以下、本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の一実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、概略、撮像素子21を有し、この撮像素子21によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を表示装置28にライブビュー表示する。撮影時には、撮影者はライブビュー表示を観察し、構図やシャッタチャンスを決定する。操作部30中のレリーズ釦の半押しがなされると、コントラストAFによって撮影レンズ1の自動焦点調節を行い、さらにレリーズ釦の全押しがなされると撮影を行う。撮影時に得られた画像データを画像処理回路26によって画像処理し、画像処理した画像データをメモリ31に記録する。
また、本実施形態におけるカメラは、画像データから輝度を表す輝度評価値を算出し、この輝度評価値に基づいて焦点評価値を補正して補正焦点評価値を算出し、この補正焦点評価値に基づいて第1の合焦位置を算出する(例えば、図3のS13a、図4のS41Th1未満→S43Th2以上、図3のS23→S29、S25→S39、図4のS49、図12−14等参照)。また、輝度評価値の極小に基づいて第2の合焦位置を算出する(例えば、図4のS41Th1以上→S45→S53、図15等参照)。また、輝度評価値に基づいて光源フリッカの影響が大きいと判定する場合に(例えば、図3のS23「真」、S25の「真」)、第2の合焦位置の算出を禁止する、または第2の合焦位置の算出の出力に基づく焦点制御動作を禁止する(例えば、図4のS53による合焦を実行しない等)。
図1は、本実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。このカメラのフォーカスレンズ11の光軸上に、絞り12と撮像素子21が配置されている。撮像素子21の出力は撮像制御・信号処理回路22に接続され、撮像制御・信号処理回路22の出力は、コントラストAF評価位置算出回路23、AE評価値算出回路25、画像処理回路26、およびカメラ側CPU(Central Processing Unit)27に接続されている。また、カメラ側CPU27には、レンズ側CPU15が接続され、レンズ側CPU15には、モータドライブ回路14、レンズ/絞り駆動モータ13が順次直列に接続されている。またカメラ側CPU27には、表示装置28、記録装置29、操作部30、メモリ31が接続されている。
フォーカスレンズ11は、被写体光束を撮像素子21に集光させ、被写体像を結像させるための光学系である。このフォーカスレンズ11は、カメラ側CPU27からの指示に応じて動作するモータドライブ回路14によって駆動されるレンズ/絞り駆動モータ13により光軸方向に移動され、焦点状態が変化する。なお、光学系として、単焦点光学系のみならず、可変焦点光学系(ズームレンズ光学系)を採用してもよい。
絞り12は、開口径が変化によって、撮像素子21に到達する被写体光束の光量を調節する。この絞り12は、カメラ側CPU27からの指示に応じて動作するモータドライブ回路14によって駆動されるレンズ/絞り駆動モータ13により開口径(絞り値)が変化する。なお、本実施形態においては、適正露光を得るための露出制御は、絞り12の絞り値、撮像素子21の電子シャッタ速度、ISO感度によって行うが、これ以外にもメカニカルシャッタ等を設けて、露出制御を行うようにしてもよい。
レンズ/絞り駆動モータ13は、フォーカスレンズ11の駆動機構を介してフォーカスレンズ11の光軸方向への駆動を行い、また絞り12の駆動機構を介して絞り12の開口量を変化させる。モータドライブ回路14は、レンズ/絞り駆動モータの駆動制御を行う。レンズ側CPU15は、メモリに記憶されたプログラムに従い、カメラ側CPU27の指示に応じて、レンズ側の各部(例えば、モータドライブ回路14)の制御を行う。従って、フォーカスレンズ11駆動位置と絞り12の開口量は、カメラCPU27からの指示に応じて、制御される。
撮像素子21は、前面に配置されたベイヤ―配列のカラーフィルタと、このカラーフィルタに対応して配列されたフォトダイオード等の光電変換素子から構成される。各カラーフィルタとこれに対応する各光電変換素子によって各画素が、また画素群によって撮像領域が構成される。
撮像素子21は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等であり、フォーカスレンズ11により集光された光を各画素で受光し光電流に変換し、この光電流をコンデンサ(フローティングディフュージョン)で蓄積し、アナログ電圧信号(画像信号)として撮像制御・信号処理回路22に出力する。この撮像素子21は、フォーカスレンズを含む撮像光学系を介して被写体像を撮像して画像データを生成する撮像素子として機能する。
なお、撮像素子21に、位相差画素が所定間隔で配置するようにしてもよい。位相差画素は、撮影光軸に対して右側または左側(または上側または下側)からの被写体光束のみに基づいて光電変換を行う。位相差画素を設ける場合には、位相差AFデフォーカス量算出回路を設け、算出された位相差AFデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ11の移動制御を行えばよい。
撮像制御・信号処理回路22は、撮像素子21における電荷蓄積制御(光電流の蓄積制御)を行い、撮像素子21からの画像信号の読み出し制御を行う。また、撮像制御・信号処理回路22は、撮像素子21から出力される画像信号を増幅し、アナログデジタル(AD)変換等の信号処理を行う。
コントラストAF評価値算出回路23は、撮像制御・信号処理回路22から画像信号を入力し、予め定められている焦点検出のための検出領域の画像のコントラストに相当する値を算出する。コントラストの算出にあたっては、画像データの高周波成分を抽出すればよいことから、デジタルハイパスフィルタ等を用いて算出する。コントラストAF評価値算出回路23は、画像データに基づいてコントラストを示す焦点評価値をフォーカスレンズのレンズ位置毎に算出する焦点評価値算出手段として機能する。
AE評価値算出回路25は、撮像制御・信号処理回路22から出力される画素信号に基づいて、AE評価値(輝度評価値)を算出する。このAE評価値は、コントラストAFによる焦点検出のための検出領域と略同じ領域の画像データに基づいて、輝度値の積算値または平均値等である。AE評価値算出回路25は、画像データに基づいて輝度を示す輝度評価値をフォーカスレンズのレンズ位置毎に算出する輝度評価値算出手段として機能する。
また、AE評価値算出回路25は、飽和画素カウント値を算出する。この飽和画素カウント値は、AD変換された画素信号の値がデジタル値の飽和値近傍の値となっている画素の数をカウントする。なお、飽和画素カウント値は、カメラ側CPU27が、撮像制御・信号処理回路22からの画素信号に基づいて算出してもよい。AE評価値算出回路25は、画像データに基づいて飽和画素の数を示す飽和画素カウント値を上記フォーカスレンズのレンズ位置毎に算出する飽和画素カウント手段として機能する。
画像処理回路26は、撮像制御・信号処理回路22から出力される画素信号を入力し、種々の画像処理、例えば、ホワイトバランス補正処理、同時化処理、色変換処理等の画像処理を施す。また、画像処理回路26は、画像データに基づいて、画面中に人物の顔の部分が存在するか否かの顔検出を行う。さらに、画像処理回路26は、記録装置29に記録する際に画像圧縮を行い、メモリ31から読み出した圧縮された画像データの伸張を行う。
なお、コントラストAF評価位置算出回路23、AE評価値算出回路25、画像処理回路26は、本実施形態に示すようなハードウエア回路以外にも、カメラ側CPU27によってソフトウエアによって同等の機能を実行するようにしてもよく、デジタル信号プロセッサ(DSP)等の汎用の信号処理プロセッサに展開する構成であってもよい。
表示装置28は、カメラ本体の背面等に配置された液晶モニタ等や、接眼部を介して観察可能な電子ビューファインダ(EVF)等である。この表示装置28には、メニュー表示、ライブビュー表示、記録済み画像の再生表示等、種々の表示が行われる。
記録装置29は、例えば、カメラ本体に着脱自在に記憶媒体であり、画像処理回路26において圧縮された画像データおよびその付随データが記録される。なお、画像データ等を記録するための記録媒体として、カメラ本体に着脱可能な外部メモリに限らず、カメラ本体に内蔵のハードディスク等の記録媒体であってもかまわない。
操作部30は、電源釦、レリーズ釦、各種入力キー等の操作部材である。ユーザが操作部30のいずれかの操作部材を操作すると、カメラ側CPU27は、ユーザの操作に応じた各種シーケンスを実行する。操作部30の内のレリーズ釦は、1stレリーズスイッチと2ndレリーズスイッチの2段スイッチを有している。レリーズ釦が半押しされると1stレリーズスイッチがオンとなり、半押しから更に押し込まれ全押しされると2ndレリーズスイッチがオンとなる。1stレリーズスイッチがオンとなると、カメラ側CPU27は、AE処理やAF処理等撮影準備シーケンスを実行する。また2ndレリーズスイッチがオンとなると、カメラ側CPU27は、撮影シーケンスを実行し、撮影を行う。
メモリ31は、電気的に書き換え可能な揮発性メモリを有し、演算処理に当たっての画像データや各種データ等を一時記憶する。また、メモリ31は不揮発性メモリを有し、カメラ側CPU27におけるプログラムや、カメラの各種調整値を記憶する。
カメラ側CPU27は、CPU(Central Processing Unit)とその周辺回路等を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)で構成される。CPUはメモリ31に記憶されたプログラムに従って、カメラ内の各部を制御することによってカメラの全体を実行する。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値に基づいて、焦点評価値を補正して補正焦点評価値を算出し、この補正焦点評価値に基づいて第1の合焦位置を算出する第1の合焦位置算出手段として機能する(例えば、図3のS13a→S23→S27→S29、S25→S31→S37、図7−10、13等参照)。カメラ側CPU27は、輝度評価値の極小に基づいて第2の合焦位置を算出する第2の合焦位置算出手段として機能する(例えば、図4のS41Th1以上→S45→S53、図15等参照)。
また、カメラ側CPU27は、レンズ画像CPU15等と協働して、フォーカスレンズを合焦位置に移動させるようにフォーカスレンズの位置を制御する焦点制御手段として機能する(図2のS17等参照)。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値に基づいて光源フリッカの影響が大きいと判定する場合(例えば、図3のS23「真」、S25「真」の場合)に、第2の合焦位置算出手段の動作を禁止する、または第2の合焦位置算出手段の出力に基づく焦点制御手段の動作を禁止する禁止手段(例えば、図4のS53による合焦位置の採用を行わない)として機能する。
また、カメラ側CPU27は、飽和画素カウント値の極小に基づいて第3の合焦位置を算出する第3の合焦位置算出手段として機能する(例えば、図4のS53、図16等参照)。上述の禁止手段は、輝度評価値に基づいて光源フリッカの影響が大きいと判定する場合に、第3の合焦位置算出手段の動作を禁止する、または第3の合焦位置算出手段の出力に基づく上記焦点制御手段の動作を禁止する(例えば、例えば、図4のS53による合焦位置の採用を行わない)。
また、上述の禁止手段は、上記焦点評価値がピークとなるレンズ位置を含むレンズ位置の所定の範囲内の輝度評価値にて、焦点評価値がピークとなるレンズ位置の輝度評価値が最小値ではない場合に、光源フリッカの影響が大きいと判定する(例えば、図3のS23の「真」等参照)。
また、上述の禁止手段は、焦点評価値がピークとなるレンズ位置の輝度評価値が、所定範囲の両端のレンズ位置の輝度評価値の少なくとも一方よりも大きい場合に、光源フリッカの影響が大きいと判定する(例えば、図3のS25の「真」等参照)。
また、上述の禁止手段は、所定範囲にてレンズ位置に応じて輝度評価値が増加から減少に変化する回数が所定値より多い場合に、光源フリッカの影響が大きいと判定する(例えば、図3のS25の「真」、図9−図11等参照)。
また、上述の禁止手段が、光源フリッカの影響が大きいと判定する場合に、第1の合焦位置算出手段は、焦点評価値のピークに対応する輝度評価値が所定範囲内で極小値である場合に、輝度評価値のフリッカ成分を除去する処理を行って補正輝度評価値を算出し、この補正輝度評価値に基づいて、再度、焦点評価値を補正して補正焦点評価値を算出する(例えば、図3のS37、S39、図9、図12等参照)。
また、上述の禁止手段が、光源フリッカの影響が大きいと判定する場合に、第1の合焦位置算出手段は、焦点評価値のピークに対応する輝度評価値が所定範囲内で極小値ではなく、かつ、焦点評価値のピークとなるレンズ位置が複数ある場合に、輝度評価値のフリッカ成分を除去する処理を行って補正輝度評価値を算出し、この補正輝度評価値に基づいて、再度、焦点評価値を補正して補正焦点評価値を算出する(例えば、図3のS37、S39、図10、図13等参照)。
また、上述の禁止手段が、光源フリッカの影響が大きいと判定する場合に、第1の合焦位置算出手段は、焦点評価値のピークとなるレンズ位置が複数ある場合に、この複数のピークに対応する焦点評価値の最大値と2番目に大きい焦点評価値の間の極小位置に基づいて合焦位置を演算する(例えば、図3のS27、S29、図8等参照)
次に、本実施形態における動作を図2に示すフローチャートを用いて説明する。図2に示すフローチャートは、カメラ制御のフローの内、カメラの電源がオンとなり、レリーズ釦の半押しがなされた際に行うコントラストAFによる自動焦点調節の動作を抽出して示している。自動焦点調節の動作以外は通常のカメラ制御であることから、図2に示すフローでは省略してある。
操作部30の電源釦がオンとなると、図2に示すフローの動作が開始する。まず、撮影待機状態となり、ライブビュー表示がなされる(S1)。ここでは、撮像素子31によって取得され、撮像制御・信号処理回路22から出力された画像信号を、画像処理回路26がライブビュー表示用に画像処理を行う。この画像処理が施された画像データに基づいて、カメラCPU27は表示装置28にライブビュー表示を行わせる。
ライブビュー表示を行うと、次に、1stレリーズ入力が有るか否かについて判定する(S3)。操作部30のレリーズ釦の半押しがなされると、1stレリーズスイッチがオンとなることから、このステップでは、1stレリーズスイッチのオンオフ状態に基づいて判定する。この判定の結果、1stレリーズ押下げではなかった場合には、1stレリーズ押下げがあるまで待機状態となる。
ステップS3における判定の結果、1stレリーズ入力があった場合には、AF用露出設定を行う(S5)。ここでは、コントラストAFによって自動焦点調節を行うにあたって最適の露出制御となるように露出、例えば、電子シャッタ速度値、絞り値、ISO感度等の少なくとも1つの設定を行う。
AF用露出設定を行うと、次に、初期位置駆動を行う(S7)。ここでは、カメラ側CPU27は、レンズ側CPU15、モータドライブ回路14、レンズ/絞り駆動モータ13によって、フォーカスレンズ11を初期位置に移動させる。初期位置としては、次のステップS9においてスキャン(走査)動作を開始する位置であり、スキャン動作の移動範囲の端部が望ましい。
初期位置駆動を行うと、次に、スキャン駆動を開始する(S9)。ここでは、カメラ側CPU27は、レンズ側CPU15を介して、モータドライブ回路14に対してレンズ/絞り駆動モータ13を所定の方向(至近端側または無限遠側)に駆動するように指示する。スキャン駆動を開始すると、フォーカスレンズ11を移動させ、所定量だけ移動させる毎に、コントラスト評価値、輝度評価値、飽和画素カウント値を算出する。すなわち、コントラスト評価値算出回路23がコントラスト評価値を算出し、AE評価値算出回路25が輝度評価値と飽和画素カウント値をそれぞれ算出する。
スキャン駆動を開始すると、次に、方向判断を行う(S11)。前述したように、ステップS9においてスキャン駆動を開始すると、フォーカスレンズ11を移動させながらコントラスト評価値を算出している。このステップでは、コントラスト評価値に基づいて、フォーカスレンズの駆動方向を判断する。すなわち、コントラスト評価値が増加していれば、フォーカスレンズ11の移動方向を維持し、一方、コントラスト評価値が減少していれば、フォーカスレンズ11の移動方向を反転させる。
方向判断を行うと、次に、ピーク検出を行う(S13)。フォーカスレンズ11を移動させるとAF評価値が変化する。このステップでは、AF評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を検出する。すなわち、フォーカスレンズ11の移動方向が反転した前後にAF評価値のピーク値に対応するフォーカスレンズ11の位置(これをピーク位置という)があるので、この前後のAF評価値を用いて仮のピーク位置を検出する。
本実施形態においては、仮のピーク位置を検出すると、被写体が点光源か否かを判定し、点光源の場合には、フリッカ光源であるかを判定し、また輝度評価値を用いて、真のピーク位置を求める。この処理については、図3および図4を用いて後述する。
ピーク検出を行うと、次に合焦位置算出を行う(S15)。ここでは、ステップS13において、算出したピーク位置を用いて、フォーカスレンズ11の合焦位置を算出する。合焦位置を算出すると、次に、合焦位置へ駆動する(S17)。ここでは、カメラ側CPU27が、ステップS15において算出した合焦位置に、レンズ側CPU15を介して、モータドライブ回路14によって、フォーカスレンズ11を移動させる。フォーカスレンズ11が合焦位置に到達すると、本フローを終了する。
次に、図5および図6を用いて、点光源の場合の合焦位置を検出する際に、点光源にフリッカが生じていない場合とフリッカが生じている場合について説明する。
図5は、点光源にフリッカが生じていない場合を示し、横軸はフォーカスレンズ11の位置を示し、縦軸は評価値を示す。この場合には、フォーカスレンズ11を無限遠から至近側に向けて移動させるに従って、AF評価値は次第に増加し、AF評価値ピーク(図中、●で示す)を超えると、次第に低下する。一方、輝度評価値は、適正判定開始時の輝度評価値(図中、□で示す)から次第に低下し、AF評価値ピークの輝度評価値(図中、△で示す)で極小値を超えると、次第に増加する。このように、フリッカがない場合には、AF評価値のピークにおけるフォーカスレンズ位置と輝度評価値の極小値のフォーカスレンズ位置は一致する。なお、評価値の大小関係は、□>○>△となっている。
図6は、点光源にフリッカが生じている場合を示す。図6において、横軸はフォーカスレンズ11の位置を示し、縦軸は評価値を示す。AF評価値Vafは、コントラストAF評価値算出回路23によって算出された値である。また、輝度評価値Vaeは、AE評価値算出回路25によって算出された値である。輝度評価値Vaeは、フリッカが発生していることから、評価値が鋸歯波のように、変動している。
図6に示す例においては、点光源適正判定範囲Rは、フォーカスレンズ位置P1〜P5の範囲であり、この間において、点光源の影響の度合や合焦位置を判定する。また、点光源適正判定範囲は、後述するピーク検出(S13a)、AF評価値再補正(S39)にてAF評価値に対して点光源補正を施す範囲である。AF評価値Vafは、フォーカスレンズ位置P2においてピークとなっている(図6中、黒丸で示す)。一方、輝度評価値Vaeは、点光源適正判定範囲R1内において、フォーカスレンズ位置P4において極小値となり(図6中、黒四角で示す)、またフォーカスレンズ位置P3、P5が、前後の輝度評価値となっている(図6中、白四角で示す)。なお、図6中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、■(黒四角)は輝度評価値極小値を、また□(白四角)は輝度評価値の極小値前後評価値を表す。
図6に示す例のように、AF評価値Vafのピークと、輝度評価値Vaeの極小値のずれ量が大きい場合には、例えば、AF評価値のピーク位置の信頼性が低いと判断して輝度評価値Vaeの極小値(フォーカスレンズ位置P4に対応)で合焦位置演算を行うことになる。しかしながら、輝度評価値はフリッカの影響を受けており、輝度評価値の極小値も信頼性が低く、フォーカスレンズ位置P4を合焦位置として焦点調節を実行すると偽合焦となる。また、AF評価値のピークはフォーカスレンズ位置P2にあるが、後述するように、このAF評価値のピークは、点光源適正判定範囲においてフリッカの影響を受け変動している輝度評価値に基づいて補正されたAF評価値から求められたピークである。したがって、フォーカスレンズ位置P2を合焦位置として焦点調節を実行すると、偽合焦となってしまう。
そこで、本実施形態においては、フリッカが発生している場合であっても偽合焦位置ではなく、真の合焦位置を、図3および図4に示すフローチャートを用いて算出するようにしている。なお、このフローチャートは、図2におけるステップS13〜S17のピーク検出〜合焦位置駆動の詳しい動作に相当する。
図3に示すピーク検出〜合焦位置駆動のフローに入ると、まず、ピーク検出を行う(S13a)。ここでは、コントラストAF評価値がピークとなるフォーカスレンズ11の位置を求め仮のピーク位置を検出する。ピーク検出の詳細は、特許文献1に記載されている手法を用いて点光源に対するピーク位置の検出を実行する。
AFval=(AEvalStd/AEval)n*AFvalOrg
・・・(1)
ここで、AFvalは補正後のAF評価値、AEvalは輝度評価値、AEvalStdは基準AE補正値、nは強弱係数、AFvalOrgは補正前のAF評価値を示す。被写体の状況に応じてAEvalStd、nを設定する。
所定のフォーカスレンズ位置の範囲について、式(1)によるAF評価値の補正を行う。被写体が点光源と判別する場合は、強弱係数nの値をより大きくして強めの補正を行い(通常n=1に対して例えばn=3)、このような処理を点光源補正と称するものとする。ステップS13aにおいては、このような点光源補正を行い、点光源補正が施されたAF評価値AFvalに基いて仮のピーク位置を検出する。
仮のピーク位置を検出すると、次に、画素飽和を検出したか否かについて判定する(S21)。被写体が点光源であると、撮像素子21の画素の中で、画素値が飽和するものがある。前述したように、ステップS9において、フォーカスレンズ11の位置毎に飽和画素カウント値を算出しているので、この飽和画素カウント値が所定数以上有るか否に基づいて判定する。この判定の結果、飽和画素が検出されなかった場合には、ステップS15に進み、コントラストAF評価値算出回路23によって算出されたAF評価値に基づいて合焦位置の算出を行う。
ステップS21における判定の結果、画素飽和していた場合には、ステップS23およびS25において、点光源にフリッカが発生しているか(すなわち、点滅しているか)を判定する点光源フリッカ判定を行う。まず、輝度評価値の大小判定を行う(S23)。
ステップS23における輝度評価値の大小判定は、以下のようにして行う。すなわち、輝度評価値の大小判定において、AF評価値に対応する輝度評価値の判定開始位置、ピーク位置、判定終了位置の3点の内、ピーク位置の輝度評価値が最小値でない場合に、輝度評価値の大小判定の結果は「真」とし、フリッカが発生していると判定する。大小判定の結果が「真」となった場合には、輝度評価値及び飽和画素カウント値は使用せずAF評価値のみで合焦位置演算を行う。
例えば、図7において、フォーカスレンズ位置Pb1が判定開始位置であり、フォーカスレンズ位置Pb3が判定終了位置であり、この間が点光源適正判定範囲R1である。フォーカスレンズ位置Pb1における輝度評価値をVb1(白丸で表す)、AF評価値がピークであるフォーカスレンズ位置Pb2における輝度評価値をVb2(白三角で表す)、フォーカスレンズ位置Pb3における輝度評価値をVb3(白四角で表す)とすると、Vb1>Vb2>Vb3(○>△>□)の関係が成立している。この場合には、大小判定の結果、「真」と判定される。
なお、図7中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、また□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を表す。大小関係は、○>△>□となっている。
また、図8に示す例においては、フォーカスレンズ位置Pd1が判定開始位置であり、フォーカスレンズ位置Pd5が判定終了位置であり、この間が点光源適正判定範囲R1である。フォーカスレンズ位置Pd1における輝度評価値をVd1(白丸○で表す)、フォーカスレンズ位置Pd2における輝度評価値をVd2(白三角△で表す)、フォーカスレンズ位置Pd5における輝度評価値をVd5(白四角□で表す)とすると、Vd1>Vd2>Vd5(○>△>□)の関係が成立している。この場合には、大小判定の結果、「真」と判定される。
なお、図8に示す例では、AF評価値Vafは、フォーカスレンズ位置Pd2において極大値となり、フォーカスレンズ位置Pd4において2番目の極大値となり、またフォーカスレンズ位置Pd3において極小値となっている。図8中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、▲(黒三角)はAF評価値の2番目ピークを、■(黒四角)はピーク間の極小値を、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、また□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を表す。大小関係は、○>△>□となっている。
ステップS23における判定(輝度評価値の大小判定)の結果が、「真」であった場合には、次に、AF評価値でピークが検出された回数は何回かを判定する(S27)。本実施形態においては、フリッカ光源と判定された場合に、検出されたAF評価値のピークの数に応じて、合焦位置の演算方法を異ならせている。ピーク検出が複数回行われていた場合は、ピーク位置の中からAF評価値の大きい順に2つ選択し、その間の極小値位置で合焦位置演算を行う。
一方、ピークが検出された回数が1回の場合はAF評価値のピーク位置をそのまま採用して合焦位置演算を行う。このステップでは、フォーカスレンズ11のレンズ位置毎に算出されたAF評価値に基づいて、ピークが何回あったかを検出し、ピークが検出された回数が1回か2回以上かを判定する。上述の図7に示す例では、ピークが検出された回数が1回であり、図8に示す例では、ピークが検出された回数は2回ある。
ステップS27における判定の結果、ピークが2回以上ある場合には、合焦位置演算を行うにあたってAF評価値のピーク間の極小値を合焦位置として採用する(S29)。ここでは、AF評価値の一番高いピークと次に高いピークの間の極小値に対応するAF評価値を検出し、このAF評価値に対応するフォーカスレンズ位置を合焦位置とする。図8において、上記極小値に対応するフォーカスレンズ位置はPd3である。
ステップS27における判定の結果、ピークが1回の場合には、ステップS49に進み、合焦位置演算として、AF評価値のピークを採用して行う。図7において、上記AF評価値のピークに対応するフォーカスレンズ位置はPb2である。
ステップS23に戻り、この判定の結果が「偽」、すなわち輝度評価値の大小判定の結果が所定の条件を満たしていない場合には、次に、輝度評価値の連続性判定を行う(S25)。本実施形態においては、フリッカ光源と判定されず、すなわち輝度評価値の大小判定結果が偽であった場合には、輝度評価値の連続性判定を行ってフリッカ光源の判定を行う。この輝度評価値の連続性判定は、輝度評価値が増加から減少に転じた回数が所定の数以上あるか否かについて判定する。この回数が所定の数以上の場合に、連続性判定は、「真」、すなわちフリッカ光源と判定する。「真」と判定された場合には、輝度評価値及び飽和画素カウント値は使用せずAF評価値のみで合焦位置演算を行う。
例えば、図9において、フォーカスレンズ位置Pc1〜Pc9の間が点光源適正判定範囲R1である。この図9に示す例では、フォーカスレンズ位置Pc1およびPc9における評価値が、AF評価値のピーク(フォーカスレンズ位置Pc2)における輝度評価値よりも大きいために、輝度評価値の大小判定の結果は「偽」となっている。しかし、フォーカスレンズ位置Pc3、Pc5、Pc7と、輝度評価値が増加から減少に転じた回数が3回あり、所定数以上の反転があることから連続性が「真」と判定される。なお、図9中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を表す。大小関係は、□>○>△となっている。
また、図10に示す例では、輝度評価値の大小判定の結果「偽」であるが、フォーカスレンズ位置Pca3、Pca5、Pca7、Pca9と、輝度評価値が増加から減少に転じた回数が4回あり、所定数以上の反転があることから連続性が「真」と判定される。なお、AF評価値は、フォーカスレンズ位置Pca2、Pca6でピークとなっている。図10中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、▲(黒三角)はAF評価値の2番目ピークを、■(黒四角)はピーク間の極小値を、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を、◇(白菱形)は適正判定内の輝度評価値の極小値を表す(図11も同様の表示)。大小関係は、□>○>△となっている。
また、図11に示す例では、輝度評価値の大小判定の結果「偽」であるが、フォーカスレンズ位置Pcb3、Pcb5、Pcb7と、輝度評価値が増加から減少に転じた回数が3回あり、所定数以上の反転があることから連続性が「真」と判定される。なお、AF評価値は、フォーカスレンズ位置Pcb2、Pcb4でピークとなっている。
ステップS25における判定の結果、輝度評価値の連続性判定が「真」、すなわちフリッカ光源と判定された場合には、輝度評価値フリッカ補正判定を行う(S31)。ステップS25における判定により点光源にフリッカが発生しているが、連続的であることから、輝度の変動状況によっては輝度評価値からフリッカによる影響を除去または軽減するように輝度評価値を補正することが可能である。
そこで、ステップS31において、輝度評価値の変動があまり大きくなく、フリッカの影響を補正することが可能か否かについて、判定する。この判定方法としては、例えば、隣接するフォーカスレンズ位置における輝度評価値の差分の点光源適正判定範囲内での累積値が所定値以下の場合、または点光源適正範囲内で隣接するフォーカスレンズ位置における輝度評価値の差分の絶対値の最大値が所定値以下の場合等、種々の方法の内、最適な方法を適宜選択する。あるいは、点光源適正範囲内の輝度評価値の極小値の位置とAF評価値のピークの位置が所定範囲内である場合にフリッカの影響を除去する補正が可能と判断してもよい。この判定の結果、輝度評価値に対してフリッカの影響を除去・軽減するための補正が可能であれば「真」とし、一方、補正できない場合には「偽」とする。
ステップS31における判定の結果、フリッカ補正判定結果が「真」の場合には、後述するステップS37に進み、輝度評価値のフリッカ補正を行う。
ステップS31における判定に戻り、判定結果が「偽」の場合には、ステップS27に進み、AF評価値に基づく合焦位置を採用する前述の処理を行う。
一方、ステップS31における判定の結果、フリッカ補正判定の結果が「真」の場合には、輝度評価値フリッカ補正を行う(S37)。この場合は、輝度評価値のフリッカ補正が可能であり、フリッカの影響を受けて変動する輝度評価値を、平滑化処理等により、輝度評価値の変動を小さくする。例えば、輝度評価値に最小2乗法等を適用して近似曲線を求め、フォーカスレンズ位置に対応する輝度評価値を算出してもよい。
例えば、図12には、適正判定範囲R1内の輝度評価値Vaeのフリッカ成分(図9)を、測光のフリッカ情報を使用して除去した例を示す。例えば、撮像素子21からの画像信号を用いて、フリッカ周期を算出し、このフリッカ周期を利用して輝度評価値の変動を平滑化するようにしてもよい。なお、図12中、●(黒丸)はAF評価値ピークを、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を表す。大小関係は、□>○>△となっている。
輝度評価値のフリッカ補正を行うと、次にAF評価値再補正を行う(S39)。ここでは、図10、11に示すAF評価値のピークが2回ある場合であっても、輝度評価値のフリッカ補正により輝度評価値のフリッカ成分が除去されて図13に示す輝度評価値となっている。このフリッカ補正された輝度評価値を使用して、AF評価値の点光源補正をやり直すことにより、1つのピークとなるようにAF評価値の補正を行うことが可能である。
例えば、図13に示す例においては、適正判定範囲R1内の輝度評価値のフリッカを測光のフリッカ情報を使用して除去し、更にAF評価値の補正を行う。図13において、破線は点光源補正前のAF評価値を表し、実線は点光源補正後のAF評価値を表す。図13中、●(黒丸)はフリッカ補正前のAF評価値ピークを、▲(黒三角)はフリッカ補正前のAF評価値の2番目ピークを、■(黒四角)はフリッカ補正前のピーク間の極小値を、○(白丸)は適正判定開始時の輝度評価値を、△(白三角)はAF評価値ピークの輝度評価値を、□(白四角)は適正判定終了時の輝度評価値を、◇(白菱形)は適正判定内の輝度評価値の極小値を表す(図11も同様の表示)。大小関係は、□>○>△となっている。なお、図9の輝度評価値に対してフリッカを除去、補正して図12の輝度評価値を算出し、図12について輝度評価値に基づくAF評価値再補正も同様の処理である。
ステップS25における判定の結果が「偽」である場合、すなわちステップS23、S25の判定の結果、フリッカがないと判定された場合には、次に、AF評価値ピークと輝度評価値または飽和画素カウント値の極小位置のずれ量を第1閾値Th1と比較する(S41)。ここでは、AF評価値ピークのフォーカスレンズ位置と輝度評価値極小のレンズ位置との差と、AF評価値ピークのレンズ位置と飽和画素カウント値極小のレンズ位置との差との両方が予め設定された第1の閾値Th1以上であるか、Th1未満であるかを判定する。
ステップS43における判定の結果が、Th1未満であった場合には、輝度評価値または飽和画素カウント値の極小値の差分を比較する(S43)。ここでは、輝度評価値極小値の差分または飽和画素カウント値極小値差分のいずれかが予め設定された第2閾値Th2以上であるか未満であるかを判定する。なお、輝度評価値の極小値の差分と飽和画素カウント値極小値差分は、異なる数値(単位)となるがまとめてTh2と記載している。また、AF評価値のピークのフォーカスレンズ位置と輝度評価値極小のレンズ位置との差と、AF評価値ピークのレンズ位置と飽和画素カウント値極小のレンズ位置との差が第1の閾値Th未満であれば、ずれが小さいのでAF評価値の信頼性が高いと判定するものである。
上述の輝度評価値極小値差分は、フォーカスレンズ位置に関して輝度評価値極小の前後の点(輝度評価値極小前後点)における輝度評価値と輝度評価値極小値との差分である。カメラ側CPU27は、輝度評価値極小におけるフォーカスレンズ位置から無限遠方向及び至近方向に所定間隔移動したフォーカスレンズ位置における輝度評価値と、輝度評価値極小における輝度評価値との差分を輝度評価値極小値差分として算出する。
また、上述の飽和画素カウント値極小値差分は、フォーカスレンズ位置に関して飽和画素カウント値極小の前後の点(飽和画素カウント値極小前後点)における飽和画素カウント値と飽和画素カウント値極小値との差分である。カメラ側CPU27は、飽和画素カウント値極小におけるフォーカスレンズ位置から無限遠方向及び至近方向に所定間隔移動したフォーカスレンズ位置における飽和画素カウント値と、飽和画素カウント値極小における飽和画素カウント値との差分を飽和画素カウント値極小値差分として算出する。
ステップS43における判定の結果、どちらかが第2閾値Th2以上の場合には、合焦位置演算を行うにあたって、AF評価値のピークを合焦位置として採用する(S49)。ここでは、AF評価値ピークにおけるフォーカスレンズ位置を合焦位置として採用し、ステップS15に移行して合焦位置を算出する。輝度評価値極小値差分または、飽和画素カウント値極小値差分が第2閾値Th2以上であれば、フォーカスレンズ位置の変化に対する変化量が大きいので信頼性が高いと判断するものである。
一方、ステップS43における判定の結果、どちらも第2閾値Th2未満の場合には、非合焦とする(S51)。この場合には、合焦が不可能である非合焦であると判断し、合焦位置算出を終了する。
ステップS41に戻り、このステップにおける判定の結果が、第1閾値Th1以上であった場合には、AF評価値の信頼性が高くはないと判定し、輝度評価値の極小値または飽和画素カウント値の極小位置のいずれかが信頼性が高いか否かを判定する処理を行う。つまり、輝度評価値の極小位置と飽和画素カウント値の極小位置のずれ量を第3閾値Th3と比較する(S45)。ここでは、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小のフォーカスレンズ位置と飽和画素カウント値極小のフォーカスレンズ位置との差が予め設定された第3閾値以上である、未満であるかを判定する。
ステップS45における判定の結果、ずれ量が第3閾値Th3未満であった場合には、輝度評価値または飽和画素カウント値の極小値差分を比較する(S47)。ここでは、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小値差分または飽和画素カウント値極小値差分のいずれかが予め設定された第4閾値Th4以上であるか未満であるかを判定する。なお、輝度評価値極小値差分と飽和画素カウント値極小値差分は、異なる数値(単位)であるが、説明の簡単化のため同一の表記としている。
ステップS47における判定の結果、どちらかが第4閾値Th4以上であった場合には、条件を満たした方が信頼性が高いと判定される。合焦位置演算を行うにあたって、条件を満たした輝度評価値の極小値または飽和画素カウント値の極小値を採用する(S53)。ここでは、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小におけるフォーカスレンズ位置と、飽和画素カウント値極小におけるフォーカスレンズ位置と、のいずれかを合焦位置として採用し、ステップS15に移行して合焦位置を算出する。両方とも条件を満たした場合は、輝度評価値の極小値を優先して採用してもよい。
一方、ステップS47における判定の結果、どちらも第4閾値Th4未満の場合、またはステップS45における判定の結果、第3閾値Th3以上の場合には、非合焦とする(S51)。この場合には、合焦が不可能である非合焦であると判断し、合焦位置算出を終了する。
なお、カメラ側CPU27は、ステップS45において輝度評価値極小値差分と飽和画素カウント値極小値差分とで第4閾値Th4以上の差分が表れた方の極小におけるフォーカスレンズ位置を合焦位置として採用する。例えば、カメラ側CPU27は、輝度評価値に基づいて合焦位置を算出する場合、輝度評価値の極小の前後のフォーカスレンズ位置における輝度評価値と輝度評価値極小値とに基づく補間演算の結果に基づいて合焦位置を算出してもよい。また、カメラ側CPU27は、飽和画素カウント値に基づいて合焦位置を算出する場合、飽和画素カウント値の極小の前後のフォーカスレンズ位置における飽和画素カウント値と飽和画素カウント値極小値とに基づく補間演算の結果に基づいて合焦位置を算出してもよい。
また、飽和画素カウント値よりも輝度評価値の方が合焦位置の信頼性が高いことが予想される為、カメラ側CPU27は、ステップS45において輝度評価値極小値差分と飽和画素カウント値極小値差分との両方が第4閾値Th4以上であると判断した場合、輝度評価値極小におけるレンズ位置を合焦位置として採用する構成であってもよい。
前述したように、ステップS29(図3参照)、ステップS49、またはステップS53において合焦と判定すると、合焦位置演算を行う(S15)。ここでは、カメラ側CPU27は、各ステップS29、S39、S53において合焦として採用したフォーカスレンズ位置を用いて、合焦位置の演算を行う。
合焦位置演算を行うと、合焦位置駆動を行う(S17)。ここでは、ステップS13で算出した合焦位置に、フォーカスレンズ11が移動するように、レンズ側CPU15、モータドライブ14、レンズ/絞り駆動モータ13の駆動制御を行う。
次に、図14ないし図17を用いて、ステップS41〜S53において、AF評価値、輝度評価値、及び飽和画素カウント値の算出結果の例を示し、これらの検出結果が得られた場合のカメラ側CPU27の判断について説明する。
図14は、AF評価値及び輝度評価値のフォーカスレンズ位置毎の算出結果の例を示す。図14の例によると、輝度評価値極小(■で示す)におけるフォーカスレンズ位置とAF評価値ピーク(●で示す)におけるフォーカスレンズ位置との差がほぼ0であり、予め設定された第1閾値Th1未満であり、且つ輝度評価値極小差分が予め設定された第2閾値Th2以上となっている(図4のS41Th1未満→S43Th2以上参照)。この為、カメラ側CPU27は、AF評価値ピークにおけるAF評価値とAF評価値ピークの前後の点におけるAF評価値とに基づいて合焦位置を算出する。すなわち、AF評価値(点光源補正演算後)AF評価値ピーク(●で示す)と、このAF評価値の近傍のAF評価値ピーク前後評価値(○で示す)の3点を用いて、合焦位置を算出する。
図15は、AF評価値及び輝度評価値のレンズ位置毎の算出結果の他の例を示す。図15の例によると、輝度評価値極小(■で示す)におけるフォーカスレンズ位置とAF評価値ピーク(●で示す)におけるフォーカスレンズ位置との差が予め設定された第1閾値Th1以上となっている(図4のS41Th1以上→S45参照)。この為、カメラ側CPU27は、AF評価値ピークに基づいた合焦位置の算出では信頼性が無いと判断する。
輝度評価値極小におけるフォーカスレンズ位置とAF評価値ピークにおけるフォーカスレンズ位置との差が予め設定された第1閾値Th1以上であると判断した場合には、カメラ側CPU27は、輝度評価値及び飽和画素カウント値の算出結果に基づいて合焦位置の算出が可能であるか否か判断する(図4のS45参照)。なお、図15において、□は輝度評価値極小の前後評価値であり、合焦位置演算にあたっては、輝度評価値極小(■で表す)と輝度評価値極小前後評価値(□で表す)の3点を用いて行う。
図16は、輝度評価値及び飽和画素カウント値のレンズ位置毎の算出結果の例を示す。図16には、フォーカスレンズ位置に応じて、輝度評価値Vaeと飽和画素カウント値Vsaのカーブの例を示す。図16の例によると、輝度評価値極小(■で表す)におけるフォーカスレンズ位置と飽和画素カウント値極小(▲で表す)におけるフォーカスレンズ位置との差が予め設定された第3閾値Th3未満となっている(図4のS45Th3未満参照)。この為、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小値差分または飽和画素カウント値極小値差分のいずれかが予め設定された第4閾値Th4以上であるか否か判断する(図4のS47参照)。
図16の例によると、輝度評価値極小値差分及び飽和画素カウント値極小値差分の両方が予め設定された第4閾値Th4以上である為、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小におけるフォーカスレンズ位置を合焦位置として採用する(図4のS53参照)。すなわち、図16の例では、□は輝度評価値極小の前後評価値であり、合焦位置演算にあたっては、輝度評価値極小(■で表す)と、この近傍にある輝度評価値極小前後評価値(□で表す)の3点を用いて行う。なお、本実施形態においては、輝度評価値を優先的に使用するが、飽和画素カウント値の極小値を採用してもよい。この場合には、合焦位置演算にあたっては、飽和画素カウント値極小値(▲で表す)と、この近傍にある飽和画素カウント値前後評価値(△で表す)の3点を用いて行う。
図17は、輝度評価値及び飽和画素カウント値のフォーカスレンズ位置毎の算出結果の他の例を示す。図17の例は、図16の例と比較すると、輝度評価値極小(■で表す)におけるフォーカスレンズ位置と飽和画素カウント値極小(▲で表す)におけるレンズ位置との差が予め設定された第3閾値Th3以上となっている(図4のS45Th3以上)。この為、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小のいずれも合焦位置として採用するには信頼性が低く、合焦位置の算出が不可能であると判断する(図4のS51参照)。
本実施形態においては、撮像装置のカメラ側CPU27は、フォーカスレンズ11をスキャン駆動させつつ画像データを取得し、取得した画像データからレンズ位置毎にAF評価値、輝度評価値、及び飽和画素カウント値を取得する。
カメラ側CPU27は、飽和画素が検出された場合、AF評価値ピークのフォーカスレンズ位置と輝度評価値極小のフォーカスレンズ位置との差と、AF評価値ピークのフォーカスレンズ位置と飽和画素カウント値極小のフォーカスレンズ位置との差との両方が予め設定された第1閾値Th1以上であるか否か判断する(図4のS41)。カメラCPU27は、いずれかまたは両方の差が第1の閾値未満であると判断した場合、AF評価値ピークの信頼性が高いものであると判断し、AF評価値ピークにおけるフォーカスレンズ位置に基づいて合焦位置を算出する(図4のS49参照)。
また、カメラ側CPU27は、両方の差が第1閾値Th1以上であると判断した場合(図4のS41Th1以上参照)、AF評価値ピークの信頼性が低いものであると判断し、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小のいずれかにおけるレンズ位置に基づいて合焦位置を算出する(図4のS53参照)。これにより、カメラ側CPU27は、点光源被写体が画角に入っている場合に画素飽和によってAF評価値にM字コントラストカーブが生じ、AF評価値ピークと輝度評価値極小または飽和画素カウント値極小とが乖離する場合であっても(例えば、図15参照)、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小のいずれかにおけるレンズ位置に基づいて合焦位置を算出することができる。
また、カメラ側CPU27は、AF評価値ピークのフォーカスレンズ位置と輝度評価値極小のフォーカスレンズ位置との差と、AF評価値ピークのフォーカスレンズ位置と飽和画素カウント値極小のレンズ位置との差とのいずれかまたは両方が第1閾値Th1未満であると判断した場合に(図4のS41Th1未満参照)、輝度評価値極小値差分または飽和画素カウント値極小値差分のいずれかが予め設定された第2閾値以上であるか否かを判断してもよい(図4のS43参照)。カメラ側CPU27は、いずれかまたは両方のレンズ位置の差が第1閾値Th1未満であり且ついずれかの差分が第2閾値Th2以上である場合にAF評価値ピークにおけるレンズ位置に基づいて合焦位置を算出することにより(図4のS49参照)、明確に表れた輝度評価値極小または飽和画素カウント値極小に基づいて上記のAF評価値ピークの信頼性の判断が行われたものと判断することができる。この結果、カメラ側CPU27は、合焦位置の算出の精度を向上させることができる。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小とのレンズ位置の差が予め設定された第3閾値Th3未満であると判断した場合に(図4のS45Th3未満参照)、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小のいずれかにおけるレンズ位置に基づいて合焦位置を算出することにより(図4のS53参照)、合焦位置の算出の精度を向上させることができる。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小とのレンズ位置の差が予め設定された第3閾値Th3未満であると判断した場合に(図4のS45Th3未満参照)、輝度評価値極小値差分または飽和画素カウント値極小値差分のいずれかが予め設定された第4閾値Th4以上であるか否かを判断してもよい(図4のS47参照)。カメラ側CPU27は、輝度評価値極小と飽和画素カウント値極小とのレンズ位置の差が予め設定された第3閾値Th3未満であり且ついずれかの差分が第4閾値Th4以上である場合に、輝度評価値極小におけるレンズ位置と飽和画素カウント値極小におけるレンズ位置とのいずれかを合焦位置として採用する(図4のS47Th4以上参照)。これにより、主制御部30は、明確に表れた輝度評価値極小及び飽和画素カウント値極小に基づいて合焦位置を算出することができる。この結果、カメラ側CPU27は、合焦位置の算出の精度を向上させることができる。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値の大小判定において、AF評価値に対応する輝度評価値の判定開始位置、ピーク位置、判定終了位置の3点の内、ピーク位置の輝度評価値が最小値でない場合、輝度評価値及び飽和画素カウント値は使用せずAF評価値のみで合焦位置演算を行う(図3のS23「真」→S29、図4のS49等参照)。被写体がフリッカ光源の場合であっても、正確に焦点調節を行うことができる。
また、カメラ側CPU27は、輝度評価値の連続性判定において、輝度評価値が増加から減少に転じた回数が所定の数以上の場合、輝度評価値及び飽和画素カウント値は使用せずAF評価値のみで合焦位置演算を行う(図3のS25「真」→S37、S31(偽)→S29、図4のS49等参照)。被写体がフリッカ光源の場合には、輝度変動がある。本実施形態においては、被写体がフリッカと判定した場合には、信頼性の低い輝度評価値や飽和画素カウント値を使用せずに合焦位置演算を行うことから、正確に焦点調節を行うことができる。
また、カメラ側CPU27は、前述の輝度評価値の連続性判定の結果が、「真」の場合、輝度評価値のフリッカ補正判定を行う(図3のS31参照)。
また、カメラ側CPU27は、例えば、AF評価値のピーク位置に対応する輝度評価値が点光源適正範囲内で極小値の場合、輝度評価値のフリッカ除去を行う(図3のS31「真」→S37等参照)。この場合は、輝度評価値の変動が小さいことから、輝度評価値のカーブの形状が単純な凸型であり、容易に補正することができる。輝度評価値の変動が小さく補正可能の判定は前述のような方法でもよい。
また、カメラ側CPU27は、AF評価値のピーク位置に対応する輝度評価値が、例えば、点光源適正範囲内で極小値でなく、AF評価値のピーク検出が2回以上の場合、輝度評価値のフリッカ除去を行う(図3のS31「偽」→S27参照)。この場合は、輝度評価値に極小値がないことから、輝度評価値のカーブの形状が単純であり、容易に補正することができないのでフリッカ補正を行わない。
また、カメラ側CPU27は、フリッカ光源と判定された場合でピーク検出が複数回行われていた場合は、ピーク位置の中からAF評価値の大きい順に2つ選択し、その間の極小値位置で合焦位置演算を行う(図3のS27「2回以上」→S29等参照)。
また、カメラ側CPU27は、ピーク検出が1回の場合はAF評価値のピーク位置をそのまま採用して合焦位置演算を行う(図3のS27「1回」→図4のS49等参照)。
なお、本発明の一実施形態においては、コントラストAF評価値算出回路23、AE評価値算出回路25、画像処理回路26等を、カメラ側CPU27とは別体の構成としたが、各部の全部または一部をソフトウエアで構成し、カメラ側CPU27によって実行するようにしても勿論かまわない。
また、本発明の一実施形態においては、カメラ側CPU27の周辺回路の全部または一部、またントラストAF評価値算出回路23、AE評価値算出回路25、画像処理回路26等をDSP(Digital Signal Processor)等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実行するようにしても勿論かまわない。また、CPU31の機能の一部をDSP等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログによって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実現するようにしてもよい。
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもミラーレスカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラ、医療用カメラ、顕微鏡等の科学機器用のカメラ、自動車搭載用カメラ、監視用カメラでも構わない。いずれにしても、フォーカスレンズの焦点調節を行う機器であれば、本発明を適用することができる。
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
また、本発明の一実施形態においては、図3および図4のフローチャートを用いて、本実施形態における動作を説明したが、処理手順は、順番を変えてもよく、また、いずれかのステップを省略してもよく、ステップを追加してもよく、さらに各ステップ内における具体的な処理内容を変更してもよい。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。