JP2003503736A - 動物の疾病についての免疫診断試験方法 - Google Patents

動物の疾病についての免疫診断試験方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、動物体液からのウイルス性または細菌性の抗体の定量的に検出する方法、およびそれを実施するための装置を提供する。ひとつの態様による装置は発振回路により扱う圧電結晶を含み、共振周波数の測定にユニバーサル計測器を用いる。別の態様によると、組換えウイルス性または細菌性のタンパク質を該Pz結晶の表面に固定化し、抗原として働かす。ひとつの実施態様において、ウイルスまたは細菌特異的抗体の存在または不存在の決定を、製造したPzセンサーを用い周波数変化シグナルをモニターして行う。別の実施態様において、本方法は、費用が安く、簡便で、迅速であることがわかる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は動物の疾病について免疫診断試験を実施するための装置および方法に
関する。特に、本発明はウイルス性または細菌性タンパク質が抗原として作用し
ている動物体液中の特異抗体を測定することにより、ウイルス性または細菌性抗
原の存在を検出することに関する。高特異抗原−抗体相互作用を利用して、検出
用の圧電結晶変換器上に抗体を結合させる。
【0002】 (背景技術) 本発明の背景を説明するために、または実施に関してさらに詳しい説明を提供
するために本明細書にて使用する刊行物および他の資料は、出典明示により本明
細書の一部とし、便宜上、それぞれグループ分けし、添付の文献リストとする。
【0003】 動物診断検査室において、診断試験に最も共通して必要なことは疾病を診断す
ることであり、通常、ウイルス性または細菌性抗原の存在またはそれに対する抗
体の存在を試験することからなる。この技術を実施化する伝統的な方法、例えば
、ウイルスの分離、ウイルスの中和、プレート凝集、血球凝集阻害、免疫拡散法
、古典的微生物培養技法、高圧液体クロマトグラフィー、および薄層クロマトグ
ラフィーなどは非常に遅速で費用も掛り、確認結果を得るまでに数日、場合によ
っては数週間を要する。現行のイムノアッセイを加速し、単純化するために、高
特異抗原−抗体反応が重要性を増してきている。ラジオイムノアッセイ(RIA
)、免疫蛍光アッセイ(IFA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、
およびウエスタン・イムノブロット(WB)などの技法は、かなりの程度成功し
ており、現今、動物診断検査室で使用されている。
【0004】 当該イムノアッセイの殆どは、比較的高価な装置と熟練者を使用する実験室で
実施される。殆どの試験が細かい操作と複数の手技を要する。例えば、ウイルス
性または細菌性抗原/抗体検出用の伝統的な固相サンドイッチ・イムノアッセイ
は以下の工程を含んでなる:(a)抗体/抗原ペプチドを固形支持体に固定化す
ること;(b)工程(a)の固定化した抗体/抗原を、塗布した抗体/抗原に対
しての抗原/抗体を含有する疑いのあるサンプルと反応させ、免疫複合体を形成
させること;(c)工程(b)の免疫複合体を洗剤含有洗浄液で洗浄し、未結合
の抗原/抗体を除去すること;(d)該免疫複合体を酵素標識または放射標識第
二抗体と反応させ、サンドイッチ複合体を形成すること;(e)洗浄により該サ
ンドイッチ複合体を未結合の標識第二抗体から分離すること;(f)該サンドイ
ッチ複合体を、酵素または放射の標識体に対し基質として作用し得る化合物と反
応させ、触媒反応を比色モニターし得るようにすること。
【0005】 アッセイ手法における放射性同位元素標識または酵素標識第二抗体の使用は、
廃棄物処理の問題を提起し、アッセイのコストを上昇させる。複数の反応工程と
長いインキュベーション時間は、最初のサンプル処理工程から最終結果の送り出
しまでに8〜10時間を要する。試薬類の冷蔵庫での保存、高価な装置、および
信頼し得る電源を必要とすることが、設備の整った検査室外または野外条件下で
該アッセイ技法を実施することを難しくしている。
【0006】 これらの要件により課された限界を克服する試みが様々な迅速イムノアッセイ
法の開発に導いてきた。例えば、ドット酵素イムノアッセイ(DEI)、ドット
免疫結合アッセイ(DIA)、および種々の粒子凝集テスト法などがウイルス/
細菌性血清抗体の日常的な検査室診断用に開発されている。これらのアッセイ法
においては、抗原をニトロセルロースのストリップまたはシートに点状に染み込
ませ、次いで血清を吸収ペーパーストリップに塗布する。抗原/抗体複合体は酵
素接合抗グロブリンでの着色不溶性基質産物の生成により検出する。この試験は
比較的短時間(1〜5時間)内での血清検出プロセシングを可能とする。これら
のアッセイ法は検査室環境外での利用性も改善したが、これらの有用性は酵素結
合システムに本来的な潜在的温度感受性のために、また特異抗免疫グロブリン試
薬を要することのために、なおかなり制限がある(Heberling and Kalter, 1986
)。
【0007】 その他の試みも伝統的なイムノアッセイを簡素化し、改善するためになされて
いる。米国特許5,695,928は試験サンプル中の様々な試験物質について迅
速な検出を可能とするイムノアッセイを開示している。この発明の特徴は試験物
質の抽出と単離が一次抗原−試験物質複合体の形成と同時的であることにある。
一次抗原−試験物質複合体は次いで迅速な効率的検出を可能とする複数の間質空
間をもつ固相フォーマットに捕捉する。
【0008】 米国特許5,630,924はキャピラリー電気泳動法または他の電気的分離技
法により、超急速結合アッセイを実施するための組成物、方法、および装置を開
示している。
【0009】 米国特許5,565,365は、特定範囲の直系内に容積を収めた複数個のビー
ズ上にリガンド/接合体の複合体を形成させ、そこから放出される放射線を検出
することにより液状サンプルをアッセイするシステムを開示している。該ビーズ
は多孔性マスとして、ビーズの直径範囲よりも小さい直径の多孔性の液体−多孔
スクリーンに隣接した導管に配置する。複数個の常磁性粒子を十分な強度の磁場
を導管の横から当て懸濁し、液体−多孔スクリーンとして常磁性粒子を整列させ
る。
【0010】 米国特許5,554,340は、蛍光標識を典型例として、液体サンプル用のア
ッセイシステムを開示している。このシステムは励起と蛍光発光の双方に焦点を
合わせ得るレンズと、液体流制御導管とからなり、該導管は後者の光軸を横切っ
て、また後者の焦点領域を通って延伸し、レンズに備え付けられている。1つ以
上の機械的スクリーンが導管内の焦点領域に隣接して配置され、ビーズ直径の関
数としてビーズの通過を阻止する。該ビーズは、リガンド/接合体の複合体、例
えば、特異結合リガンドの少なくとも一部で予め被膜されており、好ましくは励
起と蛍光発光の双方に実質的に透明である。
【0011】 米国特許5,212,065は、試薬支持体と消費した試薬の受容器として作用
する一枚の多孔性膜からなる迅速イムノアッセイ装置を開示している。該イムノ
アッセイ装置は該装置内でサンプルと試薬の流れを誘導するものであり、その様
式は追加の外部手段を必要とすることなく、試薬の側方拡散と逆流双方を排除す
るものである。
【0012】 米国特許5,236,824は、原位置レーザー磁気イムノアッセイ(LMIA
)法を開示しているが、この方法はイムノアッセイの標識方法で一般に必要とさ
れるB/F分離を必要としない。レーザー磁気イムノアッセイは、結合種と遊離
種双方を含む分析対象溶液中の標的とする免疫学的物質、例えば、抗原、抗体、
リンパ球、ウイルス、腫瘍細胞、および感染細胞などの定量を可能とする。レー
ザービームの磁気泳動散乱における一過性の増大は、分析対象溶液が磁気標識し
た結合標的分析対象を含んでいる場合に観察され、関連試薬のみを含む対照試験
溶液ではかかる増大が観察されない。磁気泳動LMIA装置は磁気勾配生成装置
を含んでおり、それが原位置LMIAの集積部分を形成する。
【0013】 抗原または抗体のアッセイを実施するための代替法は、抗原/抗体ベースのバ
イオセンサーの使用である。バイオセンサーは、サンプルを未熟練者が加え得る
場合に装置が安価であり、検査室外に持ち出し得るという利点を提供する。その
結果は理想的には迅速に入手し得ることである。免疫センサーは、イムノアッセ
イと同様、直接競合および置換反応により、または変換器出力の直接変化により
、抗原/抗体濃度を検出し得る(Karube and Suzuki, 1986)。前者のタイプのシ
ステムでは、センサー・トランスダクションの変化は光学的、電流滴定、および
放射化学的メカニズムを含む。伝統的なイムノアッセイ同様、これらの検出法で
は一般に標識化レセプターの使用とアッセイ全般で幾つかの調製工程を必要とす
る。代替センサーシステムでは、変換器出力の直接変化により抗原−抗体相互作
用をモニターし得るが、これは質量検出センサーである。このセンサーシステム
では質量変化の検出により直接抗原/抗体反応をモニターし得る。アッセイの概
念と手法は単純であり、潜在的に危険な物質の使用は除去される。このタイプの
システムの一例は、圧電(Pz)結晶装置である。このシステムにより、気相お
よび溶液中双方でのアッセイが可能である。
【0014】 Pz結晶装置は2つの金属電極間に挟まれた水晶発振子ウェーハから構成され
る。該電極はその共振周波数で水晶発振子を駆動する外部の発振回路に該装置を
接続する手段を備えている。この周波数は結晶の質量、ならびに該結晶の電極領
域に限定される質量に左右される。電極表面の質量の変化は、従って、水晶発振
子マイクロバランス(QCM)装置の周波数を変化させる。有力な生物医学セン
サーとして圧電(Pz)発振子を使用することは、周波数の変化と結晶表面に負
荷する質量との相関関係に基いており、その関係は以下の等式で記載される。 ΔF=−2F Δm/A(ρqμq)1/2 ただし、式中ΔFは測定された周波数シフトであり、FはPz結晶の基礎周波
数であり、Aは被膜領域であり、Δmは表面沈降による質量変化であり、ρqは
水晶発振子の密度(2.648g・cm−3)であり、μqはずれ弾性率(AT
カット水晶発振子で2.947×1011g・cm・s−1・s−2)である。
質量感度は: S=2F /(ρqμq)1/2 と記載することができる。10MHzの圧電結晶の場合、質量感度S=0.22
7Hz/ng−1/cmは、4.4ng/cmの吸着が約1Hzの周波数変
化に導くことを意味する。
【0015】 Pz結晶をベースとする免疫センサー技術は、Pz装置の使用、タンパク質固
定化、および抗原−抗体相互作用を組合わせたものである。Pz免疫センサーを
構築する際のキーポイントは、感受性の抗原または抗体レセプター層を形成する
その表面の修飾にあり、標的とする分析対象物がサンプルから選択的に吸着され
るようにすることである。
【0016】 バイオセンサーの組立に使用されるタンパク質固定化方法は、支持体(金属ま
たはポリマー)への物理的吸着、膜への取込み、および支持体への共有結合など
である(Williams and Blanch, 1994)。すべての方法はそれぞれの利点をもち、
例えば、物理的方法は実験的に簡単であり、タンパク質活性を保持する緩和なカ
ップリング方法と見なされている。しかし、ある状況においては、それが幾分可
逆的であって、共有結合程にはタンパク質の表面負荷を高めることはない。共有
固定化法では、表面と付着させる種との間で化学結合させる。他の固定化図式よ
りも一般に苛酷ではあるが、共有結合形成は最も高度の非可逆的表面負荷を与え
るので、センサーの感度にとって有益である。さらに、共有結合により結合した
タンパク質は操作条件に比較的耐性である。一般に、タンパク質固定化の前提要
件は、被膜支持体上の被膜タンパク質の活性、十分な結合量、および強力な付着
を維持することである。異なる固定化方法では異なるセンサー性能を与え、固定
化タンパク質が異なるタイプである場合に適している。
【0017】 Pz結晶被膜として抗原を使用した最初の例はションズ(Shons)ら(197
2)が示しており、低エネルギープラスティック被膜上に抗原を吸着させること
に基いており、1,3−ジ[トリフルオロメチル]ベンゼン中ニエルバーC(nyerb
a C)の30%溶液がタンパク質と疎水性結合を形成し得る層を提供する。抗原を
塗布した後、該結晶を未知量の抗体溶液に露呈する。抗体と抗原塗布結晶間の免
疫反応が抗体を免疫結合させるに至る。負荷質量による周波数のシフトは溶液中
特異抗体の濃度に比例する。
【0018】 米国特許4,242,096は、液体サンプル中の抗原を検出する直接的イムノ
アッセイを開示しており、そこでは抗原がポリ(2−ヒドロキシ−3−ジメチル
アミノ−1,4−ブタン)などのポリマー単層を有する結晶上に共有結合により
被膜されている。ポリマー塗布表面の使用と、続いての抗原吸着は、とりわけ米
国特許4,236,893および4,314,821にも開示されている。米国特許
4,735,906は、シロキサンポリマー層を形成するように改変した表面の結
晶を用い、タンパク質を固定化する方法を開示しており、その場合、タンパク質
はアミド結合を介して固定化される。バスティアーンズ(Bastiaans)(米国特
許4,735,906)は、溶液相にST−カット圧電SAW装置を用いるイムノ
アッセイ法を開示している。結晶表面はシラン誘導体、グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン(GOPS)により修飾している。シンガポール特許出願番号
9801211−5(S. F. Y. Li)は、センサーシステムの性能が他の固相化法
と比較して大幅に改善された自己集合性固相化技法を開示している。
【0019】 組換え技術はタンパク質バイオテクノロジーにおいて重要な役割を果たしてお
り、それによって大量の組換えタンパク質を遺伝子工学産物として生成させるこ
とができる。組換えタンパク質を産生させる目的は大まかに以下の4つのカテゴ
リーに分けることができる(Franks, 1993):1)大量のタンパク質を入手する
こと;2)部位特異的突然変異タンパク質を研究すること;3)バイオテクノロ
ジー用のタンパク質を生産すること;4)インビボでの代謝を操作すること。特
に、例えば、酵素イムノアッセイの開発では、免疫原および酵素トレーサーとし
て構造が十分に解明されているタンパク質を大量に必要とする。近年、血清学的
試験における防御免疫原としてウイルスまたは細菌特異抗原を使用することに興
味が集まりつつあるが、該抗原は組換え技術により生産される。この開示の目的
として、組換えタンパク質または組換え抗原は、生体または細胞から調製される
か、または該タンパク質もしくは抗原の遺伝子をクローン化してある生体または
細胞の子孫から調製されるタンパク質または抗原である。
【0020】 本発明はPz変換器と組換えタンパク質とをイムノアッセイに基き組合わせた
ものであり、動物のウイルス性または細菌性疾患の診断を実施するためのもので
ある。組上げたPz結晶センサーは結晶の質量変化を感知することにより直接、
抗原−抗体相互作用をモニターすることができる。伝統的なイムノアッセイ法の
限界を克服するのに有益であることが証明されている。この新しい技術が提供す
る明瞭な利点は以下のとおりである:1)該システムは基本的に低コストであり
、設備の整っていないラボでも実施可能である;2)基本的なデザインと性能は
比較的単純である;3)結果をリアルタイムに展示することと迅速な現場での試
験を実施することが容易である;そして4)危険な材料の使用が最少であり、未
標識試薬を使用することから、通常の標識化イムノアッセイと異なり、温度に対
する感受性が低く、20〜25℃での安定な保存と輸送が可能である。
【0021】 サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)(SE)(腸炎菌
)は畜産業にとっての主要な問題である。過去10年間、SEは多くの国で食中
毒のヒトから分離される優勢なサルモネラ血清型の一つである。この現象はこれ
らの血清型で汚染された家禽および卵の数の増加と関連づけられている。臨床サ
ンプルおよび環境サンプルからの細菌学的サルモネラ単離技法は、複雑で長たら
しく、かつ費用も嵩む。これらの技法ではサルモネラ抽出物の間欠的性質と処理
し得る数のために腸炎菌(S. enteritidis)感染の群れすべてを同定することは
できない。しかし、腸炎菌のような浸襲的血清型で感染したニワトリは、感染し
ている生体に応答して持続性の免疫グロブリンGを発生分化させる。従って、腸
炎菌に感染した群れについての集団的血清スクリーニングは、もしそれが細菌法
と少なくとも同じ性能を与えるならば、比較的安価で、より実際的な代替法を提
供する。ソーンズ(Thorns)ら(1996)は腸炎菌に対するELISAベース
の血清学的試験法を確立した。この方法は伝統的な固相イムノアッセイに基づい
ており、そこではSEF14と呼ばれる新しい線毛抗原を先ず腸炎菌株において
説明し、それを固相に予め被膜した。典型的なELISA手法のもとで、ニワト
リ血清と卵黄からのSEF14特異抗体を定性的に検出した。米国特許4,68
9,295は、食品サンプルにおけるサルモネラ菌の存在検出法を開示している
。この方法ではサルモネラDNAに選択的にハイブリダイズして検出可能な複合
体を形成し得る少なくとも1種のDNAプローブを用意し、このDNAプローブ
を、食品サンプル中に存在するサルモネラDNAに該プローブがハイブリダイズ
し得るような条件下で食品サンプル中の細菌と接触させ、そのハイブリッドDN
A複合体を食品サンプル中サルモネラ菌の存在の指標として検出することからな
る。
【0022】 ブタの生殖系呼吸器系症候群(PRRS)は世界規模で経済的に重要なブタの
疾病である。この疾病の原因となるのはPRRSウイルス(PRRSV)であり
、アルテリウイルス(Arterivirus)属の属するプラス鎖RNAウイルスである
。この疾病に対する現行の診断は以下に基いている:1)急性発症における特徴
として用いられる臨床徴候であるが、軽度の疾病診断には有効でない;2)ウイ
ルスの単離であるが、時間が掛り、信頼性も低いので余り用いられない;3)P
RRS抗原を試験するポリメラーゼ連鎖反応(PCR);および4)集団プロフ
ァイリングに使用される血清試験法であるが、その方法は免疫ペルオキシダーゼ
単層アッセイ(IPMA)、間接的酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、
および間接的免疫蛍光アッセイ(IIFA)である。
【0023】 米国メイン州のIDEXXラボラトリーズ・インクは、動物における別のウイ
ルスまたは細菌感染症を検出するための一連の抗体診断試験法を有している。I
DEXXのサルモネラ・エンテリディティス抗体試験キットおよびPRRS抗体
試験キットは、それぞれ競合イムノアッセイおよびサンドイッチ酵素結合イムノ
アッセイ(ELISA)の技法を基にしている。これらの特異抗体試験キットに
は、抗原被膜プレートと試薬のすべて(酵素接合抗体、基質、サンプル希釈剤、
洗浄緩衝液、陽性/陰性対照などを含む)が備わっている。試験のプロトコール
は、サンプルのインキュベーション、酵素接合抗体のインキュベーション、基質
のインキュベーション、および多数回の洗浄工程などの手法を含んでなる。最終
シグナルは分光光度計にて測定する。全部の手続(検出サンプルと被膜プレート
との接触から)には3〜5時間を要し、費用は各試験あたり3〜5米国ドルであ
って、設備の整った検査室と熟練者がアッセイの実施に必要とされる。これらの
アッセイは非常に正確で、高感度、高特異性であることが証明されているが、上
に述べた制限が野外条件下、現場での大量スクリーニング試験の実施を難しくし
ている。
【0024】 (発明の対象) 従って、本発明の対象は、動物の疾病についての免疫診断のための装置および
方法を提供することである。これはウイルス性または細菌性の抗原特異的抗体の
検出を含む。本発明の対象はまた、ウイルス性または細菌性の特異的抗原を検出
することである。
【0025】 従って、本発明の対象は、Pz結晶に基づくセンサーをつくる方法を提供する
ものであって、組換えタンパク質をレセプターとして使用し、抗原特異的抗体の
検出を行うことである。
【0026】 本発明の他の対象は、腸炎菌(Salmonella enteritidis) およびPRRSV感
染疾病の検出のための簡単で短時間の方法を提供することである。
【0027】 (発明の要旨) 本発明は、動物の疾病についての免疫診断のための方法を提供する。これはウ
イルス性または細菌性の抗原およびその抗原に対する抗体の存在を検出すること
を含む。ひとつの態様による装置は、Pz結晶を反応担体として使用する免疫セ
ンサーを含む。他の態様によると、組換えウイルス性または細菌性の抗原を結晶
の表面に固定化し、センサーレセプターとして働かす。Pz結晶体は、結晶上の
抗原抗体反応により起こされた質量変化を感知する。
【0028】 腸炎菌(SE)またはPRRSV検出方法は、Pzセンサーをつくることを含
む。これは組換えSEまたはPRRSVタンパク質を結晶の表面上に共有結合的
または物理的に固定化することによる。採用される技術は、浸漬被膜化法または
滴下被膜化法のいずれかであり、最少量のタンパク質を使用する。ある試薬によ
ってブロックの後、被膜された界面を調べようとする検体(例えば、ニワトリ血
清、卵黄、ブタ血清)(検体はSEまたはPRRSV抗体を含む可能性がある)
に適当な時間(数秒から数時間)にわたり曝露する。検体とのインキュベートの
前および後に、つくられた結晶の周波数を測定する。周波数変化または周波数変
化の不存在によって、標的抗体の存在または不存在がわかる。タンパク質カップ
リング方法に加えて、他の技術であって、洗浄緩衝液、ブロック試薬、および検
出試料の希釈率を含む詳細を開示する。
【0029】 (図面の簡単な説明) 図1は、Pz結晶センサーシステムの概略図である。 図2は、特定のセンサー材料層を上部に有するPzセンサーを構成するための
方法およびサンプルを稼動させるための方法を示すフロー図である。 図3は、浸漬被膜化段階において使用されるマイクロコンテナーの図である。 図4は、標的抗体の検出のためのPzセンサーの原理を示す。 図5は、腸炎菌抗体を検出するための陽性および陰性対照によって起こる周波
数変化を示す。 図6は、腸炎菌抗体について試験された35個の未知のニワトリ血清サンプル
で周波数変化を示す。 図7は、7個の予め特性把握された陰性卵黄および12個の予め特性把握され
た陽性卵黄についてのSE−Pzセンサー検出結果を示す。 図8は、タンパク質結合量およびつくられたPzセンサーの感度の間の相関を
示す。 図9は、41個のブタ血清についての測定結果のまとめである。群Aは真の陰
性試料、群Bは陽性対照、群Cは未知のサンプルである。 図10は、つくられたPRRSV Pzセンサーの再生を示す。 図11Aは、再生されたPRRSV Pzセンサーの感度を示す。図11Bは
、再生されたSE Pzセンサーの感度を示す。両図において○は陽性対照1で
あり、●は陽性対照2である。 図12は、二クロム酸溶液(●)および熱ピラニア(○)のチオール化合物処
理表面を有する使用済Pzセンサーでの再生能力を示す。 図13は、二クロム酸溶液のチオール化合物(●)およびγ−APTES(○
)処理された結晶への再生能力を示す。
【0030】 (発明の詳細な開示) Pz結晶装置のセンサーシステムとしての詳細な方法は、図面を参照すること
によって理解できる。 従来のPz結晶装置設計(図1参照)は、ウエハー22の2個の側のそれぞれ
に配置された金属電極20を有する。これらの2個の電極は、共振周波数を発生
および検出するためにそれぞれ発振回路24および周波数計測器26に接続され
ている。Shons et al. (1972)に記載のような標準的方法は、両側に2個の電極
を含む2個のATカット水晶結晶の薄いディスクを使用する。水晶の圧電特性お
よび結晶配向のために、これらの電極間に電圧をかけることによって、結晶のせ
ん断変形を生じる。これらの電極は、水晶ウエハーの表面について発振電場垂直
面を誘導するために使用される。該発振場は、機械的発振、すなわち定常波を水
晶ウエハー中に発生する。共振発振は結晶を発振回路に入れることによって達成
され、電気的および機械的発振は結晶の基本周波数に近い。発振回路および周波
数計測器(例えば、Hewlett Packard, USAからのHP 5213A)は当業界で
周知であり、Breckenstein and Shay(1985)によって詳細に記載されている。基
本周波数は、ウエハーの厚み、その化学的構造、その形状、およびその質量に依
存し、ユニバーサル計測器を使用することによって決定できる。最も一般的に使
用される結晶は、5、9、10MHz水晶の、約0.15mm厚、10−16m
mディスク形状である。金属は通常、金、銀、アルミニウム、ニッケルである。
本発明において、結晶は14mm直径、0.2mm厚のAT−カット10MHz
水晶ウエハーである。金電極は5.1mm直径、100nm厚である。この結晶
は約0.902ng/Hzの質量感度である。
【0031】 免疫センサーシステムとしてのPz結晶装置を構成するために、該方法は、試
料のセンサーの製造およびサンプル検出を含む。センサーとしてのPz結晶の製
造は、通常は表面修飾であって、これは特異的バイオレセプター界面を生成する
ことによる。アッセイは特異的相互作用が周波数信号に転換することに基づく。
つくられたセンサーを試料に曝露すると、被膜された界面と検出される分析物の
間の相互作用が周波数信号の変化となる。この変化を、標的分析物を直接的に定
量的にまたは定性的に同定するために使用できる。
【0032】 図2は、Pz結晶に基づくバイオセンサーを構成し、試料を試験するための詳
細な方法を示す。 第1に、結晶、より特定には金属電極の表面を、適当な酸、塩基、および有機
溶液で洗浄することによって清浄にしなければならない。種々の表面修飾方法に
適合させるために、適当な洗浄方法を採用する。例えば、チオール化合物に基づ
く自己集合単層を構成するために、熱ピラニア溶液が通常考えられるべき第1の
方法である。熱ピラニア溶液で、任意の酸化物質を取り除くことができ、結果と
して親水性金表面を得ることができる。別の洗浄方法(結晶の表面を塩基および
酸に択一的に浸漬することを含む)を、ポリマー修飾に使用できる。塩基および
酸に浸漬の後、蒸留水および有機化学物質ですすぐ段階を実施する。清浄化され
た結晶の基本周波数を、乾燥条件および大気圧でFとして測定できる。
【0033】 本発明において、いくつかの従来のタンパク質固定化方法を採用する。これら
は裸の金属電極への直接的物理的吸着、シラン処理された結晶への共有結合、チ
オール化合物修飾された表面への共有結合、および疎水性ポリマー(ポリスチレ
ン)修飾された結晶への物理的吸着を含む。
【0034】 タンパク質の裸の金表面への物理的吸着は、不可逆的な強い疎水性およびチオ
ール−金相互作用(Horisberger and Vauthey, 1984)に基づく。この方法は、
実験的に簡単であり、金表面を修飾する為の何らの化学的段階を必要としない。
該吸着は、熱ピラニア溶液処理された結晶(F)を生物分子を含む溶液と直接
的に培養することによって達成され、該分子は適当な時間で結晶の表面に吸着さ
れる。生物分子との培養の後の共振周波数はFとして決定される。F−F は生物分子の結合の量に相関する。
【0035】 共有結合性の固定化もまた通常用いられる。共有結合の手順には、適当な第一
の化学薬品による結晶修飾が含まれ、その化学薬品によって所望の官能基が結晶
表面に導入され、共有結合が表面と結合化学種との間で生じ得る。最も通常使用
される活性化官能基には、第一級アミン、チオール、ヒドロキシルおよびカルボ
ン酸が含まれる。例えば、ポリエチレンイミン(PEI)またはγ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン(γ−APTES)修飾はアミノ基を結晶表面に提供する;
末端−COOH基を有する任意のチオール化合物は−COOH修飾表面を結晶に
提供する。官能性化学修飾表面を活性化するため、第二の化学薬品を架橋剤また
は結合剤として時折用いる。通常、架橋剤または結合剤を用い、修飾表面を有す
る活性化生物分子の間に更なる化学的結合を提供するか、修飾表面を更に活性化
する。
【0036】 典型的なイムノアッセイ技術において、最も広く使用される固相は、ポリスチ
レン(非柔軟性の“硬い”プレート)または塩化ポリビニル(PVC、柔軟性のプ
レート)のような疎水性ポリマーから製造された96ウェルマイクロタイタープ
レートである。抗原または抗体は、非極性タンパク質サブ構造とポリマーとの間
の疎水性相互作用によりプラスチック表面に容易に結合する(Crowther, 1995)。
Pzセンサーの作成では、タンパク質の疎水性ポリマー修飾結晶への結合に、こ
の参考文献の考えを利用する。固定化の考え方は、典型的なイムノアッセイに実
質的に類似し、免疫学のバックグラウンドを有する者であれば容易に受け入れる
ことができ、理解できる。共有結合性の固定化と比較すると、この方法は比較的
簡単である。なぜならば、固定化のため結晶がタンパク質にさらされる前に必要
となるのは、最初の化学薬品を用いるたった1つのポリマー修飾手順のみだから
である。
【0037】 生物分子固定化のための多くの方法が存在するが、その多くは1以上の理由の
ために欠点がある。通常、選択の方法は、固定化する生物分子の特性およびセン
サーに望む性能に依存する。
【0038】 化学的修飾またはタンパク質固定化を行うため、幾つかの被膜技術が採用され
、その技術には、浸漬被膜化法、滴下被膜化法、および回転被膜化法が含まれる
。浸漬被膜化法は、適当濃度の適当溶媒中の溶液由来の結晶上に被膜する物質の
物理的または化学的な吸着に依存する。この手順は、指摘された時間、被膜され
る化学薬品/生物分子の溶液中に結晶を浸漬することにより、容易に行える。こ
の技術の1つの問題は、結晶全体を浸すのに比較的大量の溶液を必要とすること
である。滴下被膜化法は、結晶の表面に数マイクロリッター量の飛沫として物質
を被膜することに基づく。前者の技術では、結晶表面と溶液との間の相互作用の
時間が長いことが望ましく、表面と溶液との間の有意な接触が提供される。しか
し、後者の技術では、溶媒の拡散および蒸発のため相互作用の時間が制限され、
結晶表面と溶液滴との間の接触が均一にはならないという問題が生じ得る。しか
し、後者の方法は、ポリマーの充填が溶液濃度および滴下量から容易に算出され
るため、ポリマー被膜に適する。実質的にポリマー被膜に適するほかの方法は回
転被膜化法である。この方法では、適当な溶媒中に溶解されたポリマーは結晶上
に滴下され、その間、高速で回転されている。その結果、溶液は、広がって、薄
く均一な層を結晶表面に形成し、溶媒の蒸発により結晶の表面上にポリマー層を
つくる。
【0039】 Pz免疫センサーを作成する全手順において、上記被膜技術は、種々の被膜物
質および種々の必要な反応条件に依存して、個々にまたは組み合わせて採用され
る。
【0040】 図3は、最小量の貴重なタンパク質による結晶の浸漬被膜化に適当であるコン
テナーの図である。このものは、特別に設計され54mm×12mm×1mmの
大きさのAralditeを付着する顕微鏡スライドからつくられ、3つの結晶
を同時に浸漬するのに適している。この特別のコンテナーを用いることにより、
各結晶につき被膜タンパク質200μLで十分となる。最適なタンパク質濃度に
おいて、各結晶の被膜には数マイクログラムの抽出タンパク質で十分となる。
【0041】 イムノアッセイおよび免疫センサーの使用において、サンプルを適用する前に
被膜固相または製造センサー変換器に対する妨害タンパク質の非特異的吸着を防
止するという注意をはらわねばならない。非特異的吸着の存在は、サンプル検出
を処理するときに、妨害タンパク質の望ましくない吸着を生じ得る。非特異的吸
着を防止するのに通常使用される方法には、ブロック試薬を伴う被膜表面のイン
キュベーションが含まれ、ブロック試薬によって自由な活性残基が非活性タンパ
ク質によりとってかわる。典型的なイムノアッセイでは、ウシ血清アルブミン、
ヒト血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、界面活性剤および脱脂乾燥乳などが
この目的達成のため通常使用される(Crowther, 1995)。本発明では、適当なブロ
ック試薬を採用し、種々の状態の必要要件に適合させる。ブロックは、ブロック
試薬中に被膜結晶を浸漬するか、被膜表面にブロック溶液を滴下するか、何れか
により行う。この手順はセンサータンパク質の固定後に行う。それによって、検
出サンプルでインキュベーションするときに、特異的免疫反応が要因ではない質
量の付加も防止し得る。
【0042】 洗浄の目的は結合または非結合(遊離)の試薬を分離することである。センサ
ーの製造段階で、洗浄工程は、関連被膜過程で用いた溶媒で、次いで蒸留水で行
う。全被膜経過をモニターするために、F、F、Fを乾燥状態で測定する
。2つの連続する過程間の△Fは接着した物質の絶対量に相当する。これは Sar
aubery 式を基に計算できる。個々の結晶間の各固定化過程の均一な周波数変化
は個々の結晶間に結合するタンパク質の均一量を明らかにし、もってサンプル検
出の再現能を確実にし得る。
【0043】 生物分子の固定化およびブロック過程後に使用する洗浄液は、等張性を維持す
るために、通常PBS(0.01−0.1M、pH7.4)で緩衝化する。このよ
うな状態が大部分の抗原−抗体反応に最適である。固定されたタンパク質につい
ての活性を保持する以外に、他の重要な必要事項はセンサー変換器の安定性であ
る。変換器はセンサーの長期間の安定性および感受性に影響を及ぼす。本発明に
おいて、複数の洗浄によって、固定されたタンパク質(F'、F''...)が確
実に安定となる。複数の洗浄工程間の周波数変化およびその未変化は脱離が起き
ているか起きていないかを示す。
【0044】 図4は、動物体液からの特異的抗体をの検出を行うために、固定化センサー・
タンパク質層でPzセンサーをつくる原理についての略図である。28はPz結
晶を、30は被膜センサー・タンパク質(抗原)を、32は被膜抗原に特異的な
標的抗体を、34はブロック性の非活性タンパク質を、36は他の抗体を、38
は他の血清成分を意味する。本発明のこの検出過程は次の工程を含む:被膜また
はブロックされた結晶の乾燥状態での共振周波数FRを得る、2)試験サンプル
溶液を結晶の活性表面とともにインキュベートする、3)非結合物質を洗い出し
、結晶を乾燥する、4)結晶の共振周波数Fsを測定する。周波数変化およびそ
の消失(検体(FR−FS)とのインキュベーションの前後)は抗原に対する抗
体の存在または不存在を表し、診断試験について陽性/陰性すなわちYES/NO の
答えを提供する。
【0045】 抗体と被膜抗原との反応は、インキュベーションがなされるときの、分配、時
間、温度、pHに依存する。インキュベーション温度は最も通常は37℃または
室温である。インキュベーション時間は数分から1時間である。本発明のインキ
ュベーション工程は、被膜結晶を検体中に浸すこと、または結晶の表面に検体を
滴下することのいずれかを含み、そして溶媒を蒸発せしめる。必要な時間および
温度は各々別個の免疫反応形質系の力価に依存する。本発明における緩衝条件の
制御はpH7.2を保持するPBS緩衝液で行う。
【0046】 用いた結晶は、2つの方法のいずれかで再生して数回再使用できる。つくった
結晶を陰性サンプルとともにインキュベートし、小さいシグナル変化しか生じな
かった場合、この結晶を別の検出に再使用できる。一方、用いた結晶を、被膜を
完全に除去する特定の溶媒を使用して新鮮な金表面を再建して再生できる。再生
した結晶の使用で、新しい表面修飾の手段で他の被膜を構築できる。この意味で
結晶はいつまでも用い得る。
【0047】 Pzを基にする免疫センサーは、安価であり、簡便であり、迅速に検出を行い
得る。センサー層がPz結晶の表面に固定化されてしまうと、必要とするアッセ
イ時間は数分から1時間である。さらに、このアッセイは最小の技術と簡便な手
順を必要とするのみであって、高度の研究装置を要しない。
【0048】 本発明を下記の実施例で詳細に述べる。この実施例は説明のためにのものであ
って、いかなる場合でも発明を制限する意図を有しない。当分野での周知の技術
または具体的に下記する技術を利用する。
【0049】実施例 1 ニワトリにおける Salmonella enteritidis 感染症の検出用Pzセンサーの作
製 A)組換え型 Salmonella enteritidis (SE)抗原の製法 ニワトリのSalmonella 血清型 enteritidis をコードする特有の配列を同定し
た。これにより S. enteritidis の特異的な検出が可能となる。フラジェリン(
GenBank 受け入れ番号:754−1023)について部分的遺伝子配列
のクローンのヌクレオチド754−1023を用い、90アミノ酸残基(配列番
号:2)をコードする270bp配列(配列番号:1)を得た。その90aaペ
プチドは S. enteritidis に感染したニワトリの血清と特異的に反応する。Salm
onella enteritidis 株13076の染色体DNAを用いて、ポリメラーゼ鎖反
応(PCR)法によりその配列を増幅した。増幅されたPCR生成物は、遺伝子
が発現したとき組換え融合タンパク質(99aaペプチドに結合したGST)が
生成するように、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の遺伝子に隣
る細菌性発現ベクターに挿入した。このベクターは、細菌宿主の Escherichia c
oli JM 105 適応細胞にクローン化した。適当な組換えプラスミドを含む E. col
i 細胞の単一集落を使って、アンピシリン70μg/mL含有(転換した細胞を
選択するために含めた)のルリア−ベルタニ培地1mLを接種した。4時間後、
この培養物200μLを1:10に希釈し、37℃にて250rpmで10時間
振蕩しながら培養した。培養物は適当なフラスコ中でさらに1:10に希釈し、
前記と同じ条件のもとで培養した。培養物のO.D.600が0.6に達したと
き、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度2
.5mMまで加え、さらに培養を4時間続けた。次いで細菌細胞をペレットとな
し、その細胞ペレットを溶解緩衝液(50mMのpH8トリス緩衝液、0.3m
Mの塩化ナトリウム、0.5mMのEDTAおよび0.5%トウィーン20)に再
び懸濁した。細菌細胞を超音波で破壊し、10000xgにて20分間遠心分離
機にかけた。次いで上澄液中、および尿素1M、6Mおよび8Mを溶かした溶解
緩衝液中のペレットからタンパク質を逐次的に抽出した。この精製の各段階でタ
ンパク質をSDS−ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE)法により分
析し、クマシー・ブリリアントブルーにより染色して視覚化した。大部分の組換
えタンパク質を上澄液および1M尿素抽出液中に回収した。これら分画中の組換
えタンパク質は、ファルマシア・バイオテック社から買ったキットを使用してG
STのアフィニティーカラムを通して精製した。更なるSDS−PAGEでの分
析によってそのタンパク質の純度は98−99%であることが分った。配列から
算出した分子量は9,000で、SDSゲル電気泳動法により35,000kDと
決定した。精製し組換えで発現したタンパク質は、卵黄(ニワトリ卵から抽出)
および自然または実験的に感染したニワトリの陰性または陽性血清を用いてウェ
スタンブロット法により特徴づけた。
【0050】 B)SE−Pzセンサーの作製 本発明においては、3種の通常のタンパク質固定化法を採用し、結晶の表面を
組換え Salmonella enteritidis タンパク質層で覆ったPzセンサーを作製した
。これらすべての方法は、活性を失うことなく同じ量のタンパク質結合を保証す
ることが証明された。
【0051】 C)自己組織化単層膜法による固定化 金の電極を装着した10MHzAT−カットの結晶(米国オクラホマ、ICM
社製)を、温かいピラニア(Piranha)溶液(30%過酸化水素:硫酸(1:3
))にて洗浄した。ピラニア溶液を金の表面に薄く塗り、5分後、電極の表面を
蒸留水にて完全にすすぎ、次いで95%エタノールで、さらに再び蒸留水ですす
いだ。この操作を二度繰り返した。金の表面は最後に窒素ガス気流を吹き付けて
乾燥し、共振周波数(F)を測定した。
【0052】 該SE抗原の共有結合について、この実験では分子の一方にチオール基を、他
方にアミノ基を供する4−アミノチオフェノール(ATPh)によって初めに金
の電極表面を修飾した。金表面にチオール基が自発的に吸着すると、アミノ基が
接触面に向かい合い、さらにタンパク質由来の別のアミノ基を交差結合試薬によ
って固定化する、機能的残基として働くことが確実となる。この固定化は、新た
に清浄にした結晶を直ちに、ATPh(第1化学薬品)の20mMを含むジメチ
ルスルフォキシド(DMSO)溶液に室温にて一夜浸漬することにより達成した
。蒸留水にて洗浄し、空気乾燥した後、修飾した結晶を2.5%グルタルアルデ
ヒド(GA)のPBS(第2化学薬品)溶液に浸漬することにより、得られたア
ミノ基をさらに活性化した。PBS緩衝液で洗い蒸留水ですすいだ後、タンパク
質と培養を行った。
【0053】 被膜した結晶上に少量のタンパク質を適応することは、特に抗体を被膜する際
、センサー層を作製する最も一般的に使われる手法である。本実験においては、
この手法を先ず検討した。すなわち、活性化した結晶の各側にSEタンパク質の
濃い溶液(500μg/mL)を各5μL適用し、溶媒が完全に蒸発するまで3
7℃にて培養した。しかしまずいことに、この方法では、被膜した結晶すべてが
(ある周波数の変化に対応して)固定化されるべきタンパク質の必要量を確実に
保持するようにはできなかった。その理由は、この方法での限られた培養時間、
および組換えタンパク質の精製に用いたタンパク質溶液中の0.1%SDSの含
量にあろう。これらの問題を克服するために、別の浸漬被膜化法を開発した。そ
の方法により、修飾した結晶を希SE−PBS溶液(25μg/mL)に浸け、
望まれる時間(1−2時間)37℃にて培養した。この方法は自家製ミクロコン
テナーの設計とその使用に基礎を置く。ミクロコンテナーの大きさは54mm×
12mm×1mm、容積は648μLである。この特別の設計は3片の結晶を同
時に浸漬することを可能とし、典型的には組換えタンパク質5μgが各結晶に充
分な量である。
【0054】 この方法は充分な長さの培養時間を確保するだけでなく、必要なタンパク質の
量を減らせるため、組換えタンパク質の被膜化にはより適していることが分った
。さらに、培養時間が長いことは、被膜タンパク質の低い濃度での使用を可能と
する。この実施例で、25μg/mLまでSE濃度を使用すると、結合量は表面
の飽和に対応、すなわち周波数の変化が停止する。さらには、希釈したタンパク
質はアニオン性洗浄剤のSDSの量を最少とし、またタンパク質の固定化の妨害
を減少させる。その他この浸漬法は、結晶とタンパク質溶液間の十分で均質な接
触を保証するので、個々に被膜した結晶に結合するタンパク質の量の変動を少な
くするのに有益である。滴下被膜化法と浸漬被膜化法によるSEタンパク質の結
合量を表1.1に比較して示す。
【表1】
【0055】 D)シラン化法による固定化 別のタイプの被膜化方法はシラン化法に基礎を置く。結晶を1.2N水酸化ナ
トリウム溶液中で20分間、続いて1.2N塩酸溶液中で5分間洗浄した。結晶
を蒸留水にてすすぎ、空気乾燥した。続いて、濃塩酸の数ミクロリッターで1〜
2分間結晶の表面を処理し、最後に結晶を蒸留水およびエタノールですすいだ。
【0056】 清浄な結晶を先ずアセトン中5%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ
−ATPES)に1時間浸して修飾した。アセトンおよび蒸留水(F)で洗浄
後、以下の方法をAPTh法と同様に適応した。その方法は、GAによる(F )更なる活性化および最後に浸漬することによる(F)組換えSEタンパク質
25μg/mLとの培養を含む。被膜の安定性を保証するため複数回の洗浄工程
がこれに続く(F'、F'')。
【0057】 E)ポリスチレン法による固定化 結晶は、前述のごとく交互に塩基と酸によって洗浄した。ポリスチレンビーズ
をトルエンに溶解し、そこに清浄にした結晶を室温にて30分間浸漬して、物理
的吸着によりポリマーのフィルムを形成した。エタノールおよび蒸留水にてすす
いだ後(F)、ポリマーフィルムで覆われた結晶を組換えSEタンパク質の被
膜緩衝液中に適当な時間浸漬した(F)。
【0058】 ポリスチレンフィルムの厚さはポリマー溶液の濃度に依存する。この場合は3
mg/mLが採用され、周波数の変化に対応するポリマー被膜の量は1196±
125Hzであった。9mg/mLのポリマーは4913±325Hzの周波数
変化に相当し、より厚いポリマー被膜を与えたが、タンパク質被膜の量はもはや
増加しなかった。このことは、ポリマーは3mg/mLで飽和状態のポリマー被
膜を与え、その被膜は結晶の全域をカバーしていることを示した。
【0059】 プラスティック上へのタンパク質の吸着は疎水性の相互作用に基づく。相互作
用の割合はタンパク質の濃度、被膜のpH、温度および培養時間に依存する。こ
の場合、最善の被膜化方法は37℃にて1時間、SE溶液(pH9.6の50m
M炭酸塩被膜緩衝液中25μg/mL)に結晶を浸漬することであった。SEの
濃度が25μg/mLに達して、240±19.9Hz周波数の変化に相当する
飽和結合量となったことが示される(表1.2)。
【表2】
【0060】 全被膜化行程を通して反応手順を追跡するためにF−Fを測定した。3種
の固定化方法は、活性を失うことなく、ほとんど同じ量のSE結合を確保するこ
とが証明された(表1.3)。これらの被膜化方法は、洗浄処理中に周波数の変
化が見られないくらい安定であった。最適の被膜化条件では、該タンパク質の5
μgが1個のPz結晶の作製に十分な量である。
【表3】
【0061】 本発明において、比較的簡単な概念で固定化時間を削減できるので、ポリスチ
レン被膜化法を初めに推奨した。該被膜化プロセスによって、SEタンパク質被
膜で覆われた大量のPz結晶を作製し、ニワトリ血清または卵黄由来のSE特異
的抗体の試験を行なった。
【0062】 非特異的吸着を避けるため、SEタンパク質被膜結晶は、結晶の各側上に5%
BSA溶液5μLを滴下するか、または1%BSA溶液に37℃にて30分浸漬
することによって、BSAと培養した。洗浄、乾燥後、該結晶は4℃で保存また
は冷蔵保存した。
【0063】 SEの検出にはポリスチレン法が最善の方法であると選択し、本発明の以下の
(F)および(G)項においては、使用したPz結晶をこのポリスチレン被膜化
法によって作製した。ポリスチレンで修飾した表面上へのSEタンパク質の固定
は物理的吸着に基づいている。ポリスチレン修飾の電極表面は阻害タンパク質の
結合に低活性となり、したがって非特異的な結合は大きく減少することが分った
。ポリスチレンフィルムへのSEの結合は、静電的相互作用に依っているため、
長い(一夜の)培養によって達成する。したがって血清サンプルとの短時間(5
−10分)の培養は、被膜抗原への特異的抗体のみの結合を可能とする。
【0064】 F)ニワトリ血清からSE抗体の検出 作製した結晶を冷凍庫から取り出し、室温に戻し、共振周波数Fを測定した
。この検出に用いたサンプルはニワトリ血清である。希釈した血清サンプルは阻
害タンパク質によるバックグランドを減らしたが、抗体濃度が低いため感度の消
失をきたした。本実施例では、PBS緩衝液による血清サンプルの50倍(1:
50)希釈が、一方で感度の要件と他方で結合阻害の処理との間の、最上の妥協
点であることが分った。最適の希釈のもと、希釈血清サンプル10μLを結晶の
両側上に置き、室温にて約20分間、電極の全域を覆った。該結晶を洗浄、乾燥
後、共振周波数Fを測定した。F−Fは試験した血清サンプルによる質量
の吸着に対応する。
【0065】 全部で47のニワトリ血清が関係する。6個の陰性対照血清および6個の陽性
対照血清を用いて、作製したセンサーの性能を同定した。結果を図5に示す。陽
性および陰性サンプルによる周波数の変化は明らかに異なり、イエスまたはノー
の判定結果が出る。カットオフ値は陰性対照6個の平均値プラス3倍の標準偏差
(SD)とした。この場合カットオフ閾値は176.7Hzであった。
【0066】 その他35個の未知血清はSE−Pzセンサーを用いてアッセイし(図6)、
その結果を伝統的なイムノアッセイ法による結果と比較した。SE−Pzセンサ
ーについて、SE抗体が存在するかしないかを、血清標準品と培養の前と後で結
晶の周波数変化によって決定した。ΔF(F−F)がカットオフ閾値、この
場合は176.7Hzであるが、これより小さければ、そのサンプルはSE抗体
が陰性と分類し、またΔFがカットオフ閾値以上であれば、そのサンプルはSE
抗体が陽性と分類する。陽性対照血清(血清0)は高度に陽性のシグナルを示し
た。35の内6サンプルが陽性対照血清と同等またはそれ以上であった。他の1
1サンプルは陽性、残りの18サンプルは陰性であった。これらの結果は、血清
33を除き、ウェスタンブロット法および市販で入手可能なIDEXX−SE抗
体試験キットとすべてで一致した。表1.4は2×2分割表であり、これにより
SE−Pzセンサーと二つの伝統的イムノアッセイとが比較される。Pzセンサ
ーと伝統的イムノアッセイ結果の一致度は96%で、相対的な感度および特異性
は、それぞれ100%および95%であった。
【表4】
【0067】 G)ニワトリ卵黄からSE抗体の検出 本実施例においてアッセイされるサンプルタイプは卵黄である。1:1ないし
1:10の希釈を試験した。PBSによる1:5の希釈が、感度の要件と結合阻
害の処理について最適であった。最適の希釈条件下で、希釈卵黄サンプル10μ
Lを結晶の両側に加え、37℃の培養器中にて約30分、電極の全域を覆った。
該結晶を洗浄、乾燥後、共振周波数Fを測定した。F−Fは試験した血清
サンプルによる質量吸着に対応する。実験的に感染させたニワトリまたは非感染
のニワトリに由来する19個の既知の卵黄すべてをSE−Pzセンサーによって
アッセイした。その結果を図7に示す。カットオフ値は陰性サンプルの平均値プ
ラス3倍の標準偏差とした。
【0068】実施例2 子ブタにおけるブタ生殖系および呼吸器系症候群ウイルス性疾病の検出用Pz
センサーの作製 A)組換え型のブタ生殖系および呼吸器系症候群ウィルス(PRRSV)抗原の
作製 子ブタにおけるブタ生殖系および呼吸器系症候群ウィルス(PRRSV)をコ
ードする特有の配列を同定した。PRRSVはそのゲノム中に、1a、1b、2
、3、4、5、6、および7と称す8個の読み取り枠(ORF)を持っている。
PRSV株を、PCR法によりウイルス性ORF−5および7の増幅に用い、細
菌宿主の Escherichia coli JM 105 に匹敵する細胞にクローン化した。ORF
5のDNA配列は配列番号:3またORF−5のタンパク質配列は配列番号:4
とする。続く組換え発現プロセスおよび精製方法は、実施例1に記載したSE抗
原のそれとほぼ同じである。ORF−5および7からのウイルス性タンパク質の
生成物は、8M尿素で抽出して回収した。8M尿素分画は、調製的SDS−PA
GEでバンドを除去して精製した。精製し組換えで発現したタンパク質は、純度
98−99%であり、自然または実験的に感染した子ブタの陰性または陽性血清
を用いて、ウェスタンブロット法により特徴づけた。配列から算出した分子量は
9,000で、SDSゲル電気泳動法により41,000kDと決定した。
【0069】 B)PRRSV−ORF−5抗原層(PRRVS−ORF5−Pz)をもつPz
センサーの作製 本実施例では、組換えPRRSV−ORF−5タンパク質を検出抗原として用
いた。PRRSV−ORF−5タンパク質層をもつPzセンサーを作製のため、
共有結合型および非共有結合型固定化法を実施例1記載のとおり採用した。各方
法は周波数変化に対応するのに十分なタンパク質結合の量を保証するものであっ
たが、更なる実験で共有結合は陽性と陰性の血清サンプルを区別するのに適さな
いことが分った。以下の二つの問題にぶつかった。すなわち陰性対照によりバッ
クグランドが比較的強いこと、および陽性対照と培養したとき周波数変化が弱い
ことであった。前者の問題は、被膜表面の非特異的な吸着残渣が、吸着された血
清組成物である阻害タンパク質の結末としてなお存在していることを示している
。後者の問題は、被膜したPRRSVタンパク質の失活に起因する。その結果、
検出した抗体と被膜したPRRSVタンパク質との免疫反応が妨害された。これ
ら二つの問題を克服し、また陽性と陰性シグナル間の明らかな区別ができるよう
に、以下のような努力を払った。第一に、PBS,乾燥ミルク、ゼラチン、カゼ
イン緩衝液などの適当なブロック試薬を使い、これをPRRSVで被膜した結晶
と培養してから、被膜結晶と血清サンプルを接触させた。第二に、陽性対照血清
による周波数の変動シグナルを増大させるため、時間、温度および血清の希釈度
といった、血清の培養条件を修正した。これらすべての努力はセンサーの性能を
改善するのに無効であった。
【0070】 幸い結晶の表面上への直接的PRRSVタンパク質の非共有結合は、PRRS
V層をもつPzセンサーの作製にとって、実に理にかなっている。
【0071】 金の電極上には、タンパク質分子と金の表面との間の疎水的なチオール−金の
相互作用により、強力で不可逆的なタンパク質の吸着が見られる。結晶の表面上
にPRRSVタンパク質を固定するために、完全に清浄にした結晶(F)を室
温にて一夜、PRRSVタンパク質溶液に浸漬した。溶液の蒸発を防ぐため、浸
漬した結晶の入った自家製ミクロコンテナーを高湿度の箱の中に保存した。蒸留
水にて洗浄後、被膜した結晶を空気乾燥した(F)。PBS緩衝液中に0.5
%カゼイン、0.2%トゥイーン20を含むカゼイン緩衝液を結晶と室温にて1
時間培養し、ついで洗浄および乾燥した(F)。F−Fは結合タンパク質
の量に対応し、F−Fは阻害タンパク質の吸着に関係する。
【0072】 金表面を被膜するタンパク質の割合と程度は、以下に依存する。1)被膜分子
の拡散係数、2)被膜される表面面積と被膜溶液の体積比、3)吸着される物質
の濃度、4)温度、および5)吸着時間の長さ。これらの因子はすべて関連して
おり、最も重要なのは各系において被膜する最適抗原の濃度を決定することであ
る。作製したセンサーの高感度を確保するために、一方では被膜タンパク質が結
晶表面の利用可能な部位を飽和する必要がる。他方、実際の結合密度が結果に影
響するので、結合タンパク質の効果を異なった濃度で評価することに注意を払わ
ねばならない。抗原の高密度結合は、立体障害(抗原分子が極めて緊密に詰まっ
ている)のため、抗体を結合させなくする。
【0073】 本実施例で用いたPRRSVタンパク質の濃度範囲は5−50μg/mLであ
った。この範囲でタンパク質の結合量は140−800Hzの周波数変化に相当
した。被膜した結晶(F)をブロックした後、実際のPRRSV陽性の子ブタ
血清をそれらと培養し(F)、異なったPRRSVタンパク質結合能を持つセ
ンサーの感度を追跡した(図8)。PRRSVタンパク質結合の量は、196.
4−312.5ng/両側(220−350Hzの周波数変化に相当)の範囲に
おいて、260−320Hzの陽性対照に因るΔF(F−F)であるから、
感度が最も高いことが観察された。
【0074】 220−350HzのPRRSV結合を得るために、25μg/mLのPRR
SV溶液を最適濃度として用いた。この条件で、大量の結晶を被膜した。10個
の結晶への結合タンパク質の量を表2.1に示す。各々作製した結晶について、
PRRSVタンパク質結合の量が高度に均一なことは、センサーからセンサーへ
の高い再現性の基礎をなす。この物理的吸着方法は本実施例におけるC−F項の
下記実験に使用した。
【表5】
【0075】 C)サンプルの試験プロトコル 被膜し凍結した結晶を4℃に保ち、これを冷蔵庫から取り出し室温に戻し、共
振周波数Fを測定した。試験に用いたサンプルは子ブタの血清サンプルである
。本実施例においては、血清サンプルをPBS緩衝液にて5倍(1:5)に希釈
するのが、感度の要件と結合阻害の処理との間で最上の妥協点であることが分っ
た。最適の希釈条件のもと、希釈血清サンプル10μLを結晶の各側に加え、電
極の全域を室温にて10分間覆った(サンプルの培養は10分が最適であった)
。該結晶を洗浄し乾燥後、共振周波数Fを測定した。F−Fは試験した血
清サンプルによる質量吸着に相当する。
【0076】 本実施例は41個の子ブタ血清の全部を含んでいる。図9は要約した測定結果
を棒グラフで示す。検体のうち、12個の血清(グループA)および14個の子
ブタ血清(グループB)はそれぞれ陰性と陽性の対照であって、センサーの性能
測定に使った。12個の実在のPRRSV陰性である対照血清(グループA)は
、平均値が30.0±20.9Hzで、0から60の範囲で正常に分布するF
値であった(表2.2)。カットオフ閾値は、陰性対照12個の周波数変化
の平均値、プラス3倍の標準偏差とした。その他の15個の子ブタ血清(グルー
プC)は未知の血清であり、これを使って伝統的なウエスタンブロット法および
市販のELISA法でセンサーの感度と特異性を比較した。PRRSVに対する
抗体が存在するかしないかを、血清標準品と培養前後の周波数変化によって測定
した(F−F)。ΔFがカットオフ閾値より小さければ、そのサンプルはP
RRSV抗体が陰性と分類し、またΔFがカットオフ閾値以上であれば、そのサ
ンプルはPRRSV抗体が陽性と分類する。グループCにある15のうち、8サ
ンプルが陽性で、残りは陰性であった。これらの結果はすべてIDEXXP−R
RS抗体試験キットまたはウエスタンブロット試験とよく一致した。
【表6】
【0077】 D)IDEXX−ELISA間の相互比較 ORF−5−PRRS−Pzセンサーによって得た実在の子ブタ血清の結果を
、市販のIDEXX−PRRS−ELISA試験キットの結果と相互比較した(
表2.3)。IDEXX−PRRS−ELISA法は標準のプロトコルを用いて
行ない、それによって各サンプルのS/P比を算出し、PRRSVに対する抗体
が存在するかしないかを測定した。S/P比が0.4より小さければ、そのサン
プルはPRRSV抗体が陰性と分類し、S/P比が0.4以上であれば、PRR
SV抗体が陽性と分類した。
【0078】
【表7】
【0079】 各サンプルの規格化シグナルは、サンプルの周波数変化に対するカットオフ閾
値の周波数の比、ΔFサンプルまたは(S/P)サンプルと定義した。表2.3
中、1より大きい規格化測定値をもつ各血清は陽性検体と分類できる。血清サン
プル1−3はPzセンサーにより、0−0.39の範囲の規格化シグナルをもち
陰性と同定した。ところが一方、IDEXX−ELISA法による規格化シグナ
ルは0.25−0.60の範囲にあった。血清サンプル6および7は、Pzセンサ
ーでは強陽性で、2.8−3.4の規格化シグナルを示したが、IDEXX−EL
ISAでは5.00−5.25の規格化シグナルを示した。血清サンプル4および
5は弱陽性と同定した。PRRSV−Pzセンサーと市販のIDEXX−ELI
SAによれば両方ともその規格化シグナルは1よりも僅かに上回った。
【0080】 E)ORF5−PRRSV−Pzセンサーの再現性 センサーからセンサーへの周波数変化の再現性を調べるため、血清サンプルの
幾つかを、異なって作製したセンサーで複数回測定した(表2.4)。標準偏差
は5.0−15.0%の範囲で、これはIDEXXでの結果に匹敵し容認できる。
【0081】
【表8】
【0082】 F)センサーの再利用能 ここで再利用能とは、被膜した結晶を最初に陰性血清のアッセイに使用し、更
にそれが他のアッセイに再び使用できるような場合を指す。4個の被膜結晶(1
−4)を異なる順で、2個の陰性対照血清、および2個の陽性対照血清のアッセ
イに使った。その結果を図10に示す。結晶1は、先ず陰性対照と培養すると、
36Hzの周波数変化ΔFとなった。次いで結晶1を陰性対照と培養すると、5
0Hzの周波数変化であった。さらに、この2回使用した結晶を陽性対照と培養
すると、225Hzのシグナルが生じた。結晶2は比較対照として用い、これに
より同じ陽性対照を直接アッセイすると、250Hzのシグナルが生じた。その
他2個の結晶を用いて同様の実験を行なった。陽性対照2を、1回使用済みの結
晶と直接新しい結晶とによってアッセイした。この二つの試験で得られた周波数
シグナルはお互いに極めて近似し、その標準偏差SDは、企画した標準偏差の1
5%以内であった。このことは、作製した結晶が明らかな感度の消失なく、少な
くとも3回の再使用が可能であること示した。
【0083】実施例3 使用済み結晶の再生 陽性サンプルを試験後、pHを変更することによって被膜結晶の再生が可能で
ある。pH11.0のホウ酸/KCl+NaOH緩衝液(50mLの0.025M
ホウ砂と22.7mLの0.1M水酸化ナトリウム)に使用済み結晶を30分浸漬
すると、抗体が免疫複合体から除去できる。蒸留水およびPBS緩衝液にて洗浄
後、その結晶は他の試験に使用することができる。図11A−Bは再生したPR
RSV−Pzセンサー(図11A)および再生したSE−Pzセンサー(図11
B)の感度を示す。不可逆的な失活が起こる前に、およそ3−4回の試験が可能
である。
【0084】 重クロム酸の洗浄溶液(重クロム酸カリウム10gを温水30mLに溶解、冷
却し濃硫酸70mLを加える)が、被膜センサーの表面からすべての被膜物を取
り除く最も良い方法であることが分った。これはほとんど全ての表面条件に適す
る。例えば、チオール化合物で修飾した表面は、金と硫黄原子との間に強い結合
状態がある。この表面を10mLの重クロム酸溶液に15分より長く浸し、次い
で蒸留水にてすすぐと、周波数を元の基準線Fに回復させることができ、新し
くなった金の表面に新たな表面修飾が可能となる。図12はチオール化合物で処
理した表面について、重クロム酸溶液と温かいピラニア溶液との再生能の比較を
示す。金に直接行なった組換えPRRSVタンパク質の固定が、比較的安定であ
ることが分る。PRRSVを吸着した金表面についての再生法は重クロム酸と1
5分間の培養することを含む。
【0085】 金表面におけるγ−ATPESの相互作用は、3箇所の金と酸素の結合に基づ
いている。γ−ATPESで処理した結晶の再生は、長時間の洗浄によって達せ
られる。図13は、ATPhおよびγ−ATPESで処理した結晶について重ク
ロム酸洗浄溶液の再生能を示す。
【0086】 本発明はその望ましい実施態様の詳細を引用して本特許出願書に開示したが、
本発明の精神および特許請求の範囲内において、当業者が改良を容易に思いつく
であろうことからして、本開示は発明を制限するものではなく、例示的な説明を
意図していると理解すべきである。
【0087】 引例 Breckenstein S And Shay M (1985). Electronchim. Acta 3-Q:1295. Crowther
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、Pz結晶センサーシステムの概略図である。
【図2】 図2は、特定のセンサー材料層を上部に有するPzセンサーを構
成するための方法およびサンプルを稼動させるための方法を示すフロー図である
【図3】 図3は、浸漬被膜化段階において使用されるマイクロコンテナー
の図である。
【図4】 図4は、標的抗体の検出のためのPzセンサーの原理を示す。
【図5】 図5は、腸炎菌抗体を検出するための陽性および陰性対照によっ
て起こる周波数変化を示す。
【図6】 図6は、腸炎菌抗体について試験された35個の未知のニワトリ
血清サンプルで周波数変化を示す。
【図7】 図7は、7個の予め特性把握された陰性卵黄および12個の予め
特性把握された陽性卵黄についてのSE−Pzセンサー検出結果を示す。
【図8】 図8は、タンパク質結合量およびつくられたPzセンサーの感度
の間の相関を示す。
【図9】 図9は、41個のブタ血清についての測定結果のまとめである。
群Aは真の陰性試料、群Bは陽性対照、群Cは未知のサンプルである。
【図10】 図10は、つくられたPRRSV Pzセンサーの再生を示す
【図11】 図11Aは、再生されたPRRSV Pzセンサーの感度を示
す。図11Bは、再生されたSE Pzセンサーの感度を示す。両図において○
は陽性対照1であり、●は陽性対照2である。
【図12】 図12は、二クロム酸溶液(●)および熱ピラニア(○)のチ
オール化合物処理表面を有する使用済Pzセンサーでの再生能力を示す。
【図13】 図13は、二クロム酸溶液のチオール化合物(●)およびγ−
APTES(○)処理された結晶への再生能力を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // G01N 27/447 G01N 27/26 311Z 311G (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA ,ZW (71)出願人 インスティチュート オブ マテリアルズ リサーチ アンド エンジニアリング シンガポール国 シンガポール リサーチ リンク 3 (72)発明者 サム・フォン・ヤウ・リ シンガポール597591シンガポール、ナンバ ー07−03、パイン・グローブ5番 (72)発明者 ス・シャオディ シンガポール600041シンガポール、テバ ン・ガーデンズ・ロード、ナンバー03− 347、ブロック41 (72)発明者 ジミー・クワン シンガポール118892シンガポール、ケント ビュー・パーク・ナンバー02−09、パサ ー・パンジャン・ヒル87番 (72)発明者 シャロン・ロー シンガポール258394シンガポール、ナシ ム・ロード、ナシム・パーク17シー、ナン バー01−04 (72)発明者 リュー・ウェイ シンガポール151011シンガポール、レッ ド・ヒル・クロース、ナンバー06−110、 ブロック11 Fターム(参考) 2G045 BB01 BB14 BB20 BB24 BB50 BB51 CA26 CB21 FB03 FB05

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物体における感染物の存在についての免疫診断試験を行う
    方法であって、下記: a)i)該感染物由来の抗原またはii)該感染物由来の抗原に特異的な抗体を、
    圧電(Pz)結晶上に固定化し、 b)工程(a)後の該結晶の共振周波数を測定し、 c)該結晶を、試験すべき該生物体由来の生物検体と接触せしめ、 d)工程(c)後の該結晶の共振周波数を測定し、 e)工程(b)で測定した共振周波数を、工程(d)で測定した共振周波数と比
    較する(2つの周波数の相違がカットオフ閾値に等しいか大きいと、該生物検体
    は該感染物の存在に関し陽性である)、 を含む方法。
  2. 【請求項2】 該抗原が組換え抗原である、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 該感染物が細菌またはウイルスである、請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 工程(a)の後で該結晶をブロック試薬と接触せしめる、請
    求項1の方法。
  5. 【請求項5】 該Pzが0.1−1000MHzATカット結晶性水晶であ
    る、請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 該Pz結晶が銀または金の電極をさらに含む、請求項5の方
    法。
  7. 【請求項7】 該Pz結晶が、該Pz結晶を電気的に刺激し得る発振回路を
    さらに含み、その固有の周波数で発振する、請求項5の方法。
  8. 【請求項8】 該共振周波数をユニバーサル計測器で測定する、請求項1の
    方法。
  9. 【請求項9】 該抗原が膜貫通挿入タンパク質である、請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 該膜貫通挿入タンパク質が、グルタチオン S-トランスフ
    ェラーゼを含む融合タンパク質として組換え的につくられる、請求項9の方法。
  11. 【請求項11】 該固定化を、1)金属またはポリスチレン修飾結晶への物
    理的吸収および2)ポリマー、シラン、チオール化合物処理結晶との共有結合よ
    りなる群から選ばれる方法によって行う、請求項1の方法。
  12. 【請求項12】 該固定化を、該Pzを該抗原溶液中に浸すことにより行う
    、請求項11の方法。
  13. 【請求項13】 該生物検体を該接触の前に稀釈する、請求項1の方法。
  14. 【請求項14】 工程(a)、ブロック工程、工程(c)の後に洗浄工程を
    さらに含む(該洗浄は洗剤を含む生理的緩衝液で行う)、請求項4の方法。
  15. 【請求項15】 該生理的緩衝液がリン酸緩衝液である、請求項14の方法
  16. 【請求項16】 該ブロック試薬が非活性タンパク質である、請求項4の方
    法。
  17. 【請求項17】 該ブロック試薬がウシ血清アルブミンまたはカゼイン緩衝
    液である、請求項16の方法。
  18. 【請求項18】 該ブロック試薬を浸漬被膜化法または滴下被膜化法で適用
    する、請求項4の方法。
  19. 【請求項19】 生物検体との該接触を液相または蒸気相で行う、請求項1
    の方法。
  20. 【請求項20】 該カットオフ閾値を陰性対照の平均値たす3倍の標準偏差
    として定める、請求項1の方法。
  21. 【請求項21】 該Pz結晶が該感染物に陰性であった試験で使用したもの
    である、請求項1の方法。
  22. 【請求項22】 該抗原が配列番号2のペプチドを含む、請求項1の方法。
  23. 【請求項23】 該抗原がPRRSVのORF5を含む、請求項1の方法。
  24. 【請求項24】 i)結合抗原またはii)結合抗体で被膜した使用済Pz結
    晶を再生する方法であって、ホウ酸/KCl−NaOHを含有する緩衝液で洗い
    、該抗原または抗体に結合のタンパク質を除去し、該抗原または抗体を除去しな
    いで、もって結合抗原または抗体を有するPz結晶を再使用できるようにする方
    法。
  25. 【請求項25】 使用済のPz結晶を再生する方法であって、重クロム酸で
    洗ってすべての結合タンパク質および結合抗原を除去し、新しい抗原が結合でき
    るようなきれいな結晶をつくる方法。
  26. 【請求項26】 Pz結晶を抗原または抗体で被膜する方法であって、該結
    晶を該抗原または該抗体の溶液に浸すことを含む方法。
  27. 【請求項27】 組換え抗原または抗体で被膜したPz結晶を含む診断キッ
    ト。
  28. 【請求項28】 該組換え抗原が配列番号2のタンパク質を含む、請求項2
    7の診断キット。
  29. 【請求項29】 該組換え抗原がPRRSVのORF5を含む、請求項27
    の診断キット。
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