JP6810376B2 - 抗血栓性材料、抗血栓性物品、抗菌性材料、抗菌性物品、及び、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法 - Google Patents

抗血栓性材料、抗血栓性物品、抗菌性材料、抗菌性物品、及び、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法 Download PDF

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Description

本発明は、抗血栓性材料、抗血栓性物品、抗菌性材料、抗菌性物品、及び、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法に関する。
人工材料を生体成分と接触させると、タンパク質や血小板などが表面に付着し、材料の性能低下や生体反応への悪影響等の問題が生じるおそれがある。そのため、生体成分と接触させる用途に用いられる人工材料には表面の生体適合性が強く求められる。
従来、生体適合性を有する材料として、エチレン/ビニルアルコール共重合体が使用されてきた。しかし、抗血栓性を改善する余地があった。
エチレン/ビニルアルコール共重合体以外の材料も検討されており、特許文献1には、室温においてポリアクリル酸2−メトキシエチルとガラス状態の混合相を維持しうるポリマーとポリアクリル酸2−メトキシエチルとの混合物を含み、前記混合物は、前記ポリアクリル酸2−メトキシエチルが表面側に偏析した傾斜構造を有する、ことを特徴とする生体適合性材料が記載されている。
特許文献2には、表面の少なくとも一部が疎水性弗素樹脂と含弗素モノマーと親水性モノマー又は重合後に親水性にし得るモノマーとの共重合体からなる親水性弗素樹脂とから構成されていることを特徴とする生体親和性基材が記載されている。
特許文献3には、医療用物品であって、埋め込み型医療用具の少なくとも一部に配置されるコーティングを含み、前記コーティングが(a)フッ素化ポリマー、及び(b)生体有益性のポリマーを含む医療用物品が記載されている。
特許文献4には、水処理用や医療用に用いられる膜として、テトラフルオロエチレン(TFE)と酢酸ビニル(VAc)との共重合体又は該共重合体に含まれるアセテート基の少なくとも一部をケン化した共重合体からなり、該共重合体中に含まれるテトラフルオロエチレン含有率が1〜70モル%であることを特徴とする含フッ素共重合体膜が記載されている。特許文献4の実施例3には、TFE:VAcのモル比が23:77のTFE/VAc共重合体を加水分解して得られるケン化度82%の含フッ素共重合体が記載されている。
特許文献5には、水系液体の分離膜に用いられる親水化材料として、テトラフルオロエチレンとt−ブチルビニルエーテル又は酢酸ビニルとの共重合体を脱保護して得られる共重合体が記載されている。
特開2013−121430号公報 特許第2957023号公報 特表2007−515208号公報 特開平5−261256号公報 国際公開第2012/165503号
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、抗血栓性及び耐熱性が向上した抗血栓性材料及び抗血栓性物品、抗菌性及び耐熱性が向上した抗菌性材料及び抗菌性物品、並びに、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体において、含フッ素オレフィン単位の含有率を特定の範囲とすると、耐熱性、抗血栓性(抗血小板粘着性)や抗菌性が向上することを見いだした。また、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を物品の表面に適用すると、大腸菌の増殖を阻害できることも見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体からなり、上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が30〜60モル%であることを特徴とする抗血栓性材料である。
本発明の抗血栓性材料において、上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることが好ましい。
本発明の抗血栓性材料において、上記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の抗血栓性材料において、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することが好ましい。
本発明の抗血栓性材料において、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化して得られた共重合体であることが好ましい。
本発明の抗血栓性材料は、表面が有機溶剤を含む水溶液により処理されていることが好ましい。
本発明の抗血栓性材料は、コーティング膜であることが好ましい。
本発明は、上記抗血栓性材料からなり、バイアル瓶、人工血管、ステント、カテーテル、人工心臓、人工肺、人工心弁、又は、血液保存バッグであることを特徴とする抗血栓性物品でもある。
本発明は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体からなり、上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が10〜60モル%であることを特徴とする抗菌性材料でもある。
本発明の抗菌性材料において、上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることが好ましい。
本発明の抗菌性材料において、上記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の抗菌性材料において、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することが好ましい。
本発明の抗菌性材料において、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化して得られた共重合体であることが好ましい。
本発明の抗菌性材料は、表面が有機溶剤を含む水溶液により処理されていることが好ましい。
本発明の抗菌性材料は、コーティング膜であることが好ましい。
本発明は、上記抗菌性材料からなり、コンタクトレンズ、トイレタリー用品、キッチン水回り器具、エアコン、食品工場設備、下水処理場設備、又は、排水管であることを特徴とする抗菌性物品でもある。
本発明は、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法であって、物品の表面に含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を適用することを特徴とする方法でもある。
本発明によれば、抗血栓性が向上した抗血栓性材料及び抗血栓性物品、抗菌性が向上した抗菌性材料及び抗菌性物品、並びに、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する新規な方法を提供することができる。また、本発明によれば、耐熱性が高く、成形加工時の加熱や加熱殺菌処理、使用中の温度上昇などに対して耐久性が高い抗血栓性材料及び抗血栓性物品、並びに、抗菌性材料及び抗菌性物品を提供することができる。
図1は、実施例6の大腸菌の接着性の評価におけるコーティング膜表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 図2は、比較例6の大腸菌の接着性の評価におけるPETフィルム表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の抗血栓性材料は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)を有する含フッ素共重合体からなり、該含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が30〜60モル%である。含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体は、−CH(OH)−CXY−(式中、X及びYは、同一又は異なり、それぞれH、F又はフルオロアルキル基を表す。ただし、X及びYのうち少なくとも一つはF又はフルオロアルキル基である。)で表されるフッ素アルコール構造を有している。このため、本発明の抗血栓性材料は、血小板の粘着が強く抑制されたものとなる。従来用いられてきたエチレン/ビニルアルコール共重合体は上記フッ素アルコール構造を有しておらず、血小板の粘着を充分に抑制できない。また、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体であっても、含フッ素オレフィン単位の含有率が上記範囲より低いものは、耐熱性に劣る。
また、上記含フッ素共重合体の抗血栓作用は、上記フッ素アルコール構造のみならず、親水疎水性の相分離構造又は海島構造にも由来すると考えられる。当該含フッ素共重合体は、疎水性の含フッ素オレフィンに由来する構造(例えば−CFCF−)と親水性の水酸基構造とを有しており、疎水性構造と親水性構造とがそれぞれ互いに集まり親水疎水性の相分離構造又は海島構造が形成されていると推定される。
本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位が30〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が40〜70モル%であることが好ましい。各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、上記含フッ素共重合体からなる材料が一層抗血栓性及び耐熱性に優れたものとなる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が35〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が65〜40モル%であることがより好ましく、含フッ素オレフィン単位が45〜55モル%であり、ビニルアルコール単位が55〜45モル%であることが更に好ましい。
上記含フッ素オレフィン単位とは、含フッ素オレフィンに基づく重合単位を表している。該含フッ素オレフィンは、フッ素原子を有する単量体である。
上記含フッ素オレフィンとしては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、へキサフルオロプロピレン〔HFP〕、へキサフルオロイソブテン、CH=CZ(CFn1(式中、ZはH、F又はCl、ZはH、F又はCl、n1は1〜10の整数である。)で示される単量体、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、及び、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素オレフィンであることが好ましい。
上記CH=CZ(CFn1で示される単量体としては、CH=CFCF、CH=CHCF、CH=CFCHF、CH=CClCF等が挙げられる。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記含フッ素オレフィンとしては、TFE、CTFE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFEが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、本発明の抗血栓性材料への血小板の粘着が一層強く抑制される。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、ケン化前の含フッ素共重合体で実施した。
上記含フッ素共重合体は、−CH(OH)−CXY−(式中、X及びYは、同一又は異なり、それぞれH、F又はフルオロアルキル基を表す。ただし、X及びYのうち少なくとも一つはF又はフルオロアルキル基である。)で表されるフッ素アルコール構造を有する。上記含フッ素共重合体は、中でも、−CH(OH)−CF−で表されるフッ素アルコール構造を有することが好ましい。
上記含フッ素共重合体は、上記フッ素アルコール構造を構成するビニルアルコール単位を全単量体単位の10〜50モル%含有することが好ましい。フッ素アルコール構造を構成するビニルアルコール単位の含有率は、15〜50モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、更に、−CH−CH(O(C=O)R)−(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基を表す。)で表されるビニルエステルモノマー単位を有するものであってもよい。このように、本発明における含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。そして更には、実質的に含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位のみからなる含フッ素オレフィン/ビニルアルコール/ビニルエステルモノマー共重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ビニルエステルモノマー単位は、−CH−CH(O(C=O)R)−(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基を表す。)で表されるモノマー単位であるが、上記式中のRとしては、炭素数1〜11のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基である。
上記ビニルエステルモノマー単位としては、中でも、以下のビニルエステルに由来するモノマー単位などが例示される。
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、バレリン酸ビニル、イソバレリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、へプチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ペンタデシル酸ビニル、パルチミン酸ビニル、マルガリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、ベオバ−9(昭和シェル石油(株)製)、ベオバ−10(昭和シェル石油(株)製)、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル。
これらの中でも、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルに由来するモノマー単位が好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位、プロピオン酸ビニルモノマー単位であり、更に好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位である。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合の、各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が30〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が0モル%より多く70モル%未満であり、ビニルエステルモノマー単位が0モル%より多く70モル%未満であることが好ましい。各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、上記含フッ素共重合体からなる材料が一層抗血栓性及び耐熱性に優れたものとなる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が30〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が70〜40モル%であり、ビニルエステルモノマー単位が0.1〜20モル%であることがより好ましく、含フッ素オレフィン単位が35〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が75〜40モル%であり、ビニルエステルモノマー単位が0.5〜10モル%であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率は、10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、上記含フッ素共重合体からなる材料への血小板の粘着が一層強く抑制される。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位又はビニルエステルモノマー単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)及びビニルエステルモノマー単位(−CH−CH(O(C=O)R)−)の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、ケン化前の含フッ素共重合体で実施した。
上記含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位以外の他の単量体単位を有していてもよい。
上記他の単量体としては、フッ素原子を含まない単量体(但し、ビニルアルコール及びビニルエステル単量体を除く)として、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル単量体、及び、不飽和カルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素非含有エチレン性単量体が好ましい。
上記他の単量体単位の合計含有率は、含フッ素共重合体の全単量体単位の0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましく、0〜30モル%であることが更に好ましい。
本明細書において、含フッ素共重合体を構成する各単量体単位の含有量は、NMR、FT−IR、元素分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
上記含フッ素共重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、10,000以上であることが好ましい。より好ましくは、12,000〜2,000,000であり、更に好ましくは、12,000〜1,000,000である。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記含フッ素共重合体は、後述するように、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化することにより製造することができる。すなわち、本発明における含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化して得られた共重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
以下に、本発明における含フッ素共重合体の製造方法について説明する。
通常、本発明における含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンと酢酸ビニル等のビニルエステルモノマーとを共重合して、その後、得られた共重合体をケン化することにより製造することができる。上記含フッ素共重合体の重合方法としては、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの組成比を、ほぼ一定に保つ条件下で重合を行うことが好ましい。すなわち、上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの組成比を、ほぼ一定に保つ条件下で重合して、含フッ素オレフィン単位とビニルエステルモノマー単位とを有する共重合体を得る工程、及び、得られた共重合体をケン化して、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する共重合体を得る工程、からなる製造方法により得られたものであることが好ましい。
上記ビニルエステルモノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、バレリン酸ビニル、イソバレリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、へプチル酸ビニル、カプリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ペンタデシル酸ビニル、パルチミン酸ビニル、マルガリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、ベオバ−9(昭和シェル石油(株)製)、ベオバ−10(昭和シェル石油(株)製)、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、中でも入手が容易で安価である点から、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルが好ましく用いられる。
上記ビニルエステルモノマーとしてはこれらの1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーとを共重合させる方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を挙げることができ、工業的に実施が容易であることから乳化重合、溶液重合又は懸濁重合により製造することが好ましいが、この限りではない。
乳化重合、溶液重合又は懸濁重合においては、重合開始剤、溶媒、連鎖移動剤、界面活性剤、分散剤等を使用することができ、それぞれ通常用いられるものを使用することができる。
溶液重合において使用する溶媒は、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマー、及び、合成される含フッ素共重合体を溶解することができるものが好ましく、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、2−プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;HCFC−225等の含フッ素溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合物等が挙げられる。
乳化重合において使用する溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類やt−ブチルパーオキシピバレート(例えば日油株式会社製のパーブチルPV)等のパーオキシエステル類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。特に乳化重合においては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
上記界面活性剤としては、通常用いられる界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。また、含フッ素系界面活性剤を用いてもよい。
懸濁重合において用いられる上記分散剤としては、通常の懸濁重合に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、アクリル酸系重合体、ゼラチンなどの水溶性ポリマーを例示できる。懸濁重合は、水/単量体の比率が通常重量比で1.5/1〜3/1である条件下で行なわれ、分散剤は単量体100重量部に対し0.01〜0.1重量部が用いられる。また、必要に応じて、ポリリン酸塩のようなpH緩衝剤を用いることもできる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記連鎖移動剤の添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.001〜10質量%の範囲で使用される。
重合温度としては、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜100℃であってよい。
重合圧力としては、含フッ素オレフィンとビニルエステルモノマーの反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜10MPaGであってよい。
酢酸ビニルに由来するアセテート基のケン化は従来よく知られており、アルコリシスや加水分解等の従来公知の方法によって行うことができる。このケン化によって、アセテート基(−OCOCH)は、水酸基(−OH)に変換される。他のビニルエステルモノマーにおいても同様に、従来公知の方法によってケン化され、水酸基を得ることができる。
含フッ素オレフィン単位とビニルエステルモノマー単位とを有する共重合体をケン化して本発明における含フッ素共重合体を得る場合のケン化度は、本発明における含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率が上述した範囲となるような範囲であればよく、具体的には50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。
上記ケン化度は、含フッ素共重合体のIR測定又はH−NMR測定により、以下の式から算出される。
ケン化度(%)=D/(D+E)×100
D:含フッ素共重合体中のビニルアルコール単位数
E:含フッ素共重合体中のビニルエステルモノマー単位数
本発明における含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィンと脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基(R)が結合したビニルエーテル単量体(CH=CH−OR)(以下、単にビニルエーテル単量体と記述する)とを共重合させて含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を得る工程、からなる製造方法によっても得ることができる。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させる方法、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護する方法は、従来からよく知られており、従来公知の方法を本発明でも行うことができる。含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護反応させることによって、保護基アルコキシ基が水酸基に変換され、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体が得られる。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させて得られる含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体は、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とのモル比である(含フッ素オレフィン)/(ビニルエーテル単量体)が(30〜60)/(70〜40)であることが好ましく、(45〜55)/(55〜45)であることがより好ましい。モル比が上記範囲内にあって、かつ、脱保護度が後述の範囲内にあることにより、各重合単位のモル比が上述した範囲にある含フッ素共重合体を製造することができる。
上記ビニルエーテル単量体は、フッ素原子を含まないことが好ましい。当該ビニルエーテル単量体としては、脱保護されるものであれば特に制限はないが、入手の容易さから、ターシャルブチルビニルエーテルが好ましい。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率は、10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、上記含フッ素共重合体からなる材料への血小板の粘着が一層強く抑制される。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率は、重アセトン等の含フッ素共重合体が溶解する溶媒を用いて、含フッ素共重合体のH−NMR測定を行い、以下の式より3連鎖の交互率として算出できる。
交互率(%)=C/(A+B+C)×100
A:−V−V−V−のように2つのVと結合したVの個数
B:−V−V−T−のようにVとTとに結合したVの個数
C:−T−V−T−のように2つのTに結合したVの個数
(T:含フッ素オレフィン単位、V:ビニルアルコール単位又はビニルエーテル単位)
A、B、CのV単位の数は、H−NMR測定のビニルアルコール単位(−CH−CH(OH)−)及びビニルエーテル単位(−CH−CH(OR))の3級炭素に結合する主鎖のHの強度比より算出する。H−NMR測定による主鎖のHの強度比の見積もりは、脱保護前の含フッ素共重合体で実施した。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させる方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法を挙げることができ、工業的に実施が容易であることから乳化重合、溶液重合又は懸濁重合により製造することが好ましいが、この限りではない。
上記乳化重合、溶液重合又は懸濁重合においては、重合開始剤、溶媒、連鎖移動剤、界面活性剤、分散剤等を使用することができ、それぞれ通常用いられるものを使用することができる。
上記溶液重合において使用する溶媒は、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体、及び、合成される含フッ素共重合体を溶解することができるものが好ましく、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、tert−ブタノール、2−プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;HCFC−225等の含フッ素溶媒;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、又はこれらの混合物等が挙げられる。
乳化重合において使用する溶媒としては、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類やt−ブチルパーオキシピバレート(例えば日油株式会社製のパーブチルPV)等のパーオキシエステル類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。特に乳化重合においては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが好ましい。
上記界面活性剤としては、通常用いられる界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。また、含フッ素系界面活性剤を用いてもよい。
懸濁重合において用いられる上記分散剤としては、通常の懸濁重合に用いられる部分鹸化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、アクリル酸系重合体、ゼラチン等の水溶性ポリマーを例示できる。懸濁重合は、水/単量体の比率が通常重量比で1.5/1〜3/1である条件下で行なわれ、分散剤は単量体100重量部に対し0.01〜0.1重量部が用いられる。また、必要に応じて、ポリリン酸塩のようなpH緩衝剤を用いることもできる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記連鎖移動剤の添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.001〜10質量%の範囲で使用される。
重合温度としては、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体の反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜100℃であってよい。
重合圧力としては、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体の反応中の組成比がほぼ一定になる範囲であればよく、0〜10MPaGであってよい。
上記ビニルエーテル単量体の脱保護は、酸、熱、光等の従来公知の方法によって行うことができる。この脱保護によって、脱離基(例えば、−C(CH)は、水素に置換され、水酸基を得ることができる。
上記含フッ素オレフィン単位とビニルエーテル単量体単位とを有する共重合体を脱保護して本発明における含フッ素共重合体を得る場合の脱保護度は、本発明における含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率が上述した範囲となるような範囲であればよく、具体的には50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。
上記脱保護度は、含フッ素共重合体のIR測定又は前述のH−NMR測定により、以下の式から算出される。
脱保護度(%)=D/(D+E)×100
D:含フッ素共重合体中のビニルアルコール単位数
E:含フッ素共重合体中のビニルエーテル単量体単位数
本発明の抗血栓性材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記含フッ素共重合体以外の他の成分を更に含んでもよい。
上記他の成分としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性高分子等が挙げられる。
上記他の成分の配合量は、上記含フッ素共重合体100質量%に対して、1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の抗血栓性材料は、表面が有機溶剤を含む水溶液により処理されていることが好ましい。この表面処理により、抗血栓性材料の表面に更に水酸基構造が増加するため、血小板の粘着がより強く抑制される。
上記表面処理で使用することが可能な有機溶剤としては、水に可溶で上記含フッ素共重合体を溶解する有機溶剤であれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。中でもメタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフランが好ましい。
上記有機溶剤を含む水溶液による処理の方法としては、当該水溶液で抗血栓性材料の表面を濡らす方法が挙げられる。
本発明の抗血栓性材料は、用途に応じて種々の形状に成形されて提供される。成形方法は特に限定されず、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップニップ法、スプレーコート法、刷毛塗り法、浸漬法、インクジェットプリント法、静電塗装法、圧縮成形法、押出成形法、カレンダー成形法、トランスファー成形法、射出成形法、ロト成形法、ロトライニング成形法、熱誘起相分離法、非溶媒誘起相分離法等が採用できる。
多様な形状の物品に適用できることから、本発明の抗血栓性材料は、コーティング膜であることが好ましい。コーティング膜とは、上記含フッ素共重合体又は上記含フッ素共重合体を含む塗料組成物を塗布することにより得られる膜をいう。コーティング膜の製膜方法としては、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップニップ法、スプレーコート法、刷毛塗り法、浸漬法、静電塗装法、インクジェットプリント法等が挙げられる。中でも、簡便性の点で、スピンコート法、ドロップキャスト法、浸漬法が好ましい。
上記コーティング膜は、上記含フッ素共重合体及び有機溶剤を含む塗料組成物を塗布することにより得られることが好ましい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が使用できる。なかでも、透明で均一なコーティング膜が容易に得られる点で、2−ブタノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、テトラヒドロフランが好ましい。また、含フッ素共重合体の溶解性の観点からは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
本発明の抗血栓性材料がコーティング膜である場合、その膜厚は0.1〜50μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることがより好ましく、1.0〜20μmであることが更に好ましい。
本発明の抗血栓性材料は、優れた抗血栓性を有するため、抗血栓性が要求される種々の物品に適用できる。上記物品としては、バイアル瓶、人工血管、ステント、カテーテル、人工心臓、人工肺、人工心弁、血液保存バッグ等が好ましい。本発明の抗血栓性材料からなり、バイアル瓶、人工血管、ステント、カテーテル、人工心臓、人工肺、人工心弁、又は、血液保存バッグであることを特徴とする抗血栓性物品もまた、本発明の1つである。
本発明の抗血栓性材料を上記抗血栓性物品に適用する態様は特に限定されないが、本発明の抗血栓性材料の抗血栓性効果を充分に発揮させる点で、本発明の抗血栓性材料が少なくとも上記抗血栓性物品の表面を構成するように適用することが好ましい。
本発明は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体からなり、上記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が10〜60モル%であることを特徴とする抗菌性材料でもある。
本発明の抗菌性材料は、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体からなり、該含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が10〜60モル%であり、30〜60モル%であることが好ましい。含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体は、−CH(OH)−CXY−(式中、X及びYは、同一又は異なり、それぞれH、F又はフルオロアルキル基を表す。ただし、X及びYのうち少なくとも一つはF又はフルオロアルキル基である。)で表されるフッ素アルコール構造を有している。このため、本発明の抗菌性材料は、優れた抗菌性を発揮することができる。従来用いられてきたエチレン/ビニルアルコール共重合体は上記フッ素アルコール構造を有しておらず、抗菌性が充分でない。また、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体であっても、含フッ素オレフィン単位の含有率が上記範囲より低いものは、フッ素アルコール構造の含有率が低いため、耐熱性及び抗菌性が充分でない。
また、上記含フッ素共重合体の抗菌作用は、上記フッ素アルコール構造のみならず、親水疎水性の相分離構造又は海島構造にも由来すると考えられる。当該含フッ素共重合体は、疎水性の含フッ素オレフィンに由来する構造(例えば−CFCF−)と親水性の水酸基構造とを有しており、疎水性構造と親水性構造とがそれぞれ互いに集まり親水疎水性の相分離構造又は海島構造が形成されていると推定される。
本発明の抗菌性材料に使用する含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位が10〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が40〜90モル%であることが好ましい。各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、上記含フッ素共重合体からなる材料が一層抗菌性及び耐熱性に優れたものとなる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が30〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が70〜40モル%であることがより好ましく、含フッ素オレフィン単位が35〜55モル%であり、ビニルアルコール単位が65〜45モル%であることが更に好ましく、含フッ素オレフィン単位が45〜55モル%であり、ビニルアルコール単位が55〜45モル%であることが特に好ましい。
上記含フッ素オレフィン単位を構成する含フッ素オレフィンとしては、本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体について例示した含フッ素オレフィンを挙げることができる。上記含フッ素オレフィンとしては、TFE、CTFE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、TFEが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、本発明の抗菌性材料が一層抗菌性に優れたものとなる。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率の算出方法は、上述したとおりである。
上記含フッ素共重合体は、−CH(OH)−CXY−(式中、X及びYは、同一又は異なり、それぞれH、F又はフルオロアルキル基を表す。ただし、X及びYのうち少なくとも一つはF又はフルオロアルキル基である。)で表されるフッ素アルコール構造を有する。上記含フッ素共重合体は、中でも、−CH(OH)−CF−で表されるフッ素アルコール構造を有することが好ましい。
上記含フッ素共重合体は、上記で表されるフッ素アルコール構造を構成するビニルアルコール単位を全単量体単位の30〜50モル%含有することが好ましい。フッ素アルコール構造を構成するビニルアルコール単位の含有率は、35〜50モル%であることがより好ましく、40〜50モル%であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体は、更に、−CH−CH(O(C=O)R)−(式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基を表す。)で表されるビニルエステルモノマー単位を有するものであってもよい。このように、本発明における含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。そして更には、実質的に含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位のみからなる含フッ素オレフィン/ビニルアルコール/ビニルエステルモノマー共重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ビニルエステルモノマー単位としては、本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体について例示したビニルエステルモノマーに由来するモノマー単位を挙げることができる。中でも、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルに由来するモノマー単位が好ましい。より好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位、プロピオン酸ビニルモノマー単位であり、更に好ましくは、酢酸ビニルモノマー単位である。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合の、各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が10〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が0モル%より多く90モル%未満であり、ビニルエステルモノマー単位が0モル%より多く70モル%未満であることが好ましい。各モノマー単位の含有率がこのような範囲であることによって、上記含フッ素共重合体からなる材料が一層抗菌性及び耐熱性に優れたものとなる。各モノマー単位の含有率としては、含フッ素オレフィン単位が10〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が90〜40モル%であり、ビニルエステルモノマー単位が0.1〜20モル%であることがより好ましく、含フッ素オレフィン単位が30〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が70〜40モル%であり、ビニルエステルモノマー単位が0.1〜20モル%であることが更に好ましく、含フッ素オレフィン単位が35〜60モル%であり、ビニルアルコール単位が75〜40モル%であり、ビニルエステルモノマー単位が0.5〜10モル%であることが特に好ましい。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率は、10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、上記含フッ素共重合体からなる材料が一層抗菌性に優れたものとなる。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位との交互率の算出方法は、上述したとおりである。
本発明の抗菌性材料に使用する含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位以外の他の単量体単位を有していてもよい。上記他の単量体としては、本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体について例示した他の単量体を挙げることができる。
上記他の単量体単位の合計含有率は、含フッ素共重合体の全単量体単位の0〜50モル%であることが好ましく、0〜40モル%であることがより好ましく、0〜30モル%であることが更に好ましい。
上記含フッ素共重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、10,000以上であることが好ましい。より好ましくは、12,000〜2,000,000であり、更に好ましくは、12,000〜1,000,000である。
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
本発明の抗菌性材料に使用する含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化することにより製造することができる。すなわち、本発明における含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化して得られた共重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。具体的な製造方法は、本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体について説明した製造方法と同様である。
含フッ素オレフィン単位とビニルエステルモノマー単位とを有する共重合体をケン化して本発明における含フッ素共重合体を得る場合のケン化度は、本発明における含フッ素共重合体の各モノマー単位の含有率が上述した範囲となるような範囲であればよく、具体的には50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。
上記ケン化度の算出方法は、上述したとおりである。
本発明の抗菌性材料に使用する含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィンと脱保護反応によりビニルアルコールに変換されうる保護基(R)が結合したビニルエーテル単量体(CH=CH−OR)(以下、単にビニルエーテル単量体と記述する)とを共重合させて含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を得る工程、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護することにより含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を得る工程、からなる製造方法によっても得ることができる。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させる具体的な方法、及び、上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護する具体的な方法は、本発明の抗血栓性材料に使用する含フッ素共重合体について説明した方法と同様である。
上記含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とを共重合させて得られる含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体は、含フッ素オレフィンとビニルエーテル単量体とのモル比である(含フッ素オレフィン)/(ビニルエーテル単量体)が(30〜60)/(70〜40)であることが好ましく、(45〜55)/(55〜45)であることがより好ましい。モル比が上記範囲内にあって、かつ、脱保護度が後述の範囲内にあることにより、各重合単位のモル比が上述した範囲にある含フッ素共重合体を製造することができる。
上記含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体の脱保護は、脱保護度が1〜100%になるように行うことが好ましく、30〜100%になるように行うことがより好ましい。脱保護度は、50%以上が更に好ましく、60%以上が更により好ましく、70%以上が特に好ましい。脱保護度の算出方法は、上述したとおりである。
上記含フッ素共重合体が、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位を有する場合、含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率は、10〜100%であることが好ましい。交互率がこのような範囲であると、含フッ素共重合体中のフッ素アルコール構造の含有率が一層高くなるため、本発明の抗菌性材料が一層抗菌性に優れたものとなる。より好ましくは25〜100%であり、更に好ましくは50〜100%であり、特に好ましくは50〜94%である。
含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位及びビニルエーテル単位との交互率の算出方法は、上述したとおりである。
本発明の抗菌性材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記含フッ素共重合体以外の他の成分を更に含んでもよい。
上記他の成分としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子等が挙げられる。
上記他の成分の配合量は、上記含フッ素共重合体100質量%に対して、1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の抗菌性材料は、表面が有機溶剤を含む水溶液により処理されていることが好ましい。この表面処理により、抗菌性材料の表面に更に水酸基構造が増加するため、より優れた抗菌性が発揮される。
上記表面処理で使用することが可能な有機溶剤としては、水に可溶で上記含フッ素共重合体を溶解する有機溶剤であれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。中でもメタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフランが好ましい。
上記有機溶剤を含む水溶液による処理の方法としては、当該水溶液で表面を濡らす方法が挙げられる。
本発明の抗菌性材料は、用途に応じて種々の形状に成形されて提供される。成形方法は特に限定されず、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップニップ法、スプレーコート法、刷毛塗り法、浸漬法、インクジェットプリント法、静電塗装法、圧縮成形法、押出成形法、カレンダー成形法、トランスファー成形法、射出成形法、ロト成形法、ロトライニング成形法、熱誘起相分離法、非溶媒誘起相分離法等が採用できる。
多様な形状の物品に適用できることから、本発明の抗菌性材料は、コーティング膜であることが好ましい。コーティング膜とは、上記含フッ素共重合体又は上記含フッ素共重合体を含む塗料組成物を塗布することにより得られる膜をいう。コーティング膜の製膜方法としては、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップニップ法、スプレーコート法、刷毛塗り法、浸漬法、静電塗装法、インクジェットプリント法等が挙げられる。中でも、簡便性の点で、スピンコート法、ドロップキャスト法、浸漬法が好ましい。
上記コーティング膜は、上記含フッ素共重合体及び有機溶剤を含む塗料組成物を塗布することにより得られることが好ましい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が使用できる。なかでも、透明で均一なコーティング膜が容易に得られる点で、2−ブタノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、テトラヒドロフランが好ましい。また、含フッ素共重合体の溶解性の観点からは、メタノール、エタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
本発明の抗菌性材料がコーティング膜である場合、その膜厚は0.1〜50μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることがより好ましく、1.0〜20μmであることが更に好ましい。
本発明の抗菌性材料は、優れた抗菌性を有するため、抗菌性が要求される種々の物品に適用できる。上記物品としては、コンタクトレンズ、トイレタリー用品、キッチン水回り器具、エアコン、食品工場設備、下水処理場設備、排水管等が好ましい。本発明の抗菌性材料からなり、コンタクトレンズ、トイレタリー用品、キッチン水回り器具、エアコン、食品工場設備、下水処理場設備、又は、排水管であることを特徴とする抗菌性物品もまた、本発明の1つである。
本発明の抗菌性材料を上記抗菌性物品に適用する態様は特に限定されないが、本発明の抗菌性材料の抗菌性効果を充分に発揮させる点で、本発明の抗菌性材料が少なくとも上記抗菌性物品の表面を構成するように適用することが好ましい。
本発明は、物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法であって、物品の表面に含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を適用することを特徴とする方法でもある。含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体は、−CH(OH)−CXY−(式中、X及びYは、同一又は異なり、それぞれH、F又はフルオロアルキル基を表す。ただし、X及びYのうち少なくとも一つはF又はフルオロアルキル基である。)で表されるフッ素アルコール構造を有している。このため、上記含フッ素共重合体を物品の表面に適用することにより、該物品の表面における大腸菌の増殖を阻害することができる。
また、上記含フッ素共重合体の大腸菌増殖阻害作用は、上記フッ素アルコール構造のみならず、親水疎水性の相分離構造又は海島構造にも由来すると考えられる。当該含フッ素共重合体は、疎水性の含フッ素オレフィンに由来する構造(例えば−CFCF−)と親水性の水酸基構造とを有しており、疎水性構造と親水性構造とがそれぞれ互いに集まり親水疎水性の相分離構造又は海島構造が形成されていると推定される。
含フッ素共重合体としては、含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有するものであれば特に限定されないが、本発明の抗菌性材料に使用する含フッ素共重合体として説明した含フッ素共重合体を使用することが好ましい。
上記物品としては、大腸菌に対する抗菌性が要求される種々の物品を挙げることができる。具体的には、コンタクトレンズ、トイレタリー用品、キッチン水回り器具、エアコン、食品工場設備、下水処理場設備、排水管等が好ましい。
本発明の方法において、上記含フッ素共重合体を適用する箇所は、上記物品の表面であれば特に限定されないが、より大腸菌の増殖しやすい箇所であることが好ましい。
本発明の方法において、上記含フッ素共重合体を上記物品の表面に適用する方法としては特に限定されず、上記含フッ素共重合体を成形して上記物品を製造してもよく、他の材料からなる物品の表面に上記含フッ素共重合体からなるコーティング膜を形成してもよい。
次に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
〔フッ素含有率による含フッ素オレフィン単位の含有率の測定〕
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法で測定することにより求めた(質量%)。ポリマー中の含フッ素オレフィン単位の含有率(モル%)は、ケン化前のポリマーのフッ素含有率から計算した。
〔NMR(核磁気共鳴法)による交互率の測定〕
H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
〔分子量及び分子量分布〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、平均分子量を算出した。
検出器にはRI、検量線サンプルはポリスチレン標準サンプルを使用し、流速1ml/分、サンプル打込量200μLで測定を行った。
〔IR分析によるケン化度の測定〕
フーリエ変換赤外分光光度計で室温にて測定した。
〔融点(Tm)〕
DSC(示差走査熱量計)を用いて、10℃/分の条件で昇温(セカンドラン)したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度をTm(℃)とした。
〔分解温度〕
分解温度は、TGA(熱量測定装置)の測定における熱分解曲線において大きく重量減少を示す変曲点の温度とした。具体的には、TGA曲線において、大きな重量減少の前後で補助線を引いて交点を求める方法(交点法)により分解温度を求めた。
〔SEM測定法〕
走査型電子顕微鏡を用いてコーティング膜表面を倍率400倍及び2500倍で3視野任意に観察した。
実施例で使用したポリマーを表1に示す。
実施例1
ポリマーP−1の0.1重量%メタノール溶液を室温でPETフィルム(1cm×1cm)上へスピンコートした。具体的には、上記溶液10μLをPETフィルム上に滴下し700rpmで10秒間回転した。その後、室温にて、ロータリー真空ポンプにて減圧乾燥し、コーティング膜(PETフィルムの表面に形成されたコーティング膜)を得た。
得られたコーティング膜について、以下の方法で抗血栓性(30分間)を評価した。結果を表2に示す。
〔血小板粘着性及び血小板の活性化(30分間)〕
得られたコーティング膜を直径3.3cmの秤量瓶の底に少量のシリコン接着剤で固定した。これを純水で3回洗浄後、リン酸塩緩衝生理食塩液(PBS)に12時間浸漬した。PBSを除いた後、PBSで3倍希釈した0.1%クエン酸ナトリウムを含む多血小板血漿(PRP、血小板数:2×10個/μL)を上記秤量瓶に2.0mL加え、37℃で30分間静置した。PRPを除き、PBSでコーティング膜を3回洗浄した。2%グルタルアルデヒドを含むPBSを加え4℃で2時間静置し、コーティング膜表面に粘着した血小板を固定化した。サンプルをPBSで3回、純水で1回洗浄し、1晩減圧乾燥を行った。得られたサンプルを金スパッタ装置で金コートし、走査型電子顕微鏡を用いてコーティング膜表面を倍率400倍で3視野任意に観察し、粘着した血小板数をカウントした。粘着した血小板が球状の場合を活性化なし、凝集、扁平化又は偽足が認められた場合を活性化ありとした。
比較例1
株式会社クラレ製のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)であるL104B(エチレン/ビニルアルコールモル比率=27/73)をジメチルスルホキシドに60℃で溶解させた。上記溶液10μLをPETフィルム上に滴下し700rpmで10秒間回転した。その後、40℃にて6時間、ロータリー真空ポンプにて加熱減圧乾燥し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜について、実施例1と同様の方法で抗血栓性(30分間)を評価した。結果を表2に示す。
比較例2〜3
L104Bの代わりに株式会社クラレ製のエチレン−ビニルアルコール共重合体であるE105B(エチレン/ビニルアルコールモル比率=44/56、比較例2)又はG156B(エチレン/ビニルアルコールモル比率=48/52、比較例3)を使用したこと以外は比較例1と同様にして、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜について、実施例1と同様の方法で抗血栓性(30分間)を評価した。結果を表2に示す。
比較例4
コーティング膜の代わりに市販のPETフィルムをそのまま使用したこと以外は実施例1と同様にして、抗血栓性(30分間)を評価した。結果を表2に示す。
実施例2
PETフィルムに滴下した溶液の量を30μLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でコーティング膜を得た。
得られたコーティング膜について、以下の方法で抗血栓性(1時間)を評価した。結果を表3に示す。
〔血小板粘着性及び血小板の活性化(1時間)〕
得られたコーティング膜を直径3.3cmの秤量瓶の底に少量のシリコン接着剤で固定した。これを純水で3回洗浄後、リン酸塩緩衝生理食塩液(PBS)に12時間浸漬した。PBSを除いた後、PBSで3倍希釈した0.1%クエン酸ナトリウムを含む多血小板血漿(PRP、血小板数:2×10個/μL)を上記秤量瓶に2.0mL加え、37℃で1時間静置した。PRPを除き、PBSでコーティング膜を3回洗浄した。2%グルタルアルデヒドを含むPBSを加え4℃で2時間静置し、コーティング膜表面に粘着した血小板を固定化した。サンプルをPBSで3回、純水で1回洗浄し、1晩減圧乾燥を行った。得られたサンプルを金スパッタ装置で金コートし、走査型電子顕微鏡を用いてコーティング膜表面を倍率400倍で3視野任意に観察し、粘着した血小板数をカウントした。粘着した血小板が球状の場合を活性化なし、凝集、扁平化又は偽足が認められた場合を活性化ありとした。
実施例3〜5
ポリマーP−1の代わりに、ポリマーP−2(実施例3)、ポリマーP−3(実施例4)又はポリマーP−4(実施例5)を使用したこと以外は実施例2と同様にして、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜について、実施例2と同様の方法で抗血栓性(1時間)を評価した。結果を表3に示す。
比較例5
コーティング膜の代わりに市販のPETフィルムをそのまま使用したこと以外は実施例2と同様にして、抗血栓性(1時間)を評価した。結果を表3に示す。
実施例6
実施例1と同様の方法でコーティング膜を得た。
得られたコーティング膜について、以下の方法で大腸菌の接着性を評価した。結果を表4に示す。大腸菌の接着性の評価におけるコーティング膜表面の倍率2500倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
〔大腸菌の接着性〕
得られたコーティング膜を24穴細胞培養ディッシュの底に少量のシリコン接着剤で固定した。これを純水で3回洗浄後、リン酸塩緩衝生理食塩液(PBS)に12時間浸漬した。PBSを除いた後、対数増殖期にある大腸菌(E.coli ATCC(R) 25922TM)を含むMuller−Hinton II (MH)培地でOD600=0.003に調製した分散液を上記細胞培養ディッシュに2.0mL加え、37℃で20時間培養した。上清を除き、PBSでコーティング膜を3回洗浄した。2%グルタルアルデヒドを含むPBSを加え4℃で2時間静置し、コーティング膜表面に接着した大腸菌を固定化した。サンプルをPBSで3回、純水で1回洗浄し、1晩減圧乾燥を行った。得られたサンプルを金スパッタ装置で金コートし、走査型電子顕微鏡を用いてコーティング膜表面を倍率400倍及び2500倍で3視野任意に観察し、大腸菌の接着性、コロニー形成量を評価した。
比較例6
コーティング膜の代わりに市販のPETフィルムをそのまま使用したこと以外は実施例6と同様にして、大腸菌の接着性を評価した。結果を表4に示す。大腸菌の接着性の評価におけるPETフィルム表面の倍率2500倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。

Claims (6)

  1. 含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体からなり、
    前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が30〜60モル%であり、
    前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることを特徴とする、大腸菌の増殖を阻害するための抗菌性材料。
  2. 前記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステルモノマー単位を有する請求項記載の抗菌性材料。
  3. 前記含フッ素共重合体は、含フッ素オレフィン単位及びビニルエステルモノマー単位を有する共重合体をケン化して得られた共重合体である請求項1又は2記載の抗菌性材料。
  4. コーティング膜である請求項1、2又は3記載の抗菌性材料。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の抗菌性材料からなり、
    コンタクトレンズ、トイレタリー用品、キッチン水回り器具、エアコン、食品工場設備、下水処理場設備、又は、排水管であることを特徴とする、大腸菌の増殖を阻害するための抗菌性物品。
  6. 物品表面の大腸菌の増殖を阻害する方法であって、
    物品の表面に含フッ素オレフィン単位及びビニルアルコール単位を有する含フッ素共重合体を適用するものであり、
    前記含フッ素オレフィンは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位の含有率が30〜60モル%であり、
    前記含フッ素共重合体における含フッ素オレフィン単位とビニルアルコール単位との交互率が10〜100%であることを特徴とする方法。
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