JP6815915B2 - 化学蓄熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化学蓄熱材及びその製造方法に関する。
近年、二酸化炭素排出規制によって化石燃料の使用削減が求められており、各プロセスの省エネルギー化に加え、排熱の利用を進める必要がある。排熱の利用の手段としては、水を利用した100℃以下の温水蓄熱が知られている。しかし、温水蓄熱には、(1)放熱損失があるため長時間の蓄熱が不可能である、(2)顕熱量が小さいため大量の水が必要であり、蓄熱設備のコンパクト化が困難である、(3)出力温度が利用量に応じて非定常で、次第に降下する、等の問題がある。したがって、このような排熱の民生利用を進めるためには、より効率の高い蓄熱技術を開発する必要がある。
効率の高い蓄熱技術として化学蓄熱法が挙げられる。化学蓄熱法は、物質の吸着、水和等の化学変化を伴うため、材料自体(水、溶融塩等)の潜熱や顕熱による蓄熱法に比べて単位質量当たりの蓄熱量が高くなる。化学蓄熱法としては、大気中の水蒸気の吸脱着による水蒸気吸脱着法、金属塩へのアンモニア吸収(アンミン錯体生成反応)、アルコール等の有機物の吸脱着による反応等が提案されている。環境への負荷や装置の簡便性を考慮すると、水蒸気吸脱着法が最も有利である。水蒸気吸脱着法に用いられる化学蓄熱材として、アルカリ土類金属水酸化物である水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムが知られている。
しかし、これら水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムは、100〜350℃の低温域では有効な脱水反応を起こさないため、実用的な蓄熱材として機能しないという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献1では、マグネシウムと、Ni、Co、Cu、及びAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属成分との複合水酸化物を利用することで、100〜300℃程度で蓄熱可能な化学蓄熱材が提案されている。
さらに、特許文献2では、特許文献1に記載の化学蓄熱材の蓄熱量を改善することを目的に、マグネシウム又はカルシウムの水酸化物に、塩化リチウム等の吸湿性金属塩を添加することで、単位質量又は単位体積当たりの蓄熱量が高く、100〜350℃程度で蓄熱可能な化学蓄熱材が提案されている。
しかしながら、特許文献2に開示された技術によっては目的の温度で蓄熱させることが困難な場合があったとして、特許文献3では、アルカリ土類金属の水酸化物とアルカリ金属の塩化物とが化学的に結合した構造を含む複合化蓄熱材が開示されている。
特開2007−309561号公報 特開2009−186119号公報 特開2013−216763号公報
特許文献3に開示された技術によれば、蓄熱密度の改善を達成することができるが、本願発明者らが検討したところ、脱水による蓄熱の開始温度が十分に低下しておらず、低温の廃熱を利用できないという問題があった。
本発明は、上記現状に鑑み、アルカリ土類金属の水酸化物の脱水反応を利用した蓄熱を行なう化学蓄熱材において、より低温での蓄熱を実現する化学蓄熱材を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らが種々検討を重ねたところ、アルカリ土類金属の水酸化物に基づいた化学蓄熱材において、アルカリ土類金属の化合物に所定量の遷移金属の化合物と所定量のアルカリ金属塩とを組み合わせて所定の条件で加熱することで、新規の複合化合物が形成され、そのような複合化合物を用いると、100〜350℃程度の低温域で脱水吸熱反応が効率よく進行し、特許文献3に開示された化学蓄熱材と比較してより低温での蓄熱が可能になることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、化学蓄熱材であって、前記化学蓄熱材は、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属から構成された複合化合物であり、前記複合化合物における前記遷移金属の含有量は、前記アルカリ土類金属に対して1〜40モル%であり、前記複合化合物における前記アルカリ金属の含有量は、前記アルカリ土類金属に対して0.1〜50モル%である、化学蓄熱材に関する。
前記アルカリ土類金属が、カルシウム、マグネシウム、及びバリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記遷移金属は、ニッケル、コバルト、銅、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記アルカリ金属が、リチウム、カリウム、及びナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また本発明は、前記化学蓄熱材を製造する方法であって、アルカリ土類金属化合物、遷移金属の化合物、及びアルカリ金属塩の混合物を350〜1000℃の温度で焼成することによって、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属の複合化合物を形成する工程を含む、方法。
本発明によると、アルカリ土類金属の水酸化物の脱水反応を利用した蓄熱を行なう化学蓄熱材において、より低温での蓄熱を実現する化学蓄熱材を提供することができる。本発明の化学蓄熱材では、100〜350℃程度の低温域で蓄熱を達成することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の化学蓄熱材は、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属の複合化合物から構成されるものである。本発明の化学蓄熱材は、アルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物による以下の可逆反応を利用したものである。なお、以下の反応式では、アルカリ土類金属としてカルシウム又はマグネシウムを用いた場合について示した。
CaO+HO⇔Ca(OH) △H=−109.2kJ/モル
MgO+HO⇔Mg(OH) △H=−81.2kJ/モル
各式中、右方向への反応は酸化カルシウム又は酸化マグネシウムの水和発熱反応である。反対に、左方向への反応は水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムの脱水吸熱反応である。すなわち本発明の化学蓄熱材は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムの脱水反応が進行することによって蓄熱することができ、また、蓄えられた熱エネルギーを、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムの水和反応が進行することによって供給することができる。
これに加えて、ニッケル、コバルト、銅及びアルミニウムからなる群より選択される遷移金属の水酸化物及び酸化物も同様の可逆反応を行う。その際の△Hは−50〜60kJ/モルであり、絶対値がアルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物のものと比較して低くなる。
このように本発明の化学蓄熱材は、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の酸化物による可逆反応と、前記遷移金属の水酸化物及び前記遷移金属の酸化物による可逆反応により蓄熱及び放熱するものであるので、本発明の化学蓄熱材には、アルカリ土類金属は、アルカリ土類金属の化合物、具体的にはアルカリ土類金属の水酸化物の形態、アルカリ土類金属の酸化物の形態、又は、双方の形態で含有されている。また、遷移金属は、遷移金属の化合物、具体的には遷移金属の水酸化物の形態、遷移金属の酸化物の形態、又は、双方の形態で含有されている。すなわち、本発明のアルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属から構成された複合化合物において、アルカリ土類金属が水酸化物及び/又は酸化物であってもよく、遷移金属が水酸化物及び/又は酸化物であってもよい。
本発明において、前記アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、バリウムが挙げられる。これらを1種のみ含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであっても良い。このうち、カルシウム及び/又はマグネシウムが好ましく、マグネシウムがより好ましい。
アルカリ土類金属の化合物としては、焼成により酸化物となるものであれば特に限定されないが、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、又は硫酸塩などが挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。より具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、マグネシウムとカルシウムの複合水酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、及び/又はマグネシウムカルシウムの複合酸化物が好ましい。
前記遷移金属は、ニッケル、コバルト、銅、及びアルミニウムからなる群より選択され、これらを1種のみ含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであっても良い。このうち、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ニッケル及び/又はコバルトがより好ましい。
前記遷移金属の化合物としては、アルカリ土類金属化合物と複合化するものである限り特に限定されないが、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、又は硫酸塩などが挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。より具体的には、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、ニッケルとコバルトの複合水酸化物、酸化ニッケル、酸化コバルト、及び/又はニッケルとコバルトの複合酸化物が好ましい。
前記アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムが挙げられ、これらを1種のみ含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであっても良い。このうち、リチウム、ナトリウムが好ましく、リチウムがより好ましい。
前記アルカリ金属の塩としては、アルカリ土類金属の水酸化物と複合化でき、本発明の効果を奏するものである限り特に限定されないが、吸湿性を有する塩であって、雰囲気中の水分を吸着するか、又は対応する水和物を生成することができる塩が好ましい。そのような塩としては、例えば、取り扱いが容易なものとして、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、又は硫酸塩などが挙げられる。これらを単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
より具体的には、リチウムの塩としては、ハロゲン化リチウム及び/又は水酸化リチウムが好ましく、塩化リチウム、臭化リチウム、及び/又は水酸化リチウムがより好ましい。カリウムの塩としては、ハロゲン化カリウム及び/又は水酸化カリウムが好ましく、塩化カリウム、臭化カリウム、及び/又は水酸化カリウムがより好ましい。ナトリウムの塩としては、ハロゲン化ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムが好ましく、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、及び/又は水酸化ナトリウムがより好ましい。これらのうち、リチウムの塩が好ましく、なかでも塩化リチウムが最も好ましい。
本発明において、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属塩から構成された複合化合物とは、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属塩が化学的に結合した構造を含む化合物のことをいう。例えば、アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は遷移金属の水酸化物からなる粒子の表面にアルカリ金属塩が物理的に付着しているだけで、両者が化学的に結合していないものは、本発明でいう複合化合物には該当しない。本発明の化学蓄熱材は複合化合物から構成されるため、複数種の成分が独立して存在するものではなく、複合化合物として一体的に機能することによって、従来の化学蓄熱材より低温での蓄熱が可能になると推測される。
前記複合化合物では、アルカリ土類金属が主要成分を占める。前記複合化合物に含まれるアルカリ土類金属の含有量を100モル%としたときに、前記複合化合物に含まれる遷移金属の含有量は、1〜40モル%である。これより遷移金属の含有量が少なすぎると、遷移金属との複合化による蓄熱温度の低減を達成することができない。また、遷移金属の含有量が多すぎると、化学蓄熱材による単位体積又は単位質量あたりの蓄熱量が低下する恐れがある。3〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。本発明の化学蓄熱材においては遷移金属の含有量を調節することで、化学蓄熱材の脱水吸熱温度を制御することができる。
前記複合化合物に含まれるアルカリ土類金属の含有量を100モル%としたときに、前記複合化合物に含まれるアルカリ金属の含有量は、0.1〜50モル%である。これよりアルカリ金属の含有量が少なすぎると、アルカリ金属塩との複合化による蓄熱温度の低減を達成することができない。また、アルカリ金属の含有量が多すぎると、化学蓄熱材による単位体積又は単位質量あたりの蓄熱量が低下する恐れがある。0.5〜30モル%が好ましく、1.0〜20モル%がより好ましく、2.0〜10モル%がさらに好ましい。本発明の化学蓄熱材においてはアルカリ金属の含有量を調節することで、化学蓄熱材の脱水吸熱温度を制御することができる。
本発明の複合化合物は、アルカリ土類金属化合物、遷移金属の化合物、及びアルカリ金属塩の混合物を350〜1000℃で1〜24時間焼成することによって、複合化合物を形成することができる。焼成温度が350℃未満の場合は、複合化が十分に行われず蓄熱温度の低減を達成することができない。また、焼成温度が1000℃より高いと、粒子同士の焼結が起こり、反応性が著しく低下し、化学蓄熱材として使用できない恐れがある。焼成温度は400〜900℃が好ましく、500〜800℃がより好ましく、600〜700℃がさらに好ましい。
なお、本発明の化学蓄熱材が前記複合化合物から構成されるとは、化学蓄熱材が奏する蓄熱作用が主に前記複合化合物によって実現される程度に、前記化学蓄熱材が前記複合化合物を含有することを意味する。従って、本発明の化学蓄熱材には、前記複合化合物以外の化学蓄熱成分や、化学蓄熱作用を示さない成分(例えばバインダー)が含まれていても良い。
本発明の化学蓄熱材の形状は特に限定されないが、例えば、粉末や、造粒体、成形体などの形状であってよい。
次に、本発明における複合化合物を製造する方法について説明する。
本発明における複合化合物を製造する方法は特に限定されないが、例えば以下の方法を挙げることができる。
(A):アルカリ土類金属及び所定割合の遷移金属の複合水酸化物を用意する工程;
(B):工程(A)で用意したアルカリ土類金属及び遷移金属の複合水酸化物、並びに所定割合のアルカリ金属塩を混合する工程;
(C):工程(B)で用意したアルカリ土類金属及び遷移金属の複合水酸化物、並びにアルカリ金属塩の混合物を、350〜1000℃の温度で1〜24時間焼成する工程;を含む製造方法。
上記工程(A)においては、まず、アルカリ土類金属塩(例えば、塩化物、炭酸塩など)を純水等に溶解又は分散させた水溶液又は分散液と、前記遷移金属の塩(例えば、塩化物、炭酸塩など)を純水等に溶解又は分散させた水溶液又は分散液それぞれを用意し、両液を混合して混合液を得る。次いで、当該混合液にナトリウム及び/又はカルシウムの水酸化物からなる溶液及び/又は分散液を投入して反応させて、複合水酸化物の分散液を得る。さらに当該分散液をろ過、水洗、乾燥して、アルカリ土類金属及び遷移金属の複合水酸化物を得る。
より具体的には、濃度1〜10モル/Lの塩化マグネシウム水溶液と、濃度0.1〜10モル/Lの前記遷移金属の塩を含む水溶液を用意して、両液を混合する。次いで、得られた混合液に、1〜18モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カルシウム分散液をMgイオンに対する反応率が80〜150%となるように投入し、複合水酸化物の分散液を得る。そして、当該分散液をろ過、水洗、乾燥して、マグネシウム、及び遷移金属の複合水酸化物を得る。
上記工程(B)において、工程(A)で得られたアルカリ土類金属及び遷移金属の複合水酸化物、並びに所定割合のアルカリ金属塩を混合する方法は特に限定されず、任意の混合手段を用いることができる。具体的には、ハンディーミキサーや、万能混合攪拌機、リボンミキサー、スパルタンリューザー等を、混合する分量に応じて適宜使用すればよい。
上記工程(C)では、工程(B)で得られた混合物を焼成することで、組成的に均一性が高い複合化合物を得ることができる。焼成条件としては、使用する元素の種類やその割合に応じて適宜調整することができる。
本発明の化学蓄熱材は、100〜350℃程度の熱源、例えば工場排熱等の未利用熱によって蓄熱材を加熱脱水することにより蓄熱することができる。脱水された蓄熱材は、乾燥状態に保つことにより容易に蓄熱状態を維持することができ、またその蓄熱状態を維持しながら所望の場所へ持ち運ぶことができる。放熱する場合には、所定圧力の水蒸気と接触させることにより水和反応熱(水蒸気収着熱)を熱エネルギーとして取り出すことができる。また、気密封鎖空間内の一方で水蒸気収着を行わせ、他方では水を蒸発させることにより冷熱を発生させることもできる。
また、本発明の化学蓄熱材は、エンジンや燃料電池等から排出される排気ガスの熱を有効利用するのにも適している。例えば、排気ガスの熱は、自動車の暖機運転の短縮、搭乗者のアメニティーの向上、燃費の改善、排気ガス触媒の活性向上による排気ガスの低害化等に活用することができる。特に、エンジンの場合、運転による負荷が一定でなく排気出力も不安定であることから、排気熱の直接利用は必然的に非効率・不便を伴う。本発明の化学蓄熱材によると、排気熱を一旦化学的に蓄熱し、熱需要に応じて熱出力することで、より理想的な排気熱利用が可能となる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(脱水開始温度の測定方法)
各実施例及び比較例で得られた複合化合物について、熱重量/示差熱分析測定装置(TG/DTA6300、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて熱評価を行った。測定は、昇温速度10℃/min.,大気条件下・常圧で、常温から500℃の範囲で行った。複合化合物は予め水和条件下で水和したのち、測定に供し、各複合化合物中の水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウムが酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムへと変化を開始する温度を、吸熱挙動から計測し、これを脱水開始温度とした。
(実施例1)
純度が98質量%の無水塩化マグネシウムを純水で溶解させ、Mgイオン濃度が2.0モル/Lになるように調整した塩化マグネシウム水溶液を得た。別途、純度97質量%の塩化ニッケル溶液に純水を加え、Niイオン濃度が0.8モル/Lになるように調整した水溶液を得た。両水溶液を、Mgイオンに対して、Niイオンが10モル%になるように投入し混合溶液を作製した。
作製した混合溶液に、試薬特級の水酸化ナトリウム溶液に純水を加えて濃度2.0モル/Lに調整した溶液を滴下した。その際、ローラーポンプを用いて塩化マグネシウムに対する水酸化ナトリウムの反応率が90%になるように5mL/minで滴下を行い、300rpmで攪拌し、40℃で2時間反応させた。反応後の分散液をろ過、水洗した後、120℃で12時間乾燥を行い、マグネシウム及びニッケルの複合水酸化物を得た。
得られた複合水酸化物10gを、Mgに対して10モル%の塩化リチウムとともに攪拌機の容器に投入し、10分間攪拌し、複合水酸化物を主成分とする混合物を得た。
その後、得られた混合物を電気炉にて、600℃、2時間の条件で焼成し、マグネシウム、ニッケル、及びリチウムの複合化合物を得た。
(実施例2)
塩化ニッケル水溶液を塩化コバルト水溶液に変えた以外は実施例1と同様の方法で、マグネシウム、コバルト、及びリチウムの複合化合物を製造した。
(比較例1)
試薬特級の粉末状水酸化マグネシウム10gに、マグネシウムに対し試薬特級の塩化ニッケル六水和物及び試薬特級の塩化リチウムを、ニッケルが10モル%及びリチウムが10モル%となるよう秤量した。塩化リチウムを常温にて適量のイオン交換水に加えて攪拌溶解し、塩化リチウム水溶液を作成した。当該水溶液に、前記粉末状水酸化マグネシウム及び塩化ニッケルを加えて10分間攪拌し、分散液を得て、この分散液を乾燥機にて120℃で12時間乾燥し、水酸化マグネシウム、塩化ニッケル及び塩化リチウムの混合物を得た。
(比較例2)
焼成温度を600℃から300℃に変えた以外は実施例1と同様の方法で、マグネシウム、コバルト、及びリチウムの複合化合物を製造した。
以上の結果を表1にまとめた。表1では、比較例1における脱水開始温度を100とし、実施例1〜2及び比較例2における脱水開始温度は、比較例1における脱水開始温度に対する相対値として示した。
Figure 0006815915
表1より、実施例1、2の化学蓄熱材はアルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属の複合化合物からなるものであり、比較例1の複合化合物ではなく単なる混合粉末、比較例2の焼成温度が低く遷移金属がマグネシウムに複合化していない化合物よりも脱水開始温度が低いものであった。従って、実施例1、2の複合化合物は、相対的に低温での蓄熱を実現する化学蓄熱材を構成する材料とすることができる。

Claims (2)

  1. 化学蓄熱材であって、
    前記化学蓄熱材は、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属から構成された複合化合物であり、
    前記アルカリ土類金属が、マグネシウムであり、
    前記遷移金属が、ニッケル、及びコバルトからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記アルカリ金属が、リチウムであり、
    前記複合化合物における前記遷移金属の含有量は、前記アルカリ土類金属に対して1〜40モル%であり、
    前記複合化合物における前記アルカリ金属の含有量は、前記アルカリ土類金属に対して0.1〜50モル%である、化学蓄熱材。
  2. 請求項に記載の化学蓄熱材を製造する方法であって、
    アルカリ土類金属化合物、遷移金属の化合物、及びアルカリ金属塩の混合物を350〜1000℃の温度で焼成することによって、アルカリ土類金属、遷移金属、及びアルカリ金属の複合化合物を形成する工程を含む、方法。
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