JP6807728B2 - 栽培方法及び栽培装置 - Google Patents

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Description

本発明は、栽培方法及び栽培装置に関する。
作物の土壌栽培では、例えば連作障害、土の固さにより根の伸長が抑えられることによる作物全体の生育障害、害虫の影響や土壌の老朽化による収量の低下等様々な問題がある。近年、これらの問題を解消する栽培方法として水耕栽培が着目されている。
このような水耕栽培を行う装置としては、作物を着生させる培地に液体肥料の希釈倍率を調整した養水(栽培液)を点滴灌水する栽培装置が知られている(特開2014−75990号公報参照)。この栽培装置では、培地の上側から点滴により栽培液を供給し、余分な栽培液は培地の下側から排出される。
トマト等の作物は供給する水分を制限すると糖度が増し、売買単価が数倍となることから、給水量やタイミングが制御されるが、点滴により給水する上記栽培装置では、培地中の水分分布が一様となり難いため、給水の制御が難しい。このため、作物の糖度を高めることが難しい。
培地中の水分分布が比較的一様となる栽培装置としては、作物を着生させるロックウール等の培地の毛管現象を利用して、貯留槽に貯留される培養液を作物の根に供給する毛管水耕栽培装置が知られている(特開平9−56258号公報参照)。
この毛管水耕栽培装置は、栽培液を貯留する貯留槽内に設置した台と、この台の上面を覆い、かつ端部が栽培液内に浸漬する栽培液吸収シートと、この栽培液吸収シートの上面に敷設する防根シートとを用いて作物を栽培する。この毛管水耕栽培装置は、栽培液吸収シート及び防根シートを介して貯留槽内に貯留される栽培液を培地中の作物の根へ供給する、いわゆる底面給水により給水を行う。この底面給水は、培地の水分量を貯留槽内の栽培液の液面と培地との水位差で制御するため、培地中の水分分布が一様となり易い。
特開2014−75990号公報 特開平9−56258号公報
しかし、発明者らは、このような従来の毛管水耕栽培装置を用いて水分制限を行うと、作物の糖度は向上できるものの、点滴栽培に比べて成長が遅く、収量が上がり難い場合があることを知得した。これに対し、本発明者らが鋭意検討したところ、作物の成長促進には、培地の空隙のうち空気の占める割合が所定範囲内にあり、かつ一定の栽培液の供給速度が確保できることが必要であると分かった。
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、比較的高糖度の作物を比較的高い収量で得られる栽培方法及び栽培装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る栽培方法は、粒子層を有し作物を着生させる培地部に、水槽に貯留された栽培液の液面を上記培地部の粒子層の底部より低く位置させ、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する栽培方法であって、上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下として栽培液を供給する。
また、本発明の一態様に係る栽培装置は、粒子層を有し、作物を着生させる培地部と、栽培液が貯留され、この栽培液の液面が上記培地部の粒子層の底部より低い位置となるよう配設される水槽と、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する送液部とを備える栽培装置であって、上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合が35体積%以上65体積%以下である。
本発明の栽培方法及び栽培装置を用いることで、比較的高糖度の作物を比較的高い収量で得られる。
本発明の一実施形態に係る栽培装置を示す模式的側面図である。 液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線を示す模式的グラフである。 液面からの揚水高さに対する粒子層での空隙のうち空気の占める割合を示す模式的グラフである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る栽培方法は、粒子層を有し作物を着生させる培地部に、水槽に貯留された栽培液の液面を上記培地部の粒子層の底部より低く位置させ、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する栽培方法であって、上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下として栽培液を供給する。
当該栽培方法は底面給水により給水を行うので、培地中の水分分布が一様となり易い。毛管現象による揚水では、揚水高さが高くなるにつれ径の小さい毛管しか揚水できなくなるため、栽培液の供給速度が低下し、揚水高さに対する栽培液の供給速度は、毛管の平均径付近に変曲点を1つ有する曲線となる。この変曲点近傍では揚水高さの変化に対して栽培液の供給速度の変化が比較的大きい。従って、当該栽培方法では、上記変曲点近傍で揚水高さを制御することで水分制限を容易に行うことができる。また、当該栽培方法では、この変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とする。本発明者らは、この空気の占める割合を上記範囲内とすることで、作物の成長が促進されることを知得している。つまり、当該栽培方法では、上記変曲点近傍で揚水高さを制御することで、作物の成長も促進される。以上から、当該栽培方法を用いることで、比較的高糖度の作物を比較的高い収量で得られる。
上記変曲点における栽培液の供給速度としては、培地部質量を基準として0.1質量%/分以上2質量%/分以下が好ましい。このように上記変曲点における栽培液の供給速度を上記範囲内とすることで、作物の収量を維持しつつ、さらに糖度を高められる。
また、別の本発明の一態様に係る栽培装置は、粒子層を有し、作物を着生させる培地部と、栽培液が貯留され、この栽培液の液面が上記培地部の粒子層の底部より低い位置となるよう配設される水槽と、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する送液部とを備える栽培装置であって、上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合が35体積%以上65体積%以下である。
当該栽培装置は、底面給水により給水を行うので、培地部の粒子層中の水分分布が一様となり易い。また、当該栽培装置では、液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とする。従って、当該栽培装置では、上記変曲点近傍で揚水高さを制御することで、水分制限を容易に行うことができ、かつ作物の成長も促進できる。以上から、当該栽培装置を用いることで、比較的高糖度の作物を比較的高い収量で得られる。
ここで、「供給速度」とは、以下のようにして測定される値である。遮根透水シート(例えばベル開発製「2101」)を用いた底面が100mm×150mmの容器に、乾燥した培地(例えば鳥取砂丘砂やルナサンド製「ルナサンドH砂」)を平均厚さ1cm(体積150cc)となるように入れる。この培地を入れた容器に対して、水槽に貯留された栽培液を毛管現象により供給し、一定時間間隔(例えば1分間)毎に上記培地の質量増加割合を測定する。この質量増加割合は、時間とともに一定の値W[質量%]に漸近する。栽培液の供給開始から、質量増加割合がこの漸近値Wの50%となるまでの時間間隔をT[分]とするとき、0.5×W/T[質量%/分]で算出される値を供給速度とする。
また、「粒子層での空隙のうち空気の占める割合」は、以下のようにして算出される。乾燥時の培地を構成する粒子層の体積V[cm]と粒子層を構成する粒子の密度ρ[g/cm]及び重さw[g]とから空隙の体積E[cm]=V−w/ρを求める。また、空気の占める割合を算出する状態、すなわち水を含んだ状態における培地の質量増加Δw[g]から培地に含まれる水の体積F[cm]=Δwを求める。なお、水の密度は1g/cmとした。この空隙と含有水の体積から求められる(E−F)/E×100[体積%]を粒子層での空隙のうち空気の占める割合とする。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る栽培方法及び栽培装置について説明する。
当該栽培方法は、粒子層を有し作物を着生させる培地部に、水槽に貯留された栽培液の液面を上記培地部の粒子層の底部より低く位置させ、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する栽培方法である。
当該栽培方法には、例えば図1に示す栽培装置が用いられる。図1の栽培装置は、培地部1と、水槽2と、送液部3とを備える。上記培地部1は、粒子層1aを有し、野菜等の作物Pを着生させる。上記水槽2は、栽培液Xが貯留され、この栽培液Xの液面が上記培地部1の粒子層1aの底部より低い位置となるよう配設される。上記送液部3は、上記水槽2内の栽培液Xを毛管現象によって上記培地部1の粒子層1aの底部に供給する。
また、当該栽培装置では、上記液面からの揚水高さに対する栽培液Xの供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合が35体積%以上65体積%以下である。このように栽培装置を構成することで、当該栽培方法では、上記変曲点における上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下として栽培液を供給する。
当該栽培方法及び当該栽培装置は底面給水により給水を行うので、培地部1の粒子層1a中の水分分布が一様となり易い。また、当該栽培方法及び当該栽培装置では、揚水高さに対する栽培液Xの供給速度の曲線の変曲点近傍で揚水高さを制御することで水分制限を容易に行うことができる。さらに、当該栽培方法及び当該栽培装置では、この変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とするので、上記変曲点近傍で揚水高さを制御することで、作物Pの成長も促進される。以上から、当該栽培方法及び当該栽培装置を用いることで、比較的高糖度の作物Pを比較的高い収量で得られる。
〔栽培装置〕
当該栽培装置は、培地部1の底部を支える土台4と、培地部1、水槽2、送液部3及び土台4を覆うカバー5とをさらに備える。なお、上記培地部1、送液部3及び土台4は水槽2内に収容され、上記土台4が水槽2の底部に配置されている。
<培地部>
培地部1は、粒子層1aと、この粒子層1aを保持する枠体1bとを有する。培地部1は、断面に垂直な方向を長手方向とする略長方体形状に形成される。なお、図1においては、作物Pの根の図示が省略されている。
(粒子層)
粒子層1aは、密に充填されることで毛管現象を発現可能な粒子の層である。この粒子としては、特に限定されないが、例えば、土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等を採用できる。また、これらの2種以上を混合して採用してもよい。これらの粒子のうち、毛管現象による揚水力が高く、また不要になった場合に自然土に返せるという観点から、土壌が好ましい。土壌としては、例えば、市販の園芸用の培土、バーミキュライト、ベントナイト、ゼオライト、砂、鹿沼土、赤玉土、真砂土等を採用できる。これらの土壌のうち、根病を発生し難いという観点から、一般的な培土に比べて有機物含量が低く微生物生息数も少ない砂が好ましい。
粒子層1aを構成する粒子の平均粒子径の下限としては、0.1mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、上記粒子の平均粒子径の上限としては、1mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。上記粒子の平均粒子径が上記下限未満であると、栽培液Xを作物Pの根部に供給する領域の空隙部分が少なくなり過ぎて過湿となり、根腐れ等により作物Pの成長が不十分となるおそれがある。逆に、上記粒子の平均粒子径が上記上限を超えると、栽培液Xを作物Pの根部に供給する領域の空隙が大きくなり過ぎて毛管現象が弱くなり、所定量の栽培液Xを作物Pの根部に供給できなくなるため、作物Pの成長が不十分となるおそれがある。なお、「平均粒子径」とは、JIS−Z8801−1:2006に規定される篩を用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけて篩上の粒子数と各篩の目開き(粒子径)とから算出される平均値である。
また、粒子径0.1mm以上1mm以下の粒子の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。上記含有割合が上記下限未満であると、複数の粒子によって発現される毛管現象が弱くなり、所定量の栽培液Xを作物Pの根部に供給できなくなるおそれがある。
(枠体)
枠体1bは、透水性及び防根性を有する遮根透水シートにより構成されている。枠体1bは、略矩形のシートであり、中央部分が培地部1の底部となり、この中央部分より高い位置にある水槽2の縁にシートの対向する2辺が固定されている。枠体1bを構成する遮根透水シートとしては、特に限定されないが、例えば紙、織布、不織布等を採用できる。これらのうち、吸水速度が速く、揚水力が高く、かつ耐久性が高いものを得やすいという観点から、不織布が好ましい。また、上記遮根透水シートは、送液部3に用いられるシート体と同じ材質であってもよい。
枠体1bの平均厚さの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、枠体1bの平均厚さの上限としては、5mmが好ましく、3mmがより好ましい。枠体1bの平均厚さが上記下限未満であると、防根性が損なわれるおそれがある。逆に、枠体1bの平均厚さが上記上限を超えると、上記枠体1bのコストが高くなり過ぎるおそれがある。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
枠体1bの平均深さ(枠体1bが固定される水槽2の縁から枠体1bの最下部までの鉛直方向の平均長さ)の下限としては、2cmが好ましく、3cmがより好ましい。一方、枠体1bの平均深さの上限としては、15cmが好ましく、14cmがより好ましい。枠体1bの平均深さが上記下限未満であると、枠体1b内に粒子を十分に充填できず、作物Pの生育に必要な粒子層1aを形成できないおそれがある。逆に、枠体1bの平均深さが上記上限を超えると、枠体1b内に充填される粒子が不要に多くなるおそれや、培地部1に着生される作物Pが手入れし難くなるおそれがある。
<水槽>
水槽2は、栽培液Xを貯留する非透水性の槽である。水槽2は、断面に垂直な方向を長手方向とする溝型の樋状に形成されている。また、水槽2の底面は土台4の底面より大きく、つまり水槽2の側面は土台4と離間して配設され、この水槽2の側面と土台4の側面との間に栽培液Xを貯留可能に構成されている。また、水槽2は、上方が開放され栽培液Xの培地部への供給を容易にしている。
水槽2が保持する栽培液Xは、肥料を含むことが好ましい。肥料は、水槽2において雑菌が繁殖することを抑制できる観点から、化学肥料を含むことが好ましい。なお、肥料は、栽培液Xだけでなく、培地部1内に直接与えてもよい。
<送液部>
送液部3は、水槽2の底部に貯留されている栽培液Xを培地部1の底部を構成する遮根透水シート(枠体1b)に供給する。送液部3は、毛管現象を利用して揚水するものであり、具体的には内部に毛管現象を発現可能な複数の間隙を有する略矩形のシート体を用いて構成される。上記シート体の材質としては、特に限定されないが、例えば、不織布、ロックウールシート、フェルトシート、ウレタンシート等を採用できる。これらのうち、吸水速度が速く、揚水力が高く、耐久性が高いものを得やすいという観点から、不織布が好ましい。上記シート体は、土台4の上面及び側面に沿うように配設されている。また、土台4の側面に位置するシート体の両端が水槽2内の栽培液Xに浸されることで、栽培液Xがシート体の両端から中央へ向けて揚水されて枠体1bを構成する遮根透水シートの底部に導かれる。
<土台>
土台4は、培地部1の底部を支える土台であり、水槽2の底部に配置される。上記土台4は、断面に垂直な方向を長手方向とする略長方体形状であって、断面に垂直な上部の2辺が角丸に形成されている。この土台4により水槽2に貯留された栽培液Xの液面を上記培地部1の粒子層1aの底部より低く位置させることができる。
上記土台4の材質としては、特に限定されないが、軽量化の観点から発泡樹脂を用いることが好ましい。上記発泡樹脂としては、発泡ABS樹脂、発泡AES樹脂、発泡ASA樹脂、発泡ポリスチレン、発泡ポリエステル、発泡ポリプロピレン等を挙げることができる。
<カバー>
カバー5は、培地部1、水槽2、送液部3及び土台4を覆う。上記カバー5でこれらを覆うことで、栽培液Xが不要に蒸発して減少することを抑止できる。上記カバー5としては、特に限定されないが、水槽2や送液部3に藻や植物性プランクトンが発生しないように、遮光性の農業用ビニルフィルムなどを用いることができる。
<栽培液の供給速度>
栽培液Xの培地部1への供給速度は、主に送液部3の揚水力により決まり、液面からの揚水高さに対する栽培液Xの供給速度を表す曲線は、変曲点を1つ有する。以下に、この供給速度についてさらに詳細を説明する。
送液部3は、上述のように内部に毛管現象を発現可能な複数の間隙を有する略矩形のシート体を用いて構成されている。この間隙は均一ではなく、分布を持つ。これは,毛管現象において、毛管の孔径が分布を持つことに相当する。毛管現象においては、孔径が大きいと液体の移動速度が大きくなるが、揚水可能な高さが小さくなり、逆に孔径が小さいと液体の移動速度は小さくなるが、揚水可能な高さは大きくなる。
ここで、液面からの揚水高さ(図1のH)が十分に小さい場合は、送液部3内のほぼ全ての間隙が揚水に寄与するため、栽培液Xの供給速度は最大となる。揚水高さHを大きくしていくと、孔径の大きい間隙から順に揚水に寄与しなくなるため、徐々に供給速度が低下し、さらに揚水高さHを大きくすると、孔径が非常に小さい間隙しか揚水できなくなるため、供給速度は0に漸近していく。上記シート体の間隙径(毛管径)の分布は、平均径を最頻とする正規分布に近い分布となると考えられるから、供給速度は間隙の平均径付近で低下率が最大になると考えられる。つまり、液面からの揚水高さに対する供給速度は、図2に示すように毛管の平均径付近に変曲点を1つ有する単調減少の曲線となる。
この変曲点近傍では揚水高さHの変化に対して栽培液Xの供給速度の変化が比較的大きい。従って、上記変曲点近傍で揚水高さを制御することで水分制限を容易に行うことができる。
また、培地部1の粒子層1aは、密に充填されることで毛管現象を発現可能な粒子の層であるので、送液部3により供給された栽培液Xは、毛管現象により粒子層1aを上昇し、粒子層1a内に浸透する。この栽培液Xが粒子層1a内に浸透した後の粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合も、上述の供給速度と同様に揚水高さの毛管径依存により決まる。つまり、図3に示すように液面からの揚水高さHが十分に小さい場合は、粒子層1a内のほぼ全ての間隙が揚水に寄与するため、空気の占める割合は0体積%に近く、揚水高さHを大きくしていくと、孔径の大きい間隙から順に揚水に寄与しなくなるため、徐々に空気の占める割合が上昇し、さらに揚水高さHを大きくすると、孔径が非常に小さい間隙しか揚水できなくなるため、空気の占める割合は100体積%に漸近していく。
なお、本発明者らは、この空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とすることで、作物Pの成長が促進されることを知得している。つまり、液面からの揚水高さHとなる位置に粒子層1aを配設することで作物Pの成長が促進できる。
上記液面からの揚水高さHに対する栽培液Xの供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合の下限としては、35体積%であり、40体積%がより好ましく、45体積%がさらに好ましい。一方、上記空気の占める割合の上限としては、65体積%であり、60体積%がより好ましく、55体積%がさらに好ましい。上記空気の占める割合が上記下限未満であると、水分制限を行わない、すなわち栽培液Xの供給速度を高めた際に粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合が小さくなり過ぎて過湿となり、根腐れ等により作物Pの成長が不十分となるおそれがある。逆に、上記空気の占める割合が上記上限を超えると、水分制限を行う、すなわち栽培液Xの供給速度を低くする際に、粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合が大きくなり過ぎて作物Pが枯れるおそれがある。
なお、上記変曲点となる揚水高さは、例えば送液部3のシート体の材質によって変更できる。また、上記変曲点となる揚水高さは、同じ材質であっても繊維系、親水性、密度、厚みや幅等を変えることで調整することもできる。また、粒子層1aの粒子の種類を変更することで、同じ揚水高さにおける空気の占める割合を変更できる。このように送液部3のシート体や粒子層1aの粒子を変えることで、上記変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合を上記範囲内とすることができる。
上記変曲点における栽培液Xの供給速度の下限としては、培地部質量を基準として0.1質量%/分が好ましく、0.5質量%/分がより好ましい。一方、上記栽培液Xの供給速度の上限としては、2質量%/分が好ましく、1.5質量%/分がより好ましい。上記栽培液Xの供給速度が上記下限未満であると、水分制限を行わない場合において栽培液Xの供給量が不足し、作物Pの成長が不十分となるおそれがある。逆に、上記栽培液Xの供給速度が上記上限を超えると、水分制限を行う場合において作物Pの成長を維持しつつ、栽培液Xの供給量を十分に低減することができず、作物Pの糖度を高められないおそれがある。
なお、上記変曲点における栽培液Xの供給速度は、例えば送液部3のシート体の材質によって変更できる。また、上記変曲点における栽培液Xの供給速度は、同じシート体であっても、シート体の体積(表面積や平均厚み等)の変更により調整することもできる。
〔栽培方法〕
当該栽培方法は、栽培液供給工程と、水分制限工程とを備える。
<栽培液供給工程>
栽培液供給工程では、送液部3が水槽2で保持される栽培液Xを培地部1の底部まで送液する。具体的には、栽培液Xを保持する水槽2から、送液部3の毛管現象により栽培液Xを揚水し、遮根透水シートで構成される枠体1bを介して培地部1内の粒子層1aの底部へ供給する。そして、粒子層1aの底部へ送液された栽培液Xは、粒子層1aを構成する粒子の毛管現象によって作物Pの根部へ供給される。この栽培液供給工程は、主に作物Pの苗を定植した直後から開花時期まで行い、作物Pの成長を促進する。
栽培液供給工程における栽培液Xの供給速度の下限としては、2質量%/分が好ましく、2.5質量%/分がより好ましい。一方、上記栽培液Xの供給速度の上限としては、10質量%/分が好ましく、5質量%/分がより好ましい。上記栽培液Xの供給速度が上記下限未満であると、栽培液Xの供給量が不足し、作物Pの成長が不十分となるおそれがある。逆に、上記栽培液Xの供給速度が上記上限を超えると、粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合が小さくなり過ぎて過湿となり、根腐れ等により作物Pの成長が不十分となるおそれがある。
栽培液Xの供給速度は、水槽2に貯留する栽培液Xの量を増やしたり、土台4を低高さのものとしたりすることで、栽培液Xの液面からの揚水高さHを低くすることで調整できる。当該栽培方法では、栽培液Xの液面からの揚水高さに対する栽培液Xの供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とする。このため、栽培液Xの液面からの揚水高さHを低くしても上記粒子層1aでの空隙のうち空気の占める割合を比較的高く保つことができるので、作物Pの成長を促進し易い。
<水分制限工程>
水分制限工程では、栽培液Xの液面からの揚水高さHを栽培液供給工程での高さより大きくすることで栽培液Xの供給速度を低下させ、水分制限を行う。この水分制限により作物Pの糖度を高めることができる。この水分制限工程は、主に作物Pの開花時期から結実時期まで行う。
水分制限工程における栽培液Xの供給速度の下限としては、0.01質量%/分が好ましく、0.05質量%/分がより好ましい。一方、上記栽培液Xの供給速度の上限としては、1.5質量%/分が好ましく、1質量%/分がより好ましい。上記栽培液Xの供給速度が上記下限未満であると、作物Pが枯れるおそれがある。逆に、上記栽培液Xの供給速度が上記上限を超えると、作物Pの糖度を十分に高められないおそれがある。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、培地部が略長方体形状に形成されるものについて説明したが、このような形状に限定されず、培地部の形状は角錘台、円錐台、又は円筒形等の任意の形状とすることができる。また、水槽及び土台の形状についても、培地部の形状に応じて任意の形状とすることができる。
また、培地部、水槽、送液部及び土台を覆うカバーは、省略可能であり、カバーを有さない栽培装置も発明の意図する範囲内である。
上記実施形態では、土台により培地部を支持する構成を説明したが、水槽に貯留された栽培液の液面を上記培地部の粒子層の底部より低く位置する限り、この構成には限定されない。例えば架台により培地部を上方から吊り下げる構成であってもよい。
上記実施形態では、送液部の形状が略矩形のシート状である場合を説明したが、送液部の形状はこれに限定されない。送液部の形状は、例えば管状、糸状、円柱状、又は不定形状等であってもよい。
また、送液部のうち培地に近い側の断面積を培地から遠い側の断面積より大きくしてもよい。このように送液部の断面積を変えることで、栽培液の供給速度を揚水高さに応じて変えることができる。揚水高さに応じて栽培液の供給速度を変える送液部の構成は、これに限定されず、例えば送液部として、長さの異なる2枚のシート体を用い、培地に近い側を2枚重ねとし、培地に遠い側を1枚となるように構成しても同様の効果が得られる。
上記実施形態では、栽培方法として栽培液供給工程と水分制限工程とを備え、開花後に水分制限を行う場合を説明したが、作物の苗を定植した直後から水分制限を行ってもよい。当該栽培方法は、栽培液の液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とするので、最初から水分制限を行っても作物の成長が遅くなることを抑止できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験No.1〜試験No.7]
図1に示す栽培装置を用いてフェンロー型温室内においてトマト栽培による比較実験を行った。なお、培地部は、底面積を150cmとし、粒子層の平均厚さは3cmとした。また、トマトにはCF桃太郎ヨーク種を用い、株間15cmで7段栽培とした。栽培液は大塚処方Aを用いた。
粒子層を構成する粒子としては、鳥取砂丘砂やルナサンド製「ルナサンドH砂」を用い、送液部を構成するシート体としては、2種類の不織布(ベル開発製「アクアベールSR250」、「アクアベールSR130」)を用いた。各試験における粒子とシート体との組合せを表1に示す。また、それぞれの組合せにおいて供給速度の曲線の変曲点となる揚水高さにおける粒子層での空隙のうち空気の占める割合(気相割合)を表1に示す。
各試験において、揚水高さ(液面から粒子層の底面までの高さ)を表1に示す値に固定して2か月間静置し、合計30個の果実を収穫した。各試験で収穫した果実について、糖度(Brix値)を測定すると共に収量換算値(t/10a/年)を求めた。各試験における栽培液の供給速度、糖度、及び収量換算値を表1に示す。
Figure 0006807728
表1において、「SR130x3」は、SR130不織布を3枚重ねて用いたことを意味する。また、「揚水高さ」の負値は、粒子層の底面が液面より低い位置にあることを意味する。
表1から、供給速度の曲線の変曲点となる揚水高さにおける粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とした試験No.2〜No.5及び試験No.7は、収量及び糖度が共に高い。これに対し、上記割合が35体積%未満である試験No.1は収量及び糖度が共に低く、また試験No.6は収量が低い。このことから、供給速度の曲線の変曲点となる揚水高さにおける粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下とすることで、高糖度の作物を高い収量で得られることが分かる。
また、試験No.2〜No.5の比較から揚水高さを変更して栽培液の供給速度を低下させ、水分制限を行うことで、高い収量を維持しつつ、糖度を高められることが分かる。
以上のように、本発明の栽培方法及び栽培装置を用いることで、比較的高糖度の作物を比較的高い収量で得られる。
1 培地部
1a 粒子層
1b 枠体
2 水槽
3 送液部
4 土台
5 カバー
P 作物
X 栽培液

Claims (3)

  1. 粒子層を有し作物を着生させる培地部に、水槽に貯留された栽培液の液面を上記培地部の粒子層の底部より低く位置させ、上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する栽培方法であって、
    上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合を35体積%以上65体積%以下として栽培液を供給する栽培方法。
  2. 上記変曲点における栽培液の供給速度を、培地部質量を基準として0.1質量%/分以上2質量%/分以下とする請求項1に記載の栽培方法。
  3. 粒子層を有し、作物を着生させる培地部と、
    栽培液が貯留され、この栽培液の液面が上記培地部の粒子層の底部より低い位置となるよう配設される水槽と、
    上記水槽内の栽培液を毛管現象によって上記培地部の粒子層の底部に供給する送液部と
    を備える栽培装置であって、
    上記液面からの揚水高さに対する栽培液の供給速度を表す曲線の変曲点となる揚水高さにおける上記粒子層での空隙のうち空気の占める割合が35体積%以上65体積%以下である栽培装置。


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