JPH10282039A - 表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ及びその製造方法 - Google Patents
表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ及びその製造方法Info
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- JPH10282039A JPH10282039A JP9081530A JP8153097A JPH10282039A JP H10282039 A JPH10282039 A JP H10282039A JP 9081530 A JP9081530 A JP 9081530A JP 8153097 A JP8153097 A JP 8153097A JP H10282039 A JPH10282039 A JP H10282039A
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Abstract
属膜、及び該金属膜上に配置される有機硫黄層を備えて
いることを特徴とする表面プラズモン共鳴バイオセンサ
ー用測定チップ、及びその製造方法。 【効果】 製造が容易であり、また、固定化する生理活
性物質が少量であっても、良好な感度で測定対象物質を
測定することができる表面プラズモン共鳴バイオセンサ
ー用測定チップを提供する。
Description
バイオセンサー用測定チップ及びその製造方法に関す
る。
測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や
標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすること
なく、リガンドの変化を高感度に検出することのできる
表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した免疫センサー
が使用されている。
測定装置(表面プラズモン共鳴バイオセンサー)で一般
的に使用される測定チップは、図1に示すような構造を
有する。即ち、ガラス基板1'上に成膜された金属膜2'
の上に、多孔性材料4が形成されており、この多孔性材
料4の表面及び内部に酵素、抗体等の生理活性物質が担
持又は固定されている。この多孔性材料4としては、例
えば合成繊維、天然繊維、無機繊維等からなる織物、編
物、不織布や、多孔性の無機又は有機材料などが使用さ
れる(特開平3-164195号公報参照)。また、市販品(BI
Acore 2000用,ファルマシアバイオセンサー社製)で
は、この多孔性材料4としてカルボキシメチルデキスト
ランが用いられている。
効率的に相互作用する生理活性物質は、多孔性材料4の
表面に存在するものだけであるため、多孔性材料4の内
部に担持又は固定されている生理活性物質は有効に機能
せず、その分感度が低下することとなる。
る方法として、LB(Langmuir-Blodgett )法が用いら
れる場合もあるが(特開平5-288672号公報参照)、LB
膜と金属膜との結合が弱く、LB膜が生理活性物質と共
に脱落するという問題がある。
化する生理活性物質が少量であっても、良好な感度が得
られ、かつ製造が容易な表面プラズモン共鳴バイオセン
サー用の測定チップを提供することにある。
の結果、本発明者は、金属膜上に有機硫黄層を形成し、
該有機硫黄層に生理活性物質を固定化すれば、使用する
生理活性物質が少量であっても良好な感度が得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は、透明
基板、該透明基板上に配置される金属膜、及び該金属膜
上に配置される有機硫黄層を備えていることを特徴とす
る表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップであ
る。
置した後、該金属膜の上に有機硫黄層を配置することを
特徴とする、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定
チップの製造方法である。
本発明における表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測
定チップ(以下、単に「測定チップ」という)とは、表
面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるチップで
あって、該センサーより照射された光を透過及び反射す
る部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部
材をいい、該センサーの本体に固着されるものであって
もよく、また脱着可能なものであってもよい。
基板上に配置される金属膜、及び該金属膜上に配置され
る有機硫黄層を備えている。ここで、「透明基板上に配
置される金属膜」とは、金属膜が直接接して透明基板上
に配置されている場合のほか、金属膜が透明基板に直接
接することなく、他の層を介して配置されている場合を
も含む意である。「金属膜上に配置される有機硫黄層」
も上記と同様の意味である。
図を図2に示す。本実施例による測定チップは、透明基
板1と、透明基板1上に形成された金属膜2と、金属膜
2上に形成された有機硫黄層3とを有する。透明基板1
としては、通常表面プラズモン共鳴バイオセンサー用の
測定チップに使用されるものであればどのようなもので
もよく、一般的にはガラス、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネートなどのレーザー光に対して透明な
材料からなるものが使用でき、偏光に対して異方性を示
さずかつ加工性の優れた材料が望ましく、その厚さは0.
1 〜20mm程度である。
生じ得るようなものであれば特に限定されない。この金
属膜2に使用することのできる金属の種類としては、
金、銀、銅、アルミニウム、白金等が挙げられ、それら
を単独で又は組み合わせて使用することができる。ま
た、上記透明基板1への付着性を考慮して、透明基板1
と金、銀等からなる層との間にクロム等からなる介在層
を設けてもよい。
が好ましく、特に200 〜600 Åであるのが好ましい。30
00Åを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出
することができない。また、クロム等からなる介在層を
設ける場合、その介在層の厚さは、5〜50Åであるのが
好ましい。
く、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティン
グ法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うこ
とができる。これらの方法の中でもスパッタ法を用いる
のが好ましい。
2中の金属原子と結合し、少なくとも一つの有機官能基
を有する物質からなる層である。有機硫黄層3の厚さ
は、10〜200 Åであるのが好ましく、特に10〜50Åであ
るのが好ましい。
基を有する化合物(以下、単に「チオール化合物」とい
う)を用いて形成させることができる。ここで、好まし
いチオール化合物としては、下記の式(1)、式
(2)、式(3)、式(4)又は式(5)で表される化
合物を例示できる。
れる化合物を用いるのが好ましい。この化合物は、1分
子中に複数のアミノ基を有するので、より多くの生理活
性物質を固定化することができるからである。
は、メルカプトアミノメタン、2−メルカプト−1−ア
ミノエタン、3−メルカプト−1−アミノプロパン、4
−メルカプト−1−アミノブタンを例示することがで
き、式(2)で表される具体的な化合物としては、メル
カプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカ
プト酪酸、4−メルカプト吉草酸などを例示することが
でき、式(3)で表される具体的な化合物としては、
1,1,1−トリアミノ−2−メルカプトエタン、1,
1,1−トリアミノ−3−メルカプトプロパンなどを例
示することができ、式(4)で表される具体的な化合物
としては、メルカプトアセトアルデヒド、2−メルカプ
トプロピルアルデヒド、3−メルカプトブチルアルデヒ
ド、4−メルカプトバレルアルデヒドなどを例示するこ
とができ、式(5)で表される具体的な化合物として
は、ジメルカプトメタン、1,2−ジメルカプトエタ
ン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカ
プトブタン、1,5−ジメルカプトペンタンなどを例示
することができる。
する方法としては、チオール化合物の飽和蒸気中に金属
膜2を一定時間暴露する方法(飽和蒸気法)、チーオル
化合物を含む溶液中に金属膜2を一定時間浸漬する方法
(浸漬法)、スピンコータを用いる方法(スピンコーテ
ィング法)、グラビア印刷機を用いる方法(グラビア
法)などを例示することができる。
合物と同様に金属膜2上に有機官能基を持つ分子層を形
成することができるが、シランカップリング剤では、カ
ルボキシル基を持つ分子層を形成することはできない。
従って、チオール化合物は、カルボキシル基を導入する
場合に特に有用である。
うな利点を有する。 生理活性物質を金属膜2に極めて近い位置に固定化
することができるので、従来の測定チップを使用する場
合よりも大幅に測定感度を向上させることができる。 成膜が容易であり、また、一度に大量の成膜処理が
できる。 チオール化合物の種類を変えることにより、膜厚だ
けでなく、表面改質、官能基導入などの化学修飾が可能
となる。 本発明の測定チップは、有機硫黄層3に、直接又は水溶
性多価性試薬を介して、生理活性物質を固定して使用す
る。
作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白
質、酵素、微生物、核酸等が挙げられる。免疫蛋白質と
しては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを
例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロ
ブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgD
を使用することができる。具体的には、測定対象物がヒ
ト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アル
ブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫
剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、
コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合に
は、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗
メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO
抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用
することができる。
から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、
特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元
酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素
等を使用することができる。具体的には、測定対象物が
グルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定
対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキ
シダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫
剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、
コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場
合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示
す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールア
ミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ド
ーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができ
る。
く、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用すること
ができる。核酸としては、測定の対象とする核酸と相補
的にハイブリダイズするものを使用することができる。
核酸は、DNA、RNAのいずれも使用できる。生理活
性物質の厚さは、使用する生理活性物質自体の大きさに
もよるが、100〜3000Åであるのが好ましく、特
に100 〜1000Åであるのが好ましい。
ある場合、その固定化は、所定量の生理活性物質を有機
硫黄層3に所定時間接触させることにより行い得る。例
えば、フローセル型の表面プラズモン共鳴バイオセンサ
ーに測定チップを設置して一定流量の生理活性物質を所
定時間(所定量)流すことによって固定化できる。
化は、図3に示すように、有機硫黄層3上の有機官能基
にアビジン51を結合させ、そのアビジン51にビオチン52
で標識した核酸53を結合させることにより行い得る。核
酸53をビオチン52で標識する方法としては、ビオチン52
を結合させたプライマーを用いてPCRを行う方法を例
示することができる。
結合的に強固に固定化できるものであれば特に限定され
ず、有機硫黄層3上の有機官能基に応じて使用すればよ
い。例えば、有機硫黄層3上の有機官能基がアミノ基で
あれば、システイン、グルタルアルデヒド、過ヨウ素
酸、N,N'−o−フェニレンジマレイミド、N−スク
シニミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキ
サン−1−カルボキシレート、N−スクシニミジルマレ
イミド酢酸、N−スクシニミジル−4−マレイミド酪
酸、N−スクシニミジル−6−マレイミドヘキサン酸、
N−スルホスクシニミジル−4−マレイミドメチルシク
ロヘキサン−1−カルボン酸、N−スルホスクシニミジ
ル−3−マレイミド安息香酸、N−(4−マレイミドブ
チリロキシ)スルホスクシンイミド・ナトリウム塩、N
−(6−マレイミドカプロイロキシ)スルホスクシンイ
ミド・ナトリウム塩、N−(8−マレイミドカプリロキ
シ)スルホスクシンイミド・ナトリウム塩、N−(11−
マレイミドウンデカノイロキシ)スルホスクシンイミド
・ナトリウム塩、N[2−(1−ピペラジニル)エチ
ル]マレイミド・二塩酸で例示されるマレイミド化合物
及びN−スクシニシジルピリジルジチオカルボキシレー
トなどを使用することができ、有機官能基がメルカプト
基であれば、システイン、N,N'−o−フェニレンジ
マレイミド、N−スクシニミジル−4−(N−マレイミ
ドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N
−スクシニミジルマレイミド酢酸、N−スクシニミジル
−4−マレイミド酪酸、N−スクシニミジル−6−マレ
イミドヘキサン酸、N−スルホスクシニミジル−4−マ
レイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸、N−
スルホスクシニミジル−3−マレイミド安息香酸、N−
(4−マレイミドブチリロキシ)スルホスクシンイミド
・ナトリウム塩、N−(6−マレイミドカプロイロキ
シ)スルホスクシンイミド・ナトリウム塩、N−(8−
マレイミドカプリロキシ)スルホスクシンイミド・ナト
リウム塩、N−(11−マレイミドウンデカノイロキシ)
スルホスクシンイミド・ナトリウム塩、N[2−(1−
ピペラジニル)エチル]マレイミド・二塩酸で例示され
るマレイミド化合物及びN−スクシニシジルピリジルジ
チオカルボキシレートなどを使用することができ、有機
官能基がカルボキシル基及びアルデヒド基であれば、シ
ステイン、シュウ酸ヒドラジド、コハク酸ヒドラジド、
アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド、シュウ
酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジ
ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどを使用するこ
とができるが、これらに限定されるわけではない。
活性物質を強固に固定化することにより、当該測定チッ
プを洗浄しても生理活性物質の固定化を維持できるた
め、繰り返し測定に使用することができるという利点が
得られる。
化は、所定量の水溶性多価性試薬を有機硫黄層3に所定
時間接触させることにより行い得る。例えば、フローセ
ル型の表面プラズモン共鳴バイオセンサーに測定チップ
を設置して一定流量の水溶性多価性試薬を所定時間(所
定量)流すことによって固定化できる。生理活性物質の
水溶性多価性試薬への固定化は、生理活性物質を有機硫
黄層3に固定化する場合と同様にして行うことができ
る。
されるような表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用
することができる。この表面プラズモン共鳴バイオセン
サーは、カートリッジブロック7と、光源8と、検出器
9とを有し、カートリッジブロック7の上に本発明の測
定チップ6を設置して使用する。測定チップ6は、透明
基板が上になるように設置する。カートリッジブロック
7の上面には凹部が設けられており、この凹部と上記測
定チップ6とで測定セル71が構成される。測定セル71
は、流路72、73によりカートリッジブロック7の外部に
連通しており、試料は流路72を通じて測定セル71中に流
れ込み、測定に供された後流路73を通じて外部に排出さ
れる。
向かって単色光が照射され(入射光80)、測定チップ6
の裏面に設けられた金属膜で反射したその反射光90が、
検出器9に入光する。検出器9では、反射光90の強度を
検出することができる。
に対して谷を形成する反射光強度曲線が得られる。反射
光強度曲線における谷は、表面プラズモン共鳴によるも
のである。即ち、光が測定チップ6の透明基板と外との
界面で全反射するときに、その界面にエバネッセント波
といわれる表面波が生じ、一方、金属膜にも表面プラズ
モンといわれる表面波が生じる。この2つの表面波の波
数が一致すると共鳴が起こり、光のエネルギーの一部が
表面プラズモンを励起するために使用され、反射光の強
度が低下する。ここで、表面プラズモンの波数は、金属
膜表面のごく近くにある媒質の屈折率の影響を受けるた
め、測定対象物質と生理活性物質との相互作用により媒
質の屈折率が変化すると、表面プラズモン共鳴が生じる
入射角θが変化する。従って、反射光強度曲線の谷のず
れによって、測定対象物質の濃度の変化を検知すること
ができる。入射角θの変化量は共鳴シグナルといわれ、
10-4°の変化を1RUとして表す。
り、また、固定化する生理活性物質が少量であっても、
良好な感度で測定対象物質を測定することができる。
ある。
の概略断面図である。
共鳴バイオセンサーの概念図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 透明基板、該透明基板上に配置される金
属膜、及び該金属膜上に配置される有機硫黄層を備えて
いることを特徴とする表面プラズモン共鳴バイオセンサ
ー用測定チップ。 - 【請求項2】 前記有機硫黄層がメルカプト基と他の官
能基を有する化合物により形成された層であることを特
徴とする、請求項1記載の表面プラズモン共鳴バイオセ
ンサー用測定チップ。 - 【請求項3】 前記メルカプト基と他の官能基を有する
化合物が下記の式(1)、式(2)、式(3)、式
(4)又は式(5); 式(1):HS−(CH2 )n −NH2 式(2):HS−(CH2 )n −COOH 式(3):HS−(CH2 )n −C(NH2 )3 式(4):HS−(CH2 )n −CHO 式(5):HS−(CH2 )n −SH で表される化合物であることを特徴とする、請求項2記
載の表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ。 - 【請求項4】 透明基板上に金属膜を配置した後、該金
属膜の上に有機硫黄層を配置することを特徴とする、表
面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップの製造方
法。 - 【請求項5】 前記有機硫黄層をメルカプト基と他の官
能基を有する化合物を用いて形成させることを特徴とす
る、請求項4記載の表面プラズモン共鳴バイオセンサー
用測定チップの製造方法。 - 【請求項6】 前記メルカプト基と他の官能基を有する
化合物が下記の式(1)、式(2)又は式(3); 式(1):HS−(CH2 )n −NH2 式(2):HS−(CH2 )n −COOH 式(3):HS−(CH2 )n −C(NH2 )3 式(4):HS−(CH2 )n −CHO 式(5):HS−(CH2 )n −SH で表される化合物であることを特徴とする、請求項5記
載の表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップの
製造方法。
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