JP6806539B2 - 唾液中の脳由来神経栄養因子の測定方法 - Google Patents

唾液中の脳由来神経栄養因子の測定方法 Download PDF

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本明細書は、唾液中の脳由来の神経栄養因子の測定方法等に関する。
脳由来神経栄養因子(BDNF)は、標的となる細胞表面上の受容体(TrkB)に結合して、神経細胞の生存・成長・シナプスの機能亢進などの神経細胞の成長を調節するタンパク質である。BDNFは、ニューロンの成長に関連しており、その欠損や低下は重篤な疾患に関与すると推測されている。例えば、アルツハイマー病の患者の脳組織において低下していることも報告されている。また、血液中のBDNFは、認知症やうつ病のマーカーとしても期待されている。
血中のBDNFの測定は、抗BDNF抗体を用いたELISAなどが用いられている(特許文献1)
特開2006−300844号公報
しかしながら、より簡易に、より日常的に又はより非侵襲的にBDNFを測定するには、例えば、唾液中のBDNFを測定することが望まれる。しかしながら、疾患マーカーとして期待されるBDNFは、その低値により疾患の診断や疾患の予兆の指標となるものである。また、唾液においては、血液中のBDNFよりも一層低値であることが予想される。したがって、唾液等の非血液生体由来試料を検査対象とするときには、検出感度がより高くまた精度の高い測定方法の確立が望まれる。
本明細書は、より実用的な唾液中のBDNFの測定方法を提供する。
本発明者らは、唾液を検査対象としてBDNFを測定するのにあたって、種々検討したところ、唾液におけるBDNFの測定に適した方法を見出した。本明細書の開示によれば、以下の手段が提供される。
(1)唾液中BDNFの測定方法であって、
被験個体から採取した唾液を凍結しないで0℃以上30℃以下に維持する準備工程と、
前記準備工程後に、前記唾液中のBDNFの濃度を測定する測定工程と、
を備える、方法。
(2)前記準備工程は、前記唾液を10℃以上30℃以下の温度で維持する工程である、(1)に記載の方法。
(3)前記準備工程は、前記唾液を前記温度で168時間以内維持する工程である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記準備工程は、前記唾液を前記温度で12時間以上維持する工程である、(3)に記載の方法。
(5)前記測定工程は、抗BDNF抗体を用いる抗原抗体反応を実施する工程である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記測定工程は、酵素結合免疫吸着法を実施する工程である、(5)に記載の方法。
(7)前記測定工程は、BDNF200pg/ml以下の濃度における標準曲線の回帰式の相関係数が0.99以上である測定方法によって前記脳由来神経栄養因子を測定する工程である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)唾液中のBDNFを測定するための唾液の準備方法であって、
前記脳由来神経栄養因子の測定に先立って、被験個体から採取した唾液を凍結することなく0℃以上30℃以下維持する準備工程、を備える、方法。
唾液の採取方法と凍結の有無とBDNF測定値との関係を示す図である。 唾液の保管温度とBDNF測定値との関係を示す図である。
本明細書の開示は、唾液中のBDNFの測定方法に関する。本明細書に開示される唾液中のBDNFの測定方法(以下、本測定方法ともいう。)によれば、唾液中のBDNFの検出性、例えば、BDNFが本来的に有するその特異的抗体との反応性を損なわないで維持することができる。
また、唾液中のBDNF濃度は血中濃度よりも低い傾向がある。本測定方法によれば、凍結及び解凍によるBDNFの変性を回避して低濃度のBDNFであっても確実に測定できる。
また、BDNFはその体内循環量の低下が疾患や障害と関連付けられる可能性が高い。本測定方法によれば、凍結及び解凍による操作誤差やタンパク質変性を回避して簡易に高精度、かつ高い正確性で唾液中のBDNFを測定できる。
また、こうした準備工程後にBDNFを測定する工程を備えていることから、BDNFの測定のための検体を簡易に採取できるとともに、BDNFの測定するタイミングを自在に設定することができる。このため、検体の回収から測定を効率化、簡素化することができるほか、検体を提供する提供者やその管理者であってもBDNFを容易に測定できるようになる。
本測定方法によれば、BDNFの低濃度領域、200pg/ml以下において、高い正確性と精度でBDNFを測定できる。
以上のことから、本測定方法によれば、BDNFを日常的に測定しモニタリングすることが容易となる。
以下、本測定方法等の実施形態について詳細に説明する。
(唾液中のBDNFの測定方法)
本測定方法は、被験個体から採取した唾液を凍結しないで0℃以上30℃以下に維持する準備工程と、前記準備工程後に、前記唾液中の脳BDNFの濃度を測定する測定工程と、を備えることができる。
本明細書において、被験個体とは、唾液を採取できる哺乳動物の個体をいう。例えば、ヒトのほか、イヌ、ネコ、サル等の愛玩動物や、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ等の家畜動物等の哺乳動物が挙げられる。
本明細書において、唾液とは、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液である。唾液の採取方法は、特に限定するものではないが、直接、チューブ等の採取容器に垂れ流すようにしたり、ストロー状の流し込むようにしたりして採取する方法(直接法)のほか、コットンや他のポリマーで形成したスポンジを口腔内に一定時間含ませた後、容器に収容する等の方法(含浸法)を適宜採用することができる。なお、スポンジに含浸した唾液は、遠心分離や圧搾等の固液分離方法にて、唾液のみを分離することができる。検体としての唾液は、含浸法による場合、検体としての唾液は、スポンジに含浸した状態であってもよいし、固液分離後の唾液であってもよい。
なお、唾液の採取に際して、必要に応じて採取前の経口摂取制限や、行動制限等を設けることができる。
本明細書において測定対象とするBDNFは、成熟型のBDNFのほかBDNF前駆体であってもよい。ヒトBDNF及びヒトBDNF前駆体は、ぞれぞれ既にタンパク質として精製されアミノ酸配列も決定されている。BDNFのアミノ酸配列は、哺乳動物官において種差がないとされている。BDNF及びBDNF前駆体に対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、適宜、商業的に入手可能である。
(準備工程)
本測定方法における準備工程は、採取した唾液を冷凍することなく、BDNFの抗体反応性を低下させない温度で維持する工程とすることができる。冷凍を回避しつつBDNF抗体反応性を低下させない温度で維持することで冷凍によるBDNFの抗体との反応性の低下を回避して、BDNFの測定精度や正確性を確保することができる。
本明細書において、唾液を冷凍することなく、ということは、如何なる手順によるかに関わらず唾液を冷凍することなく、ということを意味している。なお、唾液を冷凍するとは、冷却により唾液を凍結することをいう。唾液の冷凍は、特に限定するものではないが、例えば、概して−10℃以下、典型的には−20℃程度の温度に唾液を維持することで行うことができる。
準備工程は、唾液の採取、すなわち、被験個体から排出された時点から、BDNFの測定準備にまで至る期間中に実施することができる。BDNFの測定準備とは、例えば、BDNFの測定用の溶液の調製する操作が挙げられる。
準備工程は、どのような形態で実施されてもよい。特に限定するものではないが、例えば、採取された唾液の入った容器を、外部からある程度断熱されるか内部の温度制御が可能な保存容器、保存コンテナ又はボックス(回収用)、保存庫又は保存室に収容する、温度維持装置に配置する等により実施できる。また、準備工程は、BDNF測定前の唾液の所定温度での測定待機工程として実施してもよい。
また、準備工程は、採取後の唾液が収容された容器を、いわゆる流通業者によって輸送される状態を含むことができる。すなわち、輸送状態である工程も、冷凍することなく一定温度範囲に唾液を維持することで準備工程として実施できる。
準備工程において唾液の維持すべき温度は、30℃以下であることが好ましい。30℃以下であれば、BDNFの変性や分解等による反応性の低下を回避できる。また例えば、25℃以下であり、また例えば、20℃以下であり、また例えば、15℃以下である。また、唾液の維持すべき温度の下限は、冷凍を回避できる温度であって、例えば、0℃以上とすることができ、また、2℃以上としてもよく、さらに4℃以上としてもよい。また例えば、5℃以上とすることができる。また例えば、10℃以上とすることができる。
本測定方法の準備工程では、例えば、唾液を0℃以上30℃以下、また例えば、5℃以上20℃以下、さらに例えば、10℃以上15℃以下、維持することができる。
準備工程は、唾液を上記した状態で唾液を168時間以内維持することが好ましい。168時間を超えると測定値に影響が出る可能性があるからである。かかる準備工程は、144時間以内であってもよいし、120時間以内であってもよいし、96時間以内でもよいし、72時間以内でもよい。準備工程は、また例えば、1時間以上であってもよい。1時間未満であると、採取から測定までの十分な時間でない場合もあるからである。かかる準備工程は、2時間以上でもよいし、6時間以上でもよいし、8時間以上でもよいし、12時間以上でもよいし、18時間以上でもよいし、24時間以上であってもよい。また、例えば、36時間以上でもよいし、48時間以上でもよいし、60時間以上でもよいし、72時間以上でもよい。
準備工程は、典型的には、12時間以上24時間以内、12時間以上36時間以内、12時間以上48時間以内、24時間以上48時間以内、24時間以上72時間以内、24時間以上96時間以内、24時間以上120時間以内で実施することができる。
このように、冷凍することなく一定状態に唾液を維持した後BDNFを測定できることにより、BDNFの測定の効率化が可能となるほか、BDNFの検体としての唾液を家庭や職場などの日常的に居住する任意の場所で採取して、例えば、適当な回収ポイントや適当な流通手段を介して、特定場所で集中的にBDNFを測定することに好適である。
また、冷凍することなく一定状態に唾液を維持した後BDNFを測定できることにより、ヒトなどの被験個体自身、あるいは動物などの被験個体の管理者が、BDNFを測定するのにも都合がよい。すなわち、冷凍及び解凍に伴う時間や操作を排除するとともに、当該操作に伴う誤差やタンパク質の変性に基づく誤差を排除することができる。また、BDNF測定を一括してあるいは任意のタイミングで実施できるようになるからである。
(測定工程)
測定工程は、唾液中のBDNFを測定できる方法であれば特に限定するものではないが、例えば、抗BDNF抗体を用いる抗原抗体反応を実施することによりBDNFを測定することができる。特異性、簡易性等の観点から他の方法より有利だからである。
抗BDNF抗体は、BDNFを抗原として反応する抗体をいう。抗BDNF抗体は、例えば、BDNFを抗原として用いて免疫化学的に又は遺伝子工学的に製造された抗体である。かかる抗体は、好ましくはBDNF又はproBDNFに結合する能力があればよいが、好ましくはこれらに特異的に結合する能力を有する。抗BDNF抗体は、例えば、ポリクローナル抗体であってもよいし、モノクローナル抗体であってもよい。
抗BDNF抗体は、標識化された形態で用いられてもよい。標識化抗BDNF抗体は、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素などの酵素、デルフィニウム等の蛍光標識、放射性同位元素標識、着色されたビーズ、金コロイド粒子等の公知の各種の標識を結合させた抗BDNF抗体など、こうした標識を介して抗原であるBDNFを検出できる抗体が挙げられる。
また、標識化抗BDNF抗体は、こうした標識となる要素を直接備えていなくてもよく、ビオチンや2,4−ジニトロフェノール等など、特異的な結合を介して標識と結合可能な物質を結合させた抗BDNF抗体であってもよい。例えば、ビオチン修飾抗BDNF抗体や、4−ジニトロフェノール修飾抗BDNF抗体が挙げられる。このような抗BDNF抗体には、例えば、標識化したアビジンや標識化した抗2,3−ジニトロフェノール抗体を結合させることで、これらを介して抗原であるBDNFを検出することができる。こうした各種の標識による抗体の修飾や各種の標識を用いた抗原等の検出は当業者において周知であり、当業者であれば、周知の情報に基づいてこれらを適宜入手しあるいは調製することができる。
測定工程は、各種方法で実施することができる。例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)で実施することができる。その場合、例えば、以下の工程でBDNFを測定することができる。
(1)抗BDNF抗体を固定化した固相体を準備し、
(2)検体である唾液を前記固相体表面に供給し(それにより固相体上の抗BDNF抗体と接触させ)、
(3)必要に応じて固相体表面を洗浄し、
(4)標識化(酵素修飾)抗BDNF抗体(抗体a)、ビオチン又はDNFで修飾された抗BDNF抗体(抗体b)を固相体表面に供給し
(5)抗体aの標識に基づき、BDNF量を測定する、
抗体bに結合する標識化アビジン又は標識化抗DNF抗体を供給を経てこれらの標識に基づきBDNFを測定する。
固相体としては、こうした抗原抗体反応を酵素などの標識を用いた反応が可能であればその材料や形状は特に限定するものではない。例えば、ポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー等の各種材料で形成され、ウェルを備えるアレイ、平板状アレイ、ビーズ、チューブ等、特にその形状等に関し限定されない固相体を用いることができる。
また、測定工程は、免疫クロマトグラフィーの形態で実施することもできる。免疫クロマトグラフィーは、唾液中のBDNFを溶解する展開溶媒を、当該展開溶媒がキャピラリー現象によって浸透可能な多孔質性の固相体であって、抗BDNF抗体を固定化したBDNF捕捉領域を備える固相体の一部に供給し展開させて前記捕捉領域に到達させて、前記捕捉領域において抗BDNF抗体に結合したBDNFを検出するものである。
なお、検体である唾液は、展開溶媒に含めてもよいし、固相体の一部に保持させて展開溶媒により展開させるようにしてもよい。また、BDNFを検出するための標識化抗BDNF抗体は展開溶媒に含めてもよいし、展開後に固相担体に供給してもよいし、固相体上の捕捉領域よりも手前(すなわち、固定化領域よりも展開開始点により近い部位)に固定化しておいてもよい。なお、免疫クロマトグラフィーの場合においては、標識は、酵素を用いることも可能であるが、金コロイド粒子や着色粒子などを用いることもできる。標識として酵素を用いる場合には、さらに、ビオチン化抗BDNF抗体、DNF化抗BDNF抗体を用い、さらに標識化アビジンや標識化抗DNF抗体を適宜適用する。
測定工程で用いるBDNF測定方法の検出感度については特に限定するものではないが、検体たる唾液中のBDNF200pg/ml以下の濃度における標準曲線の回帰式の決定係数が0.99以上であることが好ましい。かかるBDNF濃度領域においてこうした相関を有する測定方法であると、高い精度と正確性で唾液中のBDNFを測定することができる。
BDNFの測定にあたっては、商業的に種々のキットが提供されている。また、BDNFの測定にあたっては、抗BDNF抗体のほか、ビオチン化抗BDNF抗体、標識化アビジン、酵素標識とその基質、抗原抗体反応促進剤など、入手又は調製可能な試薬について適宜選択することができる。
(BDNFを測定するための唾液の準備方法)
本明細書に開示される、BDNFを測定するための唾液の準備方法(以下、本準備方法ともいう。)は、BDNFの測定に先立って、被験個体から採取した唾液を凍結することなく0℃以上30℃以下に維持する準備工程、を備えることができる。こうした方法によると、凍結及び解凍に伴う操作やこうした操作に伴うタンパク質の変性による誤差を回避して、凍結するよりも高精度で正確性の高いBDNFの測定が可能となる。また、かかる準備工程を伴うことにより、唾液採取から唾液中のBDNFの測定までの間、唾液を待機させることができる。このため、唾液について効率的なBDNF測定の実施が可能となる。また、採取した唾液を、回収して集約してBDNF測定を実施するのにも都合がよい。
本準備方法の準備工程において唾液を維持する温度は、本測定方法における準備工程において示した温度の各種態様を適用することができる。
以下、本明細書の開示を具現化した実施例について説明するが、以下の実施例は本明細書の開示を限定するものではない。
(唾液検体の測定前の準備の検討1)
唾液の採取方法と前処理方法に関して検討を行った。唾液をマイクロチューブに吐出する方法と、吐出した唾液を一度−20℃で凍結させる方法、サリベット(Sarstedt社製)で採取する方法、サリベットで採取した唾液を一度−20℃で凍結させる方法を比較した。それぞれの検体はBDNF測定前に10,000rpmで10分間遠心分離し、上清を測定に供した。なお、サリベットを採取したときは、スポンジに含浸させた唾液を遠心分離(1500〜3000gで2分程度)して清澄唾液を採取してBDNF測定及び凍結に供した。
これら4種の試料中のBDNFの測定は、アゾポリマーをコーティングしたガラス基板に抗BDNF抗体をスポットした抗BDNF抗体チップを準備し、この抗体チップに、0.1%BSA/PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で段階希釈した標品(1.6pg/ml、4.1pg/ml、10.2pg/ml、25.6pg/ml、64pg/ml、160pg/ml、400pg/ml、1000pg/ml、2500pg/ml)と、上記した各種上清を0.1%BSA/PBSで2倍希釈した唾液検体と、を抗体チップにスポットし、室温で2時間反応させた。コントロールとしては、血清を用いた。この抗体チップをTPBS(トリスリン酸緩衝生理食塩水)で5分間洗浄し、洗浄液を捨て、更にTPBSで10分間洗浄した後に、PBSでリンスし遠心機により脱水した。ビオチン化抗BDNF抗体を0.5%BSA/TPBSで希釈し、抗体チップにスポットし、室温で1時間反応させた。さらに、この抗体チップをTPBSで5分間洗浄し、洗浄液を捨て、更にTPBSで10分間洗浄し、遠心機により脱水した。アルカリフォスファターゼ(AP)標識ストレプトアビジンを0.5%BSA/TPBSで希釈し、当該液に抗体チップを浸漬し、室温で1時間振とうした。抗体チップをTPBSで5分間洗浄し、洗浄液を捨て更にTPBSで10分間洗浄した後に、PBSでリンスし遠心機により脱水した。発光基質としてジオキセタンを抗体チップにアプライし、シールした後に発光検出器にて30分間検出を行った。検量線から唾液のBDNF濃度を算出した。なお、このとき得られた標準曲線は、160pg/ml以下において、その回帰式の決定係数(R2)は、0.99であった。結果を図1に示す。
図1に示すように、常温保管では吐出とサリベットの検出値に差が見られなかったが、凍結保管では、それぞれ30%、10%BDNFの測定値が減少していた。このように、「凍結及び解凍は、検体の採取方法によっても相違する」ことがわかり、また、凍結を回避することが、測定値の精度及び正確性に有効であることがわかった。
(唾液検体の測定前の準備の検討2)
次いで、唾液の保存温度に関して検討を行った。サリベットで採取した唾液を室温(常温)と37℃で保管し、BDNFの変動を評価した。BDNFの測定方法は、先と同様とした。結果を図2に示す。
図2に示すように、常温保管においては、初発と比較して最大2割程度検出値が上昇した後に1割増程度に落ち着いて推移した。37℃保管においては、初発と比較して7日後に4割程度にまで検出値が低下した。これらの結果から、唾液の保管は7日間(168時間)までは、常温程度の場合減少が見られない事が分かった。

Claims (8)

  1. 唾液中の脳由来神経栄養因子の測定方法であって、
    被験個体から採取した唾液を凍結しないで10℃以上30℃以下に維持する準備工程と、
    前記準備工程後に、前記唾液中の脳由来神経栄養因子の濃度を測定する測定工程と、
    を備える、方法。
  2. 前記準備工程は、前記唾液を15℃以上30℃以下の温度で維持する工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記準備工程は、前記唾液を前記温度で168時間以内維持する工程である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記準備工程は、前記唾液を前記温度で12時間以上維持する工程である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記測定工程は、抗脳由来神経栄養因子抗体を用いる抗原抗体反応を実施する工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記測定工程は、酵素結合免疫吸着法を実施する工程である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記測定工程は、脳由来神経栄養因子200pg/ml以下の濃度における標準曲線の回帰式の決定係数が0.99以上である測定方法によって前記脳由来神経栄養因子を測定する工程である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 睡液の凍結を経ないで脳由来神経栄養因子を測定するための唾液の準備方法であって、
    前記脳由来神経栄養因子の測定に先立って、被験個体から採取した唾液を凍結することなく10℃以上30℃以下で維持する準備工程、を備える、方法。
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