JP3944360B2 - バイオセンサー用測定チップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理活性物質と結合することができるリンカー化合物で処理した金属表面又は金属膜を有するバイオセンサー用測定チップ、並びに該リンカー化合物を用いて金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、臨床検査等で免疫反応を利用した測定が数多く行われているが、従来法では煩雑な操作や標識物質を必要とするため、標識物質を必要とすることなく、リガンドの変化を高感度に検出することのできる表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した免疫センサーが使用されている。
【0003】
このような表面プラズモン共鳴を利用した測定装置(表面プラズモン共鳴バイオセンサー)で一般的に使用される測定チップは、、ガラス基板上に成膜された金属膜の上に、多孔性材料が形成されており、この多孔性材料の表面及び内部に酵素、抗体等の生理活性物質が担持又は固定されている。この多孔性材料としては、例えば合成繊維、天然繊維、無機繊維等からなる織物、編物、不織布や、多孔性の無機又は有機材料などが使用される(特開平3-164195号公報参照)。また、市販品(BIAcore 2000用,ファルマシアバイオセンサー社製)では、この多孔性材料としてカルボキシメチルデキストランが用いられている。
【0004】
しかしながら、測定対象物と実質的にかつ効率的に相互作用する生理活性物質は、多孔性材料の表面に存在するものだけであるため、多孔性材料の内部に担持又は固定されている生理活性物質は有効に機能せず、その分感度が低下することとなる。
【0005】
また、生理活性物質を金属膜に固定する方法として、LB(
Langmuir-Blodgett )法が用いられる場合もあるが(特開平5-288672号公報参照)、LB膜と金属膜との結合が弱く、LB膜が生理活性物質と共に脱落するという問題がある。
また、金属表面への結合を目的とした各種化合物は、S、P、Se等(特表平4−501605)を含有しており取扱に際し、臭気、毒性等に注意を払う必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は上記した従来技術の問題点を解消することである。即ち、本発明は、金属表面に容易に生理活性物質を固定化するための手段であって、処理過程が簡便で安全性の高い方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属膜上を本明細書に定義する一般式Iで表される化合物で処理することにより、生理活性物質を固定化できる官能基を有する金属表面を作成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、下記一般式Iで表される化合物で処理した金属表面又は金属膜から成る、バイオセンサー用測定チップが提供される。
一般式I:X−A−Y
(式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
【0009】
好ましくは、一般式IにおいてXはチオバルビツル酸残基である。
好ましくは、一般式IにおいてYは−OH、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポキシ基又はビニル基である。
好ましくは、一般式Iで表される化合物は、5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸または5-(3-カルボキシプロピル) -2-チオバルビツル酸である。
【0010】
好ましくは、生理活性物質が一般式Iで示される化合物に結合している。
好ましくは、生理活性物質は、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドである。
【0011】
本発明の別の側面によれば、本発明のバイオセンサー用測定チップを含む、バイオセンサーが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のバイオセンサー用測定チップ又は本発明のバイオセンサーを用いて、該バイオセンサー用測定チップに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出及び/又は測定する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、金属表面又は金属膜を下記一般式Iで表される化合物で処理する工程、及び該一般式Iで表される化合物に直接又は架橋性化合物を介して生理活性物質を結合させる工程を含む、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化する方法が提供される。
一般式I:X−A−Y
(式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
【0013】
好ましくは、一般式IにおいてXはチオバルビツル酸残基である。
好ましくは、一般式IにおいてYは−OH、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポキシ基又はビニル基である。
好ましくは、一般式Iで表される化合物は5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸または5-(3-カルボキシプロピル) -2-チオバルビツル酸である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様及び実施方法について詳細に説明する。
本発明のバイオセンサー用測定チップは、下記一般式Iで表される化合物で処理した金属表面あるいは金属膜から成ることを特徴とする。
一般式I:X−A−Y
(式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
【0015】
本発明のバイオセンサー用測定チップは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ等として用いることができる。
なお、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるチップであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
【0016】
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
【0017】
本発明のバイオセンサー用測定チップは、金属表面又は金属膜を本明細書に定義する一般式Iで表される化合物で処理することにより製造される。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。
【0018】
金属膜が基板上に配置されている場合、本発明のバイオセンサー用測定チップは、基板と、基板上に形成された金属膜と、金属膜上に形成されたリンカー層(一般式Iで示される化合物から成る)とを有する。
【0019】
本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、固定化法に使用されるものであればどのようなものでもよく、一般的にはガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。基板の厚さは特には限定されないが、通常0.1 〜20mm程度である。
【0020】
本発明のバイオセンサー用測定チップにおける金属膜としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。この金属膜に使用することのできる金属の種類としては、金、銀、銅、アルミニウム、白金等が挙げられ、それらを単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金、銀等からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
【0021】
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、100 〜2000オングストロームであるのが好ましく、特に200〜600オングストロームであるのが好ましい。3000オングストロームを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、5〜50オングストロームであるのが好ましい。
【0022】
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
【0023】
本発明では、下記一般式Iで表される化合物を使用する。
一般式I:X−A−Y
(式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
【0024】
一般式Iにおいて、Xは好ましくは、チオバルビツル酸残基である。
一般式Iにおいて、Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示す。
【0025】
脂肪族基としては、アルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基等を包含し、鎖の形態は直鎖、分岐鎖、環状鎖又はこれらの組み合わせの何れでもよい。脂肪族基としてはアルキレン基が特に好ましく、最も好ましくは直鎖のアルキレン基である。脂肪族基の長さは特に限定されないが、例えば、炭素数1〜20であり、より好ましくは炭素数1〜10程度であり、特に好ましくは炭素数2〜10程度である。
芳香族基としては、アリーレン基などが挙げられ、具体的にはフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
【0026】
ヘテロ環としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1個以上含む5または7員の飽和または不飽和の単環または縮合環などが挙げられ、具体的には、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、フタラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾール、トリアゾール等が挙げられる。ヘテロ環基とは上記したようなヘテロ環から誘導される2価の基を言う。
Aで表される2価の連結基は、上記したような脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基の組み合わせから構成されるものでもよい。
【0027】
一般式Iにおいて、Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示し、例えば、−OH、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポキシ基又はビニル基であり、特に好ましくは−COOHである。
【0028】
一般式Iの化合物としては、アルコール等に易溶で、取扱の容易なチオバルビツル酸誘導体を用いることが特に好ましい。一般式Iの化合物は、特に好ましくは、上記Yで表される基としてカルボキシル基を有するチオバルビツル酸誘導体である。チオバルビツル酸誘導体は、金属表面とはチオバルビツル酸部分が下記(式中、Rは上記した−A−Yで表される基に相当する)のように互変異性化して結合し、さらにカルボキシル基を生理活性物質の固定化に効果的に使用することができる。
【0029】
【化1】
Figure 0003944360
【0030】
なお、チオバルビツル酸誘導体を界面状態の改質に用いた例として、歯科用金属へのレジン接着性が報告されている(門磨義則、歯科材料・器械、11巻(6)、891-898(1992)、門磨義則、歯科材料・器械、12巻(5)、630-636(1993))。
【0031】
本発明で用いる一般式Iの化合物は当業者に公知の通常の有機化学合成法により合成することができる。例えば、本発明で好ましく用いられるチオバルビツル酸誘導体は門磨等の方法(門磨義則、今井庸二、歯科材料・器械、11巻(3)、430-435(1992)、門磨義則、歯科材料・器械、11巻(6)、891-898(1992))に基づいて、対応するジエチルマロン酸誘導体とチオ尿素より合成することができる。
【0032】
一般式Iの化合物で金属表面又は金属膜を処理する方法としては、該化合物を含む溶液中に金属膜等を一定時間浸漬する方法(浸漬法)、スピンコータを用いる方法(スピンコーティング法)、グラビア印刷機を用いる方法(グラビア法)などを例示することができる。
【0033】
本発明で用いる一般式Iの化合物(リンカー化合物)は、以下のような利点を有する。
(1)生理活性物質を金属膜に極めて近い位置に固定化することができるので、従来の固定化法を使用する場合よりも大幅に測定感度を向上させることができる。
(2)表面処理が容易であり、また、一度に大量の表面処理ができる。
(3)生理活性物質と共有結合することができる官能基である置換基Yを選択することにより表面改質、他官能基導入などの化学修飾が可能となる。
【0034】
バイオセンサー用測定チップにおいては、上記した一般式Iの化合物(リンカー化合物)で処理した金属表面に対し、直接又は架橋性試薬(例えば、水溶性多価性試薬等)を介して、生理活性物質を固定して使用する。
【0035】
架橋性試薬としては、例えば、グルタルアルデヒド、過ヨウ素酸、N−スクシニミジル−2−マレイミド酢酸、N−スクシニミジル−4−マレイミド酪酸、N−スクシニミジル−6−マレイミドヘキサン酸、N−スクシニミジル−4−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸、N−スルホスクシニミジル−4−マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボン酸、N−スクシニミジル−4−マレイミドメチル安息香酸、N−スクシニミジル−3−マレイミド安息香酸、N−スルホスクシニミジル−3−マレイミド安息香酸、N−スクシニミジル−4−マレイミドフェニル−4−酪酸、N−スルホスクシニミジル−4−マレイミドフェニル−4−酪酸、NN'−オキシジメチレン−ジマレイミド、NN'−O-フェニレン−ジマレイミド、N,N'−m-フェニレン−ジマレイミド、N,N'−p-フェニレン−ジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレン−ジマレイミド、N−スクシニミジルマレイミドカルボン酸、N−スクシニミジル−S−アセチルメルカプト酢酸、N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、S−アセチルメルカプトスクシニックアンヒドライド、メチル−3−(4'−ジチオピリジル)プロピオニミデート、メチル−4−メルカプトブチルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオニミデート、イミノチオレン、O−カルボキシメチル−ヒドロキシルアミン、アゾジフェニルビルマレイミド、ビス(スルホサクシニイミジル)スペレイト、4,4'−ジイソチオシアノ−2,2'−ジスルホン酸スチルベン、4,4'−ジフルオロ−3,3'−ジニトロジフェニルスルホン、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、p−フェニレンジイソチオシアネイト、ジメチルアジピミデイト、ジメチルピメルイミデイト、ジメチルスベルイミデイト、p−アジドフェナアシルブロマイド、p−アジドフェニルグリオキサル、N−ヒドロキシサクシニイミジル−4−アジドベンゾエイト、4−フルオロ−3−ニトロフェニルアジド、メチル−4−アジドベンゾイミデイト、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシスクシイミド、N−スクシイミジル6−(4'−アジドー2'−ニトロフェニルアミノ)ヘキサノエイト、1、4ベンゾキノン、N−スクシンイミジル−3−(2'-ピリジルジチオ)プロピオネート、N−(4−マレイミドブチリロキシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−(6−マレイミドカプロイロキシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−(8−マレイミドカプロイロキシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−(11−マレイミドウンデカノイロキシ)スルホスクシンイミドナトリウム塩、N−[2−(1−ピペラジニル)エチル]マレイミド二塩酸、ビスジアゾベンジジン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'−エチレンビスマレインイミド、N,N'−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、2、4−ジニトロベンゼンスルフォネートナトリウム塩、ジアゾ化合物あるいは縮合試薬がRN=C=NR(又はR')で表されるカルボジイミド誘導体、N−ヒドロキシスクシイミド、トリ−n−ブチルアミン、ブチルクロロフォルメーテ、イソブチルイソシアニドなどが挙げられる。
【0036】
本発明のバイオセンサー用測定チップにおいて固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
【0037】
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
【0038】
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
【0039】
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられ、好ましくは、本発明で使用する一般式Iのリンカー化合物と直接又は架橋性化合物を介して結合することができるような官能基を有する化合物である。
【0040】
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
【0041】
生理活性物質が抗体や酵素などの蛋白質又は核酸である場合、その固定化は、生理活性物質のアミノ基、チオール基等を利用し、金属表面の官能基に共有結合させることで行うことができる。例えば、金属膜表面をチオバルビツル酸誘導体で処理し、N‐ヒドロキシスクシンイミドとWSCで活性エステルとし、一定量の生理活性物質を所定時間(所定量)接触することによって固定化できる。また、一般的な、アビジンまたはビオチンを固定化したアビジン‐ビオチン系の生理活性物質固定化方法を構成することも容易であるが、これらに限定されるわけではない。
このように該リンカーを介して生理活性物質を強固に固定化することにより、当該固定化法を洗浄しても生理活性物質の固定化を維持できるため、繰り返し測定に使用することができるという利点が得られる。
以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
実施例で用いたチオバルビツル酸誘導体である、5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸(化合物I)または5-(3-カルボキシエチル) -2-チオバルビツル酸(化合物II)は、門磨等の方法(門磨義則、今井庸二、歯科材料・器械、11巻(3)、430-435(1992)、門磨義則、歯科材料・器械、11巻(6)、891-898(1992))に基づいて、対応するジエチルマロン酸誘導体とチオ尿素より合成した。化合物I及び化合物IIの構造を以下に示す。
【0043】
【化2】
Figure 0003944360
【0044】
実施例1:金表面へのカルボキシル化リンカーの結合
約300オングストロームの厚さに金蒸着した1.5cm×1.5cmのカバーガラスをオゾンクリーナーで洗浄した後、化合物I或いは化合物IIの1mMエタノール溶液に浸漬し、37℃で1時間表面処理を行う。また、他の金蒸着カバーガラスも同様に200mMメルカプト酢酸-エタノール溶液に浸漬し、40℃、3時間処理(ドラフト内で作業)する。各処理ガラスの金蒸着面をエタノール及び純水で2回洗浄後風乾し、次いで金蒸着面に5mm径の穴をあけたマスクを接着し以下の抗体結合面積を規定した。
【0045】
実施例2:金蒸着表面への抗CRP抗体の結合と検出
金蒸着ガラス表面に結合した各種リンカーを経由して共有結合させた抗CRP抗体を、抗IgG-POD抗体とABTSとの反応で検出した。尚、金蒸着表面は5mm径の円形に表面積を規定したマスクを用い実験に供した。
【0046】
操作:
1)4mg/mlの濃度となるように水溶性カルボジイミド(EDC)をPBS(pH6.0)に溶解し、100μlを金表面に分注する。37℃で2時間静置した後、純水、PBSで2回表面を洗浄する。
2)抗CRP抗体のpH6.4PBS溶液(1.0μg/ml)を、各表面に100μl分注し4℃で一晩静置する。
3)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、3%BSAを100μl分注し37℃で2時間ブロッキングする。
4)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、抗IgG-POD抗体(1.0μg/ml, pH7.4)PBS溶液を分注し、37℃、2時間反応させる。
5)純水、PBSで2回表面を洗浄した後、50μlのABTS溶液を分注し、室温で15分反応させる。
6)発色した液の40μlを分取し、純水60μlを加え分光光度計で415nmの吸光度を測定する。
【0047】
結果:上記の測定結果を以下の表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003944360
【0049】
表1の結果から分かるように、5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸(I)または5-(3-カルボキシプロピル) -2-チオバルビツル酸(II)を使用した金属表面への生理活性物質の固定化方法は、一般のチオールカルボン酸と同等以上に効果的であることを示している。従って、チオバルビツル酸誘導体処理が金表面の活性化方法として非常に有用であることが明らかとなった。
【0050】
【発明の効果】
本発明のバイオセンサー用測定チップは、製造が容易であり、また、固定化する生理活性物質が少量であっても、良好な感度で測定対象物質を測定することができる。

Claims (12)

  1. 下記一般式Iで表される化合物で処理した金属表面又は金属膜から成る、バイオセンサー用測定チップ。
    一般式I:X−A−Y
    (式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
    Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
    Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
  2. 一般式IにおいてXがチオバルビツル酸残基である、請求項1に記載のバイオセンサー用測定チップ。
  3. 一般式IにおいてYが−OH、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポキシ基又はビニル基である、請求項1または2に記載のバイオセンサー用測定チップ。
  4. 一般式Iで表される化合物が5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸または5-(3-カルボキシプロピル) -2-チオバルビツル酸である、請求項1から3の何れか1項に記載のバイオセンサー用測定チップ。
  5. 生理活性物質が一般式Iで示される化合物に結合していることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載のバイオセンサー用測定チップ。
  6. 生理活性物質が、免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドである、請求項5に記載のバイオセンサー用測定チップ。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載のバイオセンサー用測定チップを含む、バイオセンサー。
  8. 請求項1から6の何れか1項に記載のバイオセンサー用測定チップ又は請求項7に記載のバイオセンサーを用いて、該バイオセンサー用測定チップに固定化されている生理活性物質と相互作用する物質を検出及び/又は測定する方法。
  9. 金属表面又は金属膜を下記一般式Iで表される化合物で処理する工程、及び該一般式Iで表される化合物に直接又は架橋性化合物を介して生理活性物質を結合させる工程を含む、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化する方法。
    一般式I:X−A−Y
    (式中、Xは、環内に−C(=O)−NH−C(=S)−NH−C(=O)−構造を含むヘテロ環またはその互変異性体の残基を示し、
    Aは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基又はこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を示し、
    Yは生理活性物質と共有結合することができる官能基を示す)
  10. 一般式IにおいてXがチオバルビツル酸残基である、請求項9に記載の生理活性物質を固定化する方法。
  11. 一般式IにおいてYが−OH、−COOH、−NH2、−CHO、−NHNH2、−NCS、エポキシ基又はビニル基である、請求項9または請求項10に記載の生理活性物質を固定化する方法。
  12. 一般式Iで表される化合物が5-(4-カルボキシベンジル)-2-チオバルビツル酸または5-(3-カルボキシプロピル) -2-チオバルビツル酸である、請求項9から11の何れか1項に記載の生理活性物質を固定化する方法。
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