以下、本発明の多剤式染毛剤組成物(以下、単に「染毛剤組成物」という)を具体化した一実施形態を説明する。染毛剤組成物は、酸化染料、アルカリ剤、及び酸化剤を含有する染毛剤組成物として構成される。染毛剤組成物の具体例としては、例えば3剤式の染毛剤組成物、4剤式の染毛剤組成物等が挙げられる。以下、各染毛剤組成物の成分について例示する。
<3剤式の染毛剤組成物>
3剤式の染毛剤組成物は、例えば、少なくともアルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤、少なくとも(A)過炭酸塩を含有する第3剤とから構成される。
(3剤式の染毛剤組成物の第1剤)
染毛剤組成物の第1剤は、例えばアルカリ剤、及び酸化染料を含有する。第1剤に含有されるアルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤及び/又は第3剤に含有される(A)過炭酸塩の作用を促進させ、毛髪の染毛効果を向上する働きをする。
アルカリ剤の具体例としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、毛髪の明度を向上させる効果に優れる観点からアンモニア、アンモニウム塩が好ましく適用される。
使用時における染毛剤組成物中、すなわち第1剤〜第3剤の混合物中におけるアルカリ剤の含有量は、染毛剤組成物が通常の染毛処理に適用される場合、pHが7〜12の範囲となる量で配合されることが好ましく、pH9〜12の範囲となる量で配合されることがより好ましい。混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤及び/又は第3剤に含まれる(A)過炭酸塩の作用を促進することができる。混合物のpHを12以下とすることにより、染毛剤組成物の塗布による毛髪のダメージを抑制することができる。なお、染毛剤組成物のpHは、染毛剤組成物を水に10質量%の濃度で溶解した際の25℃におけるpHを測定するものとする。
酸化染料は、酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類され、カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。酸化染料は、染料中間体の他、カプラーを含んでいることが好ましい。
染料中間体としては、少なくとも(C)p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種が適用される。これらの(C)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
また、酸化染料として、下記に記載されるカプラーとしての(D1)、カプラーとしての(D2)、及び染料中間体としての(D3)成分から選ばれる少なくとも一種の(D)成分が適用される。これらの(D)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの(D)成分の具体例のうち、ぎらつきを抑えて、過剰な明度を抑制する観点から、(D1)成分、(D2)成分、及び(D3)成分より、2成分以上を組み合わせて適用することが好ましく、3成分全て含むことがより好ましい。
(D1)成分としては、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2,6−ジアミノピリジン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの(D1)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。(D2)成分としては、レゾルシンが挙げられる。(D3)成分としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びその塩から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。これらの(D3)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
さらに、酸化染料として、下記に記載される染料中間体としての(E1)、及びカプラーとしての(E2)成分から選ばれる少なくとも一種の(E)成分が適用されることが好ましい。
(E1)成分としては、p−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が適用される。これらの(E1)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
(E2)成分としては、m−アミノフェノール、α−ナフトール、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が適用される。これらの(E2)成分の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
上記塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの塩の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
染料中間体としての(C)成分は、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度を抑制する。さらに、染料中間体としての(D3)成分は、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制する。さらに、染料中間体としての(E1)成分は、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制する。
カプラーとしての(D1)及び/又は(D2)成分は、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制する。さらに、カプラーとしての(E2)成分は、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制する。
混合物中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。(C)成分の含有量が0.01質量%以上であると、染色性を向上させる。
混合物中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.25質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。(C)成分の含有量が0.5質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(D)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。(D)成分の含有量が0.005質量%以上であると、染色性を向上させる。
混合物中における(D)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下である。(D)成分の含有量が2質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(D1)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。(D1)成分の含有量が0.005質量%以上であると、染色性を向上させる。
混合物中における(D1)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。(D1)成分の含有量が1質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(D2)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。(D2)成分の含有量が0.01質量%以上であると、染色性を向上させる。
混合物中における(D2)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。(D2)成分の含有量が2質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(D3)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。(D3)成分の含有量が0.005質量%以上であると、染色性を向上させる。
混合物中における(D3)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。(D3)成分の含有量が0.5質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(E1)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。(E1)成分の含有量が0.005質量%以上であると、染色性を向上させる。また、過剰な明度をより抑制することができる。
混合物中における(E1)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。(E1)成分の含有量が0.5質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(E2)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。(E2)成分の含有量が0.005質量%以上であると、染色性を向上させる。また、過剰な明度をより抑制することができる。
混合物中における(E2)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。(E2)成分の含有量が0.5質量%以下であると、毛髪の明度を向上させる。
混合物中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量と(E)成分の含有量の合計の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。混合物中における(C)成分の含有量に対する(D)成分の含有量と(E)成分の含有量の合計の質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。かかる質量比を上記範囲内に規定することにより、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制することができる。
本実施形態の染毛剤組成物は、上記以外の染料中間体を適用してもよい。上記以外の染料中間体の具体例としては、例えばN−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、o−アミノフェノール、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの染料中間体の具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
(C)成分、(D3)成分、及び(E1)成分は、染料中間体の主成分として含有されることが好ましい。かかる構成により、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度を抑制することができる。より具体的には、混合物中の全染料中間体中における(C)成分の含有量と(D3)成分の含有量と(E1)成分の含有量の合計の下限は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。かかる含有量が全染料中間体中において30質量%以上であると、(C)成分、(D3)成分、及び(E1)成分による効果を一層顕著に発揮することができる。
本実施形態の染毛剤組成物は、上記以外のカプラーを適用してもよい。上記以外のカプラーの具体例としては、例えば5−アミノ−o−クレゾール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらのカプラーの具体例のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
(D1)成分、(D2)成分、及び(E2)成分は、カプラーの主成分として含有されることが好ましい。かかる構成により、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度を抑制することができる。より具体的には、混合物中の全カプラー中における(D1)成分の含有量と(D2)成分の含有量と(E2)成分の含有量の合計の下限は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。かかる含有量が全カプラー中において30質量%以上であると、(D1)成分、(D2)成分、及び(E2)成分による効果を一層顕著に発揮することができる。
第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料を適宜含有してもよい。
混合物中における全酸化染料の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。酸化染料の含有量が0.02質量%以上であると、特に色味をより向上させることができる。
混合物中における全酸化染料の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。酸化染料の含有量が10質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上させることができる。
染毛剤組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、水溶性ポリマー、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
可溶化剤は、例えば、第1剤を液状にする場合に配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第1剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、第1剤〜第3剤の混合物中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
水溶性ポリマーは、染毛剤組成物に適度な粘度を与える。そのため、染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子、及び無機物系高分子が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
半合成高分子の具体例としては、例えば結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(ポリクオタニウム−6)(マーコート100:メルク社製)、イタコン酸とPOEアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において油性成分を含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ類、炭化水素、エステル油、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン等が挙げられる。
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類の具体例としては、例えばラノリン、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、合成スクワラン等が挙げられる。
エステル油の具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。
高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、グリセリン等が挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として染毛剤組成物を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり、粘度安定性を向上させたりする。そのため、染毛剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N−アルキロイルメチルタウリン塩、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N−アルキロイルメチルタウリン塩の具体例として、例えばN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8〜16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
pH調整剤は、染毛剤組成物のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤としては、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固形状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。噴射剤又は発泡剤の具体例としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。また、固形状の剤型の場合、分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、硫酸ナトリウム、タルク、乳糖、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合してもよい。これらのうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(3剤式の染毛剤組成物の第2剤)
第2剤は、酸化剤の他、上述した可溶化剤等を配合することもできる。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性を向上させる。
酸化剤としては、(B)過酸化水素が適用され、(B)過酸化水素以外の酸化剤を併用してもよい。(B)過酸化水素以外の酸化剤としては、保存安定性向上の観点から、好ましくは第3剤に配合される過炭酸塩以外の酸化剤が適用される。(B)過酸化水素以外の酸化剤の具体例としては、例えば過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。第2剤中における(B)過酸化水素の含有量は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。(B)過酸化水素の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における(B)過酸化水素の含有量は、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。(B)過酸化水素の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪のダメージ等を抑制することができる。
(B)過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばスズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、又はその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、染毛剤組成物に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。
(3剤式の染毛剤組成物の第3剤)
第3剤は、(A)過炭酸塩の他、分散剤等を配合することもできる。(A)過炭酸塩は、酸化作用を向上させ、毛髪処理後の毛髪の明度を向上させる。そして、白髪隠蔽性を向上させる。(A)過炭酸塩の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
混合物中における(A)過炭酸塩の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。(A)過炭酸塩の含有量が0.1質量%以上であると、明度をより向上させることができる。
混合物中における(A)過炭酸塩の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。(A)過炭酸塩の含有量が30質量%以下であると、毛髪の感触の低下を抑制することができる。
第3剤の剤型は、製剤安定性の観点から、25℃における剤型が、固形状が好ましい。固形状としては、粉末状、粒状、タブレット状等が挙げられる。また、第3剤は、染毛剤組成物に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
なお、3剤式の染毛剤組成物の第1剤〜第3剤の混合比は、混合物中の各成分の濃度、混合性等を考慮して適宜設定されるが、好ましくは1:0.5:0.1〜1:3:0.4である。
<4剤式の染毛剤組成物>
4剤式の染毛剤組成物は、3剤式の染毛剤組成物の第1剤中の成分を別剤とすることにより構成できる。例えば、アルカリ剤を含有する第1剤と、上述した3剤式の染毛剤組成物の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の染毛剤組成物の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、上述した3剤式の染毛剤組成物の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第4剤とから構成される。このようにして構成される4剤式の染毛剤組成物は良好な保存安定性を有する。また、上述した3剤式の染毛剤組成物の第1剤からアルカリ剤を除いた組成を有する第1剤と、上述した3剤式の染毛剤組成物の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、3剤式の染毛剤組成物の第3剤と同じ組成を有する第3剤と、過硫酸塩等の酸化助剤を含む第4剤とから構成されてもよい。
次に、本実施形態の染毛剤組成物の使用方法を以下に説明する。
まず、上述した複数剤からなる染毛剤組成物の各剤が混合されることにより、アルカリ剤、酸化染料、酸化剤、及び過炭酸塩等を含有する染毛剤組成物の混合物が調製された後、毛髪に塗布される。混合方法は、特に限定されず、例えば撹拌棒又は刷毛等を使用し、手で撹拌してもよく、撹拌子及び電動式撹拌機等を使用してもよい。染毛剤組成物の混合物の毛髪への塗布は、公知の方法、例えば薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布する方法を適用することができる。混合物が毛髪に塗布された後、所定時間経過後、常法に従い毛髪に塗布した混合物を水ですすぐ工程が行われる。次に、好ましくは常法に従いシャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程が行われる。シャンプー用組成物は、毛髪の洗浄用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のシャンプー用組成物を適用することができる。シャンプー用組成物には、例えば、洗髪剤(ヘアシャンプー)の他、リンスインシャンプー、スキャルプシャンプー等が含まれるものとする。次に、好ましくは常法に従いリンス用組成物を使用して、毛髪をリンス処理し、水で洗い流す工程が行われる。リンス用組成物は、毛髪のリンス用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のリンス用組成物を適用することができる。リンス用組成物には、例えば、ヘアリンス、カラーリンス、クリームリンス、酸性リンス、テンポラリーリンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク等が含まれるものとする。リンス用組成物を用いた処理工程は、公知のリンス用組成物を適用することができる。次に、好ましくは常法に従い毛髪を乾燥する工程が行われる。
上記実施形態の染毛剤組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態は、(A)過炭酸塩を含有する剤、及び(B)過酸化水素を含有する剤を含む染毛剤組成物において、さらに酸化染料として(C)成分、及び(D1)〜(D3)から選ばれる少なくとも一種の(D)成分を含有した。したがって、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度を抑制できる。過炭酸塩を配合する染毛剤組成物を用いて、特に寒色系の色調に染毛する場合、過剰な明度によるぎらつき等が生じ、所望の色調が得られない場合があった。酸化染料として(C)成分及び(D)成分を組み合わせて適用することにより、過炭酸塩を使用した場合における明度向上効果を阻害することなく、ぎらつき等の暖色系の色調を抑制することができるため、所望の色調を得ることができる。
(2)(D)成分は、(D1)成分、(D2)成分、及び(D3)成分から選ばれる少なくとも二種の成分を含む場合、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制できる。
(3)さらに、染料中間体として(E1)成分及びカプラーとして(E2)成分から選ばれる少なくとも1種を含有する場合、過炭酸塩を配合する染毛剤組成物において、過剰な明度をより抑制できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記染毛剤組成物において、上述した酸化染料以外の染料として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された直接染料を適宜含有してもよい。
・上記実施形態の染毛剤組成物は、酸化剤を含有する剤、及び過炭酸塩を含有する剤の各剤が存在すればよく、本発明の効果を奏する限りにおいて、上述した染毛剤組成物を構成する各剤に含有される各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数を増やしてもよい。
・上記実施形態の使用方法において、シャンプー用組成物を使用した毛髪の洗浄回数、及びリンス用組成物を使用した毛髪のリンス処理回数は、特に限定されず、1回でもよく、2回以上繰り返して行ってもよい。また、リンス処理工程は省略してもよい。
・上記実施形態において、(A)過炭酸塩を第3剤に含有し、(B)過酸化水素を第2剤に含有した。しかしながら、製剤の安定性を低下させない範囲において、さらに(A)過炭酸塩を(B)過酸化水素が配合される第2剤に配合することを妨げるものではない。
・上記実施形態において、各剤が混合された混合物の剤型は、特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば乳化物、水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
・上記実施形態の染毛剤組成物の使用において、別剤として酸を0.5質量%以上含有する組成物と混合して使用してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。なお、以下実施例7は、参考例7−1に読み替えるものとする。
<試験例1:過剰な明度抑制試験>
表1〜3に示す各成分を含有する、多剤式染毛剤組成物として酸化染毛剤の第1剤、第2剤、及び第3剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。表中「成分」欄における(A)〜(E)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。化合物名POEの括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。
そして、第1剤と第2剤と第3剤を1:2:0.3の質量比で混合して各例の酸化染毛剤を調製した。得られた酸化染毛剤を、黒毛及び白毛の毛束(10cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、30℃にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤を水ですすいだ後、毛束にシャンプー(シャンプー用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(リンス用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。なお、シャンプー用組成物及びリンス用組成物は、それぞれ処理毎に水で洗い流している。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。染毛処理後の毛束に対して、過剰な明度を抑制する効果を、ぎらつきを抑制する効果として下記に示す方法に従い評価を行った。
(ぎらつき抑制効果)
染毛後の毛束について、パネラー5名が、ぎらつき抑制効果を標準光源下にて目視で観察し、以下の基準で判断した。ぎらつき抑制効果が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
表1,2に示されるように、各実施例は、評価項目について可以上の結果であることが確認された。表2に示されるように、(D)成分を含有しない比較例1〜7は、各実施例に対して、ぎらつき抑制効果が劣ることが確認された。過炭酸を使用する染毛剤組成物を用いて染毛処理した場合において、過剰な明度を抑制する効果は、特定の酸化染料を組み合わせて適用する場合に得られる効果であることが確認された。
<試験例2:明度試験>
表4に示す各成分を含有する、多剤式染毛剤組成物として酸化染毛剤の第3剤をそれぞれ調製した。なお、本試験においては、第1剤と第2剤は、表3に記載される成分と同様のものを使用した。そして、試験例1と同様の方法を用いて染毛処理を行った。染毛処理後の毛束について、明度を下記に示す方法に従い評価を行った。
(明度)
染毛後の毛束について、パネラー5名が、明度を標準光源下にて目視で観察し、以下の基準で判断した。毛束の明度が、優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
表4に示されるように、(C)成分の含有量が所定値以上に増加すると、明度が低下する傾向を示すことが確認された。