JP6815140B2 - 磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法 - Google Patents

磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法 Download PDF

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Description

本発明は、探傷装置、及び探傷方法に関し、より詳細には、磁粉を用いて探傷を行う磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法に関する。
磁粉探傷試験は、例えばビレット等の鋼材や自動車のシャフト等の被検査物の表面の探傷検査に適用され、JIS−Z−2320に規格化されている。磁粉探傷試験では、被検査物の表面に磁粉を含有する磁粉溶液を塗布するとともに、被検査物に磁場を印加する等して被検査物を磁化する。磁化された被検査物の表面にクラック等の傷がある場合には、この傷から磁束が漏洩するため、この漏洩磁束に磁粉が引き付けられて磁粉による指示模様が形成される。そして、この磁粉指示模様を観測することで傷を検査する。磁粉探傷試験には、傷の検出精度を向上させるために、磁粉に蛍光体を塗布した蛍光磁粉を用いる蛍光磁粉探傷試験も知られている。そして、このような磁粉探傷試験は、検出確度や作業効率を向上させるために種々の形態が提案されている。
特許文献1には、厚さ方向に貫通する孔が形成された磁性体からなる被検査材の孔に電流貫通極を挿入し該電流貫通極に直流電流を通電すると共に、被検査材の両側面に対向して配置された磁化コイルに交流電流を通電して前記被検査材を磁化する工程と、前記被検査材の表面に磁粉液を散布する工程と、前記被検査材に付着する磁粉の有無を観察する工程と、前記被検査材を脱磁する工程と、からなる磁粉探傷方法が開示されている。
特開2003−344359号公報
特許文献1の磁粉探傷方法によれば、短時間に被検査材の全表面のいずれの方向の欠陥をも探傷することができるとされている。また、特許文献1には、磁粉液を少ないノズルでしかも短時間で均一に散布するために、被検査材を孔を軸心として回転させながら、上方から磁粉液を散布することも開示されている。
ここで、被検査物の表面のクラック等の傷部から漏洩する漏洩磁束は、とても弱く、傷部の上を通過する磁粉を引き付けることはできるものの、傷部から離れた部位を通過する磁粉を引き寄せることはできない。また、被検査物の表面を流れる磁粉液の流れが速いと磁粉が漏洩磁束に引き付けられずに流されてしまい、磁粉指示模様が形成されない。一方で、被検査物の表面を流れる磁粉液の流れが遅いと磁粉指示模様が形成されるまでに多くの時間を要する。また、傷部とは異なる部位に磁粉が残留しやすくなり、傷部の誤検出が増加して傷部の検出確度が低下しやすくなる。したがって、傷部の検出確度や作業効率を向上させるためには、被検査物の表面を流れる磁粉液の流れを適正かつ一定な流れにすることが重要である。
特許文献1の磁粉探傷方法では、磁粉液を短時間で均一に散布することは考慮されているものの、被検査体の表面を流れる磁粉液の流れについては何ら考慮がなされていない。また、特許文献1の磁粉探傷方法では、磁粉液を散布した際に被検査体の下部に溜まる磁粉液についても考慮がなされていない。磁粉指示模様を観測するために被検査体を回転させた場合、被検査体の下部に溜まった磁粉液が被検査体の表面を流れて磁粉指示模様の一部を消してしまうことがあり、傷部の検出漏れが発生する場合がある。更に、特許文献1の磁粉探傷方法では、被検査物は厚さ方向に貫通する孔が形成されたものに限定されるため、汎用性が低い。
そこで、本発明の目的は、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の磁粉探傷装置は、
水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、
前記被検査物を磁化する磁化部と、
前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、
前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、
前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、
一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されることを特徴とする。
更に、前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、
前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されることを特徴とする。
更に、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されることを特徴とする。
更に、本発明の磁粉探傷方法は、
水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、
前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、
前記被検査物を磁化する工程と、
前記被検査物を撮像する工程とを備え、
前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像することを特徴とする。
更に、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えることを特徴とする。
更に、前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されるので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷装置を提供することができる。
更に、前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷装置を提供することができる。
更に、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されるので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷装置を提供することができる。
更に、本発明の磁粉探傷方法は、水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷方法を提供することができる。
更に、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えるので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷方法を提供することができる。
更に、前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷方法を提供することができる。
本実施形態に係る磁粉探傷装置の一例が示された概略正面図である。 図1の磁粉探傷装置の概略平面図である。 支持部の一例が示された概略側面図である。 磁粉探傷装置の制御系統のブロック図である。 別の実施形態に係る磁粉探傷装置が示された概略正面図である。 本実施形態に係る磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。 別の実施形態に係る磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本実施形態に係る磁粉探傷装置1の一例が示された概略正面図であり、図2は図1の磁粉探傷装置1の概略平面図であり、図3は支持部11の一例が示された概略側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図1において、後述する撮像部15の側を上とし、後述する塗布部13の側を下とし、紙面に対して手前側を前とし、奥側を後とする。また、図1において、被検査物10の回転方向が矢印d1によって示され、後述する支持部11の記載は省略されている。また、図2において、支持部11、後述する紫外線照射部14、撮像部15の記載は省略されている。
図1〜図3に示されるように、磁粉探傷装置1は、例えば長尺で径が異なる部位を有する円柱状のシャフトである被検査物10の表面(外周面)における欠陥としての傷部を、磁粉を用いて検出するように構成される。磁粉探傷装置1は、支持部11と、磁化部12と、塗布部13と、紫外線照射部14と、撮像部15と、図示せぬ制御部と、図示せぬ検出部と、図示せぬ提示部と、図示せぬ磁粉液回収部等を備える。そして、磁粉探傷装置1は、一定速度で回転する回転状態の被検査物10の表面に塗布部13によって下方側で磁粉液を塗布し、撮像部15によって上方側で撮像し、撮像された画像に基づいて傷部を検出するように構成される。
支持部11は、図3に示されるように、水平方向を軸にして被検査物10を回転可能に支持するように構成される。支持部11は、基台20と、基台20上に配設される2つの架台21,22と、被検査物10の一端を把持するチャック23を有するシャフト25と、被検査物10の他端を把持するチャック24を有するシャフト26と、駆動装置としてのモータ27等を備える。
シャフト25は架台21に回転自在に支持され、シャフト26は架台22に回転自在に支持される。シャフト25の軸心を通る一点鎖線の直線L1は、水平方向に延びてシャフト26の軸心及び円柱状の被検査物10の軸心を通る。つまり、シャフト25、シャフト26、及び円柱状の被検査物10は水平方向に延びる同軸上に位置している。シャフト25は、基台20上に配設されるモータ27の出力軸にギアボックス28を介して連動連結される。支持部11は、モータ27によってシャフト25を回転させることで、シャフト25、被検査物10、及びシャフト26を一体に回転させることができる。そして、支持部11は、水平方向を軸にして被検査物10を所望の速度で回転させることができる。なお、支持部11による被検査物10の回転方向は、図1において反時計回り(左回り)であり、被検査物10は探傷時に一定速度で回転する回転状態に維持される。
ここで、架台21は、基台20に固定される。一方で、架台22は、図示せぬレールを介して基台20に取り付けられ、直線L1に沿って前後方向に基台20上を移動できるように構成される。したがって、支持部11は、被検査物10の長さに応じて、2つのチャック23,24間の距離を調節できるように構成される。なお、架台22は、基台20に対する移動を抑制させる図示せぬロック機構を有する。
被検査物10を把持するチャック23,24としては、例えば複数の爪で被検査物10を把持するスクロールチャックやインデペンデントチャック、円筒状のコレットで把持するコレットチャック、吸引して被検査物10を把持する真空チャック等を用いることができる。
支持部11は、被検査物10の回転速度を検出する図示せぬ回転速度センサや被検査物10の回転角度を検出する図示せぬ回転角度センサ等も備える。回転速度センサや回転角度センサとしては、例えば支持部11のシャフト25に取り付けられるロータリエンコーダ等を用いることができる。
なお、支持部11は、上述の構成に限定されるものではなく、水平方向を軸にして被検査物10を回転可能に支持するように構成されていれば良い。例えば、モータ27の出力軸とシャフト25は、直接連結させても良く、プーリとベルトを用いて連動連結させても良い。
また、支持部11は、シャフト26に替わって、円錐状の心押し軸によって、被検査物10の他端を支持する構成であっても良い。なお、このような構成の場合、心押し軸は、その先端が被検査物10の他端の軸心上に当接されて被検査物10を回転自在に支持する。
また、支持部11は、架台22とシャフト26を備えることなく、片持ち状に被検査物10の一端のみを支持する構成であっても良い。しかしながら、被検査物10が長尺である場合には、支持部11は、上述のように被検査物10の両端を支持する構成であることが好ましい。
また、支持部11は、基台20が直線L1に沿って前後方向に移動可能な構成であっても良い。このような構成としては、基台20に更に車輪を備える構成や、レールによって基台20を直線L1に沿って前後方向に移動可能に支持する載置台を更に備える構成等が例示できる。このような構成にすることで、被検査物10の軸方向の探傷部位の位置合わせが容易に行える。
また、支持部11は、被検査物10の外周面に当接する複数の従動ローラ及び駆動ローラによって、被検査物10を回転可能に支持する構成であっても良い。
また、支持部11は、エンドエフェクタとして被検査物10を把持するグリッパを備え、このグリッパを回転させることができるように構成されるロボットアームであっても良い。このような構成にすることで、探傷後の被検査物10の仕分けや搬送をロボットアームによって行うことができ、使い勝手が良い。
また、支持部11は、被検査物10の回転方向は特に限定されるものではなく、支持部11は、被検査物10を逆回転させることができる構成であっても良い。
磁化部12は、支持部11によって一定速度で回転されている被検査物10に非接触で磁場を印加し、少なくとも被検査物10の表層部を磁化するように構成される。より詳細には、磁化部12は、ヨーク法を用いて被検査物10の表層部を磁化するように構成される。磁化部12は、磁性材料で形成されるU字状の磁心コア29と、磁心コア29の両端の近傍に巻き付けられる励磁コイル30,31と、磁心コア29の両端に取り付けられる爪32,33と、磁心コア29と励磁コイル30,31を覆う保護カバー34等を備える。爪32,33は、磁性材料で形成される。爪32,33は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げることができるように構成される。そして、2つの爪32,33の先端の位置をそれぞれ調節できる。磁心コア29と励磁コイル30,31は、保護カバー34によって覆われており、後述する磁粉液が直接かからないように保護されている。
磁化部12は、被検査物10の下方側であって、2つの爪32,33の間に被検査物10が位置し、2つの爪32,33の先端が被検査物10の表面近傍に配置される。そして、2つの爪32,33の間を結ぶ直線は、被検査物10の軸方向と直交する方向に延びている。
磁化部12は、励磁コイル30,31に交流電流が流れることで、2つの爪32,33の間に、平面視(図2)で被検査物10の軸方向と直交する方向に磁場が形成され、被検査物10の表面でこの磁場の方向と直交する方向に延びる傷部、つまり軸方向に延びる傷部から漏洩磁束を発生させることができる。そして、磁化部12は、2つの爪32,33の間に配置される回転状態の被検査物10に非接触で磁場を印加し、被検査物10を磁化するように構成される。
ここで、被検査物10は、磁化部12によって全体が磁化されるのではなく、軸方向において磁化部12の近傍が磁化され、この磁化される部位が磁粉探傷装置1による探傷部位となる。
なお、磁化部12の構成は特に限定されるものではなく、支持部11によって一定速度で回転している被検査物10に磁場を印加し、少なくとも被検査物10の表層部を磁化するように構成されていれば良い。磁化部12は、2つの爪32,33の間を結ぶ直線が平面視(図2)で被検査物10の軸方向と平行で、2つの爪32,33の先端が被検査物10の表面近傍に配置されても良い。このような構成にすることで、被検査物10の軸方向と平行な方向に磁場が形成され、被検査物10の表面でこの磁場の方向と直交する方向に延びる傷部、つまり円周方向に延びる傷部から漏洩磁束を発生させることができる。
また、磁化部12は、例えば回転磁界を生成する構成であっても良い。このような構成としては、上述の磁化部12とともに、この磁化部12と同様の構成の別の磁化部とを備える構成が例示できる。別の磁化部は、磁化部12の近傍であって、2つの爪の間を結ぶ直線が平面視(図2)で被検査物10の軸方向と平行で、2つの爪の先端が被検査物10の表面近傍に配置される。このような構成にし、磁化部12と別の磁化部に流れる励磁電流(交流電流)の位相を変えることで回転磁界を生成することができ、いずれの方向に延びる傷部からも漏洩磁束を発生させることができる。
また、磁化部12は、ヨーク法以外の磁化方法によって被検査物10を磁化しても良く、被検査物10の形態に応じて磁化方法を適宜選択できる。例えば、磁化部12は、被検査物10と接触して被検査物10を磁化する構成とすることができる。なお、詳細については後述するが、磁粉探傷装置1は、被検査物10が水平方向を軸にして一定速度で回転する回転状態で探傷を行うため、磁化部12は非接触で被検査物10を磁化する構成であることが好ましく、ヨーク法を用いて磁化する構成であることが好ましい。
塗布部13は、支持部11によって一定速度で回転されている被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布するように構成される。塗布部13は、吐出口35を有するノズル36と、磁粉液を貯留する図示せぬタンクと、ホース37によってノズル36に接続された図示せぬポンプ等を備える。ポンプは、図示せぬホースによってタンクに接続されている。塗布部13のノズル36は、磁化部12の2つの爪32,33の間であって、吐出口35を被検査物10へ向けて被検査物10の直下に配置される。そして、塗布部13は、ポンプによってタンクから圧送された磁粉液をノズル36の吐出口35から重力に逆らって上方へ向けて吐出させ、回転状態の被検査物10の表面(外周面)に下方側で磁粉液を塗布するように構成される。なお、塗布部13は、磁化部12によって形成される磁界領域内であって、被検査物10の軸方向において磁化部12によって磁化される部位の表面に磁粉液を塗布する。
塗布部13によって被検査物10に塗布される磁粉液は、溶媒としての水に蛍光磁粉を混合させた溶液である。蛍光磁粉は、表面が蛍光体で被覆された磁粉であり、そのメジアン径は3μm〜70μm程度である。なお、磁粉液は、蛍光磁粉に替わって表面が蛍光体で被覆されていない単なる磁粉を含有する構成であっても良い。また、磁粉液の溶媒は、白灯油であっても良い。また、磁粉液は、分散剤や防錆剤等を更に含有する構成であっても良い。分散剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル型非イオン系界面活性剤および陰イオン活性剤を用いることができる。防錆剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム等を用いることができる。また、磁粉液における、蛍光磁粉、分散剤、防錆剤等の濃度は適宜設定できる。
ここで、塗布部13は、磁粉液をノズル36の吐出口35から高圧で吐出(噴射/噴出)するのではなく、吐出口35から湧き出るように吐出するように構成される。つまり、塗布部13は、被検査物10の下方側に位置する表面が磁粉液の勢いで塗布されるのではなく、磁粉液に浸されるように構成される。そして、ノズル36の吐出口35から吐出された磁粉液は、被検査物10の上方側に位置する表面に、下方向への流れのエネルギを持って塗布されることがない。なお、塗布部13は、ノズル36の吐出口35と被検査物10の表面との距離、ノズル36の吐出口35から吐出される磁粉液の流速等を調節することで、このような磁粉液の塗布を行うことができる。そして、ノズル36の吐出口35と被検査物10の表面との距離は、2mm〜20mmであることが好ましく、ノズル36の吐出口35から吐出される磁粉液の流速は、30mm/s〜700mm/sであることが好ましい。このような構成にすることで、磁粉液を上述のように塗布することができる。なお、磁粉液の流速が30mm/sより小であると、均一な塗布ができなくなる。
なお、塗布部13は、上述の構成に限定されるものではなく、支持部11によって回転している被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布するように構成されていれば良い。例えば、ノズル36は、被検査物10の軸方向である直線L1に沿って吐出口35が幅広に形成されても良い。また、ノズル36の吐出方向は、被検査物10の軸心からずれていても良い。また、塗布部13は、複数のノズル36を備える構成であっても良い。
ここで、被検査物10は、塗布部13によって下方側に位置する表面に磁粉液が塗布されるが、被検査物10は支持部11によって回転されている。したがって、被検査物10の表面に塗布される磁粉液は、相対的に被検査物10の表面を流れることになる。被検査物10は、磁化部12によって少なくとも表層部が磁化されているので、被検査物10の表面に欠陥としての傷部が存在する場合、その傷部に起因する漏洩磁界が生じている。磁粉液に含有される蛍光磁粉が傷部の上を通過すると、この漏洩磁界によって傷部に引き付けられる。そして、この漏洩磁界によって蛍光磁粉が傷部に集合することで、傷部に起因する磁粉指示模様が形成される。
ここで、被検査物10の表面に対する磁粉液の相対的な流速は、被検査物10の周速と関係があり、周速が速くなると流速も速くなり、周速が遅くなると流速も遅くなる。そして、被検査物10の回転速度を変更することで容易に調節することができる。したがって、被検査物10の表面を流れる磁粉液の流速の調節が容易であり、使い勝手が良い。そして、磁粉液の流速の調節にかかる時間を短縮できるので、作業効率を向上させることができる。また、磁粉液の流速を一定に保つことも容易であり、磁粉指示模様を好適に形成することができ、傷部の検出漏れが防止されて、検出確度が向上するとともに、円周方向の検出力を一定に維持することができる。なお、被検査物10の表面に対する磁粉液の相対的な流速は、被検査物10の回転速度とともに、ノズル36の吐出口35から吐出される磁粉液の流速、磁粉液の塗布量、重力加速度、被検査物10の表面粗さ等の影響も受ける。
なお、磁粉指示模様を好適に形成する観点において、被検査物10の表面を流れる磁粉液の流速は、約2mm/s〜100mm/sであることが好ましい。流速が100mm/sより大であると、蛍光磁粉が漏洩磁束に引き付けられずに流されてしまい、磁粉指示模様が形成されにくくなる。そして、傷部の検出漏れが生じて、傷部の検出確度が低下しやすくなる。一方、流速が2mm/sより小であると、磁粉指示模様が形成されるまでに多くの時間を要する。また、傷部とは異なる部位に蛍光磁粉が残留しやすくなって傷部の誤検出が増加し、傷部の検出確度が低下しやすくなる。
また、塗布部13のノズル36から吐出された余剰の磁粉液は、被検査物10の表面を流れることなく重力によって下方へ落下する。したがって、形成された磁粉指示模様が余剰の磁粉液によって消されることがなく、傷部の検出漏れが防止され、傷部の検出確度が向上する。なお、落下した余剰の磁粉液は、後述する磁粉液回収部によって回収される。
紫外線照射部14は、後述する撮像部15が撮像する被検査物10の表面(外周面)に紫外線を照射するように構成される。紫外線照射部14は、光源としての図示せぬ紫外線LED(Light Emitting Diode)または紫外線ランプや冷却装置としての図示せぬファン等を有する。紫外線照射部14は、被検査物10の上方に配置される。そして、紫外線照射部14は、磁化部12によって磁化されて塗布部13によって磁粉液が塗布された部位であって、撮像部15が撮像する被検査物10の上方側の表面に上方から紫外線を照射する。そして、紫外線照射部14によって紫外線が照射されている領域に磁粉指示模様がある場合、磁粉指示模様を形成する蛍光磁粉の蛍光体が励起して発光する。
なお、紫外線照射部14の構成は特に限定されるものではない。例えば、紫外線照射部14は、磁化部12によって生成される磁界の影響を避けるために、磁気シールドが施される構成であっても良い。また、紫外線照射部14は、紫外線をパルス照射するような構成であっても良い。このような構成にすることで、紫外線照射部14を高強度の紫外線を常時照射可能な構成とする必要がなく、安価な構成にすることができるとともに、紫外線の光源の長寿命化が期待できる。
撮像部15は、支持部11によって一定速度で回転されている被検査物10の表面(外周面)であって、軸方向において磁化部12によって磁化されて塗布部13によって磁粉液が塗布された部位の表面を上方側で撮像するように構成される。撮像部15は、被検査物10の上方に配置され、被検査物10の表面を上方から撮像する。したがって、被検査物10の上方側に位置する表面が撮像部15によって撮像される。
撮像部15としては、エリアカメラまたはラインカメラを用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。撮像部15のシャッタースピード(画像取り込み時間)や撮像される画像の分解能は、被検査物10の回転速度や、紫外線照射部14が照射する紫外線の強度に応じて適宜設定される。
なお、撮像部15は、上述の構成に限定されるものではなく、支持部11によって回転している被検査物10の表面を上方側で撮像するように構成されていれば良い。例えば、撮像部15は、磁化部12によって生成される磁界の影響を避けるために、磁気シールドが施される構成であっても良い。また、紫外線照射部14が紫外線をパルス照射する場合には、撮像部15は紫外線照射部14のパルス照射に同期して撮像するように構成される。
ここでは図示せぬ検出部は、撮像部15によって撮像された画像信号(原画像)を読み込むとともに、原画像に所定の処理を行うことによって、被検査物10の表面の欠陥を検出するものであり、その構成については後述する。
ここでは図示せぬ提示部は、検出部による傷部の検出結果を作業者に提示するように構成される。提示部としては、例えば、ランプ、ブザー、液晶パネル、モニター等を用いることができる。
なお、提示部の構成は特に限定されるものではない。例えば、提示部は、被検査物10の表面に目視可能なマーキングンをするように構成されるマーキング部を有する構成であっても良い。マーキング部としては、例えば、空気圧を用いてインクを噴射することでマーキングを行うマーキングガンを用いることができる。このような構成にすることで、傷部が有ると判定された被検査物10に識別用のマーキングを行うことができ、傷部が有る被検査物10と傷部が無い被検査物10とを探傷後に容易に識別することができ、使い勝手が良い。また、検出された傷部に表示用のマーキングを行うことも可能となり、傷部の位置を容易に把握することができ、使い勝手が良い。
図示せぬ磁粉液回収部は、塗布部13のノズル36から吐出された余剰の磁粉液を回収するように構成される。磁粉液回収部としては、被検査物10の下方に配置されて余剰の磁粉液を回収する受け皿と、受け皿によって回収した磁粉液を圧送するポンプと、回収した磁粉液を貯留するタンク等を有する構成が例示できる。回収した磁粉液は、再利用することができるため、環境への負荷を低減することができる。
次に、本実施形態に係る磁粉探傷装置1の制御系統について説明する。図4は、磁粉探傷装置1の制御系統のブロック図である。磁粉探傷装置1は、制御部17を備え、この制御部17によって、支持部11、磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14、撮像部15、検出部16、提示部18等が制御され、自動制御によって被検査物10の表面の欠陥としての傷部を検出することができるように構成されている。
制御部17は、種々の設定値や、各種センサによる検出値等の入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することで、磁粉探傷装置1の動作を制御するように構成されている。制御部17としては、演算処理及び制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データが格納される主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、並びに電源回路等の含まれたマイクロコンピュータが例示される。ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)に例示される主記憶装置には、本実施形態に係る動作を実行するための制御プログラムや、各種データが格納されている。なお、これらの各種プログラムやデータ等は、外部の記憶装置に格納され、制御部17が読み出す形態とされても良い。
制御部17には、支持部11、磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14、撮像部15、検出部16、提示部18等が電気的に接続されている。なお、制御部17には、図4に示された構成以外の各種センサ等が電気的に接続されている。
検出部16は、制御部17と同様に、演算処理及び制御処理を行う処理装置、データが格納される主記憶装置等を有し、例えば、CPU、主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、電源回路等を有するマイクロコンピュータである。主記憶装置には、原画像から欠陥としての傷部を検出するためのプログラムや、各種データ等が格納される。なお、検出部16の構成は特に限定されるものではない。例えば、主記憶装置に格納されるプログラムやデータ等は、外部の記憶装置に格納され、検出部16が読み出す形態とされても良い。
検出部16は、上述したように、撮像部15によって撮像された原画像を読み込み、この読み込んだ原画像に所定の画像処理を行う。画像処理としては、LUT(Look Up Table)変換処理、拡大・収縮処理、シェーディング処理、及び二値化処理等が例示される。そして、検出部16は、画像処理がなされた画像内の傷部の有無の判定を行い、傷部を検出する。
なお、検出部16は、撮像部15によって撮像された原画像から傷部を検出できる構成であれば良く、特に限定されるものではない。例えば、検出部16は、複数の画像処理をパイプライン処理によって平行して処理する構成であっても良い。このような構成にすることで、傷部の有無の判定までに要する時間を短縮することができる。
検出部16は、撮像部15による撮像と連動するリアルタイム処理によって傷部を検出する。しかしながら、検出部16は、撮像部15による撮像と連動せず、撮像部15によって撮像された複数の原画像を蓄積してから処理を行うバッチ処理によって傷部を検出しても良い。このような構成にすることで、検出部16の演算負荷が低減され、生産性が向上される。
また、検出部16は、制御部17と一体に構成されても良い。このような構成にすることで、磁粉探傷装置1の構成が簡略され、生産性が向上される。
そして、磁粉探傷装置1は、水平方向を軸にして被検査物10を一定速度で回転させた回転状態で、被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布し、被検査物10を磁化し、上方側で被検査物10を撮像するように構成される。ここで、被検査物10の表面のある部位は、回転によって下方側へ位置した際に塗布部13によって磁粉液が塗布されるとともに磁化部12によって磁化される。この際、余剰の磁粉液は、被検査物10の表面を流れることなく重力によって下方へ落下する。更に被検査物10が回転することで、この部位は上方側へ移動し、撮像部15よって撮像される。つまり、被検査物10は、下方側で磁粉液の塗布及び磁化がされた後、上方側で撮像が行われる。したがって、形成された磁粉指示模様は、撮像部15によって撮像されるまでの間に上から流下する磁粉液によって消されることがなく、傷部の検出漏れが防止され、傷部の検出確度が向上する。また、磁粉探傷装置1は、被検査物10の表面を円周方向に順次探傷するとともに、表面を流れる磁粉液の流速を一定に保つことができ、円周方向の検出力を一定に維持することができる。
なお、磁粉探傷装置1は、上述の構成に限定されるものではない。上述の磁粉探傷装置1では、被検査物10が支持部11によって回転されている回転状態で撮像部15によって撮像されるが、撮像部15によって被検査物10を撮像する際に支持部11が被検査物10の回転を停止するように構成されても良い。このような構成にすることで、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時のシャッタースピードを長くすることができるの、照射する紫外線強度が低く、例えば被検査物10に照射される紫外線強度が1mW/cm〜5mW/cm程度となる安価な紫外線照射部14であっても磁粉指示模様を鮮明に撮像することができる。
また、磁粉探傷装置1は、撮像部15によって撮像された画像と、この画像が撮像された際の支持部11の回転角度センサの検出値とを関連付けるように構成されても良い。このような構成にすることで、被検査物10の円周方向において、どの部位が撮像部15によって撮像されたかが分かり、傷部の有無だけでなく、傷部の位置を把握することが可能となり、使い勝手が良い。ここで、被検査物10の円周方向における基準点を例えば目視可能なマーキングン等によって被検査物10に設けることが好ましい。そして、この基準点が回転角度センサのゼロ位置に対応するように被検査物10を支持部10に装着させたり、基準点を認識するセンサを更に備えてこの基準点をトリガーとして撮像を開始するような構成にしたりすることで、被検査物10が支持部11から取り外された後であっても傷部の位置を把握することが可能となる。なお、基準点は特に限定されるものではなく、被検査物10の円周方向における形状の変化点、例えばキー溝等とすることができる。
また、磁粉液が蛍光磁粉に替わって表面が蛍光体で被覆されていない単なる磁粉を含有する構成である場合には、磁粉探傷装置1は、紫外線照射部14に替わって例えば白色光を照射する照明部を備える構成とすることができる。
また、磁粉探傷装置1は、磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14、及び撮像部15を複数備える構成であっても良い。例えば、磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14、及び撮像部15が上述した位置関係で配置されたユニットを被検査物10の軸方向に複数備える構成であっても良い。このような構成にすることで、被検査物10の軸方向において、各ユニットが位置する部位を同時に探傷することができ、探傷時間の短縮ができる。
また、磁粉探傷装置1は、支持部11、磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14等が作業者によって手動で操作される構成であっても良い。このような構成にすることで、制御部17の構成が簡略され、生産性が向上する。
また、磁粉探傷装置1は、図5に示されるように、洗浄部19を更に備える構成であっても良い。ここで、図5は、別の実施形態に係る磁粉探傷装置2が示された概略正面図である。なお、磁粉探傷装置2は、上述の磁粉探傷装置1において洗浄部19を更に備える構成であり、洗浄部19以外は上述の磁粉探傷装置1と同様の構成であり、同様の構成の説明については省略される。また、図5において、被検査物10の回転方向が矢印d2によって示され、図1と同様に、支持部11の記載は省略されている。
洗浄部19は、支持部11によって一定速度で回転されている被検査物10の表面(外周面)に洗浄液を塗布し、撮像部15が被検査物10を撮像する前に被検査物10の表面に付着した余分な蛍光磁粉を除去するように構成される。なお、余分な蛍光磁粉とは、欠陥としての傷部に起因する漏洩磁界によって傷に引き寄せられて指示模様を形成する蛍光磁粉ではなく、被検査物10の表面に残留する蛍光磁粉である。
洗浄部19は、吐出口38を有するノズル39と、洗浄液を貯留する図示せぬタンクと、ホース40によってノズル39に接続された図示せぬポンプ等を備える。ポンプは、図示せぬホースによってタンクに接続されている。洗浄部19は、制御部17と電気的に接続され、制御部17によって制御される。
洗浄部19のノズル39は、磁化部12の近傍であって、被検査物10の回転方向において磁化部12と撮像部15との間であって、正面視(図5)で撮像部15より時計回り方向側に配置される。また、洗浄部19のノズル39は、被検査物10の軸心よりも上方に位置し、吐出口38が被検査物10の軸心へ向けられている。そして、洗浄部19は、ポンプによってタンクから圧送された洗浄液をノズル39の吐出口38から被検査物10へ向けて吐出させ、回転状態の被検査物10の表面(外周面)に洗浄液を塗布するように構成される。なお、洗浄部19は、支持部11によって一定速度で回転されている被検査物10の表面であって、少なくとも軸方向において塗布部13によって磁粉液が塗布され、磁化部12によって磁化される部位の表面に洗浄液を塗布するように構成される。
洗浄部19によって被検査物10に塗布される洗浄液は、磁粉液の溶媒である水である。なお、洗浄液は、磁粉液の溶媒と同一であれば良く、磁粉液の溶媒が白灯油である場合には白灯油とすることができる。
ここで、洗浄部19は、洗浄液をノズル39の吐出口38から高圧で吐出するのではなく、磁粉指示模様を形成する蛍光磁粉を殆ど除去することなく、被検査物10の表面に残留する蛍光磁粉を除去するように洗浄液を吐出するように構成される。また、洗浄部19は、洗浄液が撮像部15の撮像領域へ流れることなく重力によって下方へ落下するように構成される。
このような洗浄部19を備える構成とすることで、撮像部15が被検査物10を撮像する前に被検査物10の表面に付着した余分な蛍光磁粉を除去でき、傷部の誤検出(過検出)が防止され、傷部の検出確度が向上される。
なお、洗浄部19は、一定速度で回転されている被検査物10の径や周速に応じて、ノズル39の位置や向き、ノズル39の吐出口38と被検査物10の表面との距離、ノズル39の吐出口38から吐出される洗浄液の流速等を調節することで、被検査物10の表面に付着した余分な蛍光磁粉を除去するような洗浄液の塗布を行うことができる。そして、ノズル39の吐出口38と被検査物10の表面との距離は、2mm〜10mmであることが好ましい。また、ノズル39の吐出口38から吐出される洗浄液の流速は、1mm/s〜20mm/sであることが好ましい。洗浄液の流速が20mm/sより大であると、漏洩磁束に引き付けられた蛍光磁粉が洗浄液によって流されて磁粉指示模様が消され、傷部の検出漏れが生じやすくなり、傷部の検出確度が低下しやすくなる。一方、洗浄液の流速が1mm/sより小であると、被検査物10の表面に残留する蛍光磁粉の除去効果が得られない。また、図5において、撮像部15と被検査物10の軸心を通る直線L2と、ノズル39と被検査物10の軸心を通る直線L3とのなす角θ1は、60°〜120°であることが好ましい。なす角θ1が60°より小であると、洗浄液が撮像部15の撮像領域へ流れやすくなり、鮮明な磁粉指示模様を形成しにくくなる。
なお、洗浄部19のノズル39から吐出された洗浄液は、塗布部13のノズル36から吐出された余剰の磁粉液とともに、図示せぬ磁粉液回収部によって回収される。ここで、回収された磁粉液は、洗浄液と混ざった状態であるが、洗浄液は磁粉液の溶媒と同一であるため、磁粉濃度が薄くなるだけである。したがって、回収された磁粉液は、磁粉濃度を再調整することで再利用することができるため、環境への負荷を低減することができる。
また、被検査物10が表面にスプラインやねじ構造等の凹凸部を有する場合には、この凹凸部に蛍光磁粉が残留しやすくなる。したがって、このような凹凸部を含む領域を探傷領域とする場合には、上述の洗浄部19を備える構成とすることが好ましい。
なお、洗浄部19は、上述の構成に限定されるものではなく、支持部11によって回転している被検査物10の表面に洗浄液を塗布し、撮像部15が被検査物10を撮像する前に被検査物10の表面に付着した余分な蛍光磁粉を除去するように構成されていれば良い。例えば、ノズル39は、被検査物10の軸方向である直線L1に沿って吐出口38が幅広に形成されても良い。また、ノズル39の吐出方向は、被検査物10の軸心からずれていても良い。また、洗浄部19は、複数のノズル39を備える構成であっても良い。
また、磁粉探傷装置2において、被検査物10の回転方向が逆向き(時計回り)の場合には、洗浄部19のノズル39を正面視(図5)で左右反対側に配置させる。このような構成にすることで上述と同様の効果が得られる。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係る磁粉探傷装置1,2は、水平方向を軸にして被検査物10を回転可能に支持する支持部11と、被検査物10を磁化する磁化部12と、被検査物10に磁粉液を塗布する塗布部13と、被検査物10を撮像する撮像部15とを備え、一定速度で回転する回転状態の被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成される。
そして、本実施形態によれば、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷装置を提供することができる。
次に、本実施形態に係る磁粉探傷方法の概要について説明する。なお、以下では、図1〜図3に示される磁粉探傷装置1による被検査物10の表面の傷部の探傷を例示して説明する。図6は、本実施形態に係る磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。本実施形態は、水平方向を軸にして被検査物10を回転させる工程と、被検査物10に磁粉液を塗布する工程と、被検査物10を磁化する工程と、被検査物10を撮像する工程とを備え、被検査物10を一定速度で回転させながら、被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布し、上方側で撮像することを特徴とする。以下では、各工程を更に詳細に説明する。
まず、被検査物10の支持部11への装着が行われる(ステップS1)。被検査物10の一端を支持部11のシャフト25のチャック23に把持させる。被検査物10の他端を支持部11のシャフト26のチャック24に把持させる。そして、被検査物10の軸方向において、被検査物10の探傷部位が磁化部12の近傍に位置するように、支持部11を配置する。なお、探傷部位の位置合わせにおいて、支持部11に替わって磁化部12、塗布部13、紫外線照射部14、及び撮像部15を移動しても構わない。
次に、支持部11による水平方向を軸にした被検査物10の一定速度での回転が行われる(ステップS2)。被検査物10の一定速度の回転は、探傷が終了するまで継続される。なお、被検査物10の回転速度は、モータ27を制御することで適宜設定できる。
次に、塗布部13による被検査物10の表面への磁粉液の塗布が行われる(ステップS3)。磁粉液の塗布は、被検査物10を一定速度で回転させながら、被検査物10の下方側で行われる。より詳細には、塗布部13のノズル36は、上述したように、磁化部12の2つの爪32,33の間であって、吐出口35を被検査物10へ向けて被検査物10の直下に配置される。そして、磁粉液をノズル36の吐出口35から上方へ向けて吐出させ、磁化部12によって形成される磁界領域内であって、回転状態の被検査物10の表面(外周面)に塗布する。
なお、磁粉液は、吐出口35から湧き出るように吐出され、被検査物10の下方側に位置する表面が磁粉液に浸されるようにして磁粉液が塗布される。なお、探傷が終了するまで継続される。
次に、磁化部12による被検査物10の磁化が行われる(ステップS4)。磁化部12による被検査物10の磁化は、被検査物10が一定速度で回転している状態で行う。磁化部12は、上述したように、ヨーク法を用いて被検査物10の表層部を磁化する。磁化部12は、2つの爪32,33の間に被検査物10が位置し、2つの爪32,33の間を結ぶ直線が平面視で被検査物10の軸方向と直交する方向に延び、2つの爪32,33の先端が被検査物10の表面近傍に配置される。そして、2つの爪32,33の間に形成される被検査物10の軸方向と直交する方向の磁場によって被検査物10が磁化される。したがって、被検査物10の表面にこの磁場の方向に延びる傷部、つまり周方向に延びる傷部がある場合には、この傷部から漏洩磁束が発生する。
なお、被検査物10の磁化(ステップS4)は、磁粉液の塗布(ステップS3)が開始してから所定の時間が経過した後に開始され、探傷が終了するまで継続される。ここで、磁粉液の塗布(ステップS3)が開始される前の塗布部13のノズル36やホース37内の磁粉液は、磁粉が分散せずに沈降した状態である。したがって、被検査物10の磁化(ステップS4)を開始する前に磁粉が沈降した磁粉液を排出させる。
ここで、磁粉液の塗布は、被検査物10を一定速度で回転させながら行われるので、被検査物10の表面に塗布された磁粉液は、相対的に被検査物10の表面を流れる。そして、被検査物10は磁化されるので、被検査物10に傷部がある場合には、この傷部に起因する漏洩磁界に磁粉液に含有される蛍光磁粉が引き付けられて傷部に起因する磁粉指示模様が形成される。なお、被検査物10の表面に対する磁粉液の相対的な流れの流速は、被検査物10の周速と関連があり、被検査物10の回転速度を変更することで容易に調節することができる。したがって、磁粉液の流速の調節にかかる時間を短縮できるので、作業効率を向上させることができる。また、磁粉液の流速を一定に保つことも容易であり、磁粉指示模様を好適に形成することができるとともに、円周方向の検出力を一定に維持することができる。
また、磁粉液は、磁化部12によって形成される磁界領域内であって回転状態の被検査物10の下方側で塗布される。そして、余剰の磁粉液は、被検査物10の表面に流れることなく重力によって下方へ落下し、磁粉液回収部によって回収される。したがって、形成された磁粉指示模様が余剰の磁粉液によって消されることがなく、傷部の検出漏れが防止され、傷部の検出確度が向上する。
次に、紫外線照射部14による被検査物10の表面への紫外線の照射が行われる(ステップS5)。紫外線照射部14は、被検査物10の上方に配置されている。そして、塗布部13によって磁粉液が塗布されて磁化部12によって磁化された部位であって、後述する撮像部15によって撮像される被検査物10の上方側の表面に上方から紫外線を照射する。したがって、紫外線照射部14によって紫外線が照射されている領域に磁粉指示模様がある場合、磁粉指示模様を形成する蛍光磁粉の蛍光体が励起して発光する。なお、被検査物10の磁化は、探傷が終了するまで継続される。
次に、撮像部15による被検査物10の表面の撮像が行われる(ステップS6)。被検査物10の表面の撮像は、被検査物10を一定速度で回転させながら、被検査物10の上方側で行われる。より詳細には、撮像部15は、被検査物10の上方に配置され、被検査物10の表面を上方から撮像する。つまり、撮像部15によって被検査物10の上方側に位置する表面が撮像される。
なお、撮像部15が撮像する領域には紫外線照射部14によって紫外線が照射されている。また、被検査物10の表面の撮像(ステップS6)は、被検査物10の磁化(ステップS4)において被検査物10が磁化された部位(磁粉指示模様が形成される部位)が上方側の撮像領域へ移動した際に開始される。
次に、検出部16による欠陥としての傷部の有無の判定が行われる(ステップS7)。検出部16は、被検査物10の撮像(ステップS6)で撮像された原画像を読み込む。そして、検出部16は、この読み込んだ原画像に所定の画像処理を行い、画像処理がなされた画像内の傷部の有無の判定をする。
ステップS7において検出部16によって傷部が有ると判定された場合(ステップS7:YES)には、提示部18によって作業者に傷部が有るという検出結果を提示する(ステップS8)。なお、提示部18による検出結果の提示形態は特に限定されるものではない。例えば提示部18がランプである場合には、このランプを赤色に発光させる。そして、支持部11による被検査物10の回転、塗布部13による磁粉液の塗布、磁化部12による被検査物10の磁化、紫外線照射部14による紫外線の照射を停止し、探傷を終了する。
ステップS7において検出部16によって傷部が無いと判定された場合(ステップS7:NO)には、制御部17によって探傷を終了するかの判定が行われる(ステップS9)。ステップS7における判定は、被検査物10の全周が撮像されたかどうかによって行われ、例えば撮像回数によって判定がなされる。
ここで、撮像部15は被検査物10の上方に位置しており、1回の撮像で被検査物10の全周を撮像することはできない。また、被検査物10の表面は湾曲しているので、撮像によって得られた原画像に含まれる被検査物10の表面は、全てが鮮明であるわけではなく、中央(軸心)から離れた部位は、不鮮明になりがちである。図1、図2に示されるように、鮮明に撮像される被検査物10の表面の領域Rは、例えば、中央(軸心)を中心として、被検査物10の中心角θ2によって規定することができる。例えばθ2が60°である場合、鮮明に撮像された被検査物10の全周の原画像を得るには、撮像位置を変えて少なくとも6回撮像する必要がある。
なお、鮮明に撮像される被検査物10の表面の領域Rは、被検査物10の大きさ、傷部と判定される傷部の大きさ、撮像部15の位置、撮像される原画像の分解能等によって決まるものであり、探傷を終了するかの判定の基準となる撮像回数は適宜設定できる。また、探傷を終了するかの判定の基準は、撮像回数に限定されるものではなく、被検査物10の全周が撮像されたかどうかが判定できるものであれば良い。判定の基準は、例えば、被検査物10の回転角度であっても良い。
ステップS9において制御部17によって探傷を終了しないと判定された場合(ステップS9:NO)には、ステップS6に戻って、撮像部15による被検査物10の表面の撮像が行われる。ここでの撮像は、前回の撮像から所定の時間が経過して被検査物10が所定の角度だけ回転した際に行われる。
ここで、所定の角度とは、前回の撮像によって得られた原画像に含まれる被検査物10の領域の一部が今回の撮像によって得られる原画像に含まれるような角度とすることが好ましい。鮮明に撮像される被検査物10の表面の領域Rを規定する中心角θ2が60°である場合、所定の角度は60°未満であって、例えば30°とすることができる。このような構成にすることで、前回の撮像によって得られた原画像に含まれる被検査物10の領域の半分が今回の撮像によって得られる原画像に含まれることになる。したがって、1つの領域を2回探傷することになり、傷部の検出確度を向上させることができる。そして、ステップS7、及びステップS9を繰り返し行う。
ステップS9において制御部17によって探傷を終了すると判定された場合(ステップS9:YES)には、提示部18によって作業者に傷部が無いという検出結果を提示する(ステップS10)。なお、提示部18による検出結果の提示形態は特に限定されるものではない。例えば提示部18がランプである場合には、このランプを緑色に発光させる。そして、支持部11による被検査物10の回転、塗布部13による磁粉液の塗布、磁化部12による被検査物10の磁化、紫外線照射部14による紫外線の照射を停止し、探傷を終了する。ここで、ステップS9での判定は、上述したように、被検査物10の全周が撮像されたかどうかでなされる。上述の所定の角度が30°である場合には、既に撮像が12回されている時に探傷を終了すると判定される。
ここで、ステップS7において傷部が有ると判定された場合(ステップS9:YES)、被検査物10の全周が撮像されたかどうかに関わらず、提示部18によって作業者に傷部が有るという検出結果の提示(ステップS8)が行われ、探傷を終了する。したがって、傷部が検出された段階で探傷を終了するので、その後の更なる傷部の検出を行うことがなく、探傷時間を短縮することができる。
探傷が終了した被検査物10は、提示部18による検出結果の提示に応じて、作業者によって傷部が有るものを収容するバケットと傷部が無いものを収容するバケットに仕分けられる。
なお、磁粉探傷方法は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、磁粉探傷方法は、図7に示されるように、被検査物10の撮像(ステップS6)の前に余分な蛍光磁粉を除去する工程(ステップS11)を更に備えても良い。ここで、図7は、別の実施形態に係る磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。なお、別の実施形態に係る磁粉探傷方法は、図6に示される磁粉探傷方法において、余分な蛍光磁粉を除去する工程(ステップS11)を更に備える方法であって、ステップS11以外は図6に示される磁粉探傷方法と同様であり、同様の部分の説明については省略される。
別の実施形態にかかる磁粉探傷方法では、図6に示される磁粉探傷方法と同様に、被検査物10の支持部11への装着(ステップS1)、支持部11による水平方向を軸にした被検査物10の一定速度での回転(ステップS2)、塗布部13による被検査物10の表面への磁粉液の塗布(ステップS3)、磁化部12による被検査物10の磁化(ステップS4)、紫外線照射部14による被検査物10の表面への紫外線の照射(ステップS5)が行われる。そして、別の実施形態に係る磁粉探傷方法では、磁粉液が塗布されて被検査物10が磁化された後であって、撮像部15による被検査物10の表面の撮像(ステップS6)の前に、余分な蛍光磁粉の除去(ステップS11)が行われる。
ここで、余分な蛍光磁粉とは、欠陥としての傷部に起因する漏洩磁界によって傷に引き寄せられて指示模様を形成する蛍光磁粉ではなく、被検査物10の表面に残留する蛍光磁粉である。そして、磁化部12の近傍であって、被検査物10の回転方向において磁化部12と撮像部15との間であって撮像部15より時計回り方向側に配置される洗浄部19のノズル39から、回転状態の被検査物10の表面に洗浄液を塗布することで、余分な蛍光磁粉を除去する。
ここで、洗浄液は、磁粉指示模様を形成する蛍光磁粉を殆ど除去することなく、被検査物10の表面に残留する蛍光磁粉を除去するように吐出される。また、洗浄液は、ステップS6で撮像部15によって撮像される領域、つまり被検査物10の上方側へ流れることなく重力によって下方へ落下し、余剰の磁粉液とともに磁粉液回収部によって回収される。
余分な蛍光磁粉が除去された部位は、被検査物10の回転に応じて、上方側へ移動し、撮像部15によって撮像される(ステップS6)。そして、図6に示される磁粉探傷方法と同様に、傷部の有無の判定(ステップS7)、探傷を終了するかの判定(ステップS9)が行われる。つまり、ステップS6において余分な蛍光磁粉が除去された被検査物10の表面が撮像され、この撮像された原画像に基づいて傷部の有無の判定(ステップS7)が行われる。したがって、傷部の誤検出(過検出)が防止され、傷部の検出確度が向上される。
なお、余分な蛍光磁粉の除去(ステップS11)は、探傷が終了するまで継続される。また、余分な蛍光磁粉の除去(ステップS11)は、被検査物10の撮像(ステップS6)の前であれば良く、紫外線の照射(ステップS5)の前であっても構わない。
また、磁粉探傷方法は、被検査物10の回転(ステップS2)、磁粉液の塗布(ステップS3)、被検査物10の磁化(ステップS4)、紫外線の照射(ステップS5)は、順序が入れ替わっても良く、同時に行われても良い。
また、磁粉探傷方法は、被検査物10の撮像(ステップS6)が終わった際に紫外線の照射(ステップS5)が停止されても良い。つまり、被検査物10の撮像(ステップS6)の際に、紫外線をパルス照射しても良い。このような方法にすることで、高強度の紫外線を常時照射可能な紫外線照射部14でなく、安価な紫外線照射部14であっても傷部の高い検出確度を維持した探傷を行うことができるとともに、紫外線の光源の長寿命化が期待できる。
また、磁粉探傷方法は、ステップS7において傷部が有ると判定された場合(ステップS7:YES)において、被検査物10の全周が撮像されたかどうかに関わらず探傷が終了されるのではなく、被検査物10の全周が撮像されるまでステップS6〜ステップS9が繰り返されても良い。このような方法にすることで、傷部が複数ある場合であっても、それぞれの傷部の位置を把握することが可能となり、使い勝手が良い。なお、このような場合には、ステップS6で撮像した際の被検査物10の回転角度を回転角度センサによって検出し、この検出値と撮像した原画像を関連付けて格納する。ここで、被検査物10の円周方向における基準点を例えば目視可能なマーキングン等によって被検査物10に設けることが好ましい。そして、この基準点が回転角度センサのゼロ位置に対応するように被検査物10を支持部10に装着させたり、基準点を認識するセンサを更に備えてこの基準点をトリガーとして撮像を開始するような構成にしたりすることで、被検査物10が支持部11から取り外された後であっても傷部の位置を把握することが可能となる。なお、基準点は特に限定されるものではなく、被検査物10の円周方向における形状の変化点、例えばキー溝等とすることができる。
また、磁粉探傷方法は、被検査物10の撮像(ステップS6)が行われる度に傷部の判定(ステップS7)が行われるのではなく、被検査物10の全周が撮像された後で傷部の判定(ステップS7)が行われても良い。つまり、撮像部15の撮像に連動するリアルタイム処理によって傷部を検出するのではなく、複数の原画像を蓄積してから処理を行うバッチ処理によって傷部を検出しても良い。このような方法にすることで、検出部16の演算負荷が低減され、安価な検出部16であっても高い検出確度を維持した探傷を行うことができる。
また、磁粉探傷方法は、被検査物10を撮像する際に更に被検査物10の回転を停止する工程を含んでも良い。より詳細には、被検査物10の撮像(ステップS6)において、支持部11による被検査物10の回転を停止する。そして、被検査物10の回転が停止された状態で被検査物10を撮像し、撮像後に支持部11による被検査物10の回転を再開する。このような方法にすることで、ステップS6において撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、検出確度が向上される。また、撮像時のシャッタースピードを長くすることができるので、照射する紫外線強度が低い安価な紫外線照射部14であっても磁粉指示模様を鮮明に撮像することができ、高い検出確度を維持した探傷を行うことができる。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係る磁粉探傷方法は、水平方向を軸にして被検査物10を回転させる工程と、被検査物10に磁粉液を塗布する工程と、被検査物10を磁化する工程と、被検査物10を撮像する工程とを備え、被検査物10を一定速度で回転させながら、被検査物10の表面に下方側で磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成される。
そして、本実施形態によれば、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷方法を提供することができる。
本開示は、磁粉を用いて探傷を行う磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法に好適に利用することができる。しかしながら、本開示は、上述された実施形態に限定されるものではない。本開示の磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法は、例えばシャフトやパイプ等の断面の外形が略円形である被検査物10の外周面の探傷に有用であり、外周面にスプラインやねじ構造等の凹凸部を有するものの探傷にも利用することができる。更に、本開示の磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法は、被検査物10の外周面ではなく、その端面の探傷にも利用することができ、例えば車輪等の円板状の部材の円形状の端面の探傷にも利用することができる。
1、2 磁粉探傷装置
10 被検査物
11 支持部
12 磁化部
13 塗布部
14 紫外線照射部
15 撮像部
19 洗浄部
29 磁心コア
32、33 爪
35、38 吐出口
36、39 ノズル
d1、d2 被検査物の回転方向

Claims (6)

  1. 水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、
    前記被検査物を磁化する磁化部と、
    前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、
    前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、
    前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、
    一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されることを特徴とする、磁粉探傷装置。
  2. 前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、
    前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されることを特徴とする、
    請求項1に記載の磁粉探傷装置。
  3. 前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の磁粉探傷装置。
  4. 水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、
    前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、
    前記被検査物を磁化する工程と、
    前記被検査物を撮像する工程とを備え、
    前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像することを特徴とする、磁粉探傷方法。
  5. 前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えることを特徴とする、
    請求項4に記載の磁粉探傷方法。
  6. 前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むことを特徴とする、
    請求項4または5に記載の磁粉探傷方法。
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