JP6810642B2 - 排気ガス浄化触媒の製造方法 - Google Patents

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本発明は、排気ガス浄化触媒の製造方法に関し、さらに詳しくは、ハニカム担体に触媒を担持するウォッシュコート時に触媒スラリーが外皮部分に浸出するのを抑制できる排気ガス浄化触媒の製造方法に関する。
自動車の排ガスには、窒素酸化物(NOx)、燃料由来の未燃焼の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)など様々な有害成分が含まれ、その浄化にあたっては従来から様々な手法が提案され実施されてきた。
排ガスの発生源には、ガソリンを燃料とした自動車の他、軽油を燃料として使用したディーゼルエンジンを搭載したディーゼル自動車がある。ディーゼル自動車から排出される排ガスについては、前記のNOx、HC、COの他に、微粒子成分としてのPM(Particulate matter)も知られており、そのようなPMの浄化に使用する装置としてDPF(Diesel Particulate Filter)が広く使われてきた。
DPFはウォールフローハニカムフィルターとも呼ばれる排ガス浄化用フィルター装置の総称であるが、その構造は入口端部から出口端部に向けて隔壁に仕切られた複数のセルからなり、このセルは入口端部と出口端部で交互に目封止されたハニカム構造である。セルを構成する隔壁は通気性を有し、この通気性を利用して排ガス中からPMを濾し取ることによってPMを除去している。
DPFによって排ガス中から濾し取られたPMは、そのままであるとDPFに堆積し続けて目詰まりを起こしてしまうことから、排ガスの熱や、エンジンの燃焼室や排ガス中への燃料の噴射によってPMを燃焼させてPMの堆積したDPFを再生している。このような再生を促進する目的で、DPFのセルの隔壁に触媒成分を被覆することがあり、触媒成分を被覆したDPFをCSF(Catalyzed Soot Filter)ということがある。本出願人も、これらの触媒を組み込んだシステムを提案している(例えば、特許文献1参照)。
従来、排ガス中のPMの浄化が求められてきたのは多くがディーゼル自動車であったが、それはガソリンに比べて燃焼し難い軽油を使用することによるものであり、ガソリンの様に燃焼し易く、発生するPMの量も少ない燃料を用いる自動車については、環境問題として今まで特に注目されることはなかった。
しかし、環境問題への関心が高まる中、排ガス中の有害成分への規制も厳しさを増し、ガソリン自動車から排出されるPMについてもその排出量を規制する動きが有る。特に近年は燃費についても市場の関心が高く、ガソリンエンジンにおいては緻密な制御のもと燃焼室内にガソリンを直接噴霧供給する直噴型エンジンが主流になりつつある。しかし、このような直噴型ガソリンエンジン(GDI:Gasoline Direct Injection)においては、噴霧されたガソリンの一部が微粒子の状態を保ったまま燃焼室内が燃焼状態となることから、粒子状の燃料に由来した不完全燃焼によって、従来のインテークマニホールドから燃料と空気の混合ガスを供給するガソリン自動車に比べて多くのPMが発生することがあり、排出規制の必要性もより現実味を増す様になってきた。
このようなガソリン自動車から排出されるPMの除去にも、ディーゼル自動車用のDPFと同様にウォールフローハニカムフィルターを使用することが考えられるが、ガソリン自動車の特性からディーゼル自動車用のDPFをそのまま転用することは以下のような理由により難しかった。
ガソリン自動車とディーゼル自動車の大きな違いの一つとして排ガスの流速が挙げられる。ディーゼルエンジンは高圧力で圧縮された空気に対し燃料を噴射し、その圧力の作用により燃料を着火し爆発させることで運動エネルギーを取り出している。高圧縮であることから効率の良いエンジンではあるが、高圧縮な状態を作る必要があることからエンジンの回転数がガソリン自動車に比べて低く、そのため排気ガスの温度も低いため、従来のフィルタータイプのハニカム、すなわちDPFではハニカム構造体の強度を向上するために外皮部分については緻密な高強度セラミックス材料で構成されていた。
しかし、ガソリンエンジンからの排ガスにおいては、ディーゼルエンジンの場合とは状況が異なる。ガソリンエンジンは、点火プラグによって混合気に着火するため、一般的なディーゼルエンジンに比べて圧縮比が小さい。そのため、エンジンを高回転で稼働させ、高出力を得ることができるが、走行中の排ガス温度が高くなる。更に、近年の燃費向上に関する市場からの要求により、車両の軽量化を目的に高出力エンジンについても小型化する傾向がある。小型エンジンで高出力を得るためにはエンジンを高回転で稼働させたり、過給器により多量の空気をシリンダー内に供給する必要があるが、高回転や過給状態で稼働させたエンジンから排出される排ガスの温度は更に高くなる。このような高温の排ガスに対し、従来のDPFのようなハニカム構造体、すなわちその外皮部分(以下、外周壁ともいう)に別材料からなる壁をつくると、走行中の温度がディーゼルエンジンよりも高温となるガソリンエンジン用触媒では、熱膨張率の差等によりクラックが生じるなどの問題も懸念される。このため、一体成型のものが好ましい場合がある。
従って、ガソリンエンジンの排ガス中からPMを除去するフィルターでは、DPFのように強度を求めて緻密な外皮部分を設けないハニカムフィルターが検討されている。このようなガソリンエンジン用のPMフィルターをGPF(Gasoline Particulate Filter)ということがある(例えば、特許文献3参照)。
GPFであれば、高温になるガソリンエンジンの排ガス中のPMを除去することが可能である一方、触媒の製造工程において新たな課題が生じていた。
一般的にガソリンエンジンの排ガスの浄化には白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を含有した三元触媒(TWC:Three way Catalyst)という、NOx、HC、COを同時に浄化する成分で触媒化したハニカム構造体が使用されている。従来のTWCは、DPFのようにセルの両端面で互いに目封止をしたハニカム構造体ではなく、フロースルーハニカムと言われるセルの両端面が解放されたハニカムのセルの隔壁に触媒成分を被覆して使用されてきた。このようなフロースルーハニカムであれば、背圧の上昇も少なく、ガソリンエンジンのように高流速の排ガス処理に適している。
フロースルーハニカムやDPFに限らず、ハニカム担体をTWCのような触媒組成物で触媒化するにあたっては、一般にウォッシュコート法と言われる製法が適用される(例えば、特許文献2参照)。
ウォッシュコートには多様な手法が提案・実施されているが、ハニカム担体の中間位置をクランプで把持した後、下部の一部を液浴に浸漬して触媒成分含有液を含浸させ、該担体をスラリーから引き上げて反転させ、次いで、該担持体にエアーブローして余剰スラリーを分離し、該担体全体に触媒成分含有液を含浸、付着させる方法がある(例えば特許文献5)。その基本原理は「ハニカムセル内部にスラリー化した触媒成分を供給する工程」、「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」からなる。「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」において、フロースルーハニカムであれば特段の支障なく余剰なスラリーの除去が可能である。また、従来のDPFにおいても緻密な外皮部分を有することから、この場合も余剰スラリーは支障なく除去可能である。
しかしながら、GPFでは高温の排ガスを処理することから、その外周壁はセルの隔壁と同様に通気性のある多孔質から構成され、30%以上の気孔率、さらには50%以上の気孔率を有するハニカム構造体を用いる必要がある。
GPFに使用される比較的小型のハニカム構造体は、通常、隔壁と外皮とが一体的に形成されたものである。このようなハニカム基材は、押出成形により、隔壁と外周壁とを同時に成形し、得られた成形体を焼成することにより作製されるものであり、外皮と隔壁とが同一の気孔率を有する。また、このような小型のハニカムを用いることから、フィルターとしての幾何学的な面積も小さく、圧力損失による出力低下の懸念は大きなものであった。
また、ハニカムセルの端部が目封止されていることから、ウォッシュコート時における「供給されたセル内の触媒スラリーを空気圧で払い出す工程」において目封止部分が障害になり、空気圧で払い出されるスラリーが外皮部分から浸出してしまうという問題が有った。
このように外皮部分からスラリーが浸出してしまうと、ウォッシュコート装置が汚れるのみならず、高価な貴金属を無駄にしてしまう。特に大量生産時には外皮部分に浸出したスラリーが装置に堆積してしまい、動作不良の原因になる恐れも有った。また、外皮部分からのスラリーの浸出は、浸出したスラリーが接着剤のように働き、図4(B)に示すようにハニカムが装置から離れにくくなる場合があった。
また、自動車触媒成分として高価な貴金属を使用することから、コスト管理の目的からその成分量は厳密に管理されており、外皮部分からスラリーが浸出してしまうと成分量の管理が困難になり、このような成分量のバラツキは製造上の不具合とみなされる。また、自動車触媒の性能は、適切な触媒量の管理によって初めて工業的に実施可能となるが、スラリーが外皮部分に浸出してしまうことで、大量生産時における各ハニカムが担持する触媒量の管理が困難になり、安定した浄化性能の実現が極めて困難であった。
また、GPFではDPFに比べて高温な環境で使用されることから、DPFのような緻密な外皮部分を設けてしまうと、セルの隔壁と外皮部分との間で熱膨張率の差が生じてクラックが発生し易いという問題もあった。クラックが生じたハニカムはフィルターとしての機能を失う。そのため、GPFに使用されるハニカムではセルの隔壁と外皮部分とが同質、すなわち熱膨張率を同じに設定する必要があった。このようにセルの隔壁と外皮部分を同質にする手段としては、セルの隔壁と外皮部分を同一材料で一体に成型することも考えられる。
しかし、このようにセルの隔壁と外皮部分を同質にすると、外皮部分も多孔質で形成することになり、触媒スラリーをウオッシュコートする際にスラリーが外皮部分に浸出してしまうことは前述のとおりである。
このように、GPFに好適な、外皮部分からのスラリー浸出を防止しうる手段が望まれおり、また、安定的に安価に適用でき、大量生産が可能な手段であることも望まれる。
再公表2013−172128号公報 特表2003−506211号公報 特表2015−528868号公報 特開平7−10650号公報 特表2003−506211号公報
本発明の目的は、このような事情に鑑み、ハニカム担体に触媒スラリーを含浸被覆してハニカム触媒を調製する際に、外周壁から触媒スラリーの浸みだしを抑制可能な排気ガス浄化触媒の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ハニカム担体を弾性把持治具で把持する際に、弾性把持治具の弾性体でハニカム担体端部の特定位置を把持して、ウォッシュコートで触媒を担持することで、ハニカム担体のセルに触媒組成物を強い減圧で吸引しても、触媒スラリーが外皮部分に浸出することを防止できるとともに、GPFを安定して大量生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、
前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記排気ガス浄化触媒の製造方法において、前記ハニカム担体を把持する第1の工程で、弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内において弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆した後、弾性把持治具の弾性体によるハニカム担体の把持位置を前記下端が新たに上端になるように変え、弾性把持治具によるハニカムの把持位置は、前記空間内のハニカムの新たな上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の新たな下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第7の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第8の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する第9の工程を繰り返し、
その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を含むことを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記弾性把持治具は、弾性体の上端がハニカムの全長1/10以内の位置、あるいはハニカム上端の下方10mm以内の位置のうち、ハニカム上端側の露出長さがより短くなる位置において弾性体で把持することを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記ハニカム担体は、外皮部分の気孔率が、50〜80%であることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記ハニカム担体の外皮部分は、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10〜30μmであることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記ハニカム担体のセルは、入口端面側の開口端部及び出口端面側の開口端部に目封止部を有し、該目封止部が互い違いに配置されていることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記触媒成分は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法が提供される。
本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法によれば、ハニカム担体のセル隔壁に触媒スラリーを被覆する際に、触媒スラリーが外皮部分から浸出しにくいので、ウォッシュコート装置が汚れることなく、弾性把持治具の弾性体をハニカムから引き離やすくなるから生産性も上がる。また、高価な貴金属を無駄にすることもなく、触媒成分量の管理が容易になり、触媒の大量生産と、触媒の安定した浄化性能が実現できる。
本発明によりハニカム担体を用いて、排気ガス浄化触媒を製造する一連の工 程を模式的に示した説明図である。 本発明により排気ガス浄化触媒を製造する工程を模式的に示した別の態様と なる説明図である。 ハニカム担体を用いて、従来法により排気ガス浄化触媒を製造する工程を模 式的に示した説明図である。 スラリーがセル内に塗布されたハニカム担体から、把持治具(バルーン)を 引き離す工程を模式的に示した説明図である。(A)は本発明、(B)は従来例である。 ハニカム構造体(担体)の外観を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は、それらの実施形態に限定解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等を加え得るものである。
1.ハニカム構造体
本発明で用いられるハニカム担体(ハニカム構造体ともいう)は、図5に示すように、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム状の基材1である。
ハニカム状の基材は、隔壁によって、一方の端面から他方の端面へ向かって伸びる多数の通孔(セル)が形成されており、これらが集まってハニカムを形成している。
ハニカム担体は、その構造の特徴から、フロースルー型(フロースルーハニカム)とウォールフロー型(ウォールフローハニカム)に大別されている。フロースルー型は、一方の開放端面から他方の開口端面に向けて開口する多数の通孔端部が封止されておらず、酸化触媒、還元触媒、三元触媒に広く用いられている。これに対し、ウォールフロー型は、通孔の一端が、互い違いに封止されているもので、排気ガス中の煤やSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)等、固形成分を濾し取ることができるため、DPFとして用いられている。本発明はそのどちらにも使用できるが、GPFのような多孔質の外周壁を有するハニカム状の基材では、製造時に触媒スラリーが外皮部分に浸出することを防止できることから、特にGPFに用いられるウォールフローハニカムに好適に使用できる。
また、ハニカムを構成する隔壁から排気ガスを外部に逃がす必要から、隔壁は、多孔質体により形成される。多孔質体として通常用いられている無機酸化物からなるもの、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、コージェライト、ムライト、アルミナ、シリカ−アルミナ、スピネル、炭化珪素−コージェライト系複合材料、リチウムアルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート等のセラミック材料が好ましい。これらの中でも、コージェライトが特に好ましい。ハニカム基材の材料がコージェライトであると、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を得ることができるためである。
また、隔壁と外皮部分とは、材質が同じであっても異なるものでもよい。GPFでは同質材料により形成されることが好ましい。同質材料とはサーマルショックによるクラック発生が防げる程度の熱膨張率や気孔率の差の範囲である材料のことを示す。さらに、同一材料による一体成型で製造されることが好ましい。効率的な製造が可能であり、材料の違いによる問題を回避できるためである。また、高温となるガソリンエンジン用触媒では熱膨張率の差によりクラックが生じるなどの問題も懸念される。このため、隔壁と外皮部分とは、熱膨張率の同じものであるか、一体成型のものが好ましい。
また、目封止部の材質は、ハニカム基材の材質と同様な材質が好ましい。目封止部の材質とハニカム基材の材質とは、同じ材質でも、異なる材質であってもよい。
隔壁および外周壁には多数の細孔が存在していることが好ましい。このような細孔の特性は細孔容積、細孔径としてもあらわされ、ガス吸着法、アルキメデス法、水銀圧入法 など様々な手法によって測定できるが、本発明においては特にことわりの無い限り、水銀圧入法により圧入圧力400MPaで測定し得られた値のことをいう。
本発明におけるハニカム構造体は、セルの隔壁、外皮部分の細孔容積は0.3〜1.6 ml/gである場合に有効であり、0.8〜1.6 ml/gであることが好ましく、1.0〜1.6 ml/gであるとより好ましい。また、ハニカム基材(隔壁及び外周壁)の平均細孔径は10〜25μmである場合に有効であり、15〜25μmであることが好ましく、20〜25μmであるとより好ましい。
また、このような細孔の特性は、気孔率(細孔容積率)として表すこともできる。本発明におけるハニカム構造体の気孔率とは、セルの隔壁と外周壁の厚みと長さ、セルの密度から求められる多孔質体の幾何学的な体積における細孔容積の占める割合を意味するものであり、本発明においては50〜80%であり、60〜80%が好ましく、60〜70%がより好ましい。
細孔容積、細孔系、気孔率が大きすぎるとハニカム担体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。また、細孔容積、細孔系、気孔率が小さすぎると十分な強度が得られないことがある。
また、セル壁である隔壁の厚みは、1〜18mil(0.025〜0.47mm)が好ましく、6〜12mil(0.16〜0.32mm)がより好ましい。隔壁が薄すぎると構造的に脆くなり、厚すぎるとセルの幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまうおそれがある。また、隔壁が厚すぎると圧損が高くなり、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くおそれがある。
ハニカム基材の外周壁の厚さは、300〜1000μmであることが好ましく、500〜800μmであることが特に好ましい。外周壁の厚さが300μm未満であると、十分な強度が得られないことがある。また、外周壁の厚さが1000μmを超えると、ハニカム構造体の圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。
隔壁によって形成されるセルは、通常、直径あるいは一辺が凡そ0.8〜2.5mmであり、その密度は、単位断面積あたりの孔の数で表され、これはセル密度とも言われる。ハニカム構造体のセル密度は、特に制限されないが、100〜1200セル/inch2(15.5〜186セル/cm2)が好ましく、150〜600セル/inch2(23〜93セル/cm2)がより好ましく、200〜400セル/inch2(31〜62セル/cm2)である事が特に好ましい。セル密度が1200セル/inch2(186セル/cm2)を超えると、触媒成分や、排気ガス中の固形分で目詰まりが発生しやすく、圧力損失が高くなりすぎて、GPFとして用いた場合に、エンジンの出力低下を招くことがある。
100セル/inch2(15.5セル/cm2)未満では幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下してしまい排気ガス浄化触媒としての有用性がなくなるおそれがある。また、GPFとして用いた場合に、フィルターとしての有効面積が不足して、PM堆積後の圧力損失が高くなり、エンジンの出力低下を招くことがある。
ハニカム構造体が適用されるガソリン車用のTWCでは、ハニカム基材は、少なくとも外皮部分が隔壁と同質で多孔質体を有する多孔質体により形成されていることが必要である。本発明によるGPF製造時には、被覆によって触媒スラリーが外皮部分に浸出することを防止できる。
セル隔壁および外皮部分には多数の細孔が存在している。セルを複数有するハニカム隔壁、外皮の気孔率は、30%以上であり、50〜80%が好ましく、60〜70%がより好ましい。また気孔径は、10〜30μmが好ましく、15〜25μmであることがより好ましい。なお、本発明において、気孔率の測定法は、特に限定されないが水銀ポロシメーターによる計測法が挙げられる。
ハニカム構造体の形状は、特に限定されるものではなく、一般的に知られている円柱形、円柱状に類する楕円柱状のほか、多角柱なども含まれる。好ましいのは、円柱形あるいは楕円柱状のものである。
また、セルのハニカム基材の長さ方向に対して垂直な断面における形状(以下、「セル形状」という。)も特に限定されないが、四角形、六角形、八角形等の多角形あるいはそれらを組み合わせたもの、例えば四角形、六角形、四角形と八角形を組み合わせたもの等が好ましい。
なお、ハニカム基材の大きさは、直径60mm程度かつ長さが70mmのように比較的小ぶりなものから、直径300mm程度かつ長さが200mmのように大型なものもあり、本発明は、これらサイズによって制限されない。
ハニカム基材の外周壁の外側表面の全域、または一部区域に樹脂組成物との接触で外皮層を形成することができる。本発明では、ハニカムの少なくとも両端に樹脂組成物による外皮層が形成されていると好ましい。外皮層は、両端部から10〜20mm程度の幅で、外周壁の細孔内に含浸できるような樹脂組成物(シーラー)を含んでいることが好ましい。
このように両端部にシーラー処理を施す事は必須ではないが、仮に製造上の問題で触媒スラリー吸引時にハニカムの外周壁の端部が負圧雰囲気に露出することになっても触媒スラリー浸出を防ぐことができる。
樹脂組成物の種類などは、特に限定されず、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレングリコール(PEG)、寒天、ゼラチン、でんぷん、スクロース、ろうまたはワックスなどが使用できる。
ハニカム構造体をGPF等のPM捕集フィルターに用いる場合、所定のセルの入口端面側の開口端部及び残余のセルの出口端面側の開口端部を目封止する目封止部を形成している。
このように、ハニカム基材の各セルの一方の開口端部を目封止部にて目封止することにより、ハニカム構造体は、高いPM捕集効率を持ったウォールフロー型フィルターとなる。このウォールフロー型フィルターにおいては、入口端面からセル内に流入した排ガスが、隔壁を透過した後、出口端面からセル外に流出する。そして、排ガスが隔壁を透過する際に、隔壁が濾過層として機能し、排ガス中に含まれるPMが捕集される。
尚、目封止部は、入口端面と出口端面とが、それぞれ、目封止部によって開口端部が目封止されたセルと、目封止部によって開口端部が目封止されていないセルとにより、互い違いの市松模様を呈する配置となるように形成されることが好ましい。しかし、本発明の実施形態は、このようなウォールフロー型フィルターに限られるものでは無い。
外周壁の外側表面への触媒スラリーの浸み出しや、強度不足の問題は、気孔率が50%以上であるような高気孔率のハニカム構造体において特に顕著となる。よって、本発明は、気孔率が50〜80%のハニカム基材を用いた場合に有用性が高く、気孔率が60〜70%のハニカム基材を用いた場合に特に有用である。
2.排気ガス浄化触媒の製造方法
本発明の排気ガス浄化触媒の製造方法は、複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする。
従来、ハニカム担体への触媒組成物スラリーによるウォッシュコート法では、例えばDPFの場合、図3に示すように、ハニカム担体の外周部のほぼ中間位置に弾性把持治具を当接させ、バルーン等の弾性体でハニカム担体を把持している。このとき、次のセル内にスラリー液を吸い上げる工程で吸引操作が必要なことから密着把持が望ましいとされている。
ハニカム担体の外周部のほぼ中間位置に弾性把持治具を当接させて把持するのは、DPF用担体は外皮が比較的緻密で機械的強度も大きいが重量・サイズが大きく、何らかの衝撃でハニカムが脱落し損傷するのを防ぐためと考えられている。また、ほぼ中間位置で把持するとコーティング時にバランスがとりやすく、位置ずれ等による影響も受けにくいと考えられる。また、GPF用担体の外皮は空隙率が高く、DPF用担体に比べても脆く、端部で把持すると破壊の恐れが有るためである。いずれもハニカムの把持位置は、安定して工程を進めるためには、中間部を把持するのが好ましいとされていた。
ところが、図3の上段に示す1回目コートのように、弾性把持治具の弾性体でハニカム担体を把持してからスラリー吸引した後(矢印2から3)、ハニカム担体を反転させ上方から空気を吹き付け、セル内に触媒成分を被覆する工程(矢印5)で、前の工程での吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける外皮の部位でスラリーが浸出する。その後、図3の下段に示す2回目のコートをする場合も同様であり、弾性把持治具の弾性体でハニカム担体を把持してからスラリー吸引した後(矢印7から8)、ハニカム担体を反転させ上方から空気を吹き付け、セル内に触媒成分を被覆する工程(矢印11)で前の工程での吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける外皮の部位でスラリーが浸出する。
このような傾向は、吸引時の減圧が大きいときに顕著であり、ハニカムを長さ方向の中間部で把持していると、把持部よりも上方の外皮からスラリーが浸み出てきやすいことになる。
また、こうした触媒製造上の不具合のみならず、正確な触媒担持量の制御が出来なくなり、浸みだした触媒組成物のスラリーは、ハニカム構造体における排ガス浄化に有利な表面であるセルの隔壁には担持されないことになり、通常貴金属を多く使うTWCなどでは高価な貴金属を無駄にすることになり、コスト的にも不利になる。
そのため、本発明では、ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、ハニカムが減圧の影響を受ける部位を従来よりも短くなるようにするのが好ましい。これにより、少なくともハニカム全長2/3を超えるハニカム外皮部分から触媒スラリーの浸みだしを抑制しやすくなる。
弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、ハニカム端部に近くなるほど効果的であり、より好ましいのはハニカム上端側の露出幅がないことである。このように、弾性把持治具の弾性体により、ハニカムの浅い位置で把持することで吸引時の圧力の影響を受ける部位を減らすほど、外周部のスラリー浸出部位を減らすことができる。
I. 一回コート
本発明では、前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されるようになる。
本発明で製造する触媒は、自動車から排気ガスに含まれる微細な粒子状物質を除去するために、ハニカム担体をフィルターとして用いているため、外壁にマクロポアが存在し、それらが連通した箇所も存在する。すなわち、外皮の空隙からスラリー液が染み出しやすい構造になっている。
本発明は、ガソリン車から排出される排気ガス中の微細な粒子状物質(PM)を捕捉するハニカムフィルター担体を、その外周部において弾性把持治具で把持し、NOx、CO、炭化水素を浄化する三元系触媒(TWC)の触媒成分をセル内もしくはセルを構成する隔壁内部に担持する場合に好適であるが、これに限らずディーゼル車からの排ガス浄化用ハニカム触媒の製造にも適用することができる。
次に、図1を用いて製造工程毎に詳述する。
(1)第1の工程:ハニカム担体の把持
まず、図1のように、ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する。
本発明において、弾性体とは、例えば中空のドーナツ状部材で風船や浮輪、タイヤのチューブのように内部に空気を出し入れできるもの(以下「、バルーン」ともいう)、あるいは軟質の樹脂製部材で表面がわずかに伸縮性になっているもの、などを例示できる。バルーンは円周方向に二分割できるもの、あるいは二点支持の弾性把持治具(アーム)にお椀状に取り付けられるものであってもよい。これらは空気の出し入れや接触圧力の調整で、充分な機密性をもってハニカムへの密着性を制御することができる。
この把持操作のとき、弾性把持治具は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるように、ハニカム担体を弾性体で把持することが好ましい。
ただし、装置の工夫によってはハニカム上端側の露出がなく把持出来れば、そのような対応が最も好ましい。上記のようにわずかに上端側が露出したハニカムからは後述するスラリー吸い上げ工程においてスラリーの浸出が懸念されるが、本発明の把持位置を持ってすればスラリーの浸出部分を短くできる。また、スラリーはその装置環境を低温状態におくことで流動性を低下させるなどの手段によりその浸出量を抑制する事も可能になる。
ハニカム基材の大きさが、直径60mm程度で長さが70mmのように比較的小ぶりなものは、軽いのでハニカム上端部が露出なく把持しても問題はない。また直径300mm程度で長さが200mmのように大型なものは重くなるが、本発明では、例えば弾性把持治具の弾性体の材質選定や把持力制御などによって、ハニカム全長に対して3分の1以内の露出長さになる位置にて弾性体で把持することによって対応できるであろう。
(2)第2の工程:減圧によるスラリー液の吸い上げ
弾性把持治具の弾性体でハニカム担体を把持しながら、図1の矢印2,3のように、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる。
スラリー液槽には、所定量のスラリーが貯留されている。ハニカムを浸漬する都度、スラリー液が減少していくが、減少量は自動的に補充される。
スラリー組成であるが、三元系触媒(TWC)の場合は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を主とする触媒成分が用いられる。貴金属等の触媒は、セル隔壁に高分散状態で担持させるため、予めアルミナのような比表面積の大きな耐熱性無機酸化物に一旦担持させた後、ハニカム担体のセル隔壁に担持させることが好ましい。尚、触媒を担持させる耐熱性無機酸化物としては、アルミナ以外に、耐熱性を向上させる成分、酸素を吸蔵し放出する成分として、用途によってはゼオライト等を用いることもできる。また、貴金属等の触媒は、Ce、Zr、あるいはこれらの複合酸化物等からなる助触媒に固定化した上で、ハニカムのセル隔壁に担持させてもよい。
アルミナなどの粒子に担持された貴金属成分は、水媒体に分散し、必要に応じて増粘材などの添加剤を含むスラリーとして液槽に蓄えられている。このような成分を含むスラリーは泥漿状であることから粘着性を有し、それが、バルーンなど弾性体の固着の原因ともなっている。
本発明のハニカム触媒の製造に使用される触媒組成物のスラリーは、無機粒子の種類や粒度などで限定されるものでは無いが、少なくともその一部が隔壁の細孔内部に浸入出来ることが好ましく、このような触媒組成物のスラリーは、その粒度分布における小粒径側からの累積分布が90%となるときの粒子径D90が5μm以下となるように、ボールミルなどで微粒子化されていることが好ましく、より好ましくはD90が3μm以下である。このようなD90が5μm以下であることで、隔壁の細孔内部へ、適切な量の触媒成分が浸入可能になる。特にGPF用途としてウォールフローハニカムを使用する場合、排ガス中の有害成分と共に煤等の微粒子成分の浄化能力も充分に発揮されると共に、いたずらに圧力損失を招く事も無い。
従来の方法では、この工程で、ハニカム内部のセル全域にコートできるスラリー量が吸い上げられていた。ところが、スラリー吸引量が多いと、減圧したときにハニカム上端やハニカム担体上端を含む減圧空間内の側面から􄬨れたり浸み出しやすかった。
これに対して、本発明では、ハニカムの軸線の長さ全体がコートできる量のスラリーを供給することを除外するわけではないが、減圧度を調整してスラリー吸引量を控えめにするとか、弾性体に対してハニカム担体上端を含む減圧空間内のハニカム上端側の露出長さを短くすると、スラリーの浸み出し部分が小さくなり、仮にスラリーを上端近くまで吸い上げても、ハニカム外皮部分からのスラリー浸み出しが少なくなる。
(3)第3の工程:スラリー液浴からのハニカム引き上げ
触媒成分の含浸されたハニカム担体は、図1の矢印3のように、スラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる。
ここではスラリーの滴り量を制御して塗工量を調整するため、必要に応じて弱めの吸引を加える場合もある。スラリーが十分にセル内に吸引されれば、そのまま次の工程に進むことができる。スラリーを吸引した後、反転しないで、そのままエアーブローを行った場合、スラリーが被覆されない部分が残ることになる。
弾性把持治具の駆動部を操作して反転させることができ、この反転操作を行えば、一層確実にスラリーの浸みを抑制しうる。
(4)第4の工程:エアーブロー
次に、図1の矢印6のように、ハニカムを把持した弾性把持治具の上部にフードを被せて、ハニカム担体の上方からエアーブローする。
従来の方法で指摘されていたスラリーの浸みだしの問題は、エアーブローの圧力(流量)が強いと一層大きくなる。スラリー液を吸引する時には、液がセル内にとどまり、外壁の細孔にまで入る量は少ない。ところが、ハニカムを反転させて空気を吹きこむときになると、その圧力(流量)で、セルの内面に付着していた液が、細孔から押し出され、外壁から外部へ滲み出てきやすい。そのため、ハニカムを長さ方向の中間部で把持していると、把持部よりも上方の外皮からスラリーが滲み出てくることが多かった。
これに対して本発明では、このエアーブロー工程において、弾性把持治具は、前記ハニカム担体の把持工程において、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるように弾性体で把持した状態になっている。装置によってはハニカム全長に対して10分の9以上の長さがフード内に入る位置にて弾性体で把持した状態にできることもある。
こうすると、ブロー加圧時にハニカム内部と外部の圧力差が少ない部位を長くすることができる。すなわち、フード内側はブローにより加圧状態となるが、ハニカム内部の圧力とバランスし、半径方向(外壁方向)にスラリーが移動し難くなる。把持部からの露出長さが短いことから、スラリーの浸み出しが無いか、ブロー時の圧力の影響を受けて外壁方向に移動するスラリーの量も少ないため、浸み出し部が有っても長さは短く、浸み出し量も少ない。
これにより、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されながらセル内に触媒成分が被覆される。貴金属の担持量は、ハニカム担体の単位体積当たり、0.3〜3.5g/Lとすることが好ましい。
なお、エアーブローによってハニカム下端から出てくるスラリー余剰分は、組成の変化を防ぐために前記スラリー液槽に戻さず、別の液槽に受け入れることが好ましい。
(5)第5の工程:弾性把持治具の分離
その後、図4(A)に示すように、ハニカムを把持した弾性把持治具を移動させ、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する。スラリー塗工後のハニカムは、把持部がバルーンであれば空気を抜けば収縮するので分離され、軟質の樹脂であれば機械的に後退させることで分離される。
ハニカムは外皮部分から触媒スラリーの浸みが抑制されたので、弾性把持治具の弾性体
がハニカムとの固着も弱く容易に分離する。
GPF用担体の外皮は空隙率が高く、DPF用担体に比べても脆く、端部で把持すると破壊の恐れが有るが、分離が容易なので破壊することはなくなる。
なお、本発明ではハニカムとして外表面の少なくとも把持部に有機系薄膜が形成されているものを用いると、バルーンとの接触部で圧力変動を受けにくいことも相まって、固着の領域を狭めることができる。
(6)第6の工程:乾燥、焼成
1回コートでは、最後にハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する。これにより一層で触媒がハニカム担体に担持される。
ここで、乾燥・焼成の条件は、特に制限されないが、乾燥は例えば100〜200℃で0.1〜3時間かけて行い、焼成は例えば酸化性雰囲気下、400〜600℃で0.5〜5時間かけて行うのが好ましい。
上記工程は、自動化され、アームの伸縮、回転、走行、ベルトコンベアによるハニカムの移動、フードの装着・脱着、減圧装置、エアーブロー装置などが自動制御されている。そして、この間にハニカムが減圧されセル内に所定量の触媒スラリーが入り、反転させられて、空気(エアー)ブローによって、セル内で展延され、下端にわずかに塗り残しがみられる一層のハニカム触媒が得られる。
II. 2回コート
本発明は、上記1回目のコートにより得られた触媒に対して、同様な操作を行ってハニカム触媒を製造する方法である。
すなわち、前記ハニカム担体を把持する第1の工程で、弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内において弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆した後、
弾性把持治具の弾性体によるハニカム担体の把持位置を前記下端が新たに上端になるように変え、弾性把持治具によるハニカムの把持位置は、前記空間内のハニカムの新たな上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の新たな下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第7の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第8の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する第9の工程を繰り返し、
その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を行うものである。
本発明ではハニカム担体をGPF用のウォールフロー型ハニカムとし、このハニカムに触媒組成物スラリーをウオッシュコートする場合、その被覆量はハニカム構造体の単位体積当たり10〜200[g/L]であることが好ましく、30〜100[g/L]がより好ましい。触媒量が10[g/L]であると排ガス中の微粒子成分と共にCO,HC,NOxについて優れた浄化性能が期待でき、200[g/L]以下であればウォールフロー型ハニカムのフィルターとしての機能に阻害する事が無い。ところが、1回だけでは、塗布にむらが生じて、上記の範囲に収まらないことがある。
触媒スラリーを2回に分けて塗るのは、一度の塗布ではハニカムの軸線方向に触媒成分量の勾配が大きくなってしまうため、それぞれ両端から塗ることで濃度勾配を少なくし、ハニカム触媒各部位における触媒性能を安定させるため、また供給するスラリーをセルの長さの全域の塗り延ばしに少し足りない量とすることで、エアーブロー時に排出されるスラリー(残スラリー)の量を少なくするためである。
また本発明は、ウォールフロー型を対象とすることから、一度のコーティングではセルの隔壁の一方の面からの被覆では充分な触媒量が被膜出来ない事がある。このような場合にもハニカムの浸漬場所を反対にして空気吹き付けまでの工程を再度繰り返すことが有効で、必要な触媒量をハニカムに被覆することができる。
このような2回コートによれば、触媒成分をセルの隔壁の表と裏で二種類の触媒層を設ける事もできる。
(7)第7の工程:ハニカム担体の再把持
この工程以降のハニカム構造型触媒の製造方法を図2に示す。まず、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆し、下端に塗り残しがみられるハニカムを弾性把持治具の弾性体によって、適切な位置で把持しなおす。このとき弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内おいて弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持するのが好ましい。
2回目の触媒コートにおけるスラリー液の吸い上げは、一回目でスラリー液の吸い上げをしなかった端面を対象に行う。1回目終了後、弾性体(バルーン)はハニカム下端を把持した状態にある。しかし、スラリーの浸みが抑制されており、弾性体(バルーン)をハニカム上端方向へ容易に移動可能なので、ハニカム担体の把持位置を1回目とは反対側に変え、弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内において弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるようにするのが好ましい。
この他に、いったんハニカムを作業台に下して、回転させてから弾性体でつかむという方法も考えられるが、手間が増えるので好ましくない。
2回目もハニカムの浅い位置で把持することで吸引時の圧力の影響を受ける部位を減らし、外周部のスラリー浸出部位を減らし、前記フィルター担体の外周に触媒成分含有液が浸み出て弾性把持治具の脱離に支障をきたすことのないようにしている。
(8)第7の工程:スラリー液の吸い上げ
その後、図2の矢印7,8のように、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することで、セル内にスラリー液を吸い上げる。残スラリーは組成、濃度が変化してしまっていて、そのままでは再使用出来ないため新たに調製されたスラリー液槽が使用される。
(9)第8〜9の工程:触媒スラリーによる再被覆
次に、図2の矢印9のように、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させた後、図2の矢印11のように、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する。
この工程は、1回目コートの要領と全く同じである。
(10)第10〜11の工程:ハニカム担体の分離と乾燥・焼成による触媒成分の担持次に、図4(A)に示すように、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を行う。
この工程も、1回目コートの要領と全く同じである。これによりアルミナなどの無機粒子に担持された貴金属は、それを含むスラリーによって、二層でハニカムに担持される。
前記のとおりスラリーの成分には、触媒材料をセル内に被着しやすくする粘着性の物質も含まれており、それが、弾性把持治具の弾性体であるバルーンなどの固着の原因ともなっていたが、本発明ではハニカム端部の特定箇所で把持するので、バルーンとの接触部で圧力変動を受けにくいことも相まって、固着の領域を広げることはない。
以下、本発明の実施態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施態様1>
(1)コージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径120mm、長さ90mm)をGPF用のハニカム担体として用い、図1の要領で、ハニカム担体1の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)2に当接し、バルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するように把持する。図1では、弾性体2が椀状に表記されているが、タイヤホース様で、ハニカムの外周面に密着把持される。ハニカムの上方は気密性のある空間になっている。なお、図示していないが弾性把持治具には減圧装置が接続されている。
触媒スラリー液槽6内には、液量が一定になるよう触媒スラリー液で満たされている。触媒スラリー液は、貴金属のRhをアルミナに担持した三元系触媒(TWC)成分を水でスラリー化したものなどが用いられる。
(2)弾性把持治具(バルーン)で把持されたハニカムは、その下端から触媒スラリー液槽内に漬ける。スラリー液槽に漬かるハニカムの下端位置は、特に制限されないが5〜30mm程度とする。
(3)次に、弾性把持治具の気密性空間を減圧装置によって高い負圧にする。ハニカム下端から触媒スラリーがセル内に流入し、セル内壁をスラリーで被覆しながら、ハニカム上端方向にスラリーが移動する。このとき、吸引程度は約3分の1が塗り残された状態となる。ハニカムの先端4は、弾性体より上に5mmと露出部位が短いので、スラリーの浸み出し部分がない。仮にスラリーをハニカム上端まで吸い上げても、浸み出しはこの限られた部位のみと少なくなる。
なお、従来の方法では特にハニカム担体の把持位置に制限が無く、製造上の取り扱いの容易さから、図3の矢印2で示されるようにハニカム中間部を把持することが多かった。そのために、GPF用のハニカム担体のように外皮の空隙率が高い担体では、吸引でハニカム上端に10mm程度の塗り残しが生じるようにスラリーを吸引したとしても、その吸引中に弾性体から上部にかけて多量のスラリーの浸みが発生していた。このようにハニカムセル内に負圧がかかり、その吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける部位でスラリーが浸出する。
本発明では、ハニカムの端部かその若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
(4)スラリーを吸引したハニカムをスラリー液槽から引き上げ、反転させる。スラリー液槽から引き上げる際に、吸引を続けてもよい。その後、反転させることで、矢印5のようにハニカムセルに塗り残しがある部分が下方に、セルにスラリーが塗られた部分が上方になる。
(5)この状態で、ハニカムのセルにスラリーが塗られた部分にフード7が被せられる。フードは弾性体の上端から上のハニカム部位を覆っている。そして、図示していないがフードに接続された空気ブロー装置から空気が供給され、セル内のスラリーが下方に流れる。このとき、セル外皮は外部から加圧された状態にあり、スラリーが外皮から浸出することはない。
(6)ハニカム外皮にはスラリーが􄬀かしか浸み出ていないため、ハニカムから弾性把持治具を容易に分離できる。引き離されたハニカム担体は、静置または加熱装置にて25〜100℃で乾燥した後、400〜600℃にて0.5〜3時間焼成して触媒成分が担持されるが、GPF用では、繰り返し、上記の操作が行われる。
<実施態様2>
(7) 本発明の異なる実施形態では、上記の実施態様1で触媒スラリーがセル内に塗布されたハニカムを用いて、乾燥・焼成を行わずに、同様な操作を繰り返す。図2の要領で、ハニカム担体1の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)2に当接するが、第1の工程でバルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するように把持したので、ハニカムから弾性把持治具を容易に分離できている。この工程でのハニカム再把持は、第1の工程と同様にバルーンの上端からハニカムの先端が5mmほど露出するようにしてもよいし、露出幅が10〜15mmほど大きい、やや中央寄りを把持するようにしてもよい。
(8)弾性把持治具(バルーン)で把持されたハニカムは、態様1ではスラリーが塗布されなかった側の下端8から触媒スラリー液槽6内に漬ける。スラリー液槽に漬かるハニカムの下端位置は、特に制限されないが5〜30mm程度とする。
(9)次に、弾性把持治具の気密性空間を減圧装置によって高い負圧にする。ハニカム下端から触媒スラリーがセル内に流入し、セル内壁をスラリーで被覆しながら、ハニカム上端方向にスラリーが移動する。このとき、吸引程度は約3分の1が塗り残された状態となる。ハニカムの先端では、弾性体より上が5mmほど露出しているが、スラリーの浸みは、この限られた部位のみとなる。
なお、従来の方法では、図3の矢印7で示されるように、ハニカム中間部を把持していた。そのために、吸引でハニカム上端に10mm程度の塗り残しが生じるようにスラリーを吸引したとしても、その吸引中に弾性体から上部にかけて多量のスラリーの浸みが再び発生していた。このようにハニカムセル内に負圧がかかり、その吸引圧力が強い時には、吸引の影響を受ける部位でスラリーが浸出する。
本発明では、ハニカムの端部かその若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
(10)スラリーを吸引したハニカムをスラリー液槽から引き上げ、反転させる。スラリー液槽から引き上げる際に、吸引を続けてもよい。その後、反転させることで、矢印11のようにハニカムセルに塗り残しがある部分が下方に、セルにスラリーが塗られた部分が上方になる。
(11)この状態で、ハニカムのセルにスラリーが塗られた部分にフードが被せられる。フードは弾性体の上端から上のハニカム部位を覆っている。そして、フードに接続された空気ブロー装置から空気が供給され、セル内のスラリーが下方に流れる。このとき、セル外皮は外部から加圧された状態にあり、スラリーが浸出することはない。
(12)最後にハニカムから弾性把持治具を容易に分離できる。引き離されたハニカム担体は、静置または加熱装置にて25〜100℃で乾燥した後、400〜600℃にて0.5〜3時間焼成して触媒成分が担持される。
<実施態様3>
(1)上記の実施態様1で用いたコージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径120mm、長さ90mm)の代わりに、サイズが大きいコージェライト製ウォールフローハニカム構造体(直径300mm、長さ300mm)をGPF用のハニカム担体として用い、図1の要領で、ハニカム担体の外周部において、上端部を弾性把持治具(バルーン)に当接しバルーンの上端からハニカムの先端が10mmほど露出するように把持する。ハニカムが大型なので、把持位置をやや中間側にして安定的に把持できるようにする。
(2)上記の実施態様1と同様に、工程2から工程6を実施する。本発明では、ハニカム端部の若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
(3)引き続き、上記の実施態様2と同様に、実施態様1ではスラリーが塗布されなかったハニカム端部を下に向けて、弾性把持治具(バルーン)の上端からハニカムの先端が10mmほど露出するように把持しなおす。工程7から工程12を実施する。本発明では、ハニカムの端部かその若干下部を把持するので、吸引圧力が強い時でも、吸引の影響を受ける部位が少なくスラリーの浸出量も少ない。
本発明は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンの排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルター等、特に、ガソリンエンジンの排ガス中の粒子状物質を補足する為の触媒化フィルター(GPF)に好適に使用することができる。
1:ハニカム構造体(担体)
2:弾性把持治具(バルーン)
4:露出端部
5:スラリーの浸み
6:スラリー液槽
7:フード
8:塗り残し部

Claims (7)

  1. 複数のセルを形成する多孔質の隔壁と、気孔率が30%以上である多孔質の外皮部分からなり、上下に開口端部を有するハニカム担体のセル内に、触媒成分を担持した排気ガス浄化触媒の製造方法であって、
    前記ハニカム担体の外周部に弾性把持治具を当接させ、弾性体でハニカム担体を把持する第1の工程と、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第2の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第3の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローさせて、セル内に触媒成分を被覆する第4の工程と、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第5の工程と、引き離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第6の工程を含み、
    前記ハニカム担体の把持工程において、弾性把持治具によるハニカム担体の把持は、前記空間内のハニカム上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の3分の1以内の長さになるような位置を弾性体で把持し、次のスラリー液吸い上げ工程で、負圧の影響を受けるハニカム部位が短くなり、ハニカム外皮から触媒スラリーの浸みだしが抑制されることを特徴とする排気ガス浄化触媒の製造方法。
  2. 前記排気ガス浄化触媒の製造方法において、前記ハニカム担体を把持する第1の工程で、弾性把持治具により、弾性体の上端がスラリー液の吸い上げ方向に対してハニカム上端側の露出長さが、前記空間内において弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、前記第2の工程から前記第4の工程を行ってハニカム担体のセル内に触媒成分を被覆した後、
    弾性把持治具の弾性体によるハニカム担体の把持位置を前記下端が新たに上端になるように変え、弾性把持治具によるハニカムの把持位置は、前記空間内のハニカムの新たな上端側の露出長さが弾性体の上端からハニカム全長の1/3以内となるように弾性体で把持し、再度、触媒成分を含むスラリー液浴にハニカム担体の新たな下端を浸漬した後、ハニカム担体上端を含む空間を減圧することでセル内を減圧して、スラリー液を吸い上げる第7の工程と、触媒成分の含浸されたハニカム担体をスラリー液浴から引き上げ、必要により反転させる第8の工程と、ハニカム担体の上方からエアーブローして、セル内に触媒成分を被覆する第9の工程を繰り返し、
    その後、ハニカム担体から弾性把持治具を分離する第10の工程と、分離されたハニカム担体を乾燥後、焼成して触媒成分を担持する第11の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
  3. 前記弾性把持治具は、弾性体の上端がハニカムの全長1/10以内の位置、あるいはハニカム上端の下方10mm以内の位置のうち、ハニカム上端の露出長さがより短くなる位置において弾性体で把持することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
  4. 前記ハニカム担体は、外皮部分の気孔率が、50〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
  5. 前記ハニカム担体の外皮部分は、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10〜30μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
  6. 前記ハニカム担体のセルは、入口端面側の開口端部及び出口端面側の開口端部に目封止部を有し、該目封止部が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
  7. 前記触媒成分は、Pt、Pd、Rhから選ばれる1種以上の貴金属元素を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の排気ガス浄化触媒の製造方法。
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