JP6807682B2 - 油圧式オートテンショナ - Google Patents

油圧式オートテンショナ Download PDF

Info

Publication number
JP6807682B2
JP6807682B2 JP2016173617A JP2016173617A JP6807682B2 JP 6807682 B2 JP6807682 B2 JP 6807682B2 JP 2016173617 A JP2016173617 A JP 2016173617A JP 2016173617 A JP2016173617 A JP 2016173617A JP 6807682 B2 JP6807682 B2 JP 6807682B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plunger
valve
cylinder
flow path
rod
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016173617A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018040399A (ja
Inventor
武博 高野
武博 高野
洋生 森本
洋生 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2016173617A priority Critical patent/JP6807682B2/ja
Publication of JP2018040399A publication Critical patent/JP2018040399A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6807682B2 publication Critical patent/JP6807682B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ等の補機を駆動するベルト(以下では補機ベルトと言う)の張力調整に用いられる油圧式オートテンショナに関する。
二酸化炭素の排出量を削減するため、車両の停止時にエンジンを停止し、アクセルペダルの踏み込みによる車両の発進時にエンジンを瞬時に始動させるISG(Integrated Starter Generator)のアイドルストップ機構が搭載されたエンジンが急速に普及し出している。
図10に、エンジン補機駆動とエンジン始動を両立するISGのアイドルストップ機構が搭載されたエンジンのベルト伝動装置を示す。
このベルト伝動装置は、クランクシャフト51に取り付けられたクランクシャフトプーリPと、ISGのスタータ・ジェネレータ52の回転軸に取り付けられたスタータ・ジェネレータプーリPと、ウォータポンプ等の補機53の回転軸に取り付けられた補機プーリP間に補機ベルト54を掛け渡しており、エンジンの通常運転時は、図10(a)に示すように、クランクシャフトプーリPの矢印で示す方向の回転によりスタータ・ジェネレータ52および補機53を駆動し、スタータ・ジェネレータ52をジェネレータとして機能させる。
一方、スタータ・ジェネレータ52の駆動によるエンジンの始動時は、図10(b)に示すように、スタータ・ジェネレータプーリPの矢印で示す方向の回転によりクランクシャフトプーリPを回転させて、スタータ・ジェネレータ52をスタータとして機能させる。
このようなベルト伝動装置においては、クランクシャフトプーリPとスタータ・ジェネレータプーリPにわたるベルト部54aにテンショナプーリ55を配置し、そのテンショナプーリ55を揺動可能なプーリアーム56で回転自在に支持し、このプーリアーム56に油圧式オートテンショナAの調整力を付与する方法が採られる。
油圧式オートテンショナAの調整力の付与により、テンショナプーリ55が補機ベルト54を押圧し、補機ベルト54の張力変化が油圧式オートテンショナAによって吸収される。
上記油圧式オートテンショナAとして、特許文献1に記載されたものが知られている。その特許文献1の油圧式オートテンショナでは、シリンダの底面上に立設されたバルブスリーブ内にロッドの下端部に装着したプランジャが摺動自在に挿入されている。また、バルブスリーブ内には、プランジャによって画される圧力室が形成されている。ロッドの上端部に設けられたばね座とシリンダの底面間には、リターンスプリングが組み込まれている。リターンスプリングは、ロッドとバルブスリーブを伸長する方向に付勢している。
シリンダの内周とバルブスリーブの外周間に密閉されたリザーバ室が配置されている。リザーバ室の下部と圧力室の下部とは、シリンダの底面部に形成された油路で連通される。バルブスリーブの下端部内にはチェックバルブが組み込まれる。ロッドに押込み力が負荷されて前記圧力室の圧力がリザーバ室の圧力より高くなったときに前記チェックバルブで前記油路が閉じられるため、圧力室とリザーバ室との連通が断たれる。
上記のように構成された従来の油圧式オートテンショナは、ばね座の上面の連結部を図10(a)に示すエンジンブロックEに回動自在に連結し、さらに、シリンダの下面の連結部をプーリアーム56に連結する。補機ベルト54からテンショナプーリ55およびプーリアーム56を介してロッドに押込み力が負荷されたときに、チェックバルブを閉じ、圧力室内に封入されたオイルをバルブスリーブとロッドの摺動面間に形成されたリーク隙間を通してリザーバ室に流し、そのリーク隙間でのオイルの流動抵抗を利用して上記押込み力を緩衝するようにしている。
特開2009−275757号公報
ところで、上記従来の油圧式オートテンショナは、ロッドに押込み力が負荷された際に圧力室内のオイルをリザーバ室に移動させるリーク隙間が1箇所だけであった。このため、押し込み力を緩衝するダンパ特性は単一の設定しかできなかった。
その単一のダンパ特性でのオートテンショナが発生する緩衝力(テンショナ反力)は、ロッドの押し込みストローク(テンショナ変位)に対してほぼ単調に増減する(図9の破線参照)。
そのため、オートテンショナの仕様決定は、エンジンの作動条件の中でも補機ベルトの張力変動が大きく、テンショナ(ロッド)が大きく押し込まれる場合を考慮して行う必要がある。
テンショナ反力が不足すると補機ベルトでの伝動に必要なベルト張力を確保できず、補機ベルトとテンショナプーリ間において、スリップの発生原因又は異音を生じる原因、いわゆる、補機ベルトのばたつきの原因となる。
一方、通常の使用条件では、補機ベルトの張力変動が小さいためテンショナが押し込まれる量は小さい。そのため、テンショナ反力は小さくてよい。
従って、このときに補機ベルトとテンショナプーリによる摩擦伝動に必要な最小限のベルト張力を確保できれば、摩擦が低減されて車の燃費や各部品の寿命向上が図れる。
ところが、従来のオートテンショナは、上述したように、単一のダンパ特性しか設定できない。そのため、ダンパ特性の設定はテンショナが大きく押し込まれる場合を考慮したものにせざるを得ず、テンショナ反力が小さくてよい通常の使用条件での摩擦伝動に必要な最小限のベルト張力確保の要求を満たすことが困難であった。
この発明の課題は、油圧式オートテンショナについて、エンジンの通常運転時および補機ベルトの張力変動が大きく、テンショナが大きく押し込まれるとき(例えば、スタータ・ジェネレータでのエンジン始動時)のそれぞれにおいて、適正な張力を補機ベルトに付与することである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、油圧式オートテンショナを以下の通りに構成した。
即ち、内部にオイルが注入されたシリンダと、前記シリンダの内部に摺動自在に挿入された第1プランジャと、第1プランジャの内部に摺動自在に挿入された第2プランジャと、
前記第1プランジャと前記第2プランジャとで区画することで前記シリンダの内部に形成された圧力室及びリザーバ室と、前記シリンダに挿入されて、先端を前記第2プランジャに当接させたロッドと、前記ロッドを復帰方向に付勢するリターンスプリングと、前記第1プランジャの前記リザーバ室側への移動に抵抗を加える切り替えスプリングと、前記圧力室と前記リザーバ室をつなぐ連通路と、前記連通路を前記圧力室の圧力が前記リザーバ室の圧力よりも高いときに閉鎖し、低いときに開放するチェックバルブと、前記第1プランジャの内径面と前記第2プランジャの外径面との間に形成される第1リーク流路と、前記シリンダの内径面と第1プランジャの外径面との間に形成される第2リーク流路と、前記第1リーク流路を前記圧力室の圧力変動に応じて開閉する弁機構と、を具備するものにした。
そして、前記ロッドが所定値以下の力で押し込まれるときには前記圧力室のオイルが前記第1リーク流路と第2リーク流路の両方を通って前記リザーバ室に流れ、前記ロッドが所定値を超える力で押し込まれるときには前記弁機構が閉弁して前記圧力室のオイルが第2リーク流路を通って前記リザーバ室に流れる構造にした。
この油圧式オートテンショナは、好ましい形態として、前記シリンダの内部に挿入されて、前記シリンダの底部に付き当てたバルブスリーブを更に備え、前記ロッドは、前記シリンダ及びバルブスリーブに挿入され、前記第2リーク流路は、前記バルブスリーブの内径面と前記第1プランジャの外径面との間に形成されているものが挙げられる。
前記弁機構は、前記第2プランジャと、この第2プランジャを前記ロッドによる押し込み方向と反対向き(開弁方向)に付勢するプランジャスプリングと、前記第1プランジャに設ける弁座を組み合わせて構成し、前記第2プランジャを弁体として働かせ、その第2プランジャを前記弁座に接離させて前記第2リーク流路を開閉するものや、前記第1プランジャと一体に形成されたものが好ましい。
この弁機構を備えるものは、前記連通路を前記第2プランジャに形成し、その連通路を、前記チェックバルブで開閉する構造を採用することができる。
この弁機構の弁体と弁座は、弁座がテーパ面であり、その弁座に弁体のR面が接触するように構成されたものが好ましい。
前記切り替えスプリングは、前記ロッドに固定されたウェアリングと前記第1プランジャに固定されて前記第2プランジャの開弁方向移動を規制する止め輪との間に介在されたものが考えられる。前記止め輪は、C型止め輪、穴用同心止め輪、歯付き座金などでよい。
前記バルブスリーブがあると、シリンダの内径面をシリンダよりも高硬度、高強度の材料、例えば鋼で形成されたそのバルブスリーブによって強化することができ、その強化により、シリンダをアルミニウム、アルミニウム合金、樹脂などの軽量な材料で形成してオートテンショナの軽量化を図ることが可能になる。
この発明の油圧式オートテンショナは、IGS始動の際に、2つあるリーク流路のどちらか片方が閉鎖され、他方のリーク流路のみが開通する。
これにより、ロッドに大きな押し込み力が加わるときには開通したリーク流路におけるオイルの粘性抵抗を利用して比較的大きな緩衝力を安定して発生させることができ、ロッドが必要以上に押し込まれることによる補機ベルトの緩みを防止して、IGS始動時の補機ベルトのスリップをより確実に防止することができる。
また、補機ベルトの緩み防止により、テンショナプーリとの間の滑りによる補機ベルトの所謂鳴きや補機ベルト及びテンショナプーリの摩耗による寿命低下も抑制可能となる。
一方、エンジンの通常運転時には、前記第1リーク流路と第2リーク流路の双方を開通させて比較的小さな緩衝力を発生させ、補機ベルトの平均張力を低く保つことができる。
これにより、摩擦の無用な増加が抑えられてエンジンの燃費が向上し、補機ベルトやテンショナプーリの寿命低下が抑制される。
なお、上記において好ましいと述べた第2プランジャを弁体として兼用する弁機構は、前記特許文献1に開示された油圧式オートテンショナに用いられているプランジャとチェックバルブを、前記第2プランジャ及び連通路開閉用のチェックバルブとして利用する(プランジャとチェックバルブの共通化を図る)ことができ、小型化とコスト低減が期待できる。
また、前記弁機構の弁体と弁座が、テーパ面の弁座に対して弁体のR面が接触するように構成されたものは、弁座に対する弁体の接触が線接触になるため、平面で接触する構造のものに比べて弁部のシールの信頼性を確保し易い。
この発明の油圧式オートテンショナの一例を示す断面図である。 図1の油圧式オートテンショナの要部の拡大断面図である。 圧力室からリザーバ室へのオイルリーク量が大きくて小さな緩衝力が得られるときの作用図である。 圧力室からリザーバ室へのオイルリーク量が小さくて大きな緩衝力が得られるときの作用図である。 弁機構の変形例を示す断面図である。 止め輪の一例を示す平面図である。 止め輪の他の例を示す平面図である。 止め輪のさらに他の例を示す平面図である。 図8(a)の止め輪の断面図である。 実施形態と従来のオートテンショナの反力特性を示すグラフである。 アイドリングストップ機構が搭載されたエンジンのベルト伝動装置の概要を示す正面図である。 図10(a)のベルト伝動装置のスタータ・ジェネレータによるエンジン始動時の状態を示す正面図である。
以下、添付図面の図1〜図5を参照してこの発明の油圧式オートテンショナの実施の形態を説明する。
図1に示した油圧式オートテンショナ1は、底付きシリンダ2と、そのシリンダ2の内部に挿入した有底筒状のバルブスリーブ3と、第1プランジャ4と、第2プランジャ5と、シリンダ2の内部に形成された圧力室6及びリザーバ室7と、シリンダ2とバルブスリーブ3に挿入したロッド8と、リターンスプリング9と、ウェアリング10と、第1プランジャ4のリザーバ室7側への移動に抵抗を加える切り替えスプリング11と、圧力室6とリザーバ室7とをつなぐ連通路12と、チェックバルブ13と、第1リーク流路14及び第2リーク流路15と、弁機構16を具備する。
シリンダ2には、内部にオイルが注入されている。このシリンダ2は、例えば、アルミニウムのダイキャスト成形品又は熱硬化性樹脂などの樹脂成形品などを用いることができる。シリンダ2は、閉鎖端側にばね座17と連結部18を有する。
連結部18は、軸孔18aに滑り軸受18bを介して支点軸18cを組み付けたものである。連結部18は、支点軸18cに通されるボルト(図示せず)によってプーリアーム56(図10参照)に連結される。
バルブスリーブ3は、例えば、鋼製スリーブであって、その底壁がシリンダ2の底部に突き当たっている(当接している)。
第1プランジャ4は、孔付き底壁を有する筒状のプランジャであって、バルブスリーブ3に摺動自在に挿入されている。この第1プランジャ4は、その底壁部が弁座16aとして構成されている。すなわち、本実施形態では、第1プランジャ4と弁機構16の弁座16aとが一体に形成されている。
第2プランジャ5は、第1プランジャ4の内部に摺動自在に挿入されている。第2プランジャ5は、連通路12を内部に有している。
圧力室6とリザーバ室7は、第1プランジャ4と第2プランジャ5とによって互いに区画されている。リザーバ室7は、止め輪19によって抜け止めされるオイルシール20をシリンダ2の開口端の内側に組み付けて密閉した空間である。
ロッド8は、補機ベルトの張力変動によって押し込まれるロッドであり、先端が第2プランジャ5に当接している。そのため、ロッド8が押し込まれると、第2プランジャ5が第1プランジャ4内で弁機構16が閉弁される方向にスライドする。
ロッド8は、ばね座17に対向させたばね座21に固定されている。ばね座21は、軸孔22aに滑り軸受22bを介して支点軸22cを組み付けた連結部22と、シリンダ2の開口端側の外周に被せるダストカバー23とを有している。連結部22が、支点軸22cの孔に通されるボルト(図示せず)によってエンジンブロックE(図10参照)に連結される。
リターンスプリング9は、対向配置のばね座18、21間に介在されており、ロッド8を復帰方向に付勢する。
ウェアリング10はロッド8に圧入固定されるとともに、リザーバ室7に摺動可能に挿入されている。第1プランジャ4の開口部には、止め輪24が取り付けられており、止め輪24とウェアリング10との間に切り替えスプリング11が配置されている。
図1及び図2に示すように、チェックバルブ13は、弁座13aと、弁体13bと、リテーナ13cとを有している。弁座13aは第2プランジャ5に設けられた連通路12の圧力室6側の開口縁によって構成される。弁体13bは、弁座13aに対して接離可能に設けられている。リテーナ13cは、第2プランジャ5に押し当てられている。チェックバルブ13は、圧力室6の圧力がリザーバ室7の圧力よりも高いときに連通路12を閉鎖し、低いときに開放する。
第1リーク流路14は、第1プランジャ4の内径面と第2プランジャ5の外径面との間の隙間によって形成される流路である。また、第2リーク流路15は、バルブスリーブ3の内径面と第1プランジャ4の外径面との間の隙間によって形成される流路である。
弁機構16は、弁座16aと、弁体16bと、プランジャスプリング16cとを有している。弁座16aは、第1プランジャ4の底壁によって構成される。図示の弁体16bは第2プランジャ5に設けられている。この弁体16bは、弁座16aに接離可能に設けられている。プランジャスプリング16cは、弁体16bを開弁方向に付勢している。オートテンショナ1においては、第1リーク流路14が弁機構16によって開閉される。
なお、弁機構16は、図5に示すように、第1プランジャ4の底壁によって構成される弁座16aをテーパ面にし、そのテーパ面に弁体16bに設けたR面を接触させるものであってもよい。弁座がテーパ面である弁機構は、弁座に対する弁体の接触が線接触になるため、本実施形態の弁機構16よりも弁部のシールの信頼性を確保し易い。
止め輪24は、図6に示したC型止め輪(サークリップ)、図7に示した穴用同心止め輪(これもサークリップ)、図8に示した歯付き座金(菊座金)などが用いられる。このような止め輪24は、市販品であって入手が容易であり、しかも、安価である。
止め輪24は、第2プランジャ5の第1プランジャ4内での開弁方向移動量を規制する。また、止め輪24が切り替えスプリング11の片端を支える。
なお、この発明の油圧式オートテンショナは、シリンダ2が強化不要の材料で形成されていればバルブスリーブ3は不要である。
そのバルブスリーブ3を省いた形態では、前記ロッド8と第2プランジャ5がシリンダ2に挿入され、前記第2リーク流路15が前記シリンダ2の内径面と第1プランジャ4の外径面との間の隙間に形成される。
以上の通りに構成された例示の油圧式オートテンショナ1は、図10に示すアイドルストップ機構が搭載されたエンジンの補機駆動用ベルト伝動装置への組込みに際しては、シリンダ2の閉塞端に設けられた連結部18をプーリアーム56に連結し、さらに、連結部22をエンジンブロックEに連結して、プーリアーム56にベルト張力の調整力を付与する。
この張力調整において、ロッド8に押し込み力が負荷されると、初めにロッド8と第2プランジャ5とがシリンダ2の閉鎖端側に向けて押し込まれる。
この動作により、圧力室6の圧力が上昇してリザーバ室7の圧力よりも高くなる。そのために、図3に示すように、チェックバルブ13が閉弁して連通路12を介した圧力室6とリザーバ室7の連通が断たれる。
これにより、圧力室6内のオイルの圧力が上昇する。そして、その圧力上昇に伴い、圧力室6内のオイルが第1リーク流路14と第2リーク流路15の双方を通ってリザーバ室7に流れ、第1リーク流路14と第2リーク流路15における流動抵抗によりテンショナ反力が高まる。
また、ロッド8と第2プランジャ5がさらにシリンダ2の閉鎖端側に向けて押し込まれる(テンショナ変位が大きくなる)と、圧力室6の圧力がさらに上昇し、第1プランジャ4に対して加わる押し込み方向と反対向きの力(押し返す力)が大きくなる。
その押し返す力と切り替えスプリング11が第1プランジャ4を押し込み方向に付勢する力が釣り合うと、第1プランジャ4は停止後、ロッド8に押されて下降する(ロッド押し込み方向に動く)第2プランジャ5に対して相対的に上昇する。
この状況下では、第2プランジャ5の下降(シリンダの閉鎖端側への移動)に伴う第1プランジャ4の上昇によって圧力室6の容積がほぼ一定に保たれる。そのため、圧力室6内の圧力変化は殆ど無く、圧力室6からリザーバ室7へのオイルの流出は実質的に停止する。
この状況で第1プランジャ4と第2プランジャ5との相対移動がさらに進行すると、図4に示すように、第2プランジャ5(弁体16b)が弁座16aに当接する。これにより、弁機構16が閉弁し、第1リーク流路14が閉鎖されて圧力室6からリザーバ室7への第1リーク流路14経由でのオイル流出が停止する。
第1リーク流路14の閉鎖後は、第2プランジャ5が第1プランジャ4に当接しているので、オートテンショナ1の収縮ストロークが大きくなると、第1プランジャ4と第2プランジャ5とが一体になってシリンダ2の閉鎖端側に押し込まれる。
そのために、圧力室6内のオイルがさらに圧縮され、圧力室6の圧力が上昇する。この圧力上昇に伴って圧力室6のオイルがリザーバ室7に流出する。
このとき、第1リーク流路14が閉ざされているので、オイルの流出経路は、第2リーク流路15のみである。このときの流動抵抗によりオートテンショナの反力が再び上昇する。
このように、油圧式オートテンショナ1によれば、テンショナ変位が小さいときと大きいときとで圧力室6からリザーバ室7へのオイルの流出抵抗が変化する。
これにより、エンジンの通常運転時には、比較的小さな緩衝力を発生させて補機ベルトの平均張力を低く保つことができ、また、IGS始動の際には比較的大きな緩衝力を安定して発生させてロッドが必要以上に押し込まれることによる補機ベルトの緩みを防止して補機ベルトのスリップをより確実に防止することができる。
油圧式オートテンショナのテンショナ変位(=ロッドの押し込みストローク)とテンショナ反力の関係を図9に示す。図9において、実線で示すグラフは、本実施形態のオートテンショナの特性であり、破線で示すグラフは、従来のオートテンショナの特性である。
従来のオートテンショナは、テンショナ変位(ロッドの押し込みストローク)に対してテンショナ反力がほぼ単調に増減する。
具体的には、テンショナが収縮する過程で、テンショナ反力が最小値Q1から最大値Q2までおおむね単調に増加する。また、テンショナが伸長する過程では、最大値Q2を起点にして最小値Q1に近い値Q3まで比較的急に減少し、その後、ほとんど減少せずにほぼ一定の値を維持して最小値Q1に戻る。
これに対し、本実施形態のオートテンショナ1では、テンショナが収縮する過程で、テンショナ反力が急・緩・急の3段階に変化する。
すなわち、チェックバルブ13が閉じた後の収縮過程において、テンショナ反力が最小値P1から第1中間値P2まで比較的急に増加し、次いで、弁機構16によって第1リーク流路14が遮断されるまでは、テンショナ反力が第1中間値P2から大きな変動を示さずに第2中間値P3に至り、第2中間値P3を過ぎた後に再び急増して最大値P4に達する。
また、その後のテンショナ伸長過程では、最大値P4から第3中間値P5まで急速に減少し、弁機構16が開弁して第1プランジャ4と第2プランジャ5とが相対変位を生じる前の状態に戻る過程では、第3中間値P5から第4中間値P6まではさほど変化のない状態を維持し、第4中間値P6からは最小値P1に近い近似値P7まで再び急減し、ここでチェックバルブ13が開いて近似値P7から最小値P1に戻る。
このように、本実施形態のオートテンショナ1の反力特性は、テンショナ反力が明確に2段階に変化する。従って、その特性を利用してエンジンの通常運転時には、テンショナプーリが補機ベルトに与える張力を必要最小限の値に制御することができ、エンジンの燃費向上が図れる。また、張力の過剰付与に起因したテンショナプーリや補機ベルトの耐久性低下も抑えることができる。
また、IGS始動時には補機ベルトの緩みをなくしてテンショナプーリとの間のスリップをより確実に防止することができ、スリップに起因した補機ベルトの所謂鳴きやテンショナプーリや補機ベルトの耐久性の低下に繋がる摩耗を抑制することができる。
1 油圧式オートテンショナ
2 シリンダ
3 バルブスリーブ
4 第1プランジャ
5 第2プランジャ
6 圧力室
7 リザーバ室
8 ロッド
9 リターンスプリング
10 ウェアリング
11 切り替えスプリング
12 連通路
13 チェックバルブ
13a 弁座
13b 弁体
13c リテーナ
14 第1リーク流路
15 第2リーク流路
16 弁機構
16a 弁座
16b 弁体
16c プランジャスプリング
17,21 ばね座
18,22 連結部
18a,22a 軸孔
18b,22b 滑り軸受
18c,22c 支点軸
19 止め輪
20 オイルシール
23 ダストカバー
24 止め輪

Claims (8)

  1. 内部にオイルが注入されたシリンダ(2)と、
    前記シリンダ(2)の内部に摺動自在に挿入された第1プランジャ(4)と、
    第1プランジャ(4)の内部に摺動自在に挿入された第2プランジャ(5)と、
    前記第1プランジャ(4)と前記第2プランジャ(5)とで区画することで前記シリンダ(2)の内部に形成された圧力室(6)及びリザーバ室(7)と、
    前記シリンダ(2)に挿入されて、先端を前記第2プランジャ(5)に当接させたロッド(8)と、
    前記ロッド(8)を復帰方向に付勢するリターンスプリング(9)と、
    前記第1プランジャ(4)の前記リザーバ室(7)側への移動に抵抗を加える切り替えスプリング(11)と、
    前記圧力室(6)と前記リザーバ室(7)をつなぐ連通路(12)と、前記連通路(12)を前記圧力室(6)の圧力が前記リザーバ室(7)の圧力よりも高いときに閉鎖し、低いときに開放するチェックバルブ(13)と、
    前記第1プランジャ(4)の内径面と前記第2プランジャ(5)の外径面との間に形成される第1リーク流路(14)と、
    前記シリンダ(2)の内径面と第1プランジャ(4)の外径面との間に形成される第2リーク流路(15)と、
    前記第1リーク流路(14)を前記圧力室(6)の圧力変動に応じて開閉する弁機構(16)と、を具備し、
    前記ロッド(8)が所定値以下の力で押し込まれるときには前記圧力室(6)のオイルが前記第1リーク流路(14)と第2リーク流路(15)の両方を通って前記リザーバ室(7)に流れ、
    前記ロッド(8)が所定値を超える力で押し込まれるときには前記弁機構(16)が閉弁して前記圧力室(6)のオイルが第2リーク流路(15)を通って前記リザーバ室(7)に流れる油圧式オートテンショナ。
  2. 前記シリンダ(2)の内部に挿入されて、前記シリンダ(2)の底部に付き当てたバルブスリーブ(3)を更に備え、
    前記ロッド(8)は、前記シリンダ(2)及びバルブスリーブ(3)に挿入され、
    前記第2リーク流路(15)は、前記バルブスリーブ(3)の内径面と前記第1プランジャ(4)の外径面との間に形成されている、請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
  3. 前記弁機構(16)と前記第1プランジャ(4)が一体に形成された請求項1又は2に記載の油圧式オートテンショナ。
  4. 前記切り替えスプリング(11)が、前記ロッド(8)に固定されたウェアリング(10)と前記第1プランジャ(4)に固定されて前記第2プランジャ(5)の開弁方向移動を規制する止め輪(24)との間に介在された請求項1〜3のいずれかに記載の油圧式オートテンショナ。
  5. 前記弁機構(16)を、前記第2プランジャ(5)と、前記第2プランジャ(5)を前記ロッド(8)による押し込み方向と反対向きに付勢するプランジャスプリング(16)と、前記第1プランジャ(4)に設ける弁座(16a)を組み合わせて構成し、前記第2プランジャ(5)を弁体(16b)として働かせ、その第2プランジャ(5)を前記弁座(16a)に接離させて前記第2リーク流路(15)を開閉する請求項1〜4のいずれかに記載の油圧式オートテンショナ。
  6. 前記連通路(12)を前記第2プランジャ(5)に形成し、その連通路(12)を前記チェックバルブ(13)で開閉させる請求項1〜5のいずれかに記載の油圧式オートテンショナ。
  7. 前記弁機構(16)の弁座(16a)をテーパ面にし、その弁座(16a)に、前記弁体(16b)に設けたR面を接触させる請求項に記載の油圧式オートテンショナ。
  8. 前記止め輪(24)が、C型止め輪、穴用同心止め輪又は歯付き座金のいずれかである請求項に記載の油圧式オートテンショナ。
JP2016173617A 2016-09-06 2016-09-06 油圧式オートテンショナ Active JP6807682B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016173617A JP6807682B2 (ja) 2016-09-06 2016-09-06 油圧式オートテンショナ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016173617A JP6807682B2 (ja) 2016-09-06 2016-09-06 油圧式オートテンショナ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018040399A JP2018040399A (ja) 2018-03-15
JP6807682B2 true JP6807682B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=61625691

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016173617A Active JP6807682B2 (ja) 2016-09-06 2016-09-06 油圧式オートテンショナ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6807682B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7178207B2 (ja) * 2018-08-10 2022-11-25 Ntn株式会社 チェーンテンショナ
CN109434456A (zh) * 2018-12-27 2019-03-08 凡尔机械集团有限公司 一种新型阀芯组件及其装配工艺
JP7250586B2 (ja) * 2019-03-28 2023-04-03 Ntn株式会社 チェーンテンショナ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018040399A (ja) 2018-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6463998B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2015045941A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6807682B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6257950B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6263409B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
EP2184511B1 (en) Hydraulic auto-tensioner and belt transmission device
JP2010249273A (ja) オートテンショナ
JP6560939B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2017030051A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6250343B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2015115555A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2017018311A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP5311226B2 (ja) オートテンショナ
JP6505794B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6773593B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2017026452A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6581451B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6234252B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP6537415B2 (ja) 油圧式オートテンショナ
WO2017043412A1 (ja) 油圧式オートテンショナ
JP5472788B2 (ja) 補機用油圧式オートテンショナ
JP2008180269A (ja) 油圧式オートテンショナ
JP2008256120A (ja) 油圧式オートテンショナ
JP2008175272A (ja) 油圧式オートテンショナ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200820

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6807682

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150