JP6811486B2 - 家畜用サポーター、及び該サポーターを用いた家畜脚関節用保護具 - Google Patents

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Description

本発明は家畜用サポーター、及び該サポーターを用いた家畜脚関節用保護具に関する。
牛や馬などの大型家畜(以下、牛で代表する)は、近年一般的にはコンクリートなどの硬質床の厩舎で飼育されている。硬質床からの起伏時に起こりうる脚関節の打撲症や関節炎等の障害を、未然に防ぐことを目的にしたサポーターが提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。上記従来技術の家畜用サポーターには、緩衝材としてゴム又は軟質プラスチックの弾性体(特許文献1)や、発泡ポリウレタン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡ポリエチレン、発泡ゴムなどの独立気泡の発泡体(特許文献2)が用いられている。
特開平10−277066号公報 特開2007−289051号公報
しかしながら成牛などの大型家畜は体重400kg以上であるため、上記緩衝材では打撲や自重で容易に底突きして関節などの脚部への衝撃緩衝が不十分であり、創傷などを予防する効果が十分に得られない場合があった。
さらに、就寝時などに自己の体重(以下、「自重」ということがある)による持続的な圧迫、すなわち一定の場所に一定以上の圧力が連続して負荷されることにより、打撲等の創傷が悪化したり、褥瘡を発生したりする場合があることがわかった。またこのような疾患に起因して感染症などを発症しやすく、感染症が悪化すると起立難渋や搾乳量の減少などによって酪農家が甚大な経済的損失を被りうる。
また装着中にサポーターがずり落ちてしまって関節部から外れてしまい、サポーターによる関節部の保護ができず、褥瘡等が生じるという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであって、その目的は家畜の自重が負荷されても底突きし難い特性を有する家畜用サポーター、及び該サポーターを用いた家畜脚関節用保護具を提供することにある。
本発明の家畜用サポーターは、荷重1.5トンの圧縮応力緩和試験で荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率が20%以上であり、かつ、−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値のときの温度が0℃以上40℃以下である熱可塑性エラストマー組成物シートを有することに要旨を有する。
また本発明では、前記tanδの最大値が、0.5以上5.0未満であることも好ましい。
更に本発明では、前記サポーターは、前記熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体を含む積層体を有することも好ましい。また前記熱可塑性エラストマーと前記発泡体が熱可塑性粘着剤を介して積層された積層体を有することも好ましい。
本発明には脚関節を保護するサポーターを装着する保護部と、該保護部を挟んで家畜脚の上側及び下側に前記保護具を取り付ける装着部を有し、該保護部下端から前記保護具の下端までの長さが、該保護部上端から前記保護具の上端までの長さよりも長いことに要旨を有する家畜脚関節用保護具も含まれる。
上記保護具に用いる上記サポーターは、本発明の上記サポーターであることも望ましい構成である。
また本発明では、前記家畜は牛であることも好ましい。
本発明によれば、家畜用サポーターとして特定の物性を満足する熱可塑性エラストマー組成物シートを用いることで、自重負荷時の底突きを抑制できる。したがって本発明の家畜用サポーターを用いれば、家畜の自重が負荷されても底突きし難いため、褥瘡や創傷などの疾患を効果的に予防でき、緩衝材として有用である。また本発明の家畜脚関節保護具を用いれば、サポーター装着中にサポーターがずり落ちることを抑制できるため、上記疾患の予防により一層効果的である。
図1Aは、本発明のサポーターの一例を示す概略平面図である。 図1Bは、図1AのA−A線で切断した概略断面図である。 図2は、本発明のサポーターの他の一例を示す概略平面図である。 図3は、発泡体シートに設けた貫通孔の形状の一例を示す概略平面図である。 図4は、発泡体シートに設けた貫通孔の形状の他の一例を示す概略平面図である。 図5は、実施例の荷重試験におけるNo.1とNo.2の応力減衰曲線を示すグラフである。 図6は、実施例の荷重試験におけるNo.3とNo.4の応力減衰曲線を示すグラフである。 図7は、実施例の荷重試験におけるNo.5とNo.6の応力減衰曲線を示すグラフである。 図8は、実施例の荷重試験におけるNo.4とNo.6の応力減衰曲線を示すグラフである。 図9は、本発明のサポーターの他の一例を示す概略平面図である。 図10は、本発明のサポーターを牛の前脚に装着した一例を示す概略図である。 図11は、本発明のサポーターを牛の踵と関節を含む後ろ脚に装着した一例を示す概略図である。 図12は、本発明の3層からなる積層体の一例を示す概略断面図である。
上記従来技術では例えば体重400kg以上の大型家畜に用いるとサポーターである緩衝材が容易に底突きしてしまい、上記課題を解決することはできなかった。
また底突きによる上記問題を解消するため従来の家畜脚用サポーターなどに用いられる緩衝材の厚みを増して、関節部にサポーターを装着すると家畜の関節の動作が阻害され、家畜のストレスになるなど新たな問題が生じることがわかった。
そこで、本発明者らは新たに大型家畜の体重が負荷されても底突きし難く、上記疾患を予防できる材料について鋭意検討した。その結果、体重を効率よく面分散させることが有効であると考えた。そして荷重1.5トンの圧縮応力緩和試験で荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率が20%以上であり、かつ、−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値のときの温度が0℃以上40℃以下である熱可塑性エラストマー組成物シートを用いれば、大型家畜であっても底突きし難く、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
本発明において「圧縮応力減衰率」とは、熱可塑性エラストマー組成物シートを温度23℃、相対湿度50%の環境下にて該シートを圧子により、1mm/分の速度で圧縮荷重が1.5トンとなるまで平行に圧縮し、圧縮応力値が1.5トンに到達した時点で圧子を停止させて圧縮間隙を保持し、その際の圧縮応力最大値(1.5トン)と、その圧縮応力最大値が得られた時点から60秒後の圧縮応力値(a)から下記式(1)に基いて算出した値である。
圧縮応力減衰率(%)=〔(1.5トン−a)/1.5トン〕×100・・・(1)
熱可塑性エラストマー組成物シートの圧縮応力減衰率が低すぎると大型家畜の体重を十分に分散できず、底突きして上記効果が得られない。したがって十分な面分散性を確保する観点から熱可塑性エラストマーの圧縮応力減衰率は20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上、より更に好ましくは45%以上である。圧縮応力減衰率は高いほど体重を効率よく面分散させて底突きを抑制して上記効果が得られるため、上限は特に限定されない。
本発明の家畜用サポーターは、牛などの大型家畜を対象とするものであり、且つ飼育期間中の長期使用を予定している。そのため、本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物シートは繰り返し使用しても上記圧縮応力減衰率のレベルを維持していることが望ましい。繰り返し使用とは少なくとも対象家畜に本発明のサポーターを装着後、少なくとも1週間以上、より好ましくは1ヶ月以上、更に好ましくは3ヶ月以上、より更に好ましくは6ヶ月以上、最も好ましくは1年以上、上記圧縮応力減衰率を維持していることが望ましい。
また本発明の熱可塑性エラストマー組成物シートは、−40℃〜150℃の温度範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値(ピーク値)となる温度が、0℃以上、好ましくは10℃以上であって、40℃以下、好ましくは35℃未満、より好ましくは30℃未満である。損失正接tanδが最大値となる際の温度が高すぎたり、低すぎると通常の使用環境下における面分散性が低下することがある。
また熱可塑性エラストマー組成物シートは、−40℃〜150℃の温度範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδの最大値は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上、より更に好ましくは2.0以上であって、好ましくは5.0未満、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.5未満である。tanδが低すぎると関節などの可動部にサポーターを取り付けると、関節を屈伸した際の追従性が低くなる可能性がある。一方、tanδが高過ぎると面分散性が十分得られず底突きして上記疾患予防効果が十分に得られないことがある。
<熱可塑性エラストマー組成物シート>
本発明では少なくとも上記特性を満足する熱可塑性エラストマー組成物シートを用いればよく、その原料としても特に限定されない。例えばポリアミド系(TPA)、ポリエステル系(TPEE)、スチレン系(TPE)、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系などJIS K 6418(2007年)に記載されている各種公知の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物シートは、後記する特徴を有する重合体(A)と重合体(B)とを特定の割合で含有する熱可塑性エラストマー組成物をシート化して得られたものが好ましい。この様なシートは、より優れた面分散性を示し、短時間で圧縮応力を減少させることができる。
柔軟性、および応力緩和性の観点から、重合体(A)と重合体(B)との合計量100質量部に対して、熱可塑性エラストマー組成物中の重合体(A)含有量の上限値は、好ましくは90質量部、より好ましくは75質量部、更に好ましくは60質量部、特に好ましくは50質量部である。重合体(A)含有量の下限値は、好ましくは10質量部、より好ましくは15質量部、更に好ましくは25質量部、特に好ましくは30質量部である。
一方、重合体(A)と重合体(B)との合計量100質量部に対して、熱可塑性エラストマー組成物中の重合体(B)含有量の上限値は、好ましくは90質量部、より好ましくは85質量部、更に好ましくは75質量部、特に好ましくは70質量部である。また重合体(B)の下限値は、好ましくは10質量部、より好ましくは25質量部、更に好ましくは40質量部、特に好ましくは50質量部である。
重合体(A)
重合体(A)としては、上記各種公知の熱可塑性エラストマーやゴムが例示されるが、特に限定されない。好ましくは下記要件(i)を満足する重合体(A)であり、より好ましくは下記要件(i)、(ii)を満足する重合体(A)である。下記要件(i)を満足する重合体(A)を用いると、熱可塑性エラストマー組成物シートの追従性や面分散性が向上する。また下記要件(i)、(ii)を満足する重合体(A)を用いると熱可塑性エラストマー組成物シートの追従性や面分散性がより一層向上する。
要件(i):−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値のときの温度が好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であって、好ましくは45℃未満、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは40℃未満
要件(ii):−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδの最大値が、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは2.0以上であって、好ましくは5.0未満、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.5未満
上記要件を満たす重合体(A)として、tanδの最大値温度、最大値の高さから4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)が好適に使用される。
<4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)>
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、更に以下の要件(a)、(b)、(c)および(d)から選ばれる1以上の要件を満たすことが好ましい。
要件(a)
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、α−オレフィン(ただし、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(ii)との合計を100モル%とした場合、構成単位(i):60〜90モル%と、構成単位(ii):40〜10モル%とからなる。
構成単位(i)の割合は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは68モル%以上であって、好ましくは90モル%以下、より好ましくは86モル%以下である。
また構成単位(ii)の割合は好ましくは10モル%以上、より好ましくは14モル%以上であって、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは32モル%以下である。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の構成単位(i)、及び構成単位(ii)が上記範囲内であり、更にtanδの最大値温度が上記温度範囲、好ましくは室温付近であれば、形状追従性、応力緩和性が優れた特性を示す。
前記構成単位(ii)を導くα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素原子数2〜20、好ましくは炭素原子数2〜15、より好ましくは炭素原子数2〜10の直鎖状のα−オレフィン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは炭素原子数5〜15の分岐状のα−オレフィンが挙げられる。これらの中でもエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、エチレン、プロピレンがより好ましく、プロピレンが特に好ましい。
本発明において上記4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、構成単位(i)と構成単位(ii)とのみからなることが好ましい。ただし、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)には、本発明の目的を損なわない程度の範囲(たとえば、10モル%以下)で、更に構成単位(iii)として、4−メチル−1−ペンテンおよび構成単位(ii)を導くα−オレフィン以外の他のモノマーから導かれる構成単位を含んでいてもよい。例えば前記4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)が4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体の場合は、構成単位(iii)として5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが例示される。
要件(b)
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)をデカリン中135℃で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.1dL/g以上、より好ましくは0.5dL/g以上であって、好ましくは5.0dL/g以下、より好ましくは4.0dL/g以下、更に好ましくは3.5dL/g以下である。後述するように重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得て極限粘度[η]を調整できる。極限粘度[η]が小さすぎたり、あるいは大きすぎると、重合体組成物をシートに加工する際の成形加工性が損なわれることがある。
要件(c)
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)をゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布:Mw/Mn)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であって、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.8以下である。前記Mw/Mnが3.5よりも過大であると、組成分布に由来する低分子量、低立体規則性ポリマーに起因して成形性が悪くなることがある。
上記要件を満足する重合体は、例えば後記する触媒を用いれば、上記要件(b)で示される極限粘度[η]の範囲内において、上記要件(c)を満たす前記共重合体(A−1)を得ることができる。
また、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上であって、好ましくは10,000,000以下、より好ましくは5,000,000以下、更に好ましくは2,500,000以下である。
要件(d)
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の密度(ASTM D 1505にて測定)は、好ましくは830kg/m3以上であって、好ましくは870kg/m3以下、より好ましくは865kg/m3以下、更に好ましくは855kg/m3以下である。
密度は4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)のコモノマー組成比によって適宜変えることができ、密度が上記範囲内にある前記共重合体(A−1)は、軽量なシートを製造する上で有利である。
<4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の製造方法>
次に、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の製造方法について説明する。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の製造方法は、上記所定の要件を満たす4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)を得ることができるものである限り、特に限定されない。ただし、本発明の一般的な態様において、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)は、4−メチル−1−ペンテンと上記「構成単位(ii)を導くα−オレフィン」とを適当な重合触媒存在下で重合することにより得ることができる。
本発明で好適な重合触媒として、従来公知の触媒、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報、国際公開第14/050817号パンフレット中に記載のメタロセン触媒に記載の方法を採用することができる。
重合体(B)
熱可塑性エラストマー組成物シートを構成する重合体(B)は、重合体(A)以外の熱可塑性樹脂およびエラストマー、ゴム等である。
重合体(B)は、好ましくは、オレフィン系樹脂(B−1)、オレフィン系エラストマー(B−2)、スチレン系エラストマー(B−3)、および熱可塑性エラストマー組成物(B−4)から選ばれる少なくとも1種類である。
オレフィン系樹脂(B−1)
オレフィン系樹脂(B−1)の具体例として、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の各種ビニル化合物をコモノマーとするエチレン系共重合体、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の各種ビニル化合物をコモノマーとするプロピレン系共重合体等が挙げられる。より具体的には、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
オレフィン系エラストマー(B−2)
オレフィン系エラストマー(B−1)の具体例として、ポリオレフィン系エラストマーの第1の態様は、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選ばれる1つと、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びα−オレフィンからなる群より選ばれる1つとの共重合体である。共重合の形態は、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでもよいが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より選ばれる1つと、α−オレフィンからなる共重合体の場合のみ、共重合の形態はランダム共重合であってもよい。前記α−オレフィンとは、分子鎖の片末端に二重結合を有するオレフィンのことであり、1−ブテンや1−オクテンなどが好ましく用いられる。
例えば硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するポリオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体とのブロック共重合体が挙げられ、具体的には、オレフィン(結晶性)・エチレン・ブチレン・オレフィンブロック共重合体、ポリプロピレン・ポリオレフィン(非晶性)・ポリプロピレンブロック共重合体等を例示することができる。具体例としては、JSR株式会社から商品名DYNARON(ダイナロン)(登録商標)、三井化学株式会社から商品名タフマー(登録商標)、ノティオ(登録商標)、ダウケミカル株式会社から商品名ENGAGETM、VERSIFYTM、エクソンモービルケミカル株式会社から商品名VistamaxxTMとして市販されているものが挙げられる。
スチレン系エラストマー(B−3)
スチレン系エラストマー(B−3)としては、硬質部(結晶部)となるポリスチレンブロックと、軟質部となるジエン系モノマーブロックとのブロック共重合体(SBS)、水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(HSBR)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・イソブチレン・スチレン共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレン共重合体(SIB)などを例示することができる。スチレン系エラストマーは、1種単独で、または2種類以上を組み合せて用いられる。
水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の具体例としては、JSR株式会社から商品名:ダイナロン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)を水素添加してなるものである。SISの具体例としては、JSR株式会社から商品名:JSR SIS(登録商標)として、株式会社クラレから商品名:ハイブラー(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトンD(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SEPSの具体例としては、株式会社クラレから商品名:セプトン(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SEBSの具体例としては、旭化成株式会社から商品名:タフテック(登録商標)、またはシェル株式会社から商品名:クレイトン(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
また、SIB、SIBSの具体例としては、株式会社カネカから商品名:シブスター(登録商標)として市販されているものなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマー組成物(B−4)
熱可塑性エラストマー組成物(B−4)は、上記(B−1)〜(B−3)とは異なるものであって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物を動的架橋して得られる組成物である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、通常、(a)エチレンから導かれる単位と、(b)α−オレフィンから導かれる単位とを、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは60/40〜80/20、更に好ましくは65/35〜75/25[(a)/(b)]のモル比の範囲で有する。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体[I]を構成するα−オレフィンは、通常、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体[I]を構成する非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン; メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン; 2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ナノジエン等のトリエンなどが挙げられ、これら非共役ジエンは単独でも、2種類以上でも使用することができる。これら非共役ジエンの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、通常、非共役ポリエン成分量の一指標であるヨウ素価が好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であって、好ましくは40以下、更に好ましくは30以下である。また、非共役ジエン量の全成分量は、通常、[I]成分中の2〜20質量%の範囲にある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、135℃、デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が好ましくは1dl/g以上、より好ましくは1.5dl/g以上であって、好ましくは10dl/g以下、より好ましくは8dl/g以下である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、その製造の際に軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤を配合した、いわゆる油展ゴムであってもよい。鉱物油系軟化剤としては、従来公知の鉱物油系軟化剤たとえばパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは10以上、より好ましくは30以上であって、好ましくは250以下、より好ましくは150以下である。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、単独で、あるいは二種以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を用いてもよい。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、従来公知の方法により製造できる。
ポリオレフィン樹脂[II]
ポリオレフィン樹脂[II]は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィンの単独重合体、あるいは二種以上のα−オレフィンで、通常、主たるα−オレフィンの含有量が90モル%以上の共重合体であり、融点(Tm)が好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であって、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下の範囲にある。ポリオレフィン樹脂[II]は、通常、実質的に主鎖に不飽和結合を有していない。またポリオレフィン樹脂[II]は、単独で、あるいは二種以上のオレフィン系重合体を用いてもよい。これらポリオレフィン樹脂[II]の中でも、プロピレン系重合体(II−1)、エチレン系重合体(II−2)が好ましい。
プロピレン系重合体(II−1)
プロピレン系重合体(II−1)は、プロピレンの単独重合体、あるいは、プロピレンと通常、10モル%以下の炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどとのランダム共重合体、あるいは、プロピレンの単独重合体と非晶性あるいは低結晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体とのブロック共重合体であり、通常、融点が好ましくは120℃以上、より好ましくは145℃以上であって、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下の範囲にある。このようなプロピレン系重合体(II−1)は、通常、ポリプロピレン樹脂として、製造・販売されている。
プロピレン系重合体(II−1)の立体構造は、アイソタクチック構造が好ましいが、シンジオタクチック構造、これらの構造の混ざったもの、あるいは、一部アタクチック構造を含むものも用いることができる。プロピレン系重合体(II−1)は、通常、メルトフローレート(MFR:JIS K6758に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定)が好ましくは0.05g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上であって、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下の範囲にある。またプロピレン系重合体(II−1)は、種々公知の重合方法によって重合される。
エチレン系重合体(II−2)
エチレン系重合体(II−2)は、エチレンの単独重合体、あるいは、エチレンと10モル%以下の炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどとのランダム共重合体であり、通常、融点が好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であって、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下の範囲にある。このようなエチレン系重合体(II−2)は、通常、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどとして、製造・販売されている。
エチレン系重合体(II−2)は、通常、メルトフローレート(MFR:JIS K6758に従い、温度190℃、荷重21.18Nで測定)が0.05g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上であって、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下の範囲にある。
(架橋剤)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物を動的架橋する際に用いられる架橋剤としては、たとえば有機過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられるが、中でも有機過酸化物が好ましく用いられる。
有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびn−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
これら有機過酸化物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]およびポリオレフィン樹脂[II]の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下の割合で用いられる。有機過酸化物を上記割合で用いると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]が少なくとも一部が架橋された熱可塑性エラストマー組成物(B−4)が得られ、耐熱性、引張特性およびゴム弾性が十分な成形体が得られる。
(架橋助剤)
前記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エレチングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラートまたはビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーからなる架橋助剤を添加してもよい。このような架橋助剤を添加することにより、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]の均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においてはジビニルベンゼンを用いると、取扱い易さ、前記被処理物の主成分たるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、およびポリオレフィン樹脂[II]との相溶性が良好であり、かつ前記有機過酸化物の可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性のバランスのとれた熱可塑性エラストマー組成物(B−4)が得られるため最も好ましい。
架橋助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]およびポリオレフィン樹脂[II]の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であって、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。
(軟化剤)
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物には、動的架橋時に流動性や硬度の調整剤として軟化剤を添加してもよい。また軟化剤は、予めエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、ポリオレフィン樹脂[II]、あるいはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]の混合時に、あるいは、混合物(前駆体)を動的架橋時に注入する方法により加える。その際、上記方法を単独で、あるいは上記方法を併用して添加してもよい。
軟化剤としては、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ、(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも、石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
軟化剤を加える場合は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であって、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは80質量部以下の範囲で配合される。軟化剤を上記のような割合で用いると、得られる熱可塑性エラストマー組成物(B−4)は成形時の流動性に優れ、得られる成形体の機械的物性を低下させることはない。本発明において、軟化剤の使用量が200質量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物(B−4)の耐熱性、耐熱老化性は低下する傾向にある。
(その他添加剤)
熱可塑性エラストマー組成物(B−4)、あるいは前記組成物の動的架橋前の混合物には、必要に応じて、スリップ剤、核剤、充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、着色剤、発泡剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合してもよい。
上記核剤としては、非融解型および融解型の結晶化核剤が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。非融解型の結晶化核剤としては、タルク、マイカ、シリカ、アルミニウムなどの無機物、臭素化ビフェニルエーテル、アルミニウムヒドロキシジ−p−tert−ブチルベンゾエート(TBBA)、有機リン酸塩、ロジン系結晶化核剤、置換トリエチレングリコールテレフタレートおよびTerylene&Nylon繊維などが挙げられ、特にヒドロキシ−ジ−p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム、メチレンビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ロジン系結晶化核剤が望ましい。融解型の結晶化核剤としては、ジベンジリデンソルビトール(DBS)、置換DBS、低級アルキルジベンジリデンソルビトール(PDTS)、などのソルビトール系の化合物が挙げられる。
上記スリップ剤としては、たとえば脂肪酸アミド、シリコーンオイル、グリセリン、ワックス、パラフィン系オイルなどが挙げられる。
上記充填剤としては、従来公知の充填剤、具体的には、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、シリカ、アルミナ、グラファイト、ガラス繊維などが挙げられる。
熱可塑性エラストマー組成物(B−4)の製造方法
熱可塑性エラストマー組成物(B−4)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物、好ましくはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを[I]/[II](質量比)が90/10〜5/95、より好ましくは70/30〜10/90の範囲で含む混合物、あるいは、必要に応じて前記軟化剤などを所定量含む混合物(前駆体)を動的架橋することにより得られる。動的架橋を行なう際には、前記架橋剤の存在下、あるいは前記架橋剤と前記架橋助剤の存在下に、動的に熱処理するのがよい。「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の温度は、ポリオレフィン樹脂[II]の融点から300℃の範囲であり、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上であって、好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下である。混練時間は、好ましくは1分以上であって、好ましくは20分以下、より好ましくは10分以下である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で好ましくは10sec-1以上、より好ましくは100sec-1以上であって、好ましくは50,000sec-1以下、より好ましくは10,000sec-1以下である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
本発明によれば、上述した動的な熱処理によって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]の少なくとも一部が架橋された熱可塑性エラストマー組成物(B−4)が得られる。
その他の熱可塑性樹脂(B−5)
さらに、その他の熱可塑性樹脂(B−5)としては、上記(B−1)〜(B−4)とは異なるものであって、具体例としては脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612)等のポリアミド樹脂、 ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー等、前記ビニル芳香族系樹脂の例として、具体的には、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂等のポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン等も挙げられる。
その他の成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物シートを形成する重合体組成物は、重合体(A)と重合体(B)とのみからなるものであってもよいが、必要に応じて、更にその他の成分として適当な添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤、結晶核剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、軟化剤等の添加剤が挙げられる。
これら添加剤の使用量の合計は、重合体(A)と重合体(B)との合計を100質量部として、好ましくは0.001〜50質量部である。
重合体組成物、シートの製造方法
熱可塑性エラストマー組成物シートを形成する重合体組成物は、重合体(A)、重合体(B)、および、必要により、上記その他の成分として例示した各種添加物を、上記のような範囲で配合し、種々公知の方法、たとえば、多段重合法、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
得られた重合体組成物は、種々公知の成形方法、具体的には、例えば、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形等の各種の成形方法により、シート層(II)とすることができる。
本発明の家畜用サポーターには、上記熱可塑性エラストマー組成物シートが含まれていればよい。すなわち上記熱可塑性エラストマー組成物シート単層のみで構成されていてもよいし、あるいは同種、または異種の熱可塑性エラストマー組成物シート1種以上と積層させた積層体、または上記熱可塑性エラストマー組成物シートと上記以外の樹脂等からなるシート1種以上とを組み合わせた積層体で構成されていてもよい。好ましくは上記熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体を含む積層体であり、より好ましくは上記熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体からなるシート状積層体である。熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体はアクリル系やウレタン系などの各種粘着剤、或いはゴム系溶剤を用いて剥離しないように接着させることが望ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物シートのみで構成する場合と比べて、熱可塑性エラストマーと発泡体とを組み合わせた積層体とすることで、関節への密着性が向上できる。すなわち熱可塑性エラストマー組成物シートと比べて発泡体は柔軟性、伸縮性が高く、これと組み合わせることで関節への密着性、追従性を向上できる。そして関節への密着性を高めることで、動作に起因するサポーターのずれを低減でき、家畜へのストレスを低減できる。また密着性が向上することで家畜の関節部の屈伸に対する追従性が高くなり、関節部など保護部位を長期間に亘って保護できる。家畜の関節のような可動部位に装着する場合は、長期間に亘って底突きに起因する上記疾患の発症を抑制するだけでなく、密着性や追従性を高めることによって家畜に対するストレスを低減することが重要である。特に牛などのようにストレスによって搾乳量などの生産量が影響される家畜にとっては、ストレスの低減も重要である。本発明の積層体は、発泡体を外側(例えば家畜関節部、熱可塑性エラストマー組成物シート、発泡体の順で積層)にすることによって、熱可塑性エラストマー組成物シート単独の場合と比べて家畜への装着ストレスを低減しつつ、底突きに起因する上記疾患の発症を抑制できる。
本発明において発泡体とは、樹脂のマトリックス中に気泡(セル)が多数分散している発泡プラスチックであって、熱可塑性エラストマー組成物シートと同様シート状に成形した発泡体をいう。また家畜の被装着部との密着性を向上させる観点から、発泡体は連続気泡、独立気泡のいずれでもよいが、柔軟性に優れた性質を有する連続気泡の発泡体を用いるとより一層密着性が向上するため好ましい。また発泡体からなるシートは熱可塑性エラストマー組成物シートよりも柔軟性、伸縮性、および反発弾性に優れていることが密着性向上の観点からは好ましい。更に好ましくは関節など装着部の可動によって発泡体に割れが生じない程度の柔軟性、伸張性を有することである。これら特性はサポーターの適用対象家畜、適用部位に応じて適宜設定すればよい。
発泡体の発泡倍率は特に限定されないが、発泡倍率を高めることで、サポーターの装着部位の関節が可動した際の該関節とサポーターとの追従性・密着性が向上する。発泡倍率は、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上であって、好ましくは60倍以下、より好ましくは50倍以下である。
発泡体の種類は特に限定されず、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、EVA架橋発泡体、PET樹脂発泡体、フェノールフォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム、ゴム発泡体など各種公知の発泡体を用いることができる。本発明では熱可塑性エラストマーよりも柔軟性、伸縮性、および反発弾性に優れているEVA架橋発泡体が好ましい。また発泡体は上記いずれか単独、あるいは複数を組み合わせてもよい。
本発明に用いられる熱可塑性エラストマー組成物シートの厚みは大型家畜の種類や体重などに応じて適宜調整すればよい。例えば後記実施例に示すように熱可塑性エラストマー組成物シートの厚みと圧縮応力減衰率の間には良好な相関関係がみられる。熱可塑性エラストマー組成物シートが薄すぎると十分な面分散性が得られないため、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上である。なお、熱可塑性エラストマー組成物シートの厚みが増すほど、面分散性が高くなるため上限は特に限定されないが、過剰な厚さにすると重くなってストレスやサポーターのズレの原因となると共に伸縮性が低下して関節稼働の負荷になることがあるため、好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下である。上記熱可塑性エラストマーを複数積層させる場合も上記範囲内である。なお、熱可塑性エラストマー組成物シートの縦、横のサイズは適用部位に応じて適宜設定すればよい。
また上記発泡体はシート状であることが好ましいが、発泡体の厚みも特に限定されない。発泡体が厚すぎると積層体が家畜の脚や関節の可動の妨げとなるため、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下、更に好ましくは25mm以下である。下限については特に限定されないが、発泡体の積層による密着性を向上させる効果を考慮すると、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。発泡体を複数積層させる場合も上記範囲内とすることが望ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体からなるシートとを含む積層体は、上記熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体からなるシートで構成されていてもよいが、上記積層体の効果を阻害しない範囲で、任意の第3層(第3層の層数は問わない)を含んでいてもよい。
第3層としてはポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレンやオレフィンなどを基材とする耐UV性、耐摩耗性、耐候性などに優れた保護シートや粘着シートなどが例示される。保護シートは上記熱可塑性エラストマー組成物シートや上記発泡体に積層させればよい。
また上記保護シートを積層させる場合や、上記熱可塑性エラストマー組成物シートと上記発泡体を積層させる場合は、粘着シートを介在させることが好ましい。図12は第3層を含む積層体の構成を示す一例であって、上記熱可塑性エラストマー組成物シート20と上記発泡体シート21が粘着シート22を介して積層されている。
粘着シート22には、熱可塑性粘着剤を用いることが好ましく、特にアクリル樹脂系粘着剤を用いることが好ましい。熱可塑性エラストマー組成物シート20と発泡体シート21は伸縮率や弾性率が異なっており、また家畜の起伏時には関節部分に当てた積層体に高荷重が負荷される。このような条件下において熱可塑性粘着剤、特にアクリル樹脂系粘着剤は、高粘着性と高追従性を発揮するため、熱可塑性エラストマー組成物シート20と発泡体シート21との剥離を抑制できる。なお、粘着シート22にウレタン系粘着剤などの熱硬化性粘着剤や接着剤を用いると上記条件下では十分に追従できず、使用中に剥離することがあるため望ましくない。
積層体の厚みは特に限定されないが、サポーター装着箇所の可動性確保やサポーターの厚みが増すことによって家畜に与えるストレスを考慮すると、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは40mm以下、最も好ましくは30mm以下である。
積層体は、荷重1.5トンの圧縮応力緩和試験で荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは25%以下であり、とりわけ好ましくは30%以下である。
以上、本発明の家畜用サポーターに用いられる熱可塑性エラストマー組成物シート、及び熱可塑性エラストマー組成物シートと発泡体を含む積層体、該積層体に更に熱可塑性粘着剤を介在させた積層体について説明した。
次に上記発泡体の製造方法について説明する。発泡体は公知の製造方法に基づいて製造したものを使用できる。例えば注型発泡成形法、溶融発泡成形法、固相発泡成形法など各種公知の発泡プラスチックの製造方法が例示されるがこれに限定されない。また発泡体は市販品を用いてもよい。
また本発明の発泡体には、本発明の目的を損なわない範囲で熱可塑性エラストマー組成物シートと同様の各種添加剤を添加してもよい。
以下、本発明の家畜脚関節用保護具について説明する。
本発明の上記サポーターは、各種家畜の脚関節用保護具と共に使用することが好ましい。保護具とは家畜脚関節の保護部分にサポーターを装着するための装着用具である。本発明の保護具は例えば図1Aに示すように少なくとも保護具1と該保護具1に内包されているサポーター2で構成されている。サポーター2は家畜の起伏時に床との接触により褥瘡や創傷などが生じやすい箇所に設ければよい。例えば図10、図11に示すように床と接触する関節部分27にサポーター2を設ければよい。保護具1、及びサポーター2の形状、サイズは装着する家畜の関節など装着部位の形状、サイズに適したものであればよい。
サポーター2が装着中に関節部分27からずれないようにするためには、図9に示す構成を有する保護具1が望ましい。すなわち、保護具1は家畜の脚関節を保護するサポーター2を設けた保護部12と、該保護部12を挟んで家畜脚の上側、及び下側で保護具1を家畜脚に取り付ける装着部(上側装着部13と下側装着部14)を有し、保護部12下端23から前記保護具1の下端15までの長さ(下側長さ25)が、保護部12上端24から保護具1の上端16までの長さ(上側長さ26)よりも長くなるように構成することが望ましい。
本発明では、上側長さ26よりも下側長さ25を長くすることで、保護具1が関節の下側の脚で強固に固定できるため、関節屈伸に伴う保護具1のずれを抑制できる。
保護具1を固定する際に下側装着部14が関節部分27に近すぎると関節の屈伸に伴って保護部12が関節部分27からずれるが、下側長さ25が長い程、関節屈伸に伴う保護部12のずれを抑制できる。したがって保護具1の下端15は、家畜下脚18の長さ(保護対象の関節部分27と、その下側にある関節をつなぐ下脚の長さ)の好ましくは1/2以上、より好ましくは2/3以上、更に好ましくは3/4以上下側関節に近い位置、最も好ましくは図10に示すように下側関節の直上であって、該下側関節を固定しない長さであればよい。一方、保護具1は下脚側での固定力を高めることで保護部12のずれを抑制できるため、上側長さ26は特に限定されない。したがって保護具1の上端16は、家畜上脚17の長さ(保護対象の関節部分27と、その上側関節をつなぐ上脚の長さ)の好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下、更に好ましくは1/4以下、最も好ましくは1/5以下の保護対象関節に近い位置であって、関節部分27よりも上側であればよい。
保護部12は牛の起伏時に床と接触する脚関節を保護するためにサポーターを設ける部分である。保護部12の位置は家畜の大きさや前脚か後脚かなどで異なるため、装着対象となる家畜の関節屈伸状況や関節部分の骨の凸部を確認して、床と接触する範囲が含まれるように保護部の位置を決定すればよい。
上側装着部13、及び下側装着部14は家畜脚を周回する長さを有し、保護具1を脚に固定する手段である。上側装着部13、及び下側装着部14は保護具1が家畜脚に対して脱着自在となるように構成されていればよい。
図9では保護具中央部分28の幅が家畜脚の周囲長さよりも短くなるように、保護具中央部分28が上側装着部13、及び下側装着部14よりも切り欠いた構成となっている。これにより通気性を確保し、保護具によるムレを防止できる。
また図9に示す様に保護具1は上側装着部13、及び下側装着部14を含めて全体が一体的に形成されていることが望ましい。一体的に形成されているとは、保護具1の中央部28と上側装着部13、及び下側装着部14が同一素材で一連に構成されていることをいう。このような構成を有する保護具1は、特許文献1や特許文献2のように装着部(特許文献ではバンドなど)が保護具1から取り外し可能な場合と比べて保護具1の家畜脚に対する固定力が向上すると共に、装着バンドとの接続部に凹凸がないため、家畜の起伏時に該凹凸が床と接触して脚が圧迫される等の問題も生じない。
上側装着部13、及び下側装着部14に設ける脱着手段は特に限定されない。例えば図9に示す様に上側装着部13、及び下側装着部14の一部に面ファスナーやファスナー、スナップボタンなどの様に繰り返し使用可能な脱着手段10を設けることが望ましい。脱着容易性の観点からは面ファスナーが好ましい。
本発明の保護具1の素材も特に限定されず、公知の材料を用いることができる。例えば綿、ウールなどの天然繊維、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、クロロプレンなどの化学繊維などが例示され、これらを単独、或いは組み合わせて使用できる。これらのなかでも伸縮性や速乾性に優れている化学繊維が望ましい。例えばウエットスーツ生地は伸縮性、通気性、耐久性に優れているため、サポーター素材として好適である。
サポーター2は本発明の熱可塑性エラストマー組成物シートと上記発泡体シートとの積層体、熱可塑性エラストマー組成物シート単層、或いは図12に示す様な粘着シートを含む積層体であってもよい。
積層体を用いる場合、積層順は特に問わないが発泡体シートが関節など家畜側に面するように内側に配置し、熱可塑性エラストマー組成物シートは家畜と反対側、すなわち外側となるように積層することが好ましい。発泡体シートは熱可塑性エラストマー組成物シートよりも高い柔軟性を有し、追従性にも優れているため内側に配置することで関節屈曲時に関節部とサポーター2との密着性を阻害することがない。なお、積層体に更に粘着シートなど任意の層を含ませて3層以上とする場合は、用途に応じて任意の位置に配置すればよい。
また発泡体シートの構造は特に限定されないが、発泡体シートの一方の面から他方の面、具体的には発泡体シートの内側から外側までの貫通孔を有していることが好ましい。発泡体シートが貫通孔を有することで関節屈折時に発泡体シートの密着性や面分散性が向上する。すなわち、関節を屈曲した際に発泡体シートが伸縮ないし圧縮されて関節部に追従するが、その際、応力に応じて貫通孔が変形するため密着性が向上する。また貫通孔を設けることで材料の軽量化を図ることができ、サポーター2の装着箇所の負荷を軽減できる。貫通孔の形状は特に限定されないが、図3に示すような三角形や図4に示すような四角形などの任意の多角形や円形、楕円形などであってもよい。また貫通孔5のサイズは通常の連続気泡よりも大きなサイズであり、例えば図3、4に示すように貫通孔5の開口部面積が発泡体シート21の樹脂部分6(非貫通孔部分)の面積よりも大きくなるように形成してもよい。例えば貫通孔の直径(最大径)は好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。貫通孔6の直径(最大径)の上限は特に限定されないが、大きくなりすぎると貫通孔部分の面積が大きくなりすぎて密着性や面分散性などの効果が十分に得られないことがあるため、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは30mm以下である。各貫通孔のサイズ、形状は同一であっても異なってもよいが、加工容易性、及び上記追従性向上の観点からは略同一の形状、サイズであることが好ましい。
サポーター2を装着する保護部の構成は特に限定されない。サポーター2は保護具1に内包されているか、保護カバーを有することが望ましい。サポーター2が露出していると、摩耗などによって耐久性が低下する。サポーター2は、縫製や接着などによりを保護具1内に封止してもよいが保護具1の洗濯時にサポーターの損傷を防ぐために、サポーターは取り外し可能であることが望ましい。
図9に示す保護部12にはサポーター2の収納スペースが設けられている。収納スペースが大きすぎると内部でサポーター2が移動することがあるため、サポーター2と同じ程度の大きさとすることが望ましい。収納スペースとしては例えば図2に示すように保護具1に周囲3方が縫製や接着などで封止7された袋状のサポーター収納スペース8を設けると共に、サポーター2を保護具1から出し入れできるように保護具1の封止されていないサポーター出入口部分9に面ファスナーなどの繰り返し使用可能な上記脱着手段10を設けてもよい。
本発明のサポーター3を保護部12に備えた本発明の保護具1は、体重400kg以上、好ましくは500kg以上、さらに好ましくは1トン以上の大型家畜に適用しても底突きし難く、コンクリート面での打撲や就寝時の床ずれなどに起因する褥瘡や創傷を抑制できる。また上記大型家畜としては牛、馬など四足歩行動物が挙げられる。これらの中でも褥瘡等によって起立難渋な搾乳量低減などが生じると経済的損失が大きくなる家畜、例えば牛に適用することが好適である。
以下、本発明のサポーターを用いた保護具による家畜の脚関節部分の保護方法について、図面に基づいて説明するが、下記に限定されず、適宜変更できる。
図10は図9に示す本発明の保護具1を牛の前脚に装着した一例を示す概略図である。牛は床に座る際、曲げた前脚の関節部分27(前腕骨と中手骨を連結する関節部分)前面(頭方向)が床と接触する。そのため保護部12は関節部分27の前面を被覆するように設けられている。具体的にはサポーターを封入した保護部2の上側は関節の上脚側の一部を含むと共に、保護部2の下側は関節の下脚側の一部を含む。保護具1の下側は、下端部分に設けた装着部14で下側関節(基節骨と中手骨を連結する関節部分)よりも上側の下脚18(中手骨)を周回し、装着部14の他方端設けた脱着手段10で固定されている。また保護具1の上側は、上端部分に設けた装着部13で関節保護部の関節部分よりも上側の上脚17(前腕骨)に同様にして脱着手段10で固定されている。なお、保護具1の上端は家畜上脚長さ17の1/4以下であり、保護具1の下端は家畜下脚長さ18の下側関節の直上近辺に位置している。
図11は、図9に示す本発明の保護具1を牛の後脚に装着した一例を示す概略図である。牛は床に座る際、前脚を床に着けてから体を横に傾けるようにして座るため、後脚は前脚とは異なり、関節の外側側面(体の横方向)が床と接する。そのため保護具1の保護部12は関節部分27(下腿骨と中脚骨を連結する関節部分、及び踵骨部分を含む)の外側側面を被覆するように設けられている。具体的にはサポーターを装着した保護部2の上側は関節の上脚側の一部を含むと共に、保護部2の下側は関節の下脚側の一部を含む。保護具1の下側は、下端部分に設けた装着部14で下側関節(中足骨と趾骨を連結関節部分)よりも上側の下脚18(中手骨)を周回し、装着部14の他方端に設けた脱着手段10で固定されている。また保護具1の上側は、上端部分に設けた装着部13で関節保護部分の関節部分よりも上側の上脚17(下腿骨)で同様にして脱着手段10で固定されている。なお、保護具1の上端は家畜上脚長さ17の1/4以下であり、保護具1の下端は家畜下脚長さ18の下側関節の直上近辺に位置している。
本願は、2015年8月18日に出願された日本国特許出願第2015−161010号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年8月18日に出願された日本国特許出願第2015−161010号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
サポーターとして使用する下記No.1〜6の緩衝材の圧縮応力減衰率を調べた。具体的には圧縮試験機(機種名AG−100kNX、島津製作所製)で緩衝材(サイズ:縦15cm×横15cm)を1mm/minの圧縮速度で圧縮した。圧縮荷重が1.5トンに達した後、圧縮を停止して圧縮力の変化を60秒間測定した。結果を図5〜図8に示す。
下記No.1〜4、6の緩衝材のtanδを調べた。具体的には熱可塑性エラストマー組成物シート(厚さ3mm)を作製し、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製MCR301を用いて、10rad/sの周波数で−40〜150℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、0〜30℃の範囲で損失正接(tanδ)が最大値となる際の温度(以下「ピーク時温度」ともいう。)、およびその際の損失正接(tanδ)の値を測定した。
重合体の融点(Tm)は、セイコーインスツルメンツ社製DSC220C装置で示差走査熱量計(DSC)により測定した。重合から得られた試料7〜12mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。その試料を、200℃で5分間保持し、次いで10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で200℃まで再度加熱した。この再度の(2度目の)加熱での吸熱曲線で高温側のピーク温度を、融点(Tm)として採用した。
重合体の極限粘度[η]は,デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。すなわち、サンプル(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、サンプルの濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
重合体の分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mn値およびMz/Mw値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
No.1、2は下記熱可塑性エラストマー組成物シート単層である。No.3、4、6は下記第1層と第2層からなる積層構造を有する。No.5は下記発泡体単層である。なお、積層体は粘着剤を用いて第1層と第2層が剥離しないように一体化した。
No.1:単層(厚さ3mm)
[4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A)の製造]
窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.15MPaGとなるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1ミリモル、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005ミリモルの量で含むトルエン溶液0.34mlのトルエン溶液を窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。その後60分間、オートクレーブを内温60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。
得られたポリマー(4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A))は24.0gで、(A1)成分が70.9モル%、プロピレン由来の(A2)成分が29.1モル%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.3dl/gであった。GPCから得られた分子量は、Mw=257000、Mn=124000、Mw/Mn=2.1であった。tanδの最大値は2.9(最大値となる際の温度:28.9℃)であった。
上記で合成した4−メチル−1−ペンテン重合体:30部と、三井化学株式会社製ミラストマー5030NS:45部と、旭化成ケミカルズ株式会社製タフテックH1221:25部とを混合して、重合体組成物を得た。重合体組成物のtanδの最大値は0.8(最大値となる際の温度:19.7℃)であった。この組成物をシート成形して、3mmのシートを得た。
No.2:単層(厚さ3mm)
三井化学株式会社製ミラストマー5030NS:100部をシート成形して、3mmのシートを得た。このtanδの最大値は0.55(最大値となる際の温度:−41.0℃)であった。この組成物をシート成形して、3mmのシートを得た。
No.3:積層体(厚さ17mm)
第1層(厚さ2mm):上記No.1と同様にして作製した熱可塑性エラストマー組成物シートを用いた。
第2層(厚さ15mm):下記特性(JIS K 6767)を有するスチレン系エラストマー発泡体を用いた。
見掛け密度:0.14g/cm3
引張強さ:140N/cm2
伸び:230%
25%圧縮硬さ:3.5N/cm2
反発弾性:9%
No.4:積層体(厚さ13mm)
第1層(厚さ2mm):上記No.1と同様にして作製した熱可塑性エラストマー組成物シートを用いた。
第2層(厚さ11mm):上記No.3と同じ発泡体を用いた。
No.5:単層(厚さ22mm)
単 層:上記No.3と同じ第2層を用いた。
No.6:積層体(厚さ24mm)
第1層(厚さ2mm):上記No.1と同様にして作製した熱可塑性エラストマー組成物シートを用いた。
第2層(厚さ22mm):上記No.3と同じ発泡体を用いた。
なお、No.3の第2層は貫通孔のないシート状発泡体であり、No.4〜6の第2層は図3に示すような三角形(サイズ:1辺8mm)の貫通孔5を有する発泡体である。
No.1は本発明で規定する特性を満足するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物シート単層の緩衝材である。図5に示すようにNo.1は損失正接tanδが最大値のときの温度が低すぎるNo.2よりも圧縮応力減衰速度が速く、短時間で荷重を緩和して分散する効果を示すと共に、試験時間中の応力の低下性能にも優れていた。荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率は、No.1は50%、No.2は40%であった。
No.3、4、6に用いた第1層(厚さ2mm)は、荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率が50%である。すなわち、No.3、4、6はいずれも本発明の要件を満足する例である。図6に示すように貫通孔を有する発泡体を用いたNo.4は、貫通孔を有さない発泡体を用いたNo.3よりも最終的な応力の低下性能に若干優れていた。荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率は、No.3は29%、No.4は30%であった。
No.5は発泡体単層の例であり、No.6は本発明の要件を満足する積層体を用いた例である。図7に示すようにNo.5は圧縮応力減衰率が不十分であった。一方、No.6は本発明の圧縮応力減衰率に優れた効果を示した。荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率は、No.5は11%、No.6は30%であった。
図8は上記No.4とNo.6を用いて発泡体の厚みの違いによる圧縮応力減衰率への影響をしらべた。その結果、両者は同程度の圧縮応力減衰率を示した。
実施例2
上記No.4の積層体を緩衝材として用いたサポーター2を図9に示す保護具1の保護部12に装着し、図10に示す様にして成牛(500kg以上)の前脚根関節部に30日間連続装着した。保護具1の装着期間中、牛から保護具1を脱着しなければならないような行動は見られず、特段、牛にストレスがかかっているようには見受けられなかった。また30日経過後、保護具1を取り外して保護部12で保護していた関節部を調べたところ、関節炎、打撲痕、褥瘡などの疾患は発症していなかった。また30日経過後も外形的な異常は全く認められなかった。この結果から、サポーターとして使用した本発明の積層体は、家畜の通常の飼育環境下において底突きし難い性質を有しており、疾患予防に有効であることがわかった。
実施例3
上記No.4の積層体の第1層と第2層の間にアクリル樹脂系粘着剤を第3層として介在させた積層体をサポーター2として図9に示す保護具1の保護部12に装着し、図10に示す様にして成牛の前足根関節部に5ヶ月間連続装着した。保護具1の装着期間中、牛から保護具1を脱着しなければならないような行動は見られず、特段、牛にストレスがかかっているようには見受けられなかった。また装着中に保護具1の保護部12が関節からずれることがなかったため、サポーターのずれを直すための再装着は不要であった。また5ヶ月経過後、保護具1を取り外して保護部12で保護していた関節部を調べたところ、関節炎、打撲痕、褥瘡などの疾患は発症していなかった。また保護具装着によるムレなども生じていなかった。
1 保護具
2 サポーター
5 貫通孔
6 樹脂
7 封止箇所
8 サポーター収納スペース
9 サポーター出入口部分
10 脱着手段
11 第3層
12 保護部
13 上側装着部
14 下側装着部
15 保護具下端
16 保護具上端
17 上脚
18 下脚
19 関節
20 熱可塑性エラストマー組成物シート
21 発泡体シート
22 粘着シート
23 保護部下端
24 保護部上端
25 下側長さ
26 上側長さ
27 関節部分
28 中央部分

Claims (8)

  1. 荷重1.5トンの圧縮応力緩和試験で荷重負荷60秒後の圧縮応力減衰率が20%以上であり、かつ、−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値のときの温度が0℃以上40℃以下である熱可塑性エラストマー組成物シートと、一方の面から他方の面に貫通し、直径3mm以上の貫通孔を複数有する発泡体とを含む積層体であることを特徴とする家畜用サポーター。
  2. 前記tanδの最大値が、0.5以上5.0未満である請求項1に記載の家畜用サポーター。
  3. 前記熱可塑性エラストマー組成物シートは、下記要件(i)及び(ii)を満足すると共に、下記(a)〜(d)の少なくとも1以上を満足する4−メチル−1―ペンテン・α−オレフィン共重合体(A)と;オレフィン系樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、および熱可塑性エラストマー組成物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有する熱可塑性エラストマー組成物シートである請求項1または2に記載の家畜用サポーター。
    (i)−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδが最大値のときの温度:0℃以上、45℃未満
    (ii)−40℃〜150℃の範囲において周波数10rad/sで動的粘弾性を測定して得られる損失正接tanδの最大値:1.0以上、5.0未満
    (a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、α−オレフィン(ただし、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位(ii)との合計を100モル%とした場合、構成単位(i):60〜90モル%と、構成単位(ii):40〜10モル%
    (b)4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)をデカリン中135℃で測定した極限粘度[η]:0.1dL/g以上、5.0dL/g以下
    (c)4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)をゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(Mw/Mn):1.0以上、3.5以下
    (d)4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A−1)の密度(ASTM D 1505にて測定):830kg/m 3 以上、870kg/m 3 以下
  4. 前記積層体は、前記熱可塑性エラストマーと前記発泡体が熱可塑性粘着剤を介して積層されたものである請求項1〜のいずれかに記載の家畜用サポーター。
  5. 家畜脚関節用保護具であって、
    前記保護具は、
    前記脚関節を保護するサポーターを設けた保護部と、
    前記保護部を挟んで家畜脚の上側及び下側に前記保護具を取り付ける装着部と、
    前記サポーターを収納する収納スペースとを有し、
    前記保護部下端から前記保護具の下端までの長さが、前記保護部上端から前記保護具の上端までの長さよりも長いことを特徴とする家畜脚関節用保護具。
  6. 前記家畜脚関節用保護具は前記保護部と、前記上側装着部と、前記下側装着部とが一体的に形成されているものである請求項5に記載の家畜脚関節用保護具。
  7. 前記サポーターは請求項1〜4のいずれかに記載のサポーターである請求項5または6に記載の家畜脚関節用保護具。
  8. 前記家畜は牛である請求項5〜7のいずれかに記載の家畜脚関節用保護具。
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