以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明の好ましい一実施形態に係わるカメラは、デジタルカメラであり、一部に位相差検出方式による焦点検出用の位相差画素を備えた撮像素子を有する撮像部を設け、この撮像部によって被写体像を撮像データに変換し、また位相差画素からの出力に基づいて公知の位相差検出方式によってデフォーカス方向とデフォーカス量を算出し、撮影レンズのピント合わせを行う。
また、撮像部によって生成された撮像データに基づいてライブビュー表示を行ったり、静止画撮影を行ったり、動画撮影を行う。このとき位相差画素によって生ずるクロストークの影響を軽減するように、位相差画素の隣接画素または非隣接画素に対して、他の位相差画素の隣接画素または非隣接画素の撮像データを用いて補正する。
図1は、本発明の一実施形態に係わるカメラの主として電気的構成を示すブロック図である。図1において、矢印付き実線はデータの流れを示し、矢印付き破線は制御信号の流れを示す。カメラ内には、撮影レンズ11、絞り13、メカシャッタ15、駆動部17、操作部19、撮像素子21、A−AMP23、アナログデジタル変換器(ADC)25、撮像制御回路26、CPU(Central Processing Unit)27、画像処理部29、焦点検出回路31、ビデオエンコーダ33、バス35、DRAM(Dynamic Random Access Memory)37、ROM(Read Only Memory)39、フラッシュメモリ41を有する。
撮影レンズ11は、被写体像を形成するための複数の光学レンズから構成され、単焦点レンズまたはズームレンズである。この撮影レンズ11の光軸の後方には、絞り13が配置されており、この絞り13は開口径が可変であり、撮影レンズ11を通過した被写体光束の光量を制限する。絞り13の後方には、メカシャッタ15が配置されており、撮影レンズを通過した被写体光束の通過時間の制御を行う。メカシャッタ15としては、公知のフォーカルプレーンシャッタ、レンズシャッタ等が採用される。
駆動部17は、CPU27から出力される制御信号に基づいて、撮影レンズ11のピント調節、絞り13の開口径制御、およびメカシャッタ15の開閉制御(シャッタ制御)を行う。
操作部19は、電源釦、レリーズ釦、再生釦、メニュー釦等、各種入力釦や各種入力キー等の操作部材を含み、これらの操作部材の操作状態を検知し、検知結果をCPU27に出力する。撮影モードダイヤルやメニュー画面等において、静止画撮影モードと動画撮影モードを選択することができる。動画撮影モードが選択されている際に、レリーズ釦を操作すると、動画撮影が開始され、再度、レリーズ釦が操作されると動画撮影が終了する。なお、操作部19に動画釦を設け、動画釦が操作された際に、動画撮影を開始する等、撮影選択部として、他の方法に置き換えても勿論かまわない。
撮影レンズ11の光軸上であって、メカシャッタ15の後方で、かつ撮影レンズ11によって被写体像が結像される位置付近には、撮像素子21が配置されている。撮像素子21には、画素の一部に焦点検出をするための位相差画素が設けられている。また、撮像素子21は、各画素を構成するフォトダイオードが二次元的にマトリックス状に配置されており、各フォトダイオードは受光量に応じた光電変換電流を発生し、この光電変換電流は各フォトダイオードに接続するキャパシタによって電荷蓄積される。
各画素の前面には、ベイヤー配列のカラーフィルタが配置されている。ベイヤー配列は、水平方向にR画素とG画素が交互に配置されたラインと、G画素とB画素が交互に配置されたラインを有している。G画素の一部は、焦点検出用の位相差画素に置き換えられている。本実施形態では、ベイヤー配列を前提としているが、本発明はこれに限定するものではない。ハニカム配列の撮像装置やカラーフィルタの配置周期が不規則なものでもよい。また位相差画素もG画素の一部でなく、配置周期や配置箇所、カラーフィルタの種別およびカラーフィルタの有無もこれに限定するものではない。この撮像素子21の詳しい構成について、図4を用いて後述する。なお、本明細書においては、撮像素子21の画素から出力されるアナログの画像信号に基づく信号であれば、後述するADC25によってA/D変換された信号のみならず画像信号も含めて撮像データ(画像データ)と称する。
撮像素子21の出力は、A−AMP23に接続されている。A−AMP23は、撮像素子21から出力された画像信号のアナログゲイン調整を行う。A−AMP23の出力は、ADC25に接続されている。
ADC25は、アナログデジタル変換器であり、A−AMP23によってアナログゲイン調整された画像信号をデジタル形式の撮像データ(画像データ)に変換する。この撮像データには、非焦点検出用であって通常の画素からのデータと、焦点検出用の位相差画素からのデータの両方のデータが含まれている。ADC25の出力はバス35に出力され、撮像データは後述するDRAM37に一時記憶される。
撮像制御回路26は、CPU27の制御命令に従って、撮像素子21の露光開始や読み出し等の制御を行う。撮像制御回路26は、静止画撮影時、ライブビュー表示時、動画撮影時等における駆動モードに応じて、その読み出し制御を変更する。例えば、ライブビュー表示や動画撮影時には、静止画よりも画素数を必要としないが1秒間に多数のフレーム画像を取得することから、画素加算を行うようにしている。
バス35に接続されたCPU27は、後述するROM39に記憶されているプログラムに従って、カメラの全体制御を行う。
画像処理部29は、バス35を介してDRAM37から撮像データを入力し、各種画像処理を行い、静止画または動画の記録用画像データを生成し、この生成された記録用画像データは、一旦、DRAM37に一時記憶する。また、DRAM37から読み出した動画の画像データを用いて、表示用画像データを生成し、一旦、DRAM37に一時記憶する。さらに、撮像素子21内の焦点検出用画素位置にある位相差画素のデータを周囲の画素データを用いて補間処理等を行い、クロストークによる段差の影響を除去する。画像処理部29の詳しい構成については、図2を用いて後述する。
焦点検出回路31は、DRAM37に一時記憶された位相検出画素からのデータを取得し、このデータに基づいて、公知の位相差AFによるデフォーカス方向およびデフォーカス量を算出する。なお、焦点検出回路31によって算出されたデフォーカス方向およびデフォーカス量に基づいて、CPU27は駆動部17によって撮影レンズ11のピント合わせを行う。
ビデオエンコーダ33は、画像処理部29によって生成されDRAM37に一時記憶された表示用画像データを読出し、LCD/TV43に出力する。LCDは液晶表示部であり、カメラの背面等にライブビュー表示や記録済み画像の再生表示等に使用される。またTVは外部のテレビ装置であり、記録済み画像の再生表示等に使用される。
DRAM37は、電気的に書き換え可能なメモリであり、前述したように、画像データ、記録用画像データ、表示用画像データ等の一時記憶を行う。また、CPU27がカメラの制御を行う際の各種データの一時記憶も行う。画像データの一時記憶用としては、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)を用いてもよい。
ROM39は、マスクROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。ROM39には、前述したCPU27で使用するプログラムの他、カメラの調整値等の各種データも記憶されている。フラッシュメモリ41は、カメラに内蔵もしくは装填可能であり、画像データ記録用の記憶媒体である。
次に、図2および図3を用いて、画像処理部29について説明する。画像処理部29は、ホワイトバランス(WB)補正処理部51、補正画素判断部53、画素補正部55、同時化処理部57、輝度特定変換部59、エッジ強調処理部61、ノイズ(NR)処理部63、色再現処理部65、歪補正部67、色収差補正部69を有する。このうち、補正画素判断部53および画素補正部55以外は、公知の画像処理を行うための処理部であることから、詳しい説明を省略する
補正画素判断部53は、図3に示すように、補正基準画素判断部53a、補正可否判断部53b、および段差レベル判断部53cを有する。補正基準画素判断部53aは、位相差画素と通常画素(R画素やB画素)の割合を検出し、この割合によって補正対象を位相差画素の隣接画素か非隣接画素のいずれにするかを判断する。非位相差画素隣接画素の割合は、一定区間内における非位相差画素の隣接画素の個数および個数/区間内の全画素数等を意味する。補正基準画素判断部53aにおける判断方法の一例については、図5および図6を用いて後述する。
補正可否判断部53bは、補正基準画素判断部53aにおける判断結果に応じて、補正するか否かを判断する。すなわち、位相差画素の隣接画素と非隣接画素のいずれかが、極端の割合に偏っていない場合には補正を行うが、極端の割合に偏っている場合には補正を行わないと判断する。補正可否判断部53bにおける判断方法の一例については、図10のS45、S49、図11のS61、S65等において後述する。
段差レベル判断部53cは、補正基準画素判断部53aにおける判断結果と、補正対象画素周辺の位相差画素および非位相差画素の個数によって、段差レベルを判断し、段差が生ずる画素は補正画素として追加する。すなわち、複数の位相差画素が上下左右方向に在る場合には、クロストークの影響が強くなることから、補正対象としている。この段差レベル判断部53cの判断方法の一例については、図7を用いて後述する。
画素補正部55は、補正画素判断部53の判断結果に応じて、位相差画素の非隣接画素から補正するか、または補正対象画素を位相差画素の隣接画素から補正するか、いずれかの方法によって補正を行う。この画素補正部55における補正方法の一例については、図8を用いて後述する。
次に、図4を用いて、撮像素子21における画像を得るための通常素子(R画素、B画素、G画素)と焦点検出用の位相差画素の配置について説明する。図4(a)は撮像素子21の一部分であり、撮像素子21の各画素の前面には、前述したように、ベイヤー配列のカラーフィルタが配置されている。ベイヤー配列は、水平方向に赤色カラーフィルタが配置されたR画素と緑色のカラーフィルタが配置されたG画素が交互に配置されたラインと、G画素と青色のカラーフィルタが配置されたB画素が交互に配置されたラインを有している。
G画素の一部は、焦点検出用の位相差画素に置き換えられている。図4(a)に示す例では、遮光板によって右側に開口部を設けたR位相差画素(図4(a)では、(x1、y1)、(x5、y1)、(x13、y1)等)、遮光板によって左側に開口部を設けたL位相差画素(図4(a)では、(x1、y9)、(x5、y9)、(x13、y9)等)、遮光板によって上側に開口部を設けたT位相差画素(図4(a)では、(x1、y3)、(x9、y3)等)、遮光板によって下側に開口部を設けたB位相差画素(図4(a)では、(x5、y3)、(x13、y3)等)が設けられている。(x3、y5)に位置する位相差画素の拡大図を図4(b)に示す。
位相差検出方式による焦点検出では、R位相差画素とL位相差画素の対(図4(a)に示す例では、(x1、y1)と(x1、y9)等の組合せ)によってX方向(画面横方向)に沿っての被写体のデフォーカス方向とデフォーカス量を検出する。また、T位相差画素とB位相差画素の対(図4(a)に示す例では、(x1、y3)と(x5、y3)等の組合せ)によってY方向(画面縦方向)に沿っての被写体のデフォーカス方向とデフォーカス量を検出する。
次に、図5および図6を用いて、補正画素判断部53中の補正基準画素判断部53aと補正可否判断部53bにおける判断の例について説明する。
図5は、位相差画素の非隣接画素を補正する場合を示す。図5(a)は、図4に示したと同様の画素配置の撮像素子である。R、L、T、B位相差画素の上下左右の画素は、クロストークの影響を受ける画素である。図5(b)に示す例では、クロストークの影響を受ける画素が多い。R画素とB画素の内、クロストークの影響を受けないB画素は、(x3、y2)、(x7、y2)、(x1、y6)、(x5、y6)のみである。他のB画素およびR画素は、いずれもクロストークの影響を受けている。そこで、このような場合には、クロストークの影響を受けていない画素の撮像データを、クロストークの影響を受けた同色の画素の撮像データを用いて補正する。
また、図6は、位相差画素の隣接画素を補正する場合を示す。図6(a)は、図4に示した画素配置に比較し、位相差画素が少ない。図6(b)に、クロストークの影響を受けた画素を示すが、図5(b)に比較し、クロストークの影響を受けた画素が少ない。そこで、このような場合には、クロストークの影響を受けている画素の撮像データを、クロストークの影響を受けていない同色の画素の撮像データを用いて補正する。
したがって、補正画素判断部53中の補正基準画素判断部53aは、位相差画素の隣接画素と、非隣接画素の割合を求め、この割合に応じて、補正対象を位相差画素の隣接画素にするか、非隣接画素にするかを判断する。なお、位相差画素の隣接画素と非隣接画素の割合は、静止画を撮影するか、ライブビューを表示するか、動画を撮影するかに応じて、通常画素の加算の仕方に応じて異なる。例えば、静止画において、位相差画素の配置周期が4画素間隔であっても、動画撮影時に、水平/垂直4画素の同色画素を加算平均してデータを出力するケースなどを考える。その場合、位相差画素が混入された画素の周期は、1画素間隔となる。その場合、ROM39に、撮像素子21の位相差画素や通常画素の配置等を記憶しておき、駆動モードと記憶された配置に基づいてカウントしてもよい。また、ROM39に、駆動モード(静止画、動画、ライブビュー表示等)に応じた位相差画素の隣接画素と非隣接画素の割合を予め記憶しておき、補正基準画素判断部53aは、駆動モードに応じて割合を読み出して判断するようにしてもよい。
次に、図7を用いて、補正画素判断部53中の段差レベル判断部53cにおける判断の例について説明する。図7(a)は、補正基準画素判断部53aおよび補正可否判断部53bによって補正対象が判断された画素を示し、図5(b)と同様である。補正基準画素判断部53aおよび補正可否判断部53bにおける判断結果では、画素(x1、y2)、(x5、y2)、(x3、y6)、(x7、y6)は、クロストークの影響を受けているが、補正対象となっていない。しかし、これらの画素は、上下を位相差画素R、T、または位相差画素R、Bに隣接しており、上下左右の1箇所のみ位相差画素と隣接する他のクロストークの影響を受けた画素に比較し、クロストークの影響が大きく、補正の必要がある。
そこで、段差レベル判断部53cは、複数の位相差画素と隣接している場合には、クロストークの影響度が大きいため、補正対象としている。図7(b)に示す例では、上下に位相差画素と隣接する画素(x1、y2)、(x5、y2)、(x3、y6)、(x7、y6)を、補正対象と判断する。
次に、図8を用いて、画素補正部55における補正動作の例について説明する。図8(a)は、位相差画素の隣接画素を用いて補正する例を示し、図8(b)は、位相差画素の非隣接画素を用いて補正する例を示す。
前述の図5に示した例は、位相差画素の配置密度が比較的高い場合であり、このような場合には、位相差画素と隣接しない非隣接画素が少ないことから、この非隣接画素を補正対象画素として選択した。この場合の画素補正は、位相差画素と隣接しクロストークの影響を受けた同色の画素の撮像データを用いて補間演算により画素補正を行う。
図8(a)に示した例では、クロストークの影響を受けていない(x5、y6)にある青色画素の撮像データを、クロストークの影響を受けている(x3、y6)と(x7、y6)の青色画素の撮像データを用いて、補間演算による画素補正を行う。図示しないが、(x3、y2)、(x7、y2)、(x1、y6)の青色画素の撮像データも同様に画素補正を行う。
前述の図6に示した例は、位相差画素の配置密度が比較的低い場合であり、このような場合には、位相差画素と隣接する隣接画素が少ないことから、この隣接画素を補正対象画素として選択した。この場合の画素補正は、位相差画素と隣接しておらずクロストークの影響を受けていない同色の画素の撮像データを用いて補間演算により画素補正を行う。
図8(b)に示した例では、クロストークの影響を受けている(x5、y2)にある青色画素の撮像データを、クロストークの影響を受けていない(x3、y2)と(x7、y2)の青色画素の撮像データを用いて、補間演算による画素補正を行う。(x5、y2)の画素以外にも、クロストークの影響を受けている青色画素および赤色画素の撮像データも同様に画素補正を行う。
次に、本実施形態における画素補正について、図9ないし図12に示すフローチャートを用いて説明する。本実施形態における画素補正は、カメラ全体の制御に係る部分は、ROM39に記憶されたプログラムに従ってCPU27が各部を制御することにより、実行し、画像処理部29内における制御は、画像処理部29がハードウエア的に実行する。
図9に示す全体処理フローに入ると、まず、動画記録を開始する(S1)。ここでは、撮像素子21から出力される撮像データを用いて、動画の画像データをフラッシュメモリ41に記録することを開始する。なお、動画記録以外にも静止画記録、ライブビュー表示、テレビ等外部機器表示であってもよい。
動画記録を開始すると、次に、撮像取り込みを行う(S3)。ここでは、撮像素子21から出力される撮像データをADC25によってAD変換し、このデジタル化した撮像データをDRAM37に一時記憶する。
撮像取り込みを行うと、焦点検出処理を行う(S5)。ここでは、DRAMに一時記憶された撮像データの内から、位相差画素の撮像データを抽出し、この撮像データを用いて、位相差検出方式による焦点検出処理を行う。
焦点検出処理を行うと、次に、位相差画素の配置情報を取得する(S7)。前述したように、静止画、ライブビュー表示、動画等の駆動モードに応じて、画素加算等を行うことから、位相差画素の配置は変化する。そこで、このステップでは、駆動モード毎に画素配置に関する情報を取得する。
位相差画素の配置情報を取得すると、次に、補正基準画素判断を行う(S9)。ここでは、補正基準画素判断部53aが、図5および図6を用いて説明したように、位相差画素に隣接する隣接画素と、隣接しない非隣接画素の割合から補正対象を判断する。この補正基準画素判断は、図10および図11に示すフローチャートを用いて後述する。
補正基準画素判断処理を行うと、次に、補正可否判断処理を行う(S11)。ここでは、補正可否判断部53bが、位相差画素に隣接する隣接画素と、隣接しない非隣接画素が、どちらか一方に偏っている場合には補正を行わないと判断する。この補正可否判断は、後述する図10のS39Yes、S41Yes、図11のS39Yes、S41Yesが対応する。
補正可否判断処理を行うと、次に、段差レベル判断処理を行う(S13)。ここでは、段差レベル判断処理部53cが、図7を用いて説明したように、画素補正する際に、位相差画素に隣接する隣接画素の中でクロストークの影響の大きい画素の判断処理を行う。この段差レベル判断処理は、図12のフローチャートを用いて後述する。
段差レベル判断処理を行うと、次に、画素補正処理を行う(S15)。ここでは、画素補正処理部55が、図8を用いて説明したように、補正対象画素について、所定の画素の撮像データを用いて補間処理を行うことにより画素補正処理を行う。
画素補正処理を行うと、次に、DRAM上の撮像データを記録用に画像処理を行う(S17)。ここでは、ステップS3において取り込み、DRAM37に一時記憶した撮像データを、画像処理部29によって、記録用に画像処理を行う。
記録用に画像処理を行うと、次に、撮像データをフラッシュメモリに記録する(S19)。ここでは、ステップS17において画像処理された撮像データをフラッシュメモリ41に記録する。
撮像データをフラッシュメモリに記録すると、次に、動画記録停止か否かの判定を行う(S21)。ここでは、ユーザが操作部19を操作して動画記録停止の指示を行ったか否かを判定する。
ステップS21における判定の結果、動画記録停止の指示がなされていない場合には、ステップS3に戻り、前述の処理を繰り返す。一方、動画記録停止の指示がなされていた場合には、動画記録を終了する。
次に、図10および図11に示すフローチャートを用いて、図9のステップS9およびS11における補正対象決定についての詳細な処理について説明する。
図10に示すフローが開始すると、まず、一定区間内の位相画素隣接のR画素数とB画素数をカウントする(S31)。ここでは、一定区間内において、位相差画素に隣接する画素の数を同色毎にカウントする。一定区間としては、ピント合わせのためのエリア単位や焦点検出素子が配置される間隔の周期単位等、所定の範囲を決めれば良い。隣接画素のカウント方法としては、ROM39に、撮像素子21の位相差画素や通常画素(R画素およびB画素)の配置等を記憶しておき、駆動モードと記憶された配置に基づいてカウントしてもよい。また、ROM39に、撮像素子21の駆動モード(静止画、動画、ライブビュー表示等)に応じた位相差画素の隣接画素の数を記憶しておき、この記憶値を読み出してもよい。
続いて、一定区間内のR画素数とB画素数をカウントする(S33)。ここでは、一定区間内において、位相差画素に隣接するか否かに関わらず、一定区間内におけるR画素とB画素をそれぞれカウントする。カウント方法としては、ROM39に、ROM39に記憶した通常画素(R画素およびB画素)の配置等に基づいてカウントしてもよく、また、駆動モードに応じたR画素とB画素の数を記憶しておき、この記憶値を読み出してもよい。
続いて、位相差画素隣接B画素/B画素総数を求める(S35)。ここでは、ステップS31において求めた位相差画素に隣接する隣接B画素数を、ステップS33において求めた一定区間内におけるB画素総数で除算を行う。
次に、割合が50%以上か否かを判定する(S37)。ここでは、ステップS35において求めた隣接B画素数/B画素総数の値が50%以上か否かを判定する。
ステップS37における判定の結果、割合が50%以上の場合には、次に、割合が90%以上か否かを判定する(S39)。ここでは、ステップS35において求めた割合が90%以上か否かを判定する。
ステップS39における判定の結果、割合が90%以上でなかった場合には、位相差画素非隣接画素B画素を補正対象とする(S43)。この場合には、位相差画素隣接B画素/B画素総数が、50%以上90%未満の場合である。この状態は、位相差画素に隣接するB画素が多く、図5(b)を用いて説明したように、位相差画素に隣接していない非隣接画素を補正対象とする。すなわち、図13等を用いて前述したように、位相差画素に隣接する隣接画素はクロストークの影響を受けやすいため、同じ被写体輝度であっても隣接画素と非隣接画素の間に出力に段差が生じてしまう。このステップでは、非隣接画素の方が隣接画素よりも少ないことから、非隣接画素に対して補正を行うようにしている。
ステップS39における判定の結果、割合が90%以上の場合には、補正対象画素を設けない(S45)。この場合は、B画素の殆どが位相差画素に隣接しており、隣接画素が圧倒的に多く、そのため、隣接画素と非隣接画素の段差が目立たない。非隣接画素に対する補正を施さなくても、画像として違和感が生じないことから、敢えて補正を行わない。
ステップS37における判定の結果、割合が50%以上でない場合には、次に、割合が5%以下か否かを判定する(S41)。ここでは、ステップS35において求めた割合が5%以下か否かを判定する。
ステップS41における判定の結果、割合が5%以下でなかった場合には、位相差画素隣接画素B画素を補正対象とする(S47)。この場合には、位相差画素隣接B画素/B画素総数が、5%以上50%未満の場合である。この状態は、位相差画素に隣接しないB画素が多く、図6(b)を用いて説明したように、位相差画素に隣接する隣接画素を補正対象とする。すなわち、位相差画素に隣接する隣接画素はクロストークの影響を受けやすいため、同じ被写体輝度であっても隣接画素と非隣接画素の間に出力に段差が生じてしまう。このステップでは、隣接画素の方が非隣接画素よりも少ないことから、隣接画素に対して補正を行うようにしている。
ステップS41における判定の結果、割合が5%以下の場合には、補正対象画素を設けない(S49)。この場合は、B画素の殆どが位相差画素に隣接しておらず、非隣接画素が圧倒的に多く、そのため、隣接画素と非隣接画素の段差が目立たない。隣接画素に対する補正を施さなくても、画像として違和感が生じないことから、敢えて補正を行わない。
ステップS43〜S49において、補正対象画素について処理を決めると、図11に示すステップS51〜S65において、R画素について、ステップS35〜S49と同様の処理を施す。B画素をR画素に置き換えるだけであることから、詳しい説明を省略する。
まず、位相差画素に隣接する隣接画素/R画素総数を求める(S51)。続いて、ステップS51において求めた割合が50%以上か否かを判定する(S53)。この判定の結果、50%以上であった場合には、さらに割合が90%以上か否かを判定する(S55)。この判定の結果、割合が90%以上でなかった場合には、位相差画素に隣接しない非隣接R画素を補正対象とする(S59)。一方、ステップS55における判定の結果、割合が90%以上であった場合には、補正対象を設けない(S61)。
ステップS53における判定の結果、割合が50%以上でなかった場合には、さらに割合が5%以下か否かを判定する(S57)。この判定の結果、割合が5%以上でなかった場合には、位相差画素に隣接する隣接R画素を補正対象とする(S63)。一方、ステップS57における判定の結果、割合が5%以下であった場合には、補正対象を設けない(S65)。ステップS43〜S49において、補正対象画素について処理を決めると、補正対象決定のためのフローを終了し、図9に示すフローのステップS13に戻る。
このように、図10および図11に示すフローチャートにおいては、位相差画素の配置密度に応じて、位相差画素の隣接画素を補正するか非隣接画素を補正するかを判断している(例えば、S37、S39、S41等参照)。したがって、位相差画素の配置密度に応じてクロストークの影響を軽減することができる。
また、補正対象となる画素が極端に少ないか多い場合には補正を行わないようにしている(例えば、S45、S49等参照)。したがって、効率的にクロストークの影響を軽減することができる。
なお、本フローチャートにおいては、ステップS37、S53において50%以上か否か、またステップS39、S41、S55、S57において90%以上または5%以下か否かの判定を行っている。このパーセンテージ(%)の数値は例示であり、これ以外の数値を用いても勿論かまわない。
次に、図12に示すフローチャートを用いて、図9のステップS13における段差レベル判断処理の詳細な処理について説明する。このフローは、図7に示した段差レベル判断部53cにおいて行う段差レベル判断を実行する。前述したように、非隣接画素が補正の対象とならない場合であっても、上下左右で複数の位相差画素と隣接すると、クロストークの影響を強く受け、同色の他の画素との段差レベルが大きくなってしまう。そこで、このような場合には、補正対象としている。このフローは、上下左右で複数の位相差画素と隣接画素を補正対象とする。
図12に示すフローに入ると、まず、次の位相差画素の隣接画素を判断対象とする(S71)。例えば、図7に示す例では、位相差R画素(x1、y1)を開始点とすると、(x2、y1)、(x4、y1)、(x6、y1)、(x1、y2)、(x5、y2)・・・の順に順番に位相差画素の隣接画素を判断対象として選択する。なお、x方向に順次選択したが、これに限らず、y方向に順次選択してもよく、また位相差画素の周辺を順次選択するようにしてもよい。
位相差画素の隣接画素を選択すると、次に、上下左右の隣接画素のうち、2画素以上が位相差画素か否かを判定する(S73)。例えば、図7に示す例では、画素(x1、y2)は、上で隣接する画素が位相差R画素であり、下で隣接する画素が位相差T画素であることから、2画素以上の位相差画素と隣接するので、判断結果がYesとなる。
ステップS73における判定の結果、上下左右の隣接画素のうち、2画素以上が位相差画素であった場合には、補正対象とする(S75)。
ステップS75において、補正対象とすると、または、ステップS73における判定の結果、上下左右の隣接画素のうち、2画素以上が位相差画素でなかった場合には、次の位相差画素の隣接画素を判断対象画素とし(S77)、ステップS71に戻る。
このように、図12に示す段差レベル判断では、複数の位相差画素が上下左右に2画素以上ある場合には、補正対象画像としている。この場合には、クロストークの影響が強く出るために、同色の他の画素との段差レベルが大きくなり、画像に違和感が生じるからである。
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、撮像素子21の画素の一部に焦点検出を行うための位相差画素が設けられている。また、補正画素判断部53は、撮像素子21の内の位相差画素同士の配置密度を用いて、補正する対象画素を判断している(例えば、図5、6、7、図9のS7〜S13参照)。また、画素補正部55は、補正画素判断部53の出力結果に応じて、画素を補正している(例えば、図8、図9のS15参照)。このため、種々のシステムにおいても、クロストークの影響を容易に軽減することが可能となる。例えば、静止画撮影、ライブビュー表示、動画撮影等、撮像素子21の駆動モードが切り替えられ、位相差画素の配置密度が変化した場合であっても、画素補正を適切に行い、クロストークの影響を軽減することができる。
また、本発明の一実施形態においては、補正画素判断部53は、位相差画素に隣接する隣接画素もしくは位相差画素に隣接しない非隣接画素を補正対象画素とするか否かを判断する補正基準画素判断部53aを有している(例えば、図5、図6、図9のS9等参照)。位相差画素の隣接画素がクロストークの影響を受けるが、本実施形態によれば、隣接画素に対して補正するか、非隣接画素に対して補正するかを判断しているので、クロストークの影響を効率的に軽減することができる。
また、本発明の一実施形態においては、補正画素判断部53は、補正対象画素周辺の位相差画素および非位相差画素の個数に基づいて判断する段差レベル判断部53cを有している(例えば、図7、図9のS13、図12等参照)。複数の位相差画素が上下左右に隣接している場合には、クロストークの影響が強くでてしまい、他の同色画素との段差が目立ってしまうが、本実施形態によれば、このような段差を目立なくし、違和感のない画像とすることができる。
また、本発明の一実施形態においては、補正画素判断部53は、画素の出力を補正しないことを判断する補正可否判断部53bを有している(例えば、図9のS11、図10のS45、S49、S61、S65等参照)。補正対象が、隣接画素または非隣接画素となる場合であっても、補正対象が圧倒的に少ない場合には、他の同色画素との段差が気にならないことから、敢えて補正を行っていない。これによって、クロストークの影響を効率的に除去できる。
また、本発明の一実施形態においては、画素補正部55は、補正画素判断部53が位相差画素に隣接する隣接画素を補正対象とした場合に、補正対象画素を他の位相差画素に隣接しない非隣接画素に基づいて補正を行い(例えば、図8(b)参照)、補正画素判断部53が位相差画素に隣接しない非隣接画素を補正対象とした場合に、補正対象画素を他の位相差画素に隣接する隣接画素に基づいて補正を行うようにしている(例えば、図8(a)参照)。このように、補正対象の画素を、隣接画素または非隣接画素によって補正するようにしているので、クロストークの影響による段差を軽減することができる。
また、本発明の一実施形態においては、補正画素判断部は、撮像の駆動モードに応じて、判断を切り替えるようにしている。静止画撮影、ライブビュー表示、動画撮影等、撮像素子21の駆動モードは切り替わり、位相画素の配置密度が変わり、クロストークの影響が変化する。本実施形態によれば、撮像の駆動モードに応じてクロストークの影響を軽減することができる。
なお、本発明の一実施形態においては、位相差画素の隣接画素として、位相差画素の上下左右の4画素を対象としたが、位相差画素の斜め右上、斜め右下、斜め左上、斜め左下を加えてもよく、更にその外側まで広げてもよい。撮像素子21が受けるクロストークの影響に応じて、適宜、決めればよい。
また、本発明の一実施形態においては、位相差画素の配置密度として、B画素総数と位相差画素隣接B画素の比、R画素総数と位相差画素隣接R画素の比を用いた(図10のS35、図11のS51等参照)。しかし、これに限らず、例えば、位相差画素とB画素やR画素との平均距離等、他の評価値を用いてもよい。
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォーンや携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、撮像面に焦点検出用画素を有し、位相差方式による焦点検出を行う機器であれば、本発明を適用することができる。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。