車幅方向内側へ向かうように傾斜している。換言すると、ピラーガラスアウタ32は、フロントピラー20の長手方向から見て車幅方向外側かつ車両前方側へ凸をなす湾曲形状に形成されている。
ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bにおける車幅方向内側端部は、内側壁部34の第1壁部34Aにおける車幅方向外側端部に対して、車幅方向外側かつ車両前方側に配置されており、接着剤38を介して第1壁部34Aに接合されている。この接着剤38の車幅方向両側には、クッションゴム40が設けられており、当該クッションゴム40によって第1壁部34Aとピラーガラスアウタ32の車幅方向内側端部との間の隙間が塞がれている。
ピラーガラスアウタ32の車幅方向外側端部は、外側壁部36の第1壁部36Aにおける車幅方向内側端部に対して車幅方向外側に配置されている。また、上述した内側壁部34の第1壁部34Aとピラーガラスアウタ32との関係と同様に、接着剤38で接合され、クッションゴム40によって第1壁部36Aとピラーガラスアウタ32の車幅方向外側端部との間の隙間が塞がれている。
ここで、上記構成のフロントピラー20では、前述したように、外側壁部36が内側壁部34に対して車両後方側かつ車幅方向外側に空間35をあけて設けられている。そして、内側壁部34と外側壁部36との間には、透明に形成されたピラーガラスアウタ32が架け渡されている。これにより、図1(A)に概略的に示されるように、乗員Pが内側壁部34と外側壁部36との間の空間35から車両Sの外側を視認することができる視認可能領域VAが形成されている。
具体的には、死角領域BSに含まれ、かつ、乗員PのアイポイントEPから延出され、内側壁部34及び外側壁部36とそれぞれ接続されるピラーガラスアウタ32の両側部に接する一対の接線T5の間の領域が視認可能領域VAとされている。
ここで、図4には乗員PのアイポイントEPの高さにおける本発明に係る車両用ピラー構造10を適用しないフロントピラー90の平断面を拡大して図示している。このフロントピラー90は、ピラーの骨格を構成し、かつ、不透明の樹脂材によって構成された内側壁部92及び外側壁部94を備えている。そして、内側壁部92の前端部と外側壁部94の前端部との間には、透明の樹脂材によって構成されたピラーガラスアウタ96が架け渡されている。また、フロントピラー90の長手方向視で内側壁部92及び外側壁部94における互いに対向する側面は、それぞれピラーガラスアウタ96側に向かって傾斜している。また、一例として、外側壁部96に対する入射光を矢印L2で概略的に示している。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の車両用ピラー構造10では、内側壁部34と外側壁部36との間には、透明に形成されたピラーガラスアウタ32が架け渡されている。これにより、乗員Pから見てフロントピラー20の向こう側に標識などの障害物がある場合でも、内側壁部34と外側壁部36との間の空間35から障害物を視認することができる。つまり、乗員Pの死角領域BSが視認可能領域VAによって減少させることができる。
ところで、図4に示されるフロントピラー90では、フロントピラー90の長手方向視で内側壁部92及び外側壁部94における互いに対向する側面がそれぞれピラーガラスアウタ96側に傾斜した状態で配置されている。このため、内側壁部92又は外側壁部94に入射した光が、反射を繰り返し、最終的に乗員PのアイポイントEPに到達することが多い(図4に示される矢印L2参照)。その結果、乗員Pから見て、側面98に内側壁部92や外側壁部94が写りこんで見える現象が起きやすくなる。
一方、本実施形態では、内側壁部34及び外側壁部36における互いに対向して配置された側面は、ピラーガラスアウタ32側に傾斜した状態で向けられた低反射面42と、車内側に傾斜した状態で向けられた平常面44と、を含んで構成された低反射部39をそれぞれ備えている。換言すると、内側壁部34の第2壁部34Bと外側壁部36の第2壁部36Bは、ピラーガラスアウタ32に写りこみやすい低反射面42と、写り込みにくい平常面44を備えている。そして、低反射面42の色彩を、平常面44の色彩よりも明度の低い色に設定することで、低反射面42は、平常面44に比べて反射率が低く設定されている。
上記構成によれば、ピラーガラスアウタ32に写りこみやすい傾斜角度で配置された低反射面42では、低反射面42で反射される光が抑制され、低反射面42がピラーガラスアウタ32へ写りこむことが抑制されている。かつ、平常面44は、車内側に向かって傾斜されているため、その傾斜方向によって、平常面44がピラーガラスアウタ32へ写りこむことが抑制されている。その結果、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bに内側壁部34及び外側壁部36が写りこむことが抑制され、ひいては、フロントピラー20の車両外側の対象物に対する乗員Pから見た視認性を向上させることができる。
また、本実施形態では、内側壁部34及び外側壁部36における互いに対向して配置された側面には、低反射面42と平常面44とが交互に複数形成されている。従って、仮に、当該側面全体がピラーガラスアウタ32側に傾斜している場合に比べて、ピラーガラスアウタ32に写り込みやすい部位を減少させることができる。
さらに、当該構成によれば、フロントピラー20の骨格を構成する内側壁部34及び外側壁部36の断面を略車両前後方向に大きくとりつつ、ピラーガラスアウタ32への当該内側壁部34及び外側壁部36の写り込みを抑制することができる。その結果、フロントピラー20の強度の確保と、乗員P乗員Pから見た車両外側の対象物に対する視認性の向上と、を両立することができる。
また、本実施形態では、低反射面42はピラーガラスアウタ32側に傾斜した状態で配置される。一方で、平常面44は、車室側に傾斜した状態で配置され、車内の意匠面の一部を構成している。これにより、明度の低い色で構成された低反射面42は、車内の乗員Pから視認されにくいため、この低反射面42の配色によって、車室内の内装デザインの色調に与える影響が少ない。一方で、車内の乗員Pから視認可能とされる平常面44は、ダッシュボードやサイドドアの車内側の装飾面に合わせて配色を適宜選択することができ、車室内空間のデザイン性を向上させることができる。
なお、上記実施形態では、ピラーフレーム30を構成する内側壁部34及び外側壁部36を樹脂製としたが、本発明はこれに限らない。例えば、内側壁部34及び外側壁部36を超高張力鋼板等の鋼材により構成してもよい。さらに、この場合には、内側壁部34及び外側壁部36が中空に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、ピラーガラスアウタ32と内側壁部34及び外側壁部36を接着剤38とクッションゴム40を介して接合したが、本発明はこれに限らない。ピラーガラスアウタ32と内側壁部34及び外側壁部36とを一体構成してもよい。
また、上記実施形態では、低反射面42の色彩を明度の低い色に設定することによって低反射面42の反射率を低く設定しているが、本発明はこれに限らない。例えば、低反射面42に表面加工を施して、特開2008−233850号公報に記載のモス・アイ構造としてもよい。また、当該モス・アイ構造を備えるシート部材や、屈折率の異なる複数の透明薄膜による多層構造により構成されるシート部材等を低反射面42に貼ることにより、低反射面42の反射率を低く設定してもよい。
なお、上記第1実施形態では、車両用ピラー構造10、60が右ハンドル仕様の車両Sに適用されているが、車両用ピラー構造10を左ハンドル仕様の車両に適用してもよい。
(参考例)
以下、図3を用いて参考例に係る車両用ピラー構造60について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。図3には、乗員PのアイポイントEPの高さにおける本実施形態に係る車両用ピラー構造60が適用されたフロントピラー62の閉断面を拡大して図示している。
この図に示されるように、フロントピラー62は、ピラーの骨格を構成し、かつ、不透明の樹脂材として構成される内側壁部64及び外側壁部66と、を備えている。そして、内側壁部64の前端部と外側壁部66の前端部との間には、内側壁部64及び外側壁部66に沿って延在され、かつ、透明の樹脂材として構成されたピラーガラスアウタ32が架け渡されている。
ここで、本実施形態では、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向して配置された側面は、それぞれ車内側に傾斜した状態で向けられて配置されている。そのため、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向して配置された側面は、車室内の意匠面の一部を構成している。
ここで、図3には、乗員PのアイポイントEPの高さにおけるフロントピラー62の平断面を拡大して図示している。この図3では、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46B上の所定の定点をMとし、定点Mにおける接線をT6とする。また、内側壁部64及び外側壁部66の互いに対向する側面における各側面の傾斜方向に沿った直線をT7、T8とする。また、フロントピラー62の長手方向視で接線T6と直線T7、T8とのなす角をそれぞれγ1、γ2とし、外側壁部に対する入射光を矢印L3で概略的に示している。
この図に示されるように、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向する側面は、接線T6と直線T7、T8とのなす角γ1、γ2がそれぞれ鈍角を示す方向に傾斜されている。
つまり、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向する側面についてより構造的に説明すると、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向する側面は、一方の側面における長手方向視で、当該一方の側面の傾斜方向に沿った直線と、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bにおける接線とが、他方の側面側に開放された鈍角をなす方向に沿ってそれぞれ傾斜されている。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、内側壁部64及び外側壁部66における互いに対向する側面が、いずれも車内側に傾斜した状態で配置されている。従って、内側壁部64と外側壁部66における互いに対向する側面に対する入射光が、反射を繰り返し最終的に乗員PのアイポイントEPに到達することが少ない(図3で示す矢印L3参照)。その結果、ピラーガラスアウタ32の車内側の側面46Bに内側壁部64及び外側壁部66が写りこむことが抑制され、ひいては、フロントピラー62の車両外側の対象物に対する乗員Pから見た視認性を向上させることができる。
また、本参考例では、内側壁部64と外側壁部66における互いに対向する側面に複雑な加工を施すことなく、簡単な構成にして乗員Pの視認性を向上させることができるため、フロントピラーの生産性向上と、乗員P乗員Pから見た車両外側の対象物に対する視認性の向上と、を両立することができる。
10 車両用ピラー構造
18 ウィンドシールドガラス
20 フロントピラー(ピラー)
32 ピラーガラスアウタ(透明部)
34 内側壁部
36 外側壁部
39 低反射部
42 低反射面(第2面)
44 平常面(第1面)

Claims (1)

  1. ウィンドシールドガラスにおける車幅方向一方側の端部に沿って延在し、不透明に形成されると共に、ピラーの骨格の一部を構成する内側壁部と、
    前記内側壁部に対して車幅方向外側に離間して配置され、前記内側壁部に沿って延在し、不透明に形成されると共に、前記骨格の一部を構成する外側壁部と、
    透明に形成されて前記内側壁部と前記外側壁部に沿って延在し、かつ、前記内側壁部の前端部と前記外側壁部の前端部との間に架け渡された透明部と、
    前記内側壁部及び前記外側壁部における互いに対向して配置された側面のそれぞれに設けられ、車内側に傾斜した状態で向けられた少なくとも一つの第1面と、前記透明部側に傾斜した状態で向けられ、かつ、反射率が前記第1面の反射率より低く設定される少なくとも一つの第2面と、を含んで構成された低反射部と、
    を備える車両用ピラー構造。

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