JP2020125420A - 熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】成形加工性、耐熱性および高温での引張特性などに優れるとともに、真空成形時、特に凸引き真空成形時のシボ残り性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。【解決手段】セルロースナノ繊維(A):1〜40質量部と、エチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物の動的架橋体(B):40〜90質量部と、酸変性ポリオレフィン(C):1〜40質量部(ただし(A)、(B)および(C)の合計量を100質量部とする。)とを含む熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物およびその用途に関する。
自動車のインストゥルメントパネル、ドアトリムなどの内装表皮材には、材料の軽量化が求められる観点からオレフィン系熱可塑性エラストマーが使われることがある。オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる内装表皮材用シートをインストゥルメントパネル、ドアトリムなどの形状に付形するには、真空成形、その中でも凸引き真空成形が一般的に行われている。凸引き真空成形はシボが彫刻されていない型を使用し、シボが予め付与されたシボ付きシートを、シボ付き面側を表側にして真空吸引により型に密着させて付形するため、シボ付けされた装飾模様が崩れやすい。特に、オレフィン系熱可塑性エラストマーは軟質塩化ビニル樹脂に比べて真空成形時、特に凸引き真空成形時にシボ付けされた装飾模様が崩れやすく、シボ残り性に劣る傾向にあるので、その改良が強く求められている。
シボ残り性を改良したオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、特開平6−71751号公報(特許文献1)には、100℃ムーニー粘度が80〜350のオレフィン系共重合体ゴム、油展オレフィン系共重合体ゴムおよびオレフィン系重合体からなる混合物を部分架橋してなるオレフィン系熱可塑性エラストマーが記載されている。
特開平6−71751号公報
技術の豊富化の観点からは、シボ残り性を改良したオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、特許文献1に記載の材料とはまったく別の系の材料が求められる。
本発明の課題は、成形加工性、耐熱性および高温での引張特性などに優れるとともに、真空成形時、特に凸引き真空成形時のシボ残り性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびこの組成物を含む成形体、特に自動車内装表皮部材を提供することである。
本発明は、以下の[1]〜[3]に関する。
[1]
セルロースナノ繊維(A):1〜40質量部と、
エチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物の動的架橋体(B):40〜90質量部と、
酸変性ポリオレフィン(C):1〜40質量部(ただし(A)、(B)および(C)の合計量を100質量部とする。)と
を含む熱可塑性エラストマー組成物。
[2]
前記[1]の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
[3]
前記[1]の熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車内装表皮材。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形加工性、耐熱性および高温での引張特性、などに優れるとともに、真空成形時、特に凸引き真空成形時のシボ残り性に優れている。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、所定量のセルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)、および酸変性ポリオレフィン(C)を含んでいる。
<セルロースナノ繊維(A)>
セルロースナノ繊維(A)は、セルロースからなりナノメートルオーダーの平均繊維径を有する繊維である。
セルロースナノ繊維(A)は、パルプ繊維を機械的または化学的に解繊して得られる。原料となる繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
セルロースナノ繊維(A)の平均繊維径は、特に限定されないが、例えば、5nm〜500nmである。この平均繊維径の値は、電子顕微鏡(倍率:1万〜10万倍)で撮影した写真を用いて、目視により無作為に選択した100本の繊維の繊維径の単純平均(算術平均)を算出することにより求める。繊維径としては繊維断面の長径を用いる。
セルロースナノ繊維(A)の製造法としては、例えば特許第6419276号公報に記載の方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物におけるセルロースナノ繊維(A)の含有量は、セルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)の合計量を100質量部とすると、1〜40質量部、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。(A)セルロースナノ繊維(A)の含有量が上記範囲にあると、熱可塑性エラストマー組成物の高温時の機械強度が向上し、凸引き真空成形時のシボ形状が保持されやすくなる。
<動的架橋体(B)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分の一つである動的架橋体(B)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物を動的架橋して得られる組成物である。
動的架橋体(B)のショアA硬度(瞬間値)は、特に制限はないが、通常50〜90である。また、動的架橋体(B)のMFR(JIS K 7210、230℃、10kg荷重)は、特に制限はないが、通常1〜100g/10分である。
《エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]》
動的架橋体(B)の原料の一つであるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、通常、(a)エチレンから導かれる単位と、(b)α−オレフィンから導かれる単位とを、50/50〜95/5、好ましくは60/40〜80/20、更に好ましくは65/35〜75/25[(a)/(b)]のモル比で含む。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体[I]を構成するα−オレフィンは、通常、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体[I]を構成する非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ナノジエン等のトリエンなどが挙げられ、これら非共役ジエンは1種単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。これら非共役ジエンの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、通常、非共役ポリエン成分量の一指標であるヨウ素価が1〜50、好ましくは5〜40、更に好ましくは10〜30の範囲にある。また、非共役ジエン量の全成分量は、通常、[I]成分中の2〜20質量%の範囲にある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、通常、135℃、デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が1〜10dl/g、好ましくは1.5〜8dl/gの範囲にある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、その製造の際に軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤を配合した、いわゆる油展ゴムであってもよい。鉱物油系軟化剤としては、従来公知の鉱物油系軟化剤、例えばパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、通常、10〜250、好ましくは30〜150の範囲にある。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、1種単独で、または2種以上を用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]は、従来公知の方法により製造することができる。
《ポリオレフィン樹脂[II]》
動的架橋体(B)の原料の一つであるポリオレフィン樹脂[II]は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィンの単独重合体、あるいは2種以上のα−オレフィンの共重合体であって、通常、主たるα−オレフィンの含有量が90モル%以上の共重合体であり、融点(Tm)が70〜200℃、好ましくは80〜170℃の範囲にある。
ポリオレフィン樹脂[II]は、通常、実質的に主鎖に不飽和結合を有していない。
ポリオレフィン樹脂[II]は、1種単独で、あるいは2種以上を用いてもよい。
これらポリオレフィン樹脂[II]の中でも、プロピレン系重合体(II−1)、エチレン系重合体(II−2)が好ましい。
<プロピレン系重合体(II−1)>
前記プロピレン系重合体(II−1)は、プロピレンの単独重合体、あるいは、プロピレンと通常、10モル%以下の炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどとのランダム共重合体、あるいは、プロピレンの単独重合体と非晶性あるいは低結晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体とのブロック共重合体であり、通常、融点が120〜170℃、好ましくは145〜165℃の範囲にある。
プロピレン系重合体(II−1)は、通常、ポリプロピレン樹脂として、製造・販売されている。
プロピレン系重合体(II−1)は、立体構造としては、アイソタクチック構造が好ましいが、シンジオタクチック構造のものやこれらの構造の混ざったもの、あるいは、一部アタクチック構造を含むものも用いることができる。
プロピレン系重合体(II−1)は、通常、MFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg荷重)が0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にある。
プロピレン系重合体(II−1)は、種々公知の重合方法によって重合される。
<エチレン系重合体(II−2)>
前記エチレン系重合体(II−2)は、エチレンの単独重合体、あるいは、エチレンと10モル%以下の炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどとのランダム共重合体であり、通常、融点が80〜150℃、好ましくは90〜130℃の範囲にある。
エチレン系重合体(II−2)は、通常、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどとして、製造・販売されている。
エチレン系重合体(II−2)は、通常、MFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg荷重)が0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にある。
<架橋剤>
動的架橋体(B)の製造に用いられる架橋剤としては、例えば有機過酸化物、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤が挙げられ、中でも有機過酸化物が好ましく用いられる。
有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
中でも、臭気性、スコーチ安定性の点で2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン及びn-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
これら有機過酸化物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、及びポリオレフィン樹脂[II]の合計量100質量部に対して、通常、0.01〜15質量部、好ましくは0.03〜12質量部の割合で用いられる。有機過酸化物を前記割合で用いると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]の少なくとも一部が架橋された動的架橋体(B)が得られ、耐熱性、引張特性及びゴム弾性が十分な成形体が得られる。
<架橋助剤>
本発明においては、前記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート又はビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーからなる群から選択される架橋助剤を添加してもよい。このような架橋助剤を添加することにより、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]の均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、ジビニルベンゼンが、取扱い易く、前記被混合物の主成分たるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、及びポリオレフィン樹脂[II]との相溶性が良好であり、かつ前記有機過酸化物の可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と他の諸物性とがバランスよく優れた動的架橋体(B)が得られることから、最も好ましい。
架橋助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、及びポリオレフィン樹脂[II]の合計量100質量部に対して、通常、0.01〜15質量部、好ましくは0.03〜12質量部の割合で用いられる。
《軟化剤》
前記混合物には、動的架橋時の流動性や硬度の調整剤として軟化剤を添加してもよい。
軟化剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]、ポリオレフィン樹脂[II]を混合する前に予めこれらの少なくとも一方に注入する方法、またはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]の混合時に、もしくは混合物を動的架橋時に注入する方法により加える。その際、前記方法を1種単独で使用して、あるいは前記方法を併用して添加してもよい。
軟化剤としては、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、椰子油等の脂肪油系軟化剤;
トール油;
サブ(ファクチス);
蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸及び脂肪酸塩;
ナフテン酸;
パイン油、ロジン又はその誘導体;
テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;
マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水添末端変性ポリイソプレン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも、石油系軟化剤、特にプロセスオイルが好ましく用いられる。
軟化剤を加える場合は、軟化剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]100質量部に対して、通常、10〜200質量部、好ましくは15〜150質量部、更に好ましくは20〜80質量部の範囲で配合される。軟化剤を前記のような割合で用いると、得られる動的架橋体(B)は成形時の流動性に優れ、得られる成形体の機械的物性を低下させ難い。
《その他添加剤》
前記動的架橋体(B)には、必要に応じて、スリップ剤、核剤、充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、着色剤等の添加剤が、本発明の目的を損なわない範囲で配合されていてもよい。
前記核剤としては、非融解型及び融解型の結晶化核剤が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。非融解型の結晶化核剤としては、タルク、マイカ、シリカ、アルミニウムなどの無機物、臭素化ビフェニルエーテル、アルミニウムヒドロキシジ−p−tert−ブチルベンゾエート(TBBA)、有機リン酸塩、ロジン系結晶化核剤、置換トリエチレングリコールテレフタレート及びTerylene&Nylon繊維などが挙げられ、特にヒドロキシ−ジ−p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム、メチレンビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム塩、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ロジン系結晶化核剤が望ましい。融解型の結晶化核剤としては、ジベンジリデンソルビトール(DBS)、置換DBS、低級アルキルジベンジリデンソルビトール(PDTS)、などのソルビトール系の化合物が挙げられる。
前記スリップ剤としては、例えば脂肪酸アミド、シリコーンオイル、グリセリン、ワックス、パラフィン系オイルなどが挙げられる。
前記充填剤としては、従来公知の充填剤、具体的には、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、ケイソウ土、シリカ、アルミナ、グラファイト、ガラス繊維などが挙げられる。
(動的架橋体(B)の製造方法)
本発明に用いられる動的架橋体(B)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物、好ましくはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを[I]/[II](質量比)が90/10〜5/95、より好ましくは70/30〜10/90の範囲で含む混合物、あるいは、前記混合物において必要に応じて前記軟化剤など所定量含む混合物を動的架橋することにより得られる。動的架橋を行う際には、前記架橋剤の存在下、あるいは前記架橋剤と前記架橋助剤の存在下に、動的に熱処理するのがよい。
ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、ポリオレフィン樹脂[II]の融点から300℃の範囲であり、通常150〜270℃、好ましくは170℃〜250℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で表すと通常10〜50,000s-1、好ましくは100〜10,000s-1の範囲にある。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸又は二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
本発明によれば、上述した動的な熱処理によって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]の少なくとも一部が架橋された動的架橋体(B)が得られる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における動的架橋体(B)の含有量は、セルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)の合計量を100質量部とすると、40〜90質量部、好ましくは50〜90質量部、より好ましくは60〜90質量部である。動的架橋体(B)の含有量が上記範囲にあると熱可塑性エラストマー組成物の高温時の機械強度が向上し、凸引き真空成形時のシボ形状が保持されやすくなる。
<酸変性ポリオレフィン(C)>
本発明において、(C)酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンを酸変性することにより得られる。ポリオレフィンの変性方法としては、グラフト変性や共重合化がある。
変性対象であるポリオレフィンとしては、特に制限はないが、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブテン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエチルブテン−1、プトピルペンテン−1、デセン−1、メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチルヘプテン−1、エチルオクテン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン−1、ドデセン−1およびヘキサドデセン−1等のα−オレフィンの単独重合体、あるいは、これらα−オレフィンの任意の2種以上を原料モノマーとする共重合体を挙げることができる。これらの中でも、プロピレンを全モノマーの50モル%以上含むプロピレン系重合体が好ましく、プロピレンの単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体がより好ましい。さらにこれらの中でも、前記したプロピレン系重合体(II−1)が好ましい。
変性に用いる変性剤には不飽和カルボン酸およびその誘導体などがある。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ナジック酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、フタル酸等が挙げられる。また、その誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等がある。例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水フタル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノエチルエステル、アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
溶融混練過程で酸変性する場合は、ポリプロピレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体を、有機過酸化物と共に押出機中で混練することにより、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト共重合し変性する。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ビス(t−ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等を挙げることができる。
変性量は特に制限されないが、酸変性ポリオレフィン(C)中のポリオレフィン100質量部に対し、変性剤に由来する構造が0.5〜5.0質量部含まれることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン(C)のMFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg荷重)は0.1〜100g/10分であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における酸変性ポリオレフィン(C)の含有量は、セルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)の合計量を100質量部とすると、1〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。酸変性ポリオレフィン(C)の含有量が上記範囲にあると熱可塑性重合体組成物の高温時の機械強度が向上し、凸引き真空成形時のシボ形状が保持されやすくなる。
<任意成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、セルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)以外の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
任意成分としては、結晶性ポリオレフィン樹脂(D)、スリップ剤、核剤、充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、着色剤などが挙げられる。
《結晶性ポリオレフィン樹脂(D)》
結晶性ポリオレフィン樹脂(D)としては炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンの1種または2種以上を重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物が制限なく使用できる。共重合体の場合、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。重合法は高圧法または低圧法の何れでもよい。このような樹脂としては、例えばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂が挙げられる。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。結晶性ポリオレフィン樹脂(D)は1種単独で用いてもよく、また2種以上組み合せて用いてもよい。
結晶性ポリオレフィン樹脂(D)を構成するα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。結晶性ポリオレフィン樹脂(D)としては、プロピレン系重合体(II−1)およびエチレン系重合体(II−2)に属するものを使用することもできる。
結晶性ポリオレフィン樹脂(D)としては、MFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg荷重)が0.05〜100g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分であるものが望ましい。特に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブテン−1などが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における結晶性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量は、セルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)の合計量100質量部に対して好ましくは20〜200質量部、より好ましくは20〜120質量部である。結晶性ポリオレフィン樹脂(D)を上記割合で配合することにより、熱可塑性エラストマー組成物の流動性および耐熱性を向上させ、シート成形性を向上させることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂(D)以外の任意成分としては、例えばスチレン系エラストマーなどが挙げられる。
(熱可塑性エラストマー組成物)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上述したセルロースナノ繊維(A)、動的架橋体(B)および酸変性ポリオレフィン(C)、ならびに任意に上記任意成分を、上述した割合で混合することにより製造できる。
混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は成形加工性、耐熱性および高温での引張特性などに優れるとともに、真空成形時、特に凸引き真空成形時のシボ残り性に優れている。このため本発明の熱可塑性エラストマー組成物は上記の特性が要求される分野に好適に使用でき、特にシートまたは自動車内装表皮材の原料として好適に使用できる。
本発明のシートは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるシートであり、通常表面にシボ付けされて用いられる。本発明のシートは、常法に従って、T−ダイ付き押出成形機、カレンダー成形機等のプラスチック加工機により成形することができる。シボ付けは公知の方法により行うことができ、例えばシート成形時にシボロールとピンチロールとの間を通すことにより行うことができる。
<熱可塑性エラストマー組成物の用途>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、種々公知の成形方法、具体的には、例えば、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形等の各種の成形方法により成形体とすることができる。更に、前記成形方法で得られたシートなど成形体を熱成形などで二次加工、あるいは、他の材料と積層して成形体とすることができる。
前記シートに積層し得る基材としては、布、樹脂、ゴム、木材などが挙げられる。具体的には、布としては、綿、麻、羊毛、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アラミド、炭素系などの各繊維の織物、編み物、不織布などが挙げられる。樹脂では、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂、ゴムでは、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー(加硫ゴム)などのフィルム或いはシートが好適である。積層は、通常、接着剤を介して行うが、ポリエチレン、或いはポリプロピレンとの積層の場合には、接着剤を使用せず、熱融着による積層も可能である。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は特にその使用用途を限定されるものではないが、例えば、自動車部品、土木・建材用品、電気・電子部品、衛生用品、フィルム・シート、発泡体、人造皮革など種々公知の用途に好適であり、特に自動車内装材などの自動車部品、人造皮革などの表皮材に好適である。
<自動車部品>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体の使用し得る自動車部品としては、例えば、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド 、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、各種パッキン類、バンパー部品、ボディパネル、サイドシールド、グラスランチャンネル、インストルメントパネル表皮、ドア表皮、天井表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ブーツ、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバー等を例示できる。
<土木・建材用品>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の使用し得る土木・建材用品としては、例えば、地盤改良用シート、上水板、騒音防止壁等の土木資材や建材、土木・建築用各種ガスケット及びシート、止水材、目地材、建築用窓枠などを例示できる。
<電気・電子部品>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の使用し得る電気・電子部品としては、例えば、電線被覆材、コネクター、キャップ、プラグ等の電気・電子部品などを例示できる。
<生活関連用品>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の使用し得る生活関連用品としては、スポーツシューズソール、スキーブーツ、テニスラケット、スキー板のビンディング、バットグリップなどのスポーツ用品、ペングリップ、歯ブラシグリップ、ヘアブラシ、ファッションベルト、各種キャップ、靴インナーソールなどの雑貨用品などを例示できる。
<フィルム・シート>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の使用し得るフィルム・シートとしては、例えば、輸液バッグ、医療容器、自動車内外装材、飲料ボトル、衣装ケース、食品包材、食品容器、レトルト容器、パイプ、透明基板、シーラントなどを例示できる。
<人造皮革>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物成形体の使用し得る人造皮革としては、例えば、椅子表皮、鞄、ランドセル、陸上競技用シューズやマラソンシューズ、ランニング用シューズなどのスポーツ用シューズ、ジャンバー、コートなどのウェア、帯、襷、リボン、手帳カバー、ブックカバー、キーホルダー、ペンケース、財布、名刺入れ、定期入れなどを例示できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における物性値は、以下の方法により測定した。
MFR;
JIS K−7210に準拠して、測定を行った。
硬度;
JIS K−6253、JIS Z2245に準拠して、測定を行った。
引張試験;
JIS K6251に準拠して、JIS 3号ダンベルを用い、測定温度140℃、引張速度500mm/分の条件で測定を行い、以下の物性値を求めた。
M100:100%伸び時の応力
TB:引張強さ
EB:引張破断点伸び
実施例または比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットをダイ温度210℃に設定したTダイ付き押出シート成形機で押出し、ダイス直後に設置されたシボロール(ロール温度90℃)とピンチロールとの間を通して、特開2001−200116号公報の図2に示すシボを有するシボ付きシートを得た。このシボ付きシートの厚さは0.5mmであり、シボの最大深さは320μmである。このシボ付きシートから35×35cmのサンプルを切り取り、特開2001−200116号公報の図1に示す金型を用いて、サンプルの温度が140℃の条件で、金型側から真空吸引してサンプルを金型に密着させることにより凸引き真空成形を行った。
次に、このシートを布施真空(株)製真空圧空成形機CUPF−1115および最大展開率150×150%の成形用金型を用い、表面温度140℃で凸引き真空成形を行った。
得られた成形品について、シボ残り性を5点満点の評点で評価した。結果を表1に示す。
5点:シボパターンが成形前と殆ど変化していない。
4点:シボパターンが成形前に比べてわずかに薄くなっている。
3点:シボパターンが成形前に比べてやや薄くなっている。
2点:シボパターンが成形前に比べてかなり薄くなっている。
1点:シボパターンが成形前に比べて非常に薄くなっており、消えかかっている。
[実施例1]
表1に記載された割合の下記成分(A)〜成分(D−2)を常法により混合し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。熱可塑性エラストマー組成物の評価結果を表1に示す。
成分(A):以下の方法で製造したセルロースナノ繊維;
リンターパルプを裁断後、オートクレーブを用いて、120℃以上の熱水中で3時間加熱し、ヘミセルロース部分を除去した精製パルプを、圧搾、純水中に固形分率が1.5重量%になるように叩解処理により高度に短繊維化およびフィブリル化させた後、そのままの濃度で高圧ホモジナイザー(操作圧:85MPaにて10回処理)により解繊することにより解繊セルロースを得た。ここで、叩解処理においては、ディスクリファイナーを用い、カット機能の高い叩解刃で4時間処理した後に解繊機能の高い叩解刃を用いてさらに1.5時間叩解を実施し、平均繊維径=90nmのセルロースナノ繊維を得た。
成分(B):動的架橋体;三井化学(株)製、ミラストマー5030NHS、ショアA硬度52、MFR(JIS K 7210、230℃、10kg荷重)=4.5g/10分。(オレフィン系ゴム(EPT)、オレフィン系樹脂(PP)を主成分とした架橋タイプの熱可塑性エラストマーである。)
成分(C):無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ケムチュラジャパン株式会社製 製品名:ポリボンドPB3200)、酸変性基含有量:0.4質量%
成分(D−1):ポリプロピレン、ロックウェル硬さR88、MFR(JIS K 7210、230℃、2.16kg荷重)=1.5g/10分。
成分(D−2):ポリエチレン、ショアD硬度50、MFR(JIS K 7210、190℃、2.16kg荷重)=2.0g/10分。
[実施例2、比較例1〜4]
各成分の配合量を表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物を得た。熱可塑性エラストマー組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 2020125420

Claims (3)

  1. セルロースナノ繊維(A):1〜40質量部と、
    エチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[I]とポリオレフィン樹脂[II]とを含む混合物の動的架橋体(B):40〜90質量部と、
    酸変性ポリオレフィン(C):1〜40質量部(ただし(A)、(B)および(C)の合計量を100質量部とする。)と
    を含む熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
  3. 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる自動車内装表皮材。
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JP2023008141A (ja) * 2021-07-05 2023-01-19 株式会社金陽社 ロール用ゴム加硫物及びその製造方法

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