JP6813881B2 - 多剤式毛髪処理剤組成物及びその使用方法 - Google Patents

多剤式毛髪処理剤組成物及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、過炭酸塩を含有する多剤式毛髪処理剤組成物及びその使用方法に関する。
一般に、毛髪処理剤組成物として、複数の薬剤を混合することにより効果を発揮する染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤が知られている。そのような毛髪処理剤組成物としては、例えば、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤、例えば過酸化水素を含有する第2剤とから構成される酸化染毛剤が知られている。アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進するとともに、毛髪を膨潤させて毛髪への染料の浸透性を向上させることにより、染毛力を向上させる。
従来より、明度向上の観点から酸化剤として過炭酸塩を併用する毛髪処理剤組成物が知られている。例えば、特許文献1は、アルカリ剤としてアンモニア等、酸化剤として過酸化水素を使用する他、さらに酸化剤として過炭酸ナトリウム等を併用する酸化染毛剤について開示する。過炭酸ナトリウムは、アンモニア等を含有する第1剤及び過酸化水素等を含有する第2剤の保存安定性向上の観点から、それらの剤とは別の剤(第3剤)に配合されている。
特開平3−258714号公報
ところが、過炭酸塩を使用する毛髪処理剤組成物は、刺激臭が強く感じられるという問題があった。
本発明の目的は、過炭酸塩を配合する毛髪処理剤組成物において、刺激臭を抑制できる多剤式毛髪処理剤組成物及びその使用方法を提供することにある。
本発明は、特定の多価アルコール及びカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種を毛髪処理剤組成物に含有することにより、刺激臭を抑制できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤を使用する場合、それらも含めた剤型中における数値である。
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、アルカリ剤を含有する第1剤、酸化剤を含有する第2剤、過炭酸塩を含有する第3剤、を含み、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される多剤式毛髪処理剤組成物であって、さらに(A)25℃で固体又は100mPa・s以上の多価アルコール及び(B)カチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種、並びに(C)アンモニア又はアンモニウム塩を含有することを特徴とする。
前記多剤式毛髪処理剤組成物の25℃における粘度が3000mPa・s以上であってもよい。前記(A)成分が、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリグリセリンから選ばれる少なくとも一種であってもよい。さらに、(D)油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有してもよい。
本発明の別の態様では、前記多剤式毛髪処理剤組成物の使用方法であって、前記第1〜3剤を混合した混合物を毛髪に塗布し、毛髪処理した後、混合物を水ですすぐ工程、次に、シャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程、次に、毛髪を乾燥する工程、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、刺激臭を抑制できる。
以下、本発明の多剤式毛髪処理剤組成物(以下、単に「毛髪処理剤組成物」という)を具体化した一実施形態を説明する。毛髪処理剤組成物は、アルカリ剤及び酸化剤を含有する染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される。毛髪処理剤組成物の具体例としては、例えば3剤式の毛髪脱色・脱染剤又は染毛剤、4剤式の毛髪脱色・脱染剤又は染毛剤等が挙げられる。以下、各毛髪処理剤組成物の成分について例示する。
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、少なくともアルカリ剤を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤、少なくとも過炭酸塩を含有する第3剤とから構成される。
(3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤)
第1剤は、アルカリ剤を含有し、(A)25℃で固体又は粘度値100mPa・s以上の多価アルコール及び(B)カチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種、(D)油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種の油性成分等を含有してもよい。第1剤に含有されるアルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤及び/又は第3剤に含有される過炭酸塩の作用を促進させ、毛髪の脱色効果及び/又は脱染効果を向上する働きをする。
アルカリ剤としては、好ましくは(C)アンモニア又はアンモニウム塩が用いられ、それら以外のアルカリ剤が併用されてもよい。アルカリ剤としての(C)アンモニア又はアンモニウム塩は、毛髪の明度を向上させる効果に優れる。アンモニウム塩としては、例えばケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩等の各アンモニウム塩が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
上記アルカリ剤以外のアルカリ剤の具体例としては、例えばアルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
使用時における毛髪脱色・脱染剤中、すなわち第1剤〜第3剤の混合物中における全アルカリ剤の含有量は、毛髪脱色・脱染剤が通常の脱色・脱染処理に適用される場合、pHが7〜12の範囲となる量で配合されることが好ましく、pH9〜12の範囲となる量で配合されることがより好ましい。混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤及び/又は第3剤に含まれる過炭酸塩の作用を促進することができる。混合物のpHを12以下とすることにより、毛髪脱色・脱染剤の塗布による毛髪のダメージを抑制することができる。なお、毛髪脱色・脱染剤のpHは、毛髪脱色・脱染剤を水に10質量%の濃度で溶解した際の25℃におけるpHを測定するものとする。
また、混合物中において、全アルカリ剤の含有量(100質量%)に対するアンモニアとアンモニウム塩の各含有量の合計は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。30質量%以上とすることにより、毛髪の明度をより向上させる。
(A)25℃で固体又は粘度値100mPa・s以上の多価アルコール、及び(B)カチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種は、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を発揮する。また、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
(A)25℃で固体又は粘度値100mPa・s以上の多価アルコールとしては、例えばグリコール、グリセリン等が挙げられる。グリコールの具体例としては、例えばポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリエチレングリコールの具体例としては、例えばポリエチレングリコール1000(平均分子量950〜1050)、1540(平均分子量1290〜1650)、2000(平均分子量1850〜2150)、4000(平均分子量2600〜3800)、6000(平均分子量7500〜9300)、20000(平均分子量15500〜25000)が挙げられる。また、本実施形態において、高重合ポリエチレングリコールは、平均分子量が20000以上のポリエチレングリコールを指す。グリセリンの具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果に優れる観点から、好ましくは粘度値300mPa・s以上、より好ましくは粘度値500mPa・s以上、さらに好ましくは1000mPa・s以上の多価アルコールが用いられる。具体的化合物としては、固体状の多価アルコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリグリセリンが好ましい。
混合物中における(A)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。(A)成分の含有量が0.01質量%以上であると、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を向上させる。また、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
混合物中における(A)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。(A)成分の含有量が15質量%以下であると、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
(B)カチオン性ポリマーの具体例としては、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、例えばヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム−10(INCI名称):例えばレオガードG、同GP(ライオン社製)、ポリマーJR−125、同JR−400、同JR−30M、同LR−400、同LR−30M(Amerchol社製)、セルコートSC−230M(アクゾノーベル社製))、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−4:例えばセルコートH−100、同L−200(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
カチオン化グアーガムの具体例としては、例えば、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム等が挙げられる。
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)(ポリクオタニウム−6:例えばマーコート100(ルーヴリゾール社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22:例えばマーコート280(ルーヴリゾール社製))、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、例えばビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム−11:例えばガフコート734、同755(アイエスピー・ジャパン社製))等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
これらの中で(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果に優れる観点からヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)が好ましい。
混合物中における(B)カチオン性ポリマーの含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。(B)カチオン性ポリマーの含有量が0.005質量%以上であると、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を向上させる。
混合物中における(B)カチオン性ポリマーの含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。(B)カチオン性ポリマーの含有量が5質量%以下であると、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
(D)油性成分は、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果をより向上させる。また、塗布操作時における混合物の伸びをより向上させる。本実施形態において用いられる(D)油性成分としては、油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類の具体例としては、例えばラノリン、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、合成スクワラン等が挙げられる。
エステル油の具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。すすぎ時及び乾燥後の毛髪の感触をより向上させる観点から、二種以上が組み合わせて含有させることが好ましい。
混合物中における(D)油性成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。(D)油性成分の含有量が0.01質量%以上であると、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を向上させる。
混合物中における(D)油性成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。(D)油性成分の含有量が15質量%以下であると、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
毛髪脱色・脱染剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、上記以外の水溶性ポリマー、上記以外の油性成分、上記以外の多価アルコール、界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
可溶化剤は、例えば、第1剤を液状にする場合に配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤〜第3剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
上記以外の水溶性ポリマーは、毛髪脱色・脱染剤に適度な粘度を与える。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
半合成高分子の具体例としては、例えば結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、イタコン酸とポリオキシエチレン(以下、「POE」という)アルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらの水溶性ポリマーのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
上記以外の油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において(D)成分以外の油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン等が挙げられる。
高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
上記以外の多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、粘度値100mPa・s未満のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。粘度値100mPa・s未満のポリエチレングリコールの具体例としては、例えばポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)が挙げられる。
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として毛髪脱色・脱染剤を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり、粘度安定性を向上させたりする。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N−アルキロイルメチルタウリン塩、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N−アルキロイルメチルタウリン塩の具体例として、例えばN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8〜16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
pH調整剤は、毛髪脱色・脱染剤のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤としては、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固形状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。噴射剤又は発泡剤の具体例としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。また、固形状の剤型の場合、分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、硫酸ナトリウム、タルク、乳糖、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合してもよい。これらのうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤)
第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性を向上させる。酸化剤としては、製剤の安定性向上の観点から、好ましくは第3剤に配合される過炭酸塩以外の酸化剤が適用される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第2剤中における酸化剤の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪のダメージ等を抑制することができる。
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばスズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、又はその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固形状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。また、固形状の剤型の場合、分散剤を配合してもよい。
(3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第3剤)
第3剤は、過炭酸塩の他、分散剤等を配合することもできる。過炭酸塩は、酸化作用を向上させ、毛髪処理後の毛髪の明度をより向上させる。過炭酸塩の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
混合物中における過炭酸塩の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。過炭酸塩の含有量が0.1質量%以上であると、明度をより向上させることができる。
混合物中における過炭酸塩の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。過炭酸塩の含有量が30質量%以下であると、毛髪の感触の低下を抑制することができる。
第3剤の剤型は、製剤安定性の観点から、25℃における剤型が、固形状が好ましい。固形状としては、粉末状、粒状、タブレット状等が挙げられる。また、第3剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
なお、3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤〜第3剤の混合比は、混合物中の各成分の濃度、混合性等を考慮して適宜設定されるが、好ましくは1:0.5:0.1〜1:3:0.4である。
<4剤式の毛髪脱色・脱染剤>
4剤式の毛髪脱色・脱染剤は、3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤中の成分を別剤とすることにより構成できる。例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、上述した3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、上述した3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第4剤とから構成される。このようにして構成される4剤式の毛髪脱色・脱染剤は良好な保存安定性を有する。また、上述した3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第1剤と、上述した3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、過硫酸塩等の酸化助剤を含む第4剤とから構成されてもよい。なお、4剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤〜第4剤の混合比は、混合物中の各成分の濃度、混合性等を考慮して適宜設定される。
<3剤式の染毛剤>
3剤式の染毛剤は、例えば、少なくともアルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤、少なくとも過炭酸塩を含有する第3剤とから構成される。以下、上述した毛髪脱色・脱染剤との相違点を中心に説明する。
(3剤式の染毛剤の第1剤)
染毛剤の第1剤は、例えばアルカリ剤、及び酸化染料を含有し、(A)25℃で固体又は粘度値100mPa・s以上の多価アルコール及び(B)カチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種、(D)油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種の油性成分等を含有してもよい。第1剤に含有されるアルカリ剤及び(A)〜(D)成分の例としては、上述した毛髪脱色・脱染剤において使用されるアルカリ剤及び(A)〜(D)成分の具体例として先に説明したのと同じである。酸化染料は、酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類され、酸化染料は好ましくは染料中間体及びカプラーを含んでいる。
染料中間体としては、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール及びそれらの塩が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの染料中間体の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、及びそれらの塩が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらのカプラーの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料を適宜含有してもよい。
染毛剤中における酸化染料の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。酸化染料の含有量が0.01質量%以上であると、特に色味をより向上させることができる。
染毛剤中における酸化染料の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。酸化染料の含有量が10質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上させることができる。
また、第1剤は必要に応じて前述した成分以外の成分、例えば上述した毛髪脱色・脱染剤の第1剤に含まれる成分をさらに含有してもよい。
(3剤式の染毛剤の第2剤)
染毛剤の第2剤は、例えば、上述した毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する。
(3剤式の染毛剤の第3剤)
染毛剤の第3剤は、例えば、上述した毛髪脱色・脱染剤の第3剤と同じ組成を有する。過炭酸塩は、酸化作用を向上させ、毛髪処理後の毛髪の明度を向上させる。そして、白髪隠蔽性を向上させる。
<4剤式の染毛剤>
4剤式の染毛剤は、3剤式の染毛剤の第1剤中の成分を別剤とすることにより構成できる。例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、上述した3剤式の染毛剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の染毛剤の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、上述した3剤式の染毛剤の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第4剤とから構成される。このようにして構成される4剤式の染毛剤は良好な保存安定性を有する。また、上述した3剤式の染毛剤の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第1剤と、上述した3剤式の染毛剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の染毛剤の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、過硫酸塩等の酸化助剤を含む第4剤とから構成されてもよい。
次に、本実施形態の毛髪処理剤組成物の使用方法を以下に説明する。
まず、上述した複数剤からなる毛髪処理剤組成物の各剤が混合されることにより、アルカリ剤、酸化剤、及び過炭酸塩等を含有する毛髪処理剤組成物の混合物が調製された後、毛髪に塗布される。混合方法は、特に限定されず、例えば撹拌棒又は刷毛等を使用し、手で撹拌してもよく、撹拌子及び電動式撹拌機等を使用してもよい。毛髪処理剤組成物の混合物の毛髪への塗布は、公知の方法、例えば薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布する方法を適用することができる。混合物が毛髪に塗布された後、所定時間経過後、常法に従い毛髪に塗布した混合物を水ですすぐ工程が行われる。次に、好ましくは常法に従いシャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程が行われる。シャンプー用組成物は、毛髪の洗浄用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のシャンプー用組成物を適用することができる。シャンプー用組成物には、例えば、洗髪剤(ヘアシャンプー)の他、リンスインシャンプー、スキャルプシャンプー等が含まれるものとする。次に、好ましくは常法に従いリンス用組成物を使用して、毛髪をリンス処理し、水で洗い流す工程が行われる。リンス用組成物は、毛髪のリンス用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のリンス用組成物を適用することができる。リンス用組成物には、例えば、ヘアリンス、カラーリンス、クリームリンス、酸性リンス、テンポラリーリンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク等が含まれるものとする。リンス用組成物を用いた処理工程は、公知のリンス用組成物を適用することができる。次に、好ましくは常法に従い毛髪を乾燥する工程が行われる。
上記実施形態の毛髪処理剤組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態は、過炭酸塩を含有する第3剤を含む毛髪処理剤組成物において、(A)25℃で固体又は粘度値100mPa・s以上の多価アルコール及び(B)カチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種を含有する。したがって、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を発揮する。また、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
(2)本実施形態の毛髪処理剤組成物において、さらに、(D)油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有する場合、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果をより向上させる。また、塗布操作時における混合物の伸びをより向上させる。
(3)本実施形態の毛髪処理剤組成物の使用方法において、まず毛髪処理剤組成物を構成する各剤を混合した混合物を毛髪に塗布し、毛髪処理した後、混合物を水ですすぐ工程が行われる。次に、シャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程が行われる。次に、場合により、リンス用組成物を使用して、毛髪をリンス処理し、水で洗い流す工程が行われる。最後に、毛髪を乾燥する工程が行われ、一連の毛髪処理工程が完了する。したがって、本実施形態の毛髪処理剤組成物により、刺激臭を抑制するとともに、塗布操作時における混合物の伸びをより向上させることによって、かかる一連の毛髪処理工程における毛髪処理の操作性をより向上させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、各剤が混合された混合物の剤型は、特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば乳化物、水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。これらの中で、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果により優れるとともに、塗布操作性に優れる乳化物が好ましい。
・上記実施形態において、各剤が混合された混合物の25℃における粘度の下限は、特に限定されないが、好ましくは3000mPa・s以上、より好ましくは5000mPa・s以上、さらに好ましくは7000mPa・s以上である。混合物の粘度が3000mPa・s以上であると、(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果をより向上することができる。混合物の25℃における粘度の上限は、特に限定されないが、好ましくは50000mPa・s以下、より好ましくは45000mPa・s以下、さらに好ましくは40000mPa・s以下である。混合物の粘度が50000mPa・s以下であると、塗布操作時における混合物の伸びをより向上させる。
なお、本実施形態における粘度の測定は、例えばB型粘度計を用い、25℃及び1分間の測定条件で求めることができる。B型粘度計の具体例としては、例えばBL型粘度計VISCOMETER(東機産業社製)を挙げることができる。使用するロータ及び回転速度は、測定機器の測定可能な粘度範囲に従い適宜選択される。例えば、3号ロータを用い、12rpmの条件で求めることができる。混合物の粘度は、上述した可溶化剤、水溶性高分子、油性成分、界面活性剤等の配合割合を変化させることによって適宜調節することができる。
・上記染毛剤において、上述した酸化染料以外の染料として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された直接染料を適宜含有してもよい。
・上記実施形態の毛髪処理剤組成物は、少なくともアルカリ剤を含有する剤、酸化剤を含有する剤、過炭酸塩を含有する剤の3種類の剤が存在すればよく、上述した毛髪処理剤組成物を構成する各剤に含有される各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数を増やしてもよい。
・上記実施形態において(A)〜(D)成分は、使用時に毛髪処理剤組成物の混合物中に配合されていればよく、保存時において毛髪処理剤組成物を構成する各剤のいずれに配合されてもよい。各剤のいずれに配合しても、本発明の効果である混合物中における(C)アンモニア又はアンモニウム塩由来の刺激臭を抑制する効果を発揮する。また、塗布操作時における混合物の伸びを向上させる。
・上記実施形態において、シャンプー用組成物を使用した毛髪の洗浄回数、及びリンス用組成物を使用した毛髪のリンス処理回数は、特に限定されず、1回でもよく、2回以上繰り返して行ってもよい。また、リンス処理工程は省略してもよい。
・上記実施形態において、製剤の安定性を低下させない範囲において、過炭酸塩を酸化剤が配合される第2剤に配合してもよい。
・上記実施形態の毛髪処理剤組成物の使用において、別剤として酸を0.5質量%以上含有する組成物と混合して使用してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。なお、以下実施例1〜14,21は、参考例1〜14,21に置き換えるものとする。
表1〜4に示す各成分を含有する、毛髪処理剤組成物として酸化染毛剤の第1剤、第2剤、及び第3剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「成分」欄における(A)〜(D)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中「成分」欄における「a,b」の表記は、本願請求項記載の各成分の対比化合物を示す。化合物名POEの括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。
そして、第1剤と第2剤と第3剤を1:2:0.3の質量比で混合して各例の酸化染毛剤を調製した。得られた酸化染毛剤を、黒毛及び白毛の毛束(10cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)と、黒毛ウィッグ(ビューラックス社製クィーンカットNo.775S)(以下、単にウィッグという。)にそれぞれ刷毛を用いて塗布し、30℃にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤を水ですすいだ後、毛束にシャンプー(シャンプー用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(リンス用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。なお、シャンプー用組成物及びリンス用組成物は、それぞれ処理毎に水で洗い流している。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理時において、刺激臭抑制効果、及び混合物の伸びについて、下記に示す方法に従い評価を行った。
(刺激臭抑制効果)
酸化染毛剤の混合物を毛束に塗布する際のアンモニア由来の刺激臭について、パネラー5名が、刺激臭の抑制効果を以下の基準で判断した。刺激臭の抑制効果が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
(混合物の伸び)
酸化染毛剤のウィッグの根元から毛先への塗布操作を複数回繰り返した際の混合物の伸びについて、パネラー5名が、以下の基準で判断した。混合物の伸びが、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
表1,2に示されるように、各実施例は、各評価項目について可以上の結果であることが確認された。
表2に示されるように、(A)成分及び(B)成分を含有しない比較例1は、各実施例に対して、刺激臭抑制効果の評価及び混合物の伸びの評価が劣ることが確認された。実施例1の構成において(A)成分の代わりに粘度値100mPa・s未満の多価アルコール又は溶剤を含有する比較例2,3は、各実施例に対して、刺激臭抑制効果の評価及び混合物の伸びの評価が劣ることが確認された。実施例15の構成において(B)成分の代わりにアミノ変性シリコーン、ヒドロキシエチルセルロース、及びアニオン性ポリマーをそれぞれ含有する比較例4〜6は、各実施例に対して、刺激臭抑制効果の評価及び混合物の伸びの評価が劣ることが確認された。過炭酸を第3剤に配合する毛髪処理剤組成物を用いて毛髪処理した場合において、刺激臭抑制効果及び混合物の伸びの向上効果は、特定の多価アルコール及びカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも一種の成分を使用した場合に得られる効果であることが確認された。

Claims (4)

  1. アルカリ剤を含有する第1剤、酸化剤を含有する第2剤、過炭酸塩を含有する第3剤、を含み、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成される多剤式毛髪処理剤組成物であって、
    さらに(B)カチオン性ポリマー及び(C)アンモニア又はアンモニウム塩を含有する多剤式毛髪処理剤組成物。
  2. 前記多剤式毛髪処理剤組成物の25℃における粘度が3000mPa・s以上である請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤組成物。
  3. さらに、(D)油脂、ロウ類、炭化水素、及びエステル油から選ばれる少なくとも一種の油性成分を含有する請求項1又は2に記載の多剤式毛髪処理剤組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の多剤式毛髪処理剤組成物の使用方法であって、
    前記第1〜3剤を混合した混合物を毛髪に塗布し、毛髪処理した後、混合物を水ですすぐ工程、
    次に、シャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程、
    次に、毛髪を乾燥する工程、を含む多剤式毛髪処理剤組成物の使用方法。
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