JP6763275B2 - 分割型複合繊維およびそれを用いた不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、分割型複合繊維およびそれを用いた極細繊維からなる不織布に関するものである。
極細繊維からなる不織布は、均一性や柔軟性などに優れており、使い捨てオムツ、衛生用品およびワイピングクロスなどの材料として広く使用されている。
極細繊維からなる不織布を得る方法としては、分割型複合繊維で構成されるた不織布を、加熱処理や物理的処理により分割して極細繊維からなる不織布とする手法が知られており、これまで様々な提案がされている。
例えば、特定のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂のポリオレフィン樹脂同士からなる分割型複合繊維から構成された不織布が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案のように特定の樹脂を使用したとしても、ポリオレフィン樹脂同士で相溶性が高いために、割繊性において十分とは言い難いものであった。
また、分割性に優れた極細繊維からなる不織布として、非相溶であるポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂のポリマーの分割繊維からなる不織布を、ウォータージェットパンチにより分割する方法が提案されている(特許文献2参照。)。確かに、この提案によれば、非相溶のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂の組み合わせであれば分割性には優れているが、この提案において具体的に記載されている2成分は、ポリ乳酸とプロピレン・エチレンランダム共重合体であるが、紡糸性が不安定であり、記載されている紡糸速度は、最大でも2500m/分のためポリ乳酸が十分配向結晶化されず、製品としての実用性に乏しいという課題があった。
このように、紡糸性と分割性が共に優れた分割型複合繊維から構成された不織布は得られていなかった。
特開2012−140734号公報 特開2007−247072号公報
そこで本発明の目的は、上記の課題に鑑み、紡糸性と分割性が共に優れた分割型複合繊維、およびその分割型複合繊維を用いた極細繊維から構成されてなる柔軟で地合に優れた不織布を提供することにある。
本発明の分割型複合繊維は、 融点が180〜220℃のポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリプロピレン系樹脂を含有する第2成分とからなり、その複合比が、10〜70質量%:90〜30質量%である繊維であって、前記の繊維の横断面から見て前記の第1成分または前記の第2成分が2個以上に区分され、前記の第1成分および前記の第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出していることを特徴とする分割型複合繊維である。
本発明の不織布は、前記の分割型複合繊維からなる不織布を構成する前記の分割型複合繊維が割繊され、割繊後の単繊維の平均繊維径が1.0〜8.0μmであることを特徴とする不織布である。
本発明の不織布の好ましい態様によれば、前記の分割型複合繊維からなる不織布は、スパンボンド法で製造されていることである。
本発明によれば、紡糸性と分割性が共に優れた分割型複合繊維、およびその分割型複合繊維が割繊されてなる極細繊維から構成されてなる柔軟で地合に優れた不織布が得られる。
図1は、本発明における分割型複合繊維の横断面(繊維長さ方向に垂直な断面)を例示した模式断面図である。
本発明の分割型複合繊維は、融点が180〜220℃のポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリプロピレン系樹脂を含有する第2成分とからなり、その複合比が、10〜70質量%:90〜30質量%である繊維であって、前記の繊維の横断面から見て前記の第1成分または前記の第2成分が2個以上に区分され、前記の第1成分および前記の第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している分割型複合繊維である。
本発明で仕様される第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂は、その融点が180℃から220℃の範囲であることが重要である。
一般的に、ポリエステル系樹脂を溶融紡糸する場合においては、好ましい紡糸温度が融点+20〜40℃であることが知られている。一方、ポリプロピレン系樹脂を紡糸する場合においては、紡糸温度は220〜250℃未満で実施される場合が多い。ポリプロピレンの系樹脂の場合、紡糸温度が250℃以上になると樹脂の比熱が高いために冷却することが難しく、紡糸された糸同士が融着する等、紡糸が不安定となることがある。
本発明で用いられる第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂の融点を180℃から220℃、好ましくは190℃から220℃、より好ましくは200〜210℃に制御することにより、第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂と第2成分のポリプロピレン系樹脂の両方に適した紡糸温度220〜250℃に設定することが可能となり、高い紡糸速度でも紡糸が安定し、優れた強度を有する分割型複合繊維を得ることができる。
本発明で使用される第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体であることが好ましい態様である。ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体とは、テレフタル酸およびイソフタル酸と1,4−ブタンジオールとの共重合体であって、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、およびイソフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と、1, 4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを通常公知の方法で重縮合して得られるものである。上記のイソフタル酸含有量を適宜調整することにより、本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート系樹脂の融点とすることができる。
本発明で使用される第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂は、JIS K7367−5(2000年度版)に従いo−クロロフェノール溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.3〜3.0dl/gの範囲にある樹脂が好ましく用いられる。固有粘度を0.3〜3.0dl/g、より好ましくは0.4〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.5〜1.0dl/gとすることにより、適度な流動性を有し紡糸が安定しやすくなる。
本発明で用いられる第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加物、および他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明における分割型複合繊維を構成するもう一つの第2成分であるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、およびプロピレンと各種α-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。
本発明で用いられる第2成分のポリプロピレン系樹脂の融点は、130〜170℃であることが好ましい。融点を130〜170℃、より好ましくは140〜170℃、さらに好ましくは150〜170℃とすることにより、上記のポリブチレンテレフタレート系樹脂と互いに適した紡糸温度とすることが可能となり、高い紡糸速度でも安定して紡糸することができる。
本発明で用いられる第2成分のポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと記載する場合がある;ASTM D−1238 荷重;2160g、温度;230℃)は、1〜1000g/10分であることが好ましく、より好ましくは10〜500g/10分であり、さらに好ましくは20〜200g/10分の樹脂である。メルトフローレートを1〜1000g/10分の範囲とすることにより、安定した紡糸を行いやすくなり、かつ配向結晶化が進みやすくなり、高い強度の繊維が得られやすくなる。
本発明で用いられる第2成分のポリプロピレン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、紡曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料等の添加物、および他の重合体を必要に応じて添加することができる。
本発明の分割型複合繊維は、第1成分のポリブチレンテレフタレート系樹脂と第2成分のポリプロピレン系樹脂との複合比(質量比)が10〜70質量%:90〜30質量%である。第1成分と第2成分との複合比(質量比)を10〜70質量%:90〜30質量%、好ましくは20〜50質量%:80〜50質量%とすることにより、十分な分割性が得られ、また第2成分のポリプロピレン系樹脂を50質量%以上とすることにより、柔軟性を確保することができる。
本発明の分割型複合繊維は、繊維長さ方向に対して垂直な断面(分割型複合繊維の横断面)において、第1成分または第2成分が他の成分により2個以上に区分されていることが重要である。繊維長さ方向に対して垂直な断面において、第1成分または第2成分が他の成分により2個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは6個以上に区分されることにより、分割型複合繊維を割繊し易くなり、また割繊が進むことにより極細繊維を得ることができる。
本発明の分割型複合繊維は、第1成分および第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出していることが重要である。第1成分および第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出することで分割型複合繊維が割繊し易くなり、また割繊が進むことにより極細繊維を得ることができる。
第1成分および第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している程度としては、割繊前の繊維断面で円周長さに占める割合が第1成分および第2成分で10〜90%:90〜10%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%:80〜20%であり、さらに好ましくは30〜70%:70〜30%である。割繊前の繊維断面で円周の長さに占める割合を第1成分および第2成分で10〜90%:90〜10%とすることにより、分割型複合繊維が割繊し易くなり、また割繊が進むことにより極細繊維を得ることができる。
図1は、本発明における分割型複合繊維の横断面(繊維長さ方向に垂直な断面)を例示した模式断面図である。
図1の(a)は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリプロピレン系樹脂を含有する第2成分とからなる分割型複合(長)繊維の、繊維長さ方向に対して垂直な断面(横断面)において、前記の第1成分からなる領域1と、前記の第2成分からなる領域2が、互いに8個に区分された例を示した模式断面図である。
この図1の(a)においては、8個の第1成分からなる領域1と、8個の第2成分からなる領域2との合計16個の領域が、その外周の一部を前記の断面の外周と共有している。
また、図1の(b)は、中央部に空洞部3を有する中空糸であり、前記の第1成分からなる領域1と前記の第2成分からなる領域2とが、互いに8個ずつに区分された例を示した模式断面図である。この図1の(b)においては、8個の第1成分からなる領域1と、8個の第2成分からなる領域2との合計16個の領域が、その外周の一部を前記断面の外周と共有している。
図1の(c)は、前記の第1成分からなる領域1が、並列に並ぶ前記の第2成分からなる領域2によって3個に区分されている例を示した模式断面図である。図1の(c)においては、3個の第1成分からなる領域1と、2個の第2成分からなる領域2との合計5個の領域が、その外周の一部を前記の断面の外周と共有している。
図1の(d)は、前記の第2成分からなる領域2が、前記の第1成分からなる領域1によって4個に区分されている例を示した模式断面図である。図1の(d)においては、1個の第1成分からなる領域1と、4個の第2成分からなる領域2との合計5個の領域が、その外周の一部を前記の断面の外周と共有している。
図1の(e)は、前記の第1成分からなる領域1が、前記の第2成分からなる領域2によって4個に区分されている例を示した模式断面図である。図1の(e)においては、4個の第1成分からなる領域1と、1個の第2成分からなる領域2との合計5個の領域が、その外周の一部を前記の断面の外周と共有している。
本発明でいう分割型複合繊維とは、少なくとも2種以上の成分から構成され、少なくとも2個以上に分割可能な繊維を指すものである。
本発明の分割型複合繊維の単繊維径は、13〜33μmであることが好ましい。単繊維径を13〜33μm、より好ましくは13〜24μm、さらに好ましくは13〜18μmとすることにより、安定的に紡糸可能となり、不織布の構成繊維に用いた場合に均一性に優れるものとなる。
本発明の分割型複合繊維は、ニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチで物理的に力を加えることにより、第1成分および第2成分のうち少なくとも1成分からなる繊維に分割することができ、本発明では分割することを割繊という。分割型複合繊維の一部または全部が割繊し、極細繊維を形成する。
本発明の分割型複合繊維は、織物や不織布等のあらゆる布帛を構成する繊維として用いることができるが、中でも不織布の構成繊維として好適に用いることができる。
本発明の不織布は、長繊維および短繊維のいずれの態様も採用することができるが、生産性に優れているという観点から、スパンボンド法により製造される不織布が好ましい。
本発明の分割型複合繊維から構成される不織布は、ニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチで物理的に力を加えることにより、分割型複合繊維が割繊される。割繊後の単繊維(極細繊維)の平均繊維径は、1.0〜8.0μmであることが好ましい。より好ましい平均繊維径は1.0〜6.7μmであり、さらに好ましくは2.8〜5.8μmである。割繊後の単繊維(極細繊維)の平均繊維径を1.0〜8.0μmとすることにより、不織布の均一性が向上し、かつ柔軟化する傾向となる。また、平均繊維径が1.0〜8.0μmの範囲内であれば、未割繊の繊維を含んでいることも許容される。未割繊の繊維が混在した不織布は、未割繊の繊維、あるいは、未割繊の繊維の一部だけが分割された形状の繊維に起因して、不織布強力に優れるためである。
本発明の割繊後の極細繊維からなる不織布においては、不織布のMD方向における目付当たりの引張強度は、1.5N/5cm以上であることが好ましい。目付当たりの不織布の引張強度が1.5N/5cm以上、より好ましくは1.6N/5cm以上であることにより、製造時の工程張力や実用に十分な強度を有する不織布となる。引張強度の上限値については、あまりに高い引張強度を求めた場合は柔軟性が損なわれる傾向があるため、10.0N/5cm以下であることが好ましい。
目付当たりの不織布の引張強度を1.5N/5cm以上とする方法としては、本発明は紡糸安定性に優れるため、紡糸速度を高めることにより繊維の配向結晶化を進め、繊維の強度を向上させる方法が挙げられる。
本発明の割繊後の極細繊維からなる不織布は、その剛軟度が60mm以下であることが好ましい。剛軟度が60mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下とすることにより、特に衛生材料用の不織布として用いる場合に、十分な柔軟性を得ることができる。剛軟度の下限値については、あまりに低い剛軟度とすると不織布の取り扱い性に劣る場合があるため、10mm以上であることが好ましい。
本発明の割繊後の極細繊維からなる不織布の目付は、10〜100g/mであることが好ましい。目付を10g/m以上、より好ましくは15g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度の不織布を得ることができる。一方、不織布を衛材用途で使用する場合には、目付を100g/m以下、より好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは30g/m以下とすることにより、適度な柔軟性を有する。
次に、本発明の分割型複合繊維および不織布の好ましい態様として、スパンボンド法による不織布の製造方法について説明する。
スパンボンド法は、樹脂を溶融し紡糸口金から紡糸した後、冷却固化して得られたた糸条に対し、エジェクターで牽引し延伸して、移動するネット上に捕集して不織ウェブ化した後、熱接着または機械的交絡により一体化する工程を要する製造方法である。
紡糸口金やエジェクターの形状としては、丸形や矩形等種々の形状のものを採用することができる。なかでも、圧縮エアの使用量が比較的少なく、糸条同士の融着や擦過が起こりにくいという観点から、矩形口金と矩形エジェクターの組み合わせが好ましい態様である。
樹脂を溶融し紡糸する際の紡糸温度は、220〜250℃であることが好ましく、より好ましくは225〜245℃である。紡糸温度を上記の範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、ポリプロピレン系樹脂の冷却も進みやすく、優れた紡糸安定性を得ることができる。
本発明で用いられる前記の第1成分および第2成分を、それぞれ別の押出機によって、溶融し計量して、分割型複合紡糸口金へと供給し、分割型複合繊維として紡出する。
紡出された分割型複合繊維の糸条を冷却する方法としては、例えば、冷風を強制的に糸条に吹き付ける方法、糸条周りの雰囲気温度によって自然冷却する方法、紡糸口金とエジェクター間の距離を調整する方法、またはこれらの組み合わせる方法等を採用することができる。
また、冷却条件は、紡糸口金の単孔あたりの吐出量、紡糸する温度および雰囲気温度等を考慮して、適宜調整し採用することができる。
次に、冷却固化された糸条は、エジェクターから噴射される圧縮エアによって牽引され、延伸される。
紡糸速度は、2,600〜6,000m/分であることが好ましく、より好ましくは2,800〜5,500m/分である。紡糸速度を2,600〜6,000m/分とすることにより、安定的に紡糸することができ、また、配向結晶化が進み高い強度の分割型複合繊維を得ることができる。
続いて、このようにして延伸により得られた分割型複合繊維を、移動するネット上に捕集して不織ウェブ化する。
その後、不織ウェブは、熱接着により一体化してからニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチにより割繊する方法、あるいは不織ウェブを直接ニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチにより割繊する方法、が適用され製造されるが、どちらの方法も好ましく採用される。
上記の熱接着により一体化する方法としては、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロール、および上下一対のフラット(平滑)ロールの組み合わせからなる熱カレンダーロールなど各種ロールにより熱接着する方法が挙げられる。
熱ロールの表面温度は、使用している樹脂のうち、最も低融点の樹脂(以下、低融点樹脂という場合がある。)の融点に対し−100〜−30℃とすることが好ましい。熱ロールの表面温度を低融点樹脂の融点に対し−100℃以上、より好ましくは−90℃以上とすることにより、適度に熱接着させ不織布形態を保持することができる。
また、熱ロールの表面温度を低融点樹脂の融点に対し−30℃以下、より好ましくは−50℃以下、さらに好ましくは−70℃以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、後のニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチによる繊維の絡合、と割繊が進みやすくなる。
熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、200〜1500N/cmであることが好ましい。ロールの線圧を200N/cm以上、より好ましくは300N/cm以上とすることにより、適度に熱接着させ不織布形態を保持することができる。一方、ロールの線圧を1500N/cm以下、より好ましくは1000N/cm以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、後のニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチによる繊維の絡合と割繊が進みやすくなる。
また、エンボス接着面積率は、5〜30%であることが好ましい。接着面積を5%以上、より好ましくは10%以上とすることにより、適度に熱接着させ不織布形態を保持することができる。一方、接着面積を30%以下、より好ましくは20%以下とすることにより、過度な熱接着を抑制し、後のニードルパンチおよび/または、ウォータージェットパンチによる繊維の絡合と割繊が進みやすくなる。
ここでいうエンボス接着面積率とは、一対の凹凸を有するロールにより熱接着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって不織ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱接着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が不織ウェブに当接する部分の不織布全体に占める割合のことをいう。
熱エンボスロールに施される彫刻の形状としては、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。
一方、ニードルパンチで機械的に交絡しながら分割型複合繊維を割繊する場合は、針形状や単位面積当たりの針本数等を適宜選択し、調整して実施される。特に、単位面積当たりの針本数は、強度、形態保持および分割型複合繊維を割繊させるという観点から、少なくとも100本/cm以上とすることが好ましい態様である。また、ニードルパンチ前の不織ウェブにシリコーン系の油剤を噴霧し、針で繊維が切断されることを防止し、繊維同士の交絡性を向上させることが好ましい態様である。
また、機械的交絡をウォータージェットパンチで実施する場合、水は柱状流の状態で行うことが好ましい。柱状流を得るには、通常、直径0.05〜3.0mmのノズルから圧力1〜60MPaで噴出させる方法が好適に用いられる。不織ウェブを効率的に交絡し、一体化させながら複合繊維を割繊させるための圧力としては、少なくとも1回は10MPa以上の圧力で処理することが好ましく、15MPa以上がより好ましい態様である。
本発明の割繊繊維からなる不織布は、ニードルパンチまたはウォータージェットパンチの機械的交絡処理を施すことにより、繊維はシート厚み方向に移動し、処理前に比べて、かさ高なシート構造となる。割繊繊維からなる不織布のかさ密度としては、0.10g/cm以下であることが好ましく、より好ましくは0.9g/cm以下であり、さらに好ましくは0.8g/cm以下である。かさ密度を0.10g/cm以下とすることにより、低密度で柔軟なシートが得られる。また、下限値は特に設けるものではないが、かさ密度があまりに小さい場合は強度が低下する傾向となるため、0.01g/cm以上であることが好ましい。
本発明の分割型複合繊維から構成され、また分割型複合繊維が割繊された不織布は、機械的強度、均一性および柔軟性に優れており、使い捨てオムツ、衛生用品およびワイピングクロスなどの材料として好適に利用することができる。
次に、実施例に基づき本発明の分割型複合繊維と不織布について具体的に説明する。
(1)紡糸性評価:
紡糸状態を1時間観察し、糸切れが0〜2回を○、糸切れが3〜6回を△、そして糸切れ7回以上を×として評価した。
(2)分割型複合繊維の割繊後の繊維径:
得られた割繊後の極細繊維からなる不織布をエポキシ樹脂に包埋して、次いでミクロトームで切断して試料片を得る。次いで、走査型電子顕微鏡で1000倍の写真を撮影し、任意の100本の繊維の断面の面積を測定した。測定した断面積を、丸形断面形状を有する繊維の断面積とみなし、下記式によって繊維径を算出した。算出した100本の繊維径について、平均値を算出し、小数点以下第二位を四捨五入して繊維径とした。
・繊維径(μm)=√(4×断面積(μm)/3.14)。
(3)不織布の目付:
JIS L1913(2010年)の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの不織布試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(4)不織布のMD引張強度と目付当たりの引張強度:
JIS L1913(2010年)の6.3.1に準じ、サンプルサイズ5cm×30cmで、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/分の条件でMD方向3点の引張試験を行い、サンプルが破断したときの強度をMD引張強度(N/5cm)とし、平均値について小数点以下第二位を四捨五入して算出した。続いて、算出したMD引張強度(N/5cm)を、上記(3)で求めた目付(g/m)から、次の式より小数点以下第二位を四捨五入して単位目付当たりの引張強度を算出した。
・単位目付当たりのMD引張強度=MD引張強度(N/5cm)/目付(g/m)。
(5)不織布の剛軟度:
JIS L1913(2010年)の6.7.3に準拠して、幅25mm×150mmの試験片をMD方向とCD方向で各5枚採取し、45°の斜面をもつ水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置いた。手動により試験片を斜面の方向に滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したとき他端の位置の移動長さをスケールによって読んだ。MD方向とCD方向の各5枚の裏表について測定し、MD方向とCD方向それぞれの平均値を算出した。
[実施例1]
第1成分として、固有粘度0.80dl/g、融点208℃の東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1100E(ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体)を、第2成分としてMFRが35g/10分(荷重;2160g、温度;190℃)、融点が160℃であるポリプロピレン樹脂を、それぞれ別の押出機で溶融し、各成分の質量比が50:50となるように計量し、紡糸温度240℃で、分割型複合口金から単孔吐出量0.5g/分で、図1(a)に示された2成分が交互に隣接し16個に区分された断面形状の分割型複合繊維を紡出した。紡出した分割型複合繊維をエジェクターに通し、紡速3700m/分でエジェクターから噴射させ、糸条を牽引、延伸し、移動するネット上に捕集して不織ウェブ化した。引き続き、金属製の水玉柄の彫刻がなされた上ロールおよび金属製でフラットな下ロールから構成される上下一対の接着面積10%のエンボスロールを用いて、線圧200N/cm、熱接着温度80℃で熱接着処理し、続いて繊維を分割させるために孔径φ 0.1mmのノズルを使用してノズルから不織布までの距離を25mmとして、100MPaの水圧、ライン速度5m/分で不織布表面と裏面にウォータージェットパンチ加工を2 回ずつ施し、目付量が30g/mの分割繊維不織布を作製した。得られた不織布について、割繊後の繊維径、目付、目付当たりの引張強度、および剛軟度を測定して評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
第1成分を固有粘度0.64dl/g、融点263℃のポリエチレンテレフタレートとし、紡糸温度を295℃としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸をしたところ、口金とエジェクターの間で糸同士の融着により糸切れが多数発生し、不織ウェブを得ることができなかった。
[比較例2]
第1成分を固有粘度0.85dl/g、融点227℃の東レ(株)製“トレコン”(登録商標)1100S(ポリブチレンテレフタレート重合体)とし、紡糸温度を260℃としたこと以外は、実施例1と同様にして紡糸をしたところ、糸切れが散発し紡糸が安定せず紡糸速度2300m/分にして不織ウェブを採取し、以降も実施例1と同様にして熱接着、ウォータージェットパンチ加工を実施し、目付量が30g/mの分割繊維不織布を作製した。得られた不織布について、割繊後の繊維径、目付、目付当たりの引張強度、および剛軟度を測定して評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006763275
表1から明らかなように、実施例1は紡糸性が良好で高い紡糸速度で延伸することができ、また非相溶の樹脂の組み合わせで割繊性に優れ、不織布の強度と柔軟性に優れていた。
それに対し、比較例1では紡糸不良でシート(不織布)が採取できず、また比較例2も紡糸が安定せずに紡糸速度が上げられず、不織布の強度に劣るものであった。
1:第1成分からなる領域
2:第2成分からなる領域
3:空洞部

Claims (3)

  1. 融点が180〜220℃のポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリプロピレン系樹脂を含有する第2成分とからなり、その複合比が、10〜70質量%:90〜30質量%である繊維であって、前記繊維の横断面から見て前記第1成分または前記第2成分が2個以上に区分され、前記第1成分および前記第2成分の少なくとも一部が繊維表面に露出していることを特徴とする分割型複合繊維。
  2. 請求項1記載の分割型複合繊維からなる不織布を構成する前記分割型複合繊維が割繊され、割繊後の単繊維の平均繊維径が1.0〜8.0μmであることを特徴とする不織布。
  3. 分割型複合繊維からなる不織布が、スパンボンド法で製造されていることを特徴とする請求項2記載の不織布。
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