JP6809290B2 - 分割型複合繊維を用いた不織布 - Google Patents
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Description
また、前記記載不織布を構成する繊維の少なくとも一部が割繊されてなる不織布である。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加物あるいは他の重合体を必要に応じて添加してもよい。
本発明で脂肪酸アミドは、繊維を構成する2種類以上のポリオレフィン系樹脂のうち、少なくとも1種類に添加されていればよく、2種類以上のポリオレフィン系樹脂に添加されていても問題ない。脂肪酸アミドを添加する樹脂が1種類の場合においても、紡糸性を保ったまま割繊性を向上しうることから、コストの観点から1種類の樹脂のみに脂肪酸アミドを添加することが好ましい。
図1は、本発明における分割型複合繊維の横断面(繊維長さ方向に垂直な断面)を例示した模式断面図である。
なお、目付当たりの引張強度は、JIS L1913(2010年)の6.3.1に準じた、次に記載する手法で測定する。まず、サンプルサイズ5cm×30cmで、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/分の条件で長手方向3点の引張試験を行い、サンプルが破断したときの強度を長手方向の引張強度(N/5cm)とし、平均値について小数点以下第二位を四捨五入して算出する。続いて、算出した長手方向の引張強度(N/5cm)と目付(g/m2)から、次の式より小数点以下第二位を四捨五入して単位目付当たりの引張強度を算出する。
・長手方向における目付当たりの引張強度=長手方向の引張強度(N/5cm)/目付(g/m2)。
かさ密度は、不織布の目付(g/m2)および厚み(mm)から、次式より小数点以下第三位を四捨五入して算出する。
・かさ密度(g/cm3)=目付(g/m2)/厚み(mm)/1000
なお、厚みはJIS L 1908(2000年)の6.3に準拠した、次に記載する手法で測定する。2500mm2の面積を有するプレッサーフットの直径の1.75倍以上の大きさの試験片について、一定時間2kPaの圧力を加えた後、厚さを測定する。試験片10枚分の平均値を算出して、その値を厚みとする。
剛軟度は、JIS L1913(2010年)の6.7.3に準拠した、次に記載する手法で測定する。幅25mm×150mmの試験片を5枚採取し、45°の斜面をもつ水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。手動により試験片を斜面の方向に滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したとき、他端の位置の移動長さをスケールによって読む。5枚の裏表について測定し、平均値を算出する。ニードルパンチで機械的に交絡しながら分割型複合繊維を割繊する場合は、針形状や単位面積当たりの針本数等を適宜選択し、調整して実施される。特に、単位面積当たりの針本数は、強度、形態保持および分割型複合繊維を割繊させるという観点から、少なくとも100本/cm2以上とすることが好ましい態様である。また、ニードルパンチ前の不織ウェブにシリコーン系の油剤を噴霧し、針で繊維が切断されることを防止し、繊維同士の交絡性を向上させることが好ましい態様である。
本発明の割繊加工後の不織布は、MD方向の剛軟度が65mm以下であることが好ましい。剛軟度が65mm以下、好ましくは60mm以下、より好ましくは55mm以下とすることにより、特に衛生材料用の不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。剛軟度の下限値については、あまりに低い剛軟度とすると不織布の取り扱い性に劣る場合があるため、10mm以上であることが好ましい。
紡糸状態を1時間観察し、糸切れが0〜2回を○、糸切れが3〜6回を△、そして糸切れ7回以上を×として評価した。
得られた割繊加工後の極細繊維からなる不織布をエポキシ樹脂に包埋して、次いでミクロトームで切断して試料片を得る。次いで、走査型電子顕微鏡で1000倍の写真を撮影し、任意の100本の繊維の断面の面積を測定した。測定した断面積を、丸形断面形状を有する繊維の断面積とみなし、下記式によって繊維径を算出した。算出した100本の繊維径について、平均値を算出し、小数点以下第二位を四捨五入して繊維径とした。
・繊維径(μm)={4×断面積(μm2)/3.14}1/2
(3)不織布の目付:
JIS L1913(2010年)の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの不織布試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
(実施例1)
第1成分として、MFRが18g/10分(荷重;2160g、温度;190℃)、融点が130℃であるポリエチレン樹脂を、第2成分として炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミド1.0%を添加したMFRが35g/10分(荷重;2160g、温度;230℃)、融点が160℃であるポリプロピレン樹脂を、それぞれ別の押出機で溶融し、各成分の質量比が50:50となるように計量し、紡糸温度245℃で、分割型複合口金から単孔吐出量0.4g/分で、図1(a)に示された2成分が交互に隣接し16個に区分された断面形状の分割型複合繊維を紡出した。紡出した分割型複合繊維をエジェクターに通し、紡速2600m/分でエジェクターから噴射させ、糸条を牽引、延伸し、移動するネット上に捕集して不織ウェブ化した。引き続き、金属製の水玉柄の彫刻がなされた上ロールおよび金属製でフラットな下ロールから構成される上下一対の接着面積10%のエンボスロールを用いて、線圧200N/cm、熱接着温度70℃で熱接着処理し、目付20g/m2の分割型複合繊維からなる不織布を得た。得られた不織布について、繊維径(割繊加工前)、目付(割繊加工後前)を測定して評価した。さらに繊維を分割させるために孔径φ 0.1mmのノズルを使用してノズルから不織布までの距離を15mmとして、15MPaの水圧、ライン速度1m/分で不織布表面と裏面にウォータージェットパンチ加工を3回ずつ施し、目付量が23g/m2の不織布を作製した。得られた不織布について、繊維径(割繊加工後)、目付(割繊加工後)を測定して評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
第2成分として炭素数38のエチレンビスステアリン酸アミド2.0%を添加したMFRが35g/10分(荷重;2160g、温度;230℃)、融点が160℃であるポリプロピレン樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で分割型複合繊維からなる不織布および割繊加工を施した不織布を得た。
(比較例1)
第2成分としてMFRが35g/10分(荷重;2160g、温度;230℃)、融点が160℃であるポリプロピレン樹脂に脂肪酸アミドを添加せずに用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で分割型複合繊維からなる不織布および割繊加工を施した不織布を得た。
(比較例2)
第2成分として炭素数18のオレイン酸アミド1.0%を添加したMFRが35g/10分(荷重;2160g、温度;230℃)、融点が160℃であるポリプロピレン樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で分割型複合繊維からなる不織布および割繊加工を施した不織布を得た。
Claims (6)
- 2種類以上のポリオレフィン系樹脂からなり、各成分が繊維横断面に交互に配列した構造を有する繊維から構成される不織布であり、前記繊維の少なくとも1成分のポリオレフィン系樹脂に炭素数23以上の脂肪酸アミドを含有することを特徴とする不織布。
- 2種類以上のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
- 請求項1または2に記載の不織布を構成する繊維の少なくとも一部が割繊されてなることを特徴とする不織布。
- 炭素数23以上の脂肪酸アミドが脂肪酸ビスアミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
- 炭素数23以上の脂肪酸アミドがエチレンビスステアリン酸アミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
- 炭素数23以上の脂肪酸アミドの添加量が0.01〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
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